説明

不平衡率検出装置、および不平衡率検出方法

【課題】簡単な演算処理で不平衡率を検出することができる不平衡率検出装置を提供する。
【解決手段】三相交流の不平衡率を検出する不平衡率検出装置1において、検出された3つの相電圧信号をα軸電圧信号およびβ軸電圧信号に変換する三相/二相変換部21と、α軸電圧信号およびβ軸電圧信号の正相分の信号を抽出する正相分抽出部22と、逆相分の信号を抽出する逆相分抽出部23と、抽出された正相分の信号と逆相分の信号とから不平衡率を算出する不平衡率算出部24とを備えた。正相分抽出部22と逆相分抽出部23は、複素係数フィルタを用いて各信号を抽出する。正相分の信号と逆相分の信号とがそれぞれ容易に抽出され、不平衡率が容易に算出されるので、簡単な演算処理で不平衡率を検出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三相交流の不平衡率を検出する不平衡率検出装置、および不平衡率検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、三相交流の不平衡率を検出する不平衡率検出装置が開発されている。
【0003】
図10は、従来の一般的な不平衡率検出装置を説明するためのブロック図である。
【0004】
不平衡率検出装置100は、三相電力系統の三相交流電圧の不平衡率を検出するものである。なお、以下では三相電力系統の3つの相をそれぞれU相、V相およびW相とする。電圧センサ400は、三相電力系統の各線間電圧を検出するものであり、V相に対するU相の線間電圧を検出した線間電圧信号Vuv、W相に対するV相の線間電圧を検出した線間電圧信号Vvw、U相に対するW相の線間電圧を検出した線間電圧信号Vwuを不平衡率検出装置100に出力する。不平衡率検出装置100は、電圧センサ400より入力される線間電圧信号Vuv,Vvw,Vwuに基づいて不平衡率を検出する。
【0005】
不平衡率検出装置100は、演算部200および表示部300を備えている。演算部200は、不平衡率を演算するものであり、例えばマイクロコンピュータなどによって実現されている。演算部200は、演算結果である不平衡率kを表示部300に出力する。表示部300は、演算結果を表示するものであり、モニタなどの表示手段によって実現されている。表示部300は、演算部200より入力された不平衡率kを表示する。演算部200は、基準電圧算出部201、正相電圧算出部202、逆相電圧算出部203、および不平衡率算出部204を備えている。
【0006】
基準電圧算出部201は、電圧センサ400より入力される線間電圧信号Vuv,Vvw,Vwuから、下記(1)式により、基準電圧Vsを算出するものである。基準電圧算出部201は、算出した基準電圧Vsを正相電圧算出部202および逆相電圧算出部203に出力する。

Vs = (Vuv+Vvw+Vwu)/2 ・・・・・(1)
【0007】
正相電圧算出部202は、線間電圧信号Vuv,Vvw,Vwuと、基準電圧算出部201より入力される基準電圧Vsとから、下記(2)式により、正相電圧Vpを算出するものである。正相電圧算出部202は、算出した正相電圧Vpを不平衡率算出部204に出力する。
【数1】

【0008】
逆相電圧算出部203は、線間電圧信号Vuv,Vvw,Vwuと、基準電圧算出部201より入力される基準電圧Vsとから、下記(3)式により、逆相電圧Vnを算出するものである。逆相電圧算出部203は、算出した逆相電圧Vnを不平衡率算出部204に出力する。
【数2】

【0009】
不平衡率算出部204は、正相電圧算出部202より入力される正相電圧Vpと逆相電圧算出部203より入力される逆相電圧Vnとから、下記(4)式により、不平衡率kを算出するものである。不平衡率算出部204は、算出した不平衡率kを表示部3に出力する。

k = (Vn/Vp)×100 [%] ・・・・・(4)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平10−232254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、不平衡率検出装置100の場合、演算部200で行われる演算処理が複雑になるという問題があった。
【0012】
本発明は上記した事情のもとで考え出されたものであって、より簡単な演算処理で不平衡率を検出することができる不平衡率検出装置を提供することをその目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0014】
本発明の第1の側面によって提供される不平衡率検出装置は、三相交流に基づく3つの信号を第1の信号および第2の信号に変換する三相二相変換手段と、前記第1の信号に含まれる正相分の信号である第1の正相分信号と、前記第2の信号に含まれる正相分の信号である第2の正相分信号とを、それぞれ抽出する正相分抽出手段と、前記第1の信号に含まれる逆相分の信号である第1の逆相分信号と、前記第2の信号に含まれる逆相分の信号である第2の逆相分信号とを、それぞれ抽出する逆相分抽出手段と、前記正相分抽出手段によって抽出された前記第1の正相分信号および前記第2の正相分信号と、前記逆相分抽出手段によって抽出された前記第1の逆相分信号および前記第2の逆相分信号とから、不平衡率を算出する不平衡率算出手段とを備えており、前記正相分抽出手段および前記逆相分抽出手段は、それぞれ複素係数フィルタを用いて各信号を抽出することを特徴とする。なお、「正相分の信号」とは、三相交流の基本波と周波数が同じで相順が同じ信号であり、「逆相分の信号」とは、三相交流の基本波と周波数が同じで相順が逆の信号である。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記正相分抽出手段または前記逆相分抽出手段が用いる複素係数フィルタは、帯域通過型の複素係数フィルタである。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記複素係数フィルタのz変換表現による伝達関数H(z)は、通過帯域の正規化中心角周波数をΩd(−π<Ωd<π)、通過帯域の帯域幅を決めるパラメータをr(0<r<1)、虚数単位をj、自然対数の底eの指数関数をexp()とした場合、
【0017】
【数3】

