下方のアッパー領域内にベンチレーションを有する靴と、そのために使用可能な空気透過性のスペーサ形成物
アッパー構造体(112)とソール(114)を有する靴(100)であって、アッパー構造体(112)がアッパー上材料(116)と、アッパー底内に配置された空気透過性の層(140)とを有しており、空気透過性の層(140)が、ソール(114)の上方においてアッパー構造体(112)のソール側の下方の領域内に配置されており、空気透過性の層(140)が、少なくとも水平方向に空気通過を許す3次元の構造を有しており、かつアッパー上材料(116)のソール側の下方の周領域が、その周側の延びの少なくとも一部にわたって、少なくとも1つの結合材料(210)によって置き換えられており、その結合材料が、空気透過性の層(140)の少なくとも下側の上方で始まって、空気透過性の層(140)の外部に延びてアッパー底に配置されており、かつ少なくとも、少なくとも部分的に空気透過性の層(140)と同じ高さに位置する部分領域において、空気透過性であって、それによって外環境と空気透過性の層(140)との間で空気を交換することができるように空気透過性の層(140)を外環境と接続する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足裏の下方にベンチレーションを有し、足の下方の層を通して汗の水分を逃がして空調快適性を向上させる靴に関する。
【背景技術】
【0002】
初期の頃には、靴は、ソール領域において、皮革のようなアウトソール材料を使用することにより、呼吸活動とも称される、ある程度の水蒸気透過性を有し、ソール領域に水がしみこむ欠点を伴うか、あるいは靴は、ソール領域において、ゴムまたはゴムに似たプラスチックのような水密の材料からなるアウトソールを使用することにより、水密ではあるが、水蒸気を通さず、足裏領域に汗の水分が集まる欠点を有している。
【0003】
比較的最近においては、アウトソールに透孔をあけて、その透孔を、アウトソールの内側に配置された水密で水蒸気を通す膜によって覆うことにより、足裏領域が水密であると共に水蒸気を通す靴を形成したので、外部から靴の内部へ水は侵入できないが、足裏領域に生じる汗の水分は、靴の内部から外側へ逃げることができる。その場合に、2つの異なる解決方法が辿られた。アウトソールにその厚みを貫通する透孔を設けて、その透孔を介して汗の水分を靴の内部からアウトソールの接地面へ案内することができるようにするか、あるいはアウトソールに水平の通路を設けて、その通路を介してアウトソールの上方に集まった汗の水分がアウトソールの側周面を介して逃げることができるようにするというものである。
【0004】
アウトソールがその厚みを貫通する垂直の透孔を有する、第1の解決方法の例を示すのは、特許文献1、2および3である。特許文献1に示すアウトソール複合体は、マイクロパーフォレーションを備えた下方のソール部分、同様にパーフォレーションを備えた上方のソール部分、そしてその間に水密の、水蒸気を通す膜を有している。特許文献2に記載の靴においては、アウトソールは、より著しい水蒸気透過性を得るために、比較的大面積の垂直の透孔を有しており、かつ膜を機械的に保護するために、膜とアウトソールとの間に水蒸気を透過する保護層が配置されている。特許文献3に記載の靴においては、アウトソールは、より著しい水蒸気透過性を得るために、比較的大面積の垂直の透孔を有しており、その透孔が、水蒸気を透過する保護層によって閉鎖されている。この種のアウトソールは、水密のアッパー構造体に固定されており、それによって水密の靴が得られる。
【0005】
アウトソールが、その接地面に対して平行に延びる、水平の通気通路を有する、第2の解決方法の例は、たとえば特許文献4、特許文献5、特許文献6および特許文献7から知られている。
【0006】
特許文献4に示す靴においては、アウトソールの、接地面から離れる方を向いた側において、その外周面に立ち上がるアウトソール端縁が設けられており、そのアウトソール端縁が、水平の、すなわち接地面に対して平行に延びるマイクロパーフォレーションによって貫通されている。アウトソール端縁の内部に形成された空間内に、アウトソールから立ち上がって横方向に延びるウェブを有するスペーサ部材が配置されており、そのスペーサ部材は、アウトソールと一体的に形成することができる。アウトソール端縁の内部かつアウトソールから間隔をおいて、スペーサ部材に属するインナーバンドが配置されており、そのインナーバンドも同様に、水平に延びる透孔によって貫通されている。スペーサ部材の上方に、水蒸気を透過するマウンティングソールまたはインソールが配置されており、その外周領域の下へ、水蒸気を透過する材料からなるアッパーのタックインフラップが打ち込まれており、そのタックインフラップは、スペーサ部材のインナーバンドの内側に位置している。水平のマイクロパーフォレーションを有するアウトソール端縁と水平の透孔を有するインナーバンドとの間に、水密の、水蒸気を透過する膜が配置されており、その膜は、アウトソールの内側からほぼ垂直に高く延びている。この膜によって、一方で、水が、ウェブ間とさらに靴内部空間内へ浸透しないようにされるが、他方では、靴内部空間からウェブ間へ達した汗の水分は、理論的に靴上部構造の外側まで達する。もちろんその場合に、汗の水分は、膜だけでなく、アウトソール端縁のマイクロパーフォレーション、インナーバンドの透孔およびアッパー材料も通過しなければならない。
【0007】
特許文献5の場合においては、アウトソールは、接地面から離れた側において、一方で、外周面に立ち上がる端縁ウェブを有し、その上側に端縁ウェブを貫通する排気通路が形成されており、ソール領域において端縁ウェブの内部に半球状の突出部を有している。アウトソールの上側に、上方のソールエレメントが配置されており、それが、アウトソールの端縁ウェブと突出部の上に載置され、水密で水蒸気を透過する膜によって覆われた、アウトソールの突出部を有する領域の延びとほぼ等しい延びを有する、水蒸気を透過する領域を有している。アウトソールと、アウトソールの突出部が設けられているソールエレメントとの間の空間に集まる汗の水分は、理論的に、アウトソールの端縁ウェブ内の排気通路を介して逃げることができる。
【0008】
特許文献6は、アウトソールの内側から立ち上がる外周端縁を備えたアウトソールを有する靴を示しており、その外周端縁が水平の、従ってアウトソールの接地面に対して水平に延びる排気通路によって貫通されている。アウトソールは、アッパーに固定されており、そのアッパーが、ソール側の下方のアッパー領域を有し、その下方のアッパー領域が、多孔のマウンティングソールの周面領域の下側と結合されたタックインフラップを有している。タックインフラップの内部に形成された空間内で、マウンティングソールの下側に水密の、水蒸気を透過する膜が配置されている。立ち上がる外周端縁の内部に形成されるアウトソール空間内に、空気を透過する、繊維によって構築された、たとえばフェルトからなる材料が配置されている。多孔のマウンティングソールと膜を通して空気を透過する材料内へ達した汗の水分は、アウトソールの外周端縁の水平の排気通路を介して外の環境へ拡散することができる。しかし、通気通路を通って空気を透過する材料内へ達した水分は、マウンティングソールを通して靴の内部空間へ達することを、膜によって阻止される。アウトソールの内側には、釘保護プレートが設けられているので、この靴は、安全靴として適している。
【0009】
特許文献7からは、上述した2つの解決方法を組み合わせた靴が知られている。この靴のソール構造は、多孔のマウンティングソール、靴内部空間へ向いた上側に水平に延びる、アウトソール周面の外側へ向かって開放した水平の溝とこの溝から接地面へ延びる透孔とを備えたアウトソールを有し、かつ、マウンティングソールの下側に配置された水密の、水蒸気を通す膜および膜とアウトソールとの間に配置された、たとえばフェルトからなる保護層を有している。アッパーのソール側の下方の端部領域が、タックインフラップの形式で、マウンティングソールの周端縁領域の下側へ挿入されている。膜は、マウンティングソールと等しい延びを有しているが、保護層は、タックインフラップと同一の平面内に位置し、かつ保護層は、タックインフラップの内側端縁の間だけに延びている。水平に延びる溝は、アウトソールの周面領域において外部環境へ向かって開放している。従って靴内部空間からの汗の水分は、垂直の透孔を介してアウトソールの接地面の外側へも、水平の溝を介して外周側へも拡散することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許出願公開第号0382904号明細書(EP 0382904 A1)
【特許文献2】欧州特許出願公開第0275644号明細書(EP 0275644 A1)
【特許文献3】独国実用新案第号202007000667明細書(DE 202007000667 UM)
【特許文献4】欧州特許第0479183号明細書(EP 0479183 B1)
【特許文献5】欧州特許第1089642号明細書(EP 1089642 B1)
【特許文献6】欧州特許第1033924号明細書(EP 1033924 B1)
【特許文献7】日本実用新案公報JP16−75205U
【発明の概要】
【0011】
特に、そのアウトソールがその厚みを貫通する垂直の透孔を有していないか、あるいは安全上の理由から、たとえば釘保護プレートの必要性によって、有することができない靴において、あるいはまた、そのアウトソールがこの種の垂直の透孔を有している靴においても、足裏の下方の領域内に、足裏領域内の空調快適性を感じられるほど高めることができる、排気システムを設けることが、望ましい。
【0012】
この視点の元で、本出願人の独国特許出願第102008027856号(DE102008027856)に開示された発明を用いて、靴が形成されており、その靴は、足裏の下方に空気透過性のスペーサ形成物によって定められる通気室を有しており、その通気室が、層を通して足の下方へ達した汗の水分(水蒸気)を効果的に搬出することを可能にする。
【0013】
この靴は、アッパー構造体とソールとを有しており、その場合にアッパー構造体は、アッパー上材料と、アッパー底内に配置された空気透過性の層とを有している。空気透過性の層は、ソールの上方でアッパー構造体のソール側の下方の領域内に配置されている。空気透過性の層は、少なくとも水平方向に空気通過を許す3次元構造を有している。アッパー上材料は、ソール側の下方の周面領域内に少なくとも1つの空気通過開口部を有しており、その空気通過開口部によって空気透過性の層と靴の外環境との間に、外環境と空気透過性の層との間で空気交換を行うことができるように、接続を形成することができる。このようにして、アッパー構造体の、空気透過性の層の上方にある領域から、たとえば空気透過性の層を通しての対流空気交換によって、熱と水蒸気を逃がすことができる。
【0014】
この解決においては、空気透過性の層と組み合わせて汗の水分の効果的除去を可能にする、少なくとも1つの空気通過開口部は、アウトソールを安定させる理由から、そして特に美的理由から、どちらかというと薄いアウトソールを有する靴において、特に大きくすることのできないアウトソール内に形成されておらず、空気通過開口部を問題なく比較的大きくすることができる、アッパー上材料のソール側の下方の領域内に形成されているので、それによってすでに、少なくとも1つの空気通過開口部がアウトソール内に形成されている靴の場合よりも、さらに良好な空気交換とそれに伴ってより高い水蒸気搬出能力が得られる。
【0015】
空気透過性の層を有するこの種のアッパー構造体は、さらに、少なくとも1つの空気通過開口部と靴内部空間との間に位置決めされた空気透過性の層が、直接アッパー上材料の内側まで延びることができ、特許文献6と特許文献7に示す既知の解決におけるように、アッパー上材料のタックインフラップ端縁の間の内部空間に限定されていない、という他の利点を有している。たとえばつり込み接着された靴においては、空気透過性の層は、接着されたタックインフラップの上方に位置し、従って足裏の水蒸気と熱のためのより大きい交換面を提供することができる。従って、この解決においては、空気透過性の層は、同様に大きい交換面とそれに伴って水蒸気搬出容量を有する、既知の解決の場合よりも、ずっと大きい面の広がりを有することができる。
【0016】
この解決によって達成される高い水蒸気通過および空気交換作用は、好ましくは、乾燥した領域内でのみ使用されるので、水密である必要のない靴、たとえば組立工場内の安全靴においても、戸外でも履かれ、従っては合によっては湿気にさらされる靴においても、効果的である。
【0017】
後者の場合のために、アッパー構造体の、少なくともソールを向いた下方の領域内に少なくとも水蒸気透過性の機能層が設けられている、この解決の実施形態が用いられ、その場合に空気透過性の層は、機能層の下方に配置されている。この解決の実施形態において、空気透過性の層は、水蒸気透過性の機能層のすぐ下に配置されている。この解決の実施形態において、機能層は、水密かつ水蒸気透過性である。
【0018】
この解決の実施形態において、アッパー機能層も、アッパー底機能層も設けられているので、靴のアッパーのためにも、アッパー底領域のためにも、水密であると同時に水蒸気透過性が得られる。
【0019】
この解決の他の実施形態において、アッパー底領域内に、たとえば機能層ラミネートの形式の、水密かつ水蒸気透過性の機能層が設けられており、その場合に空気透過性の層は、機能層ないし機能層ラミネートのすぐ下方に配置されている。この実施形態に関連して、この解決の利点は特に、空気透過性の層と協働して少なくとも1つの空気通過開口部によって、空気交換とそれに伴って汗の水分と熱の除去が可能になることにある。水蒸気がまず足の下側から空気透過性の層へ移動しなければならない、効率を制限する拡散距離は、足と空気透過性の層の間に機能層を含めてできるだけ薄い層構造を選択することによって、最小限に抑えられ、それによって熱伝達が最大になる。水蒸気が空気透過性の層に達した場合に、水蒸気は付加的に対流的に空気流を介して搬出され、それによって機能層の両側の水蒸気分圧差が永続的に高い水準に維持される。他の層を克服する必要はない。機能層の両側の水蒸気分圧差は、汗の水分を効果的に除去するための推進力である。水蒸気の他に、対流によって熱も導出される。つり込みアッパーの場合において、空気透過性の層がアッパー上材料のタックインフラップの上方に配置されていることによって、ほぼ全ソール面が水蒸気交換のために提供される。
【0020】
アッパー機能層とアッパー底機能層とを有するこの解決の実施形態において、これらは、アッパー領域がアッパー機能層によって、そしてソール領域がアッパー底機能層によって形成されている、ソックス形状の機能層ブーティの部分である。
【0021】
アッパー機能層とアッパー底機能層とを有するこの解決の他の実施形態において、アッパー機能層とアッパー底機能層は、下方のアッパー領域内で互いに結合されており、かつその共通の境界において互いに水密にシールされている。
【0022】
この解決の実施形態において、アッパー機能層および/またはアッパー底機能層の機能層は、多層のラミネートの一部であって、そのラミネートは、機能層の他に少なくとも1つのテキスタイル層を有している。しばしば使用されるラミネートは、機能層の一方の側にテキスタイル層を有し、ないしは両側にそれぞれテキスタイル層を有する、2層、3層または4層で形成されている。
【0023】
この解決の実施形態において、ラミネートによって、アッパー底機能層ラミネートおよび/またはアッパー機能層ラミネートが構成されている。
【0024】
この解決の実施形態において、機能層は、水蒸気透過性の膜を有している。好ましくは膜は、水密かつ水蒸気透過性である。好ましい実施形態において、機能層は、延伸された微孔のポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)によって構成された膜を有している。
【0025】
この解決の実施形態において、空気透過性の層は、アッパー底機能層の下方に配置されている。
【0026】
この解決の実施形態において、空気透過性の層は、アッパー底機能層のすぐ下に配置されており、それは、アッパー底機能層が機能層のラミネートの部分である場合について、空気透過性の層が機能層ラミネートのすぐ下にあることを含んでいる。
【0027】
この解決の実施形態において、少なくとも1つの空気通過開口部がアッパー上材料内に、少なくとも部分的に空気透過性の層と同じ高さにあるように、配置されている。
【0028】
この解決の実施形態において、アッパー上材料の下方の領域内に、足横方向または足縦方向に少なくともほぼ対向する、少なくとも2つの空気通過開口部が配置されている。従って同様に、対流的な空気交換が可能にされ、あるいは促進される。空気交換は、靴を履いた人が外部空気に対して移動することによって、著しく促進される。風および/または歩行ないし走行において、空気交換は強化される。
【0029】
この解決の他の実施形態において、アッパー上材料の下方の周面領域は、アッパー構造体の周面に沿って配置された、複数の空気通過開口部を有している。
【0030】
この解決の実施形態において、アッパー上材料の下方の端部は、別体の空気透過性のアッパー材料を有しており、それがアッパー上材料に固定されており、従ってアッパー上材料の一部である。アッパー周面の大部分の回りに、あるいは特にアッパー周面全体の回りに延びる、この空気透過性のアッパー材料は、空気透過性構造であるので多数の空気通過開口部を有している。実施形態において、空気透過性のアッパー材料は、ネットの形状でアッパー上材料の下方の端部に固定されている。他の実施形態において、空気透過性のアッパー材料は、多孔の、あるいは格子状の材料から構成することができる。この空気透過性のアッパー材料は、この空気通過開口部がほぼ、あるいは完全にアッパー周面の回りに延びているにもかかわらず、アッパーに必要な形状安定性を与えるように、安定的に形成することができる。
【0031】
この解決の実施形態において、少なくとも1つの空気通過開口部は、少なくとも50mm2、好ましくは少なくとも100mm2の全面積を有している。
【0032】
この解決の他の実施形態において、少なくとも1つの空気通過開口部は、空気通過開口部を通してごみや小石のような異物が侵入することを防止するために、空気透過性の保護材料、金属またはプラスチックからなる保護ネットまたは保護格子によって覆われている。空気透過性の保護材料は、アッパー上材料の下方の周面領域の領域内で、空気透過性の層に沿って、特に空気通過開口部の外側か、あるいは空気通過開口部の内側で、アッパー上材料と空気透過性の層との間に配置されている。
【0033】
この解決の実施形態において、少なくとも1つの空気通過開口部は、装置によって閉鎖可能である。この装置は、外部のエレメントに対して、少なくとも水しぶきに対して、時に保護するために用いられるので、水は直接空気通過開口部を通って侵入することはできない。装置は、移動可能な装置の形式で、たとえばスライダとして、形成することができ、そのスライダによって少なくとも1つの空気通過開口部は、靴の外界と空気透過性の層の間の空気交換を絞り、あるいは阻止するために、部分的または完全に閉鎖することができる。これは特に、温度が低い場合に(たとえば冬において)効果的であり得る。というのは、汗の水分の搬出とそれに伴う、空気透過性の層を介しての空気交換と結びついた冷却作用によって、強すぎる冷却作用が発生し得るからである。移動可能な装置によって空気通過開口部を閉鎖することによって、極めて湿った環境で歩行する場合に過度の水の侵入に対抗作用することができる。
【0034】
この解決の実施形態において、たとえば空気透過性の層内に組み込まれた換気装置または送風機によって周囲との一定の空気交換がもたらされる。その場合に換気装置の出力は、足における所望の目標温度を維持するために、自動的に制御することができる。換気装置は、特に靴と周囲空気との相対移動が少なく、あるいは低い場合および周囲温度が高い場合に、冷却作用を感じるために必要になることがある。
【0035】
アッパー上材料のソール側のタックインフラップがマウンティングソールまたはインソールの下側の周端縁上に接着されている(AGOの名称でも知られている)、つり込みシューズである、この解決の実施形態において、タックインフラップと、それが接着されているマウンティングソールは、空気透過性の層の下方に配置されている。
【0036】
しかしこの解決は、つり込みアッパーを有する靴に限定されておらず、アッパー底側が成形されたアッパー構造体を得るために、アッパー上材料の下方の領域がどのようにして加工されているかに関係なく、適用することができる。つり込みデザインの他に、それ自体知られた他のデザインも適用することができる。例として挙げられるのは、アッパー上材料の下方の領域が、いわゆるストローベル縫目によってマウンティングソールの周面に縫い付けられる、ストローベル−デザイン;アッパー上材料のソール側の端部領域にたとえば螺旋状の摘み皮縫目の形式のひもトンネルが設けられ、それを通して移動可能な縫付けひもが案内されて、その縫付けひもによってアッパー上材料のソール側の端部領域を引き締めることができる、縫付けデザイン(「ストリング−ラスティング("String-Lasting")」とも称される);およびブレードを除くアッパーとアッパー底が、1片のアッパー上材料、大体は皮革、から一体的に形成される、モカシンデザインである。
【0037】
この解決の実施形態において、靴の呼吸活動に寄与するすべてのコンポーネントは、アッパーとソールの間の境界平面の上方に位置している。従って靴のすべてのコンポーネントは、地面に接触するアウトソールを除いて、アッパー構造体の部分である。このアッパー構造体は、完全に形成しておくことができ、その後に時間的かつ場合によっては空間的にも別の、靴を形成する第2の形成ステップにおいて、さらにアウトソールがアッパー構造体に固定される。アウトソールの取付けは、1回の統一的な靴形成において、アッパー構造体の形成の直後に行うことができ、あるいはアッパー構造体の形成によって、まず、それ自体閉鎖された形成ステップが終了し、その後、このようにして得られたアッパー構造体が、他の形成箇所へ移動されて、そこでアッパー構造体にアウトソールが設けられる。この形成場所は、アッパー構造体が形成されるのと同じ形成建物内にあってもよい。しかし、アッパー構造体にアウトソールが設けられる形成場所は、アッパー構造体のための形成場所とはまったく異なる場所にあってもよいので、アッパー構造体を形成するステップとアッパー構造体にアウトソールを取り付けるステップの間で、形成工程を中断することができ、その中断の間にできあがったアッパー構造体が、アッパー構造体にアウトソールを取り付けるための形成場所へ移動される。アウトソールがアッパー構造体に固定される前に(これは、たとえば射出形成または接着によって行うことができる)、アッパー底機能層だけでなく、空気透過性の層もアッパー底に固定され、ないしはアッパー底の一部を形成することによって、アウトソールを別にして靴のすべてのコンポーネントがアッパー構造体内に収容されるので、アッパー構造体へのアウトソールの取り付けを担当する形成場所は、このアウトソールの他に何も取り付ける必要はなく、そのためにまったくノーマルな従来の方法と工具で十分である。靴形成のより困難で、より微妙な部分、すなわち機能層と空気透過性の層の取扱いと取付けは、アッパー構造体の形成に、従ってもともと、アウトソールをアッパー構造体に固定するだけの方法ステップにおけるよりも面倒で複雑な方法ステップを必要とする形成段階に、組み込まれる。
【0038】
この解決の実施形態において、ソールにさらに、その厚みを通して延びる、少なくとも1つのソール透孔が設けられる。この実施形態は、その足裏領域内で、少なくとも1つのソール透孔を介して垂直方向にも、アッパー上材料の少なくとも1つの空気通過開口部を介して水平方向にも、汗の水分と熱を逃がすことが可能な靴をもたらす。さらに、少なくとも1つのソール透孔は、アウトソールの上方の領域内へ達した水分をさらに良く逃がすための補助として用いられる。
【0039】
この解決の実施形態において、安全靴を形成するために、アウトソール内またはその上方に、たとえば釘保護プレートの形式の踏抜き保護部材が配置されている。それによって、アウトソール内へ進入することができる、地面上にある、特に釘のような対象が、このアウトソールとその上にある、ソール構造とアッパー底の他の部材を通して靴の内部へ進入して、靴の使用者の足を傷つけることが、防止される。釘のようなこの種の対象は、たとえば鋼板であり、あるいは適切な踏抜き剛性を有するプラスチックプレートである、踏抜き保護部材によって食い止められる。この種の安全靴においては、アウトソールを貫通する透孔は、意味をなさない。というのは、透孔は釘保護プレートによって初めから覆われてしまうので、この種の靴においては、足裏領域における通気とそれに伴う空調快適性の改良のために残るのは、汗の水分を水平に側方へ搬出することのみである。
【0040】
この解決の実施形態において、空気透過性の層は、空気透過性のスペーサ形成物として形成されており、それは、靴の使用者の足によって負荷がかかった場合でも、空気透過性の層が、その上と下にある層の間に、空気透過性の層の空気透過性が維持されるような間隔を維持するように、形成されている。
【0041】
この解決の実施形態において、空気透過性のスペーサ形成物は、少なくとも部分的に弾性的に撓むように形成されている。それによって、靴の歩行快適性が向上する。というのは、この種の空気透過性のスペーサ形成物によって、歩行の際の踏み出し緩衝とより軽いローリングプロセスが達成されるからである。
【0042】
この解決の実施形態において、空気透過性のスペーサ形成物は、それぞれの靴の靴大きさに従って最大予測すべき、靴利用者の重量によって最大の負荷がかかった場合に、最大で、この種の最大の負荷においてもまだ、空気透過性の層を形成するスペーサ形成物の空気透過性のほとんどの部分が維持されるだけ、弾性的に撓むように形成されている。空気透過性のスペーサ形成物のためのこの条件つきで、靴の使用者によって負荷がかかった場合に、空気透過性のスペーサ形成物はその空気透過性を失って完全に圧縮されるのではなく、靴の利用者による負荷がかかった場合でも、スペーサ形成物のスペーサ機能とそれに伴って空気透過性を、通気機能にとって十分な程度に維持することが、保証される。
【0043】
この解決の実施形態において、空気透過性のスペーサ形成物は、第1の載置面を形成する面形成物と、その面形成物から垂直および/または0°と90°の間の角度で離れるように延びる多数のスペーサ部材とを有している。その場合に、スペーサ部材の、面形成物から離れた端部が一緒になって、面形成物から離れた第2の載置面を形成することができる面を定める。
【0044】
この解決の実施形態において、スペーサ形成物のスペーサ部材は、ネップとして形成されており、その場合にそのネップ自由端部が一緒になって、上述した第2の載置面を形成する。
【0045】
この解決の実施形態において、スペーサ形成物は、互いに対して平行に配置された2つの面形成物を有しており、その場合に2つの面形成物がスペーサ部材によって空気を透過するように互いに結合され、かつ距離をもって保持されている。その場合に面形成物の各々が、スペーサ形成物の2つの載置面の1つを形成している。
【0046】
2つの載置面をスペーサ形成物の全部の平坦な広がりにわたって等間隔にするために、すべてのスペーサ部材が同一の長さを有する必要はない。特殊な適用のためには、たとえば足に合った足床を形成するために、スペーサ形成物を種々のゾーン内で、あるいは種々の箇所において、その平面的な広がりに沿って異なる厚みにすると、効果的な場合もある。
【0047】
スペーサ部材は、別々に形成することができ、すなわち、スペーサ部材は、2つの載置面の間で互いに結合されていない。しかしまた、スペーサ部材を2つの載置面間で接触させ、あるいはそれによって形成される接触箇所の少なくとも一部を、たとえば接着剤によって、あるいはスペーサ部材が、たとえば加熱によって接着可能になる材料のような、溶接可能な材料からなることにより、互いに固定する可能性もある。
【0048】
スペーサ部材は、棒状または糸状の個別部材であっても、あるいは複雑な形成物、たとえば枠組みまたは格子組みの一部であってもよい。スペーサ部材は、ジグザグ形状またはクロス格子の形式で互いに結合することもできる。
【0049】
スペーサ部材の材料の選択により、かつ/またはスペーサ部材の傾斜角度の選択により、かつ/または隣接するスペーサ部材が互いに固定される接触箇所の割合および/または使用される枠組みまたは格子組みの形状の選択によって、負荷のもとでもスペーサ形成物の剛性とそれに伴って形状安定性が、それぞれの要請に適合される。
【0050】
この解決の実施形態において、スペーサ形成物は、波形または鋸歯状に形成されている。その場合に、2つの載置面は、スペーサ形成物の上方と下方の波の山ないし上方と下方の歯の頂点によって定められる。
【0051】
この解決の実施形態において、スペーサ形成物は、硬化されたニットによって構成され、その場合に硬化は、接着により(そのために合成樹脂接着剤を使用することができる)行われ、あるいはスペーサ形成物が熱可塑性の材料によって形成されて、それが硬化のためにこの材料を互いに接着する軟化温度まで加熱されることにより、熱的な作用によって行われる。
【0052】
この解決の実施形態において、スペーサ形成物は、ポリオレフィン、ポリアミドまたはポリエステルの材料グループから選択された材料によって構成されている。
