説明

ロール紙支持装置

【課題】 糊の付着を軽減し、以ってロール紙の安定した供給を実現したロール紙支持装置を提供する。
【解決手段】 ロール紙Rが装着される支持部51と、支持部に装着されたロール紙の幅方向に設けられたシャフト部54と、シャフト部に案内されて移動可能に設けられ、シャフト部の中央部位と一方の側面部との間を移動可能な第1の移動支持部3aと、シャフト部の中央部位と他方の側面部との間を移動可能な第2の移動支持部3bと、移動支持部に立設状態に固定・支持された軸部4、およびこの軸部の上端部にて軸部に対し回動自在とさた第1の回転ガイド体本体5、並びに軸部の下端部にて軸部に対し回動自在とされた第2の回転ガイド体本体6を備える回転ガイド体2と、を備える。そして、シャフト部に沿って第1および第2の移動支持部を離間し支持部を開放してロール紙を装着し、かつ、第1および第2の移動支持部を近接して回転ガイド体をロール紙に当接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、糊が付着したロール紙の繰出しを円滑とし、かつ、ロール紙の振れを防止して用紙(ロール紙)供給の安定化を図ったロール紙支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、支持部に、ロール状に巻回されたロール紙を装着し、所定の位置に位置決めするような支持装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に開示され、図6に示されるロール紙支持装置50は、ロール状に巻回された記録紙や帯状台紙上に仮着されているラベルやシールといったロール紙Rに印字を行うプリンタやファクシミリに用いられ、図示省略の印字部に供給されるロール紙Rを支持する装置であり、ロール紙Rが投げ入れられて装着・支持される支持部51と、ロール紙Rの軸方向の位置決めを行なう左側ガイド52および右側ガイド53と、支持部51に支持されるロール紙Rの軸方向に配置されているシャフト部54と、を備える。
左側ガイド52は、支持部51に装着されたロール紙Rの左側面に当接して左側の位置きめを行なう左側ガイド板55と、この左側ガイド板55と一体で形成されると共に前記シャフト部54に沿って軸方向に移動される移動部56を備えている。
また、右側ガイド53は、左側ガイド部52と面対称の形状であり、支持部51に支持されるロール紙Rの右側面に当接して右側の位置決めを行う右側ガイド板57と、この右側ガイド板57と一体で形成されると共に前記シャフト部54に沿って軸方向に移動される移動部58を備えている。
そして、シャフト部54を回転すると左右側ガイド板55、57は、シャフト部54に沿って反対方向に連動して移動され、支持部51に装着したロール紙Rを印字範囲の中央部位に位置決めするとともに、幅方向でのブレを抑止するようになっている。
ところで、支持部51に装着されたロール紙Rは印字に応じ繰り出されるが、ロール紙Rによりガイド板55、57に糊が付着することがあり、糊の付着によってロール紙Rの繰り出しに影響を及ぼす虞があるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−36515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の問題点に着目して成されたものであり、糊の付着を軽減し、以ってロール紙の安定した供給を実現したロール紙支持装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係るロール紙支持装置は、ロール紙が装着される支持部と、前記支持部に装着された前記ロール紙の幅方向に設けられたシャフト部と、前記シャフト部に案内されて移動可能に設けられ、前記シャフト部の中央部位と一方の側面部との間を移動可能な第1の移動支持部と、前記シャフト部の中央部位と他方の側面部との間を移動可能な第2の移動支持部と、前記移動支持部に立設状態に固定・支持された軸部、およびこの軸部の上端部にて軸部に対し回動自在に設けられた第1の回転ガイド体本体、並びに前記軸部の下端部にて軸部に対し回動自在に設けられた第2の回転ガイド体本体を備える回転ガイド体と