である。
【0018】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記正相分抽出手段または前記逆相分抽出手段が用いる複素係数フィルタは、帯域阻止型の複素係数フィルタである。
【0019】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記複素係数フィルタのz変換表現による伝達関数H(z)は、阻止帯域の正規化中心角周波数をΩd(−π<Ωd<π)、阻止帯域の帯域幅を決めるパラメータをr(0<r<1)、虚数単位をj、自然対数の底eの指数関数をexp()とした場合、
【0020】
【数4】

である。
【0021】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記正相分抽出手段または前記逆相分抽出手段は、複数の複素係数フィルタを多段に接続したフィルタを用いる。
【0022】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記不平衡率算出手段は、前記第1の正相分信号をXα、前記第2の正相分信号をXβ、前記第1の逆相分信号をYα、前記第2の逆相分信号をYβとすると、下記式を用いて不平衡率kを算出する。
【0023】
【数5】

【0024】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記不平衡率算出手段によって算出された不平衡率を表示するための表示手段をさらに備えている。
【0025】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記3つの信号は、三相交流の各相電圧を検出した相電圧信号である。
【0026】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記3つの信号は、三相交流の各線間電圧を検出した線間電圧信号である。
【0027】
本発明の第2の側面によって提供される不平衡率検出方法は、三相交流に基づく3つの信号を第1の信号および第2の信号に変換する第1の工程と、前記第1の信号に含まれる正相分の信号である第1の正相分信号と、前記第2の信号に含まれる正相分の信号である第2の正相分信号とを、それぞれ抽出する第2の工程と、前記第1の信号に含まれる逆相分の信号である第1の逆相分信号と、前記第2の信号に含まれる逆相分の信号である第2の逆相分信号とを、それぞれ抽出する第3の工程と、前記第2の工程で抽出された前記第1の正相分信号および前記第2の正相分信号と、前記第3の工程で抽出された前記第1の逆相分信号および前記第2の逆相分信号とから、不平衡率を算出する第4の工程とを備えており、前記第2の工程および前記第3の工程は、それぞれ複素係数フィルタを用いて各信号を抽出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、正相分の信号と逆相分の信号とがそれぞれ容易に抽出され、これらの正相分の信号と逆相分の信号とから不平衡率が容易に算出される。したがって、簡単な演算処理で不平衡率を検出することができる。
【0029】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】第1実施形態に係る不平衡率検出装置を説明するためのブロック図である。
【図2】複素係数バンドパスフィルタの演算処理を示すブロック図である。
【図3】複素係数バンドパスフィルタの複素演算処理を行う回路構成を示す図である。
【図4】複素係数バンドパスフィルタの周波数特性を示す図である。
【図5】複素係数ノッチフィルタの演算処理を示すブロック図である。
【図6】複素係数ノッチフィルタの複素演算処理を行う回路構成を示す図である。
【図7】複素係数ノッチフィルタの周波数特性を示す図である。
【図8】第3実施形態に係る正相分抽出部の内部構成を説明するためのブロック図である。
【図9】第3実施形態に係る正相分抽出部の周波数特性を示す図である。
【図10】従来の一般的な不平衡率検出装置を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
【0032】
図1は、第1実施形態に係る不平衡率検出装置を説明するためのブロック図である。
【0033】
不平衡率検出装置1は、三相電力系統の三相交流電圧の不平衡率を検出するものである。電圧センサ4は、三相電力系統の各相電圧を検出するものであり、U相の相電圧を検出した相電圧信号Vu、V相の相電圧を検出した相電圧信号Vv、W相の相電圧を検出した相電圧信号Vwを不平衡率検出装置1に出力する。不平衡率検出装置1は、電圧センサ4より入力される相電圧信号Vu,Vv,Vwに基づいて不平衡率を検出する。
【0034】
不平衡率検出装置1は、演算部2および表示部3を備えている。演算部2は、不平衡率を演算するものであり、例えばマイクロコンピュータなどによって実現されている。演算部2は、演算結果である不平衡率kを表示部3に出力する。表示部3は、演算結果を表示するものであり、モニタなどの表示手段によって実現されている。表示部3は、演算部2より入力された不平衡率kを表示する。演算部2は、三相/二相変換部21、正相分抽出部22、逆相分抽出部23、および不平衡率算出部24を備えている。
【0035】
三相/二相変換部21は、電圧センサ4より入力される3つの相電圧信号Vu,Vv,Vwを、α軸電圧信号Vαおよびβ軸電圧信号Vβに変換するものである。三相/二相変換部21は、いわゆる三相/二相変換処理(αβ変換処理)を行うものであり、相電圧信号Vu,Vv,Vwを互いに直交するα軸成分とβ軸成分とにそれぞれ分解して、各軸成分をまとめることでα軸電圧信号Vαおよびβ軸電圧信号Vβを生成する。
【0036】
三相/二相変換部21で行われる変換処理は、下記(5)式に示す行列式で表される。
【数6】