【0053】
この解決の実施形態において、スペーサ形成物は繊維によって構成され、その繊維の少なくとも一部が、スペーサホルダとして面形成物の間に垂直に配置されている。
【0054】
この解決の実施形態において、繊維は、フレキシブルな変形可能な材料によって形成されている。
【0055】
この解決の実施形態において、繊維は、ポリオレフィン、ポリエステルまたはポリアミドからなる。
【0056】
この解決の実施形態において、面形成物は、開放孔の、織られ、編まれあるいはメリヤス編みされたテキスタイル材料によって形成されている。
【0057】
この解決の実施形態において、空気透過性のスペーサ形成物は、互いに対して平行に配置された2つの空気透過性の面形成物によって形成され、その面形成物は、単繊条または多繊条によって空気を透過するように互いに結合されており、かつ同時に離間している。
【0058】
この解決の実施形態において、面形成物は、ポリオレフィン、ポリアミドまたはポリエステルの材料グループから選択された材料によって形成されている。
【0059】
この解決の実施形態において、スペーサ形成物の単繊条または多繊条の少なくとも一部は、スペーサホルダとして面形成物の間にほぼ垂直に配置されている。
【0060】
この解決の実施形態において、単繊条または多繊条は、ポリオレフィンおよび/またはポリエステルおよび/またはポリアミドからなる。
【0061】
この解決において、空気透過性の層ないしそれを形成する空気透過性のスペーサ形成物は、ベンチレーション層の機能を有しており、そのベンチレーション作用は、空気のための極めて低い流れ抵抗に基づいている。空気交換は、靴内部空間から靴外側へ、水蒸気の形式の汗の水分を効果的に搬出することをもたらす。
【0062】
この解決の他の利点は、空気透過性の層をアッパー構造体のアッパー底領域内に配置することにより、付加的な修正なしで、従来のソールを使用できることにある。特に山靴とトレッキングシューズにおいて、ソールとアッパー構造体の間の境界領域は、靴の周面に沿って外側から、ゴム状の付加的なソールバンドによってシールされている。このバンドは、空気通過開口部の領域内で、同様に穴開けされていなければならない。シェルソールは、この解決の実施形態のために、たとえば、アッパー材料内の空気通過開口部がシェル端縁の上方に配置されている場合、あるいは付加的なソールバンドの、アッパー上材料の少なくとも空気通過開口部の上に位置する箇所に、1つまたは複数の対応する空気通過開口部が設けられている場合に、使用することができる。
【0063】
少なくとも1つの空気通過開口部は、任意の形状を有することができる。この解決の実施形態において、少なくとも1つの空気通過開口部は、丸い形状を有しており、たとえば円形または楕円形である。しかし、少なくとも1つの空気通過開口部の形状は、角張っていてもよく、たとえば方形または細長い矩形の形状を有することができる。
【0064】
独国特許出願第102008027856号(DE102008027856)に示す解決の実施形態において、個々の空気通過開口部の代わりに、空気透過性材料からなる細片が形成され、その細片が下方のアッパー上材料領域の周面全体の回りに延びており、それによって靴内部空間から靴の外環境へ熱と湿気を有効に逃がしながら、空気透過性の層と靴の外環境との間に特に高い空気交換が得られる。空気透過性材料は、アッパー上材料の要素を形成している。この解決の実施形態において、それは別体の多孔の、格子状またはネット形状の材料であって、その材料がアッパー上材料のソール側の下方の周面領域内でこのアッパー上材料に固定されており、あるいはアッパー上材料自体が、この下方の周面領域においてそれ相当に機械的に、たとえば打抜きまたはパーフォレーションによって、加工されている。空気透過性材料として、ネット、格子、格子状のテキスタイル部品、開口泡、空気透過性のテキスタイルおよびこれらの材料の組合せを使用することができる。これらの材料は、たとえばポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、TPE(熱可塑性エラストマー)、TPU(熱可塑性ポリウレタン)、加硫ゴムからなることができる。
【0065】
ソール側の下方の領域内に、空気透過性の材料からなる細片(アッパー上材料の空気通過開口部の一部にわたって、あるいはアパー上材料のすべての空気通過開口部にわたって配置され、あるいは周面側に延びる唯一の空気通過開口部を形成するために、空気透過性の層の高さにおいてアッパー上材料に代わる)を配置することは、空気透過性の材料からなるこの細片が、空気通過開口部に沿って均一に、ないしはソールの上方の端縁から均一な間隔で延びるようにする場合には、まったく簡単には実現されない。特にこれは、アッパー上材料のソール側の下方の端部領域がアッパー底、たとえばマウンティングソールの下方の周面領域に、つり込み接着によって、かつ特につり込みの際にもたらさなければならない高いつり込み力に基づいて、固定される靴である場合に、困難になり得る。アッパー上材料のソール側の下方の端部領域が、マウンティングソールの下方の周面領域に縫付けによって固定される靴の場合にも、高い引っ張り力が生じる。
【0066】
この種の問題は、本発明に基づいて形成された、特許請求項1に記載の靴によって解決される。本発明に基づいて形成された靴の実施形態が、従属請求項において請求されている。
【0067】
本発明の実施形態に基づく靴は、アッパー構造体とソールを有し、その場合にアッパー構造体は、アッパー上材料とアッパー底内に配置された空気透過性の層とを有している。空気透過性の層は、ソールの上方でアッパー構造体のソール側の下方の領域内に配置されている。空気透過性の層は、少なくとも水平方向に空気の透過を許す3次元の構造を有している。アッパー上材料のソール側の下方の周面領域は、その周面側の延びの少なくとも一部にわたって、少なくとも1つの結合材料によって置き換えられており、その結合材料は、空気透過性の層の少なくとも下側の上方で始まって、空気透過性の層の外部に延びてアッパー底に固定されており、かつ少なくとも、少なくとも部分的に空気透過性の層と同じ高さに位置する部分領域において、空気透過性であって、それによって空気透過性の層を外環境と次のように、すなわち外環境と空気透過性の層との間で空気を交換することができるように、接続する。
【0068】
本来のアッパー上材料の少なくとも一部を、空気透過性の上方またはその高さにおいて中断し、アッパー構造のソール側の下方の端部まで結合材料によって置き換え、その結合材料が少なくとも、空気透過性の層の高さに位置する領域内で空気透過性であることによって、比較的わずかな手間で、空気透過性の層を、きちんとした外観で確実に空気を透過するように覆うことを保証する可能性が達成される。
【0069】
実施形態においては、結合材料をアッパー底に固定することは、アッパー底層の下側につり込み接着することによって行われ、そのアッパー底層は、たとえば空気透過性の層であり、あるいはマウンティングソールであってもよい。この場合において、結合材料の下方の端部が、タックインフラップを形成する。
【0070】
アッパー上材料の内側にアッパー裏地が設けられる場合に、このアッパー裏地も同様につり込み取付けによって、特につり込み接着によって固定することができ、あるいは他のやり方で、たとえばストローベルによって、従ってストローベル縫目によってアッパー裏地マウンティングソールに固定される。
【0071】
空気透過性の結合材料は、2つの異なる機能を有している。1つは、空気透過性の層と外環境との間で空気を交換できることを、保証することである。他方で、結合材料は、アッパー上材料をアッパー底に、たとえばマウンティングソールに、あるいは空気透過性の層に、固定するために用いられる。この固定プロセスは、たとえばつり込み、ストローベルまたはストリング−ラスティングのような、アッパー構造体を形成するための、すべての既知の方法を含んでいる。
【0072】
結合材料は、特に延長細片の形式の、細片形状であることができる。
【0073】
結合材料は、その幅全体にわたって、あるいはその幅の、固定工程後に空気透過性の層の高さに位置する部分のみにわたって、空気透過性であることができる。
【0074】
結合材料は、アッパー上材料の下方の周領域全体の回りに延びることができる。
【0075】
結合材料のための材料として、特にネット状または格子状の材料が適している。好ましくは、結合材料は、格子バンドまたはネットバンドによって形成されている。これは、その幅全体にわたってほぼ等しい大きさの開口部を有している。実施形態において、格子バンドまたはネットバンドは、空気透過性の層に対応づけられた領域において、できるだけ大きい空気透過性を得るために、特に、たとえば結合材料のつり込み領域のような、固定領域におけるよりも、大きい開口部を有している。このようにして、特に大きい力が発生するところにおいて、すなわち固定領域内では、結合材料の、空気透過性の層と対向する領域におけるよりも高い剛性度と負荷耐性が保証される。結合材料は、固定工程において、かつ適用の間、主要負荷を吸収しなければならないので、結合材料のために、それに応じた安定した材料が選択され、結合材料によってこの主要負荷を免れる、本来のアッパー上材料のためには、材料選択に関してより大きい自由度が獲得される。
【0076】
一般に、結合材料は、高い摩耗強度、高い突抜け強度(小石、小枝などに対して)、接着でき、かつ縫うことができることを、特徴としている。結合材料が、切断面においてほつれないと、効果的である。
結合材料のための材料を選択する場合に、機械的な保護、汚れや水をはじく特性および視覚的印象が、重要な役割を果たす。空気透過性の結合材料として、ネット、格子、格子状のテキスタイル、開孔泡、空気透過性のテキスタイル、3次元のニット、ニット、織物、メリヤスニット、空気透過性の不織布、ガラス繊維または炭素繊維のような無機繊維からなる材料およびこれらの材料の組合せを使用することができる。
【0077】
結合材料は、原理的にすべての技術的サーモプラスト、ジュロプラストおよびエラストマーからなることができる。特殊な金属またはプラスチックと金属の組合せ、金属化されたポリマーまたは金属編物も、考慮される。プラスチックの例は、PUR(ポリウレタン)、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリオレフィン、TPE(サーモプラスティックエラストマー)、TPU(熱可塑性ポリウレタン)、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン−弾性ゴム)、SAN(スチロール−アクリルニトリル−コポリマー)、SBR(スチロール−ブタジエン−ゴム)、ABS(アクリルニトリル−ブタジエン−スチロール)、加硫ゴム、シリコーンおよびこれらの材料の組合せである。結合材料のために、ゴムも使用することができる。結合材料は、少なくとも1つの空気透過性の膜または空気透過性のフィルムを有することもできる。
たとえば、結合材料は、少なくとも2つの互いに異なる材料領域を有することもできる。
【0078】
結合材料は、1成分または複数の成分を有することができる。
【0079】
実施形態において、結合材料は、複数の成分を、たとえば複合材料の形式で、有している。実施形態において、結合材料は、たとえばゴム引きされたテキスタイルのように、コーティングされ、あるいは含浸された格子バンドまたはネットバンドによって形成されている。コーティング/含浸は、アクリレート、シリコーンまたはポリウレタンベースで行うこともできる。一般に、空気透過性の層が疎水性に形成されていると、効果的である。
【0080】
他の実施形態において、空気透過性の結合材料のコーティングは、同時に接着剤として、他の材料を固定するため、あるいは他の材料に固定するために用いられる。たとえば、コーティングを用いて、結合材料の少なくとも一部を覆う、空気を透過する開口部を備えたカバー細片を、付加的な接着剤なしで、結合材料に固定することができる。他の例において、コーティングは、つり込み接着剤として用いられる。実施形態において、格子バンドまたはネットバンド(格子状のテキスタイル)が、加熱されると接着剤として作用する、ポリウレタンでコーティングされている。格子バンドまたはネットバンド上に、接着結合のために十分な接着剤が塗布されることが、保証されなければならない。
【0081】
空気を透過する開口部を有するゴムバンドのような、前もって形成された複合材料を使用することも可能であって、その複合材料は、繊維またはテキスタイル構造(ネットまたは格子)によって強化/硬化されている。ゴムバンドの開口部内には、ネットまたは格子のみがある。前もって形成された複合材料は、他のコンポーネントと結合することもでき、たとえばゴムバンドと接着された格子バンドを有することができる。これらの場合において、ゴムバンドは、上述したカバー細片の機能を引き受け、それについては後に詳細に説明する。従って、別体のカバー細片を結合材料内へ統合することが可能である。それによって付加的なカバー細片が省かれ、アッパー構造体の形成が簡略化される。
【0082】
さらに、結合材料は、その幅にわたって異なる材料特性および/または物理的特性を有することができる。たとえば結合材料は、空気透過性の層内では、特に高い空気透過性を有しているが、下方の固定領域内ではわずかな空気透過性を有する。他の異なる特性は、伸長可能性、剛性度および/または厚みとすることができる。たとえば、実施形態において、結合材料は、アッパー底に固定するために用いられる、下方の領域内においては、より薄く形成されている。従って、結合材料をアッパー底に固定することによって、空気透過性の開口部がずれず、あるいは変形せず、永続的に空気透過性の層と同じ高さに位置する。
【0083】
本来のアッパー上材料の下方の端部領域と結合材料の上方の端部領域との間の結合は、たとえば接着、溶接または縫付けによって形成することができる。
【0084】
本発明の実施形態において、アッパーの外側に、ソールの上方の周端縁の少なくとも一部から始まって、カバー細片が配置されており、そのカバー細片は、結合材料の上方の端部を越えてアッパー上材料まで延びており、かつ結合材料の、少なくとも部分的に空気透過性の層の高さに位置する部分を覆う領域の少なくとも一部において、空気を透過する。
【0085】
この種のカバー細片は、特に保護バンドであって、それは特に、いわゆるトレッキングシューズの場合に、従来のように、下方のアッパー端部にその周面を一周して取り付けられており、それによって、特に山歩きする際に特に高い摩耗負荷を受けるアッパー領域のための保護が形成される。この種のカバー細片は、しばしばゴムまたはゴム状のプラスチックからなり、従ってこの種のカバー細片のために、しばしば「ゴムバンド」という概念が使用される。それにもかかわらず、このカバー細片は、実際のゴムバンドである必要はなく、その代わりにたとえば、もともと摩耗強く、あるいは摩耗強く形成された、強化されたテキスタイル材料を使用することもできる。
【0086】
空気透過性の層の領域内で、外環境への空気透過性が損なわれないようにするために、カバー細片も少なくとも、空気透過性の層の高さに位置する領域内で、空気を透過するように形成されている。特に、カバー細片の材料がゴムまたはゴムと似たプラスチックである場合に、カバー細片は少なくとも、空気透過性の層に対向し、従って空気透過性でなければならない領域内で、パーフォレーション孔、切欠きまたは切り抜かれた領域によって空気透過性にすることができる。
【0087】
カバー細片は、結合材料の外側に位置し、好ましくは、本来のアッパー上材料と結合材料の間の結合が存在する領域の上方に延びている。このようにして、この結合領域が覆われ、外側からは見えず、それが靴の良好な外観に役立つ。
【0088】
カバー細片は、そのソール側の下方の端部において、同様にアッパー底と結合することができ、たとえばつり込み工程によってこのアッパー底に固定することができる。これは、カバー細片がつり込み接着によって、たとえば空気透過性の層の上につり込まれた結合材料の下側につり込まれて、そこで堅固に接着されることによって、行うことができる。これは、つり込み力が、結合材料だけによって吸収される必要はなく、結合材料とカバー細片に分配される、という利点を有している。他の実施形態において、カバー細片は結合材料と結合され、たとえば接着され、溶接され、あるいは縫い合わされ、次に両者が一緒につり込み工程によってアッパー底に固定される。
【0089】
定義
水平、垂直:
それぞれ該当する対象、たとえばソールまたはアッパー構造を見る場合に、この対象が平坦な土台上に載置される、規定通りの位置において、該当する。
【0090】
内側、外側:
内側は、靴内部空間を向いた側;外側は、靴外側へ向いた側を意味する。
【0091】
上、下:
上は、靴のソールの接地面から離れる方向を向いた側を意味し、下は、靴のソールの接地面を向いた側ないし、ここでも土台が平坦であると仮定して、靴が載置される土台を向いた側、を意味する。
【0092】
靴または靴類:
履き口を備えた、閉鎖された上部分(アッパー構造体)と少なくとも1つのソールまたはソール複合体を有する、足被覆。
【0093】
アッパー構造体:
履き口を残して足を完全に包囲し、アッパーの他にアッパー底も有している。アッパー構造体は、さらに、たとえば裏地および/または水密、水蒸気透過性の機能層および/または1つまたは複数の絶縁層の形式の、1つまたは複数の内張りを有することができる。
【0094】
アッパー上材料:
アッパーとそれに伴ってアッパー構造体の外側を形成し、たとえば皮革、テキスタイル、プラスチックまたは他の既知の材料およびその組合せからなり、あるいはそれによって構成される、材料。一般に、これらの材料および組合せは、水蒸気を透過する。アッパー上材料のソール側の下方の周面領域は、ソールの上端縁に隣接する領域ないしはアッパーとソールの間の境界領域の上方の領域を記述する。
【0095】
アッパー底:
アッパー構造体のソール側の下方の領域であって、その中でアッパー構造体は完全に、あるいは少なくとも部分的に閉鎖されている。アッパー底は、足の裏とアウトソールの間に位置する。つり込まれた底またはストローベル底を有する靴において、アッパー底は、マウンティングソール(インソール)と協働して形成することができる。アッパー底は、さらに、アッパー底機能層またはアッパー底機能層ラミネートを有することができ、その場合にこのラミネートは、マウンティングソールの機能も引き受けることができる。本発明に基づく靴においては、アッパー底はさらに、空気透過性の層を有している。
【0096】
ソール:
ソールという概念は、任意の種類のソールまたはソール層のための上位概念である。
【0097】
マウンティングソール(インソール):
マウンティングソールは、アッパー底の一部であって、それにソール側の下方のアッパー端部領域が固定される。マウンティングソールは、この目的のためだけに設けることができ、その場合においては、インソールに言及されることが多い。しかしマウンティングソールとして、アッパー底内にあるソール層も用いることができ、そのソール層は、まず他の目的のために配置されており、マウンティングソールの機能のために一緒に使用される、たとえば、本発明に基づく靴において設けられる空気透過性の層である。マウンティングソールは、水蒸気透過性であることができ、たとえばマウンティングソールは、水蒸気透過性の材料から形成されており、あるいはマウンティングソールの厚みを通して形成された開口部(穴、パーフォレーション)によって水蒸気を透過するように形成されている。この場合において、マウンティングソールは、たとえば、150m2xPaxW-1の水蒸気透過率Retを有している。水蒸気透過率は、ホーエンシュタイン−スキンモデルに従ってテストされる。このテスト方法は、DIN EN 31092(02/94)ないしISO 11092(1993)に記載されている。
【0098】
ソール:
靴は、少なくとも1つのアウトソールを有するが、重ねて配置された、複数種類のソールを有することもできる。
【0099】
アウトソール:
アウトソールは、ソール領域の、地面/土台に接触し、ないしは地面/土台に対する主な接触を形成する部分である。アウトソールは、地面に接触する少なくとも1つの接地面を有している。
【0100】
中間ソール:
アウトソールが直接アッパー構造体に取り付けられない場合に、アウトソールとアッパー構造体との間に中間ソールを挿入することができる。中間ソールは、たとえばクッション、緩衝または充填材料として用いることができる。
【0101】
ブーティ:
ブーティと称するのは、アッパー構造体のソックス形状の内張りである。ブーティは、靴の内部を実質的に完全に覆う、アッパー構造体のソックス形状の内張りを形成する。
【0102】
機能層:
たとえば膜または然るべく処理され、あるいは装備された材料、たとえばプラズマ処理を有するテキスタイルの形式の、水蒸気透過性および/または水密の層。機能層は、アッパー底機能層の形式で、アッパー構造体のアッパー底の少なくとも1つの層を形成することができるが、付加的に、アッパーを少なくとも部分的に内張りするアッパー機能層として設けることもできる。アッパー機能層も、アッパー底機能層も設けられる場合には、これらは、多層の、多くは2層、3層または4層のラミネートの一部を形成することができる。機能層ブーティの代わりに、アッパー機能層と別体のアッパー底機能層とが使用される場合には、これらはたとえば、アッパー構造体のソール側の下方領域内で、互いに対して水密に密閉される。アッパー底機能層とアッパー機能層は、1つの材料から形成することもできる。
水密の、水蒸気透過性の機能層に適した材料は、特に、米国特許第7425418号明細書(US-A-7425418)と米国特許第4493870号明細書(US-A-4493870)に記載されているような、ポリウレタン、ポリオレフィンおよび、ポリエーテルエステルを含むポリエステルとそのラミネートである。実施形態において、たとえば米国特許第3953566号明細書(US-A-3953566)と米国特許第4187390号明細書(US-A-4187390)に記載されているような、微孔の、延伸されたポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)を有する機能層と、親水性の含浸剤および/または親水性の層を有する、延伸されたポリテトラフルオロエチレンが構築される。たとえば、米国特許第4194041号明細書(US-A-4194041)を参照されたい。微孔の機能層というのは、その平均的な実効孔大きさが、0.1−2μmの間、好ましくは0.2μmと0.3μmの間にある機能層である。
【0103】
ラミネート:
ラミネートは、一般には相互の接着または溶接によって、互いに永続的に結合された、複数の層からなる複合体である。機能層ラミネートにおいては、少なくとも1つのテキスタイル層を有する水密および/または水蒸気透過性の機能層が設けられている。少なくとも1つのテキスタイル層は、主として、機能層をその加工の間保護するために用いられる。ここで言うのは、2層ラミネートである。3層ラミネートは、2つのテキスタイル層内へ埋め込まれた、水密、水蒸気透過性の機能層からなる。機能層と少なくとも1つのテキスタイル層との間の結合は、たとえば、非連続の接着剤層あるいは連続的な水蒸気透過性の接着剤層によって行われる。実施形態において、機能層と1つまたは2つのテキスタイル層との間に、接着剤を点状に塗布することができる。それ自体水蒸気透過性でない接着剤からなる全面の層は、機能層の水蒸気透過性をブロックしてしまうので、接着剤の点状ないし非連続の塗布が行われる。
【0104】
水密:
場合によっては機能層/機能層ラミネートに設けられた縫目を含めて、機能層/機能層ラミネートが、少なくとも1x104Paの浸水圧を保証する場合に、「水密」と見なされる。好ましくは、機能層は、1x105Paを越える浸水圧に耐える。その場合に、浸水圧は、テスト方法に従って測定され、そのテスト方法においては、20±2℃において蒸留水が、機能層の100cm2の検体上に、上昇する圧力をもってもたらされる。水の圧力上昇は、分当たり60±3cm水柱である。その場合に浸水圧は、初めて水が検体の他の側へ現れる圧力に相当する。方法の詳細は、1981年のISO−規格0811に定められている。
【0105】
靴が水密であるかは、たとえば米国特許第5329807号明細書(US-A-5329807)に記載された種類の遠心力配置によってテストすることができる。
【0106】
水蒸気透過性:
機能層/機能層ラミネートは、150m2xPaxW-1を下回る水蒸気透過性数Retを有する場合に、「水蒸気透過性」と見なされる。水蒸気透過性は、ホーエンシュタイン−スキンモデルに従ってテストされる。このテスト方法は、DIN EN31092(02/94)ないしISO11092(1993)に記載されている。
【0107】
空気透過性:
「空気透過性」というのは、本出願においては、空気と水蒸気の対流的交換が空気の流れによってもたらされ、水蒸気の交換が拡散プロセスまたはそれらの組合せによってもたらされることを意味している。
【0108】
空気透過性の層:
空気透過性の層は、少なくとも水平方向に空気通過を許す3次元の構造を有している。この構造は、空気について極めて低い流れ抵抗を有する。その場合に、空気透過性の層は、靴内部空間から、たとえば対流によって熱と水蒸気を吸収して搬出することを許す。空気透過性の層は、少なくとも50%、ある形態においては85%を越える空気体積を含んでいる。空気透過性の層の厚みは、12mmより少なく、その場合に実施形態においては、厚みは8mmよりも少ない。空気透過性の層は、2000g/m2より少ない、好ましくは800g/m2より少ない面重量を有している。空気透過性の層は、アッパー底の足載せ面の少なくとも50%、かつ好ましくは少なくとも70%を覆っている。さらに空気透過性の層は、走行中にユーザーの足によって少なくとも実質的に永続的に圧縮されない剛性を備えた構造を有している。
【0109】
空気透過性の層として、たとえば、それ自体、独国特許出願公開10240802号明細書(DE 10240802 A2)から、そこではもちろん衣服片のための赤外線反射材料に関連して、知られているような、スペーサ形成物が適している。
【0110】
空気透過性の層は、たとえばポリマーから成形された構造、3Dスペーサ形成物またはポリマー樹脂で硬化されたテキスタイル構造とすることができる。空気透過性の層は、射出成形方法によって形成することもでき、ある実施形態においては、通路またはパイプの形状の形態を有することができ、あるいはポリマー泡または金属泡から形成することができる。
【0111】
ポリマーから成形された構造は、ポリマー単繊条、織物、フリースまたは、材料の変形と固定によってリブ構造、ネップ構造またはジグザグ構造に成形された不織布に基づいている。この構造は、たとえば波形の、あるいは他の形状によって3D構造にされたフィラメント不織布の形式の、たとえばポリウレタンからなる、3次元の形成物であってもよい。変形と固定は、たとえば加熱された構造ドラムを介して、あるいは熱成形プロセスとして実施することができる。成形された構造は、次元安定性を改良するために、さらに、織物またはフリースによってラミネートすることができる。この種の成形された構造を形成するための可能な方法が、たとえば国際公開第2006/056398号(WO2006/056398)に記載されている。
空気透過性の層は、3Dスペーサ形成物から形成することもできる。この種のスペーサ形成物は、通常、ポリエステル多繊条または単繊条からなる。スペーサ形成物は、スペーサニット、スペーサ編物、スペーサフリース材料またはスペーサ織物とすることができる。編物テクノロジーは、商品面の上側と下側も、スペーサ糸(パイル糸)も、互いに独立して変化させることを許す。すなわち、それぞれ個別の適用の種類に応じて、表面とばね特性曲線を含めた硬度を調節することができる。スペーサ形成物は、負荷を受けても、すべての方向における極めて高い空気循環を特徴としている。たとえばスペーサニットの形式の、スペーサ形成物は、テキスタイル面形成物の含浸を介して形成することもでき、その面形成物は、3次元形成物に変形する前または後に、樹脂を含浸され、それによって所望の剛性を得る。スペーサ形成物のための繊維材料として、同様に、ガラス繊維またはカーボン繊維のような、無機繊維を選択することができる。
【表1】
【0112】
要約すると、空気透過性の層が、足とアウトソールとの間に間隔を維持し、多数のパッセージを形成し、そのパッセージが空気流にできるだけ少ない抵抗を示し、それによって水蒸気を吸収することなしに、水蒸気と熱の移送に寄与する。空気透過性の層は、毛管現象を持たず、あるいは少なくとも実質的に持たない。空気透過性の層は、その底側においては、マウンティングソールおよび/または充填層および/またはアウトソールによって閉鎖され、少なくともその周側において空気透過を許すように開放している。好ましくは、空気透過性の層は、付加的に、その上方の表面において、同様に空気透過を許すように開放している。空気透過性の層の、アッパー内部空間を向いた上方の表面は、実施形態においては、水密かつ場合によっては水蒸気透過性の機能層へ向けられている。
【0113】
