説明

一体の中底懸架システムを有する履物アセンブリ

一体の中底懸架システムを有する履物アセンブリが開示される。靴が、靴底と、該靴底から延びるブレードと、該ブレードに接続されたエネルギー帰還システム(ERS)と、アッパーと、複数の接続部材を介してアッパーおよびERSへと組み合わせられた受け部とを備え、ERSが受け部とブレードとの間に位置している。ERSが、足を受け部によって靴底に対して実質的に保持しつつ、足から圧力を受けた状態において弾性的に変形するように構成されている。複数のセンサが、靴の構成部品の間の相対運動を検出し、データを靴に配置されたチップに送信するように構成されている。データを、歩き方および動作の分析に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、履物に関し、特に、一体の中底懸架システムを有する履物に関する。
【0002】
<関連出願の相互参照>
本出願は、2008年5月1日に出願された「FOOTWEAR ASSEMBLY WITH INTEGRAL FOOTBED SUSPENSION SYSTEM」という名称の米国仮特許出願第61/049,751号の利益および優先権を主張する正規の特許出願であり、米国仮特許出願第61/049,751号の全体が、参照によって本明細書に援用される。
【背景技術】
【0003】
従来の靴における問題(非数値的)は何か。靴が、実際にユーザの役に立っていない。靴が、荷重のかかった状態でのユーザの動きに適応していない。良好な履き心地のようなものがない。100年にわたり、「型」が同一のままである。
【0004】
問題(数値的)は何か。分析が、典型的には、扱いにくい設備によってのみ、および研究室においてのみ実行されている。結果として、疑わしい(あるいは、主観的な)データの山がもたらされる。さらには、静的なテンプレートが、複写され、失われ、あるいは盗まれる可能性がある。また、それによって実社会での見本として非常に限られたものだけがもたらされる。
【発明の概要】
【0005】
従来の靴における問題(非数値的)は何か。靴が、実際にユーザの役に立っていない。靴が、荷重のかかった状態でのユーザが動きに適応していない。良好な履き心地のようなものがない。100年にわたり、「型」が同一のままである。
【0006】
問題(数値的)は何か。分析が、典型的には、扱いにくい設備によってのみ、および研究室においてのみ実行されている。結果として、疑わしい(あるいは、主観的な)データの山がもたらされる。さらには、静的なテンプレートが、複写され、失われ、あるいは盗まれる可能性がある。また、それによって実社会での見本として非常に限られたものだけがもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本開示に係る靴アセンブリの図である。
【図2】本開示に係る靴アセンブリの図である。
【図3】本開示に係る靴アセンブリの図である。
【図4】本開示に係る靴アセンブリの図である。
【図5】本開示に係る靴アセンブリの図である。
【図6】本開示に係る靴アセンブリの図である。
【図7】本開示に係る靴アセンブリの図である。
【図8】本開示に係る靴アセンブリの図である。
【図9】本開示に係る靴アセンブリの図である。
【図10】本開示に係る靴アセンブリの図である。
【図11】本開示に係る靴アセンブリの図である。
【図12】本開示に係る靴アセンブリの図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
我々の履物の構造の基本的な説明
各部の概要:
この新規な靴は、2つの要素からなる。人体の支持を物理的な区別要因として、2つの活動領域へと分けられる。
1)靴のボディ:アッパーおよび受け部(アッパー/ダウンアンダーの組み合わせ)
2)靴のシャーシ:靴底外周部(perimeter sole)、ブレード、エネルギー帰還システム、およびスリーブ
【0009】
我々の履物(新規な靴と呼ぶ履物)は、靴の公知の製造方法を打ち破り、人々に対して自身の靴とやり取りするための新規な方法を導入した。我々の履物は、地面を歩くときにユーザがどのように挙動するかに応じて変化するように、連続的に変化する形態を中心に展開されている。通常の靴は通常、世界中の低賃金の地域で行われ、多くの人が工程に携わられる靴型を使用することに重点が置かれている。我々の靴は、この方法では製造されない。
