二本鎖修飾RNA
【課題】本発明の主な目的は、標的遺伝子がコードするタンパク質の発現抑制活性を有する二本鎖修飾RNAを提供することにある。
【解決手段】本発明は、下記(1)〜(5)の特徴を有する二本鎖修飾RNAに関するものである。
(1)標的遺伝子のmRNAと相同的な30〜100塩基の標的配列を含むセンス鎖を有すること、
(2)標的配列と相補的な配列を含むアンチセンス鎖を有すること、
(3)センス鎖の5’末端から22〜24番目の連続する少なくとも2つのヌクレオチド及び/又はアンチセンス鎖の3’末端から22〜24番目の連続する少なくとも2つのヌクレオチドについて、リボースの2’位の水酸基が置換されているヌクレオチドであること、
(4)センス鎖の3’末端から22〜24番目の連続する少なくとも2つのヌクレオチド及び/又はアンチセンス鎖の5’末端から22〜24番目の連続する少なくとも2つのヌクレオチドについて、リボースの2’位の水酸基が置換されているヌクレオチドであること、
(5)標的遺伝子がコードするタンパク質の発現抑制活性を有すること。
【解決手段】本発明は、下記(1)〜(5)の特徴を有する二本鎖修飾RNAに関するものである。
(1)標的遺伝子のmRNAと相同的な30〜100塩基の標的配列を含むセンス鎖を有すること、
(2)標的配列と相補的な配列を含むアンチセンス鎖を有すること、
(3)センス鎖の5’末端から22〜24番目の連続する少なくとも2つのヌクレオチド及び/又はアンチセンス鎖の3’末端から22〜24番目の連続する少なくとも2つのヌクレオチドについて、リボースの2’位の水酸基が置換されているヌクレオチドであること、
(4)センス鎖の3’末端から22〜24番目の連続する少なくとも2つのヌクレオチド及び/又はアンチセンス鎖の5’末端から22〜24番目の連続する少なくとも2つのヌクレオチドについて、リボースの2’位の水酸基が置換されているヌクレオチドであること、
(5)標的遺伝子がコードするタンパク質の発現抑制活性を有すること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な二本鎖修飾RNAに関するものである。
【背景技術】
【0002】
RNA干渉は、19塩基〜23塩基程度の二本鎖RNA(short interfering RNA:siRNA)と相補的な塩基配列を持つmRNAの分解又は翻訳阻害により配列特異的に遺伝子発現を抑制する現象をいう(例えば、非特許文献1及び2を参照)。そのsiRNAは、細胞内に存在する長鎖二本鎖RNAが、RNAaseIII様の活性を有するDicerにより切断を受け、生成される。
最近、センス鎖の5’末端及び3’末端から連続した4塩基のヌクレオチドのリボースの2’位の水酸基がメトキシ若しくはフッ素原子に置換されている、25塩基の二本鎖修飾RNAが、Dicerで切断されずにRNA干渉を引き起こすことが報告されている。しかしながら、25塩基より長鎖の二本鎖RNAにおいて、Dicerで切断されずにRNA干渉を引き起こすものはこれまでに報告されていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Nature、391、1998、p.806−811
【非特許文献2】Nature、411、2001、p.494−498
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の主な目的は、標的遺伝子がコードするタンパク質の発現抑制活性を有する新規な二本鎖修飾RNA、及び当該二本鎖修飾RNAと担体との複合体を含有することを特徴とする医薬組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、例えば、下記1、2に掲げる発明を見出し、本発明を完成した。
1.下記(1)〜(5)の特徴を有する二本鎖修飾RNA(以下、「本発明RNA」という。):
(1)標的遺伝子のmRNAと相同的な30〜100塩基の標的配列を含むセンス鎖を有すること、
(2)標的配列と相補的な配列を含むアンチセンス鎖を有すること、
(3)センス鎖の5’末端から22〜24番目の連続する少なくとも2つのヌクレオチド及び/又はアンチセンス鎖の3’末端から22〜24番目の連続する少なくとも2つのヌクレオチドについて、リボースの2’位の水酸基が置換されているヌクレオチドであること、
(4)センス鎖の3’末端から22〜24番目の連続する少なくとも2つのヌクレオチド及び/又はアンチセンス鎖の5’末端から22〜24番目の連続する少なくとも2つのヌクレオチドについて、リボースの2’位の水酸基が置換されているヌクレオチドであること、
(5)標的遺伝子がコードするタンパク質の発現抑制活性を有すること。
2.本発明RNAと担体との複合体を含有することを特徴とする医薬組成物(以下、「本発明組成物」という。)。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、Dicerによる切断活性を示す。図中、「−」はDicer非添加群を、「+」はDicer添加群をそれぞれ表す。
【図2】図2は、Dicerによる切断活性を示す。図中、「−」はDicer非添加群を、「+」はDicer添加群をそれぞれ表す。
【図3】図3は、Dicerによる切断活性を示す。図中、「−」はDicer非添加群を、「+」はDicer添加群をそれぞれ表す。
【図4】図4は、Dicerによる切断活性を示す。図中、「−」はDicer非添加群を、「+」はDicer添加群をそれぞれ表す。
【図5】図5は、Bcl−2タンパク質の発現抑制活性を示す。上段はBcl−2タンパク質を、下段はβ−actinタンパク質をそれぞれ示す。
【図6】図6は、Bcl−2タンパク質の発現抑制活性を示す。縦軸は、β−actinタンパク質の発現量に対する、Bcl−2タンパク質の発現量の比を示す。
【図7】図7は、SOD1タンパク質の発現抑制活性を示す。上段はSOD1タンパク質を、下段はβ−actinタンパク質をそれぞれ示す。
【図8】図8は、SOD1タンパク質の発現抑制活性を示す。縦軸は、β−actinタンパク質の発現量に対する、SOD1タンパク質の発現量の比を示す。
【図9】図9は、hnRNPHタンパク質の発現抑制活性を示す。上段はhnRNPHタンパク質を、下段はβ−actinタンパク質をそれぞれ示す。
【図10】図10は、hnRNPHタンパク質の発現抑制活性を示す。縦軸は、β−actinタンパク質の発現量に対する、hnRNPHタンパク質の発現量の比を示す。
【図11】図11は、ルシフェラーゼタンパク質の発現抑制活性を示す。
【図12】図12は、ルシフェラーゼタンパク質の発現抑制活性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0008】
I.本発明RNA
本発明RNAは、下記(1)〜(5)の特徴を有する二本鎖修飾RNAである。
(1)標的遺伝子のmRNAと相同的な30〜100塩基の標的配列を含むセンス鎖を有すること、
(2)標的配列と相補的な配列を含むアンチセンス鎖を有すること、
(3)センス鎖の5’末端から22〜24番目の連続する少なくとも2つのヌクレオチド及び/又はアンチセンス鎖の3’末端から22〜24番目の連続する少なくとも2つのヌクレオチドについて、リボースの2’位の水酸基が置換されているヌクレオチドであること、
(4)センス鎖の3’末端から22〜24番目の連続する少なくとも2つのヌクレオチド及び/又はアンチセンス鎖の5’末端から22〜24番目の連続する少なくとも2つのヌクレオチドについて、リボースの2’位の水酸基が置換されているヌクレオチドであること、
(5)標的遺伝子がコードするタンパク質の発現抑制活性を有すること。
【0009】
本発明RNAにおいて、センス鎖及び/若しくはアンチセンス鎖の5’末端から22及び23番目のヌクレオチドのリボースの2’位の水酸基、並びに/又はセンス鎖及び/若しくはアンチセンス鎖の3’末端から23及び24番目のヌクレオチドのリボースの2’位の水酸基が置換されていることが好ましい。
更に、センス鎖及び/若しくはアンチセンス鎖の5’末端から24番目のヌクレオチドのリボースの2’位の水酸基、並びに/又はセンス鎖及び/若しくはアンチセンス鎖の3’末端から22番目のヌクレオチドのリボースの2’位の水酸基が置換されていることがより好ましい。
【0010】
「標的遺伝子」とは、特に制限されず、任意に選択することができる。例えば、標的遺伝子がコードするタンパク質の異常な発現が疾患の原因と考えられる遺伝子や、遺伝子の塩基配列の一部が判明しているがどのような機能を有するのかを解明したい遺伝子を挙げることができる。また、標的遺伝子には、各種疾患等に対して、抑制的に作用する遺伝子又は促進的に作用する遺伝子も含まれる。
具体的には、癌関連遺伝子、アポトーシス関連遺伝子、血液学的悪性疾患関連遺伝子、代謝性疾患関連遺伝子、循環器疾患関連遺伝子、神経疾患関連遺伝子、泌尿器疾患関連遺伝子、自己免疫疾患関連遺伝子、サイトカイン遺伝子、発生関連遺伝子、増殖関連遺伝子、老化関連遺伝子、免疫関連遺伝子、ウイルス遺伝子、ウイロイド遺伝子、プリオン遺伝子、微生物由来遺伝子、原虫由来遺伝子を挙げることができる。
【0011】
「癌関連遺伝子」としては、例えば、癌遺伝子(例えば、bcr/abl遺伝子、c−fms遺伝子、c−fos遺伝子、c−myb遺伝子、c−myc遺伝子、K−ras遺伝子、c−erbB−2遺伝子)や癌抑制遺伝子(例えば、p53遺伝子、RB遺伝子、BRCA1・BRCA2遺伝子、WT1遺伝子、VHL遺伝子、PTEN遺伝子、bcl−2遺伝子、bcl−XI遺伝子)を挙げることができる。
「ウイルス遺伝子」としては、例えば、ヒト乳頭腫ウィルス遺伝子、B型及びC型肝炎ウイルス遺伝子、サイトメガロウイルス(CMV)遺伝子を挙げることができる。
「ウイロイド遺伝子」としては、例えば、ジャガイモやせいも病ウイロイド(PSTV)遺伝子を挙げることができる。
「自己免疫疾患関連遺伝子」としては、例えば、腫傷壊死因子(TNF)−α遺伝子を挙げることができる。
「サイトカイン遺伝子」としては、例えば、インターフェロン遺伝子、インターロイキン遺伝子を挙げることができる。
「発生関連遺伝子」としては、例えば、ホメオ遺伝子を挙げることができる。
「増殖因子関連遺伝子」としては、例えば、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)遺伝子、肝細胞増殖因子(HGF)遺伝子、線維芽細胞増殖因子(FGF)遺伝子を挙げることができる。
「プリオン遺伝子」としては、例えば、ヒトプリオン遺伝子、ウシプリオン遺伝子を挙げることができる。
「微生物由来遺伝子」としては、例えば、O157等の病原性大腸菌を挙げることができる。
「原虫由来遺伝子」としては、例えば、マラリア原虫由来遺伝子を挙げることができる。
【0012】
「標的遺伝子のmRNAと相同的な30〜100塩基の標的配列」とは、標的遺伝子のmRNAの一部と80%以上の相同性を有する配列が適当であり、90%以上の相同性を有する配列が好ましく、100%の相同性を有する配列がより好ましい。但し、相同性は、センス鎖の5’末端及び3’末端から22〜24番目のヌクレオチドの内、リボースの2’位の水酸基が置換されているヌクレオチドを除いて算出される。
【0013】
標的配列の鎖長は、30〜100塩基の範囲内が適当であり、30〜80塩基の範囲内が好ましく、30〜50塩基の範囲内がより好ましい。
【0014】