スペーサ形成物の空気透過性の決定は、DIN EN ISO9237「テキスタイル面形成物の空気透過性の決定」に従って行われる。DIN EN ISO9237とは異なり、流れ抵抗と差圧は、面に対して垂直にではなく、面に沿って測定される。そのために、閉鎖されたカバー面によって画成される定められたスペーサ通路が構築され、その中へ一方の側から空気流が供給される。通路の流入と流出の間の差圧と空気出口における流れ速度が測定される。0と100Paの間の差圧において、300mmと1300mmの間の長さの通路の端部において、0と1m/sの間の流れ速度が測定された。これは、100Paまでの動圧と300mmの流れ通路長さにおいて、出口において測定可能な流れをもはや発生しないスペーサ形成物は、本発明に適していないことを、意味している。
【0114】
空気通過開口部:
アッパー上材料のソール側の下方の周面領域内に少なくとも1つの開口部を有している。好ましくは、少なくとも2つの、ほぼ対向する空気通過開口部が設けられている。空気通過開口部は、たとえば、打抜き、切抜きまたはパーフォレーションによってアッパー上材料に形成することができる。空気通過開口部の形状は、たとえば丸く、あるいは角張っているように、任意にすることができる。空気通過開口部は、たとえばネットまたは格子の形式の、空気を透過する平面的な保護材料によって異物が侵入しないように保護することができる。保護材料は、疎水性で設けることができる。少なくとも1つの空気通過開口部の面積全体は、少なくとも50mm2であって、好ましくは少なくとも100mm2である。代替的な実施形態において、空気通過開口部は、直接、アッパー上材料として使用することができる、あるいはアッパー上材料の構成要素であり、従って内在的に必要な空気透過性を有する、空気透過性の材料によって形成することもできるので、付加的な開口部を形成する必要はない。
【0115】
つり込み、つり込み接着:
これは、アッパー層、たとえばアッパー上材料またはアッパー裏地の下方の端部領域を、マウンティングソール(たとえばインソールまたは空気透過性の層)の下側に、通常つり込み接着によって、固定するやり方である。その場合にソール側のまだ開放しているアッパーが枠縁上に、アッパー上材料の下方の端部領域が枠縁を越えて張り出すように張りわたされ、アッパー上材料のこの張り出した部分がつり込みペンチを用いてマウンティングソールの下側の周端縁上へ引っ張られて、そこにつり込み接着剤によって堅固に接着される。
【0116】
結合材料:
アッパー上材料のソール側の下方の端部領域に固定された、細長い材料片であって、全部または少なくとも部分的に空気透過性の材料からなり、その長手寸法は、アッパーの周面またはその一部にわたって延びている。本発明の場合においては、下方のアッパー上材料端部の個々の周部分領域に、あるいは全周面領域に、1つまたは複数の延長細片が固定される。
【0117】
カバー細片(たとえばゴムバンド):
特にゴムまたはゴムに似た材料からなる、縦長の細片であって、下方のアッパー端部の周面全体の回り、あるいは少なくともその大部分の回りに延びており、この細片で覆われたアッパー領域のために、保護、特に摩耗保護を提供する。カバー細片は、アウトソールから上方へ延びることができる。カバー細片は、アウトソール内に統合することができ、あるいはアウトソールとは別体の部分であってもよい。
【0118】
実施形態を用いて本発明を付加的に説明する。
【0119】
図1から14は、すでに説明した独国特許出願第102008027856号(DE102008027856)に開示され、上で説明した解決を示しており、図15から19は、本発明のためのものである。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】独国特許出願第102008027856号(DE102008027856)に基づいて形成された、アッパー上材料内に複数の空気通過開口部を有する靴の第1の実施形態を示す斜視図である。
【図2】独国特許出願第102008027856号(DE102008027856)に基づいて形成された、アッパー上材料内に複数の空気通過開口部を有する靴の第2の実施例を示す斜視図である。
【図3】独国特許出願第102008027856号(DE102008027856)に基づいて形成された、アッパー上材料内に複数の、部分的に閉鎖可能な空気通過開口部を有する靴の第3の実施例を示す斜視図である。
【図4】独国特許出願第102008027856号(DE102008027856)に基づいて形成された、アッパー上材料の、アッパー周面を一周する空気透過性の格子状の構成部分を有する靴の第4の実施例を示す斜視図である。
【図5】図1から4に示す実施形態の1つに従って形成された靴の前足領域の一部を、そのアッパー構造体の第1の実施形態において示す、図式的な断面図である。
【図6】図1から4に示す実施形態の1つに従って形成された靴の前足領域の一部を、そのアッパー構造体の第2の実施形態において示す、図式的な断面図である。
【図7】図1から4に示す実施形態の1つに従って形成された靴の前足領域の一部を、そのアッパー構造体の第3の実施形態において示す、図式的な断面図である。
【図8】図1から4に示す実施形態の1つに従って形成された靴の前足領域の一部を、そのアッパー構造体の第4の実施形態において示す、図式的な断面図である。
【図9】図1から4に示す実施形態の1つに従って形成された靴の前足領域の一部を、そのアッパー構造体の第5の実施形態において示す、図式的な断面図である。
【図10】独国特許出願第102008027856号(DE102008027856)に基づいて形成された靴のために使用可能な空気透過性の層の第1の実施形態を示している。
【図11】独国特許出願第102008027856号(DE102008027856)に基づいて形成された靴のために使用可能な空気透過性の層の第2の実施形態を示している。
【図12】独国特許出願第102008027856号(DE102008027856)に基づいて形成された靴のために使用可能な空気透過性の層の第3の実施形態を示している。
【図13】独国特許出願第102008027856号(DE102008027856)に基づいて形成された靴のために使用可能な空気透過性の層の第4の実施形態を示している。
【図14】独国特許出願第102008027856号(DE102008027856)に基づいて形成された靴のために使用可能な空気透過性の層の第5の実施形態を示している。
【図15】本発明に基づいて形成された靴の第1の実施形態を、つり込み工程前に示す部分断面図である。
【図16】本発明に基づいて形成された靴の第2の実施形態を、図15の第1の実施形態と同様に、つり込み工程とアウトソールの取付け後において示している。
【図17】本発明に基づいて形成された靴の第3の実施形態を、ストローベルで取り付けられたアッパー構造体とともに示す部分断面図である。
【図18】図17に示す靴を、アウトソールの取付け後において示している。
【図19】本発明に基づいて形成された靴の第4の実施形態を、ソール取付け前に、アッパー上材料と結合された空気透過性の層と共に示す部分断面図である。
【図20】本発明に基づく靴のための本発明に基づく結合材料の第1の実施形態を部分的に示す上面図である。
【図21】本発明に基づく靴のための本発明に基づく結合材料の第2の実施形態を部分的に示す上面図である。
【図22】本発明に基づく靴のための本発明に基づくカバー細片の第1の実施形態を部分的に示す上面図である。
【図23】本発明に基づく靴のための本発明に基づくカバー細片の第2の実施形態を部分的に示す上面図である。
【図24】ゴムバンドと格子バンドからなる複合体の形式の、本発明に基づく結合材料の第3の実施形態を部分的に示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0121】
図1は、独国特許出願第102008027856号(DE102008027856)に示す靴10の第1の実施例を示しており、その靴はアッパー構造体12とアッパー構造体12の下方の端部領域に配置されたソール14とを有しており、そのソールは、この実施例の場合において、アウトソールである。アッパー構造体12は、通常のように、その上方の端部に、履き口12aを有しており、そこからひも領域12bがアッパー構造体12の前足領域の方向に延びている。アッパー構造体12の下方の端部領域内に、アッパー構造体12の周面の一部の周りに配置された多数の空気通過開口部20が見られる。靴の足指領域にほぼ相当する、前足領域の前方部分内には、この実施形態においては、空気通過開口部は設けられていない。空気通過開口部20は、アッパー構造体12の残りの周面領域の周りに互いに対してほぼ等間隔で均一に分配されており、かつ円形に形成されている。さらに、小石などの大きな小片が侵入することを防止するために、空気通過開口部20には空気を透過する保護カバー22が設けられている。保護カバー22は、外側および/または内側から空気通過開口部を覆うことができる。各個々の空気通過開口部20に、それぞれ保護カバー22を対応づけてもよいし、あるいはすべての空気通過開口部にわたって保護カバー全体22が延びていてもよい。保護カバー22は、たとえば格子状またはネット形状に形成することができる。
【0122】
図2は、独国特許出願第102008027856号(DE102008027856)に示す靴10の第2の実施例を示しており、その第2の実施例は、図1に示す第1の実施例とほぼ一致するが、空気通過開口部20の配置と形状に関して、第1の実施例から区別される。図2に示す靴の空気通過開口部20は、アッパー構造体12の周方向に細長い矩形形状を有しており、アッパー構造体の下方の端部領域内のアッパー周面の前足領域ないしかかと領域内に位置している。空気通過開口部20は、さらに、格子形状の保護カバー22を有している。
【0123】
図3は、独国特許出願第102008027856号(DE102008027856)に示す靴10の第3の実施例を示しており、その第3の実施例は、図2に示す第2の実施例とほぼ一致するが、空気通過開口部20の配置に関して第2の実施例から区別される。第3の実施例においても、空気通過開口部20は、アッパー構造体12の周方向に細長い矩形形状を有している。もちろん、アッパー周面の前足領域内にのみ、空気通過開口部20が設けられており、その空気通過開口部は、足横方向に少なくともほぼ対向している。空気通過開口部20は、格子状の保護カバー22によって覆われている。
図3は、さらに、図1から4のすべての実施形態を代表して、装置45を有しており、その装置によって、必要な場合に空気通過開口部20を閉鎖することができる。図示の移動可能な装置45は、手段を有しており、その手段によって少なくとも水をはじく材料が、時には空気通過開口部20を閉鎖する。図示の実施形態においては、スライダ装置によって、少なくとも撥水性の材料を、アッパー周面に沿って空気通過開口部20の上に、それが閉鎖されるまでスライドさせることができる。スライド装置は、それぞれの空気通過開口部のために、あるいは複数の空気通過開口部のために、設けることができる。移動可能な装置45は、空気通過開口部とそれに伴ってアッパー構造体12の空気透過性の層(図示せず)が、時に、水のような液体の侵入に対して保護されることを、可能にする。空気通過開口部の閉鎖は、冬において、ないしは極めて温度が低い場合に効果的であり得る。というのは、それによって足が著しく冷えることを防止できるからである。空気通過開口部を閉鎖するための装置として、栓、スライダ、フラップ、一周するバンドおよびその他のすべての閉鎖機構を使用することができる。空気通過開口部を閉鎖するための可能な材料は、プラスチック、泡材、コーティングされたテキスタイル、TPU、TPE、シリコン、ポリオレフィン、ポリアミド、加硫ゴムとすることができる。
【0124】
図4は、独国特許出願第102008027856号(DE102008027856)に示す靴10の第4の実施例を示しており、それは、図1に示す第1の実施例とほぼ一致するが、空気通過開口部20が、下方のアッパー領域の周面全体にわたって延びる空気透過性の材料によって形成されることにより、第1の実施形態から区別される。それによって、空気透過性の層と靴10の外環境との間で特に高い空気交換が得られ、それに伴って熱と湿気が靴内部空間から靴10の外環境へ効果的に搬出される。空気透過性の材料は、アッパー上材料の構成要素である。その材料は、ある実施形態においては、別体のさん孔材料、格子状の材料またはネット状の材料であることができ、その材料は、アッパー上材料のソール側の下方の周面領域内でアッパー上材料に固定されているか、あるいはアッパー上材料自体が、この下方の周面領域内で、たとえば打抜きまたはさん孔によって、然るべく機械的に加工されている。空気透過性の材料として、ネット、格子、格子状のテキスタイル、開孔の泡材、空気透過性のテキスタイルおよびこれらの材料の組合せを使用することができる。これらの材料は、たとえばポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、TPE、TPU、加硫ゴムからなることができる。
【0125】
図1から4におけるすべての実施形態に共通に、少なくとも2つの空気通過開口部が足横方向に、あるいは足縦方向に、少なくともほぼ対向している。それによって、靴内部から対流によって水蒸気と熱を逃がす場合に必要とされる、空気透過性の層を通る空気の流れを形成することができる。空気の流れは、組み込まれた通気装置によってアクティブに発生させることもできる。
【0126】
図1から4の実施形態は、互いに組み合わせることもできる。
【0127】
図5から9は、独国特許出願第102008027856号(DE102008027856)に示す靴10の前足領域の一部を、図1の切断線A-Aに沿ってそれぞれ断面で示している。この種の断面線が図1にしか示されていない場合でも、図5から9の横断面図は、図2から4に示す実施形態にも、同様に当てはまる。図5から9は、それぞれアッパー構造体12とそれに取り付けられたソール14を示しており、そのソールは、アウトソールの実施形態で示されている。図5から9に示す実施形態は、それぞれのアッパー構造体12に関して異なっている。
図5から9の実施形態のすべてのアッパー構造体12は、アッパー上材料16を有しており、その内側に内張りが配置されており、その内張りは、ブーティ機能層34(図5または9)、アッパー機能層37(図6または7)あるいは機能層なしの裏地層18のみ(図8)を有している。5つの実施形態すべてにおいて、アッパー底15の領域内に、アッパー底機能層が設けられている。アッパー機能層とアッパー底機能層は、機能層ブーティ39の共通の部分であってもよく(図5または9)、あるいは相互に密閉された、別体の機能層部分であってもよい(図6と7)。図8においては、靴底のみが、機能層を有している。これらすべての機能層は、図示の実施形態において多層の機能層ラミネートの、図示の実施形態において、2つの面形成物25と26の間に埋め込まれた、機能層34、37ないし38を有する3層の機能層ラミネート24、27または28の、それぞれ一部である。25と26の面形成物は、通常、それぞれテキスタイル層とすることができる。アッパー機能層37またはアッパー機能層ラミネート27(図6と7)ないし裏地層18(図8)は、ストローベル縫目(Strobelnaht)32によってマウンティングソール30に固定することができる。アッパー底機能層38ないしアッパー底機能層ラミネート28の下方に、それぞれ空気透過性の層40(図5から9)が、特に少なくともほぼ、少なくとも1つの空気通過開口部20の高さに、配置されている。アッパー上材料16のソール側の下方の端部領域は、タックインフラップ16aとして、(図示されない)タック接着剤によってマウンティングソール30(図5と9)または空気透過性の層40(図6と7)の下側に挟み込み接着されているか、あるいは、アッパー上材料16のソール側の下方の端部領域は、他のストローベル縫目33によって、他のマウンティングソール30aと結合されている(図8)。
【0128】
図1から9に示すすべての実施形態において、上材料16は、水蒸気透過性の材料によって構成されている。アッパー底機能層ラミネート28の上方に配置されたマウンティングソール30(図6から8)と裏地層18(図8)が、同様に水蒸気透過性の材料によって構成されている。図5のマウンティングソール30、図6と7の充填層31および図8の他のマウンティングソール30aのような、空気透過性の層40の下方に位置する、アッパー底のすべての層は、水蒸気透過性を有する必要はない。
【0129】
図5から9の実施形態において、アッパー上材料16の空気通過開口部20は、アッパー上材料16の挟み込まれた下方の端部領域の屈曲領域のすぐ上に、特に空気通過開口部20が空気透過性の層40の周側面42とほぼ等しい高さにくる高さに、位置している。空気透過性の層40と空気通過開口部20の間で特に効果的な空気通過を達成するために、空気通過開口部20は、好ましくは空気透過性の層40の垂直の厚みにほぼ等しい垂直の延びを有しており、空気通過開口部20と空気透過性の層40は、垂直方向に互いに対して、空気透過性の層40の水平の中心平面とそれぞれの空気通過開口部20の中心軸が少なくともほぼ等しい垂直の高さに位置するように、方向付けされている。
【0130】
5つの実施形態すべてにおいて、ソール14は、アッパー構造体12の下方の領域と次のように、すなわちアッパー上材料16のタックを形成する下方の端部領域16aの下側、およびアッパー底の下側の、このタックに覆われない領域と結合されるようにして、結合されている。特にアッパー上材料16のタックインフラップ16aによってもたらされる、アッパー底の下側の凹凸は、充填層31によって補償することができる。ソール14は、水密の材料によって構成することができ、その材料は、ゴムまたはゴム状のプラスチック、たとえばエラストマーである。しかし、ソール14は、たとえば皮革のような、水蒸気透過性の材料からなることもできる。ソール14は、アッパー構造体12に接着される、前もって形成されたソールであってもよく、あるいはアッパー構造体12に射出形成されたソールであってもよい。このソールの、ソール14の下側に位置する接地面には、通常、この種のソール14を有する靴10の滑り安全性を改良するために、プロフィール突出部を形成する、溝パターンが設けられている。図5から9に示すすべての実施形態において、ソール14の上方の端縁14aは、それぞれの空気通過開口部20の下方の端部の下で終了している。
【0131】
図示されない方法で、特にワンデリングシューズまたはトレッキングシューズの場合において、アッパー上材料16の、ソール14の上方端縁14aのすぐ上に位置する領域に、従って、少なくとも1つの通過開口部20がある所に、主としてゲレル保護として用いられる、たとえばソール14と同じ色を有するゴム端縁を、たとえばアッパー上材料16とソールの上端縁14aに接着することによって、取り付けることができる。空気通過開口部20の空気透過性を妨げないために、ゴム端縁の、空気通過開口部20に対応する箇所に、空気通過開口部が設けられている。
【0132】
図5から9のすべての実施形態において、空気通過開口部20に、空気透過性の保護カバー22が設けられており、その保護カバーは、たとえば金属またはプラスチックからなるネットまたは格子によって、あるいは高い空気透過性を有し、従って高い水蒸気透過性を有するテキスタイル材料によって形成されている。保護カバー22は、それぞれの空気通過開口部20の外側(図5、6、8および9)または内側(図7)に設けることができる。各空気通過開口部20にそれ専用の保護カバー22が対応づけられるか、あるいはそれぞれ空気通過開口部20の一部に、あるいはすべての空気通過開口部20に、然るべき数の空気通過開口部20にわたって延びる、共通の保護カバー細片が対応づけられている。
【0133】
図5から9を、さらに詳細に考察する。
【0134】
図5に示す実施例においては、アッパー上材料16の内側の機能層と空気透過性の層40の上側の機能層は、ソックス形状のブーティ39の2つの部分であって、そのブーティは、履き口12aを別にして、アッパー構造体12全体の内側を覆っている。この種のブーティは、通常、複数の機能層部分から縫い合わされており、その場合に縫目箇所の上に水密の縫目シールバンドが接着されており、このようにして水密にされる。しかしブーティは、1片の材料から形成することもでき、その場合にはもはや縫い合わせてシールする必要が生じることはない。図5に示す実施形態において、ブーティは、すでに説明した機能層ラミネート24によって構成されている。従ってアッパー構造体12は、水密であって、ソール14を接合した後に、水密の靴が生じる。空気透過性の層40は、ブーティ39の機能層ラミネート24のすぐ下に配置されている。その場合に、空気透過性の層40は、アッパー底領域全体にわたって延びており、従って靴底全体の水蒸気および熱交換に供される。空気透過性の層40の下方に、マウンティングソール40が配置されており、その下側に、ソール側の下方の端部領域のタックインフラップ16aが、タック接着剤(図示せず)によって固定されている。別体のマウンティングソールを使用する代わりに、所定の形態においては、空気透過性の層40の下側または下方の載置面を然るべくしっかりと形成することも可能であるので、この下側にタックインフラップを固定することができる。この種の実施形態においては、空気透過性の層が、付加的にマウンティングソールの機能を引き受ける。
【0135】
図6に示す実施形態においては、上材料16の内側とアッパー底15の領域内に、アッパー機能層ラミネート27ないしアッパー底機能層ラミネート28に属する、別々の機能層37ないし38が設けられている。アッパー機能層ラミネート27の、挟み込まれたソール側の下方の端部領域27aは、ストローベル縫目32によってマウンティングソール30に固定的に縫い付けられている。アッパー底機能層ラミネート28は、マウンティングソール30の下方に位置し、アッパー機能層ラミネート27の挟み込まれた端部領域27aの下まで延びており、その端部領域27aと、たとえばシール接着剤の形式の、(図示されない)シール材料を介して、水密に結合されているので、靴内部空間は、靴10の履き口12aとひも領域12bを除いて、相互にシールされた機能層37と38の協働により、機能層ブーティを使用した場合と同様に、ぐるりと水密である。マウンティングソールの上方のアッパー底機能層を、アッパー機能層ラミネートと水密に結合することも、可能である。アッパー底機能層38は、挟み込まれた端部領域27aの下方まで、従ってストローベル縫目32を越えて延びているので、ストローベル縫目32もアッパー底機能層38によってシールされている。アッパー底機能層38のすぐ下に、空気透過性の層40が配置されている。空気透過性の層40の下側または下方の載置面に、上材料16のタックインフラップ16aが(図示されない)タック接着剤によって固定されている。従って、空気透過性の層は、付加的にマウンティングソールの機能も引き受ける。原理的には、別体のマウンティングソールを、空気透過性の層の下方に設けることも、可能である。上材料16のタックインフラップ16aによってもたらされる、アッパー底15の下側の凹凸は、すでに説明したように、充填層31によって補償される。
【0136】
図7に示す実施形態は、図6に示す実施形態から、保護カバー22がアッパー上材料の外側にではなく、内側において、直接透過性の層40の周面42に沿って、かつ空気通過開口部20の内側の前に配置されていることによってのみ、区別される。
【0137】
図8に示す実施形態は、図5から7に示す実施形態から、一方で、上材料16が、アッパー底15の近傍の下方の領域まで裏地層18のみを有するが、アッパー機能層を持たないことによって、他方では、2つのマウンティングソールと2つのストローベル縫目が存在していることによって、区別される。裏地層18は、ソール側の下方の端部に、裏地層折込み18aを有しており、それがストローベル縫目32によってマウンティングソール30と結合されている。アッパー上材料16のソール側の下方の端部領域16aは、他のストローベル縫目33によって他のマウンティングソール30aと結合されている。アッパー底機能層ラミネートの一部とすることができる、アッパー底機能層38は、その外周面に、上へ立ち上がるカラー38aを有しており、そのカラーは、上材料16と裏地層18の間の間隙内へ突出している。アッパー底機能層38ないしアッパー底機能層ラミネートと他のマウンティングソール30aとの間に、空気透過性の層40が配置されている。アッパー底機能層ラミネートは、マウンティングソールの上方に配置することもできる。
もちろん、図8に示す実施形態においては、上方のアッパー領域は、水密ではない。従って図8に示す靴は特に、上からの湿気も下および側方からの湿気もあまり考慮する必要のない使用に、従って雨が降らない場合、あるいは短い時間だけしか雨の中に留まらない場合に、湿った周囲を歩いたりさまよったりするのに、適している。
【0138】
図9に示す実施形態は、図5に示す実施形態に、実質的に相当する。図5とは異なり、マウンティングソール30は、マウンティングソール30の、空気透過性の層40へ向いた表面が、ある角度で中央が盛りあがって、空気透過性の層40内へ突出するように、形成されている。従って空気透過性の層40の下方の載置面が、マウンティングソール30の角度のある隆起に従って持ち上げられ、あるいは押圧される。その結果、空気透過性の層40の内部に、2つの傾斜した平面が形成され、それらの平面は、中央から始まって周側面42の方向へ下降するように延びて、それによって場合によっては空気透過性の層40内に存在する水分を逃がすことを容易にする。マウンティングソール30のこのような形態は、図5から8の実施形態についても、設けることができる。
【0139】
図10から14には、例として、本発明に基づく空気透過性の層40に適した、スペーサ形成物60の種々の実施形態が示されている。これらすべてのスペーサ形成物に固有なのは、2つの互いに離間した載置面が形成されることであって、その場合にスペーサ形成物の下方の載置面が、それぞれ土台上に載置され、その上方の載置面は、スペーサ形成物の上方に位置する層のための支持面として用いられ、その層は、特に機能層ブーティの底領域(図5または9)であり、あるいはアッパー底機能層ラミネート(図6から8)である。2つの載置面は、両方ともそれぞれ面形成物によって形成され、それらがその間に介在するスペーサ部材によって互いに距離をおいて保持され、且つそのうちの少なくとも上方が、空気透過性である(図11)。あるいは下方の載置面のみが、面形成物によって形成されて、その面形成物からスペーサ部材が立ち上がって、その自由端部が支持点を形成し、その支持点が一緒になって上方の載置面の機能を有する(図10、12および14)。あるいは、下方の面形成物も上方のそれもなく、唯一の面形成物が設けられ、その面形成物が、下方ないし上方の支持面を定める、下方と上方の波形またはジグザグの頂点を備えた波形またはジグザグ形状にされる(図13)。
【0140】
図10から14に示すスペーサ形成物を、さらに詳細に考察する。
【0141】
図10に示す、空気透過性の層40として適したスペーサ形成物60の実施形態において、下方の面形成物64からほぼ半球状の突出部または膨出部65が上方へ膨出し、その上方の頂点が、上方の載置面を定める。このスペーサ形成物60は、ある実施形態においては、最初は平面的なニットから、あるいはしっかりとした材料からなり、それが、たとえば深しぼり工程によって、図示の形状にされた後に、このスペーサ形成物を搭載した靴で歩いた場合にさらされる負荷を受けてもこの形状が維持されるように、硬くなり、あるいは硬化される。深しぼりプロセスの他に、すでに説明した他の措置、すなわち熱成形プロセスによる変形と硬化あるいは所望の形状と強度に硬化可能な樹脂の含浸も、利用することができる。
【0142】
図11は、空気透過性の層40として適したスペーサ形成物60の実施例を示しており、その上方と下方の載置面が、2つの互いに対して平行に配置された空気透過性の面形成物62と64によって形成され、それらはたとえばポリオレフィン、ポリアミドまたはポリエステルのグループから選択されており、その場合に面形成物62と64は、キャリア繊維66によって空気を透過するように互いに結合され、同時に離間している。繊維66の少なくとも一部は、スペースホルダとして、面形成物62と64の間に少なくともほぼ垂直に配置されている。繊維66は、たとえばポリエステルまたはポリプロピレンのような、フレキシブルな変形可能な材料からなる。空気は、面形成物62と64を通り、かつ繊維66の間を流れることができる。面形成物62と64は、開放孔の織られ、編まれ、あるいはメリヤス編みのテキスタイル材料である。この種のスペーサ形成物60は、すでに述べた、Tylex社またはMueller Textil社から得られるスペーサニットとすることができる。
【0143】
図12に示すスペーサ形成物60は、図10に示すスペーサ形成物と同様の構造を有しているが、ニット繊維またはニットフィラメントのニットからなり、それがこの形状にされて、たとえば熱プロセスによって、あるいは樹脂の含浸によって、この形状に硬化される。
【0144】
図13は、ジグザグプロフィールまたは鋸歯プロフィールを有するスペーサ形成物60の実施形態を示しており、まず平坦な材料が、上方と下方の頂点60aと60bがこのスペーサ形成物60の上方ないし下方の載置面を定めるようにして、このプロフィールに成形されている。この形状のスペーサ形成物60も、すでに述べた方法で成形して、所望の剛性に硬化することができる。
【0145】