【0037】
正相分抽出部22および逆相分抽出部23は、三相/二相変換部21より入力されるα軸電圧信号Vαおよびβ軸電圧信号Vβから、特定の周波数成分の信号を抽出するものであり、複素係数バンドパスフィルタ(帯域通過型の複素係数フィルタ)を備えている。
【0038】
当該複素係数バンドパスフィルタは、z変換表現による伝達関数H(z)が下記(6)式で表される複素係数の1次IIRフィルタで構成されている。下記(6)式において、複素係数a1におけるfdは、通過帯域の中心周波数f0をサンプリング周波数で正規化した正規化周波数である。また、Ωdは、正規化角周波数である。例えば、サンプリング周波数をfsrとすると、正規化周波数fdはf0/fsr、正規化角周波数Ωdは2π・fd=2π・(f0/fsr)となる。なお、正規化角周波数Ωdは、−π<Ωd<πである。また、rは通過帯域の帯域幅を決めるパラメータ(0<r<1)であり、jは虚数単位、exp()は自然対数の底eの指数関数である。
【0039】
【数7】

【0040】
図2は、上記(6)式の演算処理を示すブロック図である。同図に示すように、複素係数バンドパスフィルタは、上記(6)式の分母の演算処理がフィードバック回路で構成され、そのフィードバック回路の出力に分子の係数b0を乗算する回路によって構成される。
【0041】
図2に示すブロック図において、u[k](k:離散時間を表すインデックス番号)は入力データ、x[k]は状態データ、y[k]は出力データである。入力データu[k]、状態データx[k]および出力データy[k]の間には、
x[k]=r・exp(j・Ωd)・x[k-1]+u[k] …(7)
y[k]=(1−r)・x[k] …(8)
が成立する。
【0042】
複素係数バンドパスフィルタにおいては、入力データu[k]が複素データか実データ(複素データの虚数部が「0」のデータ)かに関わらず、状態データx[k]および出力データy[k]が複素データとなる。したがって、入力データu[k]、状態データx[k]および出力データy[k]をそれぞれu[k]=ur[k]+j・uj[k]、x[k]=xr[k]+j・xj[k]、y[k]=yr[k]+j・yj[k]の複素データとし、複素係数a1をa1=r・exp(j・Ωd)=ar+j・aj=r・cos(Ωd)+j・r・sin(Ωd)として、上記(7)式および(8)式に代入して、実数部と虚数部の関係式に分けると、
r[k]=r・cos(Ωd)・xr[k-1]−r・sin(Ωd)・xj[k-1]+ur[k] …(9)
j[k]=r・cos(Ωd)・xj[k-1]+r・sin(Ωd)・xr[k-1]+uj[k] …(10)
r[k]=(1−r)・xr[k] …(11)
j[k]=(1−r)・xj[k] …(12)
となる。
【0043】
図3は、上記(9)式〜(12)式に基づき複素係数バンドパスフィルタの複素演算処理を行う回路構成を示す図である。同図において、係数arおよび係数ajは、それぞれ複素係数a1=r・exp(j・Ωd)の実数部および虚数部であり、ar=r・cos(Ωd)、aj=r・sin(Ωd)である。
【0044】
同図に示すように、複素係数バンドパスフィルタは、6個の乗算器12a〜12fと、2個の加算器12g,12hと、2個の遅延回路12i,12jで構成される。遅延回路12iは、状態データの実数部xr[k-1]を生成する回路であり、遅延回路12jは、状態データの虚数部xj[k-1]を生成する回路である。乗算器12a,12bはそれぞれ上記(9)式の第1項と第2項(負の符号を含む)を演算する演算器であり、加算器12gは上記(9)式の第1項と第2項と第3項を加算する演算器である。したがって、加算器12gから上記(9)式で示す状態データの実数部xr[k]が出力される。
【0045】
一方、乗算器12c,12dはそれぞれ上記(10)式の第1項と第2項を演算する演算器であり、加算器12hは上記(10)式の第1項と第2項と第3項を加算する演算器である。したがって、加算器12hから上記(10)式で示す状態データの虚数部xj[k]が出力される。また、乗算器12e,12fはそれぞれ上記(11)式および(12)式を演算する演算器である。
【0046】
本実施形態では、三相/二相変換部21が、3つの相電圧信号Vu,Vv,Vwを、互いに直交するα軸電圧信号Vαおよびβ軸電圧信号Vβに変換している。α軸電圧信号Vαおよびβ軸電圧信号Vβは、それぞれ複素データur+j・ujの実数部と虚数部に対応させることができるので、α軸電圧信号Vαのサンプリングデータを入力データの実数部ur[k]として加算器12gに入力し、β軸電圧信号Vβのサンプリングデータを入力データの虚数部uj[k]として加算器12hに入力している。
【0047】
α軸電圧信号Vαのサンプリングデータが入力される毎に、遅延回路12i、乗算器12a,12b,12eおよび加算器12gで上記(9)式および(11)式の演算処理が繰り返され、これにより、乗算器12eからは出力データyr[k]が出力される。出力データyr[k]は、α軸電圧信号Vαから正規化角周波数Ωdに対応する成分のみを抽出したものとなる。また、β軸電圧信号Vβのサンプリングデータが入力される毎に、遅延回路12j、乗算器12c,12d,12fおよび加算器12hで上記(10)式および(12)式の演算処理が繰り返され、これにより、乗算器12fからは出力データyj[k]が出力される。出力データyj[k]は、β軸電圧信号Vβから正規化角周波数Ωdに対応する成分のみを抽出したものとなる。
【0048】
バンドパスフィルタを実係数の2次IIRフィルタで構成した場合、その2次IIRフィルタの伝達関数H(z)(z=exp(j・ω))は、
H(z)=(1-r2+2(r-1)・r・cos(Ωd)・z-1)/(1-2r・cos(Ωd)・z-1+ r2・z-2)
で表わされる。この伝達関数H(z)の振幅特性M(ω)を求めると、
【数8】

