説明

ワークトップへの幕板の取付構造

【課題】幕板を交換する場合の作業性がよく、薄い幕板でも取り付けることができるシステムキッチンのワークトップへの幕板の取付構造を提供する。
【解決手段】ワークトップ10の下地材13の下面に第1ブラケット30を取り付け、第1ブラケット30に対して前後方向に嵌合する第2ブラケット40を幕板20の下地材22の後面側に取り付け、第1ブラケット30及び第2ブラケット40を相互に嵌合させた状態で、第1ブラケット30と第2ブラケット40とを下方側からねじ止めするようになっている。第2ブラケット40の上位張出板42に形成された位置決め溝と、第1ブラケット30の基板31に形成された突条とを係合させることによって、第1ブラケット30に対する第2ブラケット40の前後方向の位置決めを行うようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、システムキッチンのワークトップへの幕板の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、図10(a)、(b)に示すように、システムキッチンでは、ベースキャビネット60にシンク51等を有するワークトップ50を取り付けることになるが、ベースキャビネット60にワークトップ50を取り付けた状態で、ワークトップ50の前端部とベースキャビネット60における扉61の上端面との間に大きな隙間が形成されないように、ワークトップ50の前端部には、通常、ベースキャビネット60の扉の上端面付近まで垂れ下がる幕板70が取り付けられている。
【0003】
図11に示すように、こういった幕板70の下面には、長手方向に一定間隔で多数の座繰り孔71が形成されていると共に、ワークトップ50の前縁52及び前縁52から垂下した前垂下縁53の裏面には、木質材等からなる下地材54が接着固定されており、幕板70の座繰り孔71から、ワークトップ50の下地材54に木ねじBをねじ込んで締め付けることにより、幕板70がワークトップ50に取り付けられている。
【0004】
【特許文献1】実開昭57−186550号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような取り付け構造では、ベースキャビネット60にワークトップ50を取り付けた状態で、幕板70だけを交換する場合、長尺の幕板70の上端面をワークトップ50の下地材54の下端面の所定位置に押し当てながら、下方側から木ねじSをねじ込んで固定していかなければならないので、作業性が悪く、短時間で綺麗に取り付けることができないといった問題がある。
【0006】
また、幕板70を交換する場合、新たな幕板70を取り付けるために、ワークトップ50の下地材54に形成されたねじ孔に再度木ねじSをねじ込むことになるので、下地材54に形成されたねじ孔が潰れて十分な固定力を確保することができない場合もある。
【0007】
さらに、上述したように、座繰り孔71を形成するためには、幕板70にある程度の厚みが必要であり、厚みの小さい幕板を使用することができないという問題もある。
【0008】
そこで、この発明の課題は、幕板を交換する場合の作業性がよく、薄い幕板でも取り付けることができるシステムキッチンのワークトップへの幕板の取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、請求項1にかかる発明は、システムキッチンのワークトップへの幕板の取付構造であって、ワークトップの下地材の下面に第1のブラケットを取り付け、前記第1のブラケットに対して前後方向に嵌合する第2のブラケットを幕板の後面側に取り付け、前記第1のブラケット及び前記第2のブラケットを相互に嵌合させた状態で、前記第1のブラケットと前記第2のブラケットとを下方側からねじ止めするようにしたことを特徴とするワークトップへの幕板の取付構造を提供するものである。
【0010】
また、請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる発明のワークトップへの幕板の取付構造において、前記第1のブラケットと前記第2のブラケットとを、前後方向に位置調整可能にねじ止めするようにしたことを特徴としている。
【0011】
また、請求項3にかかる発明は、請求項2にかかる発明のワークトップへの幕板の取付構造において、前記第1のブラケットに対して前記第2のブラケットを前後方向に位置決めする位置決め手段を備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、請求項1にかかる発明の幕板の取付構造では、ワークトップの下地材から第1のブラケットを取り外さなくても、第1のブラケットと第2のブラケットとを固定しているねじを緩めることによって、第2のブラケットを取り付けた状態で幕板をワークトップから取り外すことができるので、幕板をワークトップの下地材に直接ねじ止めしている従来の取付構造のように、幕板を取り替える際に、ワークトップの下地材に形成されたねじ孔が潰れて、取り替えた幕板の固定力を十分に確保できなくなるといった問題が発生することがない。
