説明

三板式電子内視鏡および電子内視鏡システム

【課題】高精度な診療を行うための資料として好適な、色再現性や解像度がより高い、特にRに対する解像度が高い画像を提供することができる三板式電子内視鏡を提供すること。
【解決手段】三板式電子内視鏡は、被写体からの光をR、G、Bの各成分に分離する色分離手段と、色分離手段により分離された各成分による像に対応する画像信号を出力するR用撮像素子、G用撮像素子、B用撮像素子と、を有し、R用撮像素子の画素数は、B用撮像素子の画素数の整数倍に規定され、G用撮像素子とB用撮像素子の少なくとも一方の光学的位置は、R用撮像素子の光学的位置に対して、画素配列の水平方向または垂直方向の少なくとも一方向にR用撮像素子の1/2画素分だけずれて配設されているような構成にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、三枚の撮像素子を用いて体腔内を撮像する三板式電子内視鏡および該電子内視鏡を有する電子内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被検者の体腔内の部位を観察、治療するため、電子内視鏡システムが広く知られ実用に供されている。このような電子内視鏡システムは、例えば、体腔内を撮像するための電子内視鏡、電子内視鏡により取得された撮像信号に画像処理を施すプロセッサ、プロセッサにより処理され生成されたビデオ信号を表示するモニタ等から構成されている。このような電子内視鏡システムは、例えば、下記の特許文献1に開示される。
【0003】
【特許文献1】特開平8−214290号公報
【0004】
特許文献1に例示される従来の電子内視鏡システムでは、単一の撮像素子によって撮像が行われる単板式である。そのため、画像の解像度や色再現性を高くするためには、該撮像素子の画素数を大きくしなければならず、高価な構成になってしまう。そこで、近年、撮像素子を三枚使用した三板式の電子内視鏡システムが提案されている。三板式の電子内視鏡システムは、例えば、以下の特許文献2に開示される。
【0005】
【特許文献2】特開2004−254777号公報
【0006】
特許文献2に例示される三板式の電子内視鏡システムは、被写体からの光をダイクロイックプリズム等を用いてR(赤)、G(緑)、B(青)の各成分に分離する。そして、3枚の撮像素子が各成分を受光することにより生成される各色信号を後段の画像処理部によって合成することにより被写体の画像を生成する。特許文献2に例示される電子内視鏡システムでは、画素ずらし法を用いることにより、撮像画像を高い解像度で表示することができる。
【0007】
ここで、体腔内を観察する場合に用いられるいわゆる医療用電子内視鏡システムの場合、撮像された画像は、より精度の高い診断や治療を行うために重要な資料となる。そのため、通常の画像に比べてより一層の高解像度そして高い色再現性が要求される。特許文献2に例示される三板式の電子内視鏡システムは、従来の単板式に比べると、高い色再現性と高解像度を備えた画像を生成することができる。しかし、特許文献2に例示される三板式の電子内視鏡システムは、汎用の三板式撮像手段を単に電子内視鏡分野に転用したに過ぎない。そのため、撮像される画像は、高精度な診療を行うための資料として採用するに十分高い色再現性や解像度を満足しておらず、さらなる改善が求められていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は上記の事情に鑑みて、高精度な診療を行うための資料として好適な、色再現性や解像度がより高い画像を提供することができる三板式電子内視鏡および該三板式電子内視鏡を有する電子内視鏡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、請求項1に記載の三板式電子内視鏡は、被写体からの光をR、G、Bの各成分に分離する色分離手段と、色分離手段により分離された各成分による像に対応する画像信号を出力するR用撮像素子、G用撮像素子、B用撮像素子と、を有し、R用撮像素子の画素数は、B用撮像素子の画素数の整数倍に規定され、G用撮像素子とB用撮像素子の少なくとも一方の光学的位置は、R用撮像素子の光学的位置に対して、画素配列の水平方向または垂直方向の少なくとも一方向にR用撮像素子の1/2画素分だけずれて配設されていることを特徴とする。
【0010】
