説明

ワーク搬送装置

【課題】冷却媒体として水等の液体によりワーク搬送機構を冷却するためのパイプを内部に配設する場合、搬送機構の旋回角度が制限される。
【解決手段】ワーク搬送装置1の真空シールユニット100は、シールリング130と、旋回軸110の内部及びワーク搬送機構20を循環する冷却流路140と、を具備し、シールリング130のうち離間して隣り合うシールリングと、旋回軸110とによって、相互に独立した空間である第一空間151及び第二空間152を旋回軸110の周囲を囲うように区画形成し、第一空間151に冷却流路140の一端部を連通させ、第二空間152に冷却流路140の他端部を連通させ、旋回軸110が軸心回りに回転している間であっても、第二空間152に供給された冷却媒体が、冷却流路140を流れて第一空間151に供給される。これにより、旋回角度が制限されることなく効率の良い冷却が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空室の内部でワークを搬送するワーク搬送機構と、前記真空室の外部で前記ワーク搬送機構を旋回させるベース部材と、前記ワーク搬送機構と前記ベース部材との間をシールする真空シールユニットと、を具備するワーク搬送装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、真空室の内部でワークを搬送するワーク搬送機構と、前記真空室の外部で前記ワーク搬送機構を旋回させるベース部材と、前記ワーク搬送機構と前記ベース部材との間をシールする真空シールユニットと、を具備するワーク搬送装置において、高温状態のワークからの輻射熱による影響を防止するため、ワーク搬送機構を冷却する技術が公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載の技術において、ワーク搬送機構とベース部材との間をシールする真空シールユニット(旋回ベース)には、エアーポンプと、当該エアーポンプからワーク搬送機構までの間を往復するようにシールリング等を用いて形成された冷却循環路(冷却流路)と、が設けられる。このような構成によれば、エアーポンプから送られた空気を冷却循環路に流して、ワーク搬送機構を冷却することができる。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、冷却媒体として空気を用いるものである。ここで、空気は水と比べると比熱容量が低いため、例えば冷却媒体として水等の液体を用いた場合と比べると、ワーク搬送機構の冷却効果が不十分であるという問題点があった。
【0005】
そこで、冷却媒体として水等の液体を用いるために、例えば、図10(a)に示すような構成が想定される。すなわち、ワーク搬送機構20とベース部材10との間をシールする真空シールユニット500において、ワーク搬送機構20を旋回させるための旋回軸520の内部に、液体が流れることができる冷却パイプ510(冷却流路)が、ポンプ(不図示)からワーク搬送機構20までの間を往復するように配置される。このような構成によれば、前記ポンプから送られた液体を冷却パイプ510に流して、ワーク搬送機構20を冷却することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−118171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図10(a)に示すような構成では、ワーク搬送機構20を旋回させた場合、すなわち旋回軸520を回転させた場合に、図10(b)に示すように、冷却パイプ510がねじれてしまう。すなわち、冷却パイプ510のねじれによって、旋回軸520の回転が規制され、ひいてはワーク搬送機構20の旋回角度が制限されるという問題点があった。
【0008】
本発明は、上記の如き問題点に鑑みてなされるものであり、冷却媒体として例えば水等の液体を用いてワーク搬送機構を冷却することができ、且つワーク搬送機構の旋回角度が制限されることを防止することができるワーク搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0010】
即ち、請求項1においては、真空室の内部でワークを搬送するワーク搬送機構と、前記真空室の外部から前記ワーク搬送機構を旋回させるベース部材と、前記ワーク搬送機構と前記ベース部材との間をシールする真空シールユニットと、を具備するワーク搬送装置であって、前記真空シールユニットは、前記ワーク搬送機構と前記ベース部材とを連結する旋回軸と、前記旋回軸を軸心回りに回転可能に支持する支持部と、前記旋回軸と前記支持部との間に介在される複数の円環状シール部材と、前記旋回軸の内部及び前記ワーク搬送機構を循環するように形成されて冷却媒体が流れる冷却流路と、を具備し、前記複数の円環状シール部材のうち離間して隣り合う円環状シール部材と、前記旋回軸とによって、相互に独立した空間である第一空間及び第二空間を当該旋回軸の周囲を囲うように区画形成し、前記第一空間を区画形成している旋回軸の外周面に前記冷却流路の一端部を連通させ、前記第二空間を区画形成している旋回軸の外周面に前記冷却流路の他端部を連通させ、前記旋回軸が軸心回りに回転している間であっても、前記第二空間に供給された冷却媒体が、前記冷却流路を流れて前記第一空間に供給可能であるものである。
【0011】
請求項2においては、前記複数の円環状シール部材のうち離間して隣り合う円環状シール部材と、前記旋回軸とによって、前記第一空間及び前記第二空間から相互に独立した空間である第三空間を、当該旋回軸の周囲を囲うように区画形成し、前記第三空間の内部と外部とを連通する第二冷却流路を具備し、前記第三空間は、前記第一空間及び前記第二空間を区画形成している円環状シール部材から漏れた冷却媒体を導入可能として、前記旋回軸が軸心回りに回転している間であっても、当該導入された冷却媒体が前記第二冷却流路を流れて外部に排出可能であるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0013】
