説明

下着

【課題】肌に直接ふれる態様で着用することができ且つ体型補正機能を備えた下着の提供。
【解決手段】この下着10は、パンティ本体12と、第1補正布13と、第2補正布14と、連結布15を介して第1補正布13及び第2補正布14に連結されたマチ部材11とを有する。パンティ本体12、第1補正布13及び第2補正布14は、所定の伸縮性を有する生地からなる。連結布15は、2ウェイ伸縮性生地からなる。マチ部材11は、パンティ本体12の股部の内側に重ね合わされている。マチ部材11は、肌に接触して吸汗する吸水性及び柔軟性を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下着に関し、より詳しくは、体型補正機能を有する下着の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から体型を補正するための下着が提供されている。体型補正機能を備えた下着としては、典型的には「ガードル」と称されるものがある。カードルは、肌に直接ふれる下着に重ねて着用される。ガードルは、体型補正機能を担保するために、一般に立体裁断された伸縮性に富む生地からなり、着用者の身体の所定部を締め付けることによって体型を補正する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−329401公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来のガードルは体型補正機能を重視したものであるから、着用者は、肌に直接ふれる下着に代えてガードルを直接着用することはできなかった。なぜなら、ガードルを構成する生地が十分な吸汗性等の機能を有していないために肌が蒸れるおそれがあり、また、生地の強い伸縮性のために、特に陰部等のデリケートな部位に生地(マチ部)が食い込んでしまうおそれがあるからである。さらに、肌に直接ふれる下着は、生理用品(吸水パッド等)を取り付けることができるものであることが望ましいが、従来のガードルでは、生地の伸縮性が強く、マチ部等に生理用品を取り付けることは困難であった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、肌に直接ふれる態様で着用することができ且つ体型補正機能を備えた下着を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 上記目的が達成されるため、本発明に係る下着は、体型補正を行う伸縮性を有する生地からなり、ウエストバンド及び一対のレッグホールが設けられたパンティ本体と、体型補正を行う伸縮性を有する生地からなり、パンティ本体の腰部及び腹部の内側を囲繞するように配置された第1補正布と、体型補正を行う伸縮性を有する生地からなり、パンティ本体の腰部及び臀部の内側を覆うように配置された第2補正布と、第1補正布の上記腹部側の下縁に延設された2ウェイ伸縮生地からなる連結布と、連結布の下縁と第2補正布の下縁とに連結され、パンティ本体の股部の内側に重ね合わされたマチ部材とを有する。このマチ部材は、肌に接触して吸汗する吸水性及び柔軟性を備えている。
【0007】
この構成によれば、パンティ本体、第1補正布及び第2補正布が着用者の体型を補正する。また、マチ部材がパンティ本体の股部の内側に重ね合わされており、しかもこのマチ部材が肌に接触して吸汗する吸水性及び柔軟性を備えているから、当該下着は、肌に直接触れる下着として機能することができる。
【0008】
このマチ部材は柔軟性を備えているから、当該マチ部材に吸水パッド等の生理用品が装着され得る。したがって、当該下着は、失禁用下着としても機能することができる。しかも、このマチ部材は、2ウェイ伸縮生地からなる連結布を介して上記第1補正布及び第2補正布に連結されるから、着用者の身体の動きに追従することができる。この連結布は、上記第1補正布の一部により構成されているのが好ましい。
【0009】
(2) 上記目的が達成されるため、本発明に係る下着は、体型補正を行う伸縮性を有する生地からなり、ウエストバンド及び一対のレッグホールが設けられたパンティ本体と、体型補正を行う伸縮性を有する生地からなり、パンティ本体の腰部及び腹部の内側を囲繞するように配置された第1補正布と、体型補正を行う伸縮性を有する生地からなり、パンティ本体の腰部及び臀部の内側を覆うように配置された第2補正布と、第1補正布の上記腹部側の下縁に延設された2ウェイ伸縮生地からなる連結布と、連結布の下縁と第2補正布の下縁とに連結され、パンティ本体の股部の内側に重ね合わされたマチ部材とを有する。このマチ部材は、防水性及び柔軟性を備えている。
