説明

中敷、履物台及び履物

【課題】突起体の配置につき使用者の症状に合わせたツボへの微妙な位置調整を可能とした中敷を提供するとともに、中敷を履物台や履物へ使用した場合においても、該突起体の位置変更に係る作業を簡単に行いうる履物台、履物を提供する。
【解決手段】中敷1の全面に渡り、若しくは所定の領域にのみ面ファスナー12を貼付することとし、該面ファスナー12上の所望の位置、所望の領域へ任意に着脱可能な咬合子2を配する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行の際に足裏の特定部位への刺激を得ることができることに加え、生活習慣などから引き起こされた骨盤や股関節の歪みを原因とするO脚(内反膝)やX脚(外反膝)といった脚部異常をも矯正することができる中敷、履物台及び履物に関する。
【背景技術】
【0002】
足裏の特定部位への刺激を得る中敷として、図12に示すように、靴の中敷き(1)にたくさんの穴(2)を穿設し、突起(3)の突出部分(4)を適当な該穴(2)に挿入して足裏のつぼを刺激するよう使用する「指圧用の靴の中敷き」が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3005367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の「指圧用の靴の中敷き」は、予め穿設した穴(2)にしか突起(3)を配置できず、使用者に合わせた微妙な位置調整ができない点で改良の余地が認められる。
また、該中敷きを履物台や履物へ使用した場合において該突起(3)の位置を変更する際には、底側から突起(3)を該穴(2)へ嵌め込む必要があることから、その都度、該中敷きを靴の中から取り出す必要があり、取り扱いに不便である。
【0005】
そこで本発明の目的は、該突起体の配置につき使用者に合わせた微妙な位置調整を可能とした中敷を提供すること、そして該中敷きを履物台や履物へ使用した場合においても該突起体の位置変更作業を簡単に行え、さらには、O脚(内反膝)やX脚(外反膝)といった脚部異常を矯正することが可能な履物台、履物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に係る中敷は、全面若しくは所定領域に面ファスナーを貼付し、該面ファスナー上の所望の位置へ着脱可能な咬合子を配したことを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る履物台は、請求項1に記載の中敷を使用したことを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る履物は、請求項1に記載の中敷または請求項2に記載の履物台を使用したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の中敷によれば、咬合子を足裏に接するように使用したケースにおいては、使用者に合わせた咬合子の微妙な位置調整が容易に可能となり、自重により咬合子が足裏のツボを刺激する効果が得られる。
一方、該中敷を裏返して使用したケースにおいては、O脚(内反膝)やX脚(外反膝)といった脚部異常を矯正する効果が得られる。
【0010】
請求項2に記載の履物台によれば、該中敷を使用することにより、前記請求項1に記載の中敷が奏する効果に加え、履物台であっても咬合子の位置変更作業を簡単に行うことができる。
【0011】
請求項3に記載の履物によれば、該履物を使用することにより、前記請求項1に記載の中敷が奏する効果に加え、履物であっても咬合子の位置変更作業を簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第一の実施形態における中敷の構成を示す図である。
【図2】咬合子の側面図である。
【図3】第二の実施形態における中敷を示す平面図である。
【図4】第三の実施形態における履物台を示す斜視図である。
【図5】第四の実施形態における履物を示す斜視図である。
【図6】第五の実施形態における中敷の一例を示す説明図である。
【図7】第五の実施形態における中敷のその他の例を示す説明図である。
【図8】第五の実施形態における中敷の使用・未使用を示す比較図である。
【図9】第六の実施形態における中敷を示す説明図である。
【図10】第六の実施形態における中敷のその他の例を示す説明図である。
【図11】第六の実施形態における中敷の使用・未使用を示す比較図である。
【図12】従来の中敷を示すである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔第一の実施形態〕
以下、本発明の第一の実施形態について図1、図2を参照しながら説明する。
本実施の形態は、平面視円形状の咬合子を使用した中敷に関するものである。
【0014】
図中、1は中敷、11は中敷台、12は面ファスナー(雌)であり、2は咬合子、21は弾性樹脂、22は面ファスナー(雄)である。
【0015】
本実施形態に係る中敷1は、合成樹脂等を素材とする中敷台11と同じ大きさに裁断した面ファスナー12を、該中敷台11の表面、即ち使用時に足裏が接する面に貼付し、その上に咬合子2を適宜配してなる(図1)。
【0016】
咬合子2は、凸形状に加工した弾性樹脂21の裏面に、前記面ファスナー12に咬合する対の面ファスナー(22)を設けた構成とする(図2)。該弾性樹脂(21)は、EVA(Ethylene-Vinyl-Acetate/エチレン−酢酸ビニール共重合樹脂)製である。自重により足裏へのツボ刺激が適度に感じられる硬さとするが、その硬軟は商品バリエーションとして様々なものを用意することができ、素材も前掲のものに限られない。
【0017】
本実施形態に係る中敷を利用した履物を使用すれば、使用者は自身の体調に合わせて容易に咬合子の位置を変更することができる。中敷表面にツボ位置を表示しておくようにすれば、咬合子の配置位置が一目瞭然となり、さらに好ましい。
【0018】
〔第二の実施形態〕
次に、本発明の第二の実施形態について図3を参照しながら説明する。
本実施の形態は、主に本発明の中敷に用いる咬合子のバリエーションに係るものである。
【0019】
