説明

中間デッキの連結構造

【課題】衝撃によって家禽ケージが大きく揺動する場合であっても、家禽ケージ及び鶏舎壁の間に架設された中間デッキの変形等を抑制し、破損等の被害を未然に防止することの可能な中間デッキの連結構造を提供することを課題とする。
【解決手段】中間デッキの連結構造1は、家禽ケージ4の鶏舎壁側フレーム7に沿って設けられ、上面に滑動支持面9を有する長片状の滑動支持部3と、家禽ケージ4の鶏舎壁側フレーム7及び鶏舎の鶏舎壁5の間に所定の間隔で架設され、一端が鶏舎壁5と固定される連結固定部、及び、他端近傍の下面に設けられ滑動支持面9と当接する滑動面14を有し滑動支持部3の上に載置される滑動部15を備え、地震による震動を受けると滑動支持面9に対し滑動面14を水平方向に滑動させる複数のデッキ支持体2と、互いに隣接するデッキ支持体2の間に架渡される中間デッキ本体8とを主に具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中間デッキの連結構造に関するものであり、特に鶏舎内に立設された養鶏用多段家禽ケージと鶏舎の鶏舎壁との間に架設される中間デッキの連結構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、多数羽の鶏をまとめて飼育し、鶏卵や鶏肉を生産する養鶏施設において、養鶏用多段家禽ケージ(以下、単に「家禽ケージ」と称す)と呼ばれる鶏を収容し、飼育する設備が用いられている。係る家禽ケージは、金属製の複数のフレーム部材を縦横に組合わせ、多数羽の鶏を収容可能な直方体形状のケージを複数連結し、各ケージに鶏を収容して前後、左右、及び上下の動きを所定範囲に規制した状態で飼育するものである。そして、係るケージを水平方向に連設したケージ列を構築し、さらに上下に積重することによって形成されている。これにより、単位面積当たりの鶏の飼育数を増加させることができ、鶏卵や鶏肉を高い生産効率で生産することが可能となっている。
【0003】
また、家禽ケージには、収容し飼育されている鶏に対して餌や水、栄養剤等を所定のタイミングで自動的に供給する給餌・給水システムや、鶏が産卵した鶏卵を一定の間隔で自動的に回収し、洗浄及びサイズ分け等まで行う集卵システム、或いは鶏が排泄した鶏糞を回収する除糞システム等の各種システムが付設され、係るシステムを稼動させることによって養鶏施設全体で鶏の飼育及び鶏卵等の生産を一元的に、かつ効率的に管理することができるようになっている。これにより、養鶏施設において鶏舎作業に従事する作業者の負担を軽減し、かつ作業人員を必要最低限に抑えることができる。そして、鶏舎内の衛生状態を常に良好なものとし、鶏の飼育や鶏卵の生産を一定に維持することで、高品質の鶏卵等を長期間に亘って市場に安定的に供給することが可能となっている。
【0004】
ここで、家禽ケージは、前述したように、単位面積当たりの鶏の飼育数を増加させるために、養鶏施設に建築された鶏舎内に多段に積重して設けられ、かつ複数の家禽ケージが互いに並設されている。例えば、一般的な場合、複数のケージからなるケージ列を3段から8段程度に積み重ねて家禽ケージを構築することがある。係る場合、家禽ケージのケージ高さは、最低でも2mを超え、6〜8m程度になることもある。一方、家禽ケージの幅方向(短手方向)は、1.8m前後のものが一般的であり、ケージ長手方向(ケージ列方向)は鶏舎の長さに応じて自由に設定されていることがある。これにより、家禽ケージは、全体として縦長の直方体形状を呈し、重心が比較的高い位置に存在する不安定な形状で構成されている。係る問題を解消するため、互いに並設された家禽ケージ同士を連結することで、連結家禽ケージを構成し、地震等の震動に対する耐震性を高めた構造としている。このとき、家禽ケージ同士の連結は、ケージ高さの中間付近を連結するとともに、当該連結部材の上にデッキ状部材を設置することでケージ列方向に沿った移動を可能とする中間デッキの一部機能として構成されている。これにより、家禽ケージの上段側のケージ列に対する給餌や清掃等の作業及び飼育している鶏の健康状態等のチェックを作業員が行う作業用通路として係る中間デッキを利用することができ、かつ家禽ケージ同士の耐震性を高める双方の作用効果を奏することができる。