【0010】
ボディ
一実施形態においては、靴のボディが、以下の構造を有している。
【0011】
アッパー:
アッパーは、現在のアッパーが有する材料と同じような皮革または布地あるいは他の材料で作られる。
アッパーは、長さおよび幅の両方において、足受け部よりも物理的および寸法的に大きい。後述されるように、この空間(タイミング空間と呼んでいる)にエネルギー帰還システム+ブレードを組み込むために、十分な寸法差が必要である。
【0012】
アッパーは、内側において、ナイロン材料(他の多数のポリマーも選択肢として考えられる)のような堅固な細長い材料片(レール)を有しており、該材料片は、アッパーの前縁を巡って延びている。この細長い材料片は、接着剤、裁縫、または他の手段によって取り付けられている。この材料片は、いくつかの部分から構成されてもよい。
【0013】
材料片は、皮革の内表面と同一面になる構造片の一部分であってよい。
この材料片は、この材料片と受け部との間に位置する細い接続部材(tie)を固定するように構成されている。
【0014】
足受け部(「ダウンアンダー」):
足受け部は、足が置かれる中底である。
足受け部は、基本的な物理的性質としては、ハンモック、スリング、またはキャリッジのようであるが、外周に沿ったさまざまな位置において反応を示すという特異的性質を有している点で、はるかに複雑である。これらは、靴内の「その地点(that point)」において同一領域に位置する接続部材および他の部品とともに機能するため、ドメイン領域と呼ばれる。
【0015】
足受け部は、足の底にぴったりと一致するように設計されることが可能である。
足受け部は、アッパーと同様に、しかしながら今回はこの受け部の外側に、外周を巡って延びる堅固な細長い材料片(レール)を有している。
この材料片は、アッパーの材料片に平行である。
【0016】
受け部は、さまざまな材料(受け部が自身の床部(bed)を有し、受け部の靴底部が床部の他方の面に隣接し、その材料およびそれが支えるもののすべてを指し示す限りにおいて、ナイロン、織物メッシュ、ゴアテックス、ゴム、・・・、実際に考えられ得るあらゆる材料)から製作されることができる。
【0017】
この受け部は、多数の実施形態および材料を有することができる。
受け部の構成において、前部、中央部、および後部はいずれも、さまざまな程度の柔軟性または剛性を有することができ、あるいは中空部分または隆起部分を有することができる。
【0018】
足と受け部との間に異なる材料を配置させることが可能である(後述:#12)。
例えば、隆起部(11)またはくぼみ(9)を与える材料を、足受け部の材料に追加することができる。
【0019】
一実施形態においては、畝または水平な棚状のもの(shelf)が、足受け部(10)を巡って延びる。この畝は、その上に配置される異なる強度の異なる材料を有することができる。このようにして、特定の足の条件に合わせたさまざまな足受け部の材料/実施形態が得られる。
上述の別の実施形態においては、受け部は、スナップ形式の足受け部の場所のための一種の「ロング」ホックシステムによって製作されることができる。
【0020】
受け部の端は、中底を構成しているものよりも薄くてよい。実際、これは、これらの場合にレール「部分」がここでは受け部の端の一部となるため、最も好適である(換言すると、他の一実施形態において、床部および受け部の靴底が1つの物体であり、受け部の端およびレールがもう1つの物体である)。
【0021】
各々の部分は、種々の条件および要件に合わせて設計されることができる。図3に示すように:
1.これは、プレートが使用されない一実施形態である。靴全体の接触が、靴底外周部を介して起こり、そのテレメトリ(telemetry)が足の側方へと「送信」され、足の靴底への衝撃があった、慣れ親しんだ「感触」とはまったく異なる「感触」が足にもたらされる。
【0022】
2.足にぴったり合う受け部の重要視。厚い皮革、伸縮性のある材料、足にぴったりと合うものであれば何でもよい。