請求項1においては、ワーク搬送機構を旋回させた場合、すなわち旋回軸を軸心回りに回転させた場合であっても、冷却流路がねじれることがなく、ワーク搬送機構の旋回角度が制限されることを防止することができる。また、冷却流路を流れる冷却媒体として例えば水等の液体を用いることができる。
【0014】
請求項2においては、第二空間に供給されている冷却媒体が漏れた場合であっても、当該漏れた冷却媒体を第三空間に導入して第二冷却流路を流れて外部に排出することができるので、当該漏れた冷却媒体によるワーク搬送装置に対する影響(例えば真空リークの発生等)を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るワーク搬送装置の全体的な構成を示した斜視図。
【図2】同じく、第一ハンド及び第二ハンドの記載を省略した斜視図。
【図3】同じく、真空シールユニットの構成を示した側面断面図。
【図4】同じく、図3の矢印Xで示した箇所の拡大図。
【図5】同じく、図3のA−A矢視断面図。
【図6】(a)同じく、第三シールリングが破損した状態を示した側面断面図。(b)同じく、図6(a)の状態においてリリーフパイプから冷却媒体が排出される様子を示した側面断面図。
【図7】同じく、第二実施形態に係る真空シールユニットの構成を示した側面断面図。
【図8】同じく、第三実施形態に係る真空シールユニットの構成を示した側面断面図。
【図9】同じく、第四実施形態に係る真空シールユニットの構成を示した側面断面図。
【図10】(a)従来の冷却パイプを用いた真空シールユニットの構成を示した側面断面図。(b)従来の冷却パイプを用いた真空シールユニットにおいて旋回軸を回転させた様子を示した側面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、発明の実施の形態を説明する。
【0017】
まず、本発明の一実施形態に係るワーク搬送装置1の全体的な構成について図面を用いて説明する。
なお、以下の説明では、各図面に示した矢印方向に基づいて前後方向、左右方向、及び上下方向を規定する。
【0018】
図1及び図2に示すワーク搬送装置1は、真空状態に保たれたチャンバー等の真空室の内部でワークを搬送するワーク搬送機構20を備える装置である。なお、本実施形態においては、ワークとして例えば液晶パネルのような薄板状の部材を想定して説明を行うが、これに限定するものではない。
ワーク搬送装置1は、主として、ワーク搬送機構20と、ベース部材10と、真空シールユニット100と、により構成される。
【0019】
図1及び図2に示すワーク搬送機構20は、真空室の内部でワークを水平方向へ向けて搬送するものである。ワーク搬送機構20は、主として、本体部30と、スライダ40と、ハンド50と、により構成される。
【0020】
本体部30は、ワーク搬送機構20の主たる構造体となる部材である。本体部30は、長手方向を前後方向へ向け、且つその板面を上下方向へ向けた略矩形板状に形成される。本体部30の上側面には、長手方向を前後方向へ向けた1対のガイドレール31が2つ形成される。なお、以下では、平面視で外側の1対のガイドレール31を「外側ガイドレール32」と、外側ガイドレール32よりも内側の1対のガイドレール31を「内側ガイドレール33」と、それぞれ称する。本体部30の内側には、図示せぬ本体部駆動ユニットが配設される。
【0021】
スライダ40は、ハンド50を支持する部材である。スライダ40は、本体部30の外側ガイドレール32及び内側ガイドレール33にそれぞれ前後方向へ向けて往復移動(スライド移動)自在に係合される。なお、以下では、内側ガイドレール33に係合されたスライダ40を「内側スライダ41」と、外側ガイドレール32に係合されたスライダ40を「外側スライダ42・42」と、それぞれ称する。
【0022】
内側スライダ41は、その板面を上下方向へ向けた略平板状の部材である。内側スライダ41は、本体部30の直上方に配置される。一方、外側スライダ42・42は、その板面を上下方向へ向けた略平板状の部材である。外側スライダ42・42は、本体部30の左右側方にそれぞれ配置される。
内側スライダ41及び外側スライダ42・42は、図示せぬベルト等の駆動伝達機構を介して前記本体部駆動ユニットに接続される。内側スライダ41及び外側スライダ42・42は、前記駆動伝達機構を介して伝達された前記本体部駆動ユニットの駆動力によって、前後方向に往復移動可能に構成される。
【0023】
ハンド50は、ワークを保持、又は載置する部材である。ハンド50は、主として、長手方向を左右方向へ向けた略矩形板状に形成されたハンド固定部53と、ハンド固定部53から前方へ向けて延出された保持爪部54と、により構成される。ハンド50は、2つ設けられて、内側スライダ41と、外側スライダ42・42と、にそれぞれ固定される。なお、以下では、内側スライダ41に固定されるハンド50を「第一ハンド51」と、外側スライダ42・42に固定されるハンド50を「第二ハンド52」と、それぞれ称する。
【0024】
第一ハンド51及び第二ハンド52は、それぞれ内側スライダ41及び外側スライダ42・42を介して前後方向に往復移動(スライド移動)可能に構成される。なお、第一ハンド51と第二ハンド52とは、相互に上下高さ位置が異なるように配置され、それぞれが独立して移動した場合であっても相互に干渉しないように構成される。
【0025】
なお、ワーク搬送機構20は、本発明に係る「ワーク搬送機構」の一実施形態であって、この構成に限定するものではない。すなわち、「ワーク搬送機構」は、第一ハンド51及び第二ハンド52がスライド移動する機構(スライド機構)を有する構成ではなく、リンクアーム機構を有する構成であってもよい。
【0026】