このとき、家禽ケージ同士を連結する中間デッキの連結構造は、地震による震動に十分抗するために、ボルト及びナット等の周知の固定締結手段を利用することによって強固に固定されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、鶏舎等の建物自体は、建築基準法等の各種法規制によって、予め耐震基準が定められ、厳格な運用や定期的な点検が実施されている。そのため、震度4以上の比較的大きな地震に対しても十分な強度を有し、鶏舎自体が倒壊する危険性は極めて低いものであった。一方、鶏舎内に立設された家禽ケージ及びその他の付設された各種システムは、建築物ではないため、明確な耐震基準等が定められていないケースが多く、個々の養鶏施設の判断に基づいて耐震性を決定していた。そのため、鶏舎と鶏舎内に設置された家禽ケージ等の養鶏システムの間で耐震性に違いが生じていた。
【0006】
加えて、家禽ケージには、家禽ケージ自体の重量に加え、前述した給餌・給水システム等の各種システムが付設されていることがあり、家禽ケージ全体としてかなりの重量となることがあった。一例を示すと、単位長さ(1m)当たりの重量が400kg〜500kg程度になることがあり、鶏舎の長さに合わせてケージ長手方向に延びた家禽ケージ全体の重量が数トンを超えることもあった。そのため、重心位置が高く、かつ重量物である家禽ケージは、強い震動によって倒壊の危険性を有していた。
【0007】
しかしながら、家禽ケージと鶏舎壁とを直結する手法は、下記に掲げる問題点を生じることがあった。すなわち、物体(物質)にはそれぞれ固有の固有振動数を有することが知られ、家禽ケージと鶏舎とでは使用する素材の違い、高さ、及び剛性等の力学的特性が大きく相違するため、上述の固有振動数が大きく違うことがあった。その結果、大きな地震が発生し、地震による震動が家禽ケージ及び鶏舎にそれぞれ設置面(床面・地盤)を解して伝達された場合、その震動による震動エネルギーの大きさに応じ、家禽ケージ及び鶏舎がそれぞれ震動(または揺動)するものの、固有振動数の違いによって振幅(揺れ幅)が大きく異なることがあった。係る場合、固有振動数の違いによるひずみが、双方を連結した連結箇所、鶏舎壁と中間デッキ、或いは中間デッキと家禽ケージのいずれかの連結部位に集中し、当該連結部位に変形やひずみ、或いは固定手段(ボルト・ナット等)の破損等の問題を生じることがあった。その結果、中間デッキの構造、家禽ケージ、及び鶏舎の各部位がダメージを受けることがあり、各々の修理及び復旧に多くの時間を要することがあった。これにより、鶏の飼育に影響を及ぼすことがあり、鶏卵等の安定供給が困難となることがあった。
【0008】
そこで、本発明は、上記実情に鑑み、地震の震動による衝撃によって家禽ケージが大きく揺動する場合であっても、家禽ケージ及び鶏舎壁の間に架設された中間デッキの変形等を抑制し、中間デッキの破損等の被害を未然に防止することの可能な中間デッキの連結構造の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明の中間デッキの連結構造は、「養鶏用多段家禽ケージの鶏舎壁側フレームに沿って設けられ、上面に滑動支持面を有する長片状の滑動支持部と、前記養鶏用多段家禽ケージの前記鶏舎壁側フレーム及び鶏舎の鶏舎壁の間に所定の間隔で架設され、一端が前記鶏舎壁と固定される連結固定部、及び、他端近傍の下面に設けられ前記滑動支持面と当接する滑動面を有し前記滑動支持部の上に載置される滑動部を備え、地震による震動を受けると前記滑動支持面に対し前記滑動面を水平方向に滑動させる複数のデッキ支持体と、互いに隣接する前記デッキ支持体の間に架渡される中間デッキ本体と」を具備して主に構成されている。
【0010】