請求項1に記載の三板式電子内視鏡によれば、R、G、Bの各色に対応する三枚の撮像素子を使用することにより、画像の色再現性を向上させることができる。また、三枚の撮像素子の光学的位置に関して画素ずらし法を採用することにより、画像の解像度を向上させることもできる。さらに、請求項1に記載の三板式電子内視鏡によれば、R用撮像素子の画素数を他の撮像素子よりも多く設定している。これにより、特にRの解像度を高めることが可能になる。
【0011】
請求項2に記載の三板式電子内視鏡によれば、R用撮像素子、B用撮像素子の各画素数を順にPr、Pbとすると、Pr/n=Pb(ただし、nは2以上の整数)の関係を有することが望ましい。
【0012】
請求項3に記載の三板式電子内視鏡によれば、各撮像素子の画素はいずれも正方形状であることが望ましい。
【0013】
より具体的には、G用撮像素子の画素数をPgとすると、Pg=Pb(請求項4)、あるいはPr=Pg(請求項5)の関係を有するように構成することができる。前者の関係を有するように構成することにより、G用撮像素子に要求される画素数を抑えてコストダウンを図ることができる。後者の関係を有するように構成することにより、Rの解像度を担保しつつさらなる高解像度化が実現される。
【0014】
また、請求項6に記載の三板式電子内視鏡によれば、G用撮像素子とB用撮像素子の少なくとも一方の光学的位置は、水平方向と垂直方向の双方にずれていてもよい。
【0015】
請求項7に記載の三板式電子内視鏡によれば、G用撮像素子とB用撮像素子の双方の光学的位置がずれていることが望ましい。これにより、さらなる解像度の向上が図られる。この場合、G用撮像素子とB用撮像素子の各光学的位置は、G用撮像素子(B用撮像素子)の1/2画素分ずれていることが望ましい(請求項8)。
【0016】
また、請求項9に記載の電子内視鏡システムは、上記の特徴を有する三板式電子内視鏡と、少なくとも三板式電子内視鏡が接続自在に構成されたプロセッサと、を有し、プロセッサは、接続された三板式電子内視鏡から出力されるR、G、Bの各画像信号に対して、R用撮像素子の駆動周波数の2倍のサンプリング周波数でサンプリングを行い、所定の画像処理を施すことを特徴とする。
【0017】
また、請求項10に記載の電子内視鏡システムによれば、単一の撮像素子を有する単板式電子内視鏡をさらに有し、プロセッサは、三板式電子内視鏡と単板式電子内視鏡が択一的に接続されるように構成されており、接続された電子内視鏡を判別する判別手段を有し、該判別手段により接続状態にあると判別された電子内視鏡に対応する画像処理を行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、体腔内の生体組織が、一般に赤成分を多く反射する傾向にあること、そして撮像画像の高解像度化には、GやB、特にBの解像度に比べてRの解像度が大きく影響することに着目することによりなされた発明である。
【0019】
すなわち、本発明に係る三板式電子内視鏡および該電子内視鏡を有する電子内視鏡システムによれば、三板式および画素ずらし法を採用し、加えてR用撮像素子の画素数を他の撮像素子特にB用撮像素子よりも多く設定することにより、従来の構成に比べて、Rの解像度を効果的に高めることができた。その結果として、診療用画像として好適に用いるために必要とされる高い色再現性および高い解像度を有する画像がユーザに提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本実施形態の三板式電子内視鏡および該電子内視鏡を備える電子内視鏡システムの構成および作用について説明する。
【0021】
図1は、本実施形態の電子内視鏡システム100の概略構成を表す図である。電子内視鏡システム100は、プロセッサ10、三板式電子内視鏡30、モニタ50を有する。三板式電子内視鏡30はコネクタ部30aと先端に撮像系を持つ可撓管30bと図示しない操作部(把持部)からなる。三板式電子内視鏡30は、コネクタ部30aを介してプロセッサ30に光学的かつ電気的に接続される。モニタ50は、プロセッサ10に接続され所定の情報を適宜表示する。
【0022】
プロセッサ10は、システムコントローラ1、光源部2、判別回路3、撮像素子駆動部4、タイミングコントローラ5、画像処理部6、フロントパネル兼操作部(以下、単にフロントパネルという)7を有する。
【0023】
三板式電子内視鏡30は、ライトガイド31、配光レンズ32、対物レンズ33、撮像部34、ROM37を有する。配光レンズ32、対物レンズ33、撮像部34は可撓管30bの先端近傍に位置している。なお、実際の電子内視鏡では、配光レンズ32や対物レンズ33は、複数枚のレンズを有するレンズ群として構成されるが、各図では便宜上単レンズとして示している。