図1及び図2に示すベース部材10は、真空室の外部からワーク搬送機構20を旋回させるものである。ベース部材10は、その筒心方向を上下方向へ向けた略円筒状に形成される。ベース部材10の上側面は、上下方向へ向けて貫通されて上側面開口部11が形成される(図3参照)。ベース部材10の内部には、図示せぬ駆動ユニットや、冷却媒体としての水を貯溜するタンク71や、タンク71に貯溜された水を供給するためのポンプ72等が配設される(図3参照)。なお、本実施形態において、冷却媒体として水が用いられている。但し、冷却媒体は、水に限定するものではなく、液体であればアルコール等を用いることもできる。
【0027】
なお、ベース部材10は、本発明に係る「ベース部材」の一実施形態であって、この構成に限定するものではない。
【0028】
図1及び図2に示す真空シールユニット100は、ワーク搬送機構20とベース部材10との間をシールするものである。真空シールユニット100は、ワーク搬送機構20とベース部材10との間に配置される。
なお、真空シールユニット100の構成についての詳細な説明は後述する。
【0029】
このように、ワーク搬送機構20の第一ハンド51及び第二ハンド52は、それぞれ内側スライダ41及び外側スライダ42・42を介して前後方向に往復移動可能に構成される。また、ワーク搬送機構20は、真空シールユニット100を介して、ベース部材10に対して旋回可能に構成される。つまり、ワーク搬送装置1は、第一ハンド51及び第二ハンド52によって保持したワークを、前後方向及び左右方向(水平方向)における任意の場所へ搬送可能に構成される。
【0030】
なお、ワーク搬送装置1(より詳細には、ワーク搬送機構20や真空シールユニット100)は、高温状態のワークからの輻射熱による影響を防止するために冷却することが求められる。ここで、ワーク搬送機構20において、冷却することが求められる部位として、第一ハンド51及び第二ハンド52によって保持した高温状態のワークの近傍に配置されることとなる部位が想定される。より詳細には、図2に示すように、ワーク搬送機構20の前側面(被冷却面P1)や、前部の上側面(被冷却面P2)や、外側スライダ42・42の上側面(被冷却面P3)等が想定される。また、真空シールユニット100において、冷却することが求められる部位として、後述する旋回軸110等が想定される。
【0031】
次に、真空シールユニット100の構成について詳細に説明する。
【0032】
図1から図5に示す真空シールユニット100は、主として、支持部120と、旋回軸110と、シールリング130と、冷却流路140と、供給流路162と、リターン流路161と、リリーフ流路163と、により構成される。
【0033】
図3から図5に示す支持部120は、旋回軸110を軸心回りに回転可能に支持するものである。支持部120は、その筒心方向を上下方向へ向けた略円筒状に形成される。支持部120には、側面視で略中央に上下方向へ向けて貫通した中央貫通孔122が形成される。支持部120の上端部には、外側へ向けて延出された略円盤形状のフランジ121が形成される。支持部120の外径は、ベース部材10の上側面開口部11の内径より若干小さく形成される。支持部120は、ベース部材10の上端部に固定される。より詳細には、支持部120は、ベース部材10の上側面開口部11に上方から挿入され、当該支持部120のフランジ121をベース部材10の上側面に当接させた状態で固定される。
【0034】
なお、本実施形態において、支持部120が固定されたベース部材10の上側面(以下では「基準面B」と称する。)より上方は、真空状態に保たれたチャンバー等の真空室の内部であって、基準面Bより下方は大気圧に保たれているものとする。
【0035】
図3から図5に示す旋回軸110は、ワーク搬送機構20とベース部材10とを連結するものである。旋回軸110は、その軸心方向を上下方向へ向けた略円柱状に形成される。旋回軸110の上端部には、外側へ向けて延出された延出部111が形成される。延出部111には、ワーク搬送機構20が載置され、所定の固定部材(不図示)を用いて固定される。すなわち、旋回軸110は、その上端部がワーク搬送機構20に固定される。旋回軸110の下端部は、支持部120から下方へ向けて延出され、ベース部材10の内部で前記駆動ユニットに連結される。これによって、ワーク搬送機構20とベース部材10とが、旋回軸110を介して連結される。そして、前記駆動ユニットからの駆動力によって旋回軸110が軸心回りに回転すると、当該旋回軸110の上端部に固定されたワーク搬送機構20が当該旋回軸110の軸心を中心として旋回(回転)するように構成される。なお、旋回軸110と支持部120との間には、気密性を保持するための真空シール101やシールリング130が配置される。
【0036】
図3及び図4に示すシールリング130は、円環状に形成されたシール部材である。シールリング130は、旋回軸110に貫装され、平面視で旋回軸110と支持部120との間に介在される。より詳細には、シールリング130の外周側端部は、支持部120の中央貫通孔122の内周面に当接される。また、シールリング130の内周側端部は、旋回軸110の外周面に当接される。すなわち、旋回軸110と支持部120とが、シールリング130を介して、液密的かつ摺動可能に当接する。シールリング130は、複数個(本実施形態においては、4個)が配置される。4つのシールリング130は、上下方向に所定の間隔をあけて配置される。なお、以下では、説明の便宜上、4つのシールリング130を上から順番に「第一シールリング131」と、「第二シールリング132」と、「第三シールリング133」と、「第四シールリング134」と、それぞれ称する。
【0037】
以下では、第一シールリング131と第二シールリング132との構成について、図3から図5を用いて詳細に説明する。
【0038】
