予備苗載せ台
【課題】 本発明は、乗用田植機等の予備苗載せ台において、リンクを回動させて複数の予備苗載せ台の苗箱載置面が一方向に長いレール状の搬送面を形成するレール状態に切り替えることにより、苗箱を楽に搬送することができるようにするものである。
【解決手段】 上段予備苗載せ台12dと中段予備苗載せ台12cと下段予備苗載せ台12bで構成し、上段予備苗載せ台12dと中段予備苗載せ台12c並びに中段予備苗載せ台12cと下段予備苗載せ台12bを前後のリンク26で連結し、リンク26の回動により、上段予備苗載せ台12dと中段予備苗載せ台12cと下段予備苗載せ台12bが上下方向に所定間隔離れた苗箱載置状態と、上段予備苗載せ台12dと中段予備苗載せ台12cと下段予備苗載せ台12bの苗箱載置面が一方向に長いレール状の搬送面を形成するレール状態に切り替え可能に構成した。
【解決手段】 上段予備苗載せ台12dと中段予備苗載せ台12cと下段予備苗載せ台12bで構成し、上段予備苗載せ台12dと中段予備苗載せ台12c並びに中段予備苗載せ台12cと下段予備苗載せ台12bを前後のリンク26で連結し、リンク26の回動により、上段予備苗載せ台12dと中段予備苗載せ台12cと下段予備苗載せ台12bが上下方向に所定間隔離れた苗箱載置状態と、上段予備苗載せ台12dと中段予備苗載せ台12cと下段予備苗載せ台12bの苗箱載置面が一方向に長いレール状の搬送面を形成するレール状態に切り替え可能に構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用田植機や苗移植機等の予備苗載せ台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
乗用田植機等の予備苗載せ台において、走行機体上に畔際から予備苗を補給する折畳み式の予備苗載せ台を設け、この予備苗載せ台を、固定予備苗載せ台と、この固定予備苗載せ台に連結される可動予備苗載せ台とを同一形状に構成し、これらの予備苗載せ台の左右側板を左右方向の連結部材で繋ぐように構成したものは公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−109773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、乗用田植機等の予備苗載せ台において、リンクを回動させて複数の予備苗載せ台の苗箱載置面が一方向に長いレール状の搬送面を形成するレール状態に切り替えることにより、苗箱を楽に搬送することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、上段予備苗載せ台(12d)と中段予備苗載せ台(12c)と下段予備苗載せ台(12b)で構成し、上段予備苗載せ台(12d)と中段予備苗載せ台並びに中段予備苗載せ台(12c)と下段予備苗載せ台(12b)を前後のリンク(26)で連結し、リンク(26)の回動により、上段予備苗載せ台(12d)と中段予備苗載せ台(12c)と下段予備苗載せ台(12b)が上下方向に所定間隔離れた苗箱載置状態と、上段予備苗載せ台(12d)と中段予備苗載せ台(12c)と下段予備苗載せ台(12b)の苗箱載置面が一方向に長いレール状の搬送面を形成するレール状態に切り替え可能に構成した予備苗載せ台とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によると、リンク(26)を回動させてレール状態に切り替えることにより、苗箱を楽に搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】乗用田植機の側面図
【図2】乗用田植機の平面図
【図3】(A)予備苗載せ台の斜視図 (B)予備苗載せ台の側面図
【図4】予備苗載せ台の側面図
【図5】予備苗載せ台の側面図
【図6】乗用田植機の側面図
【図7】乗用田植機の平面図
【図8】制御ブロック図
【図9】フローチャート
【図10】(A)予備苗載せ台の側面図 (B)予備苗載せ台の嵌合連結部の側面図 (C)予備苗載せ台の嵌合連結部のロック構成の平面図
【図11】乗用田植機の平面図
【図12】乗用田植機の側面図
【図13】制御ブロック図
【図14】フローチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1及び図2は、本発明の予備苗載せ台を具備した乗用田植機の側面図及び平面図である。この乗用田植機は、走行機体1の後方に苗植付装置2が上下昇降自在に連結されている。苗植付装置2は、苗載せ台2aにマット苗を載置し、走行機体1を走行させながら苗植付具2bにより苗を圃場に植え付ける周知のものである。
【0009】
走行機体1の前側部にはエンジンEの回転動力をベルト伝動装置3、油圧無段変速装置HSTを経てミッションケース4に伝達し、ミッションケース4内の副変速装置(図示省略)で変速し、走行動力を左右前輪5F,5F及び左右後輪5R,5Rに伝達し、また、作業動力をPTO軸(図示省略)を経由して前記苗植付装置2に伝達している。
【0010】
エンジンEをボンネット6で覆い、ボンネット6の上部にステアリングハンドル7を設け、ボンネット6の後方に座席8を設けている。走行機体1の上面にはボンネット6及び座席8の左右両側部を覆うように機体カバー9を配設し、オペレータが機体カバー9上のボンネット6、座席8の左右両側を通り、前後に移動できるように構成している。
【0011】
走行機体1におけるボンネット6の左右両側部には、苗植付装置2の苗載せ台2aに補給する苗箱(図示省略)を予め載置しておく左右予備苗載せ台12,12を配設している。
【0012】
次に、図3に基づき左右予備苗載せ台12,12について具体的に説明する。
【0013】
左右予備苗載せ台12,12は、左右予備苗載せ台フレーム12a,12aと、左右予備苗載せ台フレーム12a,12aに支持されている上下複数段の左右下段予備苗載せ台12b,…、左右中段予備苗載せ台12c,…及び左右上段予備苗載せ台12d,…により構成している。そして、これら左右下段、中段予備苗載せ台12b,12b、12c,12cの左右両側部には、苗箱支持面から上下に突出するように左右側板21,21を設けて、上下両面に苗箱(図示省略)を載置できるように構成している。
【0014】