「標的配列と相補的な配列」とは、標的配列と80%以上の相補性を有する配列が適当であり、90%以上の相補性を有する配列が好ましく、100%の相補性を有する配列がより好ましい。但し、相補性は、アンチセンス鎖の5’末端及び3’末端から22〜24番目のヌクレオチドの内、リボースの2’位の水酸基が置換されているヌクレオチドを除いて算出される。
【0015】
「リボースの2’位の水酸基が置換されているヌクレオチド」としては、例えば、リボースの2’位の水酸基が、水素原子、アルキル、アリール、アリールアルキル、アルコキシアルキル、アリールオキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、アルコキシアルキルオキシ、アリールオキシアルキルオキシ、チオール、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノアルキルオキシ、アルキルアミノアルキルオキシ、ジアルキルアミノアルキルオキシ、アジド、シアノ、ニトロ及びハロゲンから選択されるいずれかの基に置換されたヌクレオチドを挙げることができる。より具体的には、水素原子、フッ素原子、メトキシ、メトキシエトキシ、アミノプロピルオキシ、ジメチルアミノエトキシ、ジメチルアミノエトキシエトキシを挙げることができる。
それらの中で、水素原子、フッ素原子、メトキシが好ましく、水素原子が特に好ましい。
【0016】
「標的遺伝子がコードするタンパク質の発現抑制活性を有する」とは、本発明RNAを導入した細胞において、標的遺伝子がコードするタンパク質の発現量が陰性対照のそれと等しい場合を抑制率が0%であるとみなし、その抑制率が50%以上、好ましくは75%以上、さらに好ましくは90%以上である場合をいう。
【0017】
本発明RNAにおいて、センス鎖及びアンチセンス鎖の全長は、同一又は異なって、30〜104塩基の範囲内が適当であり、30〜84塩基の範囲内が好ましく、30〜54塩基の範囲内がより好ましい。
【0018】
本発明RNAは、そのセンス鎖及び/又はアンチセンス鎖を構成するリボヌクレオチドの一部が、修飾リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド又は修飾デオキシリボヌクレオチドに置換されていてもよい。
【0019】
「修飾リボヌクレオチド」及び「修飾デオキシリボヌクレオチド」とは、ヌクレオチドを構成する「糖」、「核酸塩基」、「リン酸バックボーン」の少なくとも1つが修飾されているヌクレオチドをいう。
【0020】
「糖」の修飾としては、例えば、リボースの2’位の水酸基や水素原子の修飾、デオキシリボースの2’位の水素原子の修飾、糖の4’位の酸素原子を硫黄原子とする修飾、リボースの2’位の水素原子と水酸基をカルボニル基とする修飾、リボースの2’位の水酸基と4’位の炭素原子とをメチレンにて架橋する修飾[いわゆる、Bridged Nucleic Acid(BNA)又はLocked Nucleic Acid(LNA)]を挙げることができる。
リボースの2’位の水酸基の修飾は、前記と同様である。
リボース、デオキシリボースの2’位の水素原子の修飾としては、例えば、アルキル、アリール、アリールアルキル、アルコキシアルキル、アリールオキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、アルコキシアルキルオキシ、アリールオキシアルキルオキシ、チオール、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノアルキルオキシ、アルキルアミノアルキルオキシ、ジアルキルアミノアルキルオキシ、アジド、シアノ、ニトロ及びハロゲンから選択されるいずれかの基に置換する修飾を挙げることができる。
【0021】
「核酸塩基」としては、例えば、2−アミノプリン、2−アミノ−1,9−ジヒドロ−6H−プリン−6−オン(グアニン)、6−アミノ−9H−プリン(アデニン)、8−アミノプリン、2,6−ジアミノプリン、2,6,8−トリアミノプリン、6,8−ジアミノプリン、6−アミノ−2−ヒドロキシプリン、2−アミノ−6−ヒドロキシプリン、8−アミノ−6−ヒドロキシプリン、6−アミノ−8−ヒドロキシプリン、6−ヒドロキシプリン、2,6−ジヒドロキシプリン又はそれらの互変異性体等のプリン塩基:5−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−2,4−ジオン(チミン)、4−アミノピリミジン−2(1H)−オン(シトシン)、ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン(ウラシル)、4,5−ジアミノピリミジン−2−オン、4,6−ジアミノピリミジン−2−オン、5−アミノピリミジン−2,4−ジオン、6−アミノピリミジン−2,4−ジオン、5−アミノピリミジン−2−オン、6−アミノピリミジン−2−オン、2,4−ジヒドロキシピリミジン又はそれらの互変異性体等のピリミジン塩基を挙げることができる。
核酸塩基の修飾体とは、例えば、プリン塩基又はピリミジン塩基中、置換可能な任意の位置において、適当な置換基で修飾されている核酸塩基をいう。かかる置換基としては、例えば、ハロゲン、アシル、アルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ及びニトロからなる群から選択される1〜3個の置換基を挙げることができる。
【0022】
リン酸バックボーンの修飾としては、例えば、ホスホロチオエート体、ホスホロジチオエート体、アルキルホスホネート体、ボラノホスフェート体又はホスホロアミデート体とする修飾を挙げることができる。
【0023】
「アルキル」としては、例えば、直鎖状又は分枝鎖状の炭素数1〜6のアルキルを挙げることができる。例えば、メチル、エチル、n―プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、n−ヘキシル及びイソヘキシルを挙げることができる。当該アルキルは置換されていてもよく、かかる置換基としては、例えば、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、シアノ、ニトロを挙げることができ、これらが1〜3個置換されていてもよい。
「ハロゲン」としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を挙げることができる。
「アルコキシ」としては、例えば、直鎖状又は分枝鎖状の炭素数1〜6のアルコキシを挙げることができる。例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、イソヘキシルオキシを挙げることができる。それらの中で、炭素数1〜3のアルコキシが好ましい。
「アリール」としては、例えば、炭素数6〜10のアリールを挙げることができる。例えば、フェニル、α―ナフチル、β―ナフチルを挙げることができる。当該アリールは置換されていてもよく、かかる置換基としては、例えば、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、シアノ、ニトロを挙げることができ、これらが任意の位置に1〜3個置換されていてもよい。それらの中で、フェニルが好ましい。
「アシル」としては、例えば、直鎖状又は分枝鎖状の炭素数1〜6のアルカノイル、炭素数7〜13のアロイルを挙げることができる。例えば、ホルミル、アセチル、n−プロピオニル、イソプロピオニル、n−ブチリル、イソブチリル、tert−ブチリル、バレリル、ヘキサノイル、ベンゾイル、ナフトイル、レブリニルを挙げることができる。
「アリールアルキル」、「アリールアルキルオキシ」、「アルコキシアルキル」、「アルコキシアルキルオキシ」、「アルキルチオ」、「アルキルアミノ」、「ジアルキルアミノ」、「アミノアルキルオキシ」、「アルキルアミノアルキルオキシ」、「ジアルキルアミノアルキルオキシ」、「アリールオキシアルキル」及び「アリールオキシアルキルオキシ」の「アルキル」部分は、上記の「アルキル」と同じものを挙げることができる。
「アルコキシアルキル」及び「アルコキシアルキルオキシ」の「アルコキシ」部分は、上記の「アルコキシ」と同じものを挙げることができる。
「アリールアルキル」、「アリールオキシアルキル」、「アリールアルキルオキシ」、「アリールオキシアルキルオキシ」及び「アリールオキシ」の「アリール」部分としては、上記の「アリール」と同じものを挙げることができる。
「アルキル」、「アリール」の置換基である「ハロゲン」、「アルキル」及び「アルコキシ」としては、各々上記と同じものを挙げることができる。
【0024】
本発明RNAは、そのセンス鎖及び/又はアンチセンス鎖の3’末端及び/又は5’末端に突出部を有していてもよい。
【0025】
当該突出部としては、1〜4塩基のヌクレオチドが適当であり、2塩基のヌクレオチドが好ましい。当該ヌクレオチドは、リボヌクレオチドかデオキシリボヌクレオチドかを問わない。また、修飾リボヌクレオチドや修飾デオキシリボヌクレオチドであってもよい。それらの態様の中で、デオキシリボヌクレオチドが適当であり、デオキシチミジン一リン酸が好ましい。なお、修飾リボヌクレオチドや修飾デオキシリボヌクレオチドは、前記と同様である。
【0026】
本発明RNAは、そのセンス鎖及び/又はアンチセンス鎖に1ないし複数の欠失、置換、挿入又は付加した塩基を含んでいてもよい。
【0027】
本発明RNAは、例えば、ホスホロアミダイト法[例えば、2’位水酸基が、2’−(2−シアノエトキシ)メチル(CEM)化、2’−tert−ブチルジメチルシリルオキシメチル(TOM)化、2’−ビス(アセトキシメトキシ)メチルエチル(ACE)化又は2’−tert−ブチルジメチルシリル(TBDMS)化されたリボヌクレオチドホスホロアミダイト化合物を使用する方法]若しくはH−ホスホネート法による固相合成法によって、又はトリエステル法による液相合成法によって製造することができる。
【0028】
リン酸バックボーンの修飾は、当業者に公知の方法(例えば、“Methods in Molecular Biology”、20巻、1993年、Humana Press Inc.)により行うことができる。
ホスホロチオエート体は、例えば、ホスホロアミダイト法による固相合成の酸化の工程において、例えば、ヨウ素−水による酸化剤の代わりに硫黄やtetraethylthiuramdisulfide(TETD)等の硫黄化剤を用いることにより製造することができる。
ホスホロジチオエート体は、例えば、ホスホロアミダイトの代わりにホスホロチオアミダイトを用い、酸化の工程において硫黄などの硫黄化剤を用いることにより製造することができる。
アルキルホスホネート体は、例えば、ホスホロアミダイトの代わりに、メチルホスホンアミダイト等のアルキルホスホンアミダイトを用いることにより製造することができる。
ホスホロアミデート体は、例えば、H−ホスホネート法による固相合成において、H−ホスホネート体を合成した後、所望の1級又は2級のアミンとヨウ素等の酸化剤を用いることにより製造することができる。
ボラノホスフェート体は、例えば、H−ホスホネート法による固相合成において、H−ホスホネート体を合成した後、ボロンと3級アミンとを用いることにより製造することができる。
【0029】
本発明RNAは、後述する担体を用いて細胞内にトランスフェクションすることができる。また、リン酸カルシウム法、エレクトロポレーション法又はマイクロインジェクション法等により、直接細胞内に導入することもできる。
【0030】
II.本発明組成物
本発明組成物は、本発明RNAと担体との複合体を含有することを特徴とするものである。
【0031】