第一シールリング131と第二シールリング132とは、上下方向に所定の長さだけ離間して隣り合うように配置される。そして、第一シールリング131と第二シールリング132との間には、当該第一シールリング131の下側面と、当該第二シールリング132の上側面と、(第一シールリング131と第二シールリング132との間の)支持部120の中央貫通孔122の内周面と、(第一シールリング131と第二シールリング132との間の)旋回軸110の外周面と、の4つの部材(面)によって、空間(以下では、「第一空間151」と称する。)が区画形成される。
【0039】
第一空間151は、円環状であって、旋回軸110の周囲を囲うように(旋回軸110の外周面から外方へ向けて拡がった形状となるように)形成される。第一空間151は、ワーク搬送機構20を冷却する冷却媒体が一旦貯溜される空間として形成される。そして、第一空間151には、リターン流路161と、冷却流路140と、が接続される。
【0040】
リターン流路161は、第一空間151から冷却媒体が排出されるときに(タンク71に戻されるときに)流れる流路である。リターン流路161は、第一貫通孔161aと、リターンパイプ161bと、により構成される。
【0041】
第一貫通孔161aは、支持部120の側壁部を内外方向に貫通して形成される。より詳細には、第一貫通孔161aは、第一空間151を区画形成している支持部120の内周面と外周面との間を、平面視で半径方向に貫通して形成される。
【0042】
リターンパイプ161bは、中空のパイプ部材によって形成される。リターンパイプ161bの一端部は、支持部120の外周面で第一貫通孔161aと接続される。リターンパイプ161bの他端部は、下方へ向けて延出され、タンク71の内部に配置される。
【0043】
以下では、第二シールリング132と第三シールリング133との構成について、図3から図5を用いて詳細に説明する。
【0044】
第二シールリング132と第三シールリング133とは、上下方向に所定の長さだけ離間して隣り合うように配置される。そして、第二シールリング132と第三シールリング133との間には、当該第二シールリング132の下側面と、当該第三シールリング133の上側面と、(第二シールリング132と第三シールリング133との間の)支持部120の中央貫通孔122の内周面と、(第二シールリング132と第三シールリング133との間の)旋回軸110の外周面と、の4つの部材(面)によって、空間(以下では、「第二空間152」と称する。)が区画形成される。
【0045】
第二空間152は、第一空間151と連通しておらず、当該第一空間151から独立した空間である。第二空間152は、円環状であって、旋回軸110の周囲を囲うように(旋回軸110の外周面から外方へ向けて拡がった形状となるように)形成される。第二空間152は、ワーク搬送機構20を冷却した後の冷却媒体が一旦貯溜される空間として形成される。そして、第二空間152には、供給流路162と、冷却流路140と、が接続される。
【0046】
供給流路162は、タンク71に貯溜された冷却媒体が、ポンプ72によって第二空間152に供給されるときに流れる流路である。供給流路162は、第二貫通孔162aと、供給パイプ162bと、により構成される。
【0047】
第二貫通孔162aは、支持部120の側壁部を内外方向に貫通して形成される。より詳細には、第二貫通孔162aは、第二空間152を区画形成している支持部120の内周面と外周面との間を、平面視で半径方向に貫通して形成される。
【0048】
供給パイプ162bは、中空のパイプ部材によって形成される。供給パイプ162bの一端部は、支持部120の外周面で第二貫通孔162aと接続される。供給パイプ162bの他端部は、下方へ向けて延出され、ポンプ72に接続される。
【0049】
以下では、第三シールリング133と第四シールリング134との構成について、図3から図5を用いて詳細に説明する。
【0050】
第三シールリング133と第四シールリング134とは、上下方向に所定の長さだけ離間して隣り合うように配置される。そして、第三シールリング133と第四シールリング134との間には、当該第三シールリング133の下側面と、当該第四シールリング134の上側面と、(第三シールリング133と第四シールリング134との間の)支持部120の中央貫通孔122の内周面と、(第三シールリング133と第四シールリング134との間の)旋回軸110の外周面と、の4つの部材(面)によって、空間(以下では、「第三空間153」と称する。)が区画形成される。
【0051】
第三空間153は、第一空間151及び第二空間152と連通しておらず、当該第一空間151及び第二空間152から独立した空間である。第三空間153は、円環状であって、旋回軸110の周囲を囲うように(旋回軸110の外周面から外方へ向けて拡がった形状となるように)形成される。第三空間153は、第二空間152を区画形成している第三シールリング133から漏れた冷却媒体が導入(一旦貯溜)可能な空間として形成される。第三空間153には、リリーフ流路163、が接続される。
【0052】
リリーフ流路163は、第三空間153に導入された冷却媒体が、当該第三空間153から排出されるときに(タンク71に戻されるときに)流れる流路である。リリーフ流路163は、第三貫通孔163aと、リリーフパイプ163bと、により構成される。
【0053】
第三貫通孔163aは、支持部120の側壁部を内外方向に貫通して形成される。より詳細には、第三貫通孔163aは、第三空間153を区画形成している支持部120の内周面と外周面との間を、平面視で半径方向に貫通して形成する。
【0054】
リリーフパイプ163bは、中空のパイプ部材によって形成される。リリーフパイプ163bの一端部は、支持部120の外周面で第三貫通孔163aと接続される。リリーフパイプ163bの他端部は、下方へ向けて延出され、タンク71の内部に配置される。
【0055】
次に、冷却流路140の構成について、図3から図5を用いて詳細に説明する。