また、左右予備苗載せ台フレーム12a,12aに固定状態に支持している左右上段予備苗載せ台12d,12dの左右両側部には、苗箱支持面から上下に突出する左右側板21,21を取り付け、苗箱支持面の上面にだけを苗箱の載置面とし、苗箱支持面の下面側には前後支持フレーム22a,22bを前後方向に出し入れ自在に設けている。
【0015】
また、上段予備苗載せ台12dの左右側板21,21の前側端部に取り付けた左右連結アーム14,…と、中段予備苗載せ台12cの左右側板21,21の前側端部に取り付けた左右連結アーム15,…を、左右方向のピン16,…により枢支連結し、図3(A)に示すように、中段予備苗載せ台12cを下方に反転回動すると、上段予備苗載せ台12dの下方に位置し上下段積み状態になり、また、図3(B)に示すように、中段予備苗載せ台12dを前側上方に反転回動すると、上段予備苗載せ台12dの前方に苗箱載置面を面一状態にして移動し、上段予備苗載せ台12dの下面部から引き出した前支持フレーム22aにより、中段予備苗載せ台12cを前後に展開した状態で支持できるように構成している。
【0016】
また、上段予備苗載せ台12dの左右側板21,21の後側端部に取り付けた左右連結アーム17,…と、下段予備苗載せ台12bの左右側板21,21の後側端部に取り付けた左右連結アーム18,…を、左右方向のピン20,…により枢支連結し、図3(A)に示すように、下段予備苗載せ台12bを下方に回動すると、上段予備苗載せ台12d及び中段予備苗載せ台12cの下方に位置して上下段積み状態となり、また、下段予備苗載せ台12bを後側上方に反転回動すると、上段予備苗載せ台12dの後方に苗箱載置面を面一状態にして移動し、上段予備苗載せ台12dの下面部から引き出した後支持フレーム22bにより支持され、上段予備苗載せ台12dと下段予備苗載せ台12bを前後に展開した状態となるように構成している。
【0017】
前記構成によると、固定状態の上段予備苗載せ台12dの前後には苗箱載置面を面一状態とした中段予備苗載せ台12d及び下段予備苗載せ台12bを位置させ前後方向のレール状に展開できて、機体前側から後側に苗箱を載せて送り苗植付装置2に楽に供給することができる。
【0018】
また、上段予備苗載せ台12dの下面部に前後方向に移動係止自在の前後支持フレーム22a,22bにより、面一状態の中段予備苗載せ台12c及び下段予備苗載せ台12bの下面部を支持するので、反転回動した中段予備苗載せ台12c及び下段予備苗載せ台12bを強固に支持することができる。
【0019】
また、上段予備苗載せ台12dの前後に中段予備苗載せ台12c及び下段予備苗載せ台12bを面一状に配置して前後方向の苗箱搬送レールを構成するので、苗箱の搬送位置を高くすることができ、オペレータは立ち姿で楽に苗箱を搬送することができる。また、予備苗載せ台12dの上段予備苗載せ台12dの下面部に、前後方向移動係止自在の前後支持フレーム22a,22bを支持するので、反転回動する中段予備苗載せ台12c及び下段予備苗載せ台12bを簡単な構成にしながら強固に支持することができる。
【0020】
また、高い位置にある上段予備苗載せ台12dの下面部に前後方向に移動自在の前支持フレーム22a及び後支持フレーム22bを配設して、前側の面一状態の中段予備苗載せ台12c及び後側の下段予備苗載せ台12bを支持するようにしたので、前支持フレーム22a及び後支持フレーム22bの出し入れをオペレータは立ち姿で楽にすることができる。
【0021】
次に、図4に基づき予備苗載せ台12の他と実施形態について説明する。
【0022】
左右予備苗載せ台フレーム12a,12aの上側端部に下段予備苗載せ台12bを取り付け、下段予備苗載せ台12bの左右側板22,22と中段予備苗載せ台12cの左右側板22,22との間を、左右の前後リンク26,26及び左右方向のピンにより枢支連結している。図4(A)に示すように、左右の前後リンク26,26を上側に位置する後傾斜状態でストッパ28,28により係止固定されると、下段予備苗載せ台12bの上方に所定間隔を空けて中段予備苗載せ台12cが位置する構成である。
【0023】
また、下段予備苗載せ台12bの前側端部に回動ストッパ29を左右方向のピンで軸支すると共に、バネ29aにより常時上方に回動しがちに付勢して、下段予備苗載せ台12bの前後方向長さ内に収まるように構成し、左右の前後リンク26,26が前側下方に回動し、中段予備苗載せ台12cの下面が回動ストッパ29に当たると、回動ストッパ29が前側に回動して前方に突出し、中段予備苗載せ台12cを苗箱載置面を面一状態として支持するように構成している。
【0024】
また、中段予備苗載せ台12cの左右側板22,22と上段予備苗載せ台12dの左右側板22,22との間を、左右の前後リンク26,26及び左右方向のピンにより連結支持し、図4(A)に示すように、左右の前後リンク26,26が上側に位置する後傾斜状態でストッパ28,28により係止固定されると、中段予備苗載せ台12cの上方に所定間隔空けて上段予備苗載せ台12dが位置する構成である。
【0025】
また、中段予備苗載せ台12cの前側端部に回動ストッパ29を左右方向のピンで軸支すると共に、バネ29aにより常時上方に回動しがちに付勢し、中段予備苗載せ台12bの前後方向長さ内に収まるように構成している。左右の前後リンク26,26が前側下方に回動し、上段予備苗載せ台12dの下面が回動ストッパ29に当たると、回動ストッパ29が前側に回動突出し、上段予備苗載せ台12dを支持するように構成している。
【0026】
前記構成によると、左右の前後リンク26,…を前側下方に回動すると、下段、中段、上段の予備苗載せ台12b,12c,12dが苗箱受け面を面一状にして前後方向にレール状に並び、苗箱を前側から後側に楽に搬送し苗植付装置2に供給することができる。
【0027】
また、図示省略したが、左右予備苗載せ台フレーム12a,12aの上側端部に中段予備苗載せ台12cを取り付け、中段予備苗載せ台12cの左右側板22,22と上段予備苗載せ台12dの左右側板22,22とを、左右の前後リンク26,26及び左右方向のピンにより枢支連結し、中段予備苗載せ台12cの左右側板22,22と下段予備苗載せ台12bの左右側板22,22とを、左右の前後リンク26,26及び左右方向のピンにより枢支連結し、下段予備苗載せ台12bを上方に回動し、上段予備苗載せ台12dを下方に回動すると、中段予備苗載せ台12c、下段予備苗載せ台12b及び上段予備苗載せ台12dが苗箱載せ面を面一状態にした苗箱搬送受け面を形成するようにしても、前記実施形態と同様の効果を奏する。
