説明

中栓取外し方法及び中栓取外し具

【解決手段】ホルダ2に取着した刃体5は、中栓で離脱可能壁部に対する引掛環の連結部に対し反対側になる環状の切取り線の一部に離脱可能壁部の外側から挿入されて切取り線の一部に切断縁を付ける尖端部12と、尖端部12が環状の切取り線の一部に挿入されて離脱可能壁部の内側に押し込まれた際に離脱可能壁部を内側へ押し下げて切取り線の切断縁を引掛環の連結部側へ広げる押圧部11bを備えている。環状の切取り線で引掛環の連結部に対する反対側からその連結部側へ所定範囲の切断縁を予め広げることができるので、引掛環を手や引掛腕部4で引き上げる場合、残った切取り線を切断するだけでよく、切取り線の切断抵抗が小さくなって離脱可能壁部が切り離される反動も小さくなる。
【効果】容器に収容された液体等の内容物が容器の取出し部の開口から飛び散ったり、離脱可能壁部に付着した液体等の内容物が飛び散ったりするおそれは少なくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液体などの内容物を収容した容器においてその取出し部に取り付けられた栓本体に設けられた特定構造の中栓を取り外すための中栓取外し方法及び中栓取外し具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に記載された栓本体においては、容器の取出し部の開口に対向する閉塞壁部に切り取り可能な環状の切取り線が形成されて、その環状の切取り線で囲まれる離脱可能壁部がこの閉塞壁部に形成され、その環状の切取り線の一部に近接してこの離脱可能壁部の外側に引掛環が連結されている。中栓はこの離脱可能壁部と引掛環とからなる。この引掛環を手で引き上げると、環状の切取り線が離脱可能壁部に対する引掛環の連結部側からその連結部に対する反対側へ順次切断されて、栓本体から中栓が分離される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−180731号公報
【特許文献2】特開2000−16493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、引掛環を手で引き上げて離脱可能壁部を環状の切取り線に沿って切断する際、離脱可能壁部に対する引掛環の連結部に対し反対側になる環状の切取り線の一部が最後に切断されて離脱可能壁部が切り離されるため、手で握った容器に生じる反動により、容器に収容された液体などの内容物が容器の取出し部の開口から飛び散ったり、引掛環の連結部に対し反対側になる環状の切取り線の一点部分に切断力が集中して中栓の離脱可能壁部に生じる反動により、中栓の離脱可能壁部に付着した液体などの内容物がその離脱可能壁部から飛び散ったりするおそれがあった。そのため、引掛環を手で引き上げる際には離脱可能壁部が切り離される直前に引き上げる力を弱めるように注意する必要があった。なお、従来の中栓取外し具としては特許文献2に開示されているが、この中栓取外し具では上記特定構造の中栓付き栓本体については利用することができない。
【0005】
この発明は、上記特定構造の中栓付き栓本体について有効に利用することができる中栓取外し方法及び中栓取外し具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
後記実施形態の図面(図1〜4に示す第1実施形態、図5〜7に示す第2実施形態、図8に示す第3実施形態、図9に示す第4実施形態)の符号を援用して本発明を説明する。
請求項1の発明にかかる中栓取外し方法(第1〜4実施形態に対応)においては、容器18内の内容物を取り出すことができる取出し部19に取り付けられる栓本体20で、その取出し部19の開口19aに対向する閉塞壁部21に切り取り可能な環状の切取り線22を形成して、その環状の切取り線22で囲まれる離脱可能壁部23をこの閉塞壁部21に形成するとともに、その環状の切取り線22の一部に近接してこの離脱可能壁部23の外側に引掛部26を連結した中栓25を栓本体20から取り外す際に、環状の切取り線22の一部に離脱可能壁部23の外側から刃体5を挿入して切取り線22の一部に切断縁22aを付けた後、環状の切取り線22の一部に挿入されて離脱可能壁部23の内側に押し込まれた刃体5により、離脱可能壁部23を内側へ押し下げて切取り線22の切断縁22aを広げる。
【0007】
