説明

上下二槽型の貯水槽構成用の内壁支柱部材及びそれを用いる上下二槽型の貯水槽

【課題】上下二槽型の貯水槽の施工性向上を図る。
【解決手段】上下二分割型の内壁支柱部材7と、全体が一体の外壁支柱部材9と、中間スラブ10と、上部スラブ12を用いて上下二槽型の貯水槽を構築する。内壁支柱部材7は、その上部と中間に上部受部25と中間受部21を有する。内壁支柱部材7は、下支柱部材13の上端に上支柱部材16が立設されてなる。内壁支柱部材7を一列に並設して内壁支柱部材列32を構成し、これを所要間隔で並設して内壁支柱部材並列体33を構成する。外壁支柱部材9は、その上部と中間に上部受部25と中間受部21を有する。外壁支柱部材9は、内壁支柱部材7の外周の全体を囲んで外壁囲枠体40を構成する。中間スラブ10が、同一高さの中間受部21,21間に架設されることによって中間仕切り部3が構成される。上部スラブ12は、同一高さの上部受部25,25間に架設されて水槽頂板部11を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下二槽型の貯水槽構成用の内壁支柱部材に関するものであり、又、該内壁支柱部材を用いて構成される上下二槽型貯水槽に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば地下に埋設されて大量の雨水を一時的に貯留し得ると共に、その上面を公園や駐車場等の人工施設として利用可能となされた、中間仕切り部によって上下二分割された上下二槽型の貯水槽の一例として、例えば特許文献1記載のものが提案されている。
【0003】
該上下二槽型貯水槽aは、図79に示すように、側方に突出する載置部bを一体に有すると共に該載置部bの下方の所定位置にて側方に突出する中間載置部cを一体に有する柱状体dを該載置部b及び該中間載置部cの突出方向と交差する方向に並列に地盤上に複数配設した複数の柱状体列eと、側方に突出する外枠載置部fを一体に有すると共に該外枠載置部fの下方の所定位置にて側方に突出する外枠中間載置部gを一体に有し、前記柱状体列eの外周を囲む外枠部hとを具えていた。又、互いに隣接する前記柱状体列e,eの前記柱状体dの載置部b,b間、及び、前記柱状体列eの前記柱状体の載置部bと前記外枠部hの前記外枠載置部fとの間に夫々架設される頂版部jと、互いに隣接する前記柱状体列e,eの前記柱状体dの前記中間載置部c,c間、及び、前記柱状体列eの前記柱状体の中間載置部cと前記外枠部hの前記外枠中間載置部gとの間に夫々架設された分割床版部kとを具えるものであった。
【0004】
このように特許文献1記載の上下二槽型の貯水槽aは、前記柱状体列eを構成する柱状体dが全体が一体に形成されると共に、前記柱状体列eの外周を囲む外枠部hも全体が一体に形成されていた。そして、前記分割床版部kが、互いに隣接する前記柱状体列e,eの前記柱状体d,dの中間載置部c,c間、及び、前記柱状体列eの前記柱状体dの中間載置部cと前記外枠部hの外枠中間載置部gとの間に架設されることによって中間仕切り部mを形成する構成を有していた。
【0005】
かかることから、前記のようにして複数の柱状体列e,eを構築した後に、前記分割床版部kを、互いに隣接する前記柱状体列e,eの前記柱状体d,dの中間載置部c,c間、及び、前記柱状体列eの前記柱状体dの中間載置部cと前記外枠部hの外枠中間載置部gとの間に架設せんとする場合は、該分割床版部kを、隣り合う載置部b,b間及び隣り合う載置部bと外枠載置部fとの間を通して吊り下ろす必要があった。
【0006】
その際、前記分割床版部kを、隣り合う前記載置部b,b間の狭い導入開放部nや、隣り合う前記載置部bと前記外枠載置部f間の狭い導入開放部pを通して、柱状体列e,e間の幅狭の空間部qや柱状体列eと外枠部hとの間の幅狭の空間部sに吊り下ろさなければならないのであるが、該分割床版部kの長さが該導入開放部n,pの開放幅よりも大きいために、前記分割床版部kを水平面内等で適宜回転させて吊り下ろさなければならなかった。
【0007】
又、前記分割床版部kを前記空間部q,sに吊り下ろした後も、該幅狭の空間部q,sにおいて該分割床版部kを適宜水平面内等で回転させて所要に位置決めを行ない、該分割床版部kの両端部分t,tを、隣り合う前記中間載置部c,cに載置し、又、前記載置部cと前記外枠中間載置部gに載置しなければならず、該分割床版部kの架設作業に慎重さと多くの手間を要して施工能率が悪く施工コストの上昇を招く問題があった。
【0008】
又、この種の上下二槽型の貯水槽は、一般に、大量の雨水を一時的に貯留し得る大容積のものであって、平面視で占める面積が大きかった。かかる大型の貯水槽を構築する際に配慮しなければならないことの一つは、狭い施工現場において、鉄筋や生コン等の各種資材の仮置き場をどこに設定するかである。かかる資材仮置き場は、重機による資材の取扱いを能率的に行ない得るように設定しなければならないし、又、施工現場周辺での交通障害を極力引き起こさないように設定しなければならない。かかる施工条件を緩和するための方策の一つとして、資材仮置き場を、施工空間部も含めて分散状態に設けることが考えられる。
【0009】
例えば特許文献1記載の貯水槽を構築する際に、資材を施工空間部に設置せんとするときは、図79に示されている前記空間部p,sを資材仮置き場とすることが考えられる。しかし、該空間部q,sは、上下に長くしかも幅の狭い空間であるために、該資材仮置き場に資材を吊り下ろしたり、或いは、仮置きされている資材を吊り上げる際に、資材が柱状体列eや外枠部hに当たらないように作業に慎重さを要して施工能率が悪い問題があった。又、資材の大きさによっては、これを該空間部に収容できない場合も生じた。又、これらの空間部p,sを施工管理室として利用せんとする場合も、スペースが狭すぎる問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−23687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、前記従来の上下二槽型の貯水槽の問題点に鑑みて開発されたものであり、中間仕切り部によって上下に分割された上下二槽型の貯水槽を構築するに際し、土圧に抵抗できる貯水槽を構築できるのは元より該中間仕切り部の施工性向上を期し得る貯水槽構成用の内壁支柱部材及びそれを用いる上下二槽型の貯水槽の提供を課題とするものである。又、広い資材仮置き場や広い施工管理室を施工空間部に好ましい分散状態に設けることを可能として貯水槽の施工能率の向上に寄与する上下二槽型の貯水槽構成用の内壁支柱部材及びそれを用いる上下二槽型の貯水槽の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するため、本発明は以下の手段を採用する。
本発明に係る上下二槽型の貯水槽構成用の内壁支柱部材は、上下方向の中間部に中間スラブが配設されることによって中間仕切り部が設けられると共に、上部には上部スラブが配設されることによって貯水槽頂版部が設けられてなる貯水槽を構築するために用いられる貯水槽構成用の内壁支柱部材であって、下支柱部材の上端に上支柱部材が立設状態に連結されてなり、該下支柱部材の左右の立面の上部には、前記中間スラブの端部分を下方から支持する中間受部が設けられると共に、前記上支柱部材の左右の立面の上部には、前記上部スラブの端部分を下方から支持する上部受部が設けられていることを特徴とするものである。
【0013】
前記上下二槽型の貯水槽構成用の内壁支柱部材において、前記上支柱部材の下端部分に、前記下支柱部材の上端で上方に向けて突設された垂直接合筋の夫々を挿入させるための下端開放のスリーブの多数を埋設し、該スリーブの側部にはその上下端側に上下の開口が設け、前記下端部分には、該上下の開口に連通し且つ該下端部分の外面で開放する上下の連通孔を設けるのがよい。
【0014】
前記上下二槽型の貯水槽構成用の内壁支柱部材において、前記下支柱部材の上面部に支持台部が上方に向けて突設し、該支持台部の上端面としての前記下支柱部材の上端に前記上支柱部材が立設状態に連結される如くなし、前記下支柱部材の上面部の内、該支持台部の左右両側の部分には、前記中間スラブの端部分を下方から支持する中間受部を設け、前記支持台部の上端面が、該中間受部で支持された状態にある前記端部分の上面と面一乃至該上面よりも上方に位置する如くなすのがよい。
【0015】
本発明に係る上下二槽型の貯水槽は、左右の立面の上下方向の中間部に、中間スラブの端部分を下方から支持する中間受部が設けられると共に、該左右の立面の上部に、上部スラブの端部分を下方から支持する上部受部が設けられてなる内壁支柱部材と、内側の立面の上下方向の中間部に、前記中間スラブの端部分を下方から支持する中間受部が設けられると共に、該内側の立面の上部には、前記上部スラブの端部分を下方から支持する上部受部が設けられてなる、全体が一体に形成された外壁支柱部材とを具えており、前記内壁支柱部材は、その前後の立面としての継手面部相互を当接状態にして一列に並設されることにより内壁支柱部材列を構成し、該内壁支柱部材列が左右方向に所要間隔で並設されることにより内壁支柱部材並列体を構成する如くなされている。又、前記外壁支柱部材は、前記内壁支柱部材並列体を構成する両外端の内壁支柱部材列の外方側において、両端の立面としての継手面部相互を当接状態にして並設されることにより、該内壁支柱部材と所要間隔を置いて外壁支柱部材列を構成する如くなされている。又、前記内壁支柱部材並列体の選択された内壁支柱部材列に関し、これを構成する内壁支柱部材の全部又はその一部は、下支柱部材の上端に上支柱部材が立設状態に連結されてなり、該下支柱部材の左右の立面の上部に、中間スラブの端部分を下方から支持する前記中間受部が設けられると共に、前記上支柱部材の左右の立面の上部には、前記上部スラブの端部分を下方から支持する前記上部受部が設けられてなる。そして、前記中間スラブが、同一高さで対向する前記中間受部間に架設され且つ前記端部分が該中間受部に固定されることによって中間仕切り部が設けられる如くなされており、又、前記上部スラブが、同一高さで対向する前記上部受部間に架設され且つ前記端部分が該上部受部に固定されることによって水槽頂板部が設けられる如くなされていることを特徴とするものである。
【0016】
前記上下二槽型の貯水槽において、前記内壁支柱部材は、全て、下支柱部材の上端に上支柱部材が立設状態に連結されてなり、該下支柱部材の左右の立面の上部には、前記中間スラブの端部分を下方から支持する前記中間受部が設けられると共に、前記上支柱部材の左右の立面の上部には、前記上部スラブの端部分を下方から支持する前記上部受部が設けられたものとして構成するのがよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によるときは、中間仕切り部によって上下二分割された上下二槽型の貯水槽を構築するに際し、土圧に抵抗できる貯水槽を構築できるのは元より該中間仕切り部の施工性向上を期し得る貯水槽構成用の内壁支柱部材及びそれを用いる上下二槽型の貯水槽を提供できる。又、広い資材仮置き場や広い施工管理室を施工空間部に好ましい分散状態に設けることを可能として貯水槽の施工能率の向上に寄与する上下二槽型の貯水槽構成用の内壁支柱部材及びそれを用いる上下二槽型の貯水槽を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る上下二槽型の貯水槽を示す全体斜視図である。