図14は、空気透過性の層40として適した、スペーサ形成物60のための他の実施例を示している。この実施形態において、唯一の下方の面形成物68からスペーサ部材は、突出部または膨出部によって形成されるのではなく、面形成物68から立ち上がる繊維束70によって形成され、その繊維束の自由端部が一緒になって上方の載置面を定めている。繊維束70を設けることは、下方の面形成物68をフレーク状にすることによって行うことができる。
【0146】
図15から24を用いて、本発明に基づく靴ないしそのコンポーネントの実施形態を考察し、かつ説明する。その場合に図15と16は、つり込みデザインの実施形態を、つり込み工程の前後において示している。図17と18は、ストローベルデザインの実施形態を示し、図19は再びつり込みデザインの実施形態を示している。
【0147】
以下の実施形態においてつり込みとストローベルのデザインのみが考察される場合でも、本発明はそれに限定されるものではなく、他のすべてのデザインにも適用することができる。
【0148】
以下で説明する図において、同じ部材と特徴には、それが異なるデザインの実施例であっても、同一の参照符号が使用される。
【0149】
上、下、上方、下方、垂直、水平などのような概念が使用される限りにおいて、これは、それぞれ参照される図に関するものであって、絶対的なものではない。
【0150】
図15は、アッパー101のソール側の下方の端部領域が、しばしばインソールと称されるマウンティングソール130の周面領域の下側につり込まれる前の形成段階において、本発明に基づく靴100の第1の、つり込まれる実施形態を前足領域の部分断面で示している。
【0151】
この靴100は、アッパー101とアッパー底115を備えたアッパー構造体102を有しており、そのアッパー底によってアッパー101のソール側の下方の領域が閉鎖されている。
【0152】
アッパー101は、上材料116とその内側にアッパー機能層234および、図示の実施形態において、その内側にアッパー裏地225を有している。アッパー底115は、アッパー底機能層334と、この実施形態においては、その上側にアッパー底裏地335を有している。アッパー底115の外周面の領域内で、「アッパー機能層234およびアッパー底機能層334」と「アッパー裏地225およびアパー底裏地335」とが、共通のストローベル縫目326を介して互いに結合されている。アッパー機能層234とアッパー底機能層334の間の結合移行部をこの縫目領域においてシールするために、ストローベル縫目326の領域内でアッパー底機能層334とアッパー機能層234の、アッパー底115へ向かって折り返された下方の端部領域の下方に、シール材料328が配置されている。アッパー底機能層334の下方に、空気透過性の層140が配置されており、その下方にマウンティングソール130がある。
【0153】
本来の上材料116は、空気透過性の層140の上方で距離をもって終了しており、そこで結合材料210によって延長されており、その結合材料は縫目215によってアッパー上材料116と結合されており、かつ結合材料は、図15に示す形成段階において下方へ垂れ下がっており、かつ縫目215とマウンティングソール130の下側との間の領域内で空気を透過するように形成されており、それによってできあがった靴100において、空気透過性の層140の高さにおいて、空気透過性の層140の周側面142と靴100の外側との間で空気交換が許される。結合材料210の、縫目215から離れた下方の端部領域は、マウンティングソール130を越えて下方へ次のように、すなわち後続のつり込み工程において、結合材料つり込み端縁214として用いることができるような距離、垂れ下がっている。結合材料210の外側には、カバー細片212が配置されており、その上方の端部領域が縫目215をカバーし、従って靴100ができあがった場合に、この縫目215はもはや見えない。カバー細片212の下方の端部領域は、同様にマウンティングソール130を越えて下方へ垂れ下がっているので、その下方の端部領域は、後続のつり込み工程においてカバー細片つり込み端縁218として用いることができる。カバー細片212も、空気透過性の層140の高さにある領域内で、空気を透過するように形成されており、それによって空気透過性の層140とカバー細片212の外側との間で空気交換が可能になる。
【0154】
図示の実施形態において、結合材料210とカバー細片212は、空気透過性の領域を有しており、その垂直方向の延びは、空気透過性の層140の上側も下側も越えて突出している。それによって空気透過性の層140と靴100の外側との間の特に良好な空気交換が保証されるだけでなく、結合材料210および/またはカバー細片212が空気透過性の層140に対して、たとえば誤差に基づいて垂直の位置が異なっている場合でも、いずれにしても空気透過性の層140の高さには、結合材料210とカバー細片212の空気透過性の領域が配置されていることも、保証される。このことは、カバー細片の空気透過性の領域がアッパーの領域内にくる領域において、付加的に靴の空調快適性を向上させる。というのは、水蒸気を透過しないアッパーカバーが、部分的に除去されているからである。しかし、空気透過性の層140と靴100の外側との間の所望の空気交換のためには、結合材料210とカバー細片212が、空気透過性の層140と重なり合う領域においてのみ空気を透過するように形成されていれば、十分であって、その場合に、結合材料210とカバー細片212のこの空気を透過するように形成された領域が、空気透過性の層140の厚みの部分領域にわたって延びているだけで、すでに十分であり得る。
【0155】
結合材料210もカバー細片212も、空気透過性の層140の厚みにほぼ相当する垂直領域においてのみ、空気を透過するように形成されている例を示すのは、図16に示す第2の、本発明の同様につり込まれる実施形態である。
【0156】
図16は同様に、図15の部分構造と同様のそれを備えた靴100の前足領域の部分断面を示しているが、アッパー101のソール側の下方端部領域をマウンティングソール130の下側につり込む工程後において、かつソール114、図示の実施例においては、アウトソールとも称されるアウターソールの取付け後において、示している。図15に示す実施形態とは異なり、アッパー機能層とアッパー底機能層は、機能層ブーティ134、従ってソックス形状の機能層挿入片の部分である。同様に、この実施例において設けられる裏地は、裏地ブーティ125からなり、アッパー裏地領域とアッパー底裏地領域とを有している。同様にして、機能層ブーティ134と裏地ブーティ125は、それぞれ機能層ラミネートブーティ139の部分とすることができる。
【0157】
その他において、図15と16の実施形態は、互いに一致している。
【0158】
図16は、この実施形態において、少なくとも空気透過性の領域においてネット状または格子状に形成することができる、結合材料210も、カバー細片212も、マウンティングソール130の下側につり込まれていることを、示している。図16に示す実施形態において、まず、第1のつり込み工程において、結合材料タックインフラップ214が結合材料つり込み接着剤216によってマウンティングソール130の下側につり込まれる。後続の第2のつり込み工程において、その後、カバー細片タックインフラップ218がカバー細片つり込み接着剤220によって結合材料タックインフラップ214の下側へつり込まれる。
【0159】
結合材料タックインフラップ214とカバー細片タックインフラップ218をつり込み工程の前に互いに結合し、唯一のつり込み工程においてつり込み接着剤の唯一の層によって、マウンティングソール130の下側に固定する可能性もある。
【0160】
図15と16に示すように、本来の上材料116は、空気透過性の層140の上方で途切れているので、空気透過性の層140の周側面142は、上材料116によって覆われないままである。上材料116と結合材料210の間の固定箇所、たとえば縫目215によって形成される縫い箇所も、空気透過性の層140の上方に位置している。結合材料210は、少なくとも、空気透過性の層140の周側面142と対向する領域において、空気を透過するように形成されているので、空気透過性の層140と結合材料210の外側との間でほとんど阻止されない空気交換が可能である。
【0161】
たとえばゴムまたはゴムに似た材料からなるバンドの形式の、カバー細片212は、少なくとも、空気透過性の層140の周側面142の高さに位置する領域において、空気を透過するように形成されているので、空気透過性の層140とカバー細片212の外側との間でほとんど阻止されない空気交換を行うことができる。
【0162】
図16に示す実施形態において、カバー細片212は、その−図16で見て−上の長手側に、結合材料210と上材料116の間の固定領域(縫目215)を越えて突出する張出しを有しているので、この固定領域は、カバー細片212によって覆われる。従ってカバー細片212は、この領域において、一方で、靴ができあがった場合にこの固定領域を見えないように保持するために用いられ、他方では、この固定領域を機械的な損傷に対して保護するために用いられる。この実施形態において、上材料116と結合材料210の間の結合が、図16に示す縫目215によって行われ、その縫目が機械的な摩擦と研磨に対して所定の感度を有する場合に、この縫目215をカバー細片212によってカバーすることによって、靴100の信頼性と耐久性が著しく向上する。
【0163】
タックインフラップ214と218に基づいて、マウンティングソール130の周領域の下側に段部が生じ、その段部は、マウンティングソール130と後にマウンティングソール130の下方に取り付けられるソール114の間に中空室をもたらしてしまう。この種の中空室を回避するために、マウンティングソール下側の、タックインフラップ214と218の内部に位置する中央の領域上に、充填層222が取り付けられる。その場合に、アッパー構造体102(そのアッパー底115が−図16で見て−上から下へ、機能層134のアッパー底領域、空気透過性の層140、マウンティングソール130および充填層222、場合によっては、図16に示す実施形態におけるように、さらに、機能層の内側の、特に裏地として用いられるテキスタイル層125を有している)の完成後に、ソール114が、図16の実施例の場合にアウトソールの形式で、取り付けられる場合に、ソールは充填層222のおかげで、アッパー底115の実質的に平坦な下側に添接する。ソール114は、アッパー底115に接着されたソールでも、あるいはアッパー底115に射出形成されたソールでもよい。両種類のソールは、本発明に基づく靴100のために、同様に適している。
【0164】
図17と18は、本発明に基づく靴の第3の実施形態を示しており、この実施形態は、アッパー構造体102の形成に関しては、図15に示す第1の実施形態とほぼ一致する。違いは、図17と18に示す実施形態において、一方で結合材料210の下方の端部領域が、ストローベル縫目とすることができる、縫目330によってマウンティングソール130と結合されており、他方ではカバー細片212の下方の端部領域が、図15と16の実施形態におけるように水平の折込みへ移行しておらず、全体として垂直に延びていることである。靴構造を表示する図18が示すように、図17に示す部分構造にソール114とカバー細片212が設けられた後に、カバー細片212の下方の端部は、垂直の方向付けでソール114の上端縁まで延びている。この実施形態においては、カバー細片212は、ソール114がアッパー底115に固定された後に、アッパー底115に接着することによって、あるいはアッパー底115に射出形成することによって、取り付けることができる。
【0165】
図19は、本発明に基づく靴の第4の、つり込まれる実施形態を、つり込みとソール114の取付けの工程が実施される前において示しており、この工程は、この実施形態については示されていないが、図16と同様に行うことができる。この第4の実施形態は、アッパーおよびアッパー底構造に関しては、図15に示す第1の実施形態とほぼ一致する。図15に対して異なるのは、結合材料210が、空気透過性の層130の材料であって、それが空気透過性の層140の周端縁から垂直上方へ立ち上がって、縫目315によって上材料116の下方の端部と結合されている。すなわち、図15および16とは異なり、図19に示す第4の実施形態においては、カバー細片タックインフラップ218をつり込みによってマウンティングソール130の下側に固定するために、唯一のつり込み工程のみが必要とされる。特に、カバー細片212がその垂直の延びの大部分にわたって縫目215とマウンティングソール130の間で空気を透過するように形成されている場合に、空気透過性の層140の材料によって形成される結合材料210を介して、靴100の外側との大面積の空気交換を行うことができる。
【0166】
上述したすべての実施形態について、結合材料210とカバー細片212がそれぞれ少なくとも空気透過性の層140の下側の上方で始まって、空気透過性の層140の厚みの少なくとも部分領域にわたって延びる垂直領域内で空気を透過することが、当てはまる。
【0167】
図20と21には、本発明に基づく靴100に適した結合材料210のための2つの実施例が示されている。2つの図において、それぞれ側方の切取り線基づいて、それが、実際にはずっと大きい長手方向の延びを有する結合材料の断片であることが、示唆されている。
【0168】
図20は、第1の実施例を図式的に表示しており、結合材料210は、たとえばネット状または格子状の材料から構成されて、その幅の広がり全体にわたって同一の開口部大きさで形成されおり、従ってその長さと幅の広がり全体にわたって、単位面積当たり同一の空気透過性を有している。
【0169】
図21は、第2の実施例を図式的に表示しており、結合材料210の開口部大きさは、その幅の広がりの上方部分210aにおいて、その幅の広がりの残りの下方の部分210bにおけるよりも大きく、それによってその幅の広がりの上方の部分210aとその幅の広がりの下方の部分210bにおける異なる要請への特に良好な適合がもたらされる。幅の広がりの上方の部分210aの開口部大きさがより大きいことに基づいて、この結合材料210が空気透過性の層140の周側面142と対向する箇所において、より小さい開口部大きさを有する、その幅の広がりの下方の部分210bにおけるよりも、高い空気透過性が得られ、その下方の部分は、少なくとも部分的に結合材料フラップ214を形成し、そこで、つり込み力または他の固定力を特に良好に考慮するために、特に高い機械的耐性力を有する。しかしまた、結合材料210の幅の広がりの上方の部分210aのみを、たとえば格子形状の材料、ネット状の材料、テキスタイルメッシュ材料の形式の空気透過性の材料により、あるいはパーフォレーションによって空気透過性にされた材料で構築する可能性もあり、結合材料210の幅の広がりの下方の部分210bは、空気透過性を持たないが、特に高い固定力に耐える力を有する材料によって構築される。
【0170】
図22と23は、本発明に基づく靴100に適したカバー細片212のための実施例を示している。この場合においても、それぞれ側方の切取り線によって、それぞれの表示がそれぞれのカバー細片の一部分でしかないことが示唆されている。
【0171】
アッパー101の下方の領域のために、従ってたとえば、特に山歩きに適した、トレッキングシューズとも称される、ハイキングシューズが特に高い衝撃、摩擦および研磨の力にさらされるところで、特に高い機械的保護機能を提供するために、カバー細片212のために好ましくは、たとえばゴムまたはゴムのようなプラスチックからなるバンド、じょうぶなテキスタイルの形式の、特にじょうぶな材料を使用することができ、そのじょうぶさは、たとえばテキスタイルをゴム状の材料によってコーティングすることにより改良される。
【0172】
1つの可能性は、靴ができあがった場合に、空気透過性の層140の高さにおいて空気透過性の層140からカバー細片212の外側への所望の空気透過性を保証するために、カバー細片212も空気透過性の材料によって形成することにある。図22と23に示す実施形態において、カバー細片212がもともと空気透過性の材料によって形成されており、その材料は特にじょうぶに形成することができ、カバー細片212の、できあがった靴において空気透過性の層140と対向する領域内に、所望の空気透過性を可能にする、空気通過開口部が形成されている。
【0173】
図22に示す実施形態において、カバー細片212は、その長手広がり方向に互いに離間した切欠き213を有しており、その切欠きはカバー細片212の下方の長手端縁まで延びているので、カバー細片212はこの箇所において下方へ向かって開放している。切欠きの後方に、結合材料210が延びている。
【0174】
図23に示す実施形態においては、カバー細片212は、その長手広がり方向に互いに離間した領域内で、格子ゾーン217を有する然るべきパーフォレーションによって形成されており、そのパーフォレーションが、必要な箇所において所望の空気透過性を可能にする。この実施形態において、カバー細片212の、格子ゾーン217の下方に位置する部分領域、従って、カバー細片タックインフラップ218を形成する領域は、弱体化されていないので、図23に示す実施形態のカバー細片212は、つり込み工程または他の種類の固定工程において発生する力を吸収するのに、特に適している。さらに、図20に示すカバー細片212の下方の領域は、特に、それぞれカバー細片212の比較的小さい長手領域のみを把持するつり込みペンチが使用される場合に、下方の領域内に隙間213を有する、図19に示すカバー細片よりも、つり込むために使用されるつり込みペンチによって、より良好に捕捉される。
【0175】
図23内の実施形態は、開口部カバー細片212の表面全体にわたって、かつ幅全体と長さにわたって配置されるように、形成することもできる。
【0176】
図24は、造形的な例として、本発明に基づく靴100の一部を側方の上面図で示しており、その場合に上にアッパー101の上材料116の一部、下にソール114の一部、そしてその間にカバー細片212が見られ、そのカバー細片の空気通過開口部内に、この場合にはネット形状または格子状の結合材料210が見られる。
【0177】
次に、本発明に基づく靴に特に適した結合材料のための構造、材料および特性が記載される。
構造:ネットまたは格子
材料:プラスチック、その場合に特にPA(ポリアミド)とPES(ポリエステル)が適している。
代替物:TPU(熱可塑性ポリウレタン)、SAN(スチロール−アクリルニトリル−コポリマー)、ABS(アクリルニトリル−ブタジエン−スチロール)、PP(ポリプロピレン)
厚み:適している:0.3mmから3mm
好ましい:0.5mmから2mm
特に好ましい:1.4mmから1.8mm
幅:透過性の層の厚みの少なくとも一部でなければならず、好ましくは等しいか、それより多い
面積重量:適している:50−1000g/m2
好ましい:200−700g/m2
たとえば;a)イタリア、プラト、Panatex s.r.l.社の製品KIWI(484g/m2)
b)ドイツ、ゼーリゲンシュタット、Acker Textilwerke GmbH社の商品1517
空気透過性開口部の形状: 任意
空気透過性開口部の大きさ:適している:0.1−10mm
好ましい:0.5mmから5mm
空気透過性開口部の面積割合:
全面積の10%より大きい
好ましくは、全面積の30%より大きい
空気透過性(DIN ISO 9237/1995に従って測定)
適している:100Paの圧力差において、100−8000l/m2s
好ましい:100Paの圧力差において、1000−5000l/m2s
100Paの圧力差において、1500−5000l/m2s
100Paの圧力差において、2000−5000l/m2s
機械的特性
剛性度と伸長度は、Panatex s.r.l.社の製品KIWIの例において、ISO13934.1(02/99)に従って、検査装置「Instron」において求められた:
1.横方向における測定:150Nの引っ張り力において、伸長度(%):3.2%
2.対角線方向における測定:150Nの引っ張り力において、伸長度(%):12.5
3.長手方向における測定:150Nの引っ張り力において、伸長度(%):53
【技術分野】
【0001】
本発明は、足裏の下方にベンチレーションを有し、足の下方の層を通して汗の水分を逃がして空調快適性を向上させる靴に関する。
【背景技術】
【0002】
初期の頃には、靴は、ソール領域において、皮革のようなアウトソール材料を使用することにより、呼吸活動とも称される、ある程度の水蒸気透過性を有し、ソール領域に水がしみこむ欠点を伴うか、あるいは靴は、ソール領域において、ゴムまたはゴムに似たプラスチックのような水密の材料からなるアウトソールを使用することにより、水密ではあるが、水蒸気を通さず、足裏領域に汗の水分が集まる欠点を有している。
【0003】
比較的最近においては、アウトソールに透孔をあけて、その透孔を、アウトソールの内側に配置された水密で水蒸気を通す膜によって覆うことにより、足裏領域が水密であると共に水蒸気を通す靴を形成したので、外部から靴の内部へ水は侵入できないが、足裏領域に生じる汗の水分は、靴の内部から外側へ逃げることができる。その場合に、2つの異なる解決方法が辿られた。アウトソールにその厚みを貫通する透孔を設けて、その透孔を介して汗の水分を靴の内部からアウトソールの接地面へ案内することができるようにするか、あるいはアウトソールに水平の通路を設けて、その通路を介してアウトソールの上方に集まった汗の水分がアウトソールの側周面を介して逃げることができるようにするというものである。
【0004】
アウトソールがその厚みを貫通する垂直の透孔を有する、第1の解決方法の例を示すのは、特許文献1、2および3である。特許文献1に示すアウトソール複合体は、マイクロパーフォレーションを備えた下方のソール部分、同様にパーフォレーションを備えた上方のソール部分、そしてその間に水密の、水蒸気を通す膜を有している。特許文献2に記載の靴においては、アウトソールは、より著しい水蒸気透過性を得るために、比較的大面積の垂直の透孔を有しており、かつ膜を機械的に保護するために、膜とアウトソールとの間に水蒸気を透過する保護層が配置されている。特許文献3に記載の靴においては、アウトソールは、より著しい水蒸気透過性を得るために、比較的大面積の垂直の透孔を有しており、その透孔が、水蒸気を透過する保護層によって閉鎖されている。この種のアウトソールは、水密のアッパー構造体に固定されており、それによって水密の靴が得られる。
【0005】
アウトソールが、その接地面に対して平行に延びる、水平の通気通路を有する、第2の解決方法の例は、たとえば特許文献4、特許文献5、特許文献6および特許文献7から知られている。
【0006】
特許文献4に示す靴においては、アウトソールの、接地面から離れる方を向いた側において、その外周面に立ち上がるアウトソール端縁が設けられており、そのアウトソール端縁が、水平の、すなわち接地面に対して平行に延びるマイクロパーフォレーションによって貫通されている。アウトソール端縁の内部に形成された空間内に、アウトソールから立ち上がって横方向に延びるウェブを有するスペーサ部材が配置されており、そのスペーサ部材は、アウトソールと一体的に形成することができる。アウトソール端縁の内部かつアウトソールから間隔をおいて、スペーサ部材に属するインナーバンドが配置されており、そのインナーバンドも同様に、水平に延びる透孔によって貫通されている。スペーサ部材の上方に、水蒸気を透過するマウンティングソールまたはインソールが配置されており、その外周領域の下へ、水蒸気を透過する材料からなるアッパーのタックインフラップが打ち込まれており、そのタックインフラップは、スペーサ部材のインナーバンドの内側に位置している。水平のマイクロパーフォレーションを有するアウトソール端縁と水平の透孔を有するインナーバンドとの間に、水密の、水蒸気を透過する膜が配置されており、その膜は、アウトソールの内側からほぼ垂直に高く延びている。この膜によって、一方で、水が、ウェブ間とさらに靴内部空間内へ浸透しないようにされるが、他方では、靴内部空間からウェブ間へ達した汗の水分は、理論的に靴上部構造の外側まで達する。もちろんその場合に、汗の水分は、膜だけでなく、アウトソール端縁のマイクロパーフォレーション、インナーバンドの透孔およびアッパー材料も通過しなければならない。
【0007】
特許文献5の場合においては、アウトソールは、接地面から離れた側において、一方で、外周面に立ち上がる端縁ウェブを有し、その上側に端縁ウェブを貫通する排気通路が形成されており、ソール領域において端縁ウェブの内部に半球状の突出部を有している。アウトソールの上側に、上方のソールエレメントが配置されており、それが、アウトソールの端縁ウェブと突出部の上に載置され、水密で水蒸気を透過する膜によって覆われた、アウトソールの突出部を有する領域の延びとほぼ等しい延びを有する、水蒸気を透過する領域を有している。アウトソールと、アウトソールの突出部が設けられているソールエレメントとの間の空間に集まる汗の水分は、理論的に、アウトソールの端縁ウェブ内の排気通路を介して逃げることができる。
【0008】
特許文献6は、アウトソールの内側から立ち上がる外周端縁を備えたアウトソールを有する靴を示しており、その外周端縁が水平の、従ってアウトソールの接地面に対して水平に延びる排気通路によって貫通されている。アウトソールは、アッパーに固定されており、そのアッパーが、ソール側の下方のアッパー領域を有し、その下方のアッパー領域が、多孔のマウンティングソールの周面領域の下側と結合されたタックインフラップを有している。タックインフラップの内部に形成された空間内で、マウンティングソールの下側に水密の、水蒸気を透過する膜が配置されている。立ち上がる外周端縁の内部に形成されるアウトソール空間内に、空気を透過する、繊維によって構築された、たとえばフェルトからなる材料が配置されている。多孔のマウンティングソールと膜を通して空気を透過する材料内へ達した汗の水分は、アウトソールの外周端縁の水平の排気通路を介して外の環境へ拡散することができる。しかし、通気通路を通って空気を透過する材料内へ達した水分は、マウンティングソールを通して靴の内部空間へ達することを、膜によって阻止される。アウトソールの内側には、釘保護プレートが設けられているので、この靴は、安全靴として適している。
【0009】
特許文献7からは、上述した2つの解決方法を組み合わせた靴が知られている。この靴のソール構造は、多孔のマウンティングソール、靴内部空間へ向いた上側に水平に延びる、アウトソール周面の外側へ向かって開放した水平の溝とこの溝から接地面へ延びる透孔とを備えたアウトソールを有し、かつ、マウンティングソールの下側に配置された水密の、水蒸気を通す膜および膜とアウトソールとの間に配置された、たとえばフェルトからなる保護層を有している。アッパーのソール側の下方の端部領域が、タックインフラップの形式で、マウンティングソールの周端縁領域の下側へ挿入されている。膜は、マウンティングソールと等しい延びを有しているが、保護層は、タックインフラップと同一の平面内に位置し、かつ保護層は、タックインフラップの内側端縁の間だけに延びている。水平に延びる溝は、アウトソールの周面領域において外部環境へ向かって開放している。従って靴内部空間からの汗の水分は、垂直の透孔を介してアウトソールの接地面の外側へも、水平の溝を介して外周側へも拡散することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許出願公開第号0382904号明細書(EP 0382904 A1)
【特許文献2】欧州特許出願公開第0275644号明細書(EP 0275644 A1)
【特許文献3】独国実用新案第号202007000667明細書(DE 202007000667 UM)
【特許文献4】欧州特許第0479183号明細書(EP 0479183 B1)
【特許文献5】欧州特許第1089642号明細書(EP 1089642 B1)
【特許文献6】欧州特許第1033924号明細書(EP 1033924 B1)
【特許文献7】日本実用新案公報JP16−75205U
【発明の概要】
【0011】
特に、そのアウトソールがその厚みを貫通する垂直の透孔を有していないか、あるいは安全上の理由から、たとえば釘保護プレートの必要性によって、有することができない靴において、あるいはまた、そのアウトソールがこの種の垂直の透孔を有している靴においても、足裏の下方の領域内に、足裏領域内の空調快適性を感じられるほど高めることができる、排気システムを設けることが、望ましい。
【0012】
この視点の元で、本出願人の独国特許出願第102008027856号(DE102008027856)に開示された発明を用いて、靴が形成されており、その靴は、足裏の下方に空気透過性のスペーサ形成物によって定められる通気室を有しており、その通気室が、層を通して足の下方へ達した汗の水分(水蒸気)を効果的に搬出することを可能にする。
【0013】
この靴は、アッパー構造体とソールとを有しており、その場合にアッパー構造体は、アッパー上材料と、アッパー底内に配置された空気透過性の層とを有している。空気透過性の層は、ソールの上方でアッパー構造体のソール側の下方の領域内に配置されている。空気透過性の層は、少なくとも水平方向に空気通過を許す3次元構造を有している。アッパー上材料は、ソール側の下方の周面領域内に少なくとも1つの空気通過開口部を有しており、その空気通過開口部によって空気透過性の層と靴の外環境との間に、外環境と空気透過性の層との間で空気交換を行うことができるように、接続を形成することができる。このようにして、アッパー構造体の、空気透過性の層の上方にある領域から、たとえば空気透過性の層を通しての対流空気交換によって、熱と水蒸気を逃がすことができる。