ここで、養鶏用多段家禽ケージ(家禽ケージ)は複数のケージを連設し、ケージ列を構成し、さらに当該ケージ列を上下に積重することによって多段に構築したものであり、養鶏施設において一般に利用されているものである。なお、養鶏用多段家禽ケージは、鶏舎の長手方向に沿ってケージ長手方向を一致させた状態で配設されている。そのため、鶏舎壁に相対する家禽ケージのケージ側面には、鶏舎壁側フレームが鶏舎壁と略平行な状態を保持して形成されている。滑動支持部は、係る鶏舎壁側フレームに沿って、換言すれば、家禽ケージのケージ長手方向に沿って設けられているものであり、上面に水平方向に一致する滑動支持面を有している。一方、デッキ支持体は、長棒状を呈し、ケージ長手方向に所定の間隔で配設され、鶏舎壁及び家禽ケージの間に架設されるものであり、一端に鶏舎壁と固定される連結固定部を有し、他端近傍に滑動支持部の滑動支持面と当接する滑動面を有する滑動部を備えている。これにより、デッキ支持体は、鶏舎壁に強固に固定され、かつ鶏舎壁から家禽ケージ方向に突設されており、かつ他端近傍の滑動部が家禽ケージの滑動支持部に載置されている。そのため、滑動支持部及びデッキ支持体は、滑動部が活動支持部に載置された状態で、上方から観察すると略T字形状若しくは略十字形状を示している。なお、滑動支持部及びデッキ支持体を構成する素材は特に限定されないが、デッキ支持体によって中間デッキ体を支持し、かつ中間デッキ体の上を作業者が移動可能にするために、ステンレスや鉄鋼等の金属製部材を利用することが好適である。また、デッキ支持体の連結固定部は、例えば、ボルト及びナット等の周知の固定手段を利用するものであっても構わない。
【0011】
したがって、本発明の中間デッキの連結構造によれば、デッキ支持体の一端の連結固定部によって鶏舎壁と強固に固定され、他端近傍の滑動部が滑動支持部に載置された状態でセットされて架設されている。これにより、通常の状態では、中間デッキ(中間デッキ本体、滑動支持部、及びデッキ支持体を含む構成に相当)は、重力にしたがって下方への力が加わっているため、滑動支持部の活動支持面及び滑動部の活動面の間で水平方向の滑動が作用することなく、相対的位置を変化させることなく、そのままの状態で保持される。これにより、中間デッキを作業者が自由に移動することができる。一方、大きな地震が発生した場合、家禽ケージ及び鶏舎は、それぞれ地盤から伝達される震動によって、固有振動数に基づいて水平方向に揺動する。このとき、滑動支持部に滑動部が載置されているために、係る部位でのひずみが生じることがなく、滑動部及び滑動支持部の相対的位置関係が変化する。これにより、横揺れによる中間デッキの連結箇所での変形や破損等の問題を生じることがない。なお、本発明の中間デッキの連結構造は、地震発生直後の細かい振幅の縦揺れ(P波)よりも、地震発生からしばらく時間経過した後に伝達される振幅の大きな横揺れ(S波)に対する被害を減少させることが可能となる。
【0012】
さらに、本発明の中間デッキの連結構造は、上記構成に加え、「前記デッキ支持体は、前記滑動部から前記養鶏用多段家禽ケージの内側に向かって他端を突出させた他端突出部」を具備するものであっても構わない。
【0013】
したがって、本発明の中間デッキの連結構造によれば、滑動部から養鶏用多段家禽ケージの内側に向かって突出した他端突出部が設けられている。これにより、地震による震動を受け、横方向に滑動した場合、デッキ支持体の先端が滑動支持部から外れることがない。そのため、大きな横揺れに対応することが可能となる。なお、係る他端突出部の長さは特に限定されず、また設置位置によって適宜変更することができる。すなわち、家禽ケージの上段側で横揺れが大きな場所では係る家禽ケージの中央付近に到達するような長さに設定し、一方、設置面に近い段では横揺れの幅が比較的小さいために、数十cm程度の短めのものに設定するものであってもよい。
【0014】
さらに、本発明の中間デッキの連結構造は、上記構成に加え、「前記滑動支持部は、断面L字形状を呈し、上面に前記滑動支持面を有する滑動片及び前記滑動片の片端から直交方向に曲折され、前記鶏舎壁側フレームに固定される固定片を有するL字支持フレームが利用される」ものであっても構わない。
【0015】
したがって、本発明の中間デッキの連結構造によれば、家禽ケージのケージ長手方向に沿ってL字フレームからなる滑動支持部が鶏舎壁側フレームに取付けられ、デッキ支持体を載置し、下方から支持することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の効果として、鶏舎壁及び家禽ケージの間に架設されたデッキ支持体を滑動自在にすることにより、固有振動数の違いによる中間デッキの連結箇所の変形を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態の中間デッキの連結構造の概略構成を示す説明図である。