【0013】
また、ワークトップの下地材に取り付けられている第1のブラケットと、幕板に取り付けられている第2のブラケットとは、前後方向に嵌合しているので、両者を固定しているねじを緩めても、幕板が落下することがない。従って、幕板を取り替える際の作業性がよく、短時間で効率よく幕板を取り替えることができる。
【0014】
また、第2のブラケットは幕板の後面に取り付けるようにしているので、幕板をねじ止めするために、幕板の下端面に座繰り孔を形成している従来の接続構造とは異なり、厚みの小さい幕板についても対応することができる。
【0015】
特に、請求項2にかかる発明の幕板の取付構造では、第1のブラケットと第2のブラケットとを、前後方向に位置調整可能にねじ止めするようにしているので、必要に応じて、幕板の前後方向の取付位置を変えることができる。
【0016】
また、請求項3にかかる発明の幕板の取付構造では、第1のブラケットに対して第2のブラケットを前後方向に位置決めする位置決め手段を備えているので、幕板を前後方向の所定位置に確実に取り付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、システムキッチンにおけるワークトップ10の前端部に、金属製の第1ブラケット30及び第2ブラケット40を介して、幕板20を取り付けた状態を示している。
【0018】
ワークトップ10は、ステンレス板によって形成されており、図2に示すように、開口部を有するワークトップ本体11と、このワークトップ本体11の開口部に溶接されたシンク12とを備えている。
【0019】
前記ワークトップ本体11の前端部は、その先端側11aがシンク側11bに比べて一段高くなっていると共に、先端縁が下後方側に湾曲しており、ワークトップ本体11におけるシンク側11bの下面には、ワークトップ本体11の略全幅にわたって、パーティクルボードによって形成された長尺の下地材13が接着固定されている。
【0020】
前記幕板20は、図3に示すように、木質材によって形成された長尺の化粧材21と、この化粧材21の後面に固着された、パーティクルボードによって形成された長尺の下地材22とから構成されており、化粧材21は、板状の主化粧材21aと、この主化粧材21aの下端面に固着された、前方側に突出する下部化粧材21bとから構成されている。
【0021】
前記第1ブラケット30は、幕板20と略同一の長さを有しており、図4に示すように、ワークトップ10の下地材13にねじ止めされる基板31と、この基板31の後端縁から垂下する垂下板32と、この垂下板32の下端縁から前方側に張り出す下位張出板33と、前記基板31の前端縁から立ち上がる起立板34と、この起立板34の上端縁から前方側に張り出す上位張出板35とから構成されている。
【0022】
前記基板31には、その下面に、長手方向に延びる断面逆三角形状の2本の突条31a、31bが形成されていると共に、千鳥配置になるように、短手方向に交互に位置ズレさせた状態で、複数の木ねじ挿通孔31cが形成されており、下位張出板33には、基板31の突条31a、31bに対応する位置に、六角穴付き止めねじ(ホーローセット)SSをねじ込むための複数のねじ孔33a、33bが、千鳥配置になるように、交互に形成されている。
【0023】
前記第2ブラケット40は、第1ブラケット30と同一の長さを有し、図5に示すように、幕板20の下地材22の後面にねじ止めされる基板41と、この基板41の上端縁及び下端縁からそれぞれ後方側に張り出す上位張出板42及び下位張出板43とからなる断面逆「コ」字状に形成されており、第1ブラケット30の基板31、垂下板32及び下位張出板33からなる断面「コ」字状の嵌合部に嵌め込むことができるようになっている。
【0024】
前記基板41には、その後面に、幕板20に固定するドリルねじDSを上下方向に位置決めするための上下2本のV字状の位置決め溝41a、41bが形成されており、前記上位張出板42の上面には、第1ブラケット30の基板31に形成された突条31a、31bに係合する2本のV字状の位置決め溝42a、42b及び切欠部42cが形成されていると共に、前記下位張出板43の下面には、基板31の突条31aに対応する位置に、六角穴付き止めねじSSの先端部に係合するV字状の溝43aが形成されている。
【0025】