【0024】
電子内視鏡システム100を用いた基本的な撮像処理は以下のようにして行われる。まず予め術者が三板式電子内視鏡30の先端、より詳しくは可撓管30bの先端を観察対象の近傍に配設する。例えば、観察対象が体腔内の生体組織である場合には、可撓管30bの先端を被検者の体腔内における該生体組織がある位置まで挿入する。
【0025】
可撓管30bの先端が観察対象近傍に位置した状態で、術者が三板式電子内視鏡30の図示しない操作部を操作すると、プロセッサ10は撮像処理を開始する。
【0026】
本実施形態では、三板式電子内視鏡30が接続されると、ROM37から三板式電子内視鏡30を識別するためのデータ等、例えば機種名や型番、さらには撮像素子の方式や画素数、γ特性等といった仕様が出力される。プロセッサ10の判別回路3は、読み出した識別情報に対応した制御を適時行う。本実施形態では、プロセッサ10は、三板式電子内視鏡30に好適な制御を行う。
【0027】
システムコントローラ1は、プロセッサ10のみならず電子内視鏡システム100全体を統括して制御する。撮像処理を行う場合、システムコントローラ1は、まず光源部2を発光制御する。光源部2は、光源21、絞り22、絞り駆動機構23、集光レンズ24を有する。システムコントローラ1からの制御信号を受信すると、光源21は光を照射する。本実施形態では、周知の白色光源、例えばメタルハライドランプや、キセノンランプ、ハロゲンランプ等が光源1として使用される。
【0028】
光源21から照射された光は、まず絞り22に入射する。絞り22は、絞り駆動機構23によって所定光量の光がライトガイド31に導かれるように光量調整を行う。絞り22から射出された光は、集光レンズ24を介して三板式電子内視鏡30のライトガイド31、より詳しくはライトガイド31の入射端31aに入射する。ライトガイド31は光ファイバ束である。よって、入射光は、ライトガイド31内を伝送し、射出端31bから射出される。射出光は、配光レンズ32を介して可撓管30bの先端から照射され、観察対象を照明する。
【0029】
照明された観察対象からの反射光は、対物レンズ33を介して撮像部34に入射する。図2は撮像部34の概略構成を示す図である。撮像部34は、ダイクロイックプリズム35とR用、G用、B用の各CCD36R、36G、36Bを有する。ダイクロイックプリズム35は、対物レンズ33を介して入射する光をR、G、Bの各成分に分離する機能を持つ。本実施形態ではフィリップス型のダイクロイックプリズムを使用する。すなわち、ダイクロイックプリズム35は、三つの三角プリズム35a、35b、35cを接合して構成される。三角プリズム35a、35cの接合面S2は、B成分に対して高い反射特性を有する光学膜が施されている。三角プリズム35a、35bの接合面S3は、R成分に対して高い反射特性を有する光学膜が施されている。
【0030】
撮像部34のダイクロイックプリズム35に入射した光のうち、R成分は、三接合面S3で反射し、接合面S2に入射する。ここでR成分は、接合面S2に対して全反射条件を満たすような入射角を持って入射する。そのため、R成分は、接合面S2で全反射してR用CCD36Rに入射する。G成分は、各接合面S2、S3を透過してG用CCD36Gに入射する。B成分は、接合面S2で反射し入射側端面S1に入射する。ここでB成分は、入射側端面S1に対して全反射条件を満たすような入射角を持って入射する。そのため、B成分は、入射側端面S1で全反射してB用CCD36Bに入射する。
【0031】
図3〜図5は、それぞれR用CCD36R、G用CCD36G、B用CCD36Bの画素配列を模式的に示す図である。なお、図3以降の各図に示すCCDの画素配列はあくまで説明の便宜上描かれた模式的なものであり、実際のサイズとは異なる。
【0032】
図3〜図5に示すように、各CCD36R、36G、36Bは、受光面全体のサイズは同一であるが、画素数が異なる。詳しくは、各CCD36R、36G、36Bの画素数を順にPr、Pg、Pbとすると、Pr/n=Pg=Pb(ただし、nは2以上の整数)という関係を有する。一般に電子内視鏡システム100で撮像される体腔内の生体組織はR成分に対する反射率が高い。従って、他の成分に比べてRの画素数を多く設定することにより、撮像画像におけるRの解像度を高くすることができる。本実施形態では、n=2に設定している。
【0033】