上記担体としては、本発明RNAを細胞内に移行させるのに有効なものであれば特に制限さない。例えば、カチオン性リポソーム、カチオン性ポリマー、カチオン性デンドリマー等のカチオン性担体、ウイルスエンベロープ又はナノ粒子を利用した担体を挙げることができる。
【0032】
「カチオン性リポソーム」としては、例えば、
(1)2−O−(2−ジエチルアミノエチル)カルバモイル−1,3−O−ジオレオイルグリセロールとリン脂質とを必須構成成分として形成されるカチオン性リポソーム担体(以下、「リポソームA」という。)、
(2)2−O−(2−ジエチルアミノエチル)カルバモイル−1,3−O−ジオレオイルグリセロール、1,3−ジステアロイルグリセロ−2−ホスファチジル−N−(メトキシ ポリエチレングリコールスクシニル)エタノールアミン及びリン脂質を必須の構成成分とするカチオン性リポソーム(以下、「リポソームB」という。)、
(3)2−O−(2−ジエチルアミノエチル)カルバモイル−1,3−O−ジオレオイルグリセロール、N−(メトキシ ポリエチレングリコールスクシニル)ジステアロイル ホスファチジルエタノールアミン[SUNBRIGHT DSPE−020C;日本油脂社製]及びリン脂質を必須の構成成分とするカチオン性リポソーム(以下、「リポソームC」という。)、
(4)オリゴフェクトアミン(Invitrogen社製)、
(5)リポフェクチン(Invitrogen社製)、
(6)リポフェクトアミン(Invitrogen社製)、
(7)セルフェクチン(Invitrogen社製)、
(8)リポフェクトアミン2000(Invitrogen社製)、
(9)DMRIE−C(Invitrogen社製)、
(10)GeneSilencer(Gene Therapy Systems社製)、
(11)TransMessenger(QIAGEN社製)、
(12)TransIT−TKO(Mirus社製)を挙げることができる。
それらの中で、リポソームA、リポソームB、リポソームCが好ましい。
【0033】
2−O−(2−ジエチルアミノエチル)カルバモイル−1,3−O−ジオレオイルグリセロールは、文献(WO94/19314の実施例20)に記載の方法により製造することができる。
【0034】
1,3−ジステアロイルグリセロ−2−ホスファチジル−N−(メトキシ ポリエチレングリコールスクシニル)エタノールアミンは、文献(Cancer Research vol.68,no.21(2008)pp.8843−8851)に記載の方法により製造することができる。当該化合物は、分子量2000〜3800の範囲内で分布するものが好ましい。なお、分子量は、エレクトロスプレーイオン化法を用いたマススペクトルで測定することができる。
【0035】
リポソームA、B及びCにおいて用い得る、リン脂質としては、例えば、ホスファチジルコリン[例えば、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン]、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、スフィンゴミエリン、ジパルミトイルフォスファチジルグリセロール、1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、卵黄レシチン、大豆レシチン又はこれらの水素添加リン脂質を挙げることができる。
【0036】
リポフェクチンは、N−[1−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)と中性脂質としてジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)を1:1(mol/mol)で含むカチオン性リポソームである。
リポフェクトアミンは、2,3−ジオレキシオロキシ−N−[2−(スペルミンカルボキサミド)エチル]−N,N−ジメチル−1−プロパンアンモニウム トリフルオロアセタート(DOSPA)とジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)を3:1(w/w)で含むカチオン性リポソームである。
セルフェクチンは、N,N1,N2,N3−テトラメチル−テトラパルミチルスペルミン(TM−TPS)とジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)を1:1.5(mol/mol)で含むカチオン性リポソームである。
DMRIE−Cは、1,2−ジミリスチルオキシプロピル−3−ジメチル−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE)とコレステロール(Cholesterol)を1:1(mol/mol)で含むカチオン性リポソームである。
【0037】
「カチオン性ポリマー」としては、例えば、jetSI(Qbiogene社製)、jetPEI(ポリエチレンイミン;Qbiogene社製)、アテロコラーゲンを挙げることができる。
【0038】
「ウイルスエンベロープ」としては、例えば、GenomeONE(HVJ−Eリポソーム;石原産業社製)を挙げることができる。
【0039】
「カチオン性デンドリマー」としては、例えば、カチオン性アミノ酸デンドリマー(例えば、デンドリックポリ(L−リジン)(例えば、“Organic Biomolecular Chemistry”、2003年、1巻、1270−1273頁)又はポリアミドアミンデンドリマーを挙げることができる。
【0040】
「ナノ粒子」としては、例えば、金ナノ粒子、シリカナノ粒子を挙げることができ、その平均粒子径としては、例えば、1nm〜5000nmの範囲内が適当である。
【0041】
「金ナノ粒子」としては、例えば、カチオン性金ナノ粒子(“Bioconjugate Chemistry”、2002年、13巻、3−6頁)、ポリエチレングリコールで修飾されたカチオン性金ナノ粒子(例えば、“Journal of Controlled Rerease”、2006年、111巻、382−389頁)を挙げることができる。
【0042】
本発明組成物中に含まれる本発明RNAの種類は、一種類であってもよいが、2〜10の複数種であってもよい。
【0043】
本発明組成物中に含まれる本発明RNAの濃度は、担体の種類等によって異なるが、in vitroで使用する場合には、例えば、0.1nM〜10μMの範囲内が適当であり、10nM〜1μMの範囲内が好ましい。また、in vivoで使用する場合には、例えば、0.1〜10mg/mLの範囲内が適当であり、0.5〜2mg/mLの範囲内か好ましい。
本発明組成物中に含まれる本発明RNAと担体との重量比(担体/本発明RNA)は、本発明RNAの性質、担体の種類等によって異なるが、0.01〜100の範囲内が適当であり、1〜50の範囲内が好ましく、5〜30の範囲内がより好ましい。
【0044】
本発明組成物には、任意に医薬上許容される添加剤を配合することができる。かかる添加剤として、例えば、乳化補助剤(例えば、炭素数6〜22の脂肪酸やその医薬上許容される塩、アルブミン、デキストラン)、安定化剤(例えば、コレステロール、ホスファチジン酸)、等張化剤(例えば、塩化ナトリウム、グルコース、マルトース、ラクトース、スクロース、トレハロース)、pH調整剤(例えば、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン)を挙げることができる。これらを一種又は二種以上使用することができる。本発明組成物中の当該添加剤の含有量は、90重量%以下が適当であり、70重量%以下が好ましく、50重量%以下がより好ましい。
【0045】
本発明組成物は、担体の分散液に本発明RNAを加え、適当に攪拌することにより調製することができる。また、添加剤は、本発明RNAの添加前でも添加後でも適当な工程で添加することができる。本発明RNAを添加する際に用い得る溶媒としては、医薬上許容されるものであれば特に制限されず、例えば、注射用水、注射用蒸留水、生理食塩水等の電解質液、ブドウ糖液、マルトース液等の糖液を挙げることができる。また、かかる場合のpHおよび温度等の条件は、当業者が適宜選択することができる。
【0046】
本発明組成物は、例えば、液剤やその凍結乾燥製剤とすることができる。当該凍結乾燥製剤は、常法により、液剤の形態を有している本発明組成物を凍結乾燥処理することにより調製することができる。例えば、液剤の形態を有している本発明組成物を適当な滅菌を行った後、所定量をバイアル瓶に分注し、約−40〜−20℃の条件で予備凍結を2時間程度行い、約0〜10℃で減圧下に一次乾燥を行い、次いで、約15〜25℃で減圧下に二次乾燥して凍結乾燥することができる。そして、一般的にはバイアル内部を窒素ガスで置換し、打栓して本発明組成物の凍結乾燥製剤を得ることができる。
【0047】
上記凍結乾燥製剤は、一般には任意の適当な溶液(再溶解液)の添加によって再溶解し使用することができる。このような再溶解液としては、注射用水、生理食塩水、その他一般輸液を挙げることができる。この再溶解液の液量は、用途等によって異なり特に制限されないが、凍結乾燥前の液量の0.5〜2倍量、又は500mL以下が適当である。
【0048】
III.本発明RNA、本発明組成物の医薬用途
本発明RNAないし本発明組成物は、例えば、標的遺伝子がコードするタンパク質の異常な発現が原因となっている疾患の治療及び/又は予防のために用いることができる。
例えば、癌、ウイルス性疾患、代謝性疾患、循環器疾患、神経疾患、泌尿器疾患、血液学的悪性疾患、又はアポトーシスの促進又は抑制が所望される疾患の治療及び/又は予防のために用いることができる。
【0049】
本発明RNAないし本発明組成物は、ヒトを含む動物に対し、静脈内投与、動脈内投与、経口投与、組織内投与(例えば、膀胱内投与、胸腔内投与、腹腔内投与、眼内投与、脳内投与)、経皮投与、経粘膜投与、経肺投与又は経直腸投与することができる。特に静脈内投与、経皮投与、経粘膜投与が望ましい。これらの投与に適した剤型、例えば、各種の注射剤、経口剤、点滴剤、吸入剤、点眼剤、軟膏剤、ローション剤、座剤で投与されるのはもちろんである。
【0050】
本発明RNAないし本発明組成物の投与量は、本発明RNAの種類、剤型、年齢や体重等の患者の状態、投与経路、疾患の性質や程度を考慮した上で、例えば、成人に対して、1日当たり0.1mg〜5g/ヒトの範囲内が、好ましくは1mg〜2gの範囲内が一般的である。この数値は標的とする疾患の種類、投与形態、標的分子によっても異なる場合がある。従って、場合によってはこれ以下でも十分であるし、また逆にこれ以上の用量を必要とするときもある。また1日1回から数回の投与または1日から数日間の間隔で投与することができる。
【実施例】
【0051】
以下、製造例、試験例により、本発明を詳細に説明する。但し、本発明は、実施例の記載に限定されないことは言うまでもない。
【0052】
製造例1 二本鎖RNAの調製
(1)二本鎖RNAの配列
試験例1〜3で用いた二本鎖RNAは、以下の通りである。下記配列中、「dA」、「dT」、「dG」及び「dC」は、リボースの2’位の水酸基が水素原子に置換されたヌクレオチド(DNA)を表す。また、「a」、「u」、「g」及び「c」は、リボースの2’位の水酸基がメトキシに置換されたヌクレオチドを表す。
Bcl2−1:
センス鎖(配列番号1)
5’−GUG AUG AAG UAC AUC CAU UdTdT−3’
アンチセンス鎖(配列番号2)
5’−AAU GGA UGU ACU UCA UCA CdTdT−3’
Bcl2−2:
センス鎖(配列番号3)
5’−CGA UAA CCG GGA GAU AGU GAU