【図2】中間デッキの連結構造の概略構成を示す拡大説明図である。
【図3】デッキ支持体の構成を示す(a)正面図、(b)平面図、及び(c)右側面図である。
【図4】滑動支持部の概略構成を示す斜視図である。
【図5】デッキ支持体及び家禽ケージの滑動の様子を示す拡大説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態である中間デッキの連結構造(以下、単に「連結構造1」と称す)について、図1乃至図5に基づいて説明する。ここで、図1は本実施形態の連結構造1の概略構成を示す説明図であり、図2は連結構造1の概略構成を示す拡大説明図であり、図3はデッキ支持体2の構成を示す(a)正面図、(b)平面図、及び(c)右側面図であり、図4は滑動支持部3の概略構成を示す斜視図であり、図5はデッキ支持体2及び家禽ケージ4の滑動の様子を示す拡大説明図である。ここで、本実施形態の連結構造1は、鶏舎(図示しない)の鶏舎壁5と当該鶏舎壁5に近接して設置された鶏舎壁側の家禽ケージ4の間に架設される中間デッキ6の連結構造に係るものであり、説明を簡略化するため、上下にそれぞれ3段のケージCが積重された家禽ケージ4の中間位置で連結するものについて例示するものとする。なお、鶏舎壁側の家禽ケージ4の横(鶏舎内側)には胴形状の家禽ケージ4aが並設され、通常の連結体22によって連結されている。なお、連結体22の上には後述と同じ中間デッキ本体8が載置され、中間デッキ6aを構成している。
【0019】
本実施形態の連結構造1は、図1乃至図5に示されるように、鶏舎の鶏舎壁5と鶏舎内に立設され当該鶏舎壁5に近接した鶏舎壁側の家禽ケージ4との間を連結する中間デッキ6に関するものであって、家禽ケージ4の鶏舎壁側フレーム7のケージ長手方向に沿って設けられた滑動支持部3と、家禽ケージ4及び鶏舎壁5の間に所定の間隔で架設される複数のデッキ支持体2と、互いに隣接するデッキ支持体2の間に架渡される中間デッキ本体8とを具備して主に構成されている。
【0020】
さらに、各構成について具体的に説明すると、本実施形態の連結構造1における滑動支持部3は、図4に示されるように、上面に滑動支持面9を有する滑動片10、滑動片10の一方の片端10aから直交方向に曲折された固定片11を有し、断面L字形状のL字支持フレームが利用されている。ここで、固定片11を鶏舎壁側フレーム7に沿って固定することにより、滑動支持部3が家禽ケージ4に保持された状態となる。なお、滑動支持部3及び鶏舎壁側フレーム7は互いに相対する位置に締結孔(図示しない)がそれぞれ設けられ、ボルト及びナット等の周知の固定手段を利用して固定されている。なお、滑動片10の滑動支持面9は、水平方向に一致するようにセットされ、また当該滑動片10は家禽ケージ4のケージ内側方向(図2における紙面右方向)に向けられている(図2における破線内参照)。
【0021】
一方、デッキ支持体2は、図3等に示されるように、平板状の金属プレートを二箇所で曲折することにより、断面コの字形状(図3(c)参照)を呈して構成されるものであり、デッキ支持体2の一端側(図3(a)における紙面右側)に下方の一部を切欠いた切欠部12を備えている。また、デッキ支持体2の支持体上面2aには、一対のレール溝13が設けられている。さらに、デッキ支持体2の他端側(図3(a)における紙面左側9には、滑動支持部3の滑動支持面9と当接可能な滑動面14を有する滑動部15、及び滑動部15から突出した他端突出部16が形成されている。前述したように、デッキ支持体2は、断面コの字形状に構成され、コの字の開口部を下方に向けた状態で鶏舎壁5及び家禽ケージ4の間に架設されるため、滑動部15は互いに平行な一対の滑動面14を有して構成されている。
【0022】