となり、(1−2r・cos(Ωd±ω)+r2)=0を満たすωで極が表れるから、2次IIRフィルタはその極の周波数を通過させる特性を有する。r≒1とすると、cos(Ωd±ω)≒1より、2次IIRフィルタを通過させる正規化周波数fdはfd=±Ωd/2πとなるから、実係数の2次IIRフィルタでは、正相分、逆相分とも通過させることになる。
【0049】
一方、上記(6)式に示す伝達関数H(z)の振幅特性M(ω)求めると、
M(ω)=(1−r)/√{1−2r・cos(Ωd−ω)+r2
となり、(1−2r・cos(Ωd−ω)+r2)=0を満たすωだけに極が表れる。したがって、複素係数の1次IIRフィルタを通過させる正規化周波数fdはfd=Ωd/2πとなるから、複素係数の1次IIRフィルタでは、正相分または逆相分のいずれか一方のみを通過させることができる。
【0050】
正相分抽出部22は、三相/二相変換部21より入力されるα軸電圧信号Vαおよびβ軸電圧信号Vβから、基本波の正相分信号を抽出するものである。抽出された正相分信号Vαp,Vβpは、不平衡率算出部24に出力される。正相分抽出部22が備える複素係数バンドパスフィルタの通過帯域を決定する正規化角周波数Ωdとして、系統電圧の基本波(正相分)の角周波数ω0(例えば、ω0=120π[rad/sec](60[Hz]))を正規化したωdがあらかじめ設定されている。正相分抽出部22は、α軸電圧信号Vαおよびβ軸電圧信号Vβを入力データur[k]およびuj[k](図3参照)として複素係数バンドパスフィルタに入力し、出力データyr[k]およびyj[k]を正相分信号Vαp,Vβpとして出力する。
【0051】
図4(a)は、正相分抽出部22が備える複素係数バンドパスフィルタの周波数特性を示す図である。通過帯域の中心角周波数を系統電圧の基本波(正相分)の角周波数ω0としているので、その他の角周波数の信号(逆相分および高調波成分)を好適に除去して、正相分のみを抽出することができる。
【0052】
逆相分抽出部23は、三相/二相変換部21より入力されるα軸電圧信号Vαおよびβ軸電圧信号Vβから、基本波の逆相分信号を抽出するものである。抽出された逆相分信号Vαn,Vβnは、不平衡率算出部24に出力される。逆相分抽出部23が備える複素係数バンドパスフィルタの通過帯域を決定する正規化角周波数Ωdとして、系統電圧の基本波の逆相分の角周波数があらかじめ設定されている。逆相分は正相分とは相順が逆なので、逆相分の角周波数は正相分の角周波数の負の値となる。つまり、正相分の角周波数ω0の負の値である「−ω0」を正規化した「−ωd」が、正規化角周波数Ωdとして設定されている。逆相分抽出部23は、α軸電圧信号Vαおよびβ軸電圧信号Vβを入力データur[k]およびuj[k](図3参照)として複素係数バンドパスフィルタに入力し、出力データyr[k]およびyj[k]を逆相分信号Vαn,Vβnとして出力する。
【0053】
図4(b)は、逆相分抽出部23が備える複素係数バンドパスフィルタの周波数特性を示す図である。通過帯域の中心角周波数を系統電圧の基本波の逆相分の角周波数「−ω0」としているので、その他の角周波数の信号(正相分および高調波成分)を好適に除去して、基本波の逆相分のみを抽出することができる。
【0054】
なお、正相分抽出部22および逆相分抽出部23が備える複素係数バンドパスフィルタは、上記(6)式に示す伝達関数H(z)のものに限定されない。例えば、複素係数の2次以上のIIRフィルタなどで構成された複素係数バンドパスフィルタであってもよい。
【0055】
不平衡率算出部24は、正相分抽出部22より入力される正相分信号Vαp,Vβpと、逆相分抽出部23より入力される逆相分信号Vαn,Vβnとから、下記(13)式を用いて、不平衡率kを算出するものである。不平衡率算出部24は、算出した不平衡率kを表示部3に出力する。
【数9】