【0014】
この解決においては、空気透過性の層と組み合わせて汗の水分の効果的除去を可能にする、少なくとも1つの空気通過開口部は、アウトソールを安定させる理由から、そして特に美的理由から、どちらかというと薄いアウトソールを有する靴において、特に大きくすることのできないアウトソール内に形成されておらず、空気通過開口部を問題なく比較的大きくすることができる、アッパー上材料のソール側の下方の領域内に形成されているので、それによってすでに、少なくとも1つの空気通過開口部がアウトソール内に形成されている靴の場合よりも、さらに良好な空気交換とそれに伴ってより高い水蒸気搬出能力が得られる。
【0015】
空気透過性の層を有するこの種のアッパー構造体は、さらに、少なくとも1つの空気通過開口部と靴内部空間との間に位置決めされた空気透過性の層が、直接アッパー上材料の内側まで延びることができ、特許文献6と特許文献7に示す既知の解決におけるように、アッパー上材料のタックインフラップ端縁の間の内部空間に限定されていない、という他の利点を有している。たとえばつり込み接着された靴においては、空気透過性の層は、接着されたタックインフラップの上方に位置し、従って足裏の水蒸気と熱のためのより大きい交換面を提供することができる。従って、この解決においては、空気透過性の層は、同様に大きい交換面とそれに伴って水蒸気搬出容量を有する、既知の解決の場合よりも、ずっと大きい面の広がりを有することができる。
【0016】
この解決によって達成される高い水蒸気通過および空気交換作用は、好ましくは、乾燥した領域内でのみ使用されるので、水密である必要のない靴、たとえば組立工場内の安全靴においても、戸外でも履かれ、従っては合によっては湿気にさらされる靴においても、効果的である。
【0017】
後者の場合のために、アッパー構造体の、少なくともソールを向いた下方の領域内に少なくとも水蒸気透過性の機能層が設けられている、この解決の実施形態が用いられ、その場合に空気透過性の層は、機能層の下方に配置されている。この解決の実施形態において、空気透過性の層は、水蒸気透過性の機能層のすぐ下に配置されている。この解決の実施形態において、機能層は、水密かつ水蒸気透過性である。
【0018】
この解決の実施形態において、アッパー機能層も、アッパー底機能層も設けられているので、靴のアッパーのためにも、アッパー底領域のためにも、水密であると同時に水蒸気透過性が得られる。
【0019】
この解決の他の実施形態において、アッパー底領域内に、たとえば機能層ラミネートの形式の、水密かつ水蒸気透過性の機能層が設けられており、その場合に空気透過性の層は、機能層ないし機能層ラミネートのすぐ下方に配置されている。この実施形態に関連して、この解決の利点は特に、空気透過性の層と協働して少なくとも1つの空気通過開口部によって、空気交換とそれに伴って汗の水分と熱の除去が可能になることにある。水蒸気がまず足の下側から空気透過性の層へ移動しなければならない、効率を制限する拡散距離は、足と空気透過性の層の間に機能層を含めてできるだけ薄い層構造を選択することによって、最小限に抑えられ、それによって熱伝達が最大になる。水蒸気が空気透過性の層に達した場合に、水蒸気は付加的に対流的に空気流を介して搬出され、それによって機能層の両側の水蒸気分圧差が永続的に高い水準に維持される。他の層を克服する必要はない。機能層の両側の水蒸気分圧差は、汗の水分を効果的に除去するための推進力である。水蒸気の他に、対流によって熱も導出される。つり込みアッパーの場合において、空気透過性の層がアッパー上材料のタックインフラップの上方に配置されていることによって、ほぼ全ソール面が水蒸気交換のために提供される。
【0020】
アッパー機能層とアッパー底機能層とを有するこの解決の実施形態において、これらは、アッパー領域がアッパー機能層によって、そしてソール領域がアッパー底機能層によって形成されている、ソックス形状の機能層ブーティの部分である。
【0021】
アッパー機能層とアッパー底機能層とを有するこの解決の他の実施形態において、アッパー機能層とアッパー底機能層は、下方のアッパー領域内で互いに結合されており、かつその共通の境界において互いに水密にシールされている。
【0022】
この解決の実施形態において、アッパー機能層および/またはアッパー底機能層の機能層は、多層のラミネートの一部であって、そのラミネートは、機能層の他に少なくとも1つのテキスタイル層を有している。しばしば使用されるラミネートは、機能層の一方の側にテキスタイル層を有し、ないしは両側にそれぞれテキスタイル層を有する、2層、3層または4層で形成されている。
【0023】
この解決の実施形態において、ラミネートによって、アッパー底機能層ラミネートおよび/またはアッパー機能層ラミネートが構成されている。
【0024】
この解決の実施形態において、機能層は、水蒸気透過性の膜を有している。好ましくは膜は、水密かつ水蒸気透過性である。好ましい実施形態において、機能層は、延伸された微孔のポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)によって構成された膜を有している。
【0025】
この解決の実施形態において、空気透過性の層は、アッパー底機能層の下方に配置されている。
【0026】
この解決の実施形態において、空気透過性の層は、アッパー底機能層のすぐ下に配置されており、それは、アッパー底機能層が機能層のラミネートの部分である場合について、空気透過性の層が機能層ラミネートのすぐ下にあることを含んでいる。
【0027】
この解決の実施形態において、少なくとも1つの空気通過開口部がアッパー上材料内に、少なくとも部分的に空気透過性の層と同じ高さにあるように、配置されている。
【0028】
この解決の実施形態において、アッパー上材料の下方の領域内に、足横方向または足縦方向に少なくともほぼ対向する、少なくとも2つの空気通過開口部が配置されている。従って同様に、対流的な空気交換が可能にされ、あるいは促進される。空気交換は、靴を履いた人が外部空気に対して移動することによって、著しく促進される。風および/または歩行ないし走行において、空気交換は強化される。
【0029】
この解決の他の実施形態において、アッパー上材料の下方の周面領域は、アッパー構造体の周面に沿って配置された、複数の空気通過開口部を有している。
【0030】
この解決の実施形態において、アッパー上材料の下方の端部は、別体の空気透過性のアッパー材料を有しており、それがアッパー上材料に固定されており、従ってアッパー上材料の一部である。アッパー周面の大部分の回りに、あるいは特にアッパー周面全体の回りに延びる、この空気透過性のアッパー材料は、空気透過性構造であるので多数の空気通過開口部を有している。実施形態において、空気透過性のアッパー材料は、ネットの形状でアッパー上材料の下方の端部に固定されている。他の実施形態において、空気透過性のアッパー材料は、多孔の、あるいは格子状の材料から構成することができる。この空気透過性のアッパー材料は、この空気通過開口部がほぼ、あるいは完全にアッパー周面の回りに延びているにもかかわらず、アッパーに必要な形状安定性を与えるように、安定的に形成することができる。
【0031】
この解決の実施形態において、少なくとも1つの空気通過開口部は、少なくとも50mm2、好ましくは少なくとも100mm2の全面積を有している。
【0032】
この解決の他の実施形態において、少なくとも1つの空気通過開口部は、空気通過開口部を通してごみや小石のような異物が侵入することを防止するために、空気透過性の保護材料、金属またはプラスチックからなる保護ネットまたは保護格子によって覆われている。空気透過性の保護材料は、アッパー上材料の下方の周面領域の領域内で、空気透過性の層に沿って、特に空気通過開口部の外側か、あるいは空気通過開口部の内側で、アッパー上材料と空気透過性の層との間に配置されている。
【0033】
この解決の実施形態において、少なくとも1つの空気通過開口部は、装置によって閉鎖可能である。この装置は、外部のエレメントに対して、少なくとも水しぶきに対して、時に保護するために用いられるので、水は直接空気通過開口部を通って侵入することはできない。装置は、移動可能な装置の形式で、たとえばスライダとして、形成することができ、そのスライダによって少なくとも1つの空気通過開口部は、靴の外界と空気透過性の層の間の空気交換を絞り、あるいは阻止するために、部分的または完全に閉鎖することができる。これは特に、温度が低い場合に(たとえば冬において)効果的であり得る。というのは、汗の水分の搬出とそれに伴う、空気透過性の層を介しての空気交換と結びついた冷却作用によって、強すぎる冷却作用が発生し得るからである。移動可能な装置によって空気通過開口部を閉鎖することによって、極めて湿った環境で歩行する場合に過度の水の侵入に対抗作用することができる。
【0034】
この解決の実施形態において、たとえば空気透過性の層内に組み込まれた換気装置または送風機によって周囲との一定の空気交換がもたらされる。その場合に換気装置の出力は、足における所望の目標温度を維持するために、自動的に制御することができる。換気装置は、特に靴と周囲空気との相対移動が少なく、あるいは低い場合および周囲温度が高い場合に、冷却作用を感じるために必要になることがある。
【0035】
アッパー上材料のソール側のタックインフラップがマウンティングソールまたはインソールの下側の周端縁上に接着されている(AGOの名称でも知られている)、つり込みシューズである、この解決の実施形態において、タックインフラップと、それが接着されているマウンティングソールは、空気透過性の層の下方に配置されている。
【0036】
しかしこの解決は、つり込みアッパーを有する靴に限定されておらず、アッパー底側が成形されたアッパー構造体を得るために、アッパー上材料の下方の領域がどのようにして加工されているかに関係なく、適用することができる。つり込みデザインの他に、それ自体知られた他のデザインも適用することができる。例として挙げられるのは、アッパー上材料の下方の領域が、いわゆるストローベル縫目によってマウンティングソールの周面に縫い付けられる、ストローベル−デザイン;アッパー上材料のソール側の端部領域にたとえば螺旋状の摘み皮縫目の形式のひもトンネルが設けられ、それを通して移動可能な縫付けひもが案内されて、その縫付けひもによってアッパー上材料のソール側の端部領域を引き締めることができる、縫付けデザイン(「ストリング−ラスティング("String-Lasting")」とも称される);およびブレードを除くアッパーとアッパー底が、1片のアッパー上材料、大体は皮革、から一体的に形成される、モカシンデザインである。
【0037】
この解決の実施形態において、靴の呼吸活動に寄与するすべてのコンポーネントは、アッパーとソールの間の境界平面の上方に位置している。従って靴のすべてのコンポーネントは、地面に接触するアウトソールを除いて、アッパー構造体の部分である。このアッパー構造体は、完全に形成しておくことができ、その後に時間的かつ場合によっては空間的にも別の、靴を形成する第2の形成ステップにおいて、さらにアウトソールがアッパー構造体に固定される。アウトソールの取付けは、1回の統一的な靴形成において、アッパー構造体の形成の直後に行うことができ、あるいはアッパー構造体の形成によって、まず、それ自体閉鎖された形成ステップが終了し、その後、このようにして得られたアッパー構造体が、他の形成箇所へ移動されて、そこでアッパー構造体にアウトソールが設けられる。この形成場所は、アッパー構造体が形成されるのと同じ形成建物内にあってもよい。しかし、アッパー構造体にアウトソールが設けられる形成場所は、アッパー構造体のための形成場所とはまったく異なる場所にあってもよいので、アッパー構造体を形成するステップとアッパー構造体にアウトソールを取り付けるステップの間で、形成工程を中断することができ、その中断の間にできあがったアッパー構造体が、アッパー構造体にアウトソールを取り付けるための形成場所へ移動される。アウトソールがアッパー構造体に固定される前に(これは、たとえば射出形成または接着によって行うことができる)、アッパー底機能層だけでなく、空気透過性の層もアッパー底に固定され、ないしはアッパー底の一部を形成することによって、アウトソールを別にして靴のすべてのコンポーネントがアッパー構造体内に収容されるので、アッパー構造体へのアウトソールの取り付けを担当する形成場所は、このアウトソールの他に何も取り付ける必要はなく、そのためにまったくノーマルな従来の方法と工具で十分である。靴形成のより困難で、より微妙な部分、すなわち機能層と空気透過性の層の取扱いと取付けは、アッパー構造体の形成に、従ってもともと、アウトソールをアッパー構造体に固定するだけの方法ステップにおけるよりも面倒で複雑な方法ステップを必要とする形成段階に、組み込まれる。
【0038】
この解決の実施形態において、ソールにさらに、その厚みを通して延びる、少なくとも1つのソール透孔が設けられる。この実施形態は、その足裏領域内で、少なくとも1つのソール透孔を介して垂直方向にも、アッパー上材料の少なくとも1つの空気通過開口部を介して水平方向にも、汗の水分と熱を逃がすことが可能な靴をもたらす。さらに、少なくとも1つのソール透孔は、アウトソールの上方の領域内へ達した水分をさらに良く逃がすための補助として用いられる。
【0039】
この解決の実施形態において、安全靴を形成するために、アウトソール内またはその上方に、たとえば釘保護プレートの形式の踏抜き保護部材が配置されている。それによって、アウトソール内へ進入することができる、地面上にある、特に釘のような対象が、このアウトソールとその上にある、ソール構造とアッパー底の他の部材を通して靴の内部へ進入して、靴の使用者の足を傷つけることが、防止される。釘のようなこの種の対象は、たとえば鋼板であり、あるいは適切な踏抜き剛性を有するプラスチックプレートである、踏抜き保護部材によって食い止められる。この種の安全靴においては、アウトソールを貫通する透孔は、意味をなさない。というのは、透孔は釘保護プレートによって初めから覆われてしまうので、この種の靴においては、足裏領域における通気とそれに伴う空調快適性の改良のために残るのは、汗の水分を水平に側方へ搬出することのみである。
【0040】
この解決の実施形態において、空気透過性の層は、空気透過性のスペーサ形成物として形成されており、それは、靴の使用者の足によって負荷がかかった場合でも、空気透過性の層が、その上と下にある層の間に、空気透過性の層の空気透過性が維持されるような間隔を維持するように、形成されている。
【0041】
この解決の実施形態において、空気透過性のスペーサ形成物は、少なくとも部分的に弾性的に撓むように形成されている。それによって、靴の歩行快適性が向上する。というのは、この種の空気透過性のスペーサ形成物によって、歩行の際の踏み出し緩衝とより軽いローリングプロセスが達成されるからである。
【0042】
この解決の実施形態において、空気透過性のスペーサ形成物は、それぞれの靴の靴大きさに従って最大予測すべき、靴利用者の重量によって最大の負荷がかかった場合に、最大で、この種の最大の負荷においてもまだ、空気透過性の層を形成するスペーサ形成物の空気透過性のほとんどの部分が維持されるだけ、弾性的に撓むように形成されている。空気透過性のスペーサ形成物のためのこの条件つきで、靴の使用者によって負荷がかかった場合に、空気透過性のスペーサ形成物はその空気透過性を失って完全に圧縮されるのではなく、靴の利用者による負荷がかかった場合でも、スペーサ形成物のスペーサ機能とそれに伴って空気透過性を、通気機能にとって十分な程度に維持することが、保証される。
【0043】
この解決の実施形態において、空気透過性のスペーサ形成物は、第1の載置面を形成する面形成物と、その面形成物から垂直および/または0°と90°の間の角度で離れるように延びる多数のスペーサ部材とを有している。その場合に、スペーサ部材の、面形成物から離れた端部が一緒になって、面形成物から離れた第2の載置面を形成することができる面を定める。
【0044】
この解決の実施形態において、スペーサ形成物のスペーサ部材は、ネップとして形成されており、その場合にそのネップ自由端部が一緒になって、上述した第2の載置面を形成する。
【0045】
この解決の実施形態において、スペーサ形成物は、互いに対して平行に配置された2つの面形成物を有しており、その場合に2つの面形成物がスペーサ部材によって空気を透過するように互いに結合され、かつ距離をもって保持されている。その場合に面形成物の各々が、スペーサ形成物の2つの載置面の1つを形成している。
【0046】
2つの載置面をスペーサ形成物の全部の平坦な広がりにわたって等間隔にするために、すべてのスペーサ部材が同一の長さを有する必要はない。特殊な適用のためには、たとえば足に合った足床を形成するために、スペーサ形成物を種々のゾーン内で、あるいは種々の箇所において、その平面的な広がりに沿って異なる厚みにすると、効果的な場合もある。
【0047】
スペーサ部材は、別々に形成することができ、すなわち、スペーサ部材は、2つの載置面の間で互いに結合されていない。しかしまた、スペーサ部材を2つの載置面間で接触させ、あるいはそれによって形成される接触箇所の少なくとも一部を、たとえば接着剤によって、あるいはスペーサ部材が、たとえば加熱によって接着可能になる材料のような、溶接可能な材料からなることにより、互いに固定する可能性もある。
【0048】
スペーサ部材は、棒状または糸状の個別部材であっても、あるいは複雑な形成物、たとえば枠組みまたは格子組みの一部であってもよい。スペーサ部材は、ジグザグ形状またはクロス格子の形式で互いに結合することもできる。
【0049】
スペーサ部材の材料の選択により、かつ/またはスペーサ部材の傾斜角度の選択により、かつ/または隣接するスペーサ部材が互いに固定される接触箇所の割合および/または使用される枠組みまたは格子組みの形状の選択によって、負荷のもとでもスペーサ形成物の剛性とそれに伴って形状安定性が、それぞれの要請に適合される。
【0050】
この解決の実施形態において、スペーサ形成物は、波形または鋸歯状に形成されている。その場合に、2つの載置面は、スペーサ形成物の上方と下方の波の山ないし上方と下方の歯の頂点によって定められる。
【0051】
この解決の実施形態において、スペーサ形成物は、硬化されたニットによって構成され、その場合に硬化は、接着により(そのために合成樹脂接着剤を使用することができる)行われ、あるいはスペーサ形成物が熱可塑性の材料によって形成されて、それが硬化のためにこの材料を互いに接着する軟化温度まで加熱されることにより、熱的な作用によって行われる。
【0052】
この解決の実施形態において、スペーサ形成物は、ポリオレフィン、ポリアミドまたはポリエステルの材料グループから選択された材料によって構成されている。
【0053】
この解決の実施形態において、スペーサ形成物は繊維によって構成され、その繊維の少なくとも一部が、スペーサホルダとして面形成物の間に垂直に配置されている。
【0054】
この解決の実施形態において、繊維は、フレキシブルな変形可能な材料によって形成されている。
【0055】
この解決の実施形態において、繊維は、ポリオレフィン、ポリエステルまたはポリアミドからなる。
【0056】
この解決の実施形態において、面形成物は、開放孔の、織られ、編まれあるいはメリヤス編みされたテキスタイル材料によって形成されている。
【0057】
この解決の実施形態において、空気透過性のスペーサ形成物は、互いに対して平行に配置された2つの空気透過性の面形成物によって形成され、その面形成物は、単繊条または多繊条によって空気を透過するように互いに結合されており、かつ同時に離間している。
【0058】
この解決の実施形態において、面形成物は、ポリオレフィン、ポリアミドまたはポリエステルの材料グループから選択された材料によって形成されている。
【0059】
この解決の実施形態において、スペーサ形成物の単繊条または多繊条の少なくとも一部は、スペーサホルダとして面形成物の間にほぼ垂直に配置されている。
【0060】
この解決の実施形態において、単繊条または多繊条は、ポリオレフィンおよび/またはポリエステルおよび/またはポリアミドからなる。
【0061】
この解決において、空気透過性の層ないしそれを形成する空気透過性のスペーサ形成物は、ベンチレーション層の機能を有しており、そのベンチレーション作用は、空気のための極めて低い流れ抵抗に基づいている。空気交換は、靴内部空間から靴外側へ、水蒸気の形式の汗の水分を効果的に搬出することをもたらす。
【0062】
この解決の他の利点は、空気透過性の層をアッパー構造体のアッパー底領域内に配置することにより、付加的な修正なしで、従来のソールを使用できることにある。特に山靴とトレッキングシューズにおいて、ソールとアッパー構造体の間の境界領域は、靴の周面に沿って外側から、ゴム状の付加的なソールバンドによってシールされている。このバンドは、空気通過開口部の領域内で、同様に穴開けされていなければならない。シェルソールは、この解決の実施形態のために、たとえば、アッパー材料内の空気通過開口部がシェル端縁の上方に配置されている場合、あるいは付加的なソールバンドの、アッパー上材料の少なくとも空気通過開口部の上に位置する箇所に、1つまたは複数の対応する空気通過開口部が設けられている場合に、使用することができる。
【0063】
少なくとも1つの空気通過開口部は、任意の形状を有することができる。この解決の実施形態において、少なくとも1つの空気通過開口部は、丸い形状を有しており、たとえば円形または楕円形である。しかし、少なくとも1つの空気通過開口部の形状は、角張っていてもよく、たとえば方形または細長い矩形の形状を有することができる。
【0064】
独国特許出願第102008027856号(DE102008027856)に示す解決の実施形態において、個々の空気通過開口部の代わりに、空気透過性材料からなる細片が形成され、その細片が下方のアッパー上材料領域の周面全体の回りに延びており、それによって靴内部空間から靴の外環境へ熱と湿気を有効に逃がしながら、空気透過性の層と靴の外環境との間に特に高い空気交換が得られる。空気透過性材料は、アッパー上材料の要素を形成している。この解決の実施形態において、それは別体の多孔の、格子状またはネット形状の材料であって、その材料がアッパー上材料のソール側の下方の周面領域内でこのアッパー上材料に固定されており、あるいはアッパー上材料自体が、この下方の周面領域においてそれ相当に機械的に、たとえば打抜きまたはパーフォレーションによって、加工されている。空気透過性材料として、ネット、格子、格子状のテキスタイル部品、開口泡、空気透過性のテキスタイルおよびこれらの材料の組合せを使用することができる。これらの材料は、たとえばポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、TPE(熱可塑性エラストマー)、TPU(熱可塑性ポリウレタン)、加硫ゴムからなることができる。
【0065】
ソール側の下方の領域内に、空気透過性の材料からなる細片(アッパー上材料の空気通過開口部の一部にわたって、あるいはアパー上材料のすべての空気通過開口部にわたって配置され、あるいは周面側に延びる唯一の空気通過開口部を形成するために、空気透過性の層の高さにおいてアッパー上材料に代わる)を配置することは、空気透過性の材料からなるこの細片が、空気通過開口部に沿って均一に、ないしはソールの上方の端縁から均一な間隔で延びるようにする場合には、まったく簡単には実現されない。特にこれは、アッパー上材料のソール側の下方の端部領域がアッパー底、たとえばマウンティングソールの下方の周面領域に、つり込み接着によって、かつ特につり込みの際にもたらさなければならない高いつり込み力に基づいて、固定される靴である場合に、困難になり得る。アッパー上材料のソール側の下方の端部領域が、マウンティングソールの下方の周面領域に縫付けによって固定される靴の場合にも、高い引っ張り力が生じる。
【0066】
この種の問題は、本発明に基づいて形成された、特許請求項1に記載の靴によって解決される。本発明に基づいて形成された靴の実施形態が、従属請求項において請求されている。
【0067】
本発明の実施形態に基づく靴は、アッパー構造体とソールを有し、その場合にアッパー構造体は、アッパー上材料とアッパー底内に配置された空気透過性の層とを有している。空気透過性の層は、ソールの上方でアッパー構造体のソール側の下方の領域内に配置されている。空気透過性の層は、少なくとも水平方向に空気の透過を許す3次元の構造を有している。アッパー上材料のソール側の下方の周面領域は、その周面側の延びの少なくとも一部にわたって、少なくとも1つの結合材料によって置き換えられており、その結合材料は、空気透過性の層の少なくとも下側の上方で始まって、空気透過性の層の外部に延びてアッパー底に固定されており、かつ少なくとも、少なくとも部分的に空気透過性の層と同じ高さに位置する部分領域において、空気透過性であって、それによって空気透過性の層を外環境と次のように、すなわち外環境と空気透過性の層との間で空気を交換することができるように、接続する。
【0068】
本来のアッパー上材料の少なくとも一部を、空気透過性の上方またはその高さにおいて中断し、アッパー構造のソール側の下方の端部まで結合材料によって置き換え、その結合材料が少なくとも、空気透過性の層の高さに位置する領域内で空気透過性であることによって、比較的わずかな手間で、空気透過性の層を、きちんとした外観で確実に空気を透過するように覆うことを保証する可能性が達成される。
【0069】
実施形態においては、結合材料をアッパー底に固定することは、アッパー底層の下側につり込み接着することによって行われ、そのアッパー底層は、たとえば空気透過性の層であり、あるいはマウンティングソールであってもよい。この場合において、結合材料の下方の端部が、タックインフラップを形成する。
【0070】
アッパー上材料の内側にアッパー裏地が設けられる場合に、このアッパー裏地も同様につり込み取付けによって、特につり込み接着によって固定することができ、あるいは他のやり方で、たとえばストローベルによって、従ってストローベル縫目によってアッパー裏地マウンティングソールに固定される。
【0071】
空気透過性の結合材料は、2つの異なる機能を有している。1つは、空気透過性の層と外環境との間で空気を交換できることを、保証することである。他方で、結合材料は、アッパー上材料をアッパー底に、たとえばマウンティングソールに、あるいは空気透過性の層に、固定するために用いられる。この固定プロセスは、たとえばつり込み、ストローベルまたはストリング−ラスティングのような、アッパー構造体を形成するための、すべての既知の方法を含んでいる。
【0072】
結合材料は、特に延長細片の形式の、細片形状であることができる。
【0073】
結合材料は、その幅全体にわたって、あるいはその幅の、固定工程後に空気透過性の層の高さに位置する部分のみにわたって、空気透過性であることができる。
【0074】
結合材料は、アッパー上材料の下方の周領域全体の回りに延びることができる。
【0075】
結合材料のための材料として、特にネット状または格子状の材料が適している。好ましくは、結合材料は、格子バンドまたはネットバンドによって形成されている。これは、その幅全体にわたってほぼ等しい大きさの開口部を有している。実施形態において、格子バンドまたはネットバンドは、空気透過性の層に対応づけられた領域において、できるだけ大きい空気透過性を得るために、特に、たとえば結合材料のつり込み領域のような、固定領域におけるよりも、大きい開口部を有している。このようにして、特に大きい力が発生するところにおいて、すなわち固定領域内では、結合材料の、空気透過性の層と対向する領域におけるよりも高い剛性度と負荷耐性が保証される。結合材料は、固定工程において、かつ適用の間、主要負荷を吸収しなければならないので、結合材料のために、それに応じた安定した材料が選択され、結合材料によってこの主要負荷を免れる、本来のアッパー上材料のためには、材料選択に関してより大きい自由度が獲得される。
【0076】
一般に、結合材料は、高い摩耗強度、高い突抜け強度(小石、小枝などに対して)、接着でき、かつ縫うことができることを、特徴としている。結合材料が、切断面においてほつれないと、効果的である。
結合材料のための材料を選択する場合に、機械的な保護、汚れや水をはじく特性および視覚的印象が、重要な役割を果たす。空気透過性の結合材料として、ネット、格子、格子状のテキスタイル、開孔泡、空気透過性のテキスタイル、3次元のニット、ニット、織物、メリヤスニット、空気透過性の不織布、ガラス繊維または炭素繊維のような無機繊維からなる材料およびこれらの材料の組合せを使用することができる。
【0077】
結合材料は、原理的にすべての技術的サーモプラスト、ジュロプラストおよびエラストマーからなることができる。特殊な金属またはプラスチックと金属の組合せ、金属化されたポリマーまたは金属編物も、考慮される。プラスチックの例は、PUR(ポリウレタン)、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリオレフィン、TPE(サーモプラスティックエラストマー)、TPU(熱可塑性ポリウレタン)、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン−弾性ゴム)、SAN(スチロール−アクリルニトリル−コポリマー)、SBR(スチロール−ブタジエン−ゴム)、ABS(アクリルニトリル−ブタジエン−スチロール)、加硫ゴム、シリコーンおよびこれらの材料の組合せである。結合材料のために、ゴムも使用することができる。結合材料は、少なくとも1つの空気透過性の膜または空気透過性のフィルムを有することもできる。