【0010】
この構成によれば、パンティ本体、第1補正布及び第2補正布が着用者の体型を補正する。また、マチ部材がパンティ本体の股部の内側に重ね合わされており、しかもこのマチ部材が柔軟性を備えているから、当該下着は、肌に直接触れる下着としても機能することが可能である。
【0011】
このマチ部材は防水性を備えているから、サニタリー用下着としても機能する。本明細書においては、防水性とは、撥水性を含む概念である。吸水パッド等の生理用品がこのマチ部に装着されてもよい。このマチ部材は、2ウェイ伸縮生地からなる連結布を介して上記第1補正布及び第2補正布に連結されるから、着用者の身体の動きに追従することができる。この連結布は、上記第1補正布の一部により構成されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る下着は、パンティ本体、第1補正布及び第2補正布によって体型補正機能を発揮すると共に、マチ部材が備えられているので、肌に直接ふれる通常の下着として機能する。しかも、マチ部材が着用者の身体の動きに追従するので、生理用品が確実にマチ部材に取り付けられる。したがって、当該下着は、失禁用下着としてあるいはサニタリー用下着として機能する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る下着の正面図、図2は背面図である。また、図3は、本発明の一実施形態に係る下着が裏返された状態における正面図、図4は背面図である。
【0015】
この下着10は体型補正機能を備えており、ガードルとして機能する。さらに、この下着10は、後述のようにマチ部材11(図3、図4参照)を備えており、これにより、下着10は、ガードルとして機能しつつ直接肌に触れる下着として着用されるようになっており、さらには、失禁用下着としてあるいはサニタリー用下着としても機能する。
【0016】
下着10は、図1及び図2が示すように、パンティ本体12と、これに縫い付けられた第1補正布13(図1参照)及び第2補正布14(第2参照)とを備えている。また、下着10は、図3及び図4が示すように、マチ部材11を備えており、このマチ部材11は、連結布15(図3参照)を介して上記第1補正布13及び第2補正布14に連結されている。
【0017】
図1及び図2が示すように、パンティ本体12は、ウエストバンド16を備えており、着用者の腰にフィットするようになっている。なお、このウエストバンド16は、省略されてもよい。また、パンティ本体12は、一対のレッグホール17、18を有し、着用者の両足がこれらレッグホール17、18に挿通されるようになっている。レッグホール17、18の周縁部19、20には、レース等が縫い付けられるが、これは省略されてもよい。
【0018】
パンティ本体12は、体型補正を行うために十分な伸縮性を備えた生地から構成されるが、そのような伸縮性を有する限り特に生地の種類は限定されるものではなく、既知の種々の生地から構成される。パンティ本体12は、図2及び図4が示すように、生地が後側部分21、22で縫い合わされることによって形成されている。本実施形態では、パンティ本体12は股部37を備えており、この股部37を構成する生地が当該パンティ本体12に縫い付けられている。なお、上記ウエストバンド16は、パンティ本体12の上部23に縫い付けられている。
【0019】
図2及び図4が示すように、第2補正布14は、パンティ本体12の後側に縫い付けられている。具体的には、第2補正布14は、パンティ本体12の後部略中央部26、臀部周縁部27及び上記後側部分22に沿って縫い付けられている。すなわち、第2補正布14は、上記後側部分22においてパンティ本体12を構成する生地と共に縫い付けられている。第2補正布14は略瓢箪形を呈しており、パンティ本体12の腰部24及び臀部25の内側を覆うように配置されている。この第2補正布14は、パンティ本体12を構成する生地と同様に、体型補正を行うために十分な伸縮性を備えた生地から構成される。ただし、第2補正布14を構成する生地は、かかる伸縮性を有する限り特にその種類は限定されるものではなく、既知の生地が採用され得る。
【0020】