請求項1の発明では、刃体5により、環状の切取り線22で例えば引掛部26の連結部26aに対する反対側からその連結部26a側へ所定範囲の切断縁22aを予め広げることができる。そのような切断縁22aを有する中栓25において、引掛部26を手などで引き上げる場合、残った切取り線22を切断するだけでよいため、切取り線22の切断抵抗が小さくなって離脱可能壁部23が切り離される反動も小さくなり、容器18に収容された液体などの内容物が容器18の取出し部19の開口19aから飛び散ったり、中栓25の離脱可能壁部23に付着した液体などの内容物がその離脱可能壁部23から飛び散ったりするおそれは少なくなる。
【0008】
請求項2の発明にかかる中栓取外し具1は、第1〜4実施形態に対応し、容器18内の内容物を取り出すことができる取出し部19に取り付けられる栓本体20で、その取出し部19の開口19aに対向する閉塞壁部21に切り取り可能な環状の切取り線22を形成して、その環状の切取り線22で囲まれる離脱可能壁部23をこの閉塞壁部21に形成するとともに、その環状の切取り線22の一部に近接してこの離脱可能壁部23の外側に引掛部26を連結した中栓25を栓本体20から取り外すためのものであって、ホルダ2に取着した刃体5を有している。その刃体5は、環状の切取り線22の一部に、例えば、離脱可能壁部23に対する引掛部26の連結部26aに対し反対側になる環状の切取り線22の一部に離脱可能壁部23の外側から挿入されて切取り線22の一部に切断縁22aを付ける尖端部12と、この尖端部12が環状の切取り線22の一部に挿入されて離脱可能壁部23の内側に押し込まれた際に離脱可能壁部23を内側へ押し下げて切取り線22の切断縁22aを例えば引掛部26の連結部26a側へ広げる押圧部11bとを備えている。
【0009】
請求項2の発明では、刃体5の尖端部12及び押圧部11bによる機能により、環状の切取り線22で例えば引掛部26の連結部26aに対する反対側からその連結部26a側へ所定範囲の切断縁22aを予め広げることができる。そのような切断縁22aを有する中栓25において、引掛部26を手などで引き上げる場合、残った切取り線22を切断するだけでよいため、切取り線22の切断抵抗が小さくなって離脱可能壁部23が切り離される反動も小さくなり、容器18に収容された液体などの内容物が容器18の取出し部19の開口19aから飛び散ったり、離脱可能壁部23に付着した液体などの内容物がその離脱可能壁部23から飛び散ったりするおそれは少なくなる。
【0010】
請求項2の発明を前提とする請求項3の発明(第1〜4実施形態に対応)にかかる刃体5において、尖端部12は押圧部11bに対し段差状をなして並んで押圧部11bから突出している。請求項3の発明では、このような刃体5の形態により刃体5の尖端部12及び押圧部11bによる機能を高めることができる。
【0011】
請求項2の発明を前提とする請求項4の発明(第1〜4実施形態に対応)は、下記のように構成されている。
前記刃体5はホルダ2の端縁3aから突出してホルダ2の端縁3aの両側から刃先縁7まで延びる側縁8,9を有している。例えば、この刃体5の両側縁8,9のうち他方の側縁9は一方の側縁8へ向けて凹んでいる。この刃体5の両側縁8,9のうち一方の側縁8は、他方の側縁9の対辺としてホルダ2の端縁3aから延びる第一縁部10と、ホルダ2の端縁3aの対辺としてこの第一縁部10と他方の側縁9との間で延びる第二縁部11とからなる。例えば、この一方の側縁8の第二縁部11はホルダ2の端縁3aへ向けて凹んでいる。前記尖端部12は、この一方の側縁8の第二縁部11で刃先縁7から所定範囲延びる延設部分11aと他方の側縁9で刃先縁7から所定範囲延びる延設部分9aとの間に形成されている。例えば、この尖端部12において、第二縁部11の延設部分11aはホルダ2の端縁3aへ向けて凹んでいるとともに、他方の側縁9の延設部分9aは一方の側縁8へ向けて凹んでいる。前記押圧部11bはこの一方の側縁8の第二縁部11で刃先縁7から所定範囲延びる尖端部12の延設部分11aとこの一方の側縁8の第一縁部10との間に形成されている。請求項4の発明では、このような刃体5の形態により刃体5の尖端部12及び押圧部11bによる機能をより一層高めることができる。
【0012】