ワークトップ10に幕板20を取り付けるには、まず、図6に示すように、第1ブラケット30の基板31に形成された木ねじ挿通孔31cに木ねじWSを通して、下地材13にねじ込んで締め付けることにより、第1ブラケット30をワークトップ10の下地材13に固定すると共に、幕板20の下地材22の後面に第2ブラケット40の基板41の前面を当てた状態で、基板41の後面側に形成された位置決め溝41a、41bに先端のドリル部を係合させ、基板41に下穴を形成しながらドリルねじDSを下地材22にねじ込んで締め付けることにより、第2ブラケット40を幕板20の下地材22に固定する。このとき、ドリルねじDSは、千鳥配置になるように、位置決め溝41a、41bに交互にねじ込んでいく。
【0026】
次に、図7に示すように、幕板20に取り付けた第2ブラケット40をワークトップ10に取り付けた第1ブラケット30の断面「コ」字状の嵌合部に嵌め込み、第2ブラケット40の上位張出板42及び下位張出板43の先端面を第1ブラケット30の垂下板32の前面に押し当てると、幕板20の主化粧板21aの後面が第1ブラケット30の起立板34の前面に当接すると共に、第2ブラケット40の上位張出板42に形成された位置決め溝42a、42b及び下位張出板43に形成された溝43aと、第1ブラケット30の基板31に形成された突条31a、31b及び下位張出板33に形成されたねじ孔33aとがそれぞれ対応した状態となるので、この状態で、ねじ孔33aに六角穴付き止めねじSSをねじ込んで第2ブラケット40を押し上げて、位置決め溝42a、42bを突条31a、31bに係合させると、図1に示すように、ワークトップ10の所定位置に幕板20が取り付けられる。
【0027】
従って、幕板20を交換する場合は、六角穴付き止めねじSSを緩めて、第2ブラケット40の位置決め溝42a、42bと第1ブラケット30の突条31a、31bとの係合を解除して、第2ブラケット40を第1ブラケット30から外し、第2ブラケット40に新たな幕板20を付け替えて、上述したように、第2ブラケット40を第1ブラケット30の嵌合部に嵌め込んでねじ止めすればよい。
【0028】
また、第2ブラケット40を第1ブラケット30にねじ止めする際、図8に示すように、第2ブラケット40の上位張出板42に形成された位置決め溝42a及び切欠部42cを、第1ブラケット30の基板31に形成された突条31b、31aに係合させることによって、幕板20を前方側に取り付けることも可能である。なお、この状態では、第2ブラケット40の下位張出板43に形成された溝43aと第1ブラケット30の下位張出板33に形成されたねじ孔33bとが対応した状態となるので、ねじ孔33bに六角穴付き止めねじSSをねじ込むことになる。
【0029】
以上のように、この幕板の取付構造では、ワークトップ10の下地材13から第1ブラケット30を取り外さなくても、第1ブラケット30と第2ブラケット40とを固定している六角穴付き止めねじSSを緩めることによって、第2のブラケット40を取り付けた状態で幕板20をワークトップ10から取り外すことができるので、幕板をワークトップの下地材に直接ねじ止めしている従来の取付構造のように、幕板を取り替える際に、ワークトップの下地材に形成されたねじ孔が潰れて、取り替えた幕板の固定力を十分に確保できなくなるといった問題が発生することがない。
【0030】
また、ワークトップ10の下地材13に取り付けられている第1ブラケット30と、幕板20に取り付けられている第2ブラケット40とは、前後方向に嵌合しているので、両者を固定している六角穴付き止めねじSSを緩めても、幕板20が落下することがない。従って、幕板20を取り替える際の作業性がよく、短時間で効率よく幕板20を取り替えることができる。
【0031】
また、第2ブラケット40は幕板20(下地材22)の後面にねじ止めするようにしているので、幕板をねじ止めするために、幕板の下端面に座繰り孔を形成している従来の接続構造とは異なり、座繰り孔を形成することができないような厚みの小さい幕板20についても対応することができる。
【0032】
また、この幕板の取付構造では、上述したように、第1ブラケット30と第2ブラケット40とを、前後方向に位置調整可能にねじ止めするようにしているので、必要に応じて、幕板20の前後方向の取付位置を変えることができる(図1及び図8参照)。
【0033】
特に、この幕板の取付構造では、第2ブラケット40の上位張出板42に形成された位置決め溝42a、42bを、第1ブラケット30の基板31に形成された突条31a、31bに係合させることによって、第1ブラケット30に対して第2ブラケット40を前後方向に位置決めするようにしているので、幕板20を前後方向の所定位置に確実に取り付けることができる。
【0034】