なお、本実施形態の各CCD36R、36G、36Bの受光面を構成する画素は、矩形状(本実施形態では正方形状)である。図3〜図5に示すように、R用CCD36Rの画素の一辺の長さをLr、G用CCD36Gの画素の一辺の長さをLg、B用CCD36Bの画素の一辺の長さをLb、とする。上記の通り、G用CCD36GとB用CCD36Bは、受光面サイズと画素数が同一であるため、Lg=Lbである。
【0034】
また、本実施形態では、画素ずらし法を用いて撮像画像の解像度を高くしている。つまり、上記3枚のCCD36R、36G、36Bは、互いの光学的位置が微少にずれて配設されている。なお、本文において光学的位置とは、各CCD36R、36G、36Bの受光面に平行な面内での配置位置のことをいう。また、ずれとは、各CCDにそれぞれ入射する光の主光線の受光面での入射位置と該受光面中心がずれていることをいう。また、ずれの大きさは、主光線の入射位置と受光面中心が、CCDの画素配列の水平方向および垂直方向においてどれだけ離れているかによって表す。
【0035】
図6は、各CCD36R、36G、36Bのずれ具合を説明するための模式図である。より詳しくは、各CCDに入射する光の主光線の入射位置を一致させて各CCDの光学的位置を重ねて示す図である。
【0036】
図6では、R用CCD36Rを実線で、G用CCD36Gを破線で、B用CCD36Bを一点鎖線で、それぞれ示している。また図6中、画素配列の水平方向をX方向、垂直方向をY方向、X、Yの各方向に直交する方向(主光線の進行方向)をZ方向と定義する。
【0037】
図6に示すように、G用CCD36G、B用CCD36Bは、それぞれR用CCD36Rに対して、X、Yの両方向にR用CCDの1/2画素分だけずれて配設されている。また、G用CCD36G、B用CCD36Bは、互いに、X、Yの両方向にG用CCD36G(またはB用CCD36B)の1/2画素分だけずれて配設されている。
【0038】
各色成分は、各CCD36R、36G、36Bの受光面で光学像を結ぶ。各CCD36R、36G、36Bは、プロセッサ10の撮像素子駆動部4によって駆動制御される。詳しくは、撮像素子駆動部4は、システムコントローラ1の制御下、タイミングコントローラ5により規定される所定のタイミングで、撮像素子34に駆動信号を送信する。各CCD36R、36G、36Bは、撮像素子駆動部4から送信される駆動信号に同期して、上記光学像に基づく各色信号を生成し、プロセッサ10の画像処理部6に定期的に送信する。なお実際のシステム100では、撮像素子駆動部4と撮像部34間、および撮像部34と画像処理部6間は、R、G、Bの各色信号に対応して計三本の信号線が存在するが、図1では、図示の簡略化のため一本のみ示す。
【0039】
画像処理部6は、R、G、Bの各信号が入力する順に、前段画像信号処理部61、R、G、Bの各メモリ62R、62G、62B、後段画像信号処理部63を有する。前段画像信号処理部61は、システムコントローラ1の制御下、各色信号に信号増幅処理やA/D変換処理といった所定の処理を行う。なお、術者等は、フロントパネル7に配設された種々のスイッチ等を操作することによって、画像処理部6が行う画像処理内容を変更することができる。
【0040】
ここでA/D変換処理に際し、各色信号は、いずれもR用CCD36Rの駆動周波数の2倍のサンプリング周波数でサンプリングされる。つまり、R信号に関しては1画素分に相当するアナログデータが2回サンプリングされる。またG信号とB信号に関しては1画素分に相当するアナログデータが4回サンプリングされる。サンプリングされた各色のデジタルデータは、対応するメモリ62R、62G、62Rにそれぞれ一時的に格納される。各メモリに格納された各色のデジタルデータは、タイミングコントローラ5から送信されるタイミング信号に同期して後段画像信号処理部63に一斉に出力される。該タイミング信号の送信タイミングは、例えばモニタ50のフレームレートに対応するように決定される。
【0041】
後段画像信号処理部63は、画像メモリ62から読み出された各色データに周知の画像処理を施す。該画像処理には例えば、色毎のゲイン調整や解像度調整、ホワイトバランスやブラックバランスの調整、ガンマ補正、エンハンス処理等がある。そして、各色信号を合成して外部(ここではモニタ50)に出力するための一系統の画像信号を生成する。
【0042】