【0056】
本実施形態において、3つの相電圧信号Vu,Vv,Vwが互いに直交するα軸電圧信号Vαおよびβ軸電圧信号Vβに変換される。α軸電圧信号Vαおよびβ軸電圧信号Vβから、正相分信号Vαp,Vβpと逆相分信号Vαn,Vβnとが、それぞれ複素係数バンドパスフィルタによって容易に抽出される。そして、抽出された正相分信号Vαp,Vβpと逆相分信号Vαn,Vβnとから、不平衡率kが容易に算出される。したがって、簡単な演算処理で不平衡率を検出することができる。
【0057】
上記第1実施形態においては、複素係数バンドパスフィルタを用いて正相分信号および逆相分信号を抽出する場合について説明したが、複素係数ノッチフィルタ(帯域阻止型の複素係数フィルタ)を用いて正相分信号および逆相分信号を抽出するようにしてもよい。以下に、複素係数ノッチフィルタを用いる場合を第2実施形態として説明する。
【0058】
第2実施形態に係る不平衡率検出装置の内部構成を説明するためのブロック図は、図1に示す第1実施形態の不平衡率検出装置1のものと共通する。第2実施形態においては、図1に示す正相分抽出部22および逆相分抽出部23が複素係数ノッチフィルタを備えている。正相分抽出部22は、複素係数ノッチフィルタが逆相分の通過を抑制することで正相分を抽出し、逆相分抽出部23は、複素係数ノッチフィルタが正相分の通過を抑制することで逆相分を抽出する。
【0059】
正相分抽出部22および逆相分抽出部23が備える複素係数ノッチフィルタは、z変換表現による伝達関数H(z)が下記(14)式で表される複素係数の1次IIRフィルタで構成されている。下記(14)式において、Ωdは阻止帯域の正規化中心角周波数(−π<Ωd<π)であり、rは阻止帯域の帯域幅を決めるパラメータ(0<r<1)であり、jは虚数単位、exp()は自然対数の底eの指数関数である。
【0060】
【数10】