、を備えたロール紙支持装置であって、前記シャフト部に沿って前記第1および第2の移動支持部を離間し前記支持部を開放して前記ロール紙を装着するとともに、第1および第2の移動支持部を近接して前記回転ガイド体を前記ロール紙に当接することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明のロール紙支持装置は、支持部に装着したロール紙が、両端を回転ガイド体にて支持されるとともに、第1の回転ガイド体本体がロール紙の上方部位、また、第2の回転ガイド体本体がロール紙の下方部位において当接して各々回転するため、ロール紙Rの繰り出しが円滑であり、かつ、ブレが少なく、さらに、ロール紙と第1および第2の回転ガイド体本体5とが点接触状態となるため、糊が付着しにくいという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に係るロール紙支持装置の概略斜視図である。
【図2】同、図1中、矢示II方向より見た正面図である。
【図3】同、ロール紙が消耗されて残り少なくなった状態を示す図2相当の正面図である。
【図4】同、図2中、矢示IV方向より見た側面図である。
【図5】同、図3中、矢示V方向より見た側面図である。
【図6】従来のロール紙支持装置を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係るロール紙支持装置の一実施の形態につき、図1ないし図5に基づいて説明する。
なお、以下では、従来と共通する部分については同一符号を以て示すこととし、重複する説明は省略する。
【0009】
同図に示すように、ロール紙支持装置1は、主に、ロール紙Rが投げ入れられて装着・支持される支持部51と、ロール紙Rの軸方向の位置決めを行なう一対の回転ガイド体2と、支持部51に支持されるロール紙Rの軸方向に配置されているシャフト部54と、前記回転ガイド体2を支持するとともに、前記シャフト部54に沿って軸方向に移動される移動支持部3と、を備える。
なお、Sは、ロール紙Rの支管であり、この支管Sに図示省略の記録紙や帯状台紙上に仮着されているラベルやシールを巻回して「記録媒体」としてのロール紙Rが形成されるものである。
【0010】
回転ガイド体2は、軸部4と、円筒状の第1の回転ガイド体本体5と、第2の回転ガイド体本体6とを備えている。
軸部4は、後述する移動支持部3に立設状態に固定・支持されている。
第1の回転ガイド体本体5は、図1における上下方向(高さ方向)の長さ(サイズ)がh1であり、軸部4の上端部において軸部4に対し回動可能に嵌装されている。
同様に、第2の回転ガイド体本体6は、長さ(サイズ)がh2であり、軸部4の下端部において軸部4に対し回動可能に嵌装されている。
また、第1の回転ガイド体本体5の長さh1は、第2の回転ガイド体本体6の長さh2に比し長いサイズ(長さ)とされている。
なお、第1の回転ガイド体本体5と第2の回転ガイド体本体6の間は、所定距離Xはなされている(長さh1、h2および所定距離Xについての詳細は後述する)。
【0011】
移動支持部3は、第1および第2の移動支持部3a、3bより成る。
第1の移動支持部3aは、回転ガイド体2の軸部4を立設状態に固定・支持するとともに、シャフト部54に沿って移動可能とされており、図1におけるシャフト部54の軸方向の中央部位と、中央部位より軸方向の左側面(図1における左側)との間を移動するようにされている。
また、第2の移動支持部3bは、第1の移動支持部3aと同様、回転ガイド体2の軸部4を立設状態に固定・支持するとともに、シャフト部54に沿って移動可能とされており、図1における軸方向の中央部位と、中央部位より右側面との間を移動する右側用の移動支持部3bとから形成されている。すなわち、左側用の第1の移動支持部3aに立設された回転ガイド体2は、シャフト部54の中央部位と、図1における左側面との間を移動自在とされ、他方、右側用の第2の移動支持部材3bに立設された回転ガイド体2は、シャフト部54の中央部位と、右側面の間を移動自在とされており、シャフト部54を一方向へ回転させると、左側および右側用の移動支持部3a、3bが中央部位から離反する方向へ移動するようになっている。そして、前記移動支持部3a、3bの離反方向への移動に伴い回転ガイド体2が左右に広がり、支持部51の中央部位を広く開ける。広く開けられた支持部51にロール紙Rを装着後、今度はシャフト部54を他方向へ回転させることにより、左側および右側用の移動支持部3a、3bを中央部位側に近接させ、支持部51に装着したロール紙Rの左右両側面に回転ガイド体2を当接してロール紙Rを印字範囲の中央部位に位置決めするとともに、幅方向でのブレを抑止するようになっている。