GAA GUA CAU CCA UUdT dT−3’
アンチセンス鎖(配列番号4)
5’−AAU GGA UGU ACU UCA UCA CUA
UCU CCC GGU UAU CGdT dT−3’
Bcl2−3:
センス鎖(配列番号5)
5’−CGA UAA CCG GGA GdAdT AGU GAU
dGdAA GUA CAU CCA UUdT dT−3’
アンチセンス鎖(配列番号4)
5’−AAU GGA UGU ACU UCA UCA CUA
UCU CCC GGU UAU CGdT dT−3’
Bcl2−4:
センス鎖(配列番号6)
5’−CGA UAA CCG GGA Gau AGU GAU
gaA GUA CAU CCA UUdT dT−3’
アンチセンス鎖(配列番号4)
5’−AAU GGA UGU ACU UCA UCA CUA
UCU CCC GGU UAU CGdT dT−3’
Bcl2−5:
センス鎖(配列番号7)
5’−GGG UAC GAU AAC CGG GAG AUA
GUG AUG AAG UAC AUC CAU UdTdT−3’
アンチセンス鎖(配列番号8)
5’−AAU GGA UGU ACU UCA UCA CUA
UCU CCC GGU UAU CGU ACC CdTdT−3’
Bcl2−6:
センス鎖(配列番号9)
5’−GGG UAC GAU AAC CGG GAG dAdTA
dGdTG AUG AAG UAC AUC CAU UdTdT−3’
アンチセンス鎖(配列番号8)
5’−AAU GGA UGU ACU UCA UCA CUA
UCU CCC GGU UAU CGU ACC CdTdT−3’
Bcl2−7:
センス鎖(配列番号10)
5’−GGG UAC GAU AAC CGG GAG auA
guG AUG AAG UAC AUC CAU UdTdT−3’
アンチセンス鎖(配列番号8)
5’−AAU GGA UGU ACU UCA UCA CUA
UCU CCC GGU UAU CGU ACC CdTdT−3’
SOD1−1:
センス鎖(配列番号11)
5’−GGU GGA AAU GAA GAA AGU AdTdT−3’
アンチセンス鎖(配列番号12)
5’−UAC UUU CUU CAU UUC CAC CdTdT−3’
SOD1−2:
センス鎖(配列番号13)
5’−AGA UGA CUU GGG CAA AGG UGG AAA
UGA AGA AAG UAdT dT−3’
アンチセンス鎖(配列番号14)
5’−UAC UUU CUU CAU UUC CAC CUU UGC
CCA AGU CAU CUdT dT−3’
SOD1−3:
センス鎖(配列番号15)
5’−AGA UGA CUU GGG CdAdA dAGG UGG
dAdAdA UGA AGA AAG UAdT dT−3’
アンチセンス鎖(配列番号14)
5’−UAC UUU CUU CAU UUC CAC CUU UGC
CCA AGU CAU CUdT dT−3’
SOD1−4:
センス鎖(配列番号16)
5’−AAA GCA GAU GAC UUG GGC AAA GGU
GGA AAU GAA GAA AGU AdTdT−3’
アンチセンス鎖(配列番号17)
5’−UAC UUU CUU CAU UUC CAC CUU UGC
CCA AGU CAU CUG CUU UdTdT−3’
SOD1−5:
センス鎖(配列番号18)
5’−AAA GCA GAU GAC UUG GGC dAdAdA
dGdGdT GGA AAU GAA GAA AGU AdTdT−3’
アンチセンス鎖(配列番号17)
5’−UAC UUU CUU CAU UUC CAC CUU UGC
CCA AGU CAU CUG CUU UdTdT−3’
hnRNPH−1
センス鎖(配列番号19)
5’−AAC UUG AAU CAG AAG AUG AdTdT−3’
アンチセンス鎖(配列番号20)
5’−UCA UCU UCU GAU UCA AGU UdTdT−3’
hnRNPH−2
センス鎖(配列番号21)
5’−GGC GAG GCU UUU GUU GAA CUU GAA
UCA GAA GAU GAdT dT−3’
アンチセンス鎖(配列番号22)
5’−UCA UCU UCU GAU UCA AGU UCA ACA
AAA GCC UCG CCdT dT−3’
hnRNPH−3
センス鎖(配列番号23)
5’−GGC GAG GCU UUU GdTdT dGAA CUU
dGdAdA UCA GAA GAU GAdT dT−3’
アンチセンス鎖(配列番号22)
5’−UCA UCU UCU GAU UCA AGU UCA ACA
AAA GCC UCG CCdT dT−3’
hnRNPH−4
センス鎖(配列番号24)
5’−CAA GUG GCG AGG CUU UUG UUG AAC
UUG AAU CAG AAG AUG AdTdT−3’
アンチセンス鎖(配列番号25)
5’−UCA UCU UCU GAU UCA AGU UCA ACA
AAA GCC UCG CCA CUU GdTdT−3’
hnRNPH−5
センス鎖(配列番号26)
5’−CAA GUG GCG AGG CUU UUG dTdTdG
dAdAdC UUG AAU CAG AAG AUG AdTdT−3’
アンチセンス鎖(配列番号25)
5’−UCA UCU UCU GAU UCA AGU UCA ACA
AAA GCC UCG CCA CUU GdTdT−3’
GL3−1:
センス鎖(配列番号27)
5’−CUU ACG CUG AGU ACU UCG AdTdT−3’
アンチセンス鎖(配列番号28)
5’−UCG AAG UAC UCA GCG UAA GdTdT−3’
GL3−2:
センス鎖(配列番号29)
5’−GGU GGA CAU CAC UUA CGC UGA
GUA CUU CGA dTdT−3’
アンチセンス鎖(配列番号30)
5’−UCG AAG UAC UCA GCG UAA GUG
AUG UCC ACC dTdT−3’
GL3−3:
センス鎖(配列番号31)
5’−GGU GGA CAdT dCdAC UUA CGC UGA
dGdTA CUU CGA dTdT−3’
アンチセンス鎖(配列番号30)
5’−UCG AAG UAC UCA GCG UAA GUG
AUG UCC ACC dTdT−3’
GL3−4:
センス鎖(配列番号32)
5’−AUC GAG GUG GAC AUC ACU UAC
GCU GAG UAC UUC GAdT dT−3’
アンチセンス鎖(配列番号33)
5’−UCG AAG UAC UCA GCG UAA GUG
AUG UCC ACC UCG AUdT dT−3’
GL3−5:
センス鎖(配列番号34)
5’−AUC GAG GUG GAC AdTdC dACU UAC
dGdCU GAG UAC UUC GAdT dT−3’
アンチセンス鎖(配列番号33)
5’−UCG AAG UAC UCA GCG UAA GUG
AUG UCC ACC UCG AUdT dT−3’
GL3−6:
センス鎖(配列番号35)
5’−CAC AUA UCG AGG UGG ACA UCA
CUU ACG CUG AGU ACU UCG AdTdT−3’
アンチセンス鎖(配列番号36)
5’−UCG AAG UAC UCA GCG UAA GUG
AUG UCC ACC UCG AUA UGU GdTdT−3’
GL3−7:
センス鎖(配列番号37)
5’−CAC AUA UCG AGG UGG ACA dTdCdA
dCdTU ACG CUG AGU ACU UCG AdTdT−3’
アンチセンス鎖(配列番号36)
5’−UCG AAG UAC UCA GCG UAA GUG
AUG UCC ACC UCG AUA UGU GdTdT−3’
なお、Bcl2−1はWO2004/105774に、SOD1−1は文献(Biochemical and Biophysical Research Communications、314、2004、p.283−291)に、hnRNPH−1は文献(Nature Biotechnology、23、2004、p.222−226)に、GL3−1は文献(Journal of Controlled Release、131、2008、p.64−69)にそれぞれ記載されている配列であり、いずれも標的遺伝子がコードするタンパク質の発現を抑制し得るものである。
(2)二本鎖RNAを構成するRNA鎖の合成
二本鎖RNAを構成するRNA鎖の合成は、日本バイオサービスに依頼した。
各RNA鎖の濃度が100μMになるように注射用水(大塚製薬工場社製、以下同じ。)に溶解した。
【0053】
製造例2 医薬組成物の調製
(1)担体(リポソームA)の調製
文献(WO94/19314の実施例20)に記載の方法により製造した2−O−(2−ジエチルアミノエチル)カルバモイル−1,3−O−ジオレオイルグリセロール 60mgと100mgの卵黄レシチン(キューピー社製)をバイアル中で2mLのクロロホルムに溶解し、これに窒素ガスを吹きつけてクロロホルムを除去し、バイアルの壁面に薄膜を形成させた。これを更に減圧下で一晩放置した後、1000mgのマルトース(林原社製)、4.0mLの注射用水及び80μLの1N塩酸を加えてボルテックスミキサーで薄膜を分散させた。4℃で3時間放置した後、マイクロプローブ(Sonifier−250、BRANSON社製)を用いて、10分間超音波処理を行った。その後、注射用水を用いて10mLになるように定容し、16mg/mLの分散液を調製した。
(2)医薬組成物の調製
製造例1(2)で合成したセンス鎖及びアンチセンス鎖を等モルで混合し10%マルトース溶液(大塚製薬工場社製、以下同じ。)で希釈し、二本鎖RNAを調製した。上記(1)で調製した担体を10%マルトース溶液にて適宜希釈し、同容量の二本鎖RNAを攪拌しながら少量ずつ滴下して、二本鎖RNAと担体との複合体(医薬組成物)を形成させた。
複合体中の二本鎖RNAの濃度は0.1〜3μMであり、複合体中の二本鎖RNAと担体との比率は1:16(w/w)であった。なお、調製した複合体は10%マルトースで適宜希釈した。
【0054】
試験例1 Dicerによるin vitro切断活性
製造例1(2)で合成したセンス鎖及びアンチセンス鎖をアニーリングバッファー(30mM HEPES-KOH pH7.4、100mM KCl、2mM MgCl2)中でそれぞれの濃度が20μMになるように調製した。PROGRAM TEMP CONTROL SYSTEM PC−800(ASTEC社製)を用いて、95℃まで加熱し、2分間保持した後、60分間かけて30℃まで冷却することでアニーリングさせ、二本鎖RNAを調製した。調製した二本鎖RNAを、Recombinant Dicer Enzyme Kit (Genlantis社製)を用いて、in vitroでの切断反応を行った。反応後、二本鎖RNA 20pmol/laneとなるように15%ポリアクリルアミドゲルにてTBE(×0.5)で電気泳動を行い、エチジウムブロマイドで染色し、ChemiDoc(バイオ・ラッドラボラトリーズ社製)により検出した。
その結果を図1〜4に示す。図1〜4に示すように、本発明RNAは、Dicerによる切断を受け難いことが分かった。一方で、天然型の二本鎖RNAはDicerによる切断を受けていた。
【0055】
試験例2 Bcl−2タンパク質、SOD1タンパク質又はhnRNPHタンパク質の発現抑制活性