【0056】
冷却流路140は、第二空間152の冷却媒体が第一空間151に流れるための流路であって、ワーク搬送機構20及び旋回軸110を冷却するものである。冷却流路140は、旋回軸110の内部及びワーク搬送機構20を循環するように形成される。以下では、説明の便宜上、冷却流路140を「供給ライン142」と、「リターンライン143」と、「冷却ライン141」と、に区分して説明する。
【0057】
供給ライン142は、第二空間152の冷却媒体を冷却ライン141(上方)へ向けて流すための流路である。供給ライン142は、旋回軸110の内部を貫通した貫通孔により形成される。供給ライン142の一端部は、第二空間152を区画形成している旋回軸110の外周面に連通される。また、供給ライン142の他端部は、旋回軸110の上側面に連通される。供給ライン142は、側面視略L字状に形成される。
【0058】
リターンライン143は、冷却ライン141から第一空間151(下方)へ向けて(ワーク搬送機構20を冷却した後の)冷却媒体を流すための流路である。リターンライン143は、旋回軸110の内部を貫通した貫通孔により形成される。リターンライン143の一端部は、旋回軸110の上側面に連通される。また、リターンライン143の他端部は、第一空間151を区画形成している旋回軸110の外周面に連通される。リターンライン143は、側面視で略L字状に形成される。
【0059】
冷却ライン141は、ワーク搬送機構20を冷却するための流路である。冷却ライン141は、中空のパイプ部材によって形成される。冷却ライン141は、旋回軸110の上方に配置される。冷却ライン141の一端部は、旋回軸110の上側面で供給ライン142の他端部に接続される。また、冷却ライン141の他端部は、旋回軸110の上側面でリターンライン143の一端部に接続される。冷却ライン141は、側面視で下側が開放された略U字状に形成される。なお、冷却ライン141は、ワーク搬送機構20に付設され、特に冷却することが求められる部位(例えば、被冷却面P1・P2・P3)に近接するように配置される。
【0060】
このように、冷却流路140は、供給ライン142とリターンライン143と冷却ライン141とがそれぞれ接続され、全体として下側が開放された略U字状に形成される。そして、冷却流路140は、全体として1本の流路として、その一端部が第一空間151を区画形成している旋回軸110の外周面に連通され、他端部が第二空間152を区画している旋回軸110の外周面に連通されるように形成される。
【0061】
次に、冷却媒体の流れについて、図3から図5を用いて詳細に説明する。
なお、図3から図5に示した矢印は、冷却媒体の流れを示すものである。
【0062】
冷却媒体は、タンク71に貯溜されている。そして、冷却媒体は、ポンプ72によってタンク71から供給流路162を流れて第二空間152に供給される(一旦貯溜される)。そして、第二空間152の冷却媒体は、冷却流路(より詳細には、供給ライン142、冷却ライン141、リターンライン143)を流れて第一空間151に供給される(一旦貯溜される)。そして、第一空間151の冷却媒体は、リターン流路161を流れてタンク71に供給される(戻される)。このように、冷却媒体の流れは、ワーク搬送装置1の内部を循環するように構成される。
【0063】
このような構成によって、ワーク搬送装置1を冷却することができる。より詳細には、冷却媒体が冷却流路140のうち冷却ライン141を流れることによって、ワーク搬送機構20を冷却することができる。さらに、冷却媒体が冷却流路140のうち供給ライン142及びリターンライン143を流れることによって、高温状態のワークやワーク搬送機構20からの熱伝導によって昇温された旋回軸110を冷却することができる。
【0064】
次に、冷却媒体の流れについて、特にワーク搬送機構20が旋回している場合の冷却流路140での冷却媒体の流れについて詳細に説明する。
【0065】
ここで、ワーク搬送機構20が旋回している場合とは、上述の如く、旋回軸110が軸心回りに回転している場合である。旋回軸110が軸心回りに回転すると、旋回軸110に形成された冷却流路140が当該旋回軸110と共に回転する。
【0066】
なお、冷却流路140に流れる冷却媒体を一旦貯溜している第二空間152は、上述の如く、旋回軸110の周囲を囲うように形成される。つまり、旋回軸110が軸心回りに回転すると、第二空間152を区画形成している4つの部材(面)(第二シールリング132の下側面と、第三シールリング133の上側面と、(第二シールリング132と第三シールリング133との間の)支持部120の中央貫通孔122の内周面と、(第二シールリング132と第三シールリング133との間の)旋回軸110の外周面)のうち、旋回軸110の外周面だけが回転する。すなわち、旋回軸110が軸心回りに回転すると、旋回軸110の外周面が旋回軸110の軸心を中心として軸心回りに回転する。そして、この場合、第二空間152を区画形成している旋回軸110の外周面は、回転した場合であっても常に第二空間152を区画形成することとなる。
【0067】
このように、(第二空間152を区画形成している旋回軸110の外周面に連通されている)供給ライン142の一端部は、旋回軸110が回転している場合であっても、常に第二空間152を区画形成している旋回軸110の外周面に連通される。すなわち、旋回軸110が回転している場合であっても、第二空間152の冷却媒体は、常に冷却流路140に流れるように構成される。
【0068】