図1及び図3が示すように、第1補正布13は、パンティ本体12の腹部28及び腰部24(図2、図4参照)を取り囲むように縫い付けられている。具体的には、第1補正布13は、パンティ本体12の上部23、パンティ本体12の腹部28の下縁29及び腰部24の下縁30(図2、図4参照)に沿って縫い付けられている。第1補正布13は帯状を呈しており、パンティ本体12の腰部24及び臀部25の内側を覆うように配置されている。本実施形態では、第1補正布13は、第2補正布14の上に重ね合わされるように縫い付けられている。この第1補正布13は、パンティ本体12を構成する生地と同様に、体型補正を行うために十分な伸縮性を備えた生地から構成される。ただし、第1補正布13を構成する生地は、かかる伸縮性を有する限り特にその種類は限定されるものではなく、既知の生地が採用され得る。
【0021】
さらに、本実施形態では、図1が示すように、パンティ本体12の腹部28の中央部に第3補正布31が縫い付けられている。この第3補正布31は、略U字状を呈し、上記第1補正布13の上に重ね合わされるように配置されている。第3補正布31は、特に着用者の腹部を補正する。なお、この第3補正布31は、省略されていてもよい。
【0022】
図3が示すように、連結布15は、第1補正布13の上記下縁29に延設されており、下方へ(すなわち股部側へ)延びている。連結布15は、2ウェイ伸縮生地からなる。この2ウェイ伸縮生地とは、縦方向にも横方向にも伸縮可能な生地を意味する。本実施形態では、連結布15は、第1補正布13と一体的に形成されている。つまり、連結布15は、第1補正布13の一部によって構成されている。もっとも、連結布15は、第1補正布13とは別部材として構成され、これが上記下縁29に沿って縫い付けられていてもよい。連結布15は、上記下縁29に沿ってのみ縫い付けられており、したがって、連結部15の上記下縁29以外の部分は、パンティ本体12の内側に単に重ね合わせられているのみである。
【0023】
図3及び図4が示すように、マチ部材11は、パンティ本体12を構成する生地とは異なる生地により構成されている。マチ部材11は、肌に直接ふれる下着に採用される生地からなり、肌に接触して吸汗する吸水性及び柔軟性を備えている。本実施形態では、このマチ部材11を構成する生地として、綿生地(典型的には「コットシート」(登録商標))が採用され得る。マチ部材11がコットシート(登録商標)から構成されることによって、下着10は、肌触りがソフトで、着用しやすいものとなる。また、コットシート(登録商標)によってマチ部材11が構成されることによって、マチ部材11が吸水性に優れたものとなり、しかも汚れが落ちやすく衛生的であるという利点もある。
【0024】
マチ部材11は、これらの図が示すように細長シート状に形成されており、その一端部32が上記連結布15の下縁33に縫い付けられ(図3参照)、その他端部34が上記第2補正布14の下縁35に縫い付けられている(図4参照)。すなわち、このマチ部材11の他端部34は、上記後側部分22において、パンティ本体12を構成する生地及び第2補正布14と共に縫い合わせられている。ただし、マチ部材11は、その一端部32及び他端部34のみがパンティ本体12側に縫い付けられているのみであるから、当該一端部32及び他端部34以外の部分は、パンティ本体12の内側に単に重ね合わせられているのみである。
【0025】
この下着10が着用されると、パンティ本体12、第1補正布13及び第2補正布14を構成する生地が前述のような伸縮性を備えているから、着用者の体型が補正される。また、マチ部材11がパンティ本体12の股部37の内側に重ね合わされており、しかもこのマチ部材11が肌に接触して吸汗する吸水性を備えているから、この下着10は、肌に直接触れる下着として機能することができ、着用者は、肌に直接触れる下着に代えてこの下着を着用することができる。すなわち、従来では、着用者は、ガードルを着用する場合には別途通常の下着を重ね着する必要があったが、この下着10は、そのような重ね着が不要であり、一枚で通常の下着の機能と体型補正機能とを発揮する。
【0026】
さらに、マチ部材11は柔軟性を備えているから、着用者は、マチ部材11に吸水パッド等の生理用品を装着することができる。また、マチ部材11が高い吸水性を備えた生地から構成されていてもよい。これにより、下着10は、失禁用下着としても機能する。しかも、このマチ部材11は、2ウェイ伸縮生地からなる連結布15を介して第1補正布13及び第2補正布14に連結されているから、マチ部材11がパンティ本体12に対して相対的に移動(スライド)することができ、これにより、下着10は、着用者の身体の動きに追従することができるという利点がある。