【図2】その一部欠切斜視図である。
【図3】その貯水槽頂版部が構成される前段階を示す斜視図である。
【図4】上下二槽型の貯水槽の一部断面平面図である。
【図5】上下二槽型の貯水槽を単位貯水槽の延長方向で見た断面図である。
【図6】上下二槽型の貯水槽を単位貯水槽の延長方向と直交する方向で見た断面図である。
【図7】内壁支柱部材を示す分解斜視図である。
【図8】内壁支柱部材を示す斜視図である。
【図9】内壁支柱部材の中間受部で中間スラブを支持し、上部受部で上部スラブを支持した状態を示す断面図である。
【図10】第1の外壁支柱部材を示す斜視図である。
【図11】第2の外壁支柱部材を示す斜視図である。
【図12】第3の外壁支柱部材を示す斜視図である。
【図13】外壁支柱部材の中間受部で中間スラブを支持し、上部受部で上部スラブを支持した状態を示す断面図である。
【図14】外壁支柱部材と内壁支柱部材とを用いて形成された中間仕切り部と貯水槽頂版部を示す断面図である。
【図15】上下の連通開口部による上下の単位貯水槽部相互の水の移動状態を示す説明図である。
【図16】上下の連通開口部を構成する内壁支柱部材を示す斜視図である。
【図17】形成された上下の連通開口部を示す斜視図である。
【図18】内壁支柱部材における下支柱部材と上支柱部材との連結構造及び、中間受部と中間スラブの端部分との接合構造を説明する断面図である。
【図19】上支柱部材の下端部分に設けられているスリーブの構成を示す斜視図と断面図である。
【図20】第1の中間スラブの一例を示す斜視図である。
【図21】第2の中間スラブの一例を示す斜視図である。
【図22】上部スラブを示す斜視図である。
【図23】内壁支柱部材並列体による中間スラブの支持状態を示す部分斜視図である。
【図24】上下二槽型の貯水槽の下部枠組の構成を示す斜視図である。
【図25】止水材が設けられてなる下支柱部材を示す斜視図である。
【図26】その下支柱部材の継手面部相互を当接させた状態を示す断面図と、下支柱部材の上端面の両側部分で止水材を設けた状態を示す断面図と、下支柱部材の台座部の上下の面部に止水材を設けた状態を示す断面図である。
【図27】第1の中間スラブと第2の中間スラブの架設によって構成された中間仕切り部を示す部分斜視図である。
【図28】外壁支柱部材の中間受部と中間スラブの端部分との接合状態を示す断面図である。
【図29】第2の中間スラブの当接によって構成された欠切開口部を示す斜視図である。
【図30】下支柱部材の上端に上支柱部材を立設状態に連結する作業工程を示す斜視図である。
【図31】下支柱部材の上端に上支柱部材を立設状態に連結した後、該上支柱部材と中間スラブとをサポート装置で連結した状態を示す側面図である。
【図32】その斜視図である。
【図33】サポート装置の構成を説明する斜視図である。
【図34】上支柱部材と中間スラブとをサポート装置で連結した状態を示す部分斜視図である。
【図35】サポート装置の他の態様を示す部分斜視図である。
【図36】内壁支柱部材の上部受部と上部スラブの端部分との接合構造を示す断面図である。
【図37】外壁支柱部材の上部受部と上部スラブの端部分との接合構造を示す断面図である。
【図38】上下二槽型の貯水槽の部分断面図である。
【図39】上下二槽型の貯水槽内に雨水を導入する構成の一例を示す断面図である。
【図40】上下の昇降用梯子を貯水槽に設けた状態を示す断面図である。
【図41】内壁支柱部材の複数個を連結一体化する構成の一例を示す斜視図と正面図と部分断面図である。
【図42】外壁支柱部材の複数個を連結一体化する構成の一例を示す斜視図と正面図と部分断面図である。
【図43】内壁支柱部材の複数個や外壁支柱部材の複数個を連結一体化する他の構成を示す断面図である。
【図44】中間仕切り部の梁状体としての機能を説明する平面図である。
【図45】下の貯水槽部から上の貯水槽部への水や空気の移動を説明する断面図である。
【図46】上支柱部材の他の態様を示す斜視図である。
【図47】その上支柱部材と下支柱部材との接合構造と、下支柱部材の中間受部と中間スラブの端部分との接合構造を示す断面図である。
【図48】上支柱部材の他の態様を示す斜視図である。
【図49】その上支柱部材と下支柱部材との接合構造と、下支柱部材の中間受部と中間スラブの端部分との接合構造を示す断面図である。
【図50】上支柱部材のその他の態様を示す斜視図である。
【図51】その上支柱部材と下支柱部材との接合構造と、下支柱部材の中間受部と中間スラブの端部分との接合構造を示す断面図である。
【図52】下支柱部材の上端部分にスリーブを埋設してなる内壁支柱部材を示す分解斜視図である。
【図53】下支柱部材の上端部分にスリーブを埋設してなる内壁支柱部材の構成を、その中間受部と中間スラブの端部分との接合構造と共に示す断面図である。
【図54】下支柱部材に中間スラブが設けられてなる内壁支柱部材の他の態様を示す斜視図である。
【図55】下支柱部材の上端部分にスリーブを埋設してなる内壁支柱部材の構成を、その中間受部と中間スラブの端部分との接合構造と共に示す断面図である。
【図56】下支柱部材の上端部分にスリーブを埋設してなる内壁支柱部材の他の態様を示す斜視図である。
【図57】下支柱部材の上端部分にスリーブを埋設してなる内壁支柱部材の構成を、その中間受部と中間スラブの端部分との接合構造と共に示す断面図である。
【図58】下支柱部材の上端部分にスリーブを埋設してなる内壁支柱部材の他の態様を示す斜視図である。
【図59】下支柱部材の上端部分にスリーブを埋設してなる内壁支柱部材の構成を、その中間受部と中間スラブの端部分との接合構造と共に示す断面図である。
【図60】下支柱部材と上支柱部材との連結状態の他の態様を示す正面図と部分断面図である。
【図61】資材仮置き場や施工管理室を設ける場合の施工工程を示す斜視図である。
【図62】内壁支柱部材列を構成するに際し、二分割型の内壁支柱部材と一体型の内壁支柱部材とを組み合わせて構成した場合を示す斜視図である。
【図63】上下二槽型の貯水槽の他の態様を示す平面図である。
【図64】上下二槽型の貯水槽のその他の態様を示す平面図である。
【図65】上下二槽型の貯水槽のその他の態様を示す平面図である。
【図66】第1の中間スラブの他の態様を示す斜視図である。
【図67】第1の中間スラブのその他の態様を示す斜視図である。
【図68】第2の中間スラブの他の態様を示す斜視図である。
【図69】第2の中間スラブのその他の態様を示す斜視図である。
【図70】第2の中間スラブのその他の態様を示す斜視図である。
【図71】独立開口部が隣り合わせて設けられてなる第2の中間スラブを示す斜視図である。
【図72】その使用状態を示す斜視図である。
【図73】二分割型の内壁支柱部材の第1の中間受部の他の態様を示す斜視図と正面図である。
【図74】その他の態様を示す斜視図と正面図である。
【図75】外壁支柱部材の第2の中間受部の他の態様を示す斜視図と側面図である。
【図76】止水材が設けられてなる上支柱部材の他の態様を示す斜視図である。
【図77】止水材が設けられてなる第1の外壁支柱部材を示す斜視図である。
【図78】止水材が設けられてなる第2の外壁支柱部材を示す斜視図である。
【図79】止水材が設けられてなる第3の外壁支柱部材を示す斜視図である。
【図80】従来の貯水槽を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0019】
本発明に係る上下二槽型の貯水槽(以下貯水槽ともいう)1は、例えば図1、図4に示すように、平面視で、後述する単位貯水槽2の延長方向に長い長方形状に構成されており、図5〜6に示すように、中間仕切り部3によって上の貯水槽部5と下の貯水槽部6とに上下に分割されている。そして該貯水槽1は、図2に示すように、プレキャストコンクリート製の内壁支柱部材7と、プレキャストコンクリート製の外壁支柱部材9と、該内壁支柱部材7と該外壁支柱部材9の上下方向の中間部位置に配設されて前記中間仕切り部3を構成するプレキャストコンクリート製の中間スラブ10と、該内壁支柱部材7と該外壁支柱部材9の上部位置に配設されて貯水槽頂板部11を構成するプレキャストコンクリート製の上部スラブ12とを具えている。
【0020】
前記内壁支柱部材7は、本実施例においては図6に示すように、その全てが、上下二分割型のものであり、図7〜9に示すように、下支柱部材13の上端15に上支柱部材16を立設状態に連結して構成されている。そして該下支柱部材13は、その左右の立面17,19の上部に、前記中間スラブ10の端部分20,20を下方から支持する中間受部21,21(以下第1の中間受部21a,21aともいう)が設けられると共に、前記上支柱部材16の左右の立面22,23の上部には、前記上部スラブ12の端部分27,27を下方から支持する上部受部25,25(以下第1の上部受部25a,25aともいう)が設けられている。
【0021】
又、前記外壁支柱部材9は図10〜12、図13に示すように、全体が一体に形成されると共にその内側の立面26の上下方向の中間部に、前記中間スラブ10の端部分20を下方から支持する中間受部21(以下第2の中間受部21bともいう)が設けられると共に、該内側の立面26の上部には、前記上部スラブ12の端部分27を下方から支持する上部受部25(以下第2の上部受部25bともいう)が設けられている。
【0022】
そして、二分割型の前記内壁支柱部材7は、図2、図4、図5、図23に示すように、その前後の立面29,30としての継手面部31,31を互いに当接状態にして1列に並設されることにより内壁支柱部材列32を構成でき、該内壁支柱部材列32が左右方向に所要間隔で並列されることにより内壁支柱部材並列体33を構成できる。又、前記外壁支柱部材9は、図2〜4に示すように、該内壁支柱部材並列体33を構成する両外端の内壁支柱部材列32a,32aの外方側において該内壁支柱部材列32a,32aと所要間隔を隔てて、両端の立面35,36としての継手面部37,37を互いに当接状態にして並設されることにより外壁支柱部材列39,39を構成できる。本実施例においては、図1〜2に示すように、前記内壁支柱部材並列体33の外周の全体を囲むように外壁支柱部材9が並設されることにより、図1〜4に示すように外壁囲枠体40を構成するようになされている。
【0023】
又、前記中間スラブ10が、図14、図3〜4、図6に示すように、同一高さで対向する前記第1の中間受部21a,21a間に、本実施例においてはその側部41,41相互を当接させて架設(図4)されると共に、同一高さにある前記第1の中間受部21aと前記第2の中間受部21b間に、本実施例においてはその側部41,41相互を当接させて架設されることによって、前記中間仕切り部3が構成される如くなされている。そして、前記上部スラブ12が、同一高さで対向する前記第1の上部受部25a,25a間に、側部42,42相互を当接させて架設(図2)されると共に、同一高さにある前記第1の上部受部25aと前記第2の上部受部25b間に、側部42,42相互を当接させて架設されることによって、図2に示す貯水槽頂板部40が構成される如くなされている。
【0024】
