説明

ワークトップ

【課題】反りの発生を防止することができ、しかも、ベースキャビネットへの取付作業性に優れたワークトップを提供する。
【解決手段】ワークトップ本体10と、このワークトップ本体10の前側の下面に接着固定された長尺の下地材13と、この下地材13に固定されたブラケット14とを備えている。 ワークトップ本体10は、その前端側が下地材13よりも前方側に張り出した水返し12を備えており、この水返し12は、一段高くなった状態で前方側に張り出し、先端縁が後方側を向くように反転した反転部12aを有している。ブラケット14は、起立板16の後面が下地材13の前面に接触するような状態で、基板15が下地材13の下面に木ねじWSによってねじ止めされており、その状態では、張出板17の前端部が、水返し12における反転部12aの上面に接近した状態で、その反転部12aに平面的に重なり合っている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、システムキッチンや洗面化粧台等で使用されるワークトップに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、図6に示すように、システムキッチンや洗面化粧台等では、扉61等を有するベースキャビネット60にワークトップ50を取り付けることになるが、こういったワークトップ50は、ワークトップ本体51の前側の下面にパーティクルボード等の木質材によって形成された長尺の下地材53が接着固定されており、この下地材53よりも前方側に張り出したワークトップ本体51の前端側は、一段高くなった状態で前方側に張り出し、先端縁が後方側を向くように反転した反転部52aを有する水返し52が形成されている。
【0003】
ところで、上述したようなワークトップ50では、下地材53が接着固定されている部分には反りが発生しにくいが、同図に一点鎖線で示すように、下地材53が接着固定されていない状態で、前方側に張り出している水返し52部分が反ってしまうという問題があるので、図7に示すように、ワークトップ本体51における水返し52の反転部52aと、ベースキャビネット60の幕板や戸当り板62等とを、固定金具70等を介して相互に連結固定することによって、ワークトップ本体51における水返し52部分の反りを防止するようにしている。
【0004】
【特許文献1】実開昭59−86149号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ワークトップ本体51における水返し52の反転部52aと、ベースキャビネット60の幕板や戸当り板62等とを、固定金具70等を介して相互に連結固定するには、ベースキャビネット60にワークトップ50を載置した状態で行わなければならないと共に、ワークトップ本体51における水返し52の反転部52a及びベースキャビネット60の幕板や戸当り板62等の双方に固定金具70等をねじ止めしなければならないので、作業性が悪く、ベースキャビネットへのワークトップの取り付け作業を効率よく行うことができないといった問題がある。
【0006】
そこで、この発明の課題は、反りの発生を防止することができ、しかも、ベースキャビネットへの取付作業性に優れたワークトップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、請求項1にかかる発明は、ベースキャビネットに取り付けられるワークトップであって、前記ベースキャビネットに載置されるワークトップ本体と、前記ワークトップ本体の前側の下面に固着された下地材とを備え、前記下地材よりも前方側に張り出した前記ワークトップ本体の前端側は、先端縁が後方側を向くように反転した反転部を有しており、前記下地材には、前方側に張り出すように、ブラケットが固定されており、前記ブラケットの前端部が、前記ワークトップ本体における前記反転部の上面に接近または接触した状態で、前記反転部に平面的に重なり合っていることを特徴とするワークトップを提供するものである。
【0008】
また、請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる発明のワークトップにおいて、前記ブラケットが、前後方向に屈曲している点に特徴がある。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、請求項1にかかる発明のワークトップでは、下地材に固定されたブラケットの前端部が、下地材よりも前方側に張り出したワークトップ本体の前端側の反転部の上面に接近または接触した状態で、反転部に平面的に重なり合っているので、このブラケットの前端部によって、ワークトップ本体の前端部に発生する反りが規制されることになる。
【0010】
また、ブラケットは、ベースキャビネット側に固定する必要がないので、ワークトップをベースキャビネットに載置する前に取り付けることができ、しかも、ワークトップ本体にはブラケットを固定する必要がないので、ブラケットの取付作業性がよく、ベースキャビネットへのワークトップの取付作業を効率よく行うことができる。
【0011】
特に、請求項2にかかる発明のワークトップでは、ブラケットが、前後方向に屈曲しているので、ブラケット自体が変形しにくく、ワークトップ本体の反りを確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、ワークトップ1をベースキャビネット2に載置して取り付けたシステムキッチンを示している。
【0013】
前記ワークトップ1は、図2に示すように、開口部にシンク11が溶接されたワークトップ本体10と、このワークトップ本体10の前側の下面に接着固定された、パーティクルボードによって形成された長尺の下地材13と、この下地材13に固定されたブラケット14とを備えており、ワークトップ本体10はステンレス板によって形成されている。
【0014】
前記ワークトップ本体10は、同図に示すように、その前端側が下地材13よりも前方側に張り出した水返し12を備えており、この水返し12は、一段高くなった状態で前方側に張り出し、先端縁が後方側を向くように反転した反転部12aを有している。
【0015】
前記ブラケット14は、同図に示すように、ワークトップ1の下地材13にねじ止めされる基板15と、この基板15の前端縁から立ち上がる起立板16と、この起立板16の上端縁から前方側に張り出す張出板17と、起立板16の前面下部に固着された、ベースキャビネット2の扉21の内面が当接するパッキン18とから構成されており、基板15には、複数の木ねじ挿通孔15aが形成されている。