請求項2または請求項3または請求項4の発明を前提とする請求項5の発明(第1〜4実施形態に対応)において、前記ホルダ2には前記中栓25の引掛部26に挿入して引掛部26を栓本体20の外側へ持ち上げることができる引掛腕部4,3を形成している。請求項5の発明では、ホルダ2の引掛腕部4,3により引掛部26を容易に引き上げることができる。
【0013】
請求項2から請求項5のうちいずれか一つの請求項の発明を前提とする請求項6の発明(第1〜3実施形態に対応)において、前記刃体5の尖端部12を前記栓本体20の切取り線22の一部に挿入する際に栓本体20に当接し得るストッパ27,3aを設けた。請求項6の発明では、このストッパ27,3aにより、栓本体20に対する刃体5の挿入を抑制することができる。
【0014】
請求項5の発明を前提とする請求項7の発明(第2,4実施形態に対応)にかかるホルダ2において、前記刃体5は把持部3の両端縁3a,3bのうち一方の端縁3aに取着され、前記引掛腕部はこの把持部3により兼用されている。請求項7の発明では、ホルダ2を簡単な形態にすることができる。
【0015】
請求項7の発明を前提とする請求項8の発明(第2実施形態に対応)において、前記ホルダ2は、前記引掛腕部を兼用する把持部3と、前記刃体5の尖端部12を前記栓本体20の切取り線22の一部に挿入する際に栓本体20に当接し得るストッパ腕部27とを有し、その把持部3に対しストッパ腕部27を隙間27aをあけて並べている。請求項8の発明では、このストッパ腕部27により、栓本体20に対する刃体5の挿入を抑制することができるとともに、ホルダ2を把持し易い。
【0016】
次に、請求項以外の技術的思想について実施形態の図面の符号を援用して説明する。
請求項4の発明を前提とする第9の発明(第1,3実施形態に対応)において、前記ホルダ2の端縁3aには前記刃体5の両側縁8,9のうち他方の側縁9に面して突起14を形成し、前記栓本体20で閉塞壁部21の外周から突出する外筒部24の内側で前記刃体5の尖端部12を閉塞壁部21に挿入した際にこの外筒部24がこの他方の側縁9と突起14との間に入り込むようにしている。第9の発明では、ホルダ2の端縁3aや突起14が外筒部24に当たってストッパとして機能し、刃体5の尖端部12及び押圧部11bによる機能をより一層高めることができる。
【0017】
請求項5の発明を前提とする第10の発明(第1,3実施形態に対応)にかかるホルダ2において、前記刃体5は把持部3の両端縁3a,3bのうち一方の端縁3aに取着され、前記引掛腕部4は把持部3の両端縁3a,3bのうち他方の端縁3b側に形成されている。第10の発明では、刃体5と引掛腕部4とを互いに分けて把持部3に取着したので、中栓取外し具1を使い易い。
【0018】
第10の発明を前提とする第11の発明(第1実施形態に対応)にかかるホルダ2において、前記引掛腕部4は把持部3の両端縁3a,3bのうち他方の端縁3b側からU状に屈曲され、把持部3と引掛腕部4との間に指入れ凹所6を形成している。第11の発明では、指入れ凹所6に指を入れて把持部3を安定性良く把持することができる。また、把持部3の端縁3aに取着した刃体5と引掛腕部4とを同じ向きにして使用することができるため、中栓取外し具1を使い易い。
【0019】
請求項7または請求項8の発明、または第10の発明または第11の発明を前提とする第12の発明(第1実施形態に対応)にかかるホルダ2において、把持部3の両端縁3a,3bのうち他方の端縁3b側には貫通孔16を形成している。第11の発明では、この貫通孔16に指を入れて把持部3を安定性良く把持することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、上記特定構造の中栓付き栓本体20について有効に利用することができる中栓取外し方法及び中栓取外し具1を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】(a)は第1実施形態にかかる中栓取外し具を示す正面図であり、(b)は同じく側面図である。
【図2】(a)は容器の栓本体を示す部分斜視図であり、(b)はその栓本体の断面図である。
【図3】(a)は第1実施形態にかかる中栓取外し具において刃体の使用開始状態を示す正面図であり、(b)(c)はそれぞれ(a)に示す刃体の作用説明図であり、(d)は第1実施形態にかかる中栓取外し具において引掛腕部の使用開始状態を示す正面図である。