また、冷却流路140を流れてタンク71に戻す冷却媒体を一旦貯溜している第一空間151は、上述の如く、旋回軸110の周囲を囲うように形成される。つまり、旋回軸110が軸心回りに回転すると、第一空間151を区画形成している4つの部材(面)(第一シールリング131の下側面と、第二シールリング132の上側面と、(第一シールリング131と第二シールリング132との間の)支持部120の中央貫通孔122の内周面と、(第一シールリング131と第二シールリング132との間の)旋回軸110の外周面)のうち、旋回軸110の外周面だけが回転する。すなわち、旋回軸110が軸心回りに回転すると、旋回軸110の外周面が旋回軸110の軸心を中心として軸心回りに回転する。そして、この場合、第一空間151を区画形成している旋回軸110の外周面は、回転した場合であっても常に第一空間151を区画形成することとなる。
【0069】
このように、(第一空間151を区画形成している旋回軸110の外周面に連通されている)リターンライン143の他端部は、旋回軸110が回転している場合であっても、常に第一空間151を区画形成している旋回軸110の外周面に連通される。すなわち、旋回軸110が回転している場合であっても、冷却流路140を流れた冷却媒体は、常に第一空間151に供給されるように構成される。
【0070】
このような構成によって、ワーク搬送装置1は、ワーク搬送機構20が旋回している(旋回軸110が回転している)場合であっても、冷却流路140に冷却媒体を流すことが可能である。すなわち、ワーク搬送装置1は、ワーク搬送機構20が旋回している(旋回軸110が回転している)場合であっても、ワーク搬送装置1の内部に冷却媒体を循環させることができ、当該ワーク搬送機構20を旋回させることができる(ワーク搬送機構20の旋回角度が制限されることを防止することができる)。
【0071】
また、真空シールユニット100においては、大気側に配置されるパイプ部材、すなわちリターンパイプ161bと、供給パイプ162bと、リリーフパイプ163bとを、支持部120の外方に配置するので、これらの部材のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0072】
さらに、真空シールユニット100においては、当該真空シールユニット100の内部(より詳細には、旋回軸110の内部)に冷却流路140を形成している。したがって、真空シールユニット100の内部から効率よく当該真空シールユニット100を冷却することができる。
【0073】
次に、第三シールリング133から冷却媒体が漏れた場合の、当該漏れた冷却媒体の流れについて、図6を用いて詳細に説明する。
なお、図6においては、第三シールリング133から冷却媒体が漏れた場合を想定している。
【0074】
図6(a)に示すように、第三シールリング133が破損や摩耗等した場合には、相互に独立した空間であった第二空間152と第三空間153とが、第三シールリング133の破損又は摩耗箇所を介して連通される。そして、図6(b)に示すように、第二空間152の冷却媒体が、第三シールリング133の破損又は摩耗箇所を介して漏れた場合には、当該漏れた冷却媒体は第三空間153に導入(供給)されることとなる。そして、第三空間153に導入された冷却媒体は、一旦第三空間153に貯溜される。そして、第三空間153に貯溜された冷却媒体は、リリーフ流路163を流れて第三空間153(真空シールユニット100)の外部へ排出される。
【0075】
このような構成によって、第三シールリング133が破損や摩耗等した場合であっても、第二空間152の冷却媒体が大気側(ベース部材10の内部)に漏れて、他の部材に付着することによる錆の発生等を防止することができる。すなわち、漏れた冷却媒体によるワーク搬送装置1に対する影響を防止することができる。
【0076】
なお、上記の説明では、第三シールリング133が破損や摩耗等した場合を例として説明したが、他にも第二空間152の冷却媒体が漏れる場合として、供給流路162に許容以上の圧力が負荷されること等が想定される。そして、このような場合においても、第二空間152の冷却媒体が大気側(ベース部材10の内部)に漏れて、他の部材に付着することによる錆の発生等を防止することができる。
【0077】
また、上記の説明では、第三シールリング133が破損や摩耗等した場合を例として説明したが、例えば第二シールリング132が破損や摩耗等した場合には、相互に独立した空間であった第一空間151と第二空間152とが、連通される。すなわち、第一空間151の冷却媒体が、第二シールリング132が破損や摩耗等した箇所を介して漏れた場合には、当該漏れた冷却媒体は第二空間152に導入(供給)されることとなる。したがって、第二シールリング132が破損や摩耗等した場合であっても、第一空間151の冷却媒体が大気側(ベース部材10の内部)に漏れて、他の部材に付着することはない。
【0078】
また、上記の説明では、第三空間153は、第二空間152の下方に配置する構成としたが、第一空間151の上方に配置する構成や、第二空間152の下方と第一空間151の上方とにそれぞれ配置する構成であってもよい。第三空間153を、第一空間151の上方に配置した場合には、第一空間151から真空室側に漏れた冷却媒体を第三空間153(真空シールユニット100)の外部へ排出することができる。
【0079】
以上のような構成の真空シールユニット100は、本発明に係る「真空シールユニット」の一実施形態であって、この構成に限定するものではない。
つまり、旋回軸110は、本発明に係る「旋回軸」の一実施形態であって、この構成に限定するものではない。また、支持部120は、本発明に係る「支持部」の一実施形態であって、この構成に限定するものではない。また、第一・第二・第三・第四シールリング131・132・133・134は、本発明に係る「複数の円環状シール部材」の一実施形態であって、この構成に限定するものではない。また、冷却流路140は、本発明に係る「冷却流路」の一実施形態であって、この構成に限定するものではない。また、第一・第二・第三空間1・152・153は、本発明に係る「第一・第二・第三空間」の一実施形態であって、この構成に限定するものではない。また、リリーフ流路163は、本発明に係る「第二冷却流路」の一実施形態であって、この構成に限定するものではない。