なお、第2の回転ガイド体本体6の下端部は、高さ方向において、ほぼ支持部51の下端部51aと同じ高さになるよう配設されている。
【0012】
次に、図1ないし図5に基づき、ロール紙支持装置1の使用状態を説明する。
図1および図2並びに図4は、使い始めのロール紙R、すなわち、支管Sにラベルやシール(図示省略)が多く巻回された巻き径が大きい状態のロール紙Rが支持部51に装着されるとともに、幅方向の中央部位に位置決めされた状態を示す図であり、また、図3および図5は、ロール紙Rが消耗されて巻き径が小さくなった状態を示す図である。
先ず、図1および図2並びに図4に基づき、ロール紙Rの使い始めの状態を説明する。
支持部51に装着可能なロール紙Rの最大径は、D1とされ、また、支管Sの直径はD2とされており、同図においては、最大径D1のロール紙Rが装着された状態を示している。
なお、支管Sの直径D2およびロール紙Rの最大径D1は、これを用いるプリンタやファクシミリなどの機種(種類)によって決められており、特に、支管Sの直径D2は、1インチ、2インチ・・・と、ほぼ1インチ単位に設定されている。
ここで、軸部4に回動可能に嵌装された第1および第2の回転ガイド体本体5、6の高さ方向の長さ(サイズ)h1、h2、並びに第1および第2の回転ガイド体本体5、6間の所定距離Xと、前述のロール紙Rの最大径D1との関係を説明すると、
(1)第1の回転ガイド体本体5の長さh1は、第2の回転ガイド体本体6の長さh2のほぼ2倍。
(2)第2の回転ガイド体本体6の長さh2は、ロール紙Rの最大径D1から支管Sの直径D2を差し引いた値のほぼ二分の一。
(3)所定距離Xは、ほぼ第2の回転ガイド体本体6の長さh2と同じ。
(4)上記(1)ないし(3)より、第2の回転ガイド体本体6の長さh2の4倍が、ほぼロール紙Rの最大径D1に相当する。逆説的に、ロール紙Rの最大径D1の四分の一が、ほぼ第2の回転ガイド体本体6の長さh2とされている。
上記長さ(サイズ)h1、h2の回転ガイド体本体5、6や所定距離Xなどを以って形成された回転ガイド体2を用い、支持部51に装着されたロール紙Rを位置決めする。すなわち、シャフト部54を回転し移動支持部3a、3bを支持部51の幅方向において移動させることにより、前記移動支持部3a、3bに固定・支持された回転ガイド体2が、支持部51に装着されたロール紙Rの幅方向における左側および右側の側面に当接して幅方向のほぼ中央部位にロール紙Rを位置決めするものであり、回転ガイド体2の第1の回転ガイド体本体5が、支持部51に装着されたロール紙Rの上方部位に、また、第2の回転ガイド体本体6が、ロール紙Rの下方部位に、各々当接する。
第1および第2の回転ガイド体本体5、6を備えた回転ガイド体2に左右両側面を支持されたロール紙Rは、印字動作などにより支持部51より繰り出されるが、ロール紙Rの側面に当接した第1および第2の回転ガイド体本体5、6が回転するため、ロール紙Rの幅方向におけるブレを抑止した上で繰り出しが円滑であり、しかも、第1および第2の回転ガイド体本体5、6の円周部においてロール紙Rは点接触状態となるため、先の回転と相俟って糊(図示省略)が付着しにくいものである。
なお、第1および第2の回転ガイド体本体5、6は、回転方向が逆となる。すなわち、繰り出し方向A(図1および図4参照)よりロール紙Rを繰り出すと、ロール紙Rの回転により第1の回転ガイド体本体5は矢示Mへ、また、第2の回転ガイド体本体6は矢示N方向へ、各々回転するが、第1の回転ガイド体本体5と、第2の回転ガイド体本体6が所定距離Xはなされ、しかも、軸部4に対して各々の回転ガイド体本体5,6が回動可能に設けられているため、繰り出しは円滑なものである。
【0013】