【0061】
図5は、上記(14)式の演算処理を示すブロック図である。図5は、図2に示すブロック図に対して、出力データy[k]を入力データu[k]から減算した値を新しく出力データe[k]として出力する回路を追加したものである。出力データはe[k]となるので、以下では、y[k]を単にデータy[k]と記載する。図5に示すブロック図の詳細説明は省略する。
【0062】
図6は、複素係数ノッチフィルタの複素演算処理を行う回路構成を示す図である。図6は、図3に示すブロック図に対して、実数部の乗算器12eの後段に加算器12nを追加し、当該加算器12nで入力データの実数部ur[k]からデータy[k]の実数部yr[k]を減算して出力データの実数部er[k]を出力する構成としている。また、虚数部の乗算器12fの後段に加算器12oを追加し、当該加算器12oで入力データの虚数部uj[k]からデータy[k]の虚数部yj[k]を減算して出力データの虚数部ej[k]を出力する構成としている。図6に示す回路の演算処理の詳細説明は省略する。
【0063】
乗算器12eより出力されるデータyr[k]を入力データur[k]から減算した値が、出力データer[k]として出力される。出力データer[k]は、α軸電圧信号Vαから正規化角周波数Ωdに対応する成分のみを抑制したものとなる。また、乗算器12fより出力されるデータyj[k]を入力データuj[k]から減算した値が、出力データej[k]として出力される。出力データej[k]は、β軸電圧信号Vβから正規化角周波数Ωdに対応する成分のみを抑制したものとなる。
【0064】
正相分抽出部22が備える複素係数ノッチフィルタの阻止帯域を決定する正規化角周波数Ωdとして、系統電圧の基本波の逆相分の角周波数「−ω0」を正規化した「−ωd」があらかじめ設定されている。正相分抽出部22は、α軸電圧信号Vαおよびβ軸電圧信号Vβを入力データur[k]およびuj[k]として複素係数ノッチフィルタに入力し、出力データer[k]およびej[k]を正相分信号Vαp,Vβpとして出力する。
【0065】
図7(a)は、正相分抽出部22が備える複素係数ノッチフィルタの周波数特性を示す図である。阻止帯域の中心角周波数を系統電圧の基本波の逆相分の角周波数「−ω0」としているので、その他の角周波数の信号(正相分)を好適に通過させて、正相分のみを抽出することができる。
【0066】
逆相分抽出部23が備える複素係数ノッチフィルタの阻止帯域を決定する正規化角周波数Ωdとして、系統電圧の基本波(正相分)の角周波数ω0を正規化したωdがあらかじめ設定されている。逆相分抽出部23は、α軸電圧信号Vαおよびβ軸電圧信号Vβを入力データur[k]およびuj[k]として複素係数ノッチフィルタに入力し、出力データer[k]およびej[k]を逆相分信号Vαn,Vβnとして出力する。
【0067】
図7(b)は、逆相分抽出部23が備える複素係数ノッチフィルタの周波数特性を示す図である。阻止帯域の中心角周波数を系統電圧の基本波(正相分)の角周波数ω0としているので、その他の角周波数の信号(逆相分)を好適に通過させて、基本波の逆相分のみを抽出することができる。
【0068】
なお、正相分抽出部22および逆相分抽出部23が備える複素係数ノッチフィルタは、上記(14)式に示す伝達関数H(z)のものに限定されない。例えば、複素係数の2次以上のIIRフィルタなどで構成された複素係数ノッチフィルタであってもよい。
【0069】
本実施形態においても、正相分信号Vαp,Vβpと逆相分信号Vαn,Vβnとをそれぞれ容易に抽出することができる。そして、抽出された正相分信号Vαp,Vβpと逆相分信号Vαn,Vβnとから、不平衡率kが容易に算出される。したがって、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0070】
第2実施形態においては、正相分抽出部22が基本波の逆相分の通過を抑制することで正相分を抽出し、逆相分抽出部23が基本波(正相分)の通過を抑制することで逆相分を抽出する。したがって、α軸電圧信号Vαおよびβ軸電圧信号Vβに高調波成分が含まれていた場合、正相分抽出部22および逆相分抽出部23は、高調波成分も通過させてしまう。高調波成分が含まれている場合に当該高調波成分の通過も抑制することで、基本波の正相分または逆相分をより精度よく抽出する場合を、第3実施形態として、以下に説明する。
【0071】
図8は、第3実施形態に係る正相分抽出部の内部構成を説明するためのブロック図である。
【0072】
図8に示す正相分抽出部22’は、多段に接続された4つの複素係数ノッチフィルタ22a〜22dを備えている点で、第2実施形態に係る正相分抽出部22(図1参照)と異なる。複素係数ノッチフィルタ22aは、第2実施形態に係る正相分抽出部22が備える複素係数ノッチフィルタと同じものであり、基本波の逆相分を抑制するためのものである。複素係数ノッチフィルタ22aの阻止帯域を決定する正規化角周波数Ωdとして、系統電圧の基本波の逆相分の角周波数「−ω0」を正規化した「−ωd」があらかじめ設定されている。複素係数ノッチフィルタ22b〜22dは、それぞれ5次、7次、11次高調波(正相分)を抑制するためのものである。複素係数ノッチフィルタ22b〜22dの阻止帯域を決定する正規化角周波数Ωdとして、それぞれ「−5ωd」、「7ωd」、「−11ωd」があらかじめ設定されている。
【0073】
図9(a)は、正相分抽出部22’の周波数特性を示す図である。同図(a)によると、基本波の逆相分(角周波数「−ω0」)、5次高調波成分(角周波数「−5ω0」)、7次高調波成分(角周波数「7ω0」)、11次高調波成分(角周波数「−11ω0」)が抑制され、その他の成分が通過される。正相分抽出部22’では、複素係数ノッチフィルタ22a〜22dによって、基本波の逆相分だけではなく、5次、7次、11次高調波(正相分)も抑制されるので、基本波の正相分のみをより好適に通過させることができる。
【0074】
一般的に、三相電力系統に重畳されている高調波は、5次、7次、11次高調波が多いので、本実施形態においては、これらを抑制するようにしている。なお、正相分抽出部22’は、抑制する必要がある高調波の次数に応じて設計すればよい。例えば、高調波としては5次高調波のみを抑制したい場合は、複素係数ノッチフィルタ22aおよび22bのみを備えていればよく、さらに13次高調波も抑制したい場合には、阻止帯域を決定する正規化角周波数Ωdとして「13ωd」を設定した複素係数ノッチフィルタをさらに備えるようにすればよい。
【0075】
同様に、第3実施形態に係る逆相分抽出部(図示しないが、説明上、「逆相分抽出部23’」とする。)は、第2実施形態に係る逆相分抽出部23が備える複素係数ノッチフィルタと、それぞれ5次、7次、11次高調波(正相分)を抑制するための複素係数ノッチフィルタ(図8に示す複素係数ノッチフィルタ22b〜22d)とを備えている。
【0076】
図9(b)は、逆相分抽出部23’の周波数特性を示す図である。同図(b)によると、基本波の正相分(角周波数「ω0」)、5次高調波成分(角周波数「−5ω0」)、7次高調波成分(角周波数「7ω0」)、11次高調波成分(角周波数「−11ω0」)が抑制され、その他の成分が通過される。逆相分抽出部23’では、基本波の正相分だけではなく、5次、7次、11次高調波(正相分)も抑制されるので、基本波の逆相分のみをより好適に通過させることができる。
【0077】
第3実施形態は、三相電力系統に高調波が重畳されている場合でも、基本波の正相分または逆相分を精度よく抽出することができる。
【0078】
上記第1ないし第3実施形態においては、正相分抽出部22(22’)および逆相分抽出部23(23’)がどちらも複素係数バンドパスフィルタまたは複素係数ノッチフィルタを用いる場合について説明したが、これに限られない。例えば、正相分抽出部22が複素係数バンドパスフィルタを用いて正相分信号を通過させることで抽出し、逆相分抽出部23(23’)が複素係数ノッチフィルタを用いて正相分信号の通過を抑制することで逆相分信号を抽出するようにしてもよい。また、正相分抽出部22(22’)が複素係数ノッチフィルタを用いて逆相分信号の通過を抑制することで正相分信号を抽出し、逆相分抽出部23が複素係数バンドパスフィルタを用いて逆相分信号を通過させることで抽出するようにしてもよい。
【0079】
上記第1ないし第3実施形態においては、正相分抽出部22(22’)および逆相分抽出部23(23’)で用いられる正規化角周波数Ωdをあらかじめ設定しておく場合について説明したが、これに限られない。信号処理のサンプリング周期が固定サンプリング周期の場合、系統電圧の基本波の角周波数を周波数検出装置などで検出して、検出された角周波数を正規化して用いるようにしてもよい。
【0080】
上記第1ないし第3実施形態においては、電圧センサ4が相電圧を検出する場合について説明したが、これに限られない。例えば、電圧センサ4が線間電圧を検出する場合でも、本発明を適用することができる。この場合、三相/二相変換部21で行われる変換処理に、上記(5)式に示す行列式に代えて、下記(15)式に示す行列式を用いるようにすればよい。また、三相/二相変換部21に、線間電圧信号を相電圧信号に変換する構成を追加して、線間電圧信号Vuv,Vvw,Vwuを相電圧信号Vu,Vv,Vwに変換してから、上記(5)式でα軸電圧信号Vαおよびβ軸電圧信号Vβに変換するようにしてもよい。
【数11】