【0027】
加えて、本実施形態では、上記連結布15は、第1補正布13の一部により構成されているから、下着10の製造工程が削減され、合理的に製造することができるという利点もある。
【0028】
前述のように本実施形態では、マチ部材11は、肌に直接ふれる下着に採用される生地からなり、肌に接触して吸汗する吸水性及び柔軟性を備えている。ただし、マチ部材11を構成する生地は、これに限定されるものではなく、他のものが採用されてもよい。マチ部材11を構成する生地としては、例えば撥水性ないし防水性及び柔軟性を備えた生地が採用されてもよい。撥水性ないし防水性を備えた生地としては、ポリウレタン、ナイロンその他の樹脂等である。マチ部材11が撥水性ないし防水性及び柔軟性を備えた生地から構成されることによって、下着10は、サニタリー用下着としても機能する。
【0029】
加えて、マチ部材11が前述されたような吸水性を備えた生地から構成される場合には、このマチ部材11の外面側に撥水処理が施されているものであってもよい。撥水処理としては既知の手段が採用され、例えば撥水フィルムがマチ部材11の外面に張り付けられていてもよいし、マチ部材11の外面に撥水塗料が塗布されていてもよい。このように、マチ部材11に撥水処理がなされることによって、下着10は、肌触りがソフトで、着用しやすいサニタリー用下着として機能し得る。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、下着に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る下着の正面図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に係る下着の背面図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に係る下着が裏返された状態における正面図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態に係る下着が裏返された状態における背面図である。
【符号の説明】
【0032】
10・・・下着
11・・・マチ部材
12・・・パンティ本体
13・・・第1補正布
14・・・第2補正布
15・・・連結布
21・・・後側部分
22・・・後側部分
23・・・パンティ本体の上部
24・・・パンティ本体の腰部
25・・・パンティ本体の臀部
26・・・後部中央部
27・・・臀部周縁部
28・・・パンティ本体の腹部
29・・・腹部の下縁
30・・・腰部の下縁
32・・・マチ部材の一端部
33・・・連結布の下縁
34・・・マチ部材の他端部
35・・・第2補正布の下縁


【特許請求の範囲】
【請求項1】
体型補正を行う伸縮性を有する生地からなり、ウエストバンド及び一対のレッグホールが設けられたパンティ本体と、
体型補正を行う伸縮性を有する生地からなり、パンティ本体の腰部及び腹部の内側を囲繞するように配置された第1補正布と、
体型補正を行う伸縮性を有する生地からなり、パンティ本体の腰部及び臀部の内側を覆うように配置された第2補正布と、
第1補正布の上記腹部側の下縁に延設された2ウェイ伸縮生地からなる連結布と、
連結布の下縁と第2補正布の下縁とに連結され、パンティ本体の股部の内側に重ね合わされたマチ部材とを有し、
マチ部材は、肌に接触して吸汗する吸水性及び柔軟性を備えている下着。
【請求項2】
体型補正を行う伸縮性を有する生地からなり、ウエストバンド及び一対のレッグホールが設けられたパンティ本体と、
体型補正を行う伸縮性を有する生地からなり、パンティ本体の腰部及び腹部の内側を囲繞するように配置された第1補正布と、
体型補正を行う伸縮性を有する生地からなり、パンティ本体の腰部及び臀部の内側を覆うように配置された第2補正布と、
第1補正布の上記腹部側の下縁に延設された2ウェイ伸縮生地からなる連結布と、
連結布の下縁と第2補正布の下縁とに連結され、パンティ本体の股部の内側に重ね合わされたマチ部材とを有し、
マチ部材は、防水性及び柔軟性を備えている下着。
【請求項3】
上記連結布は、上記第1補正布の一部により構成されている請求項1に記載の下着。
【請求項4】
上記連結布は、上記第1補正布の一部により構成されている請求項2に記載の下着。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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