【図4】(a)(b)(c)はそれぞれ図3(d)に示す引掛腕部の作用説明図である。
【図5】(a)は第2実施形態にかかる中栓取外し具を示す正面図であり、(b)は同じく側面図であり、(c)は同じく断面図である。
【図6】(a)は第2実施形態にかかる中栓取外し具において刃体の使用開始状態を示す正面図であり、(b)(c)(d)はそれぞれ(a)に示す刃体の作用説明図である。
【図7】(a)は第2実施形態にかかる中栓取外し具において引掛腕部として兼用する把持部の使用開始状態を示す正面図であり、(b)(c)はそれぞれ(a)に示す引掛腕部の作用説明図であり、(d)はこの引掛腕部の部分平面図である。
【図8】第3実施形態にかかる中栓取外し具を示す正面図である。
【図9】(a)は第4実施形態にかかる中栓取外し具を示す正面図であり、(b)は同じく側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
まず、本発明の第1実施形態にかかる中栓取外し具について図1〜4を参照して説明する。
図1(a)(b)に示すように、この中栓取外し具1においては、ホルダ2が把持部3と引掛腕部4とによりなる。上下方向Zへ延びる把持部3の下端縁3a(一方の端縁)と上端縁3b(他方の端縁)とのうち、下端縁3aに刃体5がその下端縁3aから下方へ突出して取着されている。上端縁3bの前側から引掛腕部4が下方へU状に屈曲されて形成されている。上下方向Zに対し直交する前後方向Xで並ぶ把持部3と引掛腕部4との間に指入れ凹所6が下方へ開放されて形成されている。この引掛腕部4は下端部に鉤部4aを有し、その鉤部4a側で細く形成されている。
【0023】
前記刃体5は、上下方向Z及び前後方向Xに対し直交する左右方向Yの厚みを有する板状をなし、把持部3の下端縁3aから下方へ突出している。この刃体5の周縁全体はその下端縁3aの前後両側から刃先縁7まで延びる側縁8,9からなる。この刃体5の前後両側縁8,9のうち後側縁9(他方の側縁)は、この後側縁9の両端部を結ぶ想定面Aに対し前側縁8(一方の側縁)へ向けて凹んでいる。この刃体5の前後両側縁8,9のうち前側縁8は、後側縁9の対辺として把持部3の下端縁3aから延びる第一縁部10と、その下端縁3aの対辺としてこの第一縁部10と後側縁9との間で延びる第二縁部11とからなる。この前側縁8の第一縁部10は、この第一縁部10の両端部を結ぶ想定面(図示せず)にほぼ沿って延びている。この前側縁8の第二縁部11は、この第二縁部11の両端部を結ぶ想定面Bに対し把持部3の下端縁3aへ向けて凹んでいる。この前側縁8の第二縁部11において刃先縁7から所定範囲延びる延設部分11aと後側縁9で刃先縁7から所定範囲延びる延設部分9aとの間には尖端部12が形成されている。この尖端部12の延設部分11aは上記想定面Bに対し把持部3の下端縁3aへ向けて凹んでいる。この後側縁9の延設部分9aは上記想定面Aに対し前側縁8へ向けて凹んでいる。この前側縁8の第二縁部11において刃先縁7から所定範囲延びる尖端部12の延設部分11aとこの前側縁8の第一縁部10との間には押圧部11bが形成されている。この押圧部11bは上記想定面Bへ向けて膨らんでいる。この尖端部12はこの押圧部11bに対し段差状をなして並んで押圧部11bから突出している。また、把持部3の下端縁3aには刃体5の後側縁9に面する突起14がその後側縁9に対し隙間15をあけて形成されている。
【0024】
前記把持部3の上端縁3b側にはペットボトルなどのキャップを回して開くことができる貫通孔16(指入れ孔)が形成され、その貫通孔16の内周にはそのキャップの外周に接触し得る柔軟部16aと滑止部16bとが周方向で互いに並んで形成されている。また、この把持部3の上端縁3bには缶のプルトップを持ち上げることができるプルトップオープナー17が突出して取着されている。なお、前記突起14や刃体5もビン及び缶の蓋開けに利用することができる。
【0025】
図2(a)(b)及び図3(a)に示すように、容器18内の内容物(液体など)を取り出すことができる取出し部19には栓本体20が取り付けられている。この栓本体20においては、取出し部19の開口19aに対向する閉塞壁部21に切り取り可能な長環状の切取り線22が形成されてその長環状の切取り線22で囲まれる離脱可能壁部23がこの閉塞壁部21に形成され、その閉塞壁部21の外周から円筒状の外筒部24が上方へ突設されているとともに、この外筒部24内には長環状の切取り線22の一部に近接してこの離脱可能壁部23の外側に対し連結部26aで一体に連結された引掛環26(引掛部)を有する中栓25が収容されている。