かかる構成を有する上下二槽型の貯水槽1は、図2、図5に示すように、隣り合う内壁支柱部材列32,32間及び、両外端の内壁支柱部材列32aとこれと対向する外壁支柱部材列39との間に単位貯水槽2が構成されており、各単位貯水槽2は、前記中間仕切り部3によって下の単位貯水槽部43と上の単位貯水槽部45に二分割されている。そして図5、図15に示すように、前記下の貯水槽部6と前記上の貯水槽部5にあって、隣り合う下の単位貯水槽部43,43相互、隣り合う上の単位貯水槽部45,45相互が、夫々、前記内壁支柱部材列32の上下に適宜設けた上下の連通開口部46,47で連通されている。該連通開口部46は、図5においては、内壁支柱部材列32の長さ方向の両側部分と中央部分に設けられている。該上下の連通開口部46,47は、図15に矢印で示すように、隣り合う下の単位貯水槽部43,43相互、隣り合う上の単位貯水槽部45,45相互で水を行き来させると共に、貯水槽1の内部を清掃する際に人や作業機の出入りを可能とする出入り用開口部としても機能する。
【0025】
以下、かかる構成を有する上下二槽型の貯水槽1を具体的に説明する。図7〜9は、下支柱部材13の上端15に上支柱部材16を立設状態に連結して構成された内壁支柱部材7の一例を示すものである。該下支柱部材13は図7、図9に示すように、横断面がI字状に形成されており、その上面部48とその下面部49は水平面に形成され、その前後の垂直な立面が下の継手面部31a,31aとされている。そして、前記下支柱部材13の上面部48には支持台部50が上方に向けて突設されており、該支持台部50の上端面51としての前記上端15に前記上支柱部材16が立設状態に連結される如くなされている。又、前記下支柱部材13の上面部48の内、該支持台部50の左右両側には、前記中間スラブ10の端部分20を下方から支持する中間受部21,21が設けられており、前記支持台部50の上端面51は、図9に示すように、該中間受部21で支持された状態にある該端部分20の上面52と面一乃至該上面52よりも上方に位置するようになされている。図9においては、上面52よりも上方に位置する場合が示されている。
【0026】
該下支柱部材13はより具体的には、図7〜9に示すように、矩形板状を呈する下の立壁部53の左右の立面17,19の上部分に、両側に張り出すように上の突出部55,55が突設されると共に、該立面17,19の下部分に、両側に張り出すように下の突出部56,56が突設されている。該下の突出部56,56の上面は、外方に向けて下方に傾斜する傾斜面57,57として形成されると共に、その下端縁59,59に垂直面60,60が連設されており、これによって、下支柱部材13の下端部分には、前後方向で見て山形状を呈する台座部61が設けられている。本実施例においては、前記垂直面60の上下方向の中央部位において、前後方向に延長する台形溝部62,62が左右対向状態で設けられている。
【0027】
又、前記上の突出部55,55は、図7(B)に示すように、その下面が、外方に向けて上方に傾斜する傾斜面63,63として形成されると共に、その上端縁65,65には垂直面66,66が連設されている。本実施例においては、前記上の突出部55,55の面一の上面が構成する前記上面部48の左右方向の中央部分において、上方に突出する前記支持台部50が前後方向に延長して設けられている。そして、該支持台部50の前後の側面68,69は垂直面として構成されており、前記下の立壁部53の前後の垂直な立面70,71の上部分を構成している。又、該支持台部50の左右の側面72,73は垂直面として形成されると共にその上端面51は水平面として形成されている。そして、かかる構成を有する前記支持台部50の左右両側には、前記中間スラブ10の端部分20,20を下方から支持する前記中間受部21,21(第1の中間受部21a,21a)が設けられており、その上面は、下の水平載置面75,75とされている。そして該左右の下の水平載置面75,75には、図7、図18に示すように、前記中間スラブ10の端部分20を接合するための接合用ボルト76(図18)の下端部分77がねじ込まれるインサート79が、前後方向に所要間隔で埋設されている。本実施例においては、図7〜8に示すように、該下の水平載置面75の両端側部分と中央部分の3箇所で埋設されている。
【0028】
図16〜17の下側部分には、前記下の連通開口部47を構成するために用いられる下支柱部材13の一例が示されている。前記下の立壁部53の前後方向の一方側で略1/2幅部分が欠切されて、上下に長い側部欠切部80が形成されており、隣り合う側部欠切部80,80の合致によって、図17に示す前記下の連通開口部47が構成されるようになされている。
【0029】
一方、前記上支柱部材16は、図7〜9に示すように、矩形板状を呈する上の立壁部81の左右の立面22,23の上部に上の突出部88,88が突設されてなる横断面がT字状に構成されており、その上面部86と下面部87は水平面に形成されている。そして、該上の立壁部81の前後長さは、前記下の立壁部53の前後長さに等しく設定されており、該上の立壁部81の前後の垂直な立面78,84が上の継手面部31b,31bとされている。又、左右の該上の突出部88,88の下面は、外方に向けて上方に傾斜する傾斜面89,89として形成されると共に、その上端縁90,90には垂直面91,91が連設されている。
【0030】
本実施例においては、図7〜9に示すように、前記上の立壁部81の下面部87の左右幅は前記支持台部50の水平な上端面51の左右幅に等しく設定されている。そして左右の前記上の突出部88,88は、前記上部スラブ12の端部分27を下方から支持する前記上部受部25,25(第1の上部受部25a,25a)を構成しており、その上面(前記上面部86の左右両側部分)は上の水平載置面92,92とされている。
【0031】
図16〜17の上側部分には、前記上の連通開口部46を構成するために用いられる上支柱部材16の一例が示されている。前記上の立壁部81の前後方向の一方側で略1/2幅部分が欠切されて、下端開放の上下に長い側部欠切部93が形成されており、隣り合う側部欠切部93,93の合致によって前記上の連通開口部46が構成されるようになされている。
【0032】
然して図8に示すように、該上支柱部材16の下面部87を前記支持台部50の水平な上端面51に位置合わせして載置することにより、該支持台部50の左右の側面72,73は、前記上支柱部材16の上の立壁部81の左右の立面22,23に夫々、垂直に一連に連なり、全体として垂直面を呈する。
【0033】
又、該左右の上の水平載置面92,92には、図8、図36に示すように、前記上部スラブ12の端部分27を接合するための接合用ボルト76の下端部分77がねじ込まれるインサート79が、前後方向に所要間隔で埋設されている。本実施例においては、図7〜8に示すように、該上の水平載置面92の両端側部分と中央部分の3箇所で埋設されている。
【0034】
図8は、かかる構成を有する上支柱部材16の下面部87を前記支持台部50の上端面51に位置合わせして載置して構成された内壁支柱部材7を示すものである。かかる構成を有する内壁支柱部材7の、上下連続する前後の垂直な立面は継手面部31,31とされている。該継手面部31は、前記下の継手面部31aの上端に上の継手面部31bが垂直に一連に連なって形成されている。
【0035】
ここで、下支柱部材13の上端15に上支柱部材16を立設状態に連結するための連結手段の一例を説明する。本実施例においては図7、図18、図19(A)(B)に示すように、前記支持台部50の上端面51の左右両側に位置させて、前後方向に所要間隔で多数本の垂直接合筋95,95を突設状態としておく。一方、前記上の立壁部81の下端部分96には、該垂直接合筋95の夫々を挿入させるためのスリーブ97の多数個が、その下端98を前記下面部87で開放させて埋設されている。該スリーブ97の挿入孔99の内径は、前記垂直接合筋95の径よりも稍大きい。そして、該スリーブ97の側部100には、図18〜19に示すように、その上下端側に上下の開口101,102が設けられている。前記垂直接合筋95の径は例えば22mmに設定されると共に、前記スリーブ97の内径は例えば35mmに設定されている。
【0036】
そして前記上の立壁部81の下端部分96には、図18〜19に示すように、該上下の開口101,102に連通し且つ前記左右の立面22,23(該下端部分96の外面)で開放する上下の連通孔103,105が水平状態に設けられている。然して、前記挿入孔100に前記垂直接合筋95が挿入された状態で、該下の連通孔105に、図示しない充填装置の注入パイプを差し込み、該注入パイプと前記下の連通孔105を介して、図19(B)に矢印で示すように、前記挿入孔99に所要圧力で無収縮モルタルやグラウト等の充填材107を注入する。この注入により該充填材107は、前記上の連通孔103の上の開放端109から排気されつつ行なわれ、該充填材107が該開放端109から漏れ出たことを以て、前記スリーブ97内に充填材107が充填されたことを確認できる。その後、図18に示すように、前記上下の開放端109,106を栓110,110で塞ぐ。このようにして充填された充填材107が硬化することにより、下支柱部材13の上端15に上支柱部材16が安定した立設状態で連結されて前記内壁支柱部材7が構成されることとなる。
【0037】
かかる連結によって構成された内壁支柱部材7は、前記下支柱部材13の前記継手面部31aと前記上支柱部材16の前記継手面部31bとが垂直に連なることによって、上下方向に延長する前記継手面部31(図8)が形成される。
【0038】
かかる構成を有する内壁支柱部材7の上下高さは例えば7550mmに設定される。又、前記下の水平載置面75の高さは例えば3550mmに設定されると共に、前記上の水平載置面92の高さは、例えば7550mmに設定される。そして、内壁支柱部材7の下面112(図8)の左右幅は例えば1000mmで、その上面111(図8)の左右幅は例えば900mmに設定されている。又、かかる構成を有する内壁支柱部材7の前後方向の長さは、構築すべき貯水槽の容量を考慮して2種類とされ、例えば1500mmのものと1000mmのものである。
【0039】
前記外壁支柱部材9には、貯水槽中間部分に位置する第1の外壁支柱部材9aと、貯水槽コーナ部114に位置する第2の外壁支柱部材9bと、前記内壁支柱部材列32の端部に連なる第3の外壁支柱部材9cの3種類がある。
【0040】
該第1の外壁支柱部材9aは、図10に示すように、上下方向に長い矩形板状を呈する一体物の立壁部113の内側の立面26の上部と下部に上下の突出部115,116が突設され、又、該内側の立面26の中間部には中間の突出部119が設けられている。該第1の外壁支柱部材9aは、全体として、縦断面がE字状に形成されている。そして、その上面120と下面121が水平面に形成されると共に、前記立壁部113の両端の垂直な立面122,123が継手面部125,125とされている。
【0041】
該下の突出部116は、その上面が、内方に向けて下方に傾斜する傾斜面126として形成されると共にその下端縁127に垂直面129が連設されており、台座部128を構成する。本実施例においては、該垂直面129の上下方向の中央部分において、前後方向に延長する台形溝部130が設けられている。
【0042】