3.この実施形態においては、プレートおよび受け部の両方が重要視されている。この受け部は、どのようにして部分的または全体的に受け部へ剛性を適用できるかを示している。
4.この実施形態においては、プレートを組み込むことができる。評価に応じて、プレートを特定の場所のみに組み込むことができる。
【0023】
5.この実施形態は、受け部およびプレートをどのようにして二者の間に空間を持たせつつ1つのユニットとして製作できるかを示している。これは、中間底(midosole)のようなものである。この実施形態においては、何らかの方法で足受け部へと接続される剛性を有するプレートを想定してもよい。
6.この実施形態においては、足受け部は、その中に配置された補強部材(reinforcements)を有するものが示されている。あるいは、これは、受け部上の「中空部」であってよい。後ろ側において、それは内側に組み込まれている。
【0024】
接続部材:
接続部材は、アッパーおよび足受け部を靴の周囲のさまざまな地点において一体に接続する細くて短い部材である(図4を参照)。接続部材としては、繊維質であって、ある程度堅いものが最も好適である。
【0025】
接続部材は、最も一般的には足の周囲に均等に分布しているが、強い動機があれば、個人が特に注意を必要とする結合部に結合されることができる。アスリート用の場合、これらの接続部材は調節可能であってもよい。これによりすべてのドメイン部品も調節可能とすることができる。
【0026】
接続部材は、比較的大きいアッパーを、比較的小さい足受け部に接続している。
換言すると、接続部材は、受け部/キャリッジをアッパーへと接続する。
接続部材は、堅いレールを介してアッパーまたは足受け部へと取り外せないように取り付けられることが可能であり、あるいは、レール上の所定の領域に引っ掛けられたりスライドさせられたりしてもよい。
【0027】
主として、接続部材は、人間の荷重がかかった状態で、補強ブレードおよびエネルギー帰還システムを通って移動する(travel)。
接続部材は、力の衝撃の大きさに依存して垂直方向に移動する。
【0028】
シャーシ
靴底外周部:
その底面において、衝撃力は、この構成部品によって吸収される。
基本的なレベルにおいて、靴底外周部は、ここでは地面からの反応を含むような足の衝撃力に反応する部分であり、各接続部材のドメインの直下の部分である。
【0029】
一実施形態においては、縁の内側に収容され、次いで縁に追加され、全面に靴底の付いた靴を形成する部品(足プレート)が設けられてもよい。
一実施形態においては、靴底全面のプレートは、外側の経路上において、靴底外周部の全長にわたって、ねじで留めたり、かちっと嵌めんだり、スナップで留めたりされることができる。
【0030】
この靴底プレートの外側部分は、地面の形状の小さな突き出た部分(石など)の上で曲がることができるように柔軟であってよい。
靴底プレートは、物理的に区分に分割されていてもよいし、あるいは、より柔軟な部分と接続された硬い部分を有してもよい。
【0031】
区分分けは、区分の部分的な回転を可能にする。
区分は、地面のさまざまな角度をより容易にとらえるよう、ボールおよび結合部のように連結されることができる。
【0032】
足受け部の底部と足プレートの上部との間には常に空間が存在することに注意すべきである。
区分分けされているか否かにかかわらず、靴底外周部の縁には、わずかに幅広いリボン状のブレードが、垂直方向のメジャー(measure)として埋め込まれている(下記を参照)。
【0033】
一実施形態においては、ブレードを靴底外周部によって挟むことができる、すなわち靴底外周部が2つのエッジを有する。いくつかの実施形態においては、ブレードがどこで曲がるかを制御できるように、「ねじ込み式」の軸を有する場所を、ブレードの長さに沿って設けることができる。
【0034】
靴底外周部の上部かつ内側に、ブレードを考慮して、エネルギー帰還ユニットの底部のために設置された溝または棚状のものが設けられている。いくつかの方法で、溝または棚状のものは、ハードドライバの底部を保持するように設置される。
【0035】
ブレード:
ブレードは、プラスチック(ナイロンのようなもの)からなる垂直片であり、靴底外周部の外縁付近に埋め込まれる。
ブレードは、靴底外周部から取り外し可能であってもなくてもよく、区分に分けられていてもいなくてもよい。
【0036】
ブレードは、靴が曲がる場所に応じて柔軟な部分を有することができる。
ブレードは、人間が彼らの足裏をときどき垂直な姿勢と動きから離れる方向に曲げて履くのに伴って両側があちこちの方向に進むときに、靴底外周部内において曲がるように、大抵の場合、ブレードは足の両側において必要とされ、前側および後側には必ずしも必要とされない。
【0037】
これは、ブレードの双対性(duality)を示している。なぜならば、ブレードは、足自体が一歩の間にどのように曲がるかに応じて、様々な方向に曲がることができるからである。
【0038】
1つの主要な説明のポイント:この部品の上部またはゾーンは、アッパーと受け部との間にフィットする。移動に使用されるブレードの垂直部分は、通常は、アッパーの靴底部と靴底外周部の上部との間にフィットする。この距離は、3分の1〜4分の3インチの間であればどんな値でもよい。ブレードは、安定性/制御/強度がさらに必要とされる兵隊用および軍用のブーツにおいては、さらに高く(2インチ以上)なる。
【0039】
それの主要な目的の1つは、横方向の不安定を制御することである。
接続部材のためのガイドとして機能するブレードを垂直に切り抜くことがもっとも重要である。
これらの各切り抜きが、接続部材の垂直移動を案内する。
各接続部材に対して1つの切り抜きが設けられている。
【0040】
切り抜きは、ブレードのきわめて薄いスライド部に形成されてもよく、あるいは、ひとたび一体になることによりブレード全体を形成する短い部分に形成されてもよいことに、注意すべきである。
また、切り抜きがさまざまな形状であってよいことに、注意すべきである。
【0041】
図示された実施形態(図6を参照)において、ブレードには3つの水平ゾーンが存在している。1つ目は、靴底外周部にフィットする埋め込み部分であり、2つ目は、ボディがそれに対して上下に移動する中央ゾーンであり、3つ目は、(タイミング空間において)靴のボディ部分にフィットする部分である。
ブレードは、靴の周辺に一定の高さであってもよいが、1つの靴において異なる高さをとる/採用されることもできる。
【0042】
エネルギー帰還システム(「ハードドライバ」):
その目的の概説として:各エネルギー帰還システムは、1つのユニットとして、足の荷重からのエネルギー負荷を受け取り、その後に圧力が減少するのに伴ってエネルギー負荷を戻すことができる特定の衝撃強度を有さなければならない。このシステムは、換言すると、加えられた力を変換する。
【0043】
ERSまたはドライバは、きわめて薄く垂直な剛性を有するフレームを有しており、該フレームは上部において開口して内部空間を有している。この空間は、新たな靴の接続部材がその内側の室を移動できるように設計されたゾーンである。接続部材は、垂直方向に移動でき、その移動は垂直方向からわずかにずれてもよい。接続部材は、ERSの抵抗強度に逆らって最初に下方へと移動し、その後に上方へと戻る。
【0044】
この垂直なフレームの両側には、一般的に平坦かつ伸張性の/テンソルな(tensor)ポリマーユニットが配置されている(好ましくは、各側に2つ、開口の両端に1つずつ、すなわち、フレームの内側に2つ、外側に2つ)。
【0045】
ERSユニットのためのさまざまな強度が、これらのテンソルユニットを示している。例えば、主成分のエラストマーに異なる量のカーボンが添加されてなるポリマーの厚さおよび積層構造(lay−up)、さらにサイズおよび厚さならびに外形が、さまざまな強度のERSユニットを製造するために組み合わせられる。
【0046】
これらのテンソルユニットの間に、内部空間に位置(両側において同一面)する半柔軟性を有し、ある程度剛性を有するブリッジユニット(ウイング)が配置されている。ブリッジユニットは、繊維質であり伸長しないが、曲がることのみできる。
【0047】