【0026】
さて、中栓取外し具1を使用する場合には、まず、図3(a)に示すように容器18と把持部3とを把持して刃体5を栓本体20上に当てがい、図3(b)に示すように刃体5を中栓25の引掛環26内に挿入し、引掛環26の連結部26aに対し反対側になる切取り線22の一部に対し尖端部12の刃先縁7を当てがう。次に、その切取り線22の一部にこの尖端部12を挿入して離脱可能壁部23の内側に押し込むと、その切取り線22の一部に切断縁22aが生じるとともに、この尖端部12に隣接する押圧部11bがこの切断縁22aに隣接する離脱可能壁部23に当てがわれる。図3(c)に示すように、刃体5をさらに押し下げると、離脱可能壁部23が押圧部11bにより内側へ押し下げられて切取り線22の切断縁22aが引掛環26の連結部26a側へ広げられる。その際、栓本体20の外筒部24が刃体5の後側縁9と突起14との間の隙間15に入り込む。また、刃体5の尖端部12を栓本体20の切取り線22の一部に挿入する際に把持部3の下端縁3aがストッパとして栓本体20の外筒部24上に当接し得る。
【0027】
その後、図3(d)に示すように中栓取外し具1の刃体5を栓本体20上から離すとともに中栓取外し具1の引掛腕部4を栓本体20上に当てがい、図4(a)に示すようにその引掛腕部4を中栓25の引掛環26内に挿入する。次に、図4(b)に示すようにその引掛腕部4を寝かせてさらに挿入する。次に、図4(c)に示すように、引掛腕部4を外筒部24上に支えられたてことして引掛環26を栓本体20の外側へ持ち上げると、引掛環26の連結部26aが屈曲してその連結部26aの付近で残った切取り線22の一部も切断され、中栓25の全体が閉塞壁部21から分離されるとともに切取り線22の全体で切断縁22aが生じて閉塞壁部21にはその切取り線22の切断縁22aで囲まれる長孔21aが形成される。なお、この引掛腕部4はその鉤部4a側で細く形成されているため、各種サイズの引掛環26に引掛腕部4を挿入することができる。
【0028】
次に、本発明の第2実施形態にかかる中栓取外し具について第1実施形態との相違点を中心に図5〜7を参照して説明する。
図5に示すように、この中栓取外し具1のホルダ2においては、第1実施形態における引掛腕部4が省略されているとともに、刃体5が取着された把持部3の下端縁3aで第1実施形態における突起14が省略され、第1実施形態における引掛腕部4がこの把持部3により兼用されている。また、ストッパ腕部27(ストッパ)がこの把持部3の上端縁3bから把持部3に対し隙間27aをあけて平行に並ぶように刃体5の付近まで延設されている。このストッパ腕部27の下端部には刃体5に対し開閉可能な蓋28が支持されている。なお、前記貫通孔16の内周に形成された柔軟部16aの形態が変更されている。
【0029】
この中栓取外し具1を使用する場合には、まず、図6(a)(b)に示すように容器18とホルダ2とを把持して刃体5を栓本体20上に当てがう。その際、刃体5の使い方は、図6(c)(d)に示すように、第1実施形態と同様であるが、図6(d)に示すように刃体5の尖端部12を栓本体20の切取り線22の一部に挿入する際にストッパ腕部27の下端部が栓本体20の外筒部24上に当接し得る。
【0030】
その後、図7(a)に示すように、刃体5の使用直後に、刃体5を閉塞壁部21から上方へ離して引掛環26の下方まで移動させる。次に、図7(b)に示すように把持部3を刃体5とともに寝かせてさらに挿入する。次に、図7(c)に示すように、把持部3を外筒部24上に支えられたてことして引掛環26を栓本体20の外側へ持ち上げると、引掛環26の連結部26aが屈曲してその連結部26aの付近で残った切取り線22の一部も切断され、中栓25の全体が閉塞壁部21から分離されるとともに切取り線22の全体で切断縁22aが生じて閉塞壁部21にはその切取り線22の切断縁22aで囲まれる長孔21aが形成される。なお、図7(d)に示すように、この把持部3は刃体5側で細く形成されているため、各種サイズの引掛環26に把持部3を挿入することができる。
【0031】
