説明

ワイパーブレード

【課題】払拭面から掻き落した雪がカバー内に侵入するのを防止することが可能なワイパーブレードの提供を図る。
【解決手段】ブレードラバー1の基部3の周囲は、基部3の上方を覆うカバー12およびレバーアッセンブリ6のセンターレバー7と、基部3の下側に上向きに延設したL字状断面の一対のガード壁3Aとで、外部から遮蔽された閉断面部Sを構成している。これにより、払拭面から掻き落した雪が基部3周りに侵入して堆積するのを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両のワイパー装置に用いられるワイパーブレードに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、冬期用のワイパーブレードとして、ブレードラバーの基部を把持する複数のレバー部材からなるレバーアッセンブリの上方側を、カバーで覆った技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−239116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の開示技術では、カバーはその下側が開放した凹形断面に形成されていて、ブレードラバーの基部の上側には幅方向両側に開放した開放空隙が存在している。
【0005】
このため、ワイパーブレードによる払拭面の払拭作動時に、払拭面から掻き落した雪がブレードラバーの基部とカバーの内側との間に侵入,堆積し、これが次第に成長することによって、ブレードラバーの払拭性能が阻害される可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は払拭面から掻き落した雪がカバー内に侵入するのを確実に防止することができるワイパーブレードを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のワイパーブレードは、ブレードラバーと、該ブレードラバーの基部に沿って配設したバーティブラと、下側が開放した凹形断面に形成され、ブレードラバーの基部の上方側を離間して覆うカバーと、を備えている。
【0008】
また、ブレードラバーは、その基部の下側で幅方向両側から上向きに延設されて、該基部の下側から幅方向両側を囲繞する一対のガード壁を備えている。
【0009】
そして、このガード壁の上側端末を前記カバーの下側開放部の端末に当接またはオーバーラップして配設して、これらガード壁とカバーとで前記基部を内包する閉断面部を構成したことを主要な特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ブレードラバーの基部の周囲は、カバーと一対のガード壁とで外部から遮蔽された閉断面の空隙となっている。
【0011】
このため、払拭面から掻き落された雪がブレードラバーの基部周りに侵入,堆積するのを確実に防止することができ、ブレードラバーの払拭性能を阻害するのを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のワイパーブレードを示す分解斜視図。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図。
【図3】図1のB−B線に沿う断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面と共に詳述する。
【0014】
図1〜図3に示す実施形態のワイパーブレードは、ブレードラバー1と、該ブレードラバー1に作用する押圧力をその長さ方向に分散して均一化するためのバーティブラ5と、ブレードラバー1を把持するレバーアッセンブリ6と、を備えている。
【0015】
ブレードラバー1は、自動車のフロントウィンドウパネルやリャウィンドウパネル等の払拭面を摺擦する払拭用のリップ2と、該リップ2と頸部4を介して連設した基部3と、を備えている。
【0016】
バーティブラ5は、適宜のばね鋼材をもって帯板状に形成され、本実施形態ではブレードラバー1の基部3の幅方向両側面に長さ方向にスリットを設け、該スリットにバーティブラ5を圧入して固定したバーティブラ配置構造としている。
【0017】
レバーアッセンブリ6は、複数のレバー部材7,8をトーナメント状に連結して構成され、ブレードラバー1の基部3を長さ方向に所要の間隔をおいて把持し、図外のワイパーアーム端に係脱可能に連結する構成としている。
【0018】
具体的には、長さ方向中央部にワイパーアーム端に係脱可能なクリップ10を支軸11により回動可能に連結したセンターレバー7と、長さ方向中央部でセンターレバー7の長さ方向両端部にそれぞれかしめピン11Aによりかしめ固定して、回動可能に連結した一対のヨーク8と、で構成している。
【0019】
ヨーク8は、その長さ方向両端部に、例えば方形のチャンネル断面とした抱持部9を備え、該抱持部9によりブレードラバー1の基部3を、その長さ方向の4ヶ所で幅方向に把持するようにしている。
【0020】
ブレードラバー1は押出し成形してあり、このブレードラバー1とレバーアッセンブリ6とは、ヨーク8の各抱持部9と基部3とを、相互に長さ方向に嵌挿移動して組付けている。これにより、ブレードラバー1の交換を自由に行えるようにしている。
【0021】