ブリッジユニットは、接続部材を支持するものであり、それによって人体の重量のうち、靴のその特定の領域(ドメインと称され、接続部材が中心であり、その周囲にすぐに隣接する材料が、どの層にあるかにかかわらず、各ドメインの一部である)だけに加わる一部を支持するものである。
【0048】
テンソルユニットは、決して互いにピン留めされず、1つのロックピンによってフレームに留められ、もう1つのロックピンによってブリッジユニットに留められるだけである。
すべてのピン(図示される実施形態においては8つ)が、ブリッジの上下方向の移動を許容および制御するテンソルユニットにおいて回転(小さな円弧)できるように構成されている。
【0049】
フレームおよびブリッジの両者において、ピンの配置に数学的関係が存在する。前側のテンソルは、荷重を受けたときに広がり、その後ろのテンソルは、伸びる。このプロセスは、ピンの配置に、一種の「X」またははさみのような動作を与える。
この配置により、テンソルユニットの歪みを最小限にしながら、接続部材の移動を最大化することが可能となる。
【0050】
それは、テンソルユニットを構成するポリマーの性質が、該ポリマーの塑性の限界内にポリマー自身をとどまらせることによって自らを操作していることを意味する。
テンソルユニットそのものは、多数の方法で設計されることができる。すなわち、テンソルユニットのサイズは、境界の限界があまり存在しない(単にタイミング空間と称される空間の包絡線(envelope)である)ため、さまざまであってよい。同様に、ピンも、さまざまな直径およびさまざまな厚さであってよい。
【0051】
ピンは、ロックピン(我々が選択したもの)であってもよく、テンソルユニット、フレーム、ブリッジの組み合わせをロックされた状態に保ちながら空間に固定するように、(上記例示に示されているようなアワークラス(an hour class)などのように)傾けられていてもよい。
【0052】
エネルギー帰還システムの他の実施形態は、(下記に示されるとおり)さまざまである。
一実施形態(図8の左端を参照)においては、接続部材が、(上述のように)エネルギー帰還システムを貫いている。
別の実施形態(図8の真ん中の図を参照)においては、短い長さのコネクタ材料が、接続部材の代わりに設けられており、このシステムにおけるERSは、今日の材料に関連する材料のアマルガムのようにより長くより大きく、すでに靴の構成になりつつある。
【0053】
最後の実施形態(図8の右側の図を参照)においては、ベルトシステムが、ユニット式のエネルギー帰還システムと置き換わっている。ベルトシステムは、その内部に補強ユニットを組み込むことができるため、安定化用のブレードの代わりとして備えられてもよい。頂部の留め金が、足受け部およびアッパーの2つからなる組を、ベルトシステムに接続する。
【0054】
後述の実施形態(図9を参照)においては、ブレードおよびエネルギー帰還システムが、一体として製作されている。
負荷の最も重い履物を考慮したこれらの実施形態(後述の図10を参照)においては、エネルギー帰還システムを金属で補強でき、あるいは完全に金属から製作することができる。
【0055】
他の実施形態(図11の左上を参照)においては、エネルギー帰還システムとしてはさみ状型のものがある。硬い部材が、接続部材の各端へと十字に交差している(図11に示されている4つのERSの各々が、1つの接続部材の端面図を示している)。負荷の作用が、ポリマーユニットを接続部材の各端へと圧迫し、垂直移動をもたらす。
【0056】
第2の実施形態(図11の真ん中上を参照)においては、接続部材がポリマーの混合物アームのうちの2つを引っ張ると同時に、2つを押す。堅固なフレームが、ユニット全体を囲んでいる。
【0057】
第3の実施形態(図11の右上の2つを参照。それぞれ「前」および「後」を示している)においては、接続部材が半剛体のバーの上方に位置しているため、ポリマーの本体が(加えられる圧力によってのみ)曲がり、半剛体のバーも荷重の圧力がかかった状態において曲がる。ここで、両方のポリマーの構成は、堅い底部(例えば、金属)によって、ピンなどで位置が保持される。
【0058】
スリーブ:
スリーブは、内側の機構(内側の可動部品)のすべてを覆うために設けられ、ここでは幅広い赤色の帯またはリボンとして描かれている。主たる実施形態において、スリーブは、弾性を有し、防水性を有することが好ましい。スリーブは、アッパーの前縁の中に固定され、また、スリーブと、ブレードを留める靴底外周部の内側のエッジとの間のブレードの側方に対して固定される。
スリーブは、足を囲み、ブレードを覆う(さもないと、ブレードの中央部が露出される)。
【0059】
スリーブは、通常は柔軟性およびで弾性を有するが、他の実施形態においては、スリーブは完全にアッパーの下に配置される。この後者の場合、アッパーは、側方において長く、靴の動きにおいて荷重が増減するときに靴底外周部の外側を下方に移動する。
スリーブは、靴の通気性を確保し、最終的に足の通気性を確保する。
【0060】
スリーブの材料は、見た目および機能の両方において靴の材料と適合するものである。ここで、予想される特定の環境条件が、設計の要領の一部である。
スリーブは、ブレードに近接しているが、ブレードに接着されてはおらず、ブレードに取り付けられてはいない。
【0061】
スリーブは、さまざまな設計を有することができる。
多数の市販の実施形態においては、アッパーの前縁が、ブレードの中央ゾーンを覆っており、スリーブを隠している。動きが生じるとき、アッパーは、(やはり直上で述べたように)靴底外周部の上部の上方を移動する。
【0062】
製造:
我々の履物は、靴型上で製作される必要がない。例示した実施形態の各々の構成部品は、製造ラインにおいて製造されるように構成されることができる。それらの構成部品が組み立てられるときに、多数の人々にそれらを操作してもらう必要はほとんどない。多くの人にとって、靴は、彼らの機能的および美的な理由の両方に対する厳格な要件に適合するものであるため、組立ての大部分は、販売場所で行われてもよい。多くの人は、依然として組み立て前の外観を望む。このような場合のために、ドライバをはめ込むだけでよい(この目的のため設計された特別な手工具が使用される)「ダミー」のような靴や、試し履きのとき用の靴が存在していてもよい。
したがって、履物は、組み立てラインにおける組み立てと同様に、組み合わせられることができる。
【0063】
靴底外周部は、短い断片、または、靴の主要部分(例えば、つま先部)を覆う大きな部分全体へと区分に分けられた構成を有することができる。他の区分分けは、より硬い領域の間の「柔らかい」領域であってよく、「結合部」が、鉄道車両の間に位置する連結器と同様の連結器として機能することができる。あるいは、靴底外周部を、組み合わせられたブレードおよびボディとの相互作用のための柔軟性に応じて、靴の靴底においてすでに存在するものの細い型にすることができる。もし靴底外周部が区分分けされた場合、それはぱちっと互いに留められることができる。次いで、ブレードが挿入され、エネルギー帰還装置が、接続部材とともに、それぞれの部品にすでに取り付けられたレールシステムとともに配置されることができる。
【0064】
他の実施形態においては、我々の履物は、靴ができることを転換するように構成されている。靴および関連の技術が、分析、識別、およびトラッキング(tracking)へと広がるように構成されている。
【0065】
我々の履物の行程ゾーン/領域は、アッパーおよび受け部を一体に接続している接続部材がエネルギー帰還システムを通って移動する場所である。成人用の靴においては、おそらくは垂直行程の箇所が(好ましくは)24カ所存在する。
【0066】
この垂直行程ゾーンを、切り抜き領域を下方へと移動して再び上方へと移動するときのすべての接続部材の各々のすべての移動の増加分を追跡する方法でモニタするとき、豊富なレベルのデータが得られる。フィードバックループ、トランスデューサ、などを使用して、行程をマークすることができる。そのようにすることで、我々は、大量のデータ出力を有する。増加が生じたときにその増加をマークする或る種のカウンタだけが必要である。定規のように、垂直行程の各点が、計算された基準とともにキャプチャされるように設計されなければならない。靴において、各行程ゾーンは、切り抜きにおいて、例えば300dpiを有するように注意が払われる。
【0067】