【0080】
より詳細には、冷却流路140のうち冷却ライン141は、側面視で下側が開放された略U字状でなくてもよい。すなわち、冷却ライン141は、ワーク搬送機構20の冷却することが求められる部位に付設される形状であれば、側面視で略矩形状等の別の形状であってもよい。
【0081】
また、冷却流路140のうち供給ライン142及びリターンライン143は、側面視で略L字状(直線状の2本の貫通孔の組み合せ)でなくてもよい。すなわち、供給ライン142及びリターンライン143は、直線状の2本の貫通孔の組み合せではなく、側面視で蛇行状の貫通孔によって形成されてもよい。なお、蛇行状の貫通孔によって供給ライン142を形成した場合には、側面視で略L字状の貫通孔によって供給ライン142を形成した場合と比べて、旋回軸110の内部と供給ライン142との接触面積を増やすことができる。すなわち、供給ライン142を流れる冷却媒体による旋回軸110に対する冷却効果を、より一層高めることができる。
【0082】
また、供給ライン142及びリターンライン143は、旋回軸110の内部を貫通した貫通孔により形成されなくてもよい。すなわち、供給ライン142及びリターンライン143は、冷却ライン141と同様に中空のパイプ部材により形成されてもよい。また、供給ライン142及びリターンライン143は、冷却ライン141と接続された(一つの部材の)中空のパイプ部材により形成されてもよい。
【0083】
また、第一貫通孔161a、第二貫通孔162a、及び第三貫通孔163aは、支持部120の内部を貫通した貫通孔により形成されなくてもよい。すなわち、第一貫通孔161a、第二貫通孔162a、及び第三貫通孔163aは、それぞれ供給パイプ162b、リターンパイプ161b、及びリリーフパイプ163bと同様に中空のパイプ部材により形成されてもよい。また、第一貫通孔161a、第二貫通孔162a、及び第三貫通孔163aは、それぞれ供給パイプ162b、リターンパイプ161b、及びリリーフパイプ163bと接続された(一つの部材の)中空のパイプ部材により形成されてもよい。
【0084】
次に、本発明に係る「真空シールユニット」の第二実施形態である真空シールユニット200の構成について、図7を用いて説明する。
なお、図7において、真空シールユニット100の構成と同一の箇所については、同一の符号を付することでその説明を省略する。
【0085】
第二実施形態に係る真空シールユニット200においては、冷却流路140と共に、当該冷却流路140と略同一の冷却流路240が設けられている。すなわち、冷却流路240は、冷却流路140と同様に、全体として1本の流路として、その一端部が第一空間151を区画形成している旋回軸110の外周面に連通され、他端部が第二空間152を区画している旋回軸110の外周面に連通されるように形成される。
【0086】
このような構成によって、複数の経路によりワーク搬送装置1を冷却することができる。例えば、ワーク搬送機構20の前側には冷却流路140の冷却ライン141を付設させ、後側には冷却流路240の冷却ライン141を付設されることができる。したがって、1本の冷却ライン141の場合より設計自由度が増すと共に、効率よくワーク搬送機構20を冷却することができる。
【0087】
次に、本発明に係る「真空シールユニット」の第三実施形態である真空シールユニット300の構成について、図8を用いて説明する。
なお、図8において、真空シールユニット100の構成と同一の箇所については、同一の符号を付することでその説明を省略する。
【0088】
第三実施形態に係る真空シールユニット300においては、供給流路162の供給パイプ162bと第二貫通孔162aとが直接に接続されてない。より詳細には、供給パイプ162bと第二貫通孔162aとの間には、巻装パイプ162cが設けられる。巻装パイプ162cは、旋回軸110の外周面に螺旋状に巻き付けられた中空のパイプ部材である。巻装パイプ162cの一端部は、供給パイプ162bの一端部と接続される。また、巻装パイプ162cの他端部は、支持部120の外周面で第二貫通孔162aと接続される。
【0089】
このような構成によって、ポンプ72によってタンク71から供給ライン142を流れた冷却媒体は、次に巻装パイプ162cを流れる。そして、巻装パイプ162cを流れた冷却媒体は、次に第二貫通孔162aを流れる。したがって、真空シールユニット100を内部からだけでなく、外部からも冷却することができる。
【0090】
次に、本発明に係る「真空シールユニット」の第四実施形態である真空シールユニット400の構成について、図9を用いて説明する。
なお、図9において、真空シールユニット100の構成と同一の箇所については、同一の符号を付することでその説明を省略する。
【0091】
第四実施形態に係る真空シールユニット400においては、第一・第二・第三・第四シールリング131・132・133・134は、旋回軸110に貫装され、平面視で旋回軸110と支持部120との間に介在されるのではなく、旋回軸110の下側面に配置される。これによって、第一・第二・第三空間1・152・153も、旋回軸110の外周面の外方に区画形成されるのではなく、旋回軸110の下側面の下方に区画形成される。
【0092】
このような構成によって、旋回軸110の上下方向の長さを小さくすることができる。すなわち、真空シールユニット100を小型化することができる。
【0093】
なお、真空シールユニット200・300・400は、それぞれ独立して実施するのではなく、例えば真空シールユニット200・300の構成を一つの真空シールユニットに対して同時に実施したり、真空シールユニット200・300・400の構成を一つの真空シールユニットに対して同時に実施したりすることができる。
【0094】
以上のように、
本発明に係る一実施形態であるワーク搬送装置1は、