【0081】
また、電流センサから入力される電流信号Iu,Iv,Iwに基づいて不平衡率を検出するようにしてもよい。この場合は、上記第1ないし第3実施形態の構成をそのまま用いることができる。
【0082】
上記第1ないし第3実施形態においては、算出された不平衡率kを表示部3に表示する場合について説明したが、これに限られない。例えば、不平衡率kが所定の閾値を超えた場合にブザーなどの音声で警告するようにしてもよい。
【0083】
上記第1ないし第3実施形態においては、本発明に係る不平衡率検出装置を単体で用いる場合について説明したが、これに限られない。例えば、不平衡率検出装置を系統連系インバータシステムに組み込んで、不平衡率kが所定の閾値を超えた場合に、インバータを停止させ、三相電力系統との接続を切り離すようにしてもよい。この場合、不平衡率kを表示する必要はないので表示部3を設けなくてもよいし、系統連系インバータシステムの表示部に表示するようにしてもよい。また、系統連系インバータシステムの電圧センサが検出した電圧信号を、三相/二相変換部21に入力するようにすればよい。
【0084】
本発明に係る不平衡率検出装置、および不平衡率検出方法は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る不平衡率検出装置、および不平衡率検出方法の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0085】
1 不平衡率検出装置
2 演算部
21 三相/二相変換部
22,22' 正相分抽出部
23 逆相分抽出部
24 不平衡率算出部
3 表示部
4 電圧センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
三相交流に基づく3つの信号を第1の信号および第2の信号に変換する三相二相変換手段と、
前記第1の信号に含まれる正相分の信号である第1の正相分信号と、前記第2の信号に含まれる正相分の信号である第2の正相分信号とを、それぞれ抽出する正相分抽出手段と、
前記第1の信号に含まれる逆相分の信号である第1の逆相分信号と、前記第2の信号に含まれる逆相分の信号である第2の逆相分信号とを、それぞれ抽出する逆相分抽出手段と、
前記正相分抽出手段によって抽出された前記第1の正相分信号および前記第2の正相分信号と、前記逆相分抽出手段によって抽出された前記第1の逆相分信号および前記第2の逆相分信号とから、不平衡率を算出する不平衡率算出手段と、
を備えており、
前記正相分抽出手段および前記逆相分抽出手段は、それぞれ複素係数フィルタを用いて各信号を抽出する、
ことを特徴とする不平衡率検出装置。
【請求項2】
前記正相分抽出手段または前記逆相分抽出手段が用いる複素係数フィルタは、帯域通過型の複素係数フィルタである、請求項1に記載の不平衡率検出装置。
【請求項3】
前記複素係数フィルタのz変換表現による伝達関数H(z)は、通過帯域の正規化中心角周波数をΩd(−π<Ωd<π)、通過帯域の帯域幅を決めるパラメータをr(0<r<1)、虚数単位をj、自然対数の底eの指数関数をexp()とした場合、
【数1】