たとえば、結合材料は、少なくとも2つの互いに異なる材料領域を有することもできる。
【0078】
結合材料は、1成分または複数の成分を有することができる。
【0079】
実施形態において、結合材料は、複数の成分を、たとえば複合材料の形式で、有している。実施形態において、結合材料は、たとえばゴム引きされたテキスタイルのように、コーティングされ、あるいは含浸された格子バンドまたはネットバンドによって形成されている。コーティング/含浸は、アクリレート、シリコーンまたはポリウレタンベースで行うこともできる。一般に、空気透過性の層が疎水性に形成されていると、効果的である。
【0080】
他の実施形態において、空気透過性の結合材料のコーティングは、同時に接着剤として、他の材料を固定するため、あるいは他の材料に固定するために用いられる。たとえば、コーティングを用いて、結合材料の少なくとも一部を覆う、空気を透過する開口部を備えたカバー細片を、付加的な接着剤なしで、結合材料に固定することができる。他の例において、コーティングは、つり込み接着剤として用いられる。実施形態において、格子バンドまたはネットバンド(格子状のテキスタイル)が、加熱されると接着剤として作用する、ポリウレタンでコーティングされている。格子バンドまたはネットバンド上に、接着結合のために十分な接着剤が塗布されることが、保証されなければならない。
【0081】
空気を透過する開口部を有するゴムバンドのような、前もって形成された複合材料を使用することも可能であって、その複合材料は、繊維またはテキスタイル構造(ネットまたは格子)によって強化/硬化されている。ゴムバンドの開口部内には、ネットまたは格子のみがある。前もって形成された複合材料は、他のコンポーネントと結合することもでき、たとえばゴムバンドと接着された格子バンドを有することができる。これらの場合において、ゴムバンドは、上述したカバー細片の機能を引き受け、それについては後に詳細に説明する。従って、別体のカバー細片を結合材料内へ統合することが可能である。それによって付加的なカバー細片が省かれ、アッパー構造体の形成が簡略化される。
【0082】
さらに、結合材料は、その幅にわたって異なる材料特性および/または物理的特性を有することができる。たとえば結合材料は、空気透過性の層内では、特に高い空気透過性を有しているが、下方の固定領域内ではわずかな空気透過性を有する。他の異なる特性は、伸長可能性、剛性度および/または厚みとすることができる。たとえば、実施形態において、結合材料は、アッパー底に固定するために用いられる、下方の領域内においては、より薄く形成されている。従って、結合材料をアッパー底に固定することによって、空気透過性の開口部がずれず、あるいは変形せず、永続的に空気透過性の層と同じ高さに位置する。
【0083】
本来のアッパー上材料の下方の端部領域と結合材料の上方の端部領域との間の結合は、たとえば接着、溶接または縫付けによって形成することができる。
【0084】
本発明の実施形態において、アッパーの外側に、ソールの上方の周端縁の少なくとも一部から始まって、カバー細片が配置されており、そのカバー細片は、結合材料の上方の端部を越えてアッパー上材料まで延びており、かつ結合材料の、少なくとも部分的に空気透過性の層の高さに位置する部分を覆う領域の少なくとも一部において、空気を透過する。
【0085】
この種のカバー細片は、特に保護バンドであって、それは特に、いわゆるトレッキングシューズの場合に、従来のように、下方のアッパー端部にその周面を一周して取り付けられており、それによって、特に山歩きする際に特に高い摩耗負荷を受けるアッパー領域のための保護が形成される。この種のカバー細片は、しばしばゴムまたはゴム状のプラスチックからなり、従ってこの種のカバー細片のために、しばしば「ゴムバンド」という概念が使用される。それにもかかわらず、このカバー細片は、実際のゴムバンドである必要はなく、その代わりにたとえば、もともと摩耗強く、あるいは摩耗強く形成された、強化されたテキスタイル材料を使用することもできる。
【0086】
空気透過性の層の領域内で、外環境への空気透過性が損なわれないようにするために、カバー細片も少なくとも、空気透過性の層の高さに位置する領域内で、空気を透過するように形成されている。特に、カバー細片の材料がゴムまたはゴムと似たプラスチックである場合に、カバー細片は少なくとも、空気透過性の層に対向し、従って空気透過性でなければならない領域内で、パーフォレーション孔、切欠きまたは切り抜かれた領域によって空気透過性にすることができる。
【0087】
カバー細片は、結合材料の外側に位置し、好ましくは、本来のアッパー上材料と結合材料の間の結合が存在する領域の上方に延びている。このようにして、この結合領域が覆われ、外側からは見えず、それが靴の良好な外観に役立つ。
【0088】
カバー細片は、そのソール側の下方の端部において、同様にアッパー底と結合することができ、たとえばつり込み工程によってこのアッパー底に固定することができる。これは、カバー細片がつり込み接着によって、たとえば空気透過性の層の上につり込まれた結合材料の下側につり込まれて、そこで堅固に接着されることによって、行うことができる。これは、つり込み力が、結合材料だけによって吸収される必要はなく、結合材料とカバー細片に分配される、という利点を有している。他の実施形態において、カバー細片は結合材料と結合され、たとえば接着され、溶接され、あるいは縫い合わされ、次に両者が一緒につり込み工程によってアッパー底に固定される。
【0089】
定義
水平、垂直:
それぞれ該当する対象、たとえばソールまたはアッパー構造を見る場合に、この対象が平坦な土台上に載置される、規定通りの位置において、該当する。
【0090】
内側、外側:
内側は、靴内部空間を向いた側;外側は、靴外側へ向いた側を意味する。
【0091】
上、下:
上は、靴のソールの接地面から離れる方向を向いた側を意味し、下は、靴のソールの接地面を向いた側ないし、ここでも土台が平坦であると仮定して、靴が載置される土台を向いた側、を意味する。
【0092】
靴または靴類:
履き口を備えた、閉鎖された上部分(アッパー構造体)と少なくとも1つのソールまたはソール複合体を有する、足被覆。
【0093】
アッパー構造体:
履き口を残して足を完全に包囲し、アッパーの他にアッパー底も有している。アッパー構造体は、さらに、たとえば裏地および/または水密、水蒸気透過性の機能層および/または1つまたは複数の絶縁層の形式の、1つまたは複数の内張りを有することができる。
【0094】
アッパー上材料:
アッパーとそれに伴ってアッパー構造体の外側を形成し、たとえば皮革、テキスタイル、プラスチックまたは他の既知の材料およびその組合せからなり、あるいはそれによって構成される、材料。一般に、これらの材料および組合せは、水蒸気を透過する。アッパー上材料のソール側の下方の周面領域は、ソールの上端縁に隣接する領域ないしはアッパーとソールの間の境界領域の上方の領域を記述する。
【0095】
アッパー底:
アッパー構造体のソール側の下方の領域であって、その中でアッパー構造体は完全に、あるいは少なくとも部分的に閉鎖されている。アッパー底は、足の裏とアウトソールの間に位置する。つり込まれた底またはストローベル底を有する靴において、アッパー底は、マウンティングソール(インソール)と協働して形成することができる。アッパー底は、さらに、アッパー底機能層またはアッパー底機能層ラミネートを有することができ、その場合にこのラミネートは、マウンティングソールの機能も引き受けることができる。本発明に基づく靴においては、アッパー底はさらに、空気透過性の層を有している。
【0096】
ソール:
ソールという概念は、任意の種類のソールまたはソール層のための上位概念である。
【0097】
マウンティングソール(インソール):
マウンティングソールは、アッパー底の一部であって、それにソール側の下方のアッパー端部領域が固定される。マウンティングソールは、この目的のためだけに設けることができ、その場合においては、インソールに言及されることが多い。しかしマウンティングソールとして、アッパー底内にあるソール層も用いることができ、そのソール層は、まず他の目的のために配置されており、マウンティングソールの機能のために一緒に使用される、たとえば、本発明に基づく靴において設けられる空気透過性の層である。マウンティングソールは、水蒸気透過性であることができ、たとえばマウンティングソールは、水蒸気透過性の材料から形成されており、あるいはマウンティングソールの厚みを通して形成された開口部(穴、パーフォレーション)によって水蒸気を透過するように形成されている。この場合において、マウンティングソールは、たとえば、150m2xPaxW-1の水蒸気透過率Retを有している。水蒸気透過率は、ホーエンシュタイン−スキンモデルに従ってテストされる。このテスト方法は、DIN EN 31092(02/94)ないしISO 11092(1993)に記載されている。
【0098】
ソール:
靴は、少なくとも1つのアウトソールを有するが、重ねて配置された、複数種類のソールを有することもできる。
【0099】
アウトソール:
アウトソールは、ソール領域の、地面/土台に接触し、ないしは地面/土台に対する主な接触を形成する部分である。アウトソールは、地面に接触する少なくとも1つの接地面を有している。
【0100】
中間ソール:
アウトソールが直接アッパー構造体に取り付けられない場合に、アウトソールとアッパー構造体との間に中間ソールを挿入することができる。中間ソールは、たとえばクッション、緩衝または充填材料として用いることができる。
【0101】
ブーティ:
ブーティと称するのは、アッパー構造体のソックス形状の内張りである。ブーティは、靴の内部を実質的に完全に覆う、アッパー構造体のソックス形状の内張りを形成する。
【0102】
機能層:
たとえば膜または然るべく処理され、あるいは装備された材料、たとえばプラズマ処理を有するテキスタイルの形式の、水蒸気透過性および/または水密の層。機能層は、アッパー底機能層の形式で、アッパー構造体のアッパー底の少なくとも1つの層を形成することができるが、付加的に、アッパーを少なくとも部分的に内張りするアッパー機能層として設けることもできる。アッパー機能層も、アッパー底機能層も設けられる場合には、これらは、多層の、多くは2層、3層または4層のラミネートの一部を形成することができる。機能層ブーティの代わりに、アッパー機能層と別体のアッパー底機能層とが使用される場合には、これらはたとえば、アッパー構造体のソール側の下方領域内で、互いに対して水密に密閉される。アッパー底機能層とアッパー機能層は、1つの材料から形成することもできる。
水密の、水蒸気透過性の機能層に適した材料は、特に、米国特許第7425418号明細書(US-A-7425418)と米国特許第4493870号明細書(US-A-4493870)に記載されているような、ポリウレタン、ポリオレフィンおよび、ポリエーテルエステルを含むポリエステルとそのラミネートである。実施形態において、たとえば米国特許第3953566号明細書(US-A-3953566)と米国特許第4187390号明細書(US-A-4187390)に記載されているような、微孔の、延伸されたポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)を有する機能層と、親水性の含浸剤および/または親水性の層を有する、延伸されたポリテトラフルオロエチレンが構築される。たとえば、米国特許第4194041号明細書(US-A-4194041)を参照されたい。微孔の機能層というのは、その平均的な実効孔大きさが、0.1−2μmの間、好ましくは0.2μmと0.3μmの間にある機能層である。
【0103】
ラミネート:
ラミネートは、一般には相互の接着または溶接によって、互いに永続的に結合された、複数の層からなる複合体である。機能層ラミネートにおいては、少なくとも1つのテキスタイル層を有する水密および/または水蒸気透過性の機能層が設けられている。少なくとも1つのテキスタイル層は、主として、機能層をその加工の間保護するために用いられる。ここで言うのは、2層ラミネートである。3層ラミネートは、2つのテキスタイル層内へ埋め込まれた、水密、水蒸気透過性の機能層からなる。機能層と少なくとも1つのテキスタイル層との間の結合は、たとえば、非連続の接着剤層あるいは連続的な水蒸気透過性の接着剤層によって行われる。実施形態において、機能層と1つまたは2つのテキスタイル層との間に、接着剤を点状に塗布することができる。それ自体水蒸気透過性でない接着剤からなる全面の層は、機能層の水蒸気透過性をブロックしてしまうので、接着剤の点状ないし非連続の塗布が行われる。
【0104】
水密:
場合によっては機能層/機能層ラミネートに設けられた縫目を含めて、機能層/機能層ラミネートが、少なくとも1x104Paの浸水圧を保証する場合に、「水密」と見なされる。好ましくは、機能層は、1x105Paを越える浸水圧に耐える。その場合に、浸水圧は、テスト方法に従って測定され、そのテスト方法においては、20±2℃において蒸留水が、機能層の100cm2の検体上に、上昇する圧力をもってもたらされる。水の圧力上昇は、分当たり60±3cm水柱である。その場合に浸水圧は、初めて水が検体の他の側へ現れる圧力に相当する。方法の詳細は、1981年のISO−規格0811に定められている。
【0105】
靴が水密であるかは、たとえば米国特許第5329807号明細書(US-A-5329807)に記載された種類の遠心力配置によってテストすることができる。
【0106】
水蒸気透過性:
機能層/機能層ラミネートは、150m2xPaxW-1を下回る水蒸気透過性数Retを有する場合に、「水蒸気透過性」と見なされる。水蒸気透過性は、ホーエンシュタイン−スキンモデルに従ってテストされる。このテスト方法は、DIN EN31092(02/94)ないしISO11092(1993)に記載されている。
【0107】
空気透過性:
「空気透過性」というのは、本出願においては、空気と水蒸気の対流的交換が空気の流れによってもたらされ、水蒸気の交換が拡散プロセスまたはそれらの組合せによってもたらされることを意味している。
【0108】
空気透過性の層:
空気透過性の層は、少なくとも水平方向に空気通過を許す3次元の構造を有している。この構造は、空気について極めて低い流れ抵抗を有する。その場合に、空気透過性の層は、靴内部空間から、たとえば対流によって熱と水蒸気を吸収して搬出することを許す。空気透過性の層は、少なくとも50%、ある形態においては85%を越える空気体積を含んでいる。空気透過性の層の厚みは、12mmより少なく、その場合に実施形態においては、厚みは8mmよりも少ない。空気透過性の層は、2000g/m2より少ない、好ましくは800g/m2より少ない面重量を有している。空気透過性の層は、アッパー底の足載せ面の少なくとも50%、かつ好ましくは少なくとも70%を覆っている。さらに空気透過性の層は、走行中にユーザーの足によって少なくとも実質的に永続的に圧縮されない剛性を備えた構造を有している。
【0109】
空気透過性の層として、たとえば、それ自体、独国特許出願公開10240802号明細書(DE 10240802 A2)から、そこではもちろん衣服片のための赤外線反射材料に関連して、知られているような、スペーサ形成物が適している。
【0110】
空気透過性の層は、たとえばポリマーから成形された構造、3Dスペーサ形成物またはポリマー樹脂で硬化されたテキスタイル構造とすることができる。空気透過性の層は、射出成形方法によって形成することもでき、ある実施形態においては、通路またはパイプの形状の形態を有することができ、あるいはポリマー泡または金属泡から形成することができる。
【0111】
ポリマーから成形された構造は、ポリマー単繊条、織物、フリースまたは、材料の変形と固定によってリブ構造、ネップ構造またはジグザグ構造に成形された不織布に基づいている。この構造は、たとえば波形の、あるいは他の形状によって3D構造にされたフィラメント不織布の形式の、たとえばポリウレタンからなる、3次元の形成物であってもよい。変形と固定は、たとえば加熱された構造ドラムを介して、あるいは熱成形プロセスとして実施することができる。成形された構造は、次元安定性を改良するために、さらに、織物またはフリースによってラミネートすることができる。この種の成形された構造を形成するための可能な方法が、たとえば国際公開第2006/056398号(WO2006/056398)に記載されている。
空気透過性の層は、3Dスペーサ形成物から形成することもできる。この種のスペーサ形成物は、通常、ポリエステル多繊条または単繊条からなる。スペーサ形成物は、スペーサニット、スペーサ編物、スペーサフリース材料またはスペーサ織物とすることができる。編物テクノロジーは、商品面の上側と下側も、スペーサ糸(パイル糸)も、互いに独立して変化させることを許す。すなわち、それぞれ個別の適用の種類に応じて、表面とばね特性曲線を含めた硬度を調節することができる。スペーサ形成物は、負荷を受けても、すべての方向における極めて高い空気循環を特徴としている。たとえばスペーサニットの形式の、スペーサ形成物は、テキスタイル面形成物の含浸を介して形成することもでき、その面形成物は、3次元形成物に変形する前または後に、樹脂を含浸され、それによって所望の剛性を得る。スペーサ形成物のための繊維材料として、同様に、ガラス繊維またはカーボン繊維のような、無機繊維を選択することができる。
【表1】
【0112】
要約すると、空気透過性の層が、足とアウトソールとの間に間隔を維持し、多数のパッセージを形成し、そのパッセージが空気流にできるだけ少ない抵抗を示し、それによって水蒸気を吸収することなしに、水蒸気と熱の移送に寄与する。空気透過性の層は、毛管現象を持たず、あるいは少なくとも実質的に持たない。空気透過性の層は、その底側においては、マウンティングソールおよび/または充填層および/またはアウトソールによって閉鎖され、少なくともその周側において空気透過を許すように開放している。好ましくは、空気透過性の層は、付加的に、その上方の表面において、同様に空気透過を許すように開放している。空気透過性の層の、アッパー内部空間を向いた上方の表面は、実施形態においては、水密かつ場合によっては水蒸気透過性の機能層へ向けられている。
【0113】
スペーサ形成物の空気透過性の決定は、DIN EN ISO9237「テキスタイル面形成物の空気透過性の決定」に従って行われる。DIN EN ISO9237とは異なり、流れ抵抗と差圧は、面に対して垂直にではなく、面に沿って測定される。そのために、閉鎖されたカバー面によって画成される定められたスペーサ通路が構築され、その中へ一方の側から空気流が供給される。通路の流入と流出の間の差圧と空気出口における流れ速度が測定される。0と100Paの間の差圧において、300mmと1300mmの間の長さの通路の端部において、0と1m/sの間の流れ速度が測定された。これは、100Paまでの動圧と300mmの流れ通路長さにおいて、出口において測定可能な流れをもはや発生しないスペーサ形成物は、本発明に適していないことを、意味している。
【0114】
空気通過開口部:
アッパー上材料のソール側の下方の周面領域内に少なくとも1つの開口部を有している。好ましくは、少なくとも2つの、ほぼ対向する空気通過開口部が設けられている。空気通過開口部は、たとえば、打抜き、切抜きまたはパーフォレーションによってアッパー上材料に形成することができる。空気通過開口部の形状は、たとえば丸く、あるいは角張っているように、任意にすることができる。空気通過開口部は、たとえばネットまたは格子の形式の、空気を透過する平面的な保護材料によって異物が侵入しないように保護することができる。保護材料は、疎水性で設けることができる。少なくとも1つの空気通過開口部の面積全体は、少なくとも50mm2であって、好ましくは少なくとも100mm2である。代替的な実施形態において、空気通過開口部は、直接、アッパー上材料として使用することができる、あるいはアッパー上材料の構成要素であり、従って内在的に必要な空気透過性を有する、空気透過性の材料によって形成することもできるので、付加的な開口部を形成する必要はない。
【0115】
つり込み、つり込み接着:
これは、アッパー層、たとえばアッパー上材料またはアッパー裏地の下方の端部領域を、マウンティングソール(たとえばインソールまたは空気透過性の層)の下側に、通常つり込み接着によって、固定するやり方である。その場合にソール側のまだ開放しているアッパーが枠縁上に、アッパー上材料の下方の端部領域が枠縁を越えて張り出すように張りわたされ、アッパー上材料のこの張り出した部分がつり込みペンチを用いてマウンティングソールの下側の周端縁上へ引っ張られて、そこにつり込み接着剤によって堅固に接着される。
【0116】
結合材料:
アッパー上材料のソール側の下方の端部領域に固定された、細長い材料片であって、全部または少なくとも部分的に空気透過性の材料からなり、その長手寸法は、アッパーの周面またはその一部にわたって延びている。本発明の場合においては、下方のアッパー上材料端部の個々の周部分領域に、あるいは全周面領域に、1つまたは複数の延長細片が固定される。
【0117】
カバー細片(たとえばゴムバンド):
特にゴムまたはゴムに似た材料からなる、縦長の細片であって、下方のアッパー端部の周面全体の回り、あるいは少なくともその大部分の回りに延びており、この細片で覆われたアッパー領域のために、保護、特に摩耗保護を提供する。カバー細片は、アウトソールから上方へ延びることができる。カバー細片は、アウトソール内に統合することができ、あるいはアウトソールとは別体の部分であってもよい。
【0118】
実施形態を用いて本発明を付加的に説明する。
【0119】
図1から14は、すでに説明した独国特許出願第102008027856号(DE102008027856)に開示され、上で説明した解決を示しており、図15から19は、本発明のためのものである。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】独国特許出願第102008027856号(DE102008027856)に基づいて形成された、アッパー上材料内に複数の空気通過開口部を有する靴の第1の実施形態を示す斜視図である。
【図2】独国特許出願第102008027856号(DE102008027856)に基づいて形成された、アッパー上材料内に複数の空気通過開口部を有する靴の第2の実施例を示す斜視図である。
【図3】独国特許出願第102008027856号(DE102008027856)に基づいて形成された、アッパー上材料内に複数の、部分的に閉鎖可能な空気通過開口部を有する靴の第3の実施例を示す斜視図である。
【図4】独国特許出願第102008027856号(DE102008027856)に基づいて形成された、アッパー上材料の、アッパー周面を一周する空気透過性の格子状の構成部分を有する靴の第4の実施例を示す斜視図である。
【図5】図1から4に示す実施形態の1つに従って形成された靴の前足領域の一部を、そのアッパー構造体の第1の実施形態において示す、図式的な断面図である。
【図6】図1から4に示す実施形態の1つに従って形成された靴の前足領域の一部を、そのアッパー構造体の第2の実施形態において示す、図式的な断面図である。
【図7】図1から4に示す実施形態の1つに従って形成された靴の前足領域の一部を、そのアッパー構造体の第3の実施形態において示す、図式的な断面図である。
【図8】図1から4に示す実施形態の1つに従って形成された靴の前足領域の一部を、そのアッパー構造体の第4の実施形態において示す、図式的な断面図である。
【図9】図1から4に示す実施形態の1つに従って形成された靴の前足領域の一部を、そのアッパー構造体の第5の実施形態において示す、図式的な断面図である。
【図10】独国特許出願第102008027856号(DE102008027856)に基づいて形成された靴のために使用可能な空気透過性の層の第1の実施形態を示している。
【図11】独国特許出願第102008027856号(DE102008027856)に基づいて形成された靴のために使用可能な空気透過性の層の第2の実施形態を示している。
【図12】独国特許出願第102008027856号(DE102008027856)に基づいて形成された靴のために使用可能な空気透過性の層の第3の実施形態を示している。
【図13】独国特許出願第102008027856号(DE102008027856)に基づいて形成された靴のために使用可能な空気透過性の層の第4の実施形態を示している。
【図14】独国特許出願第102008027856号(DE102008027856)に基づいて形成された靴のために使用可能な空気透過性の層の第5の実施形態を示している。
【図15】本発明に基づいて形成された靴の第1の実施形態を、つり込み工程前に示す部分断面図である。
【図16】本発明に基づいて形成された靴の第2の実施形態を、図15の第1の実施形態と同様に、つり込み工程とアウトソールの取付け後において示している。
【図17】本発明に基づいて形成された靴の第3の実施形態を、ストローベルで取り付けられたアッパー構造体とともに示す部分断面図である。
【図18】図17に示す靴を、アウトソールの取付け後において示している。
【図19】本発明に基づいて形成された靴の第4の実施形態を、ソール取付け前に、アッパー上材料と結合された空気透過性の層と共に示す部分断面図である。
【図20】本発明に基づく靴のための本発明に基づく結合材料の第1の実施形態を部分的に示す上面図である。
【図21】本発明に基づく靴のための本発明に基づく結合材料の第2の実施形態を部分的に示す上面図である。
【図22】本発明に基づく靴のための本発明に基づくカバー細片の第1の実施形態を部分的に示す上面図である。
【図23】本発明に基づく靴のための本発明に基づくカバー細片の第2の実施形態を部分的に示す上面図である。
【図24】ゴムバンドと格子バンドからなる複合体の形式の、本発明に基づく結合材料の第3の実施形態を部分的に示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0121】
図1は、独国特許出願第102008027856号(DE102008027856)に示す靴10の第1の実施例を示しており、その靴はアッパー構造体12とアッパー構造体12の下方の端部領域に配置されたソール14とを有しており、そのソールは、この実施例の場合において、アウトソールである。アッパー構造体12は、通常のように、その上方の端部に、履き口12aを有しており、そこからひも領域12bがアッパー構造体12の前足領域の方向に延びている。アッパー構造体12の下方の端部領域内に、アッパー構造体12の周面の一部の周りに配置された多数の空気通過開口部20が見られる。靴の足指領域にほぼ相当する、前足領域の前方部分内には、この実施形態においては、空気通過開口部は設けられていない。空気通過開口部20は、アッパー構造体12の残りの周面領域の周りに互いに対してほぼ等間隔で均一に分配されており、かつ円形に形成されている。さらに、小石などの大きな小片が侵入することを防止するために、空気通過開口部20には空気を透過する保護カバー22が設けられている。保護カバー22は、外側および/または内側から空気通過開口部を覆うことができる。各個々の空気通過開口部20に、それぞれ保護カバー22を対応づけてもよいし、あるいはすべての空気通過開口部にわたって保護カバー全体22が延びていてもよい。保護カバー22は、たとえば格子状またはネット形状に形成することができる。
【0122】
図2は、独国特許出願第102008027856号(DE102008027856)に示す靴10の第2の実施例を示しており、その第2の実施例は、図1に示す第1の実施例とほぼ一致するが、空気通過開口部20の配置と形状に関して、第1の実施例から区別される。図2に示す靴の空気通過開口部20は、アッパー構造体12の周方向に細長い矩形形状を有しており、アッパー構造体の下方の端部領域内のアッパー周面の前足領域ないしかかと領域内に位置している。空気通過開口部20は、さらに、格子形状の保護カバー22を有している。
【0123】
図3は、独国特許出願第102008027856号(DE102008027856)に示す靴10の第3の実施例を示しており、その第3の実施例は、図2に示す第2の実施例とほぼ一致するが、空気通過開口部20の配置に関して第2の実施例から区別される。第3の実施例においても、空気通過開口部20は、アッパー構造体12の周方向に細長い矩形形状を有している。もちろん、アッパー周面の前足領域内にのみ、空気通過開口部20が設けられており、その空気通過開口部は、足横方向に少なくともほぼ対向している。空気通過開口部20は、格子状の保護カバー22によって覆われている。