【0028】
また、図5に示すように、左右の予備苗載せ台12,12を構成してもよい。
【0029】
左右予備苗載せ台フレーム12a,12aの上側端部に下段予備苗載せ台12bを水平状態で固着し、下段予備苗載せ台12bの左右側板22,22と中段予備苗載せ台12cの左右側板22,22との間を、左右のリンク30,30及び左右方向のピンにより枢支連結し、左右のリンク30,30の上側部が後方に位置する後傾斜姿勢に回動すると、図5(A)に示すように、左右リンク30,30に下段予備苗載せ台12側のストッパ(図示省略)及び中段予備苗載せ台12cのストッパ(図示省略)が当接し、水平状態の下段予備苗載せ台12bの上方に所定間隔空けて水平状態の中段予備苗載せ台12cが位置するように構成している。
【0030】
また、中段予備苗載せ台12cと上段予備苗載せ台12dとの間を、左右のリンク30,30により同様に連結し、左右のリンク30,30の上側部が後方に位置する後傾斜姿勢に回動すると、図5(A)に示すように、中段予備苗載せ台12cと上段予備苗載せ台12dとを所定間隔隔てて水平状態で支持するように構成している。そして、これらの予備苗載せ台12b,12c,12dにはローラ27、…を設けている。
【0031】
また、図5(B)に示すように、左右のリンク30,…を前側下方に回動すると、下段予備苗載せ台12bの前側部に中段予備苗載せ台12cの前側部が当接し水平状態になると係止ピン(図示省略)により固定し、また、中段予備苗載せ台12cの前側部に上段予備苗載せ台12dの前側部が当接し水平状態になると係止ピン(図示省略)により固定することにより、前後方向に長い予備苗載せ台レールを構成することができ、苗箱を楽に後側に移送し苗植付装置2に補給することができる。
【0032】
次に、図6乃至図9について説明する。
【0033】
走行機体1におけるボンネット6の左右両側部には、左右予備苗載せレール31,31を配設している。この左右予備苗載せレール31,31は前後方向に長く構成し、その前側端部を走行機体1の前側端部まで延長し、その後側端部を前記苗植付装置2の前側端部近傍まで延長している。
【0034】
左右予備苗載せレールフレーム31a,31aの上端部に、左右予備苗載せレール31,31の前後方向中間部を左右方向のピンにより上下回動自在に支持している。そして、左右予備苗載せレール31,31を左右レール昇降シリンダ32L,32Rにより昇降可能に構成し、左右予備苗載せレール31,31を前上り傾斜姿勢あるいは後上り傾斜姿勢に変更調節可能に構成している。
【0035】
図8に示すように、制御部33の入力側には、ステアリングハンドル7の左側に配設している左側苗補給スイッチSW1、ステアリングハンドル7の右側に配設している右側苗補給スイッチSW2を接続し、制御部33の出力側には駆動手段を介して、左レール昇降シリンダ32L、右レール昇降シリンダ32Rを接続している。
【0036】
前記構成によると、図9に示すように、左右予備苗載せレール31,31の昇降制御が開始されると、左側苗補給スイッチSW1がONか否かを判定し(ステップS1)、左側苗補給スイッチSW1がONであると、左レール昇降シリンダ32Lを縮小して左予備苗載せレール31を前上り傾斜姿勢に調節し、右レール昇降シリンダ32Rを伸長して右予備苗載せレール31を前下り傾斜姿勢にする(ステップS2)。
【0037】
しかして、苗植付装置2の左側部の苗載せ台2aに苗補給をするときには、左予備苗載せレール31の前側部にマット苗の入った苗箱を載せ後側に移送し苗植付装置2の左側部の苗載せ台2aに楽に苗補給をすることができる。また、空になった苗箱を右予備苗載せレール31の後側部に載せて前側に移送し楽に回収することができる。
【0038】
また、左側苗補給スイッチSW1がONでないときには(ステップS1)、次いで、右側苗補給スイッチSW2がONか否かを判定し(ステップS3)、右側苗補給スイッチSW2がONであると、右レール昇降シリンダ32Rを縮小して右予備苗載せレール31を前上り傾斜姿勢に調節し、左レール昇降シリンダ32Lを伸長して左予備苗載せレール31を前下り傾斜姿勢にする(ステップS2)。
【0039】
しかして、苗植付装置2の苗載せ台2aの右側部に苗補給をするときには、右予備苗載せレール31の前側部にマット苗の入った苗箱を載せ後側に移送し苗植付装置2の右側部の苗載せ台2aに楽に苗補給をすることができる。また、空になった苗箱を左予備苗載せレール31の後側部に載せて前側に移送し楽に回収することができる。
【0040】
また、右側苗補給スイッチSW2がONか否かを判定し、右側苗補給スイッチSW2がONでないときには(ステップS3)、右レール昇降シリンダ32R及び左レール昇降シリンダ32Lを標準状態に伸長し、左右予備苗載せレール31,31を水平姿勢にし、苗箱の保持姿勢に復帰させる(ステップS5)。
【0041】
前記構成によると、前後方向に長い左右予備苗載せ台レール31,31を苗箱の送り方向を下り傾斜にしながら、苗箱の補給搬送及び回収搬送を楽にすることができる。
【0042】
次に、図10に基づき予備苗載せ台12の他の実施形態について説明する。
【0043】
左右予備苗載せ台12,12は、左右予備苗載せ台フレーム12a,12aと、左右予備苗載せ台フレーム12a,12aに支持固着されている左右中段予備苗載せ台12c,…と、左右予備苗載せ台フレーム12a,12aの下段支持台36に載置支持される左右下段予備苗載せ台12b,…と、左右予備苗載せ台フレーム12a,12aの上段支持台37に載置支持される左右上段予備苗載せ台12d,…により構成している。
【0044】
そして、中段予備苗載せ台12cの前後方向中間左右両側部に、左右連結棒38,38を左右方向のピン38a,38aにより軸支し、左右連結棒38,38の一端に構成した長孔38b,38bに、上段予備苗載せ台12dの後側端部に設けた左右のピン38c,38cを嵌合支持し、また、左右連結棒38,38の他端に構成した長孔38d,38dに、下段予備苗載せ台12bの前側端部に設けた左右のピン38e,38eを嵌合支持している。
【0045】