デッキ支持体2を上記構成のように構成することで、鶏舎壁5から突設された固定柱部17の形状に合わせて上記切欠部12を配し、さらにボルト18及びナット19を利用して鶏舎壁5にデッキ支持体2を固定することができる。ここで、一端側の切欠部12及びボルト18、ナット19が本発明の連結固定部に相当する。これにより、長片状のデッキ支持体2は、鶏舎壁5から家禽ケージ4に向かって突設した状態となる。さらに、デッキ支持体2は、鶏舎壁5(またはケージ長手方向)に沿って所定の間隔で複数設置されている。そして、係るデッキ支持体2の先端(他端側)には家禽ケージ4が立設されている。ここのとき、デッキ支持体2の滑動部15の滑動面14が家禽ケージ4に取設された滑動支持部3の滑動支持面9と当接し、滑動支持部3により当該滑動部15(及びデッキ支持体2)を下方から支持した状態となっている。なお、切欠部12及びボルト18等の締結固定位置を合わせることにより、デッキ支持体2の支持体上面2aが水平方向に一致するように位置合わせが行われる。これにより、鶏舎壁5及び家禽ケージ4の間に複数のデッキ支持体2が架設される。このとき、鶏舎壁5側はボルト18等によって強固に固定されているものの、他端側は滑動部15が滑動支持部3の滑動支持面9に載置されたのみである。さらに、滑動部15から突出した他端突出部16は家禽ケージ4のケージ内側空間4aに位置している。
【0023】
一方、中間デッキ本体8は、板状若しくは編目状に形成されたデッキプレート部2と、デッキプレート部20の下面側に設けられ、デッキ支持体2の支持体上面2aに設けられた一対のレール溝13と嵌合可能にレール幅を一致させた一対の嵌合レール21とを具備して構成されている。これにより、中間デッキ本体8を互いに隣接するデッキ支持体2の間に架渡すことにより中間デッキ6が構築される。ここで、本実施形態の連結構造1において、デッキ支持体2、滑動支持部3、及び中間デッキ本体8を含む構成が本発明の中間デッキ6に相当する。これにより、家禽ケージ4の上段側のケージCに収容され飼育されている鶏に対する各種養鶏作業を作業員が行うための作業用スペース及び当該ケージCに移動するための移動用通路としての中間デッキ6が形成される。
【0024】
また、鶏舎壁5に近接した上記家禽ケージ4と並設された鶏舎内側の家禽ケージ4aとの間は、通常のボルト及びナット(図示しない)を利用して連結体22により強固に連結されている。これにより、重心位置が高く地震による震動に不安定な縦長直方体形状の家禽ケージ4を連結することで安定性を高めることができる。
【0025】
次に、本実施形態の連結構造1を採用した鶏舎及び家禽ケージ4による地震発生時の動きを主に図2及び図5に基づいて説明する。ここで、本実施形態の連結構造1を採用して連結された中間デッキ6は、一方が鶏舎壁5に固定され、他方が家禽ケージ4の滑動支持部3に載置されたデッキ支持体2によって支持されている。このとき、デッキ支持体2の滑動部15の滑動面14と滑動支持部3の滑動支持面9は単に載置されたのみであり、何ら固定手段を利用した固定はなされていない。しかしながら、中間デッキ本体8、デッキ支持体2の自重によって係る状態を維持することができる。さらに、デッキ支持体2の一方が鶏舎壁5と強固に固定されているため、デッキ支持体2の突出方向(家禽ケージ4に対して直交する方向)が変化することがない。すなわち、強い横方向の力が加わらない状況下では中間デッキ6を架設し連結した状態を維持することができる。
【0026】
一方、大地震が発生し、地盤を介して横方向の強い震動エネルギーが家禽ケージ4及び鶏舎にそれぞれ伝搬した場合、個々の物質に特有の固有振動数に応じてそれぞれが横方向に揺動する。このとき、鶏舎及び家禽ケージ4は異なる固有振動数によって当然に揺れの大きさや周期等が相違している。したがって、鶏舎(鶏舎壁5)と家禽ケージ4を、家禽ケージ4間を連結する連結体22のような構成材で直に連結した場合、揺動の違いによって連結箇所にひずみが生じる。しかしながら、本実施形態の場合、デッキ支持体2の他端側の滑動部15は滑動支持部3に載置され下方から支持されているに過ぎないため、揺動に応じて相対的位置関係を所定範囲で自在に変化させることができる。その結果、図5に示すように、横方向に強い力が加わった場合でもデッキ支持体2及び家禽ケージ4の間で連結箇所の破損や変形等の不具合を生じることがない。さらに、本実施形態の連結構造1におけるデッキ支持体2は、他端側が家禽ケージ4のケージ内側空間方向に突出した他端突出部16を備えているため、ある程度の強さの横方向の揺動が加わった場合でも、デッキ支持体2の他端側の先端が滑動支持部3から脱落する、さらに具体的に説明すると、他端側の先端が滑動支持部3の左端を超える位置に移動することを防ぐことができる。これにより、地震による揺動を緩衝している状況においてトラブルを発生することがない。