レバーアッセンブリ6には、センターレバー7とヨーク8との連結点からブレードラバー1の一方の長さ方向端末との間に亘る領域で、ブレードラバー1の基部3の上方側を離間して覆うカバー12を装着してある。
【0022】
カバー12は、適宜の合成樹脂材をもって、下側が開放した凹形断面に形成され、長さ方向一端部をセンターレバー7の端部に外嵌して、カバー12自体の弾性により両側壁のロケート孔(またはロケート溝)12aをかしめピン11Aの頭部に係着して、回動可能に連結してある。
【0023】
カバー12の他端末には、ブレードラバー1の長さ方向端末に当接して、該端末の断面開放部を閉塞する端板状のキャップ部13を一体に備えている。
【0024】
本実施形態では、センターレバー7を下側が開放した凹形断面に形成し、その幅方向両側壁の下縁がカバー12の下縁とほぼ同一線上に揃う寸法に形成して、該センターレバー7がカバー12と等価の機能を発揮するようにしている。
【0025】
一方、ブレードラバー1には、基部3の下側で幅方向両側から上向きに延設されて、該基部3の下側から幅方向両側を囲繞する、略L字状断面の一対のガード壁3Aを一体成形してある。
【0026】
本実施形態では、ガード壁3Aの上端末をカバー12およびセンターレバー7の下側開放部の端末に当接する高さに形成して、これらカバー12およびセンターレバー7と、ガード壁3Aとで、ブレードラバー1の基部3を内包する閉断面部Sを構成している。
【0027】
閉断面部Sは、この他、ガード壁3Aの上端末と、カバー12およびセンターレバー7の下側開放部の端末とを、上下方向にオーバーラップするように、即ち、上下方向に嵌合するように形成して、閉断面構造とすることもできる。
【0028】
以上の実施形態の構成からなるワイパーブレードによれば、ブレードラバー1の基部3の周囲は、カバー12およびセンターレバー7と、一対のガード壁3Aとで外部から遮蔽された閉断面の空隙(閉断面部S)となっている。
【0029】
このため、払拭面から掻き落された雪がブレードラバー1の基部3周りに侵入して堆積することはなく、従って、ブレードラバー1の払拭性能を阻害するのを回避することができる。
【0030】
また、本実施形態では、カバー12の端末に設けたキャップ部13によってブレードラバー1の端末の断面開放部を閉塞しているので、上述の閉断面部Sへの雪の侵入防止を徹底することができる。
【0031】
更に、上述のようにセンターレバー7にカバー12と等価の機能を持たせているので、レバーアッセンブリ6を全体的に複数のカバー部材で覆う構成に較べて、ワイパーブレードを小型,軽量化することができると共に、部品点数,組付け工数を削減できて、コスト的に有利に得ることができる。
【0032】
なお、前記実施形態におけるセンターレバー7およびヨーク8は、合成樹脂製,耐腐蝕性の金属製の何れであってもよい。
【0033】
また、カバー12およびガード壁3Aの断面形状、基部3およびリップ2の断面形状、およびバーティブラ5の配置形態等は、仕様によって如何ようにも変更することが可能である。
【0034】
更に、前記実施形態ではトーナメントタイプのレバーアッセンブリ6を備えた、所謂、トーナメントレバータイプのワイパーブレードを例示したが、本発明はこの他、バーティブラを基部上面に沿って配設して複数ヶ所でクリップ固定し、それらの長さ方向中央部にワイパーアームに対するホルダユニットを組付けた、所謂、フラットタイプのワイパーブレードに適用することも可能である。
【符号の説明】
【0035】
1…ブレードラバー
3…基部
3A…ガード壁
5…バーティブラ
6…レバーアッセンブリ
7…センターレバー(レバー部材)
8…ヨーク(レバー部材)
12…カバー
13…キャップ部
S…閉断面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレードラバーと、
前記ブレードラバーの基部に沿って配設したバーティブラと、
下側が開放した凹形断面に形成され、前記ブレードラバーの基部の上方側を離間して覆うカバーと、を備え、
前記ブレードラバーは、前記基部の下側で幅方向両側から上向きに延設されて、該基部の下側から幅方向両側を囲繞する一対のガード壁を備え、
前記ガード壁の上側端末を前記カバーの下側開放部の端末に当接またはオーバーラップして配設して、これらガード壁とカバーとで前記基部を内包する閉断面部を構成したことを特徴とするワイパーブレード。
【請求項2】
前記ブレードラバーは一定断面形状に押出し成形されている一方、
前記カバーは、その長さ方向の端末に前記ブレードラバーの長さ方向端末の断面開放部を閉塞するキャップ部を備えていることを特徴とする請求項1に記載のワイパーブレード。
【請求項3】
前記ワイパーブレードは、前記ブレードラバーの基部を把持する複数のレバー部材からなるレバーアッセンブリを備え、
前記カバーの一部を、前記レバーアッセンブリの1つのレバー部材で構成したことを特徴とする請求項1または2に記載のワイパーブレード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−148588(P2012−148588A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−6640(P2011−6640)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】