【0016】
このブラケット14は、図1に示すように、起立板16の後面が下地材13の前面に接触するような状態で、基板15が下地材13の下面に木ねじWSによってねじ止めされており、その状態では、張出板17の前端部が、水返し12における反転部12aの上面に接近した状態で、その反転部12aに平面的に重なり合っている。なお、張出板17の前端部と反転部12aとの間の隙間は、1〜2mm程度に設定されており、反転部12aと張出板17との重なり幅は、5mm以上確保されている。
【0017】
以上のように、このワークトップ1では、下地材13に固定されたブラケット14における張出板17の前端部が、下地材13よりも前方側に張り出したワークトップ本体10における水返し12の反転部12aの上面に接近した状態で、その反転部12aに平面的に重なり合っているので、このブラケット14における張出板17の前端部によって、ワークトップ本体10の水返し12部分に発生する反りが規制されることになる。
【0018】
また、ブラケット14は、ベースキャビネット2側に固定する必要がないので、ワークトップ1をベースキャビネット2に載置する前に取り付けることができ、しかも、ワークトップ本体10にはブラケット14を固定する必要がないので、ブラケット14の取付作業性がよく、ベースキャビネット2へのワークトップ1の取付作業を効率よく行うことができる。
【0019】
特に、ブラケット14は、上述したように、基板15、起立板16及び張出板17からなる前後方向に屈曲した構造を有しているので、ブラケット14自体が変形しにくく、ワークトップ本体10の反りを確実に防止することができる。
【0020】
なお、上述した実施形態では、基板15、起立板16及び張出板17からなるブラケット14を、その基板15部分で下地材13にねじ止めしているが、これに限定されるものではなく、図3に示すワークトップ1Aのように、起立板16A及び張出板17Aからなるブラケット14Aを、その起立板16A部分を下地材13の前面に接着固定するようにしてもよい。
【0021】
また、上述した各実施形態では、前後方向に屈曲したブラケット14、14Aを使用しているが、これに限定されるものではなく、例えば、図4に示すワークトップ1Bのように、水切り12Aの反転部12aが下地材13の下面よりも僅かに下方側に位置しているような場合は、反転部12a側に張り出させるように、平板状のブラケット14Bを木ねじWSによって下地材13の下面にねじ止めしてもよい。この実施形態の場合、ベースキャビネット2Aには、戸当り板22が取り付けられており、この戸当り板22の前面に扉21Aが当接するパッキン18が固着されている。
【0022】
また、上述した各実施形態では、扉21、21Aの前面に取手(図示せず)が取り付けられているベースキャビネット2、2Aについて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、図5に示すように、扉21Bの上端面に、扉21Bを開閉するための指掛け凹部21Baが形成されているベースキャビネット2Bを採用することも可能である。
【0023】
また、上述した各実施形態では、ブラケット14、14A、14Bと、水返し12、12Aにおける反転部12aの上面との間に僅かな隙間が形成されている場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ブラケット14、14A、14Bと、水返し12、12Aにおける反転部12aの上面とが接触していてもよい。
【0024】
また、上述した実施形態では、システムキッチンに使用されるワークトップについて説明したが、本発明のワークトップは、システムキッチンに使用されるものに限定されず、洗面化粧台等に使用されるワークトップについても適用することができることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明にかかるワークトップの一実施形態を使用したシステムキッチンを示す断面図である。
【図2】同上のワークトップを示す分解断面図である。
【図3】他の実施形態であるワークトップを使用したシステムキッチンを示す断面図である。
【図4】他の実施形態であるワークトップを使用したシステムキッチンを示す断面図である。
【図5】ベースキャビネットの変形例を示す断面図である。
【図6】従来のワークトップ及びその問題点を説明するための説明図である。
【図7】同上の問題点を解決するための従来手法を説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0026】
1、1A、1B ワークトップ
2、2A、2B ベースキャビネット
10、10A ワークトップ本体
11 シンク
12、12A 水返し
12a 反転部
13 下地材
14、14A、14B ブラケット
15 基板
15a 木ねじ挿通孔
16、16A 起立板
17、17A 張出板
18 パッキン
21、21A、21B 扉
21Ba 指掛け凹部
22 戸当り板
WS 木ねじ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースキャビネットに取り付けられるワークトップであって、
前記ベースキャビネットに載置されるワークトップ本体と、
前記ワークトップ本体の前側の下面に固着された下地材とを備え、
前記下地材よりも前方側に張り出した前記ワークトップ本体の前端側は、先端縁が後方側を向くように反転した反転部を有しており、
前記下地材には、前方側に張り出すように、ブラケットが固定されており、
前記ブラケットの前端部が、前記ワークトップ本体における前記反転部の上面に接近または接触した状態で、前記反転部に平面的に重なり合っていることを特徴とするワークトップ。
【請求項2】
前記ブラケットは、前後方向に屈曲している請求項1に記載のワークトップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−168015(P2008−168015A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−5310(P2007−5310)
【出願日】平成19年1月15日(2007.1.15)
【出願人】(000000413)永大産業株式会社 (243)