また、中段予備苗載せ台12cの後側端部と上段予備苗載せ台12dの後側端部を嵌合連結部39a,39bに構成して、中段予備苗載せ台12cの苗箱載置面と、上段予備苗載せ台12dを上下反転した苗箱載置面とを面一状態で連結可能に構成している。また、中段予備苗載せ台12cの前側端部と下段予備苗載せ台12bの前側端部を嵌合連結部39c,39dに構成して、中段予備苗載せ台12cの苗箱の載置面と、下段予備苗載せ台12bを上下反転した苗箱載置面とを面一状態で連結可能に構成している。
【0046】
前記構成によると、図10(A)に示すように、左右中段予備苗載せ台12c,…と、左右予備苗載せ台フレーム12a,12aの下段支持台36に載置支持された左右下段予備苗載せ台12b,…と、左右予備苗載せ台フレーム12a,12aの上段支持台37に載置支持された左右上段予備苗載せ台12d,…とにより、苗箱の載置可能な上下複数段の予備苗載せ台を構成している。そして、この状態では、左右連結棒38,38は後側上り傾斜状でストッパ41,41により左右予備苗載せ台フレーム12a,12aに支持され、下段、上段予備苗載せ台12b,12dは上段、下段支持台36,37により水平状に載置支持される。
【0047】
また、左右連結棒38,38を時計方向に回動して水平状態とし、下段、上段予備苗載せ台12b,12dを上下反転させて水平状にし、次いで、左右連結棒38,38の長孔38b,38dに沿って中段予備苗載せ台12cに近づける側に移動すると、嵌合連結部39a,39b、39c,39dが嵌合し、図10(C)に示すように、ロックアーム42の孔42aとロックピン43により固着し、下段、中段、上段予備苗載せ台12b,12c,12dにより前後方向に長い面一の苗箱搬送面が形成され、苗箱を楽に搬送することができる。
【0048】
次に、図11について説明する。左右予備苗載せ台12,12を、左右予備苗載せ台フレーム12a,12aと、左右予備苗載せ台フレーム12a,12aに支持した左右下段予備苗載せ台12b,…、左右中段予備苗載せ台12c,…、左右上段予備苗載せ台12d,…により構成している。そして、左右予備苗載せ台フレーム12a,12aの下部を平面視でL字状の屈折部12n,12nに構成し、走行機体1の前端部にその先端部を上下方向のピン44,44に連結支持し、この屈折部12n,12nに足載せステップ45を設けている。
【0049】
そして、左右予備苗載せ台12,12を左右両側に回動した走行作業状態では、左右予備苗載せ台フレーム12a,12aの屈折部12n,12nが走行機体1の前側部及び前側左右両側部を覆ってバンパの機能を果たしている。また、左右予備苗載せ台12,12を機体前側に回動した停止苗箱補給状態では、左右予備苗載せ台フレーム12a,12aの屈折部12n,12nが走行機体1の前方に突出して足載せステップ45,45が機体前方に突出するように構成し、左右予備苗載せ台12,12の走行作業状態及び停止苗補給状態でロックするロック部材を設けている。
【0050】
前記構成によると、畔際からの苗箱補給時には、走行機体1の前方に左右予備苗載せ台12,12を回動することにより、畔際の苗箱を左右予備苗載せ台12,12に楽に積み込むことができ、また、畔際と機体とが離れているときには、左右予備苗載せ台フレーム12a,12aの屈折部12n,12nに設けている足載せステップ45,45を利用して、機体の乗降を楽にすることができる。
【0051】
また、図12及び図13に示すように構成してもよい。左右予備苗載せ台12,12を、左右予備苗載せ台フレーム12a,12aと、左右予備苗載せ台フレーム12a,12aに支持した左右下段予備苗載せ台12b,…、左右中段予備苗載せ台12c,…、左右上段予備苗載せ台12d,…により構成している。左右予備苗載せ台フレーム12a,12aの上側部には、左右下段、中段、上段予備苗載せ台12b,12c,12dの長手方向一端部を支持し、左右予備苗載せ台フレーム12a,12aを走行機体1に対して縦軸回りに回動自在に構成し、図12に示すように、苗補給状態では、左右予備苗載せ台フレーム12a,12aから予備苗載せ台12b,12c,12dの他端側を後側に長く突出させて苗植付装置2に接近するように構成している。
【0052】
また、苗補給状態で左右予備苗載せ台12b,12c,12dの他端側が後側へ突出した状態では、走行機体1の走行を牽制する牽制手段を設け、走行不能に構成している。走行機体1には、図1及び図2に示すように、油圧無段変速装置HSTを変速するHSTレバー54を設け、また、図13に示すように、制御部51の入力側には、予備苗載せ台12b,12c,12dの後方への突出状態を検出する苗枠後方移動検出センサ52を設け、制御部51の出力側には、駆動手段を介してHST強制中立シリンダ53を接続し、HST強制中立シリンダ53により油圧無段変速装置HSTのトラニオン軸(図示省略)及びHSTレバー54を強制的に中立位置に復帰させるように構成している。
【0053】
図14に示すように、制御が開始されると、後方移動検出センサ52が左右予備苗載せ台の後方移動を検出したか否かの判定をし(ステップS1)、左右予備苗載せ台12b,12c,12dの後方移動を検出すると、HST強制中立シリンダ53を作動し(ステップS2)、HSTレバー54を中立位置に復帰させる。また、後方移動検出センサ52が左右予備苗載せ台12b,12c,12dの後方移動を検出していないときには、HST強制中立シリンダ53の中立位置復帰規制を解除し、HSTレバー54を操作可能になり走行機体1は走行することができる。
【0054】
前記構成によると、左右予備苗載せ台12b,12c,12dが後方へ突出した苗補給姿勢にある時には、走行機体1の走行ができないように牽制するので、左右予備苗載せ台12b,12c,12dの適正位置にあるときだけに乗用田植機を走行できるようになり安全である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用田植機や苗移植機等の予備苗載せ台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