真空室の内部でワークを搬送するワーク搬送機構20と、
前記真空室の外部から前記ワーク搬送機構20を旋回させるベース部材10と、
前記ワーク搬送機構20と前記ベース部材10との間をシールする真空シールユニット100と、
を具備するワーク搬送装置であって、
前記真空シールユニット100は、
前記ワーク搬送機構20と前記ベース部材10とを連結する旋回軸110と、
前記旋回軸110を軸心回りに回転可能に支持する支持部120と、
前記旋回軸110と前記支持部120との間に介在される第一・第二・第三・第四シールリング131・132・133・134(複数の円環状シール部材)と、
前記旋回軸110の内部及び前記ワーク搬送機構20を循環するように形成されて冷却媒体が流れる冷却流路140と、
を具備し、
前記第一・第二・第三・第四シールリング131・132・133・134(複数の円環状シール部材)のうち離間して隣り合うシールリングと、前記旋回軸110とによって、相互に独立した空間である第一空間151及び第二空間152を当該旋回軸110の周囲を囲うように区画形成し、
前記第一空間151を区画形成している旋回軸110の外周面に前記冷却流路140の一端部を連通させ、
前記第二空間152を区画形成している旋回軸110の外周面に前記冷却流路140の他端部を連通させ、
前記旋回軸110が軸心回りに回転している間であっても、前記第二空間152に供給された冷却媒体が、前記冷却流路140を流れて前記第一空間151に供給可能であるものである。
【0095】
このような構成によって、ワーク搬送機構20を旋回させた場合、すなわち旋回軸110を軸心回りに回転させた場合であっても、冷却流路140がねじれることがなく、ワーク搬送機構20の旋回角度が制限されることを防止することができる。また、冷却流路140を流れる冷却媒体として例えば水等の液体を用いることができる。
【0096】
さらに、ワーク搬送装置1は、
前記第一・第二・第三・第四シールリング131・132・133・134(複数の円環状シール部材)のうち離間して隣り合うリールリングと、前記旋回軸110とによって、前記第一空間151及び前記第二空間152から相互に独立した空間である第三空間153を、当該旋回軸110の周囲を囲うように区画形成し、
前記第三空間153の内部と外部とを連通するリリーフ流路163(第二冷却流路)を具備し、
前記第三空間153は、前記第二空間152を区画形成している第三シールリング133から漏れた冷却媒体を導入可能として、前記旋回軸110が軸心回りに回転している間であっても、当該導入された冷却媒体がリリーフ流路163(第二冷却流路)を流れて外部に排出可能であるものである。
【0097】
このような構成によって、第二空間152に供給されている冷却媒体が漏れた場合であっても、当該漏れた冷却媒体を第三空間153に導入してリリーフ流路163を流れて外部に排出することができるので、当該漏れた冷却媒体によるワーク搬送装置1に対する影響(例えば真空リークの発生等)を防止することができる。
【符号の説明】
【0098】
1 ワーク搬送装置
10 ベース部材
20 ワーク搬送機構
100 真空シールユニット
110 旋回軸
120 支持部
130 シールユニット
131 第一シールユニット
132 第二シールユニット
133 第三シールユニット
134 第四シールユニット
140 冷却流路
151 第一空間
152 第二空間
153 第三空間
163 リリーフ流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空室の内部でワークを搬送するワーク搬送機構と、
前記真空室の外部から前記ワーク搬送機構を旋回させるベース部材と、
前記ワーク搬送機構と前記ベース部材との間をシールする真空シールユニットと、
を具備するワーク搬送装置であって、
前記真空シールユニットは、
前記ワーク搬送機構と前記ベース部材とを連結する旋回軸と、
前記旋回軸を軸心回りに回転可能に支持する支持部と、
前記旋回軸と前記支持部との間に介在される複数の円環状シール部材と、
前記旋回軸の内部及び前記ワーク搬送機構を循環するように形成されて冷却媒体が流れる冷却流路と、
を具備し、
前記複数の円環状シール部材のうち離間して隣り合う円環状シール部材と、前記旋回軸とによって、相互に独立した空間である第一空間及び第二空間を当該旋回軸の周囲を囲うように区画形成し、
前記第一空間を区画形成している旋回軸の外周面に前記冷却流路の一端部を連通させ、
前記第二空間を区画形成している旋回軸の外周面に前記冷却流路の他端部を連通させ、
前記旋回軸が軸心回りに回転している間であっても、前記第二空間に供給された冷却媒体が、前記冷却流路を流れて前記第一空間に供給可能である、
ことを特徴とするワーク搬送装置。
【請求項2】
前記複数の円環状シール部材のうち離間して隣り合う円環状シール部材と、前記旋回軸とによって、前記第一空間及び前記第二空間から相互に独立した空間である第三空間を、当該旋回軸の周囲を囲うように区画形成し、
前記第三空間の内部と外部とを連通する第二冷却流路を具備し、
前記第三空間は、前記第一空間及び前記第二空間を区画形成している円環状シール部材から漏れた冷却媒体を導入可能として、前記旋回軸が軸心回りに回転している間であっても、当該導入された冷却媒体が前記第二冷却流路を流れて外部に排出可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載されたワーク搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−52500(P2013−52500A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194269(P2011−194269)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)
【Fターム(参考)】