ロール紙Rが消耗されて巻き径が小さくなると(主に、図3および図5参照)、支管Sが支持部51の下端部51a近くにまで達するとともに、装着されているロール紙R全体が下方へ下がる。
しかしながら、高さ方向において、支持部51の下端部51aとほぼ同じ高さに下端部が配設されるとともに、高さ方向の長さ(サイズ)h2を備えた第2の回転ガイド体本体6と、この第2の回転ガイド体本体6より所定距離Xはなれた情報に設けられた第1の回転ガイド体本体5がロール紙Rの下方部位および上方部位において当接しているため、ロール紙Rの繰り出しは円滑なものである。
【0014】
なお、本発明のロール紙支持装置1が搭載されたプリンタやファクシミリは、使用する形態により繰り出し方向が異なる場合がある。
例えば、先の繰り出し方向Aとは異なる繰り出し方向B(図4において想像線で図示)よりロール紙Rが繰り出される場合があるが、繰り出し方向が異なりロール紙Rの回転方向が先の回転方向と変わったとしても、軸部4において所定距離Xはなされるとともに、軸部4に対して回動可能に設けられた第1および第2の回転ガイド体本体5、6が、ロール紙Rの回転方向に沿う方向で各々回転するので、繰り出しが円滑なものである。
【0015】
上述したように、支持部51に装着したロール紙Rは、両端を回転ガイド体2にて支持されるとともに、繰り出される際、第1の回転ガイド体本体5がロール紙Rの上方部位、また、第2の回転ガイド体本体6がロール紙Rの下方部位において各々回転するため、ロール紙Rの回転が円滑であり、かつ、ロール紙Rと第1および第2の回転ガイド体本体5、6とが点接触状態となるため、糊が付着しにくい。
また、軸部4並びに第1および第2の回転ガイド体本体5、6により形成された回転ガイド体2は、従来の「ガイド体」のように右側用および左側用と区別する必要がないので、部品の付け間違えが発生しないものである。
【0016】
なお、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0017】
R ロール紙(ラベル連続体)
X 所定距離
h1 (第1の回転ガイド体本体5の高さ方向の)長さ(サイズ)
h2 (第2の回転ガイド体本体6の高さ方向の)長さ(サイズ)
D1 ロール紙Rの最大径
D2 支管Sの直径
1 ロール紙支持装置
2 回転ガイド体
3 移動支持部
3a 第1の移動支持部
3b 第2の移動支持部
4 軸部
5 第1の回転ガイド体本体
6 第2の回転ガイド体本体
50 ロール紙支持装置(従来)
51 支持部
51a 下端部
52 左側ガイド
53 右側ガイド
54 シャフト部
55 左側ガイド板
56 (左側)移動部
57 右側ガイド板
58 (右側)移動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール紙が装着される支持部と、
前記支持部に装着された前記ロール紙の幅方向に設けられたシャフト部と、
前記シャフト部に案内されて移動可能に設けられ、前記シャフト部の中央部位と一方の側面部との間を移動可能な第1の移動支持部と、
前記シャフト部の中央部位と他方の側面部との間を移動可能な第2の移動支持部と、
前記移動支持部に立設状態に固定・支持された軸部、およびこの軸部の上端部にて軸部に対し回動自在に設けられた第1の回転ガイド体本体、並びに前記軸部の下端部にて軸部に対し回動自在に設けられた第2の回転ガイド体本体を備える回転ガイド体と、を備えたロール紙支持装置であって、
前記シャフト部に沿って前記第1および第2の移動支持部を離間し前記支持部を開放して前記ロール紙を装着するとともに、第1および第2の移動支持部を近接して前記回転ガイド体を前記ロール紙に当接することを特徴とするロール紙支持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−240834(P2012−240834A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115704(P2011−115704)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)サトーホールディングス株式会社 (1,153)
【Fターム(参考)】