乗用田植機等の予備苗載せ台において、走行機体上に畔際から予備苗を補給する折畳み式の予備苗載せ台を設け、この予備苗載せ台を、固定予備苗載せ台と、この固定予備苗載せ台に連結される可動予備苗載せ台とを同一形状に構成し、これらの予備苗載せ台の左右側板を左右方向の連結部材で繋ぐように構成したものは公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−109773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、乗用田植機等の予備苗載せ台において、リンクを回動させて複数の予備苗載せ台の苗箱載置面が一方向に長いレール状の搬送面を形成するレール状態に切り替えることにより、苗箱を楽に搬送することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、上段予備苗載せ台(12d)と中段予備苗載せ台(12c)と下段予備苗載せ台(12b)で構成し、上段予備苗載せ台(12d)と中段予備苗載せ台並びに中段予備苗載せ台(12c)と下段予備苗載せ台(12b)を前後のリンク(26)で連結し、リンク(26)の回動により、上段予備苗載せ台(12d)と中段予備苗載せ台(12c)と下段予備苗載せ台(12b)が上下方向に所定間隔離れた苗箱載置状態と、上段予備苗載せ台(12d)と中段予備苗載せ台(12c)と下段予備苗載せ台(12b)の苗箱載置面が一方向に長いレール状の搬送面を形成するレール状態に切り替え可能に構成した予備苗載せ台とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によると、リンク(26)を回動させてレール状態に切り替えることにより、苗箱を楽に搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】乗用田植機の側面図
【図2】乗用田植機の平面図
【図3】(A)予備苗載せ台の斜視図 (B)予備苗載せ台の側面図
【図4】予備苗載せ台の側面図
【図5】予備苗載せ台の側面図
【図6】乗用田植機の側面図
【図7】乗用田植機の平面図
【図8】制御ブロック図
【図9】フローチャート
【図10】(A)予備苗載せ台の側面図 (B)予備苗載せ台の嵌合連結部の側面図 (C)予備苗載せ台の嵌合連結部のロック構成の平面図
【図11】乗用田植機の平面図
【図12】乗用田植機の側面図
【図13】制御ブロック図
【図14】フローチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1及び図2は、本発明の予備苗載せ台を具備した乗用田植機の側面図及び平面図である。この乗用田植機は、走行機体1の後方に苗植付装置2が上下昇降自在に連結されている。苗植付装置2は、苗載せ台2aにマット苗を載置し、走行機体1を走行させながら苗植付具2bにより苗を圃場に植え付ける周知のものである。
【0009】
走行機体1の前側部にはエンジンEの回転動力をベルト伝動装置3、油圧無段変速装置HSTを経てミッションケース4に伝達し、ミッションケース4内の副変速装置(図示省略)で変速し、走行動力を左右前輪5F,5F及び左右後輪5R,5Rに伝達し、また、作業動力をPTO軸(図示省略)を経由して前記苗植付装置2に伝達している。
【0010】
エンジンEをボンネット6で覆い、ボンネット6の上部にステアリングハンドル7を設け、ボンネット6の後方に座席8を設けている。走行機体1の上面にはボンネット6及び座席8の左右両側部を覆うように機体カバー9を配設し、オペレータが機体カバー9上のボンネット6、座席8の左右両側を通り、前後に移動できるように構成している。
【0011】
走行機体1におけるボンネット6の左右両側部には、苗植付装置2の苗載せ台2aに補給する苗箱(図示省略)を予め載置しておく左右予備苗載せ台12,12を配設している。
【0012】
次に、図3に基づき左右予備苗載せ台12,12について具体的に説明する。
【0013】
左右予備苗載せ台12,12は、左右予備苗載せ台フレーム12a,12aと、左右予備苗載せ台フレーム12a,12aに支持されている上下複数段の左右下段予備苗載せ台12b,…、左右中段予備苗載せ台12c,…及び左右上段予備苗載せ台12d,…により構成している。そして、これら左右下段、中段予備苗載せ台12b,12b、12c,12cの左右両側部には、苗箱支持面から上下に突出するように左右側板21,21を設けて、上下両面に苗箱(図示省略)を載置できるように構成している。
【0014】
また、左右予備苗載せ台フレーム12a,12aに固定状態に支持している左右上段予備苗載せ台12d,12dの左右両側部には、苗箱支持面から上下に突出する左右側板21,21を取り付け、苗箱支持面の上面にだけを苗箱の載置面とし、苗箱支持面の下面側には前後支持フレーム22a,22bを前後方向に出し入れ自在に設けている。
【0015】
また、上段予備苗載せ台12dの左右側板21,21の前側端部に取り付けた左右連結アーム14,…と、中段予備苗載せ台12cの左右側板21,21の前側端部に取り付けた左右連結アーム15,…を、左右方向のピン16,…により枢支連結し、図3(A)に示すように、中段予備苗載せ台12cを下方に反転回動すると、上段予備苗載せ台12dの下方に位置し上下段積み状態になり、また、図3(B)に示すように、中段予備苗載せ台12dを前側上方に反転回動すると、上段予備苗載せ台12dの前方に苗箱載置面を面一状態にして移動し、上段予備苗載せ台12dの下面部から引き出した前支持フレーム22aにより、中段予備苗載せ台12cを前後に展開した状態で支持できるように構成している。
【0016】
また、上段予備苗載せ台12dの左右側板21,21の後側端部に取り付けた左右連結アーム17,…と、下段予備苗載せ台12bの左右側板21,21の後側端部に取り付けた左右連結アーム18,…を、左右方向のピン20,…により枢支連結し、図3(A)に示すように、下段予備苗載せ台12bを下方に回動すると、上段予備苗載せ台12d及び中段予備苗載せ台12cの下方に位置して上下段積み状態となり、また、下段予備苗載せ台12bを後側上方に反転回動すると、上段予備苗載せ台12dの後方に苗箱載置面を面一状態にして移動し、上段予備苗載せ台12dの下面部から引き出した後支持フレーム22bにより支持され、上段予備苗載せ台12dと下段予備苗載せ台12bを前後に展開した状態となるように構成している。
【0017】