【0027】
鶏舎自体は厳格な耐震基準に基づいてある程度の地震に耐えうる耐震性を有しており、一方、家禽ケージ4は並設された家禽ケージ4aと連結体22を介して強固に連結されている。互いの家禽ケージ4同士はほぼ同じ形状及び重量のため、固有振動数の大きな違いを生じることがない。そのため、連結体22(及び、その上の中間デッキ本体8)によって断面コの字形状になるように連結された一対の家禽ケージ4,4aは耐震性が向上し大きな地震によっても十分に耐えうることができ、鶏舎内での倒壊の危険性を回避することができる。なお、図1等において、家禽ケージ4,4a等同士の連結は図示を簡略化して説明したが、互いに隣接する複数の家禽ケージ4等同士を連結体22を介して連結することにより、上記耐震性をさらに高めることができる。
【0028】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0029】
すなわち、本実施形態の連結構造1において、デッキ支持体2の上に中間デッキ本体8を嵌合して架渡すものを示したが、これに限定されるものではなく、中間デッキ本体8及びデッキ支持体2を連結するものであっても構わない。さらに、デッキ支持体2を断面コの字形状にしたものを示したがこれに限定されるものではなく、例えば、角柱状の形状であってもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 連結構造(中間デッキの連結構造)
2 デッキ支持体
2a 支持体上面
3 滑動支持部
4,4a 家禽ケージ(養鶏用多段家禽ケージ)
5 鶏舎壁
6,6a 中間デッキ
7 鶏舎壁側フレーム
8 中間デッキ本体
9 滑動支持面
10 滑動片
11 固定片
12 切欠部
13 レール溝
14 滑動面
15 滑動部
16 他端突出部
17 固定柱部
18 ボルト
19 ナット
20 デッキプレート部
21 嵌合レール
22 連結体
C ケージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
養鶏用多段家禽ケージの鶏舎壁側フレームに沿って設けられ、上面に滑動支持面を有する長片状の滑動支持部と、
前記養鶏用多段家禽ケージの前記鶏舎壁側フレーム及び鶏舎の鶏舎壁の間に所定の間隔で架設され、一端が前記鶏舎壁と固定される連結固定部、及び、他端近傍の下面に設けられ前記滑動支持面と当接する滑動面を有し前記滑動支持部の上に載置される滑動部を備え、地震による震動を受けると前記滑動支持面に対し前記滑動面を水平方向に滑動させる複数のデッキ支持体と、
互いに隣接する前記デッキ支持体の間に架渡される中間デッキ本体と
を具備することを特徴とする中間デッキの連結構造。
【請求項2】
前記デッキ支持体は、
前記滑動部から前記養鶏用多段家禽ケージの内側に向かって他端を突出させた他端突出部をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の中間デッキの連結構造。
【請求項3】
前記滑動支持部は、
断面L字形状を呈し、上面に前記滑動支持面を有する滑動片及び前記滑動片の片端から直交方向に曲折され、前記鶏舎壁側フレームに固定される固定片を有するL字支持フレームが利用されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の中間デッキの連結構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−66411(P2013−66411A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206438(P2011−206438)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(390030661)株式会社ハイテム (22)
【Fターム(参考)】