図7は、後段画像信号処理部63により生成された画像信号に対応する画像を説明するための模式図である。より詳しくは、図7中、実線部は図3に示すR用CCD36Rのうち任意に抽出したR1〜R16の画素からなる正方形状の領域に対応するRの画像データを示す。また、破線部は、図4に示すG用CCD36Gのうち任意に抽出したG1〜G4の画素からなる正方形状の領域に対応するGの画像データを示す。また、一点鎖線部は、図5に示すB用CCD36Bのうち任意に抽出したB1〜B4の画素からなる正方形状の領域に対応するBの画像データを示す。
【0043】
図7において、太枠で示す領域、つまりR、G、Bすべての画像データが重複する正方形状領域(以下、便宜上画像領域という。)が実際の画像として表示される部分である。1つまたは2つの画像データのみからなる領域は、画像信号生成処理時に除去される。図7に示す画像領域は、d1〜d36までの計36ドットからなる。
【0044】
各ドットの画像は、ドットの位置に対応するR、G、Bの各デジタルデータを所定のマトリックスに当てはめて演算することにより求められる。例えば、
d1=R1+G1+B1
d2=R2+G1+B1
d3=R2+G1+B2

d36=R16+G4+B4
という演算が行われる。なお、必要に応じて各色成分に対して重み付けがなされてもよい。
【0045】
以上の処理により生成された画像信号は、D/A変換回路によってモニタ50の規格に適合するアナログ信号に変換された後、モニタ50に出力される。モニタ50は、入力する画像信号に対応する画像を表示する。
【0046】
ここで、モニタ50により表示される画像は、R、G、Bに対応する三枚のCCDを用いて撮像されているため、非常に高い色再現性を持っている。また、画素ずらし法を用いることにより、画像全体の高解像度化も実現している。さらに、他の色成分用のCCDに比べてR用のCCDの画素数を多く設定していることにより、赤の色解像度を高くすることができ、結果としてより内視鏡診療に好適な画像が提供される。
【0047】
以上が本発明の実施形態である。なお、本発明に係る三板式電子内視鏡や電子内視鏡システムは上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形を行うことができる。
【0048】
上記実施形態では、三板式電子内視鏡30を使用した構成であるが、状況に応じて既存の単板式電子内視鏡を使用することも可能である。この場合、判別回路3が接続された単板式電子内視鏡の識別データに基づいて、該単板式電子内視鏡を判別する。システムコントローラ1は、判別回路3から送信される判別結果に従い、単板式電子内視鏡に好適な制御を行う。
【0049】
また、上記実施形態では、いずれのCCDも光学的位置がずれていると説明した。ここで本発明に係る電子内視鏡は、必ずしも全てのCCDがずれている必要はなく、少なくともR用CCD36Rに対してG用CCD36G、B用CCD36Bのいずれか一方がずれていれば足りる。
【0050】
また、上記実施形態では、R用CCD36Rの画素数を他のCCDより増加させる構成を採っているが、G用CCD36GもR用CCD36Rの画素数と同一に設定しても良い(つまり、Pr=Pg=n×Pb)。これにより、より一層の高解像化された画像が提供可能になる。
【0051】
さらに上記実施形態では、R用CCD36Rに対してG用CCD36G、B用CCD36BはいずれもX、Yの両方向にずれていると説明したが、いずれか一方にのみずれた構成であっても良い。
【0052】
また、上記実施形態では、各CCDの画素は正方形状であるとして説明した。本発明に係る三板式電子内視鏡や電子内視鏡システムは、正方形状以外の形状の画素を持つCCDを使用することも可能である。例えば、ハニカム状や長方形状の画素を持つCCDを使用することもできる。
【0053】
加えて、本発明に係る三板式電子内視鏡や電子内視鏡システムでは、R用CCDの画素数は、必ずしもB(G)用の画素数のn倍である必要はなく、B(G)用の画素数の整数倍であればよい。ただし、整数倍に設定すると、R用CCDの画素形状と、B(G)用CCDの画素形状とが異なることもある。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施形態の電子内視鏡システムを概略的に示した図である。
【図2】本発明の実施形態の電子内視鏡の撮像部を示す拡大図である。
【図3】本発明の実施形態のR用CCDの画素配列を示す模式図である。
【図4】本発明の実施形態のG用CCDの画素配列を示す模式図である。
【図5】本発明の実施形態のB用CCDの画素配列を示す模式図である。
【図6】本発明の実施形態の各CCDのずれ具合を説明するための模式図である。