図3は、さらに、図1から4のすべての実施形態を代表して、装置45を有しており、その装置によって、必要な場合に空気通過開口部20を閉鎖することができる。図示の移動可能な装置45は、手段を有しており、その手段によって少なくとも水をはじく材料が、時には空気通過開口部20を閉鎖する。図示の実施形態においては、スライダ装置によって、少なくとも撥水性の材料を、アッパー周面に沿って空気通過開口部20の上に、それが閉鎖されるまでスライドさせることができる。スライド装置は、それぞれの空気通過開口部のために、あるいは複数の空気通過開口部のために、設けることができる。移動可能な装置45は、空気通過開口部とそれに伴ってアッパー構造体12の空気透過性の層(図示せず)が、時に、水のような液体の侵入に対して保護されることを、可能にする。空気通過開口部の閉鎖は、冬において、ないしは極めて温度が低い場合に効果的であり得る。というのは、それによって足が著しく冷えることを防止できるからである。空気通過開口部を閉鎖するための装置として、栓、スライダ、フラップ、一周するバンドおよびその他のすべての閉鎖機構を使用することができる。空気通過開口部を閉鎖するための可能な材料は、プラスチック、泡材、コーティングされたテキスタイル、TPU、TPE、シリコン、ポリオレフィン、ポリアミド、加硫ゴムとすることができる。
【0124】
図4は、独国特許出願第102008027856号(DE102008027856)に示す靴10の第4の実施例を示しており、それは、図1に示す第1の実施例とほぼ一致するが、空気通過開口部20が、下方のアッパー領域の周面全体にわたって延びる空気透過性の材料によって形成されることにより、第1の実施形態から区別される。それによって、空気透過性の層と靴10の外環境との間で特に高い空気交換が得られ、それに伴って熱と湿気が靴内部空間から靴10の外環境へ効果的に搬出される。空気透過性の材料は、アッパー上材料の構成要素である。その材料は、ある実施形態においては、別体のさん孔材料、格子状の材料またはネット状の材料であることができ、その材料は、アッパー上材料のソール側の下方の周面領域内でアッパー上材料に固定されているか、あるいはアッパー上材料自体が、この下方の周面領域内で、たとえば打抜きまたはさん孔によって、然るべく機械的に加工されている。空気透過性の材料として、ネット、格子、格子状のテキスタイル、開孔の泡材、空気透過性のテキスタイルおよびこれらの材料の組合せを使用することができる。これらの材料は、たとえばポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、TPE、TPU、加硫ゴムからなることができる。
【0125】
図1から4におけるすべての実施形態に共通に、少なくとも2つの空気通過開口部が足横方向に、あるいは足縦方向に、少なくともほぼ対向している。それによって、靴内部から対流によって水蒸気と熱を逃がす場合に必要とされる、空気透過性の層を通る空気の流れを形成することができる。空気の流れは、組み込まれた通気装置によってアクティブに発生させることもできる。
【0126】
図1から4の実施形態は、互いに組み合わせることもできる。
【0127】
図5から9は、独国特許出願第102008027856号(DE102008027856)に示す靴10の前足領域の一部を、図1の切断線A-Aに沿ってそれぞれ断面で示している。この種の断面線が図1にしか示されていない場合でも、図5から9の横断面図は、図2から4に示す実施形態にも、同様に当てはまる。図5から9は、それぞれアッパー構造体12とそれに取り付けられたソール14を示しており、そのソールは、アウトソールの実施形態で示されている。図5から9に示す実施形態は、それぞれのアッパー構造体12に関して異なっている。
図5から9の実施形態のすべてのアッパー構造体12は、アッパー上材料16を有しており、その内側に内張りが配置されており、その内張りは、ブーティ機能層34(図5または9)、アッパー機能層37(図6または7)あるいは機能層なしの裏地層18のみ(図8)を有している。5つの実施形態すべてにおいて、アッパー底15の領域内に、アッパー底機能層が設けられている。アッパー機能層とアッパー底機能層は、機能層ブーティ39の共通の部分であってもよく(図5または9)、あるいは相互に密閉された、別体の機能層部分であってもよい(図6と7)。図8においては、靴底のみが、機能層を有している。これらすべての機能層は、図示の実施形態において多層の機能層ラミネートの、図示の実施形態において、2つの面形成物25と26の間に埋め込まれた、機能層34、37ないし38を有する3層の機能層ラミネート24、27または28の、それぞれ一部である。25と26の面形成物は、通常、それぞれテキスタイル層とすることができる。アッパー機能層37またはアッパー機能層ラミネート27(図6と7)ないし裏地層18(図8)は、ストローベル縫目(Strobelnaht)32によってマウンティングソール30に固定することができる。アッパー底機能層38ないしアッパー底機能層ラミネート28の下方に、それぞれ空気透過性の層40(図5から9)が、特に少なくともほぼ、少なくとも1つの空気通過開口部20の高さに、配置されている。アッパー上材料16のソール側の下方の端部領域は、タックインフラップ16aとして、(図示されない)タック接着剤によってマウンティングソール30(図5と9)または空気透過性の層40(図6と7)の下側に挟み込み接着されているか、あるいは、アッパー上材料16のソール側の下方の端部領域は、他のストローベル縫目33によって、他のマウンティングソール30aと結合されている(図8)。
【0128】
図1から9に示すすべての実施形態において、上材料16は、水蒸気透過性の材料によって構成されている。アッパー底機能層ラミネート28の上方に配置されたマウンティングソール30(図6から8)と裏地層18(図8)が、同様に水蒸気透過性の材料によって構成されている。図5のマウンティングソール30、図6と7の充填層31および図8の他のマウンティングソール30aのような、空気透過性の層40の下方に位置する、アッパー底のすべての層は、水蒸気透過性を有する必要はない。
【0129】
図5から9の実施形態において、アッパー上材料16の空気通過開口部20は、アッパー上材料16の挟み込まれた下方の端部領域の屈曲領域のすぐ上に、特に空気通過開口部20が空気透過性の層40の周側面42とほぼ等しい高さにくる高さに、位置している。空気透過性の層40と空気通過開口部20の間で特に効果的な空気通過を達成するために、空気通過開口部20は、好ましくは空気透過性の層40の垂直の厚みにほぼ等しい垂直の延びを有しており、空気通過開口部20と空気透過性の層40は、垂直方向に互いに対して、空気透過性の層40の水平の中心平面とそれぞれの空気通過開口部20の中心軸が少なくともほぼ等しい垂直の高さに位置するように、方向付けされている。
【0130】
5つの実施形態すべてにおいて、ソール14は、アッパー構造体12の下方の領域と次のように、すなわちアッパー上材料16のタックを形成する下方の端部領域16aの下側、およびアッパー底の下側の、このタックに覆われない領域と結合されるようにして、結合されている。特にアッパー上材料16のタックインフラップ16aによってもたらされる、アッパー底の下側の凹凸は、充填層31によって補償することができる。ソール14は、水密の材料によって構成することができ、その材料は、ゴムまたはゴム状のプラスチック、たとえばエラストマーである。しかし、ソール14は、たとえば皮革のような、水蒸気透過性の材料からなることもできる。ソール14は、アッパー構造体12に接着される、前もって形成されたソールであってもよく、あるいはアッパー構造体12に射出形成されたソールであってもよい。このソールの、ソール14の下側に位置する接地面には、通常、この種のソール14を有する靴10の滑り安全性を改良するために、プロフィール突出部を形成する、溝パターンが設けられている。図5から9に示すすべての実施形態において、ソール14の上方の端縁14aは、それぞれの空気通過開口部20の下方の端部の下で終了している。
【0131】
図示されない方法で、特にワンデリングシューズまたはトレッキングシューズの場合において、アッパー上材料16の、ソール14の上方端縁14aのすぐ上に位置する領域に、従って、少なくとも1つの通過開口部20がある所に、主としてゲレル保護として用いられる、たとえばソール14と同じ色を有するゴム端縁を、たとえばアッパー上材料16とソールの上端縁14aに接着することによって、取り付けることができる。空気通過開口部20の空気透過性を妨げないために、ゴム端縁の、空気通過開口部20に対応する箇所に、空気通過開口部が設けられている。
【0132】
図5から9のすべての実施形態において、空気通過開口部20に、空気透過性の保護カバー22が設けられており、その保護カバーは、たとえば金属またはプラスチックからなるネットまたは格子によって、あるいは高い空気透過性を有し、従って高い水蒸気透過性を有するテキスタイル材料によって形成されている。保護カバー22は、それぞれの空気通過開口部20の外側(図5、6、8および9)または内側(図7)に設けることができる。各空気通過開口部20にそれ専用の保護カバー22が対応づけられるか、あるいはそれぞれ空気通過開口部20の一部に、あるいはすべての空気通過開口部20に、然るべき数の空気通過開口部20にわたって延びる、共通の保護カバー細片が対応づけられている。
【0133】
図5から9を、さらに詳細に考察する。
【0134】
図5に示す実施例においては、アッパー上材料16の内側の機能層と空気透過性の層40の上側の機能層は、ソックス形状のブーティ39の2つの部分であって、そのブーティは、履き口12aを別にして、アッパー構造体12全体の内側を覆っている。この種のブーティは、通常、複数の機能層部分から縫い合わされており、その場合に縫目箇所の上に水密の縫目シールバンドが接着されており、このようにして水密にされる。しかしブーティは、1片の材料から形成することもでき、その場合にはもはや縫い合わせてシールする必要が生じることはない。図5に示す実施形態において、ブーティは、すでに説明した機能層ラミネート24によって構成されている。従ってアッパー構造体12は、水密であって、ソール14を接合した後に、水密の靴が生じる。空気透過性の層40は、ブーティ39の機能層ラミネート24のすぐ下に配置されている。その場合に、空気透過性の層40は、アッパー底領域全体にわたって延びており、従って靴底全体の水蒸気および熱交換に供される。空気透過性の層40の下方に、マウンティングソール40が配置されており、その下側に、ソール側の下方の端部領域のタックインフラップ16aが、タック接着剤(図示せず)によって固定されている。別体のマウンティングソールを使用する代わりに、所定の形態においては、空気透過性の層40の下側または下方の載置面を然るべくしっかりと形成することも可能であるので、この下側にタックインフラップを固定することができる。この種の実施形態においては、空気透過性の層が、付加的にマウンティングソールの機能を引き受ける。
【0135】
図6に示す実施形態においては、上材料16の内側とアッパー底15の領域内に、アッパー機能層ラミネート27ないしアッパー底機能層ラミネート28に属する、別々の機能層37ないし38が設けられている。アッパー機能層ラミネート27の、挟み込まれたソール側の下方の端部領域27aは、ストローベル縫目32によってマウンティングソール30に固定的に縫い付けられている。アッパー底機能層ラミネート28は、マウンティングソール30の下方に位置し、アッパー機能層ラミネート27の挟み込まれた端部領域27aの下まで延びており、その端部領域27aと、たとえばシール接着剤の形式の、(図示されない)シール材料を介して、水密に結合されているので、靴内部空間は、靴10の履き口12aとひも領域12bを除いて、相互にシールされた機能層37と38の協働により、機能層ブーティを使用した場合と同様に、ぐるりと水密である。マウンティングソールの上方のアッパー底機能層を、アッパー機能層ラミネートと水密に結合することも、可能である。アッパー底機能層38は、挟み込まれた端部領域27aの下方まで、従ってストローベル縫目32を越えて延びているので、ストローベル縫目32もアッパー底機能層38によってシールされている。アッパー底機能層38のすぐ下に、空気透過性の層40が配置されている。空気透過性の層40の下側または下方の載置面に、上材料16のタックインフラップ16aが(図示されない)タック接着剤によって固定されている。従って、空気透過性の層は、付加的にマウンティングソールの機能も引き受ける。原理的には、別体のマウンティングソールを、空気透過性の層の下方に設けることも、可能である。上材料16のタックインフラップ16aによってもたらされる、アッパー底15の下側の凹凸は、すでに説明したように、充填層31によって補償される。
【0136】
図7に示す実施形態は、図6に示す実施形態から、保護カバー22がアッパー上材料の外側にではなく、内側において、直接透過性の層40の周面42に沿って、かつ空気通過開口部20の内側の前に配置されていることによってのみ、区別される。
【0137】
図8に示す実施形態は、図5から7に示す実施形態から、一方で、上材料16が、アッパー底15の近傍の下方の領域まで裏地層18のみを有するが、アッパー機能層を持たないことによって、他方では、2つのマウンティングソールと2つのストローベル縫目が存在していることによって、区別される。裏地層18は、ソール側の下方の端部に、裏地層折込み18aを有しており、それがストローベル縫目32によってマウンティングソール30と結合されている。アッパー上材料16のソール側の下方の端部領域16aは、他のストローベル縫目33によって他のマウンティングソール30aと結合されている。アッパー底機能層ラミネートの一部とすることができる、アッパー底機能層38は、その外周面に、上へ立ち上がるカラー38aを有しており、そのカラーは、上材料16と裏地層18の間の間隙内へ突出している。アッパー底機能層38ないしアッパー底機能層ラミネートと他のマウンティングソール30aとの間に、空気透過性の層40が配置されている。アッパー底機能層ラミネートは、マウンティングソールの上方に配置することもできる。
もちろん、図8に示す実施形態においては、上方のアッパー領域は、水密ではない。従って図8に示す靴は特に、上からの湿気も下および側方からの湿気もあまり考慮する必要のない使用に、従って雨が降らない場合、あるいは短い時間だけしか雨の中に留まらない場合に、湿った周囲を歩いたりさまよったりするのに、適している。
【0138】
図9に示す実施形態は、図5に示す実施形態に、実質的に相当する。図5とは異なり、マウンティングソール30は、マウンティングソール30の、空気透過性の層40へ向いた表面が、ある角度で中央が盛りあがって、空気透過性の層40内へ突出するように、形成されている。従って空気透過性の層40の下方の載置面が、マウンティングソール30の角度のある隆起に従って持ち上げられ、あるいは押圧される。その結果、空気透過性の層40の内部に、2つの傾斜した平面が形成され、それらの平面は、中央から始まって周側面42の方向へ下降するように延びて、それによって場合によっては空気透過性の層40内に存在する水分を逃がすことを容易にする。マウンティングソール30のこのような形態は、図5から8の実施形態についても、設けることができる。
【0139】
図10から14には、例として、本発明に基づく空気透過性の層40に適した、スペーサ形成物60の種々の実施形態が示されている。これらすべてのスペーサ形成物に固有なのは、2つの互いに離間した載置面が形成されることであって、その場合にスペーサ形成物の下方の載置面が、それぞれ土台上に載置され、その上方の載置面は、スペーサ形成物の上方に位置する層のための支持面として用いられ、その層は、特に機能層ブーティの底領域(図5または9)であり、あるいはアッパー底機能層ラミネート(図6から8)である。2つの載置面は、両方ともそれぞれ面形成物によって形成され、それらがその間に介在するスペーサ部材によって互いに距離をおいて保持され、且つそのうちの少なくとも上方が、空気透過性である(図11)。あるいは下方の載置面のみが、面形成物によって形成されて、その面形成物からスペーサ部材が立ち上がって、その自由端部が支持点を形成し、その支持点が一緒になって上方の載置面の機能を有する(図10、12および14)。あるいは、下方の面形成物も上方のそれもなく、唯一の面形成物が設けられ、その面形成物が、下方ないし上方の支持面を定める、下方と上方の波形またはジグザグの頂点を備えた波形またはジグザグ形状にされる(図13)。
【0140】
図10から14に示すスペーサ形成物を、さらに詳細に考察する。
【0141】
図10に示す、空気透過性の層40として適したスペーサ形成物60の実施形態において、下方の面形成物64からほぼ半球状の突出部または膨出部65が上方へ膨出し、その上方の頂点が、上方の載置面を定める。このスペーサ形成物60は、ある実施形態においては、最初は平面的なニットから、あるいはしっかりとした材料からなり、それが、たとえば深しぼり工程によって、図示の形状にされた後に、このスペーサ形成物を搭載した靴で歩いた場合にさらされる負荷を受けてもこの形状が維持されるように、硬くなり、あるいは硬化される。深しぼりプロセスの他に、すでに説明した他の措置、すなわち熱成形プロセスによる変形と硬化あるいは所望の形状と強度に硬化可能な樹脂の含浸も、利用することができる。
【0142】
図11は、空気透過性の層40として適したスペーサ形成物60の実施例を示しており、その上方と下方の載置面が、2つの互いに対して平行に配置された空気透過性の面形成物62と64によって形成され、それらはたとえばポリオレフィン、ポリアミドまたはポリエステルのグループから選択されており、その場合に面形成物62と64は、キャリア繊維66によって空気を透過するように互いに結合され、同時に離間している。繊維66の少なくとも一部は、スペースホルダとして、面形成物62と64の間に少なくともほぼ垂直に配置されている。繊維66は、たとえばポリエステルまたはポリプロピレンのような、フレキシブルな変形可能な材料からなる。空気は、面形成物62と64を通り、かつ繊維66の間を流れることができる。面形成物62と64は、開放孔の織られ、編まれ、あるいはメリヤス編みのテキスタイル材料である。この種のスペーサ形成物60は、すでに述べた、Tylex社またはMueller Textil社から得られるスペーサニットとすることができる。
【0143】
図12に示すスペーサ形成物60は、図10に示すスペーサ形成物と同様の構造を有しているが、ニット繊維またはニットフィラメントのニットからなり、それがこの形状にされて、たとえば熱プロセスによって、あるいは樹脂の含浸によって、この形状に硬化される。
【0144】
図13は、ジグザグプロフィールまたは鋸歯プロフィールを有するスペーサ形成物60の実施形態を示しており、まず平坦な材料が、上方と下方の頂点60aと60bがこのスペーサ形成物60の上方ないし下方の載置面を定めるようにして、このプロフィールに成形されている。この形状のスペーサ形成物60も、すでに述べた方法で成形して、所望の剛性に硬化することができる。
【0145】
図14は、空気透過性の層40として適した、スペーサ形成物60のための他の実施例を示している。この実施形態において、唯一の下方の面形成物68からスペーサ部材は、突出部または膨出部によって形成されるのではなく、面形成物68から立ち上がる繊維束70によって形成され、その繊維束の自由端部が一緒になって上方の載置面を定めている。繊維束70を設けることは、下方の面形成物68をフレーク状にすることによって行うことができる。
【0146】
図15から24を用いて、本発明に基づく靴ないしそのコンポーネントの実施形態を考察し、かつ説明する。その場合に図15と16は、つり込みデザインの実施形態を、つり込み工程の前後において示している。図17と18は、ストローベルデザインの実施形態を示し、図19は再びつり込みデザインの実施形態を示している。
【0147】
以下の実施形態においてつり込みとストローベルのデザインのみが考察される場合でも、本発明はそれに限定されるものではなく、他のすべてのデザインにも適用することができる。
【0148】
以下で説明する図において、同じ部材と特徴には、それが異なるデザインの実施例であっても、同一の参照符号が使用される。
【0149】
上、下、上方、下方、垂直、水平などのような概念が使用される限りにおいて、これは、それぞれ参照される図に関するものであって、絶対的なものではない。
【0150】
図15は、アッパー101のソール側の下方の端部領域が、しばしばインソールと称されるマウンティングソール130の周面領域の下側につり込まれる前の形成段階において、本発明に基づく靴100の第1の、つり込まれる実施形態を前足領域の部分断面で示している。
【0151】
この靴100は、アッパー101とアッパー底115を備えたアッパー構造体102を有しており、そのアッパー底によってアッパー101のソール側の下方の領域が閉鎖されている。
【0152】
アッパー101は、上材料116とその内側にアッパー機能層234および、図示の実施形態において、その内側にアッパー裏地225を有している。アッパー底115は、アッパー底機能層334と、この実施形態においては、その上側にアッパー底裏地335を有している。アッパー底115の外周面の領域内で、「アッパー機能層234およびアッパー底機能層334」と「アッパー裏地225およびアパー底裏地335」とが、共通のストローベル縫目326を介して互いに結合されている。アッパー機能層234とアッパー底機能層334の間の結合移行部をこの縫目領域においてシールするために、ストローベル縫目326の領域内でアッパー底機能層334とアッパー機能層234の、アッパー底115へ向かって折り返された下方の端部領域の下方に、シール材料328が配置されている。アッパー底機能層334の下方に、空気透過性の層140が配置されており、その下方にマウンティングソール130がある。
【0153】
本来の上材料116は、空気透過性の層140の上方で距離をもって終了しており、そこで結合材料210によって延長されており、その結合材料は縫目215によってアッパー上材料116と結合されており、かつ結合材料は、図15に示す形成段階において下方へ垂れ下がっており、かつ縫目215とマウンティングソール130の下側との間の領域内で空気を透過するように形成されており、それによってできあがった靴100において、空気透過性の層140の高さにおいて、空気透過性の層140の周側面142と靴100の外側との間で空気交換が許される。結合材料210の、縫目215から離れた下方の端部領域は、マウンティングソール130を越えて下方へ次のように、すなわち後続のつり込み工程において、結合材料つり込み端縁214として用いることができるような距離、垂れ下がっている。結合材料210の外側には、カバー細片212が配置されており、その上方の端部領域が縫目215をカバーし、従って靴100ができあがった場合に、この縫目215はもはや見えない。カバー細片212の下方の端部領域は、同様にマウンティングソール130を越えて下方へ垂れ下がっているので、その下方の端部領域は、後続のつり込み工程においてカバー細片つり込み端縁218として用いることができる。カバー細片212も、空気透過性の層140の高さにある領域内で、空気を透過するように形成されており、それによって空気透過性の層140とカバー細片212の外側との間で空気交換が可能になる。
【0154】
図示の実施形態において、結合材料210とカバー細片212は、空気透過性の領域を有しており、その垂直方向の延びは、空気透過性の層140の上側も下側も越えて突出している。それによって空気透過性の層140と靴100の外側との間の特に良好な空気交換が保証されるだけでなく、結合材料210および/またはカバー細片212が空気透過性の層140に対して、たとえば誤差に基づいて垂直の位置が異なっている場合でも、いずれにしても空気透過性の層140の高さには、結合材料210とカバー細片212の空気透過性の領域が配置されていることも、保証される。このことは、カバー細片の空気透過性の領域がアッパーの領域内にくる領域において、付加的に靴の空調快適性を向上させる。というのは、水蒸気を透過しないアッパーカバーが、部分的に除去されているからである。しかし、空気透過性の層140と靴100の外側との間の所望の空気交換のためには、結合材料210とカバー細片212が、空気透過性の層140と重なり合う領域においてのみ空気を透過するように形成されていれば、十分であって、その場合に、結合材料210とカバー細片212のこの空気を透過するように形成された領域が、空気透過性の層140の厚みの部分領域にわたって延びているだけで、すでに十分であり得る。
【0155】
結合材料210もカバー細片212も、空気透過性の層140の厚みにほぼ相当する垂直領域においてのみ、空気を透過するように形成されている例を示すのは、図16に示す第2の、本発明の同様につり込まれる実施形態である。
【0156】
図16は同様に、図15の部分構造と同様のそれを備えた靴100の前足領域の部分断面を示しているが、アッパー101のソール側の下方端部領域をマウンティングソール130の下側につり込む工程後において、かつソール114、図示の実施例においては、アウトソールとも称されるアウターソールの取付け後において、示している。図15に示す実施形態とは異なり、アッパー機能層とアッパー底機能層は、機能層ブーティ134、従ってソックス形状の機能層挿入片の部分である。同様に、この実施例において設けられる裏地は、裏地ブーティ125からなり、アッパー裏地領域とアッパー底裏地領域とを有している。同様にして、機能層ブーティ134と裏地ブーティ125は、それぞれ機能層ラミネートブーティ139の部分とすることができる。
【0157】
その他において、図15と16の実施形態は、互いに一致している。
【0158】
図16は、この実施形態において、少なくとも空気透過性の領域においてネット状または格子状に形成することができる、結合材料210も、カバー細片212も、マウンティングソール130の下側につり込まれていることを、示している。図16に示す実施形態において、まず、第1のつり込み工程において、結合材料タックインフラップ214が結合材料つり込み接着剤216によってマウンティングソール130の下側につり込まれる。後続の第2のつり込み工程において、その後、カバー細片タックインフラップ218がカバー細片つり込み接着剤220によって結合材料タックインフラップ214の下側へつり込まれる。
【0159】
結合材料タックインフラップ214とカバー細片タックインフラップ218をつり込み工程の前に互いに結合し、唯一のつり込み工程においてつり込み接着剤の唯一の層によって、マウンティングソール130の下側に固定する可能性もある。
【0160】
図15と16に示すように、本来の上材料116は、空気透過性の層140の上方で途切れているので、空気透過性の層140の周側面142は、上材料116によって覆われないままである。上材料116と結合材料210の間の固定箇所、たとえば縫目215によって形成される縫い箇所も、空気透過性の層140の上方に位置している。結合材料210は、少なくとも、空気透過性の層140の周側面142と対向する領域において、空気を透過するように形成されているので、空気透過性の層140と結合材料210の外側との間でほとんど阻止されない空気交換が可能である。
【0161】
たとえばゴムまたはゴムに似た材料からなるバンドの形式の、カバー細片212は、少なくとも、空気透過性の層140の周側面142の高さに位置する領域において、空気を透過するように形成されているので、空気透過性の層140とカバー細片212の外側との間でほとんど阻止されない空気交換を行うことができる。
【0162】
図16に示す実施形態において、カバー細片212は、その−図16で見て−上の長手側に、結合材料210と上材料116の間の固定領域(縫目215)を越えて突出する張出しを有しているので、この固定領域は、カバー細片212によって覆われる。従ってカバー細片212は、この領域において、一方で、靴ができあがった場合にこの固定領域を見えないように保持するために用いられ、他方では、この固定領域を機械的な損傷に対して保護するために用いられる。この実施形態において、上材料116と結合材料210の間の結合が、図16に示す縫目215によって行われ、その縫目が機械的な摩擦と研磨に対して所定の感度を有する場合に、この縫目215をカバー細片212によってカバーすることによって、靴100の信頼性と耐久性が著しく向上する。
【0163】
タックインフラップ214と218に基づいて、マウンティングソール130の周領域の下側に段部が生じ、その段部は、マウンティングソール130と後にマウンティングソール130の下方に取り付けられるソール114の間に中空室をもたらしてしまう。この種の中空室を回避するために、マウンティングソール下側の、タックインフラップ214と218の内部に位置する中央の領域上に、充填層222が取り付けられる。その場合に、アッパー構造体102(そのアッパー底115が−図16で見て−上から下へ、機能層134のアッパー底領域、空気透過性の層140、マウンティングソール130および充填層222、場合によっては、図16に示す実施形態におけるように、さらに、機能層の内側の、特に裏地として用いられるテキスタイル層125を有している)の完成後に、ソール114が、図16の実施例の場合にアウトソールの形式で、取り付けられる場合に、ソールは充填層222のおかげで、アッパー底115の実質的に平坦な下側に添接する。ソール114は、アッパー底115に接着されたソールでも、あるいはアッパー底115に射出形成されたソールでもよい。両種類のソールは、本発明に基づく靴100のために、同様に適している。
【0164】