又前記上の突出部115は、その下面が、内方に向けて上方に傾斜する傾斜面131として形成されると共に、その上端縁132には垂直面133が連設されている。該上の突出部115は前記上部スラブ12の端部分27を下方から支持する前記上部受部(第2の上部受部25b)25を構成し、その上面は上の水平載置面135とされており、該上の水平載置面135は、前記第1の上部受部25aの上の水平載置面92と同高さに設定されている。
【0043】
又前記中間の突出部119は、その下面が、内方に向けて上方に傾斜する傾斜面136として形成されると共にその上端縁137に垂直面139が連設され、その上端縁137には、前記内側の立面26に向かう水平面140が連設されている。該中間の突出部119は、前記中間スラブ10の端部分20を下方から支持する前記中間受部(第2の中間受部21b)21を構成し、その上面は下の水平載置面141を構成しており、前記第1の中間受部21aの前記下の水平載置面75と同高さに設定されている。
【0044】
前記第2の外壁支柱部材9bは、貯水槽のコーナ部114に配設されるものであり、図11に示すように、横断面L字状を呈する立壁部142の内側の立面26の上部と上下方向の中間部と下部の夫々に、上の突出部143と中間の突出部145と下の突出部146が突設され、上面147と下面149は水平面に形成され、両端の垂直な立面が継手面部125,125とされている。
【0045】
そして、該下の突出部146によって台座部128が形成されており、前記中間の突出部145は、平面視でL字状を呈している。又、前記上の突出部143は平面視でL字状を呈している。又、前記中間の突出部145は、前記中間スラブ10の端部分(コーナ部分)20を下方から支持する前記中間受部(第2の中間受部21b)21を構成しており、その水平面は下の水平載置面141とされている。そして、該下の水平載置面141は前記第1の中間受部21aの下の水平載置面75と同高さに設定されている。又、上の突出部143は、前記上部スラブ12の端部分27を下方から支持する前記第2の上部受部25bとされており、その水平な上面が上の水平載置面135とされている。該上の水平載置面135は、前記第1の上部受部25aの上の水平載置面92と同高さにある。
【0046】
前記第3の外壁支柱部材9cは、図12に示すように、上下方向に長く一体に形成された矩形板部155の内側の立面26の幅方向の中央部分に、上下方向に連続する継手突条部156を一体に突設してなるT字状を呈する立壁部157を具えている。そして、該継手突条部156と該矩形板部155とが構成する左右の入隅部分159,159を仕切るように、該T字状の立壁部157の下部の左右に下の突出部160,160が設けられると共に、該T字状の立壁部157の上下方向の中間部に左右の中間の突出部161,161が突設されており、又、該T字状の立壁部157の上部に、左右の上の突出部162,162が突設されている。
【0047】
これによって、該第3の外壁支柱部材9cは、その両端の垂直な立面が継手面部125,125とされると共に、前記継手突条部156の垂直な先端面が、前記内壁支柱部材列32の垂直な端面166に当接し得る垂直な継手面部125とされている。
【0048】
前記左右の下の突出部160,160は、第3の外壁支柱部材9cの台座部128を構成する。そして、前記左右の中間の突出部161,161は、前記第2の中間受部21b,21bを構成しており、その水平な上面は、前記中間スラブ10の端部分20(コーナ部分)を載置する下の水平載置面141とされている。該下の水平載置面141は、前記第1の中間受部21aの下の水平載置面75と同高さに設定されている。
【0049】
又、前記左右の上の突出部162,162は、前記第2の上部受部25b,25bを構成しており、その水平な上面は、前記上部スラブ12の端部分27(コーナ部分)を載置する上の水平載置面135とされている。該上の水平載置面135は、前記第1の上部受部25aの上の水平載置面92と同高さに設定されている。
【0050】
前記中間スラブ10には2種類がある。第1の中間スラブ10aは図20に示すように、矩形板状に形成されており、その長辺169の長さは例えば4560mmに設定されると共にその短辺170の長さは2500mmに設定され、その厚さ(上下方向で見た厚さ)は300mmに設定されている。又、該第1の中間スラブ10aの短辺側部分171,171には、前記接合用ボルト76を挿通させるための接合用貫通孔172が該短辺170の延長方向に並設されている。本実施例においては5個が並設されている。該接合用貫通孔172は、本実施例においては図18、図28に示すように、下端173から上端175に向けて拡大し且つ短辺170の延長方向に稍長い、平面視で楕円形状を呈するテーパ孔として形成されており、その下端173の孔径は、前記接合用ボルト76の径よりも大きく設定されている。例えば、前記接合用ボルト76の径が22mmに設定されると共に前記下端173の短軸長さが34mmに設定されている。
【0051】
又、第2の中間スラブ10bは、図21に示すように、矩形板状を呈する前記第1の中間スラブ10aの長辺側(両側部分)176,176の中央部分が内側に欠切されることによって、欠切開口部177,177が形成された形態を有している。本実施例においては、内側に対称形態で凹むように五角形の山形に大きく欠切されることにより該欠切開口部177,177が形成されている。該欠切開口部177,177の、直線状を呈する先端縁部179,179間は、前記長辺169の延長方向(前記内壁支柱部材列32の延長方向と直交する方向)に長い、例えば500mm幅の細幅の繋ぎ板部180とされており、該繋ぎ板部180は、両側の幅広部181,181を繋いでいる。
【0052】
又前記上部スラブ12は、図22に示すように矩形板状に形成されており、その長辺182の長さは例えば4730mmに設定されると共に、その短辺183の長さは例えば2500mmに設定されている。そして、該短辺側部分185,185には、前記中間スラブ10におけると同様の構成で、前記接合用ボルト76を挿通させるための接合用貫通孔172が該短辺の延長方向に並設されている。
【0053】
次に、前記構成を有する内壁支柱部材7と外壁支柱部材9と中間スラブ10と上部スラブ12とを用いて前記上下二槽型の貯水槽1を構築する施工工程を説明する。
【0054】
先ず図5、図14に示すように、貯水槽を構築すべき場所を掘削して形成した施工空間部の底部に基礎コンクリート186を形成した後、例えば図24〜25に示すように、前記下支柱部材13を、その前後の継手面部31a,31aを互いに当接状態にして一列に並設することにより下支柱部材列187を構成する。本実施例においては、一方の継手面部31a1に、例えば図25〜26に示すようにI字状等に止水材(15mm幅)189を付設しておくのがよい。該止水材189の付設は、例えば、ブチルゴム製等の帯状片を接着して行なうことの他、エポキシ樹脂やウレタン樹脂等の止水性の樹脂を塗布して行なうこともできる。このように止水材189を介在させる場合も、前後の継手面部31a,31aを互いに当接状態にした場合に該当する。このように止水材189を介在させれば、図24、図26(A)に示すように下支柱部材列187が構成された状態で、前後の継手面部31a,31a間に進入した貯留水が基礎部分に漏洩するのをより確実に防止できることになって好ましい。図25、図26(B)においては、前記上端面51に、前記インサート79を左右から挾むように止水材189,189が配設されているが、該止水材189,189は、前記接合用貫通孔172に充填材107を充填した際に(図18)この充填材107が漏れるのを極力防止する。又、前記台形溝部62,62を挾んだ上下の面部232,232にも、図25、図26(C)に示すように、水平状態で止水材189が付設されている。このように構成した該下支柱部材列187を左右方向に所要間隔で並設することにより、図24に示すように、下支柱部材並列体190を構成する。該下支柱部材列187,187間の間隔は、例えば4600mm程度に設定する。
【0055】
その後、例えば図3、図6、図13、図24に示すように、前記外壁支柱部材9を、前記下支柱部材並列体190を構成する両外端の下支柱部材列187a,187aの外方側において、前記継手面部37,37相互を当接状態にして並設することにより両側の外壁支柱部材列184,184を形成する。
【0056】
本実施例においては、前記外壁支柱部材9を、前記下支柱部材並列体190の外周を囲むように、前記継手面部37,37相互を当接状態にして並設することにより前記外壁囲枠体40を構成する。
【0057】
この際、図3〜4、図11、図24に示すように、貯水槽1のコーナ部114,114,114,114に、前記第2の外壁支柱部材9bを前記内側の立面(入隅部)26を内側に向けて立設状態とする。又、所要幅寸法を有する前記第3の外壁支柱部材9cを、前記継手突条部156の継手面部125を前記下支柱部材並列体187の端部に位置する下支柱部材13aの継手面部31a(前記垂直な端面166)と当接させて立設状態とする。そして、前記貯水槽1の長辺側においては、コーナ部114,114に位置する前記第2の外壁支柱部材9b,9b間に、前記第1の外壁支柱部材9aを、前記内側の立面26を内方に向けて、且つ、隣り合う第1の外壁支柱部材9a,9aの前記継手面部37,37相互を当接状態にして立設する。又、前記貯水槽1の短辺側においては、コーナ部114,114に位置する前記第2の外壁支柱部材9bと前記第3の外壁支柱部材9cとの間及び、隣り合う第3の外壁支柱部材9c,9c間に、所要幅寸法を有する前記第1の外壁支柱部材9aを、その内側の立面26を内方に向けて且つ継手面部37,37相互を当接状態にして立設する。
【0058】
これにより図24に示すように、構成された外壁囲枠体40の内側に、それよりも高さの低い下支柱部材並列体190の複数列が配設されてなる、貯水槽の下部枠組191が構成されることになる。
【0059】
その後、図14、図3〜4、図27、図23に示すように、前記中間スラブ10を、同高さで対向する前記第1の中間受部21a,21a間に、その側部41,41相互を当接させて架設する(図4)と共に、同高さにある前記第1の上部受部25aと前記第2の上部受部25bとの間に、側部41,41相互を当接させて架設することによって、前記中間仕切り部3を構成できる。
【0060】
該中間スラブ10の架設は、図14に示すように、その両端部分20,20を、前記下の水平載置面75,75、75,141に載置して行なわれる。このようにして載置した状態で、図18に示すように、前記支持台部50の上端面51が、該端部分20の上面52と面一乃至該上面52よりも上方に位置する。本実施例においては、該上面52よりも稍上方に位置する。この載置の際、図18、図28に示すように、前記第1、第2の載置面75,141で立設されている接合用ボルト76を前記接合用貫通孔172に挿入させ、その後、該接合用貫通孔172内に、無収縮モルタルやグラウト等の充填材107を充填する。該充填材107の硬化によって該端部分20を中間受部21に固定できる。そして、該中間スラブ10の端面部195と前記支持台部50の左右の側面72,73との間に例えば70mm程度の溝幅を有する間隙部分196が形成される。このような大きな溝幅を有する間隙部分196を形成することにより、前記中間スラブ10や下支柱部材13等の製造誤差、施工誤差が生じた場合にこれを吸収できるのは元より、これらの誤差が生じたときも、該間隙部分196に前記充填材107を確実に充填でき、該中間スラブ10と前記支持台部50とを一体化できることになる。