すべての行程ゾーンにおいて接続部材の移動に従って集められたこの情報は、収集され、靴の片側において最もよく見られるA/Dコンバータ/チップへと送信される。次いで、この情報は、生成されたデータをさまざまな用途のために分析するために、ソフトウェアを有する中央場所へと無線で送信されることができる。多くのアプリケーションは、この場所を、それらのスマートホンの内部に有する。他のアプリケーションは、例えば安全な領域にあるステーションの内部にその場所を有する。
【0068】
すべての行程ゾーンを、定義可能な行程の10カ所(理論的には刻みのような)を有すると考えることができる場合、24を掛けて、人の足取りのサイクルのすべてについて、考えられる数学的結果において、24の10乗が得られる。それは1つの例である。その量のデータを取得し、数秒または数分の期間にわたって重ねる場合、データ出力の豊富さは、われわれの想像する用途のほぼすべてにおいて十分以上であると考えられる。
【0069】
この豊富なデータを用いて、ひとたびノイズおよび変数のすべてが対数的に算出れたならば、データをさまざまな用途のために利用することができる。
【0070】
このデータによって、我々は、歩行および運動全般のパターンを見つけ、特定し、定義することができる。一度これが行われれば、我々の履物は、歩調に基づいて行動の生体認証による同定を行うことができる。換言すると、ユーザの電子IDである。しかしながら、これは始まりに過ぎない。これらの多くが個人の移動の同じ収集データからもらされる可能性があるので、ユーザは、用途毎に別々のIDを有することができる。さらに、この識別番号の多様性により、ユーザは、その送信先のシステムにおいて情報漏洩の可能性が存在するときはいつでも、識別番号を1つずつ捨てることができる。
【0071】
この情報は、歩行分析/スポーツ能力分析によって行動認識を解釈するためにも使用される。例えば、高齢者や実際に自身の足を提示することができるあらゆる人、とりわけ病的理由を有する人に対する健康サービスなど、人的要因情報を使用可能なきわめて多数の用途が存在する。
【0072】
このデータの管理に関連するソフトウェアは、識別の条件、異なる人間の尺度を分析する条件、および起こり得る他のあらゆる条件に基づいて、パターンを特定する必要がある。
ソフトウェアは、履物の異なるドメインの間の相互関係を考慮しなければならない。
【0073】
一実施形態においては、ソフトウェアは、次のステップを前のステップに基づいて或る程度の精度で予測し、何らかの方法で現在の足跡(footstep)を予測された足跡に結び付けることができなければならない。これにより、地図ソフトウェアと相互関連付けることができる位置付けが可能となる。データが、デジタル的にソフトウェアに入力された既存の地図へと適用された場合、情報に基づいた新しい種類の場所が存在する。1つは、屋内や地下などで機能すると考えられる。さらに、GPSが行うことへ拡張が可能である(我々の研究において、ローカル・ポジショニング・システムを略してLPSと称されている)。
【0074】
多数の行程ゾーンが存在するため、我々の靴からエネルギーを収集する良好な機会が存在する(一例としては、圧電ユニット)。このエネルギーを、A/Dコンバータのために使用することができ、電池を充電するために蓄えておくこともできる。
【0075】
我々のデジタル靴が機能するために、物理的な靴のすべての構成部品は、(ユーザにとって)アクセス可能なデータベースに登録することができる「組み込み」のコードを有さなければならない。これにより、例えば靴がユーザによってカスタマイズされたときにある構成部品が別の構成部品と交換されたときに、情報の関連付けが可能となる。たとえ第三者の構成部品であっても、登録されなければならない。その結果、情報の関連付けが完全に保たれることができる。
【0076】
以上から、本明細書において例示の目的のために本発明の特定の実施形態を説明したが、本発明から逸脱することなくさまざまな変更が可能であることを、理解できるであろう。さらに、特定の実施形態の文脈において説明した本発明の態様を、他の実施形態に組み合わせることができ、あるいは他の実施形態において削除することができる。さらに、本発明の特定の実施形態に関する利点を、それらの実施形態の文脈において説明したが、他の実施形態もそのような利点を呈することができ、すべての実施形態が必ずしもそのような利点を呈する必要はなく、それでも本発明の技術的範囲に包含される。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴底と、