前記構成によると、固定状態の上段予備苗載せ台12dの前後には苗箱載置面を面一状態とした中段予備苗載せ台12d及び下段予備苗載せ台12bを位置させ前後方向のレール状に展開できて、機体前側から後側に苗箱を載せて送り苗植付装置2に楽に供給することができる。
【0018】
また、上段予備苗載せ台12dの下面部に前後方向に移動係止自在の前後支持フレーム22a,22bにより、面一状態の中段予備苗載せ台12c及び下段予備苗載せ台12bの下面部を支持するので、反転回動した中段予備苗載せ台12c及び下段予備苗載せ台12bを強固に支持することができる。
【0019】
また、上段予備苗載せ台12dの前後に中段予備苗載せ台12c及び下段予備苗載せ台12bを面一状に配置して前後方向の苗箱搬送レールを構成するので、苗箱の搬送位置を高くすることができ、オペレータは立ち姿で楽に苗箱を搬送することができる。また、予備苗載せ台12dの上段予備苗載せ台12dの下面部に、前後方向移動係止自在の前後支持フレーム22a,22bを支持するので、反転回動する中段予備苗載せ台12c及び下段予備苗載せ台12bを簡単な構成にしながら強固に支持することができる。
【0020】
また、高い位置にある上段予備苗載せ台12dの下面部に前後方向に移動自在の前支持フレーム22a及び後支持フレーム22bを配設して、前側の面一状態の中段予備苗載せ台12c及び後側の下段予備苗載せ台12bを支持するようにしたので、前支持フレーム22a及び後支持フレーム22bの出し入れをオペレータは立ち姿で楽にすることができる。
【0021】
次に、図4に基づき予備苗載せ台12の他と実施形態について説明する。
【0022】
左右予備苗載せ台フレーム12a,12aの上側端部に下段予備苗載せ台12bを取り付け、下段予備苗載せ台12bの左右側板22,22と中段予備苗載せ台12cの左右側板22,22との間を、左右の前後リンク26,26及び左右方向のピンにより枢支連結している。図4(A)に示すように、左右の前後リンク26,26を上側に位置する後傾斜状態でストッパ28,28により係止固定されると、下段予備苗載せ台12bの上方に所定間隔を空けて中段予備苗載せ台12cが位置する構成である。
【0023】
また、下段予備苗載せ台12bの前側端部に回動ストッパ29を左右方向のピンで軸支すると共に、バネ29aにより常時上方に回動しがちに付勢して、下段予備苗載せ台12bの前後方向長さ内に収まるように構成し、左右の前後リンク26,26が前側下方に回動し、中段予備苗載せ台12cの下面が回動ストッパ29に当たると、回動ストッパ29が前側に回動して前方に突出し、中段予備苗載せ台12cを苗箱載置面を面一状態として支持するように構成している。
【0024】
また、中段予備苗載せ台12cの左右側板22,22と上段予備苗載せ台12dの左右側板22,22との間を、左右の前後リンク26,26及び左右方向のピンにより連結支持し、図4(A)に示すように、左右の前後リンク26,26が上側に位置する後傾斜状態でストッパ28,28により係止固定されると、中段予備苗載せ台12cの上方に所定間隔空けて上段予備苗載せ台12dが位置する構成である。
【0025】
また、中段予備苗載せ台12cの前側端部に回動ストッパ29を左右方向のピンで軸支すると共に、バネ29aにより常時上方に回動しがちに付勢し、中段予備苗載せ台12bの前後方向長さ内に収まるように構成している。左右の前後リンク26,26が前側下方に回動し、上段予備苗載せ台12dの下面が回動ストッパ29に当たると、回動ストッパ29が前側に回動突出し、上段予備苗載せ台12dを支持するように構成している。
【0026】
前記構成によると、左右の前後リンク26,…を前側下方に回動すると、下段、中段、上段の予備苗載せ台12b,12c,12dが苗箱受け面を面一状にして前後方向にレール状に並び、苗箱を前側から後側に楽に搬送し苗植付装置2に供給することができる。
【0027】
また、図示省略したが、左右予備苗載せ台フレーム12a,12aの上側端部に中段予備苗載せ台12cを取り付け、中段予備苗載せ台12cの左右側板22,22と上段予備苗載せ台12dの左右側板22,22とを、左右の前後リンク26,26及び左右方向のピンにより枢支連結し、中段予備苗載せ台12cの左右側板22,22と下段予備苗載せ台12bの左右側板22,22とを、左右の前後リンク26,26及び左右方向のピンにより枢支連結し、下段予備苗載せ台12bを上方に回動し、上段予備苗載せ台12dを下方に回動すると、中段予備苗載せ台12c、下段予備苗載せ台12b及び上段予備苗載せ台12dが苗箱載せ面を面一状態にした苗箱搬送受け面を形成するようにしても、前記実施形態と同様の効果を奏する。
【0028】
また、図5に示すように、左右の予備苗載せ台12,12を構成してもよい。
【0029】
左右予備苗載せ台フレーム12a,12aの上側端部に下段予備苗載せ台12bを水平状態で固着し、下段予備苗載せ台12bの左右側板22,22と中段予備苗載せ台12cの左右側板22,22との間を、左右のリンク30,30及び左右方向のピンにより枢支連結し、左右のリンク30,30の上側部が後方に位置する後傾斜姿勢に回動すると、図5(A)に示すように、左右リンク30,30に下段予備苗載せ台12側のストッパ(図示省略)及び中段予備苗載せ台12cのストッパ(図示省略)が当接し、水平状態の下段予備苗載せ台12bの上方に所定間隔空けて水平状態の中段予備苗載せ台12cが位置するように構成している。
【0030】
また、中段予備苗載せ台12cと上段予備苗載せ台12dとの間を、左右のリンク30,30により同様に連結し、左右のリンク30,30の上側部が後方に位置する後傾斜姿勢に回動すると、図5(A)に示すように、中段予備苗載せ台12cと上段予備苗載せ台12dとを所定間隔隔てて水平状態で支持するように構成している。そして、これらの予備苗載せ台12b,12c,12dにはローラ27、…を設けている。
【0031】
また、図5(B)に示すように、左右のリンク30,…を前側下方に回動すると、下段予備苗載せ台12bの前側部に中段予備苗載せ台12cの前側部が当接し水平状態になると係止ピン(図示省略)により固定し、また、中段予備苗載せ台12cの前側部に上段予備苗載せ台12dの前側部が当接し水平状態になると係止ピン(図示省略)により固定することにより、前後方向に長い予備苗載せ台レールを構成することができ、苗箱を楽に後側に移送し苗植付装置2に補給することができる。