A431細胞(ヒト上皮癌細胞株)を6cm径のシャーレに1×105個で播種した。10%ウシ胎児仔血清を含むDMEM培地(シグマ社製、以下同じ。)3mL中、37℃、5%CO2条件下で一晩培養した。新鮮な上記培地2.7mLに交換し、製造例2で調製した30nMの医薬組成物 0.3mLを添加し、3日間培養した。細胞をPBS(ニッスイ社製、以下同じ。)で2回洗浄した後、セルスクレーパーを用いて1.5mLチューブに移した。1000×gで2分間遠心し、上清を取り除き、50〜100μLの緩衝液[50mM Tris−HCl(pH7.5)、150mM NaCl、1% NP−40]に懸濁した後、氷上に30分間静置した。15000×g、4℃で20分間遠心し、上清(細胞抽出液)を回収した。
細胞抽出液中のタンパク質濃度は、BCAプロテインアッセイシステム(ピアスバイオテクノロジー社製)を使用し、測定した。
細胞抽出液中のタンパク質15μgをe−PAGEL(登録商標)(アトー社製)で電気泳動し、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)膜(ミリポア社製)に転写した。タンパク質を転写した膜を、ブロッキングワン(ナカライテスク社製、以下同じ。)中、室温にて30分間振盪することによりブロッキングを行った。1次抗体を0.1%Tween−20含有PBS(PBST)で20倍希釈したブロッキングワン(5%ブロッキングワン)で希釈し、当該希釈溶液中で室温1時間振盪した。PBSTで洗浄した後、5%ブロッキングワンで希釈した2次抗体中で室温1時間振盪した。PBSTで洗浄した後、Western Lightning Chemiluminescence Reagent Plus (パーキンエルマー社製)を用いて発光させ、ChemiDoc(バイオ・ラッド ラボラトリー社製)にてBcl−2タンパク質、SOD1タンパク質、hnRNPHタンパク質又はβ−actinタンパク質を検出し、各タンパク質の発現量を定量化した。なお、GL3−1を添加した細胞と医薬組成物の代わりにマルトースを添加した細胞を陰性対照とした。
Bcl−2タンパク質の検出では、1次抗体としてはマウス抗ヒトbcl−2抗体(M0887、DAKO CYTOMATION社製)を500倍希釈したものを、2次抗体としてはペルオキシダーゼ(HRP)標識抗マウスIgG抗体(P0260、DAKO CYTOMATION社製)を2000倍希釈したものをそれぞれ用いた。
SOD1タンパク質の検出では、1次抗体としてはヤギ抗ヒトSOD1抗体(#SOD−101、Stressgen社製)を1000倍希釈したものを、2次抗体としてはHRP標識抗ウサギIgG抗体(#7074、CellSignaling社製)を2000倍希釈したものをそれぞれ用いた。
hnRNPHタンパク質の検出では、1次抗体としてはヤギ抗ヒトhnRNPH抗体(sc−10042、Santa Cruz社製)を200倍希釈したものを、2次抗体としてはHRP標識抗ヤギIgG 抗体(P−0449、DAKO CYTOMATION社製)を2000倍希釈したものをそれぞれ用いた。
β-actinタンパク質の検出では、1次抗体としてはヤギ抗ヒトβ-actin抗体(sc−1615、SantaCruz社製)を2000倍希釈したものを、2次抗体としてはHRP標識抗ヤギIgG 抗体(P0449、DAKO CYTOMATION社製)を2000倍希釈したものを、又は、1次抗体としてはマウス抗ヒトβ-actin抗体(sc−8432、Santa Cruz社製)を2000倍希釈したものを、2次抗体としてはHRP標識抗マウスIgG 抗体(P−0260、DAKO CYTOMATION社製)を2000倍希釈したものをそれぞれ用いた。
その結果を図5〜10に示す。図5〜10に示すように、本発明RNAは、対応する天然型の二本鎖RNAと同程度若しくはそれよりも強く標的遺伝子がコードするタンパク質(Bcl−2タンパク質、SOD1タンパク質又はhnRNPHタンパク質)の発現を抑制した。
【0056】
試験例3 ルシフェラーゼタンパク質の発現抑制活性
96穴プレートにルシフェラーゼを安定に発現するA549細胞(ヒト肺癌由来細胞)を1000個/wellで播種し、10%ウシ胎児仔血清を含むDMEM培地 100μL中、37℃、5%CO2条件下で一晩培養した。翌日、製造例2で調製した100nMの医薬組成物 11.11μLを添加した。医薬組成物を添加72時間後に、新鮮な上記培地75μLに交換し、75μLの市販のルシフェラーゼ活性測定キット(Steady−Glo Luciferase Assay System;プロメガ社製)を添加してルシフェラーゼに依存した発光を生じさせ、マイクロプレート化学発光検出器(Top Count;パッカード社製)により発光量を計測した。なお、医薬組成物の代わりにマルトースを添加した細胞を陰性対照とした。
その結果を図11及び12に示す。図11及び12に示すように、本発明RNAは、ルシフェラーゼ遺伝子を標的とした場合においても、対応する天然型の二本鎖RNAと同程度若しくはそれよりも強くルシフェラーゼタンパク質の発現を抑制した。
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な二本鎖修飾RNAに関するものである。
【背景技術】
【0002】
RNA干渉は、19塩基〜23塩基程度の二本鎖RNA(short interfering RNA:siRNA)と相補的な塩基配列を持つmRNAの分解又は翻訳阻害により配列特異的に遺伝子発現を抑制する現象をいう(例えば、非特許文献1及び2を参照)。そのsiRNAは、細胞内に存在する長鎖二本鎖RNAが、RNAaseIII様の活性を有するDicerにより切断を受け、生成される。
最近、センス鎖の5’末端及び3’末端から連続した4塩基のヌクレオチドのリボースの2’位の水酸基がメトキシ若しくはフッ素原子に置換されている、25塩基の二本鎖修飾RNAが、Dicerで切断されずにRNA干渉を引き起こすことが報告されている。しかしながら、25塩基より長鎖の二本鎖RNAにおいて、Dicerで切断されずにRNA干渉を引き起こすものはこれまでに報告されていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Nature、391、1998、p.806−811
【非特許文献2】Nature、411、2001、p.494−498
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の主な目的は、標的遺伝子がコードするタンパク質の発現抑制活性を有する新規な二本鎖修飾RNA、及び当該二本鎖修飾RNAと担体との複合体を含有することを特徴とする医薬組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、例えば、下記1、2に掲げる発明を見出し、本発明を完成した。
1.下記(1)〜(5)の特徴を有する二本鎖修飾RNA(以下、「本発明RNA」という。):
(1)標的遺伝子のmRNAと相同的な30〜100塩基の標的配列を含むセンス鎖を有すること、
(2)標的配列と相補的な配列を含むアンチセンス鎖を有すること、
(3)センス鎖の5’末端から22〜24番目の連続する少なくとも2つのヌクレオチド及び/又はアンチセンス鎖の3’末端から22〜24番目の連続する少なくとも2つのヌクレオチドについて、リボースの2’位の水酸基が置換されているヌクレオチドであること、
(4)センス鎖の3’末端から22〜24番目の連続する少なくとも2つのヌクレオチド及び/又はアンチセンス鎖の5’末端から22〜24番目の連続する少なくとも2つのヌクレオチドについて、リボースの2’位の水酸基が置換されているヌクレオチドであること、
(5)標的遺伝子がコードするタンパク質の発現抑制活性を有すること。
2.本発明RNAと担体との複合体を含有することを特徴とする医薬組成物(以下、「本発明組成物」という。)。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、Dicerによる切断活性を示す。図中、「−」はDicer非添加群を、「+」はDicer添加群をそれぞれ表す。
【図2】図2は、Dicerによる切断活性を示す。図中、「−」はDicer非添加群を、「+」はDicer添加群をそれぞれ表す。
【図3】図3は、Dicerによる切断活性を示す。図中、「−」はDicer非添加群を、「+」はDicer添加群をそれぞれ表す。
【図4】図4は、Dicerによる切断活性を示す。図中、「−」はDicer非添加群を、「+」はDicer添加群をそれぞれ表す。
【図5】図5は、Bcl−2タンパク質の発現抑制活性を示す。上段はBcl−2タンパク質を、下段はβ−actinタンパク質をそれぞれ示す。
【図6】図6は、Bcl−2タンパク質の発現抑制活性を示す。縦軸は、β−actinタンパク質の発現量に対する、Bcl−2タンパク質の発現量の比を示す。
【図7】図7は、SOD1タンパク質の発現抑制活性を示す。上段はSOD1タンパク質を、下段はβ−actinタンパク質をそれぞれ示す。
【図8】図8は、SOD1タンパク質の発現抑制活性を示す。縦軸は、β−actinタンパク質の発現量に対する、SOD1タンパク質の発現量の比を示す。
【図9】図9は、hnRNPHタンパク質の発現抑制活性を示す。上段はhnRNPHタンパク質を、下段はβ−actinタンパク質をそれぞれ示す。
【図10】図10は、hnRNPHタンパク質の発現抑制活性を示す。縦軸は、β−actinタンパク質の発現量に対する、hnRNPHタンパク質の発現量の比を示す。
【図11】図11は、ルシフェラーゼタンパク質の発現抑制活性を示す。
【図12】図12は、ルシフェラーゼタンパク質の発現抑制活性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0008】
I.本発明RNA
本発明RNAは、下記(1)〜(5)の特徴を有する二本鎖修飾RNAである。
(1)標的遺伝子のmRNAと相同的な30〜100塩基の標的配列を含むセンス鎖を有すること、
(2)標的配列と相補的な配列を含むアンチセンス鎖を有すること、
(3)センス鎖の5’末端から22〜24番目の連続する少なくとも2つのヌクレオチド及び/又はアンチセンス鎖の3’末端から22〜24番目の連続する少なくとも2つのヌクレオチドについて、リボースの2’位の水酸基が置換されているヌクレオチドであること、
(4)センス鎖の3’末端から22〜24番目の連続する少なくとも2つのヌクレオチド及び/又はアンチセンス鎖の5’末端から22〜24番目の連続する少なくとも2つのヌクレオチドについて、リボースの2’位の水酸基が置換されているヌクレオチドであること、
(5)標的遺伝子がコードするタンパク質の発現抑制活性を有すること。
【0009】
本発明RNAにおいて、センス鎖及び/若しくはアンチセンス鎖の5’末端から22及び23番目のヌクレオチドのリボースの2’位の水酸基、並びに/又はセンス鎖及び/若しくはアンチセンス鎖の3’末端から23及び24番目のヌクレオチドのリボースの2’位の水酸基が置換されていることが好ましい。
更に、センス鎖及び/若しくはアンチセンス鎖の5’末端から24番目のヌクレオチドのリボースの2’位の水酸基、並びに/又はセンス鎖及び/若しくはアンチセンス鎖の3’末端から22番目のヌクレオチドのリボースの2’位の水酸基が置換されていることがより好ましい。
【0010】
「標的遺伝子」とは、特に制限されず、任意に選択することができる。例えば、標的遺伝子がコードするタンパク質の異常な発現が疾患の原因と考えられる遺伝子や、遺伝子の塩基配列の一部が判明しているがどのような機能を有するのかを解明したい遺伝子を挙げることができる。また、標的遺伝子には、各種疾患等に対して、抑制的に作用する遺伝子又は促進的に作用する遺伝子も含まれる。