次に、本発明の第3実施形態にかかる中栓取外し具について第1実施形態との相違点を中心に図8を参照して説明する。
この中栓取外し具1のホルダ2において、引掛腕部4は把持部3の上端縁3bの前側から前方へL状に屈曲されて形成され、この引掛腕部4の下方で把持部3の前側から突設された指当て部6aとこの引掛腕部4との間に指入れ凹所6が形成されている。この中栓取外し具1を使用する場合に、刃体5や引掛腕部4の使い方は第1実施形態と同様である。
【0032】
図9に示す第4実施形態にかかる中栓取外し具については、中栓取外し具1のホルダ2においては、第1実施形態における引掛腕部4が省略されているとともに、刃体5が取着された把持部3の下端縁3aで第1実施形態における突起14が省略され、第1実施形態における引掛腕部4がこの把持部3により兼用されている。従って、ホルダ2を簡単な形態にすることができる。
【0033】
本実施形態は下記の効果を有する。
(1) 第1〜4実施形態では、前述したように、特定の形態をなす刃体5の尖端部12及び押圧部11bによる機能により、環状の切取り線22で引掛環26の連結部26aに対する反対側からその連結部26a側へ所定範囲例えばU状の切断縁22aを予め広げることができるので、引掛環26を手や引掛腕部4や把持部3(引掛腕部)で引き上げる場合、残った切取り線22を切断するだけでよく、切取り線22の切断抵抗が小さくなって離脱可能壁部23が切り離される反動も小さくなり、刃体5の尖端部12及び押圧部11bによる機能を高めて中栓取外し具1を使い易い。すなわち、手で握った容器18に生じる反動が小さくなり、容器18に収容された液体などの内容物が容器18の取出し部19の開口19aから飛び散りにくくなる。また、引掛環26の連結部26aに対し反対側になる環状の切取り線22においてU状の切断縁22aの両端部に切断力が分散して中栓25の離脱可能壁部23に生じる反動が小さくなり、中栓25の離脱可能壁部23に付着した液体などの内容物がその離脱可能壁部23から飛び散りにくくなる。
【0034】
(2) 第1,3実施形態では、前述したように、刃体5の尖端部12及び押圧部11bにより切断縁22aを予め広げた引掛環26をホルダ2の引掛腕部4によるてこを利用して軽い力で容易に引き上げることができ、また、第2,4実施形態では、前述したように、引掛環26をホルダ2の把持部3(引掛腕部)によるてこを利用して軽い力で容易に引き上げることができるので、刃体5の尖端部12及び押圧部11bによる機能を高めて中栓取外し具1を使い易いとともに、中栓25の引掛環26が折損されにくい。また、指が入りにくい引掛環26であっても、中栓25を栓本体20から容易に取り外すことができる。
【0035】
(3) 第1〜4実施形態では、前述したように、特定の形態をなす刃体5の尖端部12を鋭利にするので、刃体5の尖端部12及び押圧部11bによる機能を高めて中栓取外し具1を使い易い。
【0036】
(4) 第2実施形態では、前述したように、ストッパ腕部27が栓本体20の外筒部24に当たって栓本体20に対する刃体5の挿入を抑制するので、中栓取外し具1を使い易い。
【0037】
前記実施形態以外にも例えば下記のように構成してもよい。
・ 前記実施形態では板状の刃体5を採用したが、棒状の刃体を採用したりして、刃体5の形態を適宜変更してもよい。
【0038】
・ 前記実施形態の刃体5において、後側縁9の両端部を結ぶ想定面Aにほぼ沿って後側縁9を設けたり、前側縁8の第二縁部11の両端部を結ぶ想定面Bにほぼ沿って第二縁部11を設けたりして、刃体5の形態を適宜変更してもよい。その際、尖端部12は、後側縁9の延設部分9aと第二縁部11の延設部分11aとがなす刃先縁7の角度をある程度鋭利にすることが必要である。
【0039】