である、請求項2に記載の不平衡率検出装置。
【請求項4】
前記正相分抽出手段または前記逆相分抽出手段が用いる複素係数フィルタは、帯域阻止型の複素係数フィルタである、請求項1に記載の不平衡率検出装置。
【請求項5】
前記複素係数フィルタのz変換表現による伝達関数H(z)は、阻止帯域の正規化中心角周波数をΩd(−π<Ωd<π)、阻止帯域の帯域幅を決めるパラメータをr(0<r<1)、虚数単位をj、自然対数の底eの指数関数をexp()とした場合、
【数2】

である、請求項4に記載の不平衡率検出装置。
【請求項6】
前記正相分抽出手段または前記逆相分抽出手段は、複数の複素係数フィルタを多段に接続したフィルタを用いる、請求項4または5に記載の不平衡率検出装置。
【請求項7】
前記不平衡率算出手段は、前記第1の正相分信号をXα、前記第2の正相分信号をXβ、前記第1の逆相分信号をYα、前記第2の逆相分信号をYβとすると、下記式を用いて不平衡率kを算出する、
請求項1ないし6のいずれかに記載の不平衡率検出装置。
【数3】

【請求項8】
前記不平衡率算出手段によって算出された不平衡率を表示するための表示手段をさらに備えている、請求項1ないし7のいずれかに記載の不平衡率検出装置。
【請求項9】
前記3つの信号は、三相交流の各相電圧を検出した相電圧信号である、請求項1ないし8のいずれかに記載の不平衡率検出装置。
【請求項10】
前記3つの信号は、三相交流の各線間電圧を検出した線間電圧信号である、請求項1ないし8のいずれかに記載の不平衡率検出装置。
【請求項11】
三相交流に基づく3つの信号を第1の信号および第2の信号に変換する第1の工程と、
前記第1の信号に含まれる正相分の信号である第1の正相分信号と、前記第2の信号に含まれる正相分の信号である第2の正相分信号とを、それぞれ抽出する第2の工程と、
前記第1の信号に含まれる逆相分の信号である第1の逆相分信号と、前記第2の信号に含まれる逆相分の信号である第2の逆相分信号とを、それぞれ抽出する第3の工程と、
前記第2の工程で抽出された前記第1の正相分信号および前記第2の正相分信号と、前記第3の工程で抽出された前記第1の逆相分信号および前記第2の逆相分信号とから、不平衡率を算出する第4の工程と、
を備えており、
前記第2の工程および前記第3の工程は、それぞれ複素係数フィルタを用いて各信号を抽出する、
ことを特徴とする不平衡率検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−83566(P2013−83566A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224021(P2011−224021)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)