具体的には、癌関連遺伝子、アポトーシス関連遺伝子、血液学的悪性疾患関連遺伝子、代謝性疾患関連遺伝子、循環器疾患関連遺伝子、神経疾患関連遺伝子、泌尿器疾患関連遺伝子、自己免疫疾患関連遺伝子、サイトカイン遺伝子、発生関連遺伝子、増殖関連遺伝子、老化関連遺伝子、免疫関連遺伝子、ウイルス遺伝子、ウイロイド遺伝子、プリオン遺伝子、微生物由来遺伝子、原虫由来遺伝子を挙げることができる。
【0011】
「癌関連遺伝子」としては、例えば、癌遺伝子(例えば、bcr/abl遺伝子、c−fms遺伝子、c−fos遺伝子、c−myb遺伝子、c−myc遺伝子、K−ras遺伝子、c−erbB−2遺伝子)や癌抑制遺伝子(例えば、p53遺伝子、RB遺伝子、BRCA1・BRCA2遺伝子、WT1遺伝子、VHL遺伝子、PTEN遺伝子、bcl−2遺伝子、bcl−XI遺伝子)を挙げることができる。
「ウイルス遺伝子」としては、例えば、ヒト乳頭腫ウィルス遺伝子、B型及びC型肝炎ウイルス遺伝子、サイトメガロウイルス(CMV)遺伝子を挙げることができる。
「ウイロイド遺伝子」としては、例えば、ジャガイモやせいも病ウイロイド(PSTV)遺伝子を挙げることができる。
「自己免疫疾患関連遺伝子」としては、例えば、腫傷壊死因子(TNF)−α遺伝子を挙げることができる。
「サイトカイン遺伝子」としては、例えば、インターフェロン遺伝子、インターロイキン遺伝子を挙げることができる。
「発生関連遺伝子」としては、例えば、ホメオ遺伝子を挙げることができる。
「増殖因子関連遺伝子」としては、例えば、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)遺伝子、肝細胞増殖因子(HGF)遺伝子、線維芽細胞増殖因子(FGF)遺伝子を挙げることができる。
「プリオン遺伝子」としては、例えば、ヒトプリオン遺伝子、ウシプリオン遺伝子を挙げることができる。
「微生物由来遺伝子」としては、例えば、O157等の病原性大腸菌を挙げることができる。
「原虫由来遺伝子」としては、例えば、マラリア原虫由来遺伝子を挙げることができる。
【0012】
「標的遺伝子のmRNAと相同的な30〜100塩基の標的配列」とは、標的遺伝子のmRNAの一部と80%以上の相同性を有する配列が適当であり、90%以上の相同性を有する配列が好ましく、100%の相同性を有する配列がより好ましい。但し、相同性は、センス鎖の5’末端及び3’末端から22〜24番目のヌクレオチドの内、リボースの2’位の水酸基が置換されているヌクレオチドを除いて算出される。
【0013】
標的配列の鎖長は、30〜100塩基の範囲内が適当であり、30〜80塩基の範囲内が好ましく、30〜50塩基の範囲内がより好ましい。
【0014】
「標的配列と相補的な配列」とは、標的配列と80%以上の相補性を有する配列が適当であり、90%以上の相補性を有する配列が好ましく、100%の相補性を有する配列がより好ましい。但し、相補性は、アンチセンス鎖の5’末端及び3’末端から22〜24番目のヌクレオチドの内、リボースの2’位の水酸基が置換されているヌクレオチドを除いて算出される。
【0015】
「リボースの2’位の水酸基が置換されているヌクレオチド」としては、例えば、リボースの2’位の水酸基が、水素原子、アルキル、アリール、アリールアルキル、アルコキシアルキル、アリールオキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、アルコキシアルキルオキシ、アリールオキシアルキルオキシ、チオール、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノアルキルオキシ、アルキルアミノアルキルオキシ、ジアルキルアミノアルキルオキシ、アジド、シアノ、ニトロ及びハロゲンから選択されるいずれかの基に置換されたヌクレオチドを挙げることができる。より具体的には、水素原子、フッ素原子、メトキシ、メトキシエトキシ、アミノプロピルオキシ、ジメチルアミノエトキシ、ジメチルアミノエトキシエトキシを挙げることができる。
それらの中で、水素原子、フッ素原子、メトキシが好ましく、水素原子が特に好ましい。
【0016】
「標的遺伝子がコードするタンパク質の発現抑制活性を有する」とは、本発明RNAを導入した細胞において、標的遺伝子がコードするタンパク質の発現量が陰性対照のそれと等しい場合を抑制率が0%であるとみなし、その抑制率が50%以上、好ましくは75%以上、さらに好ましくは90%以上である場合をいう。
【0017】
本発明RNAにおいて、センス鎖及びアンチセンス鎖の全長は、同一又は異なって、30〜104塩基の範囲内が適当であり、30〜84塩基の範囲内が好ましく、30〜54塩基の範囲内がより好ましい。
【0018】
本発明RNAは、そのセンス鎖及び/又はアンチセンス鎖を構成するリボヌクレオチドの一部が、修飾リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド又は修飾デオキシリボヌクレオチドに置換されていてもよい。
【0019】
「修飾リボヌクレオチド」及び「修飾デオキシリボヌクレオチド」とは、ヌクレオチドを構成する「糖」、「核酸塩基」、「リン酸バックボーン」の少なくとも1つが修飾されているヌクレオチドをいう。
【0020】
「糖」の修飾としては、例えば、リボースの2’位の水酸基や水素原子の修飾、デオキシリボースの2’位の水素原子の修飾、糖の4’位の酸素原子を硫黄原子とする修飾、リボースの2’位の水素原子と水酸基をカルボニル基とする修飾、リボースの2’位の水酸基と4’位の炭素原子とをメチレンにて架橋する修飾[いわゆる、Bridged Nucleic Acid(BNA)又はLocked Nucleic Acid(LNA)]を挙げることができる。
リボースの2’位の水酸基の修飾は、前記と同様である。
リボース、デオキシリボースの2’位の水素原子の修飾としては、例えば、アルキル、アリール、アリールアルキル、アルコキシアルキル、アリールオキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、アルコキシアルキルオキシ、アリールオキシアルキルオキシ、チオール、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノアルキルオキシ、アルキルアミノアルキルオキシ、ジアルキルアミノアルキルオキシ、アジド、シアノ、ニトロ及びハロゲンから選択されるいずれかの基に置換する修飾を挙げることができる。
【0021】
「核酸塩基」としては、例えば、2−アミノプリン、2−アミノ−1,9−ジヒドロ−6H−プリン−6−オン(グアニン)、6−アミノ−9H−プリン(アデニン)、8−アミノプリン、2,6−ジアミノプリン、2,6,8−トリアミノプリン、6,8−ジアミノプリン、6−アミノ−2−ヒドロキシプリン、2−アミノ−6−ヒドロキシプリン、8−アミノ−6−ヒドロキシプリン、6−アミノ−8−ヒドロキシプリン、6−ヒドロキシプリン、2,6−ジヒドロキシプリン又はそれらの互変異性体等のプリン塩基:5−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−2,4−ジオン(チミン)、4−アミノピリミジン−2(1H)−オン(シトシン)、ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン(ウラシル)、4,5−ジアミノピリミジン−2−オン、4,6−ジアミノピリミジン−2−オン、5−アミノピリミジン−2,4−ジオン、6−アミノピリミジン−2,4−ジオン、5−アミノピリミジン−2−オン、6−アミノピリミジン−2−オン、2,4−ジヒドロキシピリミジン又はそれらの互変異性体等のピリミジン塩基を挙げることができる。
核酸塩基の修飾体とは、例えば、プリン塩基又はピリミジン塩基中、置換可能な任意の位置において、適当な置換基で修飾されている核酸塩基をいう。かかる置換基としては、例えば、ハロゲン、アシル、アルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ及びニトロからなる群から選択される1〜3個の置換基を挙げることができる。
【0022】
リン酸バックボーンの修飾としては、例えば、ホスホロチオエート体、ホスホロジチオエート体、アルキルホスホネート体、ボラノホスフェート体又はホスホロアミデート体とする修飾を挙げることができる。
【0023】
「アルキル」としては、例えば、直鎖状又は分枝鎖状の炭素数1〜6のアルキルを挙げることができる。例えば、メチル、エチル、n―プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、n−ヘキシル及びイソヘキシルを挙げることができる。当該アルキルは置換されていてもよく、かかる置換基としては、例えば、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、シアノ、ニトロを挙げることができ、これらが1〜3個置換されていてもよい。
「ハロゲン」としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を挙げることができる。
「アルコキシ」としては、例えば、直鎖状又は分枝鎖状の炭素数1〜6のアルコキシを挙げることができる。例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、イソヘキシルオキシを挙げることができる。それらの中で、炭素数1〜3のアルコキシが好ましい。
「アリール」としては、例えば、炭素数6〜10のアリールを挙げることができる。例えば、フェニル、α―ナフチル、β―ナフチルを挙げることができる。当該アリールは置換されていてもよく、かかる置換基としては、例えば、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、シアノ、ニトロを挙げることができ、これらが任意の位置に1〜3個置換されていてもよい。それらの中で、フェニルが好ましい。
「アシル」としては、例えば、直鎖状又は分枝鎖状の炭素数1〜6のアルカノイル、炭素数7〜13のアロイルを挙げることができる。例えば、ホルミル、アセチル、n−プロピオニル、イソプロピオニル、n−ブチリル、イソブチリル、tert−ブチリル、バレリル、ヘキサノイル、ベンゾイル、ナフトイル、レブリニルを挙げることができる。
「アリールアルキル」、「アリールアルキルオキシ」、「アルコキシアルキル」、「アルコキシアルキルオキシ」、「アルキルチオ」、「アルキルアミノ」、「ジアルキルアミノ」、「アミノアルキルオキシ」、「アルキルアミノアルキルオキシ」、「ジアルキルアミノアルキルオキシ」、「アリールオキシアルキル」及び「アリールオキシアルキルオキシ」の「アルキル」部分は、上記の「アルキル」と同じものを挙げることができる。
「アルコキシアルキル」及び「アルコキシアルキルオキシ」の「アルコキシ」部分は、上記の「アルコキシ」と同じものを挙げることができる。
「アリールアルキル」、「アリールオキシアルキル」、「アリールアルキルオキシ」、「アリールオキシアルキルオキシ」及び「アリールオキシ」の「アリール」部分としては、上記の「アリール」と同じものを挙げることができる。
「アルキル」、「アリール」の置換基である「ハロゲン」、「アルキル」及び「アルコキシ」としては、各々上記と同じものを挙げることができる。
【0024】
本発明RNAは、そのセンス鎖及び/又はアンチセンス鎖の3’末端及び/又は5’末端に突出部を有していてもよい。