【図7】本発明の実施形態の後段画像信号処理部により生成された画像信号に対応する画像を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0055】
1 システムコントローラ
2 光源部
6 画像処理部
61 前段信号処理部
62R、62G、62B 画像メモリ
63 後段信号処理部
10 プロセッサ
30 電子内視鏡
34 撮像部
35 ダイクロイックプリズム
36R、36G、36B CCD
50 モニタ
100 電子内視鏡システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体からの光をR、G、Bの各成分に分離する色分離手段と、
前記色分離手段により分離された各成分による像に対応する画像信号を出力するR用撮像素子、G用撮像素子、B用撮像素子と、を有し、
前記R用撮像素子の画素数は、前記B用撮像素子の画素数の整数倍に規定され、
前記G用撮像素子と前記B用撮像素子の少なくとも一方の光学的位置は、前記R用撮像素子の光学的位置に対して、画素配列の水平方向または垂直方向の少なくとも一方向に前記R用撮像素子の1/2画素分だけずれて配設されていることを特徴とする三板式電子内視鏡。
【請求項2】
請求項1に記載の三板式電子内視鏡において、
前記R用撮像素子、前記B用撮像素子の各画素数を順にPr、Pbとすると、Pr/n=Pb(ただし、nは2以上の整数)の関係を有することを特徴とする三板式電子内視鏡。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の三板式電子内視鏡において、
前記各撮像素子の画素は、いずれも正方形状であることを特徴とする三板式電子内視鏡。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の三板式電子内視鏡において、
前記G用撮像素子の画素数をPgとすると、Pg=Pbの関係を有することを特徴とする三板式電子内視鏡。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の三板式電子内視鏡において、
前記G用撮像素子の画素数をPgとすると、Pr=Pgの関係を有することを特徴とする三板式電子内視鏡。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の三板式電子内視鏡において、
前記G用撮像素子と前記B用撮像素子の少なくとも一方の光学的位置は、前記水平方向と垂直方向の双方にずれていることを特徴とする三板式電子内視鏡。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の三板式電子内視鏡において、
さらに前記G用撮像素子と前記B用撮像素子の双方の光学的位置がずれていることを特徴とする三板式電子内視鏡。
【請求項8】
請求項7に記載の三板式電子内視鏡において、
前記G用撮像素子と前記B用撮像素子の各光学的位置は、G用撮像素子の1/2画素分ずれていることを特徴とする三板式電子内視鏡。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の三板式電子内視鏡と、
少なくとも前記三板式電子内視鏡が接続自在に構成されたプロセッサと、を有し、
前記プロセッサは、接続された前記三板式電子内視鏡から出力されるR、G、Bの各画像信号に対して、前記R用撮像素子の駆動周波数の2倍のサンプリング周波数でサンプリングを行い、所定の画像処理を施すことを特徴とする電子内視鏡システム。
【請求項10】
請求項9に記載の電子内視鏡システムにおいて、
単一の撮像素子を有する単板式電子内視鏡をさらに有し、
前記プロセッサは、前記三板式電子内視鏡と前記単板式電子内視鏡が択一的に接続されるように構成されており、接続された電子内視鏡を判別する判別手段を有しており、該判別手段により接続状態にあると判別された電子内視鏡に対応した画像処理を行うことを特徴とする電子内視鏡システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−136732(P2008−136732A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−327187(P2006−327187)
【出願日】平成18年12月4日(2006.12.4)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】