・ 前記実施形態では、中栓取外し具1を利用する栓本体20として、中栓25の閉塞壁部21に長環状の切取り線22を形成してその切取り線22の切断後に長孔21aが生じるものを例示したが、円形状や菱形状などの各種形状の切取り線を形成して円形状や菱形状などの各種形状の孔が生じる栓本体に対し中栓取外し具1を利用するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1…中栓取外し具、2…ホルダ、3…把持部、3a…ホルダの下端縁(一方の端縁、ストッパ)、3b…ホルダの上端縁(他方の端縁)、4…引掛腕部、5…刃体、7…刃先縁、8…前側縁(一方の側縁)、9…後側縁(他方の側縁)、9a…後側縁の延設部分、10…前側縁の第一縁部、11…前側縁の第二縁部、11a…第二縁部の延設部分、11b…第二縁部の押圧部、12…尖端部、18…容器、19…容器の取出し部、19a…取出し部の開口、20…栓本体、21…閉塞壁部、22…切取り線、22a…切断縁、23…離脱可能壁部、25…中栓、26…引掛環(引掛部)、26a…引掛環の連結部、27…ストッパ腕部(ストッパ)、27a…隙間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内の内容物を取り出すことができる取出し部に取り付けられる栓本体で、その取出し部の開口に対向する閉塞壁部に切り取り可能な環状の切取り線を形成して、その環状の切取り線で囲まれる離脱可能壁部をこの閉塞壁部に形成するとともに、その環状の切取り線の一部に近接してこの離脱可能壁部の外側に引掛部を連結した中栓を栓本体から取り外す際に、
環状の切取り線の一部に離脱可能壁部の外側から刃体を挿入して切取り線の一部に切断縁を付けた後、環状の切取り線の一部に挿入されて離脱可能壁部の内側に押し込まれた刃体により、離脱可能壁部を内側へ押し下げて切取り線の切断縁を広げる
ことを特徴とする中栓取外し方法。
【請求項2】
容器内の内容物を取り出すことができる取出し部に取り付けられる栓本体で、その取出し部の開口に対向する閉塞壁部に切り取り可能な環状の切取り線を形成して、その環状の切取り線で囲まれる離脱可能壁部をこの閉塞壁部に形成するとともに、その環状の切取り線の一部に近接してこの離脱可能壁部の外側に引掛部を連結した中栓を栓本体から取り外すための中栓取外し具において、
ホルダに取着した刃体は、環状の切取り線の一部に離脱可能壁部の外側から挿入されて切取り線の一部に切断縁を付ける尖端部と、この尖端部が環状の切取り線の一部に挿入されて離脱可能壁部の内側に押し込まれた際に離脱可能壁部を内側へ押し下げて切取り線の切断縁を広げる押圧部とを備えた
ことを特徴とする中栓取外し具。
【請求項3】
前記刃体において尖端部は押圧部に対し段差状をなして並んで押圧部から突出していることを特徴とする請求項2に記載の中栓取外し具。
【請求項4】
前記刃体はホルダの端縁から突出してホルダの端縁両側から刃先縁まで延びる側縁を有し、
この刃体の両側縁のうち一方の側縁は、他方の側縁の対辺としてホルダの端縁から延びる第一縁部と、ホルダの端縁の対辺としてこの第一縁部と他方の側縁との間で延びる第二縁部とからなり、
前記尖端部は、この一方の側縁の第二縁部で刃先縁から所定範囲延びる延設部分と他方の側縁で刃先縁から所定範囲延びる延設部分との間に形成され、
前記押圧部はこの一方の側縁の第二縁部で刃先縁から所定範囲延びる尖端部の延設部分とこの一方の側縁の第一縁部との間に形成されている
ことを特徴とする請求項2に記載の中栓取外し具。
【請求項5】
前記ホルダには前記中栓の引掛部に挿入して引掛部を栓本体の外側へ持ち上げることができる引掛腕部を形成したことを特徴とする請求項2または請求項3または請求項4に記載の中栓取外し具。
【請求項6】
前記刃体の尖端部を前記栓本体の切取り線の一部に挿入する際に栓本体に当接し得るストッパを設けたことを特徴とする請求項2から請求項5のうちいずれか一つの請求項に記載の中栓取外し具。
【請求項7】
前記ホルダにおいて前記刃体は把持部の両端縁のうち一方の端縁に取着され、前記引掛腕部はこの把持部により兼用されていることを特徴とする請求項5に記載の中栓取外し具。
【請求項8】
前記ホルダは、前記引掛腕部を兼用する把持部と、前記刃体の尖端部を前記栓本体の切取り線の一部に挿入する際に栓本体に当接し得るストッパ腕部とを有し、その把持部に対しストッパ腕部を隙間をあけて並べたことを特徴とする請求項7に記載の中栓取外し具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−255930(P2011−255930A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−132083(P2010−132083)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【出願人】(000100481)やおき工業株式会社 (3)
【Fターム(参考)】