咬合子2を特定のツボ領域に及ぶ形状に予め合わせて形成した。具体的には、咬合子2bは僧帽筋(イ)から肩(ロ)にかけてのツボに合うよう形成されている。一方、咬合子2cは大腸(ハ)から小腸(ニ)、直腸(ホ)にかけてのツボに合うように形成されている。なお、咬合子2b、2cの素材や構成は、第一の実施形態における咬合子2aと同様である。
【0020】
本実施形態によれば、例えば何となく腸の具合が悪いと感じたときに、大腸や小腸といった個々のツボ位置へ咬合子をそれぞれ配置することなく、一度に症状に合わせた配置が可能となり、より利便性が高い。
【0021】
〔第三の実施形態〕
次に、本発明の第三の実施形態について図4を参照しながら説明する。
本実施の形態は、本発明に係る中敷を使用した履物台に係るものである。
【0022】
履物台3へこれと形状を合わせた中敷1を貼着して履物台を得る。咬合子2は、前記第一の実施の形態、又は第二の実施の形態において言及した咬合子2a、2b、2cのいずれを使用することとしてもよい。
【0023】
本実施形態によれば、前述の効果に加え、履物台であっても咬合子の位置変更作業を簡単に行うことができる。
【0024】
〔第四の実施形態〕
次に、本発明の第四の実施形態について図5を参照しながら説明する。
本実施の形態は、本発明に係る中敷を使用した履物に係るものである。
【0025】
履物4(シューズ)は、該履物の底と形状を合わせた中敷1を貼着してなる。咬合子2は、前記第一の実施の形態、又は第二の実施の形態において言及した咬合子2a、2b、2cのいずれを使用することとしてもよい。
【0026】
履物5(サンダル)は、前記第三の実施の形態において言及した履物台を使用した履物である。咬合子2は、前記第一の実施の形態、又は第二の実施の形態において言及した咬合子2a、2b、2cのいずれを使用することとしてもよい。
なお、サンダル種類によっては、サンダルの底形状に合わせた中敷1を貼着して履物5を得ることとしてもよい。
【0027】
履物6(スリッパ)は、該履物の底と形状を合わせた中敷1を貼着してなる。咬合子2は、前記第一の実施の形態、又は第二の実施の形態において言及した咬合子2a、2b、2cのいずれを使用することとしてもよい。
【0028】
本実施形態によれば、前述の効果に加え、履物であっても咬合子の位置変更作業を簡単に行うことができる。
【0029】
〔第五の実施形態〕
次に、本発明の第五の実施形態について図6、図7、図8を参照しながら説明する。
本実施の形態は、生活習慣などから引き起こされた骨盤や股関節の歪みを原因とするO脚(内反膝)という脚部異常を矯正する中敷に係るものである。
【0030】
本実施形態に係る中敷は、図6に示すように、中敷1の面ファスナー12上の所望の位置へ咬合子2aを一つ若しくは複数配置した上で、該咬合子が直接足裏に接しない、即ち上述の第1乃至第4の実施形態とは表裏面を逆にして靴内へ挿入して使用するものである。
【0031】
本実施形態における咬合子は、第一の実施形態で使用した平面視円形状で断面凸形状とした咬合子2aであるほか、図7に示すように、所定の内傾斜を形成するスロープを備えた咬合子2dや2eの如く形状が考えられる。該咬合子2d、2eの素材や構成は、第一の実施形態における咬合子2aと同様とする。また、 咬合子2a、2d、2eは、単独又は組み合わせて使用することが可能である。
なお、中敷に所望の内傾斜を形成させるものであれば、咬合子の形状、配置態様は上述したものに限られない。
【0032】
本実施形態によれば、該中敷に内傾斜αが生まれ(図8)、O脚の人がこれを使用して歩くことで内反膝を矯正する効果が得られる。
【0033】
〔第六の実施形態〕
次に、本発明の第六の実施形態について図9、図10、図11を参照しながら説明する。
本実施の形態は、生活習慣などから引き起こされた骨盤や股関節の歪みを原因とするX脚(外反膝)という脚部異常を矯正する中敷に係るものである。
【0034】
本実施形態に係る中敷は、図9に示すように、中敷1の面ファスナー12上の所望の位置へ咬合子2aを一つ若しくは複数配置した上で、該咬合子が直接足裏に接しない、即ち上述の第1乃至第4の実施形態とは表裏面を逆にして靴内へ挿入して使用するものである。
【0035】
本実施形態における咬合子は、第一の実施形態で使用した平面視円形状で断面凸形状とした咬合子2aであるほか、図10に示すように、所定の外傾斜を形成するスロープを備えた咬合子2dや2eの如く形状が考えられる。該咬合子2d、2eの素材や構成は、第一の実施形態における咬合子2aと同様とする。また、 咬合子2a、2d、2eは、単独又は組み合わせて使用することが可能である。
なお、中敷に所望の外傾斜を形成させるものであれば、咬合子の形状、配置態様は上述したものに限られない。
【0036】
本実施形態によれば、該中敷に外傾斜βが生まれ(図11)、X脚の人がこれを使用して歩くことで外反膝を矯正する効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の中敷は、あらゆる履物に利用が可能であることから、産業上、優れた発明である。
【符号の説明】
【0038】
1 中敷
11 中敷台
12 面ファスナー(雌)
2 咬合子
21 面ファスナー(雄)
22 弾性樹脂
3 履物台
4 靴
5 サンダル
6 スリッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全面若しくは所定領域に面ファスナーを貼付し、該面ファスナー上の所望の位置へ着脱可能な咬合子を配した中敷。
【請求項2】
請求項1に記載の中敷を使用した履物台。
【請求項3】
請求項1に記載の中敷または請求項2に記載の履物台を使用した履物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−52223(P2013−52223A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−130597(P2012−130597)
【出願日】平成24年6月8日(2012.6.8)
【基礎とした実用新案登録】実用新案登録第3172469号
【原出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(508131875)株式会社徳丸 (1)
【Fターム(参考)】