【0061】
本実施例においては図4に示すように、貯水槽1の、前記内壁支柱部材列32の延長方向F1で見た両端側の部分で架設される中間スラブ10の、該延長方向と直交する方向F2に延長する4列分については、図20に示す矩形板状を呈する前記第1の中間スラブ10aを用いることとし、これにより、中間仕切り部3の両側部分199,199に、水平な平坦面部を形成するようになされている。そして該両側部分199,199間200には、図21に示す第2の中間スラブ10bが架設されており、前記内壁支柱部材列32の延長方向F1で見て隣り合う欠切開口部177,177の合致によって、図4、図29に示すように、例えば亀甲状を呈する比較的大きな前記点検用開口部201が形成されるようになされている。これにより、図3、図27に示すように、外壁囲枠体40の内側に、上面202が水平である前記中間仕切り部3が形成された状態が得られる。
【0062】
その後、図23、図8〜9に示すように、前記下支柱部材13の上端15に前記上支柱部材16を立設状態に連結することによって前記内壁支柱部材7を構成でき、これによって前記内壁支柱部材列32を形成できる。
【0063】
これらによって、図2〜4に示すように、前記両側の外壁支柱部材列184,184によって貯水槽1の長辺側の側面板部188が構成されると共に、前記対向する第2の外壁支柱部材9b,9b間に立設された第1の外壁支柱部材9aと第3の外壁支柱部材9cとによって貯水槽1の短辺側の端面板部203が構成される。なお、前記のようにして外壁囲枠体40を構成する際、前記下支柱部材列187を図24に示す左側から右側に向けて延長するように構成するときは、先ず、図24に示す左側の端面板部203を形成するのがよい。
【0064】
次に、前記下支柱部材13の上端15に前記上支柱部材16を立設状態に連結する要領を図18、図30〜34に基づいて説明する。先ず図30に示すように、該上支柱部材16をクレーンで吊り下ろして前記下支柱部材13の上端(本実施例においては前記支持台部50の上端面51)15に載置する。その際、前記垂直接合筋95の夫々を、対応の前記スリーブ97の挿入孔99(図18)に挿入すると共に、該上支柱部材16の垂直状態を調整し且つこの調整状態を保持する。そのために、例えば図31〜34に示すように、該上支柱部材16の左右両側において、両側の中間スラブ10,10の上面205,205と該上支柱部材16の左右の立面22,23とを、長さ調整可能なサポート装置204,204を用いて連結するのがよい。該サポート装置204は、図33〜34に示すように、該立面22,23と該中間スラブ10の上面205に固定される掛着部材206,206と、長さ調整可能なサポート軸207とから構成されており、該掛着部材206は、前記上面205、前記立面22,23に埋設されたインサート209に螺合される固定ボルト210で固定された取付板211に、U字状係合片212の両端部分213,213を固定して構成されている。
【0065】
又該サポート軸207は、両端部分が逆ネジのネジ筒部215,215として形成されたパイプ部材216と、逆ネジである該両ネジ筒部215,215に螺合されるネジ軸部材217と、該ネジ軸部材217の端部に設けられて前記U字状係合片212に引っ掛けられるフック部材219とを具えており、該ネジ筒部215,215に対する該ネジ軸部材217の螺合状態を調整することによって該サポート軸207の長さを調整可能となされている。なお前記掛着部材206,206は、例えば図35に示すような、アイボルト206aを用いて構成する等、掛着可能な各種部材を用いて構成できる。
【0066】
然して、上下のフック部材219,219を上下のU字状係合片212,212に引っ掛けた状態で前記パイプ部材216を所要量回転させることにより、左右のサポート装置204,204によって前記上支柱部材16の垂直状態を調整でき、この調整状態を図31〜32に示すように保持できる。このようにして上支柱部材16を垂直に立設した状態で、図18に示すように、前記スリーブ97内に、前記要領により無収縮モルタルやグラウト等の充填材107を充填する。併せて、前記間隙部分196にも該充填材107を充填する。該左右のサポート軸207,207は、該充填材107が硬化した後に取り外される。
【0067】
その後、図14に示すように、前記上部スラブ12を、同一高さで対向する前記第1の上部受部25a,25a間に、側部220,220相互を当接させて(図2)架設すると共に、同一高さにある前記第1の上部受部25aと前記第2の上部受部25bとの間に、側部220,220相互を当接させて架設する。この架設は、該上部スラブ12の端部分27を前記上の水平載置面92,92,135に載せて行なわれる。この載置の際、図36、図37に示すように、前記接合用ボルト76を前記接合用貫通孔172に挿入し、該接合用貫通孔172内に無収縮モルタルやグラウト等の充填材107を充填する。該充填材107の硬化によって、該端部分27を該第1、第2の上部受部25a,25bに固定できる。この上部スラブ12の架設によって貯水槽頂板部11が構成される。これにより、前記単位貯水槽2が並設され、該単位貯水槽2が上下の単位貯水槽部5,6に分割されており、全体として上下の貯水槽部5,6を具える貯水槽(図2、図5、図6)1が構築される。
【0068】
本実施例においては、図14に示すように、上部スラブ12の架設によって、前記上支柱部材16の上面部86には、隣り合う上部スラブ12,12の向き合う端面部221,221間に、例えば270mm程度の溝部分222が形成されるようになされている。又、前記外壁囲枠体40の上面部分には、上部スラブ12の端面部221の外側に、例えば450mm程度の幅を有する凹部223が周方向に連続して形成されるようになされている。然して図5〜6、図14に示すように、架設された上部スラブ12の上面225及び前記溝部分222、前記凹部223にコンクリートを現場打ちして現場打ち部226を形成し、その上に盛土した後、その上にアスファルト舗装をする等すれば、貯水槽の上部空間を公園や駐車場等として利用できることとなる。
【0069】
ここで前記貯水槽1を構築する際の施工工程について補足説明すれば以下の通りである。図38は、貯水槽1の底部227(図5〜6、図9、図13〜14、図15、図23〜24)を形成するに際して、隣り合う内壁支柱部材列32,32の台座部61,61間、内壁支柱部材列32の台座部61と外壁支柱部材列39の台座部128との間に底部コンクリート230を打設した状態を示すものである。この打設に先立って、該台座部61,61間に適宜の配筋231が施されるのであるが、そのために例えば図38に示すように、前記下支柱部材13の台座部61を構成する前記垂直面60(図8)の前記台形溝部62を挟む上下の面部232,232(図8)に水平突出し筋233,233を突設しておき、或いは、施工現場において、該上下の面部232,232に埋設したインサートに水平突出し筋233の端部分をねじ込んでおく。そして、対向する水平突出し筋233,233相互が繋ぎ筋239で適宜連結される。
【0070】
又、前記上部スラブ12上に前記現場打ち部226を形成するに先立って配筋するに際しては、前記上部スラブ12,12間に形成された溝部分222において、水平突出部240を有する屈曲突出筋241を突設すると共に、前記外壁支柱部材9の前記凹部223において、水平突出部243を有する屈曲突出筋245を突設する。そして、前記上部スラブ12の端部分27を、該水平突出部243と前記上面120との間に挿入状態とする。その後、対向する水平突出部240,243相互が繋ぎ筋246で適宜連結される。
【0071】
又、貯水槽1内への雨水の導入の構成の一例を説明すれば、図1、図39において符号247(その他の図では記載していない)は、貯水槽1の一方の長辺側249で且つ一方の短辺側250に寄せて設けられた雨水導入用のスロープである。該スロープ247は、傾斜部251が上下の貯水槽部5,6に跨がるように、他方の短辺側252に向けて下方に傾斜して設けられており、その下端部分253が貯水槽1の底面255上に設置されている。又、該スロープ247の水平な上端部分256は、前記一方の短辺側250に設けられた流入管257に連設されている。そして、該流入管257から貯水槽1内に導入された雨水は、該貯水槽1において一時的に貯留された後、貯水槽1の下部に設けられた流出管259から河川等に自然流出可能となされる。或いは、ポンプで強制的に排出される。そのためのポンプ室は、貯水槽の内部や外部に設置できる。
【0072】
又図40において符号260は、貯水槽1の上部に設けられたマンホールであり、該マンホール260に連なるように、上下の貯水槽部5,6に上下の昇降用梯子261,262が設けられている。貯水槽底部の清掃等の貯水槽維持管理に際しては、作業者が、前記中間仕切り部3に設けた出入用開口部263を通して該上下の昇降用梯子261,262を伝って昇降できる。
【0073】
そして、前記内壁支柱部材列32や前記外壁支柱部材列39を構成する際にその全体を連結一体化するに際して、又、前記内壁支柱部材列32とその両端に配置される外壁支柱部材9,9とを連結一体化するに際しては、例えば図41、図42に示すように、内壁支柱部材7や外壁支柱部材9にその上下方向で所要間隔で設けられた挿通孔265を挿通する長いPC鋼棒266aを用い、全体を連結一体化する。
【0074】
図41はその一例を示すものであり、内壁支柱部材7の4〜5個を単位として、これらを長いPC鋼棒266aを用いて連結一体化した状態を示している。図41(B)(C)に示すように、該長いPC鋼棒266aの両端部分はネジ軸部267,267とされており、該長いPC鋼棒266aが、例えば5個の内壁支柱部材7,7,7,7,7の夫々に設けた挿通孔265に挿通せしめられると共に前記ネジ軸部267,267の先側部分が、前記立面に凹設された凹部270,270に収容される。この状態で、該ネジ軸部267,267にナット271,271が螺合され締め付けられることによって所要個数の内壁支柱部材7の全体が一体化されるようになされている。
【0075】
図42は、外壁支柱部材9の4〜6個を単位として、その全体を長いPC鋼棒266aを用いて同様にして連結一体化した状態を示している。そして、前記内壁支柱部材列32と外壁支柱部材9との連結一体化も、長いPC鋼棒266aを用いて同様に行なうことができる。このようにして連結一体化する際、連結状態をより安定化させるために、図41〜42に一点鎖線で示すように、前記凹部270内で向き合う状態に突設された前記ネジ軸部267,267相互を長ナット248で連結して、隣り合う長いPC鋼棒266a,266a、266b,266bを一体化するのがよい。
【0076】
図43は、前記内壁支柱部材7,7相互や前記外壁支柱部材9,9相互を1本の短いPC鋼棒266bを用いて連結する連結手段を示すものである。該短いPC鋼棒266bは、内壁支柱部材7や外壁支柱部材9にその上下方向で所要間隔で設けられた挿通孔265に挿通せしめられると共に、該内壁支柱部材7の前記継手面部31,31の長手中央線に沿って設けられた連結条溝254,254で突出状態とされる。そして、該連結条溝254において順次長ナット258で連結され、このように連結一体化された短いPC鋼棒266bの両端部分264,264にナット268,268が螺合され締め付けられることによって、所要個数の内壁支柱部材7の全体、所要個数の外壁支柱部材9の全体が連結一体化されるようになされている。