【0032】
次に、図6乃至図9について説明する。
【0033】
走行機体1におけるボンネット6の左右両側部には、左右予備苗載せレール31,31を配設している。この左右予備苗載せレール31,31は前後方向に長く構成し、その前側端部を走行機体1の前側端部まで延長し、その後側端部を前記苗植付装置2の前側端部近傍まで延長している。
【0034】
左右予備苗載せレールフレーム31a,31aの上端部に、左右予備苗載せレール31,31の前後方向中間部を左右方向のピンにより上下回動自在に支持している。そして、左右予備苗載せレール31,31を左右レール昇降シリンダ32L,32Rにより昇降可能に構成し、左右予備苗載せレール31,31を前上り傾斜姿勢あるいは後上り傾斜姿勢に変更調節可能に構成している。
【0035】
図8に示すように、制御部33の入力側には、ステアリングハンドル7の左側に配設している左側苗補給スイッチSW1、ステアリングハンドル7の右側に配設している右側苗補給スイッチSW2を接続し、制御部33の出力側には駆動手段を介して、左レール昇降シリンダ32L、右レール昇降シリンダ32Rを接続している。
【0036】
前記構成によると、図9に示すように、左右予備苗載せレール31,31の昇降制御が開始されると、左側苗補給スイッチSW1がONか否かを判定し(ステップS1)、左側苗補給スイッチSW1がONであると、左レール昇降シリンダ32Lを縮小して左予備苗載せレール31を前上り傾斜姿勢に調節し、右レール昇降シリンダ32Rを伸長して右予備苗載せレール31を前下り傾斜姿勢にする(ステップS2)。
【0037】
しかして、苗植付装置2の左側部の苗載せ台2aに苗補給をするときには、左予備苗載せレール31の前側部にマット苗の入った苗箱を載せ後側に移送し苗植付装置2の左側部の苗載せ台2aに楽に苗補給をすることができる。また、空になった苗箱を右予備苗載せレール31の後側部に載せて前側に移送し楽に回収することができる。
【0038】
また、左側苗補給スイッチSW1がONでないときには(ステップS1)、次いで、右側苗補給スイッチSW2がONか否かを判定し(ステップS3)、右側苗補給スイッチSW2がONであると、右レール昇降シリンダ32Rを縮小して右予備苗載せレール31を前上り傾斜姿勢に調節し、左レール昇降シリンダ32Lを伸長して左予備苗載せレール31を前下り傾斜姿勢にする(ステップS2)。
【0039】
しかして、苗植付装置2の苗載せ台2aの右側部に苗補給をするときには、右予備苗載せレール31の前側部にマット苗の入った苗箱を載せ後側に移送し苗植付装置2の右側部の苗載せ台2aに楽に苗補給をすることができる。また、空になった苗箱を左予備苗載せレール31の後側部に載せて前側に移送し楽に回収することができる。
【0040】
また、右側苗補給スイッチSW2がONか否かを判定し、右側苗補給スイッチSW2がONでないときには(ステップS3)、右レール昇降シリンダ32R及び左レール昇降シリンダ32Lを標準状態に伸長し、左右予備苗載せレール31,31を水平姿勢にし、苗箱の保持姿勢に復帰させる(ステップS5)。
【0041】
前記構成によると、前後方向に長い左右予備苗載せ台レール31,31を苗箱の送り方向を下り傾斜にしながら、苗箱の補給搬送及び回収搬送を楽にすることができる。
【0042】
次に、図10に基づき予備苗載せ台12の他の実施形態について説明する。
【0043】
左右予備苗載せ台12,12は、左右予備苗載せ台フレーム12a,12aと、左右予備苗載せ台フレーム12a,12aに支持固着されている左右中段予備苗載せ台12c,…と、左右予備苗載せ台フレーム12a,12aの下段支持台36に載置支持される左右下段予備苗載せ台12b,…と、左右予備苗載せ台フレーム12a,12aの上段支持台37に載置支持される左右上段予備苗載せ台12d,…により構成している。
【0044】
そして、中段予備苗載せ台12cの前後方向中間左右両側部に、左右連結棒38,38を左右方向のピン38a,38aにより軸支し、左右連結棒38,38の一端に構成した長孔38b,38bに、上段予備苗載せ台12dの後側端部に設けた左右のピン38c,38cを嵌合支持し、また、左右連結棒38,38の他端に構成した長孔38d,38dに、下段予備苗載せ台12bの前側端部に設けた左右のピン38e,38eを嵌合支持している。
【0045】
また、中段予備苗載せ台12cの後側端部と上段予備苗載せ台12dの後側端部を嵌合連結部39a,39bに構成して、中段予備苗載せ台12cの苗箱載置面と、上段予備苗載せ台12dを上下反転した苗箱載置面とを面一状態で連結可能に構成している。また、中段予備苗載せ台12cの前側端部と下段予備苗載せ台12bの前側端部を嵌合連結部39c,39dに構成して、中段予備苗載せ台12cの苗箱の載置面と、下段予備苗載せ台12bを上下反転した苗箱載置面とを面一状態で連結可能に構成している。
【0046】
前記構成によると、図10(A)に示すように、左右中段予備苗載せ台12c,…と、左右予備苗載せ台フレーム12a,12aの下段支持台36に載置支持された左右下段予備苗載せ台12b,…と、左右予備苗載せ台フレーム12a,12aの上段支持台37に載置支持された左右上段予備苗載せ台12d,…とにより、苗箱の載置可能な上下複数段の予備苗載せ台を構成している。そして、この状態では、左右連結棒38,38は後側上り傾斜状でストッパ41,41により左右予備苗載せ台フレーム12a,12aに支持され、下段、上段予備苗載せ台12b,12dは上段、下段支持台36,37により水平状に載置支持される。
【0047】
また、左右連結棒38,38を時計方向に回動して水平状態とし、下段、上段予備苗載せ台12b,12dを上下反転させて水平状にし、次いで、左右連結棒38,38の長孔38b,38dに沿って中段予備苗載せ台12cに近づける側に移動すると、嵌合連結部39a,39b、39c,39dが嵌合し、図10(C)に示すように、ロックアーム42の孔42aとロックピン43により固着し、下段、中段、上段予備苗載せ台12b,12c,12dにより前後方向に長い面一の苗箱搬送面が形成され、苗箱を楽に搬送することができる。
【0048】