図17と18は、本発明に基づく靴の第3の実施形態を示しており、この実施形態は、アッパー構造体102の形成に関しては、図15に示す第1の実施形態とほぼ一致する。違いは、図17と18に示す実施形態において、一方で結合材料210の下方の端部領域が、ストローベル縫目とすることができる、縫目330によってマウンティングソール130と結合されており、他方ではカバー細片212の下方の端部領域が、図15と16の実施形態におけるように水平の折込みへ移行しておらず、全体として垂直に延びていることである。靴構造を表示する図18が示すように、図17に示す部分構造にソール114とカバー細片212が設けられた後に、カバー細片212の下方の端部は、垂直の方向付けでソール114の上端縁まで延びている。この実施形態においては、カバー細片212は、ソール114がアッパー底115に固定された後に、アッパー底115に接着することによって、あるいはアッパー底115に射出形成することによって、取り付けることができる。
【0165】
図19は、本発明に基づく靴の第4の、つり込まれる実施形態を、つり込みとソール114の取付けの工程が実施される前において示しており、この工程は、この実施形態については示されていないが、図16と同様に行うことができる。この第4の実施形態は、アッパーおよびアッパー底構造に関しては、図15に示す第1の実施形態とほぼ一致する。図15に対して異なるのは、結合材料210が、空気透過性の層130の材料であって、それが空気透過性の層140の周端縁から垂直上方へ立ち上がって、縫目315によって上材料116の下方の端部と結合されている。すなわち、図15および16とは異なり、図19に示す第4の実施形態においては、カバー細片タックインフラップ218をつり込みによってマウンティングソール130の下側に固定するために、唯一のつり込み工程のみが必要とされる。特に、カバー細片212がその垂直の延びの大部分にわたって縫目215とマウンティングソール130の間で空気を透過するように形成されている場合に、空気透過性の層140の材料によって形成される結合材料210を介して、靴100の外側との大面積の空気交換を行うことができる。
【0166】
上述したすべての実施形態について、結合材料210とカバー細片212がそれぞれ少なくとも空気透過性の層140の下側の上方で始まって、空気透過性の層140の厚みの少なくとも部分領域にわたって延びる垂直領域内で空気を透過することが、当てはまる。
【0167】
図20と21には、本発明に基づく靴100に適した結合材料210のための2つの実施例が示されている。2つの図において、それぞれ側方の切取り線基づいて、それが、実際にはずっと大きい長手方向の延びを有する結合材料の断片であることが、示唆されている。
【0168】
図20は、第1の実施例を図式的に表示しており、結合材料210は、たとえばネット状または格子状の材料から構成されて、その幅の広がり全体にわたって同一の開口部大きさで形成されおり、従ってその長さと幅の広がり全体にわたって、単位面積当たり同一の空気透過性を有している。
【0169】
図21は、第2の実施例を図式的に表示しており、結合材料210の開口部大きさは、その幅の広がりの上方部分210aにおいて、その幅の広がりの残りの下方の部分210bにおけるよりも大きく、それによってその幅の広がりの上方の部分210aとその幅の広がりの下方の部分210bにおける異なる要請への特に良好な適合がもたらされる。幅の広がりの上方の部分210aの開口部大きさがより大きいことに基づいて、この結合材料210が空気透過性の層140の周側面142と対向する箇所において、より小さい開口部大きさを有する、その幅の広がりの下方の部分210bにおけるよりも、高い空気透過性が得られ、その下方の部分は、少なくとも部分的に結合材料フラップ214を形成し、そこで、つり込み力または他の固定力を特に良好に考慮するために、特に高い機械的耐性力を有する。しかしまた、結合材料210の幅の広がりの上方の部分210aのみを、たとえば格子形状の材料、ネット状の材料、テキスタイルメッシュ材料の形式の空気透過性の材料により、あるいはパーフォレーションによって空気透過性にされた材料で構築する可能性もあり、結合材料210の幅の広がりの下方の部分210bは、空気透過性を持たないが、特に高い固定力に耐える力を有する材料によって構築される。
【0170】
図22と23は、本発明に基づく靴100に適したカバー細片212のための実施例を示している。この場合においても、それぞれ側方の切取り線によって、それぞれの表示がそれぞれのカバー細片の一部分でしかないことが示唆されている。
【0171】
アッパー101の下方の領域のために、従ってたとえば、特に山歩きに適した、トレッキングシューズとも称される、ハイキングシューズが特に高い衝撃、摩擦および研磨の力にさらされるところで、特に高い機械的保護機能を提供するために、カバー細片212のために好ましくは、たとえばゴムまたはゴムのようなプラスチックからなるバンド、じょうぶなテキスタイルの形式の、特にじょうぶな材料を使用することができ、そのじょうぶさは、たとえばテキスタイルをゴム状の材料によってコーティングすることにより改良される。
【0172】
1つの可能性は、靴ができあがった場合に、空気透過性の層140の高さにおいて空気透過性の層140からカバー細片212の外側への所望の空気透過性を保証するために、カバー細片212も空気透過性の材料によって形成することにある。図22と23に示す実施形態において、カバー細片212がもともと空気透過性の材料によって形成されており、その材料は特にじょうぶに形成することができ、カバー細片212の、できあがった靴において空気透過性の層140と対向する領域内に、所望の空気透過性を可能にする、空気通過開口部が形成されている。
【0173】
図22に示す実施形態において、カバー細片212は、その長手広がり方向に互いに離間した切欠き213を有しており、その切欠きはカバー細片212の下方の長手端縁まで延びているので、カバー細片212はこの箇所において下方へ向かって開放している。切欠きの後方に、結合材料210が延びている。
【0174】
図23に示す実施形態においては、カバー細片212は、その長手広がり方向に互いに離間した領域内で、格子ゾーン217を有する然るべきパーフォレーションによって形成されており、そのパーフォレーションが、必要な箇所において所望の空気透過性を可能にする。この実施形態において、カバー細片212の、格子ゾーン217の下方に位置する部分領域、従って、カバー細片タックインフラップ218を形成する領域は、弱体化されていないので、図23に示す実施形態のカバー細片212は、つり込み工程または他の種類の固定工程において発生する力を吸収するのに、特に適している。さらに、図20に示すカバー細片212の下方の領域は、特に、それぞれカバー細片212の比較的小さい長手領域のみを把持するつり込みペンチが使用される場合に、下方の領域内に隙間213を有する、図19に示すカバー細片よりも、つり込むために使用されるつり込みペンチによって、より良好に捕捉される。
【0175】
図23内の実施形態は、開口部カバー細片212の表面全体にわたって、かつ幅全体と長さにわたって配置されるように、形成することもできる。
【0176】
図24は、造形的な例として、本発明に基づく靴100の一部を側方の上面図で示しており、その場合に上にアッパー101の上材料116の一部、下にソール114の一部、そしてその間にカバー細片212が見られ、そのカバー細片の空気通過開口部内に、この場合にはネット形状または格子状の結合材料210が見られる。
【0177】
次に、本発明に基づく靴に特に適した結合材料のための構造、材料および特性が記載される。
構造:ネットまたは格子
材料:プラスチック、その場合に特にPA(ポリアミド)とPES(ポリエステル)が適している。
代替物:TPU(熱可塑性ポリウレタン)、SAN(スチロール−アクリルニトリル−コポリマー)、ABS(アクリルニトリル−ブタジエン−スチロール)、PP(ポリプロピレン)
厚み:適している:0.3mmから3mm
好ましい:0.5mmから2mm
特に好ましい:1.4mmから1.8mm
幅:透過性の層の厚みの少なくとも一部でなければならず、好ましくは等しいか、それより多い
面積重量:適している:50−1000g/m2
好ましい:200−700g/m2
たとえば;a)イタリア、プラト、Panatex s.r.l.社の製品KIWI(484g/m2)
b)ドイツ、ゼーリゲンシュタット、Acker Textilwerke GmbH社の商品1517
空気透過性開口部の形状: 任意
空気透過性開口部の大きさ:適している:0.1−10mm
好ましい:0.5mmから5mm
空気透過性開口部の面積割合:
全面積の10%より大きい
好ましくは、全面積の30%より大きい
空気透過性(DIN ISO 9237/1995に従って測定)
適している:100Paの圧力差において、100−8000l/m2s
好ましい:100Paの圧力差において、1000−5000l/m2s
100Paの圧力差において、1500−5000l/m2s
100Paの圧力差において、2000−5000l/m2s
機械的特性
剛性度と伸長度は、Panatex s.r.l.社の製品KIWIの例において、ISO13934.1(02/99)に従って、検査装置「Instron」において求められた:
1.横方向における測定:150Nの引っ張り力において、伸長度(%):3.2%
2.対角線方向における測定:150Nの引っ張り力において、伸長度(%):12.5
3.長手方向における測定:150Nの引っ張り力において、伸長度(%):53
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アッパー(101)を有する靴(100)であって、
a)アッパー構造体(112)とソール(104)とを有し、
b)アッパー構造体(112)が、
b1)アッパー上材料(116)と
b2)アッパー底(115)内に配置された空気透過性の層(140)とを有し、
c)空気透過性の層(140)が、ソール(114)の上方においてアッパー構造体(112)のソール側の下方の領域内に配置されており、
d)空気透過性の層(140)が、少なくとも水平方向に空気通過を許す3次元の構造を有しており、
e)アッパー上材料(116)のソール側の下方の周領域が、その周側の延びの少なくとも一部にわたって、少なくとも1つの結合材料(210)に代えられており、前記結合材料が、空気透過性の層(140)の少なくとも下側の上方で始まり、空気透過性の層(140)の外部に延びて、アッパー底(115)に配置されており、かつ少なくとも、少なくとも部分的に空気透過性の層(140)と同じ高さに位置する部分領域内で、空気透過性であって、それによって外環境と空気透過性の層(140)の間で空気を交換することができるように空気透過性の層(140)を外環境と接続する、靴。
【請求項2】
前記結合材料(210)が、細片形状である、請求項1に記載の靴(100)。
【請求項3】
前記結合材料(210)が、延長細片である、請求項2に記載の靴(100)。
【請求項4】
前記結合材料(210)が、アッパー上材料(116)の下方の全周領域の回りに延びている、請求項1から3のいずれか1項に記載の靴(100)。
【請求項5】
前記結合材料(210)が、格子バンドまたはネットバンドによって形成されている、請求項1から4のいずれか1項に記載の靴(100)。
【請求項6】
前記格子バンドまたはネットバンドが、その幅全体にわたってほぼ等しい大きさの開口部を有している、請求項5に記載の靴(100)。
【請求項7】
前記結合材料(210)が、少なくとも2つの互いに異なる材料領域を有している、請求項1に記載の靴(100)。
【請求項8】
前記結合材料(210)が、少なくとも1つの縫目によってアッパー上材料(116)と結合されている、請求項1から7のいずれか1項に記載の靴(100)。
【請求項9】
前記アッパー(102)の外側の少なくとも一部の上に、カバー細片(212)が配置されており、前記カバー細片が、結合材料(210)の上方の端部を越えてアッパー上材料(116)まで延びており、かつ少なくとも、少なくとも部分的に空気透過性の層(140)の高さに位置する領域の部分内で、空気透過性である、請求項1から8のいずれか1項に記載の靴(100)。
【請求項10】
前記結合材料が、格子バンドまたはネットバンドとカバー細片とを有する複合体から形成されている、請求項9に記載の靴(100)。
【請求項11】
前記結合材料(210)が、つり込み接着によって空気透過性の層(140)の下側に固定されている、請求項1から10のいずれか1項に記載の靴(100)。
【請求項12】
前記結合材料(210)が、つり込み接着によって、アッパー構造体(112)の下側に位置するマウンティングソール(130)の下側に固定されている、請求項1から10のいずれか1項に記載の靴(100)。
【請求項13】
前記カバー細片(212)の下方の部分が、空気透過性の層(140)の下方に固定されている、請求項9に記載の靴(100)。
【請求項14】
前記アッパー構造体(112)の少なくともソール(114)を向いた下方の領域内に、水蒸気透過性の機能層(134、138)を有しており、その場合に空気透過性の層(140)が機能層(134、138)の下方に配置されている、請求項1から13のいずれか1項に記載の靴(100)。
【請求項15】
前記機能層(134、138)が、水密である、請求項14に記載の靴(100)。
【請求項16】
アッパー機能層(137)とアッパー底機能層(138)を有する、請求項14または15に記載の靴(100)。
【請求項17】
ソックス形状の機能層ブーティ(139)を有し、アッパー領域が少なくとも部分的にアッパー機能層(137)によって、アッパー底領域(115)がアッパー底機能層(138)によって形成されている、請求項14から16のいずれか1項に記載の靴(100)。
【請求項18】
前記アッパー機能層(137)および/またはアッパー底機能層(138)の機能層が、少なくとも2層のラミネート(124)の部分である、請求項14から17のいずれか1項に記載の靴(100)。
【請求項19】
前記ラミネート(124)が、アッパー底機能層ラミネート(128)および/またはアッパー機能層ラミネート(127)である、請求項18に記載の靴(100)。
【請求項20】
前記機能層(134、138)が、水蒸気透過性の膜を有している、請求項14から19のいずれか1項に記載の靴(100)。
【請求項21】
前記機能層(134、138)が、延伸した微孔のポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)によって構成された膜を有している、請求項14から20のいずれか1項に記載の靴(100)。
【請求項22】
前記空気透過性の層(140)が、アッパー底機能層(138)の下方に配置されている、請求項16から21のいずれか1項に記載の靴(100)。
【請求項23】
前記空気透過性の層(140)が、アッパー底機能層(138)のすぐ下に配置されている、請求項17に記載の靴(100)。
【請求項24】
前記空気透過性の層(140)が、機能層(134)の方向に少なくとも水蒸気を透過するように形成されている、請求項14から23のいずれか1項に記載の靴(100)。
【請求項25】
前記空気透過性の層(140)が、同時にマウンティングソール(130a)として形成されている、請求項1から24のいずれか1項に記載の靴(100)。
【請求項26】
前記空気透過性の層(140)の下方に、他のマウンティングソール(130a)が配置されている、請求項1から24のいずれか1項に記載の靴(100)。
【請求項27】
前記ソール(114)内、あるいはその上に踏抜き保護部材が配置されている、請求項1から26のいずれか1項に記載の靴(100)。
【請求項28】
前記空気透過性の層(140)が、空気透過性のスペーサ形成物(160)として形成されている、請求項1から27のいずれか1項に記載の靴(100)。
【請求項29】
前記空気透過性のスペーサ形成物(160)が、面形成物(162)と、前記面形成物(162)から垂直および/または0°と90°の間の角度で離れるように延びる多数のスペーサ部材(165、166)とを有している、請求項28に記載の靴(100)。
【請求項30】
前記スペーサ形成物(160)において、スペーサ部材(165)がネップとして形成されている、請求項29に記載の靴(100)。
【請求項31】
前記空気透過性のスペーサ形成物(160)が、互いに対して平行に配置された2つの面形成物(162、164)によって構成されており、かつ2つの面形成物(162、164)がスペーサ部材(166)によって空気を透過するように互いに結合され、かつ距離をもって保持されている、請求項29に記載の靴(100)。
【請求項32】
前記スペーサ形成物(160)が、硬化されたニットによって形成されている、請求項28から31のいずれか1項に記載の靴(100)。
【請求項33】
前記スペーサ形成物(160)が、波形または鋸歯状に形成されている、請求項28から32のいずれか1項に記載の靴(100)。
【請求項34】
前記結合材料(210)が、PA(ポリアミド)、PES(ポリエステル)、PUR(ポリウレタン)、TPU(熱可塑性ポリウレタン)、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン−弾性ゴム)、SAN(スチロール−アクリルニトリル−コポリマー)、SBR(スチロール−ブタジエン−ゴム)、ABS(アクリルニトリル−ブタジエン−スチロール)およびPP(ポリプロピレン)の材料グループの少なくとも1つ、あるいはそれから選択された材料の組合せによって構成されている、請求項1から33のいずれか1項に記載の靴(100)。
【請求項35】
カバー細片(212)が、PA(ポリアミド)、PES(ポリエステル)、PUR(ポリウレタン)、PO(ポリオレフィン)およびエラストマー、特にTPU(熱可塑性ポリウレタン)、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン−弾性ゴム)、SAN(スチロール−アクリルニトリル−コポリマー)、SBR(スチロール−ブタジエン−ゴム)、ABS(アクリルニトリル−ブタジエン−スチロール)の材料グループの少なくとも1つ、あるいはそれから選択された材料の組合せによって構成されている、請求項1から34のいずれか1項に記載の靴(100)。
【請求項1】
アッパー(101)を有する靴(100)であって、
a)アッパー構造体(112)とソール(104)とを有し、
b)アッパー構造体(112)が、
b1)アッパー上材料(116)と
b2)アッパー底(115)内に配置された空気透過性の層(140)とを有し、
c)空気透過性の層(140)が、ソール(114)の上方においてアッパー構造体(112)のソール側の下方の領域内に配置されており、
d)空気透過性の層(140)が、少なくとも水平方向に空気通過を許す3次元の構造を有しており、
e)アッパー上材料(116)のソール側の下方の周領域が、その周側の延びの少なくとも一部にわたって、少なくとも1つの結合材料(210)に代えられており、前記結合材料が、空気透過性の層(140)の少なくとも下側の上方で始まり、空気透過性の層(140)の外部に延びて、アッパー底(115)に配置されており、かつ少なくとも、少なくとも部分的に空気透過性の層(140)と同じ高さに位置する部分領域内で、空気透過性であって、それによって外環境と空気透過性の層(140)の間で空気を交換することができるように空気透過性の層(140)を外環境と接続する、靴。
【請求項2】
前記結合材料(210)が、細片形状である、請求項1に記載の靴(100)。
【請求項3】
前記結合材料(210)が、延長細片である、請求項2に記載の靴(100)。
【請求項4】
前記結合材料(210)が、アッパー上材料(116)の下方の全周領域の回りに延びている、請求項1から3のいずれか1項に記載の靴(100)。
【請求項5】
前記結合材料(210)が、格子バンドまたはネットバンドによって形成されている、請求項1から4のいずれか1項に記載の靴(100)。
【請求項6】
前記格子バンドまたはネットバンドが、その幅全体にわたってほぼ等しい大きさの開口部を有している、請求項5に記載の靴(100)。
【請求項7】
前記結合材料(210)が、少なくとも2つの互いに異なる材料領域を有している、請求項1に記載の靴(100)。
【請求項8】
前記結合材料(210)が、少なくとも1つの縫目によってアッパー上材料(116)と結合されている、請求項1から7のいずれか1項に記載の靴(100)。
【請求項9】
前記アッパー(102)の外側の少なくとも一部の上に、カバー細片(212)が配置されており、前記カバー細片が、結合材料(210)の上方の端部を越えてアッパー上材料(116)まで延びており、かつ少なくとも、少なくとも部分的に空気透過性の層(140)の高さに位置する領域の部分内で、空気透過性である、請求項1から8のいずれか1項に記載の靴(100)。
【請求項10】
前記結合材料が、格子バンドまたはネットバンドとカバー細片とを有する複合体から形成されている、請求項9に記載の靴(100)。
【請求項11】
前記結合材料(210)が、つり込み接着によって空気透過性の層(140)の下側に固定されている、請求項1から10のいずれか1項に記載の靴(100)。
【請求項12】
前記結合材料(210)が、つり込み接着によって、アッパー構造体(112)の下側に位置するマウンティングソール(130)の下側に固定されている、請求項1から10のいずれか1項に記載の靴(100)。
【請求項13】
前記カバー細片(212)の下方の部分が、空気透過性の層(140)の下方に固定されている、請求項9に記載の靴(100)。
【請求項14】
前記アッパー構造体(112)の少なくともソール(114)を向いた下方の領域内に、水蒸気透過性の機能層(134、138)を有しており、その場合に空気透過性の層(140)が機能層(134、138)の下方に配置されている、請求項1から13のいずれか1項に記載の靴(100)。
【請求項15】
前記機能層(134、138)が、水密である、請求項14に記載の靴(100)。
【請求項16】
アッパー機能層(137)とアッパー底機能層(138)を有する、請求項14または15に記載の靴(100)。
【請求項17】
ソックス形状の機能層ブーティ(139)を有し、アッパー領域が少なくとも部分的にアッパー機能層(137)によって、アッパー底領域(115)がアッパー底機能層(138)によって形成されている、請求項14から16のいずれか1項に記載の靴(100)。
【請求項18】
前記アッパー機能層(137)および/またはアッパー底機能層(138)の機能層が、少なくとも2層のラミネート(124)の部分である、請求項14から17のいずれか1項に記載の靴(100)。
【請求項19】
前記ラミネート(124)が、アッパー底機能層ラミネート(128)および/またはアッパー機能層ラミネート(127)である、請求項18に記載の靴(100)。
【請求項20】
前記機能層(134、138)が、水蒸気透過性の膜を有している、請求項14から19のいずれか1項に記載の靴(100)。
【請求項21】
前記機能層(134、138)が、延伸した微孔のポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)によって構成された膜を有している、請求項14から20のいずれか1項に記載の靴(100)。
【請求項22】
前記空気透過性の層(140)が、アッパー底機能層(138)の下方に配置されている、請求項16から21のいずれか1項に記載の靴(100)。
【請求項23】
前記空気透過性の層(140)が、アッパー底機能層(138)のすぐ下に配置されている、請求項17に記載の靴(100)。
【請求項24】
前記空気透過性の層(140)が、機能層(134)の方向に少なくとも水蒸気を透過するように形成されている、請求項14から23のいずれか1項に記載の靴(100)。
【請求項25】
前記空気透過性の層(140)が、同時にマウンティングソール(130a)として形成されている、請求項1から24のいずれか1項に記載の靴(100)。
【請求項26】
前記空気透過性の層(140)の下方に、他のマウンティングソール(130a)が配置されている、請求項1から24のいずれか1項に記載の靴(100)。
【請求項27】
前記ソール(114)内、あるいはその上に踏抜き保護部材が配置されている、請求項1から26のいずれか1項に記載の靴(100)。
【請求項28】
前記空気透過性の層(140)が、空気透過性のスペーサ形成物(160)として形成されている、請求項1から27のいずれか1項に記載の靴(100)。
【請求項29】
前記空気透過性のスペーサ形成物(160)が、面形成物(162)と、前記面形成物(162)から垂直および/または0°と90°の間の角度で離れるように延びる多数のスペーサ部材(165、166)とを有している、請求項28に記載の靴(100)。
【請求項30】
前記スペーサ形成物(160)において、スペーサ部材(165)がネップとして形成されている、請求項29に記載の靴(100)。
【請求項31】
前記空気透過性のスペーサ形成物(160)が、互いに対して平行に配置された2つの面形成物(162、164)によって構成されており、かつ2つの面形成物(162、164)がスペーサ部材(166)によって空気を透過するように互いに結合され、かつ距離をもって保持されている、請求項29に記載の靴(100)。
【請求項32】
前記スペーサ形成物(160)が、硬化されたニットによって形成されている、請求項28から31のいずれか1項に記載の靴(100)。
【請求項33】
前記スペーサ形成物(160)が、波形または鋸歯状に形成されている、請求項28から32のいずれか1項に記載の靴(100)。
【請求項34】
前記結合材料(210)が、PA(ポリアミド)、PES(ポリエステル)、PUR(ポリウレタン)、TPU(熱可塑性ポリウレタン)、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン−弾性ゴム)、SAN(スチロール−アクリルニトリル−コポリマー)、SBR(スチロール−ブタジエン−ゴム)、ABS(アクリルニトリル−ブタジエン−スチロール)およびPP(ポリプロピレン)の材料グループの少なくとも1つ、あるいはそれから選択された材料の組合せによって構成されている、請求項1から33のいずれか1項に記載の靴(100)。
【請求項35】
カバー細片(212)が、PA(ポリアミド)、PES(ポリエステル)、PUR(ポリウレタン)、PO(ポリオレフィン)およびエラストマー、特にTPU(熱可塑性ポリウレタン)、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン−弾性ゴム)、SAN(スチロール−アクリルニトリル−コポリマー)、SBR(スチロール−ブタジエン−ゴム)、ABS(アクリルニトリル−ブタジエン−スチロール)の材料グループの少なくとも1つ、あるいはそれから選択された材料の組合せによって構成されている、請求項1から34のいずれか1項に記載の靴(100)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公表番号】特表2011−522646(P2011−522646A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512882(P2011−512882)
【出願日】平成21年6月8日(2009.6.8)
【国際出願番号】PCT/EP2009/004108
【国際公開番号】WO2009/149886
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(391018178)ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエーツ,ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (40)
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
【出願人】(510326809)ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエーツ ソチエタ レスポンサビリタ リミテ (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月8日(2009.6.8)
【国際出願番号】PCT/EP2009/004108
【国際公開番号】WO2009/149886
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(391018178)ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエーツ,ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (40)
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
【出願人】(510326809)ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエーツ ソチエタ レスポンサビリタ リミテ (1)
【Fターム(参考)】
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