該靴底に取り付けられ、前記靴底から延びるとともに、該靴底の外周の少なくとも一部分を巡って延びるブレードと、
アッパーと、
前記アッパーに連結され、おおむね中靴底として形成され、足を受け入れるとともに前記靴底の上に足を支持するように構成されており、前記アッパーと共に一体として前記靴底に対して可動である受け部と、
前記ブレードと前記受け部との間に連結され、少なくとも1つの弾性を有する可撓部材を含むエネルギー帰還システム(ERS)と、
前記ブレードを前記ERSへと接続する第1の複数の接続部材と、
前記ERSを前記受け部へと接続する第2の複数の接続部材と、
を備え、
前記ERSは、前記アッパーおよび前記受け部がユーザの足と共に前記靴底から独立して移動可能であるように、足から圧力を受けた状態においては静止位置から離れるように弾性的に変形し、前記圧力が緩和されたときには前記静止位置へ戻るように構成されている履物アセンブリ。
【請求項2】
靴内に配置され、データを記録および送信するように構成された電子チップと、
前記靴に点在して配置され、前記ERS、前記受け部、前記接続部材、前記ブレード、および前記靴底のうちの少なくとも2つの間の相対運動を検出するように構成され、データを前記チップへと送信するように構成された複数のセンサとをさらに備える請求項1に記載の履物アセンブリ。
【請求項3】
前記チップが、前記データを、歩き方および動作の分析のためにコンピュータシステムへ送信するように構成されている請求項2に記載の履物アセンブリ。
【請求項4】
前記データが、個々のユーザに対し靴を製作するために前記靴底、前記ブレード、前記受け部、および前記ERSのうちの少なくとも1つの特性を変更するために使用される請求項2に記載の履物アセンブリ。
【請求項5】
前記ERSが、前記センサおよび前記チップのうちの少なくとも1つに電力を供給するために、足から圧力を受けて変形し前記圧力を電気に変換する圧電素子を備えている請求項2に記載の履物アセンブリ。
【請求項6】
前記ERSが、少なくとも2つの弾性要素を備え、
前記ブレード、前記受け部、および前記少なくとも2つの弾性要素が、リンク機構を形成するように前記接続部材によって回転可能に接続されている請求項1に記載の履物アセンブリ。
【請求項7】
前記ブレードは、前記第1の複数の接続部材の少なくとも一部が通過するスロットを備え、
前記第1の複数の接続部材の前記少なくとも一部は、前記ERSが足から圧力を受けて弾性的に変形するのにともなって前記スロット内で移動するように構成されている請求項1に記載の履物アセンブリ。
【請求項8】
前記ブレードが、
前記靴底の中に配置される埋め込み部と、
前記靴底の上方において広がり、前記接続部材を係合するように構成されたスロットを含む中央帯と、
靴のアッパーを係合する上部とを備える請求項1に記載の履物アセンブリ。
【請求項9】
前記ERSが、前記靴底の外周を実質的に巡って延びている請求項1に記載の履物アセンブリ。
【請求項10】
前記ERSが、形状または弾性のうち少なくとも一方が異なるもう1つのERSと交換可能に構成されている請求項1に記載の履物アセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2011−518623(P2011−518623A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−506543(P2011−506543)
【出願日】平成21年5月1日(2009.5.1)
【国際出願番号】PCT/CA2009/000617
【国際公開番号】WO2009/132465
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(510290304)プランティーガ テクノロジーズ インク (1)
【Fターム(参考)】