【0025】
当該突出部としては、1〜4塩基のヌクレオチドが適当であり、2塩基のヌクレオチドが好ましい。当該ヌクレオチドは、リボヌクレオチドかデオキシリボヌクレオチドかを問わない。また、修飾リボヌクレオチドや修飾デオキシリボヌクレオチドであってもよい。それらの態様の中で、デオキシリボヌクレオチドが適当であり、デオキシチミジン一リン酸が好ましい。なお、修飾リボヌクレオチドや修飾デオキシリボヌクレオチドは、前記と同様である。
【0026】
本発明RNAは、そのセンス鎖及び/又はアンチセンス鎖に1ないし複数の欠失、置換、挿入又は付加した塩基を含んでいてもよい。
【0027】
本発明RNAは、例えば、ホスホロアミダイト法[例えば、2’位水酸基が、2’−(2−シアノエトキシ)メチル(CEM)化、2’−tert−ブチルジメチルシリルオキシメチル(TOM)化、2’−ビス(アセトキシメトキシ)メチルエチル(ACE)化又は2’−tert−ブチルジメチルシリル(TBDMS)化されたリボヌクレオチドホスホロアミダイト化合物を使用する方法]若しくはH−ホスホネート法による固相合成法によって、又はトリエステル法による液相合成法によって製造することができる。
【0028】
リン酸バックボーンの修飾は、当業者に公知の方法(例えば、“Methods in Molecular Biology”、20巻、1993年、Humana Press Inc.)により行うことができる。
ホスホロチオエート体は、例えば、ホスホロアミダイト法による固相合成の酸化の工程において、例えば、ヨウ素−水による酸化剤の代わりに硫黄やtetraethylthiuramdisulfide(TETD)等の硫黄化剤を用いることにより製造することができる。
ホスホロジチオエート体は、例えば、ホスホロアミダイトの代わりにホスホロチオアミダイトを用い、酸化の工程において硫黄などの硫黄化剤を用いることにより製造することができる。
アルキルホスホネート体は、例えば、ホスホロアミダイトの代わりに、メチルホスホンアミダイト等のアルキルホスホンアミダイトを用いることにより製造することができる。
ホスホロアミデート体は、例えば、H−ホスホネート法による固相合成において、H−ホスホネート体を合成した後、所望の1級又は2級のアミンとヨウ素等の酸化剤を用いることにより製造することができる。
ボラノホスフェート体は、例えば、H−ホスホネート法による固相合成において、H−ホスホネート体を合成した後、ボロンと3級アミンとを用いることにより製造することができる。
【0029】
本発明RNAは、後述する担体を用いて細胞内にトランスフェクションすることができる。また、リン酸カルシウム法、エレクトロポレーション法又はマイクロインジェクション法等により、直接細胞内に導入することもできる。
【0030】
II.本発明組成物
本発明組成物は、本発明RNAと担体との複合体を含有することを特徴とするものである。
【0031】
上記担体としては、本発明RNAを細胞内に移行させるのに有効なものであれば特に制限さない。例えば、カチオン性リポソーム、カチオン性ポリマー、カチオン性デンドリマー等のカチオン性担体、ウイルスエンベロープ又はナノ粒子を利用した担体を挙げることができる。
【0032】
「カチオン性リポソーム」としては、例えば、
(1)2−O−(2−ジエチルアミノエチル)カルバモイル−1,3−O−ジオレオイルグリセロールとリン脂質とを必須構成成分として形成されるカチオン性リポソーム担体(以下、「リポソームA」という。)、
(2)2−O−(2−ジエチルアミノエチル)カルバモイル−1,3−O−ジオレオイルグリセロール、1,3−ジステアロイルグリセロ−2−ホスファチジル−N−(メトキシ ポリエチレングリコールスクシニル)エタノールアミン及びリン脂質を必須の構成成分とするカチオン性リポソーム(以下、「リポソームB」という。)、
(3)2−O−(2−ジエチルアミノエチル)カルバモイル−1,3−O−ジオレオイルグリセロール、N−(メトキシ ポリエチレングリコールスクシニル)ジステアロイル ホスファチジルエタノールアミン[SUNBRIGHT DSPE−020C;日本油脂社製]及びリン脂質を必須の構成成分とするカチオン性リポソーム(以下、「リポソームC」という。)、
(4)オリゴフェクトアミン(Invitrogen社製)、
(5)リポフェクチン(Invitrogen社製)、
(6)リポフェクトアミン(Invitrogen社製)、
(7)セルフェクチン(Invitrogen社製)、
(8)リポフェクトアミン2000(Invitrogen社製)、
(9)DMRIE−C(Invitrogen社製)、
(10)GeneSilencer(Gene Therapy Systems社製)、
(11)TransMessenger(QIAGEN社製)、
(12)TransIT−TKO(Mirus社製)を挙げることができる。
それらの中で、リポソームA、リポソームB、リポソームCが好ましい。
【0033】
2−O−(2−ジエチルアミノエチル)カルバモイル−1,3−O−ジオレオイルグリセロールは、文献(WO94/19314の実施例20)に記載の方法により製造することができる。
【0034】
1,3−ジステアロイルグリセロ−2−ホスファチジル−N−(メトキシ ポリエチレングリコールスクシニル)エタノールアミンは、文献(Cancer Research vol.68,no.21(2008)pp.8843−8851)に記載の方法により製造することができる。当該化合物は、分子量2000〜3800の範囲内で分布するものが好ましい。なお、分子量は、エレクトロスプレーイオン化法を用いたマススペクトルで測定することができる。
【0035】
リポソームA、B及びCにおいて用い得る、リン脂質としては、例えば、ホスファチジルコリン[例えば、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン]、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、スフィンゴミエリン、ジパルミトイルフォスファチジルグリセロール、1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、卵黄レシチン、大豆レシチン又はこれらの水素添加リン脂質を挙げることができる。
【0036】
リポフェクチンは、N−[1−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)と中性脂質としてジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)を1:1(mol/mol)で含むカチオン性リポソームである。
リポフェクトアミンは、2,3−ジオレキシオロキシ−N−[2−(スペルミンカルボキサミド)エチル]−N,N−ジメチル−1−プロパンアンモニウム トリフルオロアセタート(DOSPA)とジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)を3:1(w/w)で含むカチオン性リポソームである。
セルフェクチンは、N,N1,N2,N3−テトラメチル−テトラパルミチルスペルミン(TM−TPS)とジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)を1:1.5(mol/mol)で含むカチオン性リポソームである。
DMRIE−Cは、1,2−ジミリスチルオキシプロピル−3−ジメチル−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE)とコレステロール(Cholesterol)を1:1(mol/mol)で含むカチオン性リポソームである。
【0037】
「カチオン性ポリマー」としては、例えば、jetSI(Qbiogene社製)、jetPEI(ポリエチレンイミン;Qbiogene社製)、アテロコラーゲンを挙げることができる。
【0038】
「ウイルスエンベロープ」としては、例えば、GenomeONE(HVJ−Eリポソーム;石原産業社製)を挙げることができる。
【0039】
「カチオン性デンドリマー」としては、例えば、カチオン性アミノ酸デンドリマー(例えば、デンドリックポリ(L−リジン)(例えば、“Organic Biomolecular Chemistry”、2003年、1巻、1270−1273頁)又はポリアミドアミンデンドリマーを挙げることができる。
【0040】
「ナノ粒子」としては、例えば、金ナノ粒子、シリカナノ粒子を挙げることができ、その平均粒子径としては、例えば、1nm〜5000nmの範囲内が適当である。
【0041】
「金ナノ粒子」としては、例えば、カチオン性金ナノ粒子(“Bioconjugate Chemistry”、2002年、13巻、3−6頁)、ポリエチレングリコールで修飾されたカチオン性金ナノ粒子(例えば、“Journal of Controlled Rerease”、2006年、111巻、382−389頁)を挙げることができる。
【0042】
本発明組成物中に含まれる本発明RNAの種類は、一種類であってもよいが、2〜10の複数種であってもよい。
【0043】
本発明組成物中に含まれる本発明RNAの濃度は、担体の種類等によって異なるが、in vitroで使用する場合には、例えば、0.1nM〜10μMの範囲内が適当であり、10nM〜1μMの範囲内が好ましい。また、in vivoで使用する場合には、例えば、0.1〜10mg/mLの範囲内が適当であり、0.5〜2mg/mLの範囲内か好ましい。
本発明組成物中に含まれる本発明RNAと担体との重量比(担体/本発明RNA)は、本発明RNAの性質、担体の種類等によって異なるが、0.01〜100の範囲内が適当であり、1〜50の範囲内が好ましく、5〜30の範囲内がより好ましい。
【0044】
本発明組成物には、任意に医薬上許容される添加剤を配合することができる。かかる添加剤として、例えば、乳化補助剤(例えば、炭素数6〜22の脂肪酸やその医薬上許容される塩、アルブミン、デキストラン)、安定化剤(例えば、コレステロール、ホスファチジン酸)、等張化剤(例えば、塩化ナトリウム、グルコース、マルトース、ラクトース、スクロース、トレハロース)、pH調整剤(例えば、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン)を挙げることができる。これらを一種又は二種以上使用することができる。本発明組成物中の当該添加剤の含有量は、90重量%以下が適当であり、70重量%以下が好ましく、50重量%以下がより好ましい。
【0045】
本発明組成物は、担体の分散液に本発明RNAを加え、適当に攪拌することにより調製することができる。また、添加剤は、本発明RNAの添加前でも添加後でも適当な工程で添加することができる。本発明RNAを添加する際に用い得る溶媒としては、医薬上許容されるものであれば特に制限されず、例えば、注射用水、注射用蒸留水、生理食塩水等の電解質液、ブドウ糖液、マルトース液等の糖液を挙げることができる。また、かかる場合のpHおよび温度等の条件は、当業者が適宜選択することができる。
【0046】
本発明組成物は、例えば、液剤やその凍結乾燥製剤とすることができる。当該凍結乾燥製剤は、常法により、液剤の形態を有している本発明組成物を凍結乾燥処理することにより調製することができる。例えば、液剤の形態を有している本発明組成物を適当な滅菌を行った後、所定量をバイアル瓶に分注し、約−40〜−20℃の条件で予備凍結を2時間程度行い、約0〜10℃で減圧下に一次乾燥を行い、次いで、約15〜25℃で減圧下に二次乾燥して凍結乾燥することができる。そして、一般的にはバイアル内部を窒素ガスで置換し、打栓して本発明組成物の凍結乾燥製剤を得ることができる。