また、この幕板の取付構造では、断面「コ」字状の嵌合部を有する、剛性の高い金属製の第1ブラケット30をワークトップ10の下地材13にねじ止めすると共に、断面逆「コ」字状の剛性の高い金属製の第2ブラケット40を幕板20の下地材22にねじ止めしているので、ワークトップ10や幕板20に発生する反りを確実に防止することができる。
【0035】
また、幕板20を構成している主化粧材21aの上端面にシール材を設けておくと、水滴等の付着に伴う主化粧材21aの膨れを防止することができる。
【0036】
なお、上述した実施形態では、基板31の前端縁から立ち上がる起立板34と、この起立板34の上端縁から前方側に張り出す上位張出板35とを備えた第1ブラケット30を採用しているが、これに限定されるものではなく、図9に示すように、起立板や上位張出板を省略した、基板31、垂下板32及び下位張出板33からなる断面「コ」字状の第1ブラケット30Aを採用することも可能である。
【0037】
また、上述した実施形態では、第1ブラケット30の断面「コ」字状の嵌合部に、断面逆「コ」字状の第2ブラケット40を嵌め込むようにしているが、これに限定されるものではなく、前後方向に嵌合して脱落しないのであれば、第1ブラケット及び第2ブラケットについて、種々の形態を採用することができる。
【0038】
また、上述した実施形態では、第1ブラケット30をワークトップ10の下地材13にねじ止めすると共に、第2ブラケット40を幕板20の下地材22にねじ止めしているが、これに限定されるものではなく、接着剤等によって接着固定することも可能であり、これによって、寸法を小さくすることができるので、材料コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】この発明にかかるワークトップへの幕板の取付構造の一実施形態を示す断面図である。
【図2】同上のワークトップを示す部分断面図である。
【図3】同上の幕板を示す断面図である。
【図4】同上のワークトップに取り付けられる第1ブラケットを示す断面図である。
【図5】同上の幕板に取り付けられる第2ブラケットを示す断面図である。
【図6】ワークトップへの幕板の取付方法を説明するための説明図である。
【図7】ワークトップへの幕板の取付方法を説明するための説明図である。
【図8】ワークトップへの幕板の取付構造の他の実施形態を示す断面図である。
【図9】ワークトップへの幕板の取付構造の他の実施形態を示す断面図である。
【図10】(a)はベースキャビネットにワークトップが取り付けられたシステムキッチンを示す平面図、(b)は同上のシステムキッチンを示す正面図である。
【図11】従来のワークトップへの幕板の取付構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0040】
10 ワークトップ
11 ワークトップ本体
12 シンク
13 下地材
20 幕板
21 化粧材
21a 主化粧材
21b 下部化粧材
22 下地材
30 第1ブラケット
31 基板
31a、31b 突条
31c 木ねじ挿通孔
32 垂下板
33 下位張出板
33a、33b ねじ孔
34 起立板
35 上位張出板
40 第2ブラケット
41 基板
41a、41b 位置決め溝
42 上位張出板
42a、42b 位置決め溝
42c 切欠部
43 下位張出板
43a 溝
DS ドリルねじ
SS 六角穴付き止めねじ
WS 木ねじ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムキッチンのワークトップへの幕板の取付構造であって、
ワークトップの下地材の下面に第1のブラケットを取り付け、
前記第1のブラケットに対して前後方向に嵌合する第2のブラケットを幕板の後面側に取り付け、
前記第1のブラケット及び前記第2のブラケットを相互に嵌合させた状態で、前記第1のブラケットと前記第2のブラケットとを下方側からねじ止めするようにしたことを特徴とするワークトップへの幕板の取付構造。
【請求項2】
前記第1のブラケットと前記第2のブラケットとを、前後方向に位置調整可能にねじ止めするようにした請求項1に記載のワークトップへの幕板の取付構造。
【請求項3】
前記第1のブラケットに対して前記第2のブラケットを前後方向に位置決めする位置決め手段を備えている請求項2に記載のワークトップへの幕板の取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−161241(P2008−161241A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−350940(P2006−350940)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(000000413)永大産業株式会社 (243)
【Fターム(参考)】