【0077】
かかる構成を有する貯水槽1にあっては、一体に構成された前記外壁支柱部材9が土圧を安定的に支持できる。又、前記内壁支柱部材列32や、前記貯水槽頂板部11、前記中間仕切り部3が梁状体274(図44)として機能することにより、貯水槽1に作用する水平方向の土圧を効果的に分散状態で支持できる。これらによって、前記の各外壁支柱部材9が土圧によって撓み変形するのを防止でき、土圧に対する抵抗力の大なる貯水槽を構築できることとなる。
【0078】
又、かかる構成の貯水槽にあっては、立設された下支柱部材13の上側を、例えば図3に示すように解放空間となし得るため、上支柱部材16を立設するに先立って、広い作業スペースを確保して前記中間スラブ10を障害なく容易に架設でき、これによって中間仕切り部3を能率的に構成できることとなる。その後、前記上支柱部材16を下支柱部材13の上端15に立設状態に連結するのであるが、該立設施工は、該中間仕切り部3を足場にして能率良くしかも安全に行なうことができる。
【0079】
加えて、該下支柱部材13を立設した状態で且つ、中間スラブ10を架設する前の段階においては、隣り合う前記下支柱部材列32,32間の空間部分272(例えば図24)を、鉄筋や生コン等の資材仮置き場として活用できると共に、中間仕切り部3を形成した後は、該中間仕切り部3の上面273(図3、図27)に広い資材仮置き場を形成できることになる。
【0080】
更には、該空間部分272や該中間仕切り部3の上面273に広い施工管理室を設けることができる。このような中間仕切り部3の上面273は、前記下支柱部材13の上端15に上支柱部材16を立設状態に連結する際に、上支柱部材16を連結をしない部分を適当に作ることにより、該上面273上の適所に、施工の容易化を図るための広い資材仮置き場や広い施工管理室を設けることも容易となる。
【0081】
又、梁状体274として機能する前記中間仕切り部3には、隣り合う前記欠切開口部177,177の合致によって大きな点検用開口部201が形成されているが、該点検用開口部201は、貯水槽底部275(図5〜6)の土砂の堆積状態等を点検する際に利用できる。作業者は、該中間仕切り部3の前記繋ぎ板部180(図4)の上等を歩行して、該点検用開口部201を通して貯水槽底部275の土砂の堆積状態等を点検できるのである。なお、該歩行の際の安全確保のため、該繋ぎ板部180の両側等に転落防止柵を設けるのがよい。
【0082】
又該点検用開口部201は、図45に矢印で示すように、上下の貯水槽部5,6を連通させて、水や空気の移動を可能とする。然して、下の貯水槽部6への水の流入の際に、該点検用開口部201を通して上の貯水槽部5への空気抜きが円滑に図られるため、下の貯水槽部6への水の流入を円滑に行なわせることができる。そして、この下の貯水槽部6での水の移動は、前記下の連通開口部47を通して行なわれる。下の貯水槽部6が満杯になった後は、該点検用開口部201を通して、上の貯水槽部5への水の流入が行なわれることとなる。該上の貯水槽部5での水の移動は、前記上の連通開口部46を通して行なわれる。
【0083】
更に前記第2の中間スラブ10bは、前記欠切開口部177が設けられている分だけ鉄筋やコンクリートの使用量を削減できるので、その製造コストの低減を期し得ると共に、コンクリートや鉄筋量を削減した分だけ軽量となるのでその取扱性もよくなる。
【0084】
前記中間仕切り部3は前記のように、梁状体274としての機能の他に、前記のように点検作業者の通路としても機能し、前記点検用開口部201を通して貯水槽底部275の土砂の堆積状態等の点検を可能とする機能も奏するのであるが、該中間仕切り部3を、欠切開口部177が設けられてなる前記第2の中間スラブ10bのみを以て構成するときは、貯水槽1が強度不足になる場合がある。
【0085】
そこで本実施例においては、図4に示すように、中間仕切り部3の両側部分199,199においては、欠切開口部177が設けられていない矩形板状を呈する第1の中間スラブ10aのみを架設することとし、該両側部分199,199間200においてのみ第2の中間スラブ10bを架設することとしている。これによって、該中間仕切り部3の梁状体274としての機能がより効果的に発揮されて、貯水槽1の長さ方向及び幅方向での土圧をより安定的に支持でき、貯水槽1の強度を所要に確保できることとなる。なお、中間仕切り部3の両側部分199,199における該第1の中間スラブ10aの、前記延長方向F1(図4)で見た並置列268の数は、前記端面板部203を構成する外壁支柱部材9に作用する土圧の大きさを考慮して所要に設定する。図4においては、第1の中間スラブ10の並置列の数を4列としているが、3列若しくは5〜6列に設定することもある。
【0086】
次に、このように構成した場合に中間仕切り部3が奏する梁状体274の機能について、より具体的に説明する。先ず、前記側面板部188を構成する両外端の外壁支柱部材列39,39を構成する各外壁支柱部材9は、図4、図44に示すように、前記中間仕切り部3の前記延長方向F1に直線状に連続する連続支持側面276で支持されている。これによって、各外壁支柱部材9の内面部277はその全幅に亘って、該連続支持側面276で安定的に支持されることになる。
【0087】
加えて、前記中間仕切り部3には、前記延長方向F1と直交する方向F2に直線状に連続すると共にその両端部278,278が前記両外壁支柱部材列39,39の内面部(外壁支柱部材9の内側面)277に当接する第1の板状連続梁部279が、前記中間スラブ10自体によって構成されている。該第1の板状連続梁部279は、前記中間仕切り部3の両側部分199,199においては、矩形板状を呈する前記第1の中間スラブ10aの全体からなり、梁状体274として機能する。
【0088】
一方、該両側部分199,199間200にあっては、該第1の板状連続梁部279は、前記第2の中間スラブ10bの、前記内壁支柱部材列32の延長方向F1と直交する方向F2に長い前記した各繋ぎ板部180と、前記支持台部50(図18)と、前記間隙部分196における充填材107の硬化物280,280(図18)とが、該直交する方向F2に直線状に連なることによって構成されている。これによって、前記両側の外壁支柱部材列39,39に作用する水平方向の土圧は、前記延長方向F1に並設された該第1の板状連続梁部279の並列体281によって効果的に支持されることとなる。
【0089】
図44においては、説明の便宜上、前記第1の板状連続梁部279の直線状の延長方向を一点鎖線で示している。又本実施例においては、図4、図44に示すように、前記上の連通開口部46を前記内壁支持部材列32の端部側に設けているため、隣の単位貯水槽2へ作業者が移動する際、第1の中間スラブ10aを架設して構成された平坦な前記両側部分199,199において安全に移動できることとなる。
【0090】
又、前記端面板部203を構成する両側の外壁支柱部材列184,184は、前記中間仕切り部3の、前記延長方向F1と直交する方向F2に直線状に連続する連続支持側面282,282で支持されている。加えて、前記延長方向F1に直線状に連続すると共にその両端部283,283が前記外壁支柱部材列184,184の内面部285,285に当接する第2の板状連続梁部286が設けられている。該第2の板状連続梁部286には、前記内壁支柱部材並列体33が構成するものと、前記中間仕切り部3が構成するものの2種類がある。このうち該中間仕切り部3が構成するものは、前記第1の中間スラブ10aの全体によって形成される両側の梁状部289,289と、その間に形成される、前記延長方向F1に並置された前記幅広部181,181が形成する中間の梁状部290,290との組み合わせで構成されている。図44においては、説明の便宜上、前記第2の板状連続梁部286の直線状の延長方向を二点鎖線で示している。
【0091】
本実施例においては、中間仕切り部3の両側部分199,199においては、欠切開口部177が設けられていない矩形板状を呈する第1の中間スラブ10aのみを架設することとしているため、該両側の外壁支柱部材列184,184に作用する水平方向の土圧の多くの部分を該第1の中間スラブ10aの列で支持できることとなってより好ましい。
【実施例2】
【0092】
本発明は、前記実施例で示したものに限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。その一例を挙げれば次のようである。
【0093】
(1) 図46〜47、図48〜49、図50〜51は、下端部分96に前記スリーブ97を埋設してなる上支柱部材16の他の態様を示すものである。
【0094】
図46〜47に示す上支柱部材16は、前記上の立壁部81の左右の立面22,23の下部の両側に位置させて側部支持片291,291、291,291が該上の立壁部81と一体に突設されている。各側部支持片291は、前記上の立壁部81の下面部87の下方に突出する突出部293,293を有し、該突出部293,293の内側面295,295が、前記支持台部50の左右側面72,73の上端部分に略当接する如くなされている。又、該突出部293,293の下面296,296が、前記中間スラブ10の端部分20の水平な上面52に載置される平滑な水平面として形成されている。
【0095】
然して、前記下支柱部材13の上端15に前記上支柱部材16を立設状態に連結するに際しては、図47に示すように、前記支持台部50の上端面51で突設された垂直接合筋95が前記スリーブ97の挿入孔99に挿入されるように、該上支柱部材16を吊り下ろす。このように吊り下ろすと、図47に示すように、前記上の立壁部81の下面部87が前記支持台部50の上端面51に当接し且つ、左右の突出部293,293の下面(側部支持片291,291の下面)296,296が左右の上部スラブ12,12の端部分20,20の水平な上面52,52に当接するように、該側部支持片291,291が該左右の端部分20,20上に載置される。そして、前記突出部293,293の内側面295,295が、前記支持台部50の左右の側面72,73の上端部分に略当接状態となる。左右の側部支持片291,291、291,291のかかる位置規制作用によって、上支柱部材16は下支柱部材13の上端15に立設されることとなる。その後、前記と同様にして、前記支持台部50と前記端部分20の垂直な端面部195との間の間隙部分196に無収縮モルタルやグラウト等の充填材107を充填する。
【0096】
図48〜49は、上支柱部材16のその他の態様を示すものであり、前記上の立壁部81の左右の立面22,23の下部の両側に位置させて側部支持片291,291、291,291が該上の立壁部81と一体に突設されており、又、前記下支柱部材13の上部に設けられた第1の中間受部21a,21aで支持される中間スラブ10,10の端部分20,20の端面部195,195が垂直面として構成されている点は、前記と同様である。相違するのは、前記側部支持片291の下面296が、前記上の立壁部81の下面部87と面一の水平面に形成されている点にある。
【0097】