次に、図11について説明する。左右予備苗載せ台12,12を、左右予備苗載せ台フレーム12a,12aと、左右予備苗載せ台フレーム12a,12aに支持した左右下段予備苗載せ台12b,…、左右中段予備苗載せ台12c,…、左右上段予備苗載せ台12d,…により構成している。そして、左右予備苗載せ台フレーム12a,12aの下部を平面視でL字状の屈折部12n,12nに構成し、走行機体1の前端部にその先端部を上下方向のピン44,44に連結支持し、この屈折部12n,12nに足載せステップ45を設けている。
【0049】
そして、左右予備苗載せ台12,12を左右両側に回動した走行作業状態では、左右予備苗載せ台フレーム12a,12aの屈折部12n,12nが走行機体1の前側部及び前側左右両側部を覆ってバンパの機能を果たしている。また、左右予備苗載せ台12,12を機体前側に回動した停止苗箱補給状態では、左右予備苗載せ台フレーム12a,12aの屈折部12n,12nが走行機体1の前方に突出して足載せステップ45,45が機体前方に突出するように構成し、左右予備苗載せ台12,12の走行作業状態及び停止苗補給状態でロックするロック部材を設けている。
【0050】
前記構成によると、畔際からの苗箱補給時には、走行機体1の前方に左右予備苗載せ台12,12を回動することにより、畔際の苗箱を左右予備苗載せ台12,12に楽に積み込むことができ、また、畔際と機体とが離れているときには、左右予備苗載せ台フレーム12a,12aの屈折部12n,12nに設けている足載せステップ45,45を利用して、機体の乗降を楽にすることができる。
【0051】
また、図12及び図13に示すように構成してもよい。左右予備苗載せ台12,12を、左右予備苗載せ台フレーム12a,12aと、左右予備苗載せ台フレーム12a,12aに支持した左右下段予備苗載せ台12b,…、左右中段予備苗載せ台12c,…、左右上段予備苗載せ台12d,…により構成している。左右予備苗載せ台フレーム12a,12aの上側部には、左右下段、中段、上段予備苗載せ台12b,12c,12dの長手方向一端部を支持し、左右予備苗載せ台フレーム12a,12aを走行機体1に対して縦軸回りに回動自在に構成し、図12に示すように、苗補給状態では、左右予備苗載せ台フレーム12a,12aから予備苗載せ台12b,12c,12dの他端側を後側に長く突出させて苗植付装置2に接近するように構成している。
【0052】
また、苗補給状態で左右予備苗載せ台12b,12c,12dの他端側が後側へ突出した状態では、走行機体1の走行を牽制する牽制手段を設け、走行不能に構成している。走行機体1には、図1及び図2に示すように、油圧無段変速装置HSTを変速するHSTレバー54を設け、また、図13に示すように、制御部51の入力側には、予備苗載せ台12b,12c,12dの後方への突出状態を検出する苗枠後方移動検出センサ52を設け、制御部51の出力側には、駆動手段を介してHST強制中立シリンダ53を接続し、HST強制中立シリンダ53により油圧無段変速装置HSTのトラニオン軸(図示省略)及びHSTレバー54を強制的に中立位置に復帰させるように構成している。
【0053】
図14に示すように、制御が開始されると、後方移動検出センサ52が左右予備苗載せ台の後方移動を検出したか否かの判定をし(ステップS1)、左右予備苗載せ台12b,12c,12dの後方移動を検出すると、HST強制中立シリンダ53を作動し(ステップS2)、HSTレバー54を中立位置に復帰させる。また、後方移動検出センサ52が左右予備苗載せ台12b,12c,12dの後方移動を検出していないときには、HST強制中立シリンダ53の中立位置復帰規制を解除し、HSTレバー54を操作可能になり走行機体1は走行することができる。
【0054】
前記構成によると、左右予備苗載せ台12b,12c,12dが後方へ突出した苗補給姿勢にある時には、走行機体1の走行ができないように牽制するので、左右予備苗載せ台12b,12c,12dの適正位置にあるときだけに乗用田植機を走行できるようになり安全である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上段予備苗載せ台(12d)と中段予備苗載せ台(12c)と下段予備苗載せ台(12b)で構成し、上段予備苗載せ台(12d)と中段予備苗載せ台並びに中段予備苗載せ台(12c)と下段予備苗載せ台(12b)を前後のリンク(26)で連結し、リンク(26)の回動により、上段予備苗載せ台(12d)と中段予備苗載せ台(12c)と下段予備苗載せ台(12b)が上下方向に所定間隔離れた苗箱載置状態と、上段予備苗載せ台(12d)と中段予備苗載せ台(12c)と下段予備苗載せ台(12b)の苗箱載置面が一方向に長いレール状の搬送面を形成するレール状態に切り替え可能に構成した予備苗載せ台。
【請求項1】
上段予備苗載せ台(12d)と中段予備苗載せ台(12c)と下段予備苗載せ台(12b)で構成し、上段予備苗載せ台(12d)と中段予備苗載せ台並びに中段予備苗載せ台(12c)と下段予備苗載せ台(12b)を前後のリンク(26)で連結し、リンク(26)の回動により、上段予備苗載せ台(12d)と中段予備苗載せ台(12c)と下段予備苗載せ台(12b)が上下方向に所定間隔離れた苗箱載置状態と、上段予備苗載せ台(12d)と中段予備苗載せ台(12c)と下段予備苗載せ台(12b)の苗箱載置面が一方向に長いレール状の搬送面を形成するレール状態に切り替え可能に構成した予備苗載せ台。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−81487(P2013−81487A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−27782(P2013−27782)
【出願日】平成25年2月15日(2013.2.15)
【分割の表示】特願2011−271458(P2011−271458)の分割
【原出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成25年2月15日(2013.2.15)
【分割の表示】特願2011−271458(P2011−271458)の分割
【原出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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