然して、前記下支柱部材13の上端に前記上支柱部材16を立設状態に連結するに際しては、図49に示すように、前記支持台部50の上端面51で突設された垂直接合筋95が前記スリーブ97の挿入孔99に挿入されるように、該上支柱部材16を吊り下ろす。このように吊り下ろすと、図49に示すように、前記上の立壁部81の下面部87が前記支持台部50の上端面51に当接する。この状態で、前記上の立壁部81の下面部87を前記支持台部50の上端面51に当接させた状態で、前記端部分20の上面52と前記水平な下面296との間に形成される左右の高さ調整間隙310,310に、図49(B)に示すように、所要厚さのライナプレート311の所要枚数を挿入することにより、前記上支柱部材16の垂直状態を調整できることとなる。その後、前記支持台部50と前記端部分20の端面部195との間の間隙部分196に、前記と同様にして無収縮モルタル等の充填材107を充填する。
【0098】
図50〜51は、上支柱部材16のその他の態様を示すものであり、前記上の立壁部81の左右の立面22,23の下部の両側に位置させて側部支持片291,291、291,291が該上の立壁部81と一体に突設されている点は図46〜47に示す場合と同様であるが、該側部支持片291,291の構成が前記と異なる。即ち、該上支柱部材16は、前記下支柱部材13の上端15に設けられた第1の中間受部21a,21aで支持される中間スラブ10の端部分20の端面部195が、図46〜47に示す場合のような垂直面として構成されるのではなく、下側の垂直面297の上端縁299で、外方に向けて上方に傾斜する傾斜面300,300が連設された屈曲面として形成されている。これに合わせて前記左右の側部支持片291,291は、前記上の立壁部81の下面部87の下方に突出する左右の突出部301,301の外面302,302が、前記左右の傾斜面300,300と当接し得る傾斜面として形成されている。そして、前記上支柱部材16が、前記上の立壁部81の下面部87を前記支持台部50の上端面51に当接させた吊り下ろし状態において、前記左右の突出部301,301の内側面305,305が該支持台部50の左右の側面72,73に略当接する如くなされると共に、前記左右の突出部301,301の下面306,306が前記下の水平載置面75,75から浮き上がった状態にある。
【0099】
又この状態で、前記側部支持片291,291の、前記傾斜面300の上端縁307に連なる水平下面309は、前記中間スラブ10の端部分20の水平な上面52の稍上方に位置する。例えば20mm程度上方に位置する。然して、前記上の立壁部81の下面部87を前記支持台部50の上端面51に当接させた状態で、前記端部分20の上面52と前記水平下面309との間に形成される左右の高さ調整間隙310,310に、所要厚さのライナプレート311の所要枚数を挿入することにより、前記上支柱部材16の垂直状態を調整できることとなる。その後、前記支持台部50と前記端部分20の端面部195との間の間隙部分196に、前記と同様にして無収縮モルタル等の充填材107を充填する。
【0100】
(2) 図52〜53、図54〜55、図56〜57、図58〜59は、前記とは逆に、下支柱部材13の上端部分312にスリーブ97を埋設し、上支柱部材16の上の立壁部81の下面部87で突設された垂下接合筋313を対応のスリーブ97の挿入孔99に挿入する場合を示すものである。
【0101】
図52〜53に示す上支柱部材16は、図7に示すと略同様に構成されているが、前記スリーブ97を具えておらず、上の立壁部81の下面部87に垂下接合筋313が突設されている点で異なる。然して、該垂下接合筋313を図53に示すように対応のスリーブ97の挿入孔99に挿入するように該上支柱部材16を吊り下ろし、該下面部87を下支柱部材13の上端15に載置することにより該上支柱部材16を該上端15に立設できるようになされている。
【0102】
図54〜55に示す上支柱部材16にあっては、前記上の立壁部81の左右の立面22,23の下部の両側に位置させて側部支持片291,291、291,291が該上の立壁部81と一体に突設されている。該左右の側部支持片291,291の下面296は、前記上の立壁部81の下面部87の上方に位置させて設けられた水平面として形成されている。然して、前記垂下接合筋313が、図55に示すように対応のスリーブ97の挿入孔99に挿入するように、該上支柱部材16を吊り下ろし、左右の側部支持片291,291の下面296,296を左右の前記中間スラブ10,10の端部分20,20の水平な上面52,52に当接させると、該左右の側部支持片291,291の位置規制作用によって、該上支柱部材16を立設状態となし得る。
【0103】
図56〜57に示す上支柱部材16は、左右に位置する中間スラブ10,10の端面部195,195が、下側の垂直面316の上端縁317で、外方に向けて上方に傾斜する傾斜面319,319を連設した構成を有する場合に使用されるものである。前記上の立壁部81の左右の立面22,23の下部の両側に位置させて設けられている側部支持片291,291、291,291は、図57に示すように、その下面296が、前記上の立壁部81の下面部87の上方に位置し、該下面部87は、水平な前記上端15に当接する水平面に形成されると共に、その下側部分の左右の外面320,320は前記傾斜面319,319に当接でき、該傾斜面319,319の上端縁65,65に、前記下面296,296が連設されている。そして、該上支柱部材16を、前記側部支持片291,291の前記外面320,320を前記端部分20,20の傾斜面319,319に当接させた吊り下ろし状態において、該水平な下面296と前記端部分20の上面52との間に高さ調整間隙310が形成されるようになされている。該左右の高さ調整間隙310,310に、所要厚さのライナプレート311の所要枚数を挿入することにより、前記上支柱部材16を前記下支柱部材13の上端15に立設できるようになされている。
【0104】
図58〜59は、前記と略同様に構成された左右の側部支持片291,291を有する上支柱部材16に関するものであり、前記左右の水平下面296,296を、左右の端部分20,20の水平な上面52,52に当接させた状態で、該側部支持片291,291を該端部分20,20上に載置することにより、前記上の立壁部81の下面部87が前記下支柱部材13の水平な上端15から稍浮き上がった状態となるようになされている。そしてこの状態で、上支柱部材16が立設状態となるように構成されている。
【0105】
このようにしてスリーブ97を下支柱部材13に設ける場合は、例えば図53に示すように、前記スリーブ97の挿入孔99に予め充填材107を充填しておき、前記垂下接合筋313を該挿入孔99に挿入させることができる。この他、例えば図53に一点鎖線で示すように、該スリーブ97の側部の上下端側に設けた上下の開口に連通するように上下の連通孔103,105を設け、前記と同様にして、下の連通孔105の下の開放端からスリーブ97内に無収縮モルタルやグラウト等の充填材107を充填し、上の連通孔103の上の開放端から充填材が流出したことを以て、該スリーブ97内に充填材107が充填されたことを確認し、その後、上下の連通孔103,105の上下の開放端を栓で塞ぐようにすることもできる。スリーブ97を下支柱部材13に設ける場合は、下支柱部材13の左右の立面17,19の上部に中間受部21,21を設ける関係上、上下の連通孔103,105の長さが長くならざるを得ないのであるが、図18に示すように、上支柱部材16にスリーブ97を設ける場合は、かかる上下の連通孔103,105の長さを短く設定することが可能となり、連通孔の加工コストを低減し得る利点がある。前記のように側部支持片291,291が突設される場合であっても、該側部支持片291,291が存する場所を極力避けてスリ−ブ97を設けることができ、上下の連通孔103,105の形成をより容易化できる。
【0106】
(3) 上支柱部材16が、前記のように側部支持片291,291が突設されてなる場合であっても、図31に示すと同様にして、該上支柱部材16を左右のサポート装置204,204で支持することもある。
【0107】
(4) 図60は、下支柱部材13の上端15に上支柱部材16を立設状態にして後、縦方向のPC鋼棒321を用い、上下のナット322a,322bを締め付けて連結一体化した場合の一例を示すものである。該PC鋼棒321は、図60に示すように、その下端部分をなすネジ軸部323が、前記下支柱部材13の立面に設けた凹部304においてナット322bで止着されると共に、その上側部分325が該下支柱部材13の上端15から突出している。この突出した上側部分325が、前記上支柱部材16に設けられた下端開放の挿入孔327に挿入せしめられ、その上端部分をなすネジ軸部329が、前記上支柱部材16の立面に設けた凹部314においてナット322aで止着されることにより、下支柱部材13の上端15に上支持部材16が立設状態に連結されている。なお、下支柱部材13と上支柱部材16とは、アングル状連結部材等の連結金具を用いて連結することもできる。
【0108】
(5) 図61は、本発明に係る上下二槽型の貯水槽1の他の実施例を示すものであり、前記内壁支柱部材並列体33の選択された一列又は複数列の内壁支柱部材列32aに関して、これを構成する内壁支柱部材7の全部を、前記下支柱部材13の上端15に上支柱部材16を立設状態に連結してなる二分割型のもの7a(図8)を用い、その余の内壁支柱部材7bは、例えば図61に示すように、全体が一体に形成されている。
【0109】
このように構成することにより、狭い施工現場においても、例えば図61に示すように、広い資材仮置き場198aや広い施工管理室198bを、施工空間部に好ましい分散状態に設けることができて施工能率の向上に寄与できることとなる。
【0110】
図62は、選択された内壁支柱部材列32aを構成する内壁支柱部材7の一部を二分割型の内壁支持部材7aを用いて構成した他の態様を示すものであり、前記中間仕切り部3が、例えば図3〜4に示すように、両側部分199,199においては、矩形板状を呈する第1の前記中間スラブ10aを架設して構成されると共に、該両側部分間200においては、前記欠切開口部177,177が形成された中間スラブ10bを架設して構成されている。このように構成する場合は、該欠切開口部177が形成された中間スラブ10bを配設した部分においては、該欠切開口部177が存する部分で前記掛着部材206を取り付けることができないために、前記内壁支柱部材7を構成する上支柱部材16を図30〜31に示すようにサポート装置204で仮支持することが難しい。そこで、該中間スラブ10bが存する場所では、全体が一体に構成された内壁支柱部材7bを立設することがある。そして、矩形板状を呈する前記中間スラブ10aが存する場所においては、上支柱部材16を図31〜32に示すようにサポート装置204で仮支持することが容易であるため、この部分では、中間スラブ10の架設の容易性も考慮して、前記二分割型の内壁支柱部材7aを立設することがある。
【0111】
(6) 本発明に係る上下二槽型の貯水槽1は、前記端面板部203を、プレキャストコンクリート製や現場打ちコンクリート製の平板状の端面板で構成することもある。
【0112】
(7) 更に、本発明に係る貯水槽1の、前記端面板部203の形態は施工現場の地形によっては、平面視で直線状ではなく、例えば図63〜64に示すように段階状を呈する如く構成されることもある。或いは、貯水槽1の平面視の外形338が図65に示すようにコ字状等に構成されることもある。図63〜65において、前記したと同様の構成部分には前記と同一の符号(32,32a,33,39,188,203)を付している。
【0113】
(8) 前記第1の中間スラブ10aには、前記した第1、第2の板状連続梁部279,286の構成に支障のない範囲で、例えば図66に示すように、貯水槽の前記延長方向F1で見た両側部分における前記空気抜きをより円滑化するために、独立状態の空気抜き開口部340aが適宜設けられることがある。この空気抜き開口部340aは、例えば150mm径の円形孔として形成することができる。或いは図67に示すように、前記第1の中間スラブ10aの前記延長方向F1で見た側部に欠切部332を設けることによって、該延長方向F1で隣り合う第1の中間スラブ10a,10a間に空気抜き開口部340bを設けることもある。なお、これらの空気抜き開口部340a,340bは、貯水槽底部275を点検するための開口部としても利用できる。
【0114】
(9) 図68〜71は、前記第2の中間スラブ10bの他の態様を示すものであり、図68に示す第2の中間スラブ10bにおいては、その一側部分にのみ欠切開口部177が設けられている。図69に示す第2の中間スラブ10bには、前記のような欠切開口部177が設けられるのではなく独立開口部341が設けられている。又、図70に示す第2の中間スラブ10bは、平面視でH字状に構成されており、両側の幅広部181,181相互が、直線状の繋ぎ板部180で連結されている。図71に示す第2の中間スラブ10bにあっては、前記延長方向F1と直交する方向F2で隣り合う独立開口部341,341が中間連結板部342を介して設けられている。そして、該中間連結板部342には、その上面343で開口するインサート345が、所要間隔を置いて複数個、例えば4個設けられている。図71においては2列設けられている。該インサート345は、例えば図71(B)、図72(A)(B)に示すように、前記サポート装置204を構成する前記掛着部材206を固定するための前記固定ボルト210を螺合するために用いることができる。該インサート345は複数個設けられているため、所要位置のインサート345を選択することによって、図72(A)に示すように、前記上支柱部材16と該第2のスラブ10bとの間に、前記サポート軸207を無理のない傾斜状態にして取り付けることができる。
【0115】
(10)前記実施例においては、前記両側部分間200において、欠切開口部177や独立開口部335を有する第2の中間スラブ10bを架設しているが、前記点検用開口部201を通して貯水槽底部275の点検を行ない得る限り、部分的に、前記第1の中間スラブ10aを架設することもある。
【0116】
(11)矩形状を呈する前記第1、第2の中間スラブ10a,10bには、前記した長方形板状を呈するものの他、正方形板状を呈するものも含まれる。
【0117】
(12)図73は、二分割型の内壁支柱部材7の前記第1の中間受部21aの他の態様を示すものであり、図74は、一体型の内壁支柱部材7の第1の中間受部21aの他の態様を示すものである。又図75は、外壁支柱部材9の第2の中間受部21bの他の態様を示すものである。
【0118】
(13)図76は、止水材189が付された上支柱部材16を示すものであり、図77〜79は、止水材189が付された外壁支柱部材16を示すものである。
【0119】
(14)前記中間仕切り部3は、土圧に抵抗できる貯水槽を構築できる限り、全体又は部分的に、中間スラブが省略されることもある。例えば図4に示す場合において、単位貯水槽2の一列乃至複数列について、部分的に中間スラブが省略されることがある。
このように構成する場合は、使用する中間スラブの枚数を減らすことができ、又、その架設の為の施工手間を削減できる等、施工経済上好ましい。
【0120】
(15)前記下支柱部材13の台座部61を構成する前記下の突出部56(図7)や、前記外壁支柱部材9の台座部128を構成する前記下の突出部116(図10)の夫々の突出量は、前記下支柱部材13や前記外壁支柱部材9を基礎コンクリート上に載置した状態における立設状態の安定性を向上させるために、図7や図10に示す場合よりも大きくすることがある。
【符号の説明】
【0121】
1 貯水槽
2 単位貯水槽
3 中間仕切り部
5 上の貯水槽部
6 下の貯水槽部
7 内壁支柱部材
9 外壁支柱部材
10 中間スラブ
11 貯水槽頂版部
12 上部スラブ
13 下支柱部材
15 上端
16 上支柱部材
20 中間スラブの端部分
21 中間受部
25 上部受部
27 上部スラブの端部分
32 内壁支柱部材列
33 内壁支柱部材並列体
37 継手面部
39 外壁支柱部材列
40 外壁囲枠体
43 下の単位貯水槽部
44 貯水槽頂版部
45 上の単位貯水槽部
46 上の連通開口部
47 下の連通開口部
50 支持台部
51 上端面
75 下の水平載置面
76 接合用ボルト
79 インサート
92 上の水平載置面
95 垂直接合筋
97 スリーブ
107 充填材
125 継手面部
135 上の水平載置面
141 下の水平載置面
177 欠切開口部
187 下支柱部材列
189 止水材
190 下支柱部材並列体
196 間隙部分
201 点検用開口部
204 サポート装置
206 掛着部材
207 サポート軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向の中間部に中間スラブが配設されることによって中間仕切り部が設けられると共に、上部には上部スラブが配設されることによって貯水槽頂版部が設けられてなる貯水槽を構築するために用いられる上下二槽型の貯水槽構成用の内壁支柱部材であって、
下支柱部材の上端に上支柱部材が立設状態に連結されてなり、該下支柱部材の左右の立面の上部には、前記中間スラブの端部分を下方から支持する中間受部が設けられると共に、前記上支柱部材の左右の立面の上部には、前記上部スラブの端部分を下方から支持する上部受部が設けられていることを特徴とする上下二槽型の貯水槽構成用の内壁支柱部材。
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【請求項2】
前記上支柱部材の下端部分には、前記下支柱部材の上端で上方に向けて突設された垂直接合筋の夫々を挿入させるための下端開放のスリーブの多数が埋設されており、該スリーブの側部にはその上下端側に上下の開口が設けられると共に、前記下端部分には、該上下の開口に連通し且つ該下端部分の外面で開放する上下の連通孔が設けられていることを特徴とする請求項1記載の上下二槽型の貯水槽構成用の内壁支柱部材。
【請求項3】
前記下支柱部材の上面部には支持台部が上方に向けて突設されており、該支持台部の上端面としての前記下支柱部材の上端に前記上支柱部材が立設状態に連結される如くなされており、前記下支柱部材の上面部の内、該支持台部の左右両側の部分には、前記中間スラブの端部分を下方から支持する中間受部が設けられており、前記支持台部の上端面が、該中間受部で支持された状態にある前記端部分の上面と面一乃至該上面よりも上方に位置することを特徴とする請求項2記載の上下二槽型の貯水槽構成用の内壁支柱部材。
【請求項4】
左右の立面の上下方向の中間部に、中間スラブの端部分を下方から支持する中間受部が設けられると共に、該左右の立面の上部に、上部スラブの端部分を下方から支持する上部受部が設けられてなる内壁支柱部材と、
内側の立面の上下方向の中間部に、前記中間スラブの端部分を下方から支持する中間受部が設けられると共に、該内側の立面の上部には、前記上部スラブの端部分を下方から支持する上部受部が設けられてなる、全体が一体に形成された外壁支柱部材とを具えており、
前記内壁支柱部材は、その前後の立面としての継手面部相互を当接状態にして一列に並設されることにより内壁支柱部材列を構成し、該内壁支柱部材列が左右方向に所要間隔で並設されることにより内壁支柱部材並列体を構成する如くなされ、
又、前記外壁支柱部材は、前記内壁支柱部材並列体を構成する両外端の内壁支柱部材列の外方側において、両端の立面としての継手面部相互を当接状態にして並設されることにより、該内壁支柱部材と所要間隔を置いて外壁支柱部材列を構成する如くなされ、
前記内壁支柱部材並列体の選択された内壁支柱部材列に関し、これを構成する内壁支柱部材の全部又はその一部は、下支柱部材の上端に上支柱部材が立設状態に連結されてなり、該下支柱部材の左右の立面の上部に、中間スラブの端部分を下方から支持する前記中間受部が設けられると共に、前記上支柱部材の左右の立面の上部には、前記上部スラブの端部分を下方から支持する前記上部受部が設けられてなり、
前記中間スラブが、同一高さで対向する前記中間受部間に架設され且つ前記端部分が該中間受部に固定されることによって中間仕切り部が設けられる如くなされており、又、前記上部スラブが、同一高さで対向する前記上部受部間に架設され且つ前記端部分が該上部受部に固定されることによって水槽頂板部が設けられる如くなされていることを特徴とする上下二槽型の貯水槽。
【請求項5】
前記内壁支柱部材は、全て、下支柱部材の上端に上支柱部材が立設状態に連結されてなり、該下支柱部材の左右の立面の上部には、前記中間スラブの端部分を下方から支持する前記中間受部が設けられると共に、前記上支柱部材の左右の立面の上部には、前記上部スラブの端部分を下方から支持する前記上部受部が設けられていることを特徴とする請求項4記載の上下二槽型の貯水槽。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【図72】
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【図73】
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【図74】
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【図75】
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【図76】
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【図77】
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【図78】
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【図79】
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【図80】
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【公開番号】特開2012−193596(P2012−193596A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124319(P2011−124319)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(000137074)株式会社ホクコン (40)
【Fターム(参考)】