【0047】
上記凍結乾燥製剤は、一般には任意の適当な溶液(再溶解液)の添加によって再溶解し使用することができる。このような再溶解液としては、注射用水、生理食塩水、その他一般輸液を挙げることができる。この再溶解液の液量は、用途等によって異なり特に制限されないが、凍結乾燥前の液量の0.5〜2倍量、又は500mL以下が適当である。
【0048】
III.本発明RNA、本発明組成物の医薬用途
本発明RNAないし本発明組成物は、例えば、標的遺伝子がコードするタンパク質の異常な発現が原因となっている疾患の治療及び/又は予防のために用いることができる。
例えば、癌、ウイルス性疾患、代謝性疾患、循環器疾患、神経疾患、泌尿器疾患、血液学的悪性疾患、又はアポトーシスの促進又は抑制が所望される疾患の治療及び/又は予防のために用いることができる。
【0049】
本発明RNAないし本発明組成物は、ヒトを含む動物に対し、静脈内投与、動脈内投与、経口投与、組織内投与(例えば、膀胱内投与、胸腔内投与、腹腔内投与、眼内投与、脳内投与)、経皮投与、経粘膜投与、経肺投与又は経直腸投与することができる。特に静脈内投与、経皮投与、経粘膜投与が望ましい。これらの投与に適した剤型、例えば、各種の注射剤、経口剤、点滴剤、吸入剤、点眼剤、軟膏剤、ローション剤、座剤で投与されるのはもちろんである。
【0050】
本発明RNAないし本発明組成物の投与量は、本発明RNAの種類、剤型、年齢や体重等の患者の状態、投与経路、疾患の性質や程度を考慮した上で、例えば、成人に対して、1日当たり0.1mg〜5g/ヒトの範囲内が、好ましくは1mg〜2gの範囲内が一般的である。この数値は標的とする疾患の種類、投与形態、標的分子によっても異なる場合がある。従って、場合によってはこれ以下でも十分であるし、また逆にこれ以上の用量を必要とするときもある。また1日1回から数回の投与または1日から数日間の間隔で投与することができる。
【実施例】
【0051】
以下、製造例、試験例により、本発明を詳細に説明する。但し、本発明は、実施例の記載に限定されないことは言うまでもない。
【0052】
製造例1 二本鎖RNAの調製
(1)二本鎖RNAの配列
試験例1〜3で用いた二本鎖RNAは、以下の通りである。下記配列中、「dA」、「dT」、「dG」及び「dC」は、リボースの2’位の水酸基が水素原子に置換されたヌクレオチド(DNA)を表す。また、「a」、「u」、「g」及び「c」は、リボースの2’位の水酸基がメトキシに置換されたヌクレオチドを表す。
Bcl2−1:
センス鎖(配列番号1)
5’−GUG AUG AAG UAC AUC CAU UdTdT−3’
アンチセンス鎖(配列番号2)
5’−AAU GGA UGU ACU UCA UCA CdTdT−3’
Bcl2−2:
センス鎖(配列番号3)
5’−CGA UAA CCG GGA GAU AGU GAU
GAA GUA CAU CCA UUdT dT−3’
アンチセンス鎖(配列番号4)
5’−AAU GGA UGU ACU UCA UCA CUA
UCU CCC GGU UAU CGdT dT−3’
Bcl2−3:
センス鎖(配列番号5)
5’−CGA UAA CCG GGA GdAdT AGU GAU
dGdAA GUA CAU CCA UUdT dT−3’
アンチセンス鎖(配列番号4)
5’−AAU GGA UGU ACU UCA UCA CUA
UCU CCC GGU UAU CGdT dT−3’
Bcl2−4:
センス鎖(配列番号6)
5’−CGA UAA CCG GGA Gau AGU GAU
gaA GUA CAU CCA UUdT dT−3’
アンチセンス鎖(配列番号4)
5’−AAU GGA UGU ACU UCA UCA CUA
UCU CCC GGU UAU CGdT dT−3’
Bcl2−5:
センス鎖(配列番号7)
5’−GGG UAC GAU AAC CGG GAG AUA
GUG AUG AAG UAC AUC CAU UdTdT−3’
アンチセンス鎖(配列番号8)
5’−AAU GGA UGU ACU UCA UCA CUA
UCU CCC GGU UAU CGU ACC CdTdT−3’
Bcl2−6:
センス鎖(配列番号9)
5’−GGG UAC GAU AAC CGG GAG dAdTA
dGdTG AUG AAG UAC AUC CAU UdTdT−3’
アンチセンス鎖(配列番号8)
5’−AAU GGA UGU ACU UCA UCA CUA
UCU CCC GGU UAU CGU ACC CdTdT−3’
Bcl2−7:
センス鎖(配列番号10)
5’−GGG UAC GAU AAC CGG GAG auA
guG AUG AAG UAC AUC CAU UdTdT−3’
アンチセンス鎖(配列番号8)
5’−AAU GGA UGU ACU UCA UCA CUA
UCU CCC GGU UAU CGU ACC CdTdT−3’
SOD1−1:
センス鎖(配列番号11)
5’−GGU GGA AAU GAA GAA AGU AdTdT−3’
アンチセンス鎖(配列番号12)
5’−UAC UUU CUU CAU UUC CAC CdTdT−3’
SOD1−2:
センス鎖(配列番号13)
5’−AGA UGA CUU GGG CAA AGG UGG AAA
UGA AGA AAG UAdT dT−3’
アンチセンス鎖(配列番号14)
5’−UAC UUU CUU CAU UUC CAC CUU UGC
CCA AGU CAU CUdT dT−3’
SOD1−3:
センス鎖(配列番号15)
5’−AGA UGA CUU GGG CdAdA dAGG UGG
dAdAdA UGA AGA AAG UAdT dT−3’
アンチセンス鎖(配列番号14)
5’−UAC UUU CUU CAU UUC CAC CUU UGC
CCA AGU CAU CUdT dT−3’
SOD1−4:
センス鎖(配列番号16)
5’−AAA GCA GAU GAC UUG GGC AAA GGU
GGA AAU GAA GAA AGU AdTdT−3’
アンチセンス鎖(配列番号17)
5’−UAC UUU CUU CAU UUC CAC CUU UGC
CCA AGU CAU CUG CUU UdTdT−3’
SOD1−5:
センス鎖(配列番号18)
5’−AAA GCA GAU GAC UUG GGC dAdAdA
dGdGdT GGA AAU GAA GAA AGU AdTdT−3’
アンチセンス鎖(配列番号17)
5’−UAC UUU CUU CAU UUC CAC CUU UGC
CCA AGU CAU CUG CUU UdTdT−3’
hnRNPH−1
センス鎖(配列番号19)
5’−AAC UUG AAU CAG AAG AUG AdTdT−3’
アンチセンス鎖(配列番号20)
5’−UCA UCU UCU GAU UCA AGU UdTdT−3’
hnRNPH−2
センス鎖(配列番号21)
5’−GGC GAG GCU UUU GUU GAA CUU GAA
UCA GAA GAU GAdT dT−3’
アンチセンス鎖(配列番号22)
5’−UCA UCU UCU GAU UCA AGU UCA ACA
AAA GCC UCG CCdT dT−3’
hnRNPH−3
センス鎖(配列番号23)
5’−GGC GAG GCU UUU GdTdT dGAA CUU
dGdAdA UCA GAA GAU GAdT dT−3’
アンチセンス鎖(配列番号22)
5’−UCA UCU UCU GAU UCA AGU UCA ACA
AAA GCC UCG CCdT dT−3’
hnRNPH−4
センス鎖(配列番号24)
5’−CAA GUG GCG AGG CUU UUG UUG AAC
UUG AAU CAG AAG AUG AdTdT−3’
アンチセンス鎖(配列番号25)
5’−UCA UCU UCU GAU UCA AGU UCA ACA
AAA GCC UCG CCA CUU GdTdT−3’
hnRNPH−5
センス鎖(配列番号26)
5’−CAA GUG GCG AGG CUU UUG dTdTdG
dAdAdC UUG AAU CAG AAG AUG AdTdT−3’
アンチセンス鎖(配列番号25)
5’−UCA UCU UCU GAU UCA AGU UCA ACA
AAA GCC UCG CCA CUU GdTdT−3’
GL3−1:
センス鎖(配列番号27)
5’−CUU ACG CUG AGU ACU UCG AdTdT−3’
アンチセンス鎖(配列番号28)
5’−UCG AAG UAC UCA GCG UAA GdTdT−3’
GL3−2:
センス鎖(配列番号29)
5’−GGU GGA CAU CAC UUA CGC UGA
GUA CUU CGA dTdT−3’
アンチセンス鎖(配列番号30)
5’−UCG AAG UAC UCA GCG UAA GUG
AUG UCC ACC dTdT−3’
GL3−3:
センス鎖(配列番号31)
5’−GGU GGA CAdT dCdAC UUA CGC UGA
dGdTA CUU CGA dTdT−3’
アンチセンス鎖(配列番号30)
5’−UCG AAG UAC UCA GCG UAA GUG
AUG UCC ACC dTdT−3’
GL3−4:
センス鎖(配列番号32)
5’−AUC GAG GUG GAC AUC ACU UAC
GCU GAG UAC UUC GAdT dT−3’
アンチセンス鎖(配列番号33)
5’−UCG AAG UAC UCA GCG UAA GUG
AUG UCC ACC UCG AUdT dT−3’
GL3−5:
センス鎖(配列番号34)
5’−AUC GAG GUG GAC AdTdC dACU UAC
dGdCU GAG UAC UUC GAdT dT−3’
アンチセンス鎖(配列番号33)
5’−UCG AAG UAC UCA GCG UAA GUG
AUG UCC ACC UCG AUdT dT−3’
GL3−6:
センス鎖(配列番号35)
5’−CAC AUA UCG AGG UGG ACA UCA
CUU ACG CUG AGU ACU UCG AdTdT−3’
アンチセンス鎖(配列番号36)
5’−UCG AAG UAC UCA GCG UAA GUG
AUG UCC ACC UCG AUA UGU GdTdT−3’
GL3−7:
センス鎖(配列番号37)
5’−CAC AUA UCG AGG UGG ACA dTdCdA
dCdTU ACG CUG AGU ACU UCG AdTdT−3’
アンチセンス鎖(配列番号36)
5’−UCG AAG UAC UCA GCG UAA GUG
AUG UCC ACC UCG AUA UGU GdTdT−3’
なお、Bcl2−1はWO2004/105774に、SOD1−1は文献(Biochemical and Biophysical Research Communications、314、2004、p.283−291)に、hnRNPH−1は文献(Nature Biotechnology、23、2004、p.222−226)に、GL3−1は文献(Journal of Controlled Release、131、2008、p.64−69)にそれぞれ記載されている配列であり、いずれも標的遺伝子がコードするタンパク質の発現を抑制し得るものである。
(2)二本鎖RNAを構成するRNA鎖の合成
二本鎖RNAを構成するRNA鎖の合成は、日本バイオサービスに依頼した。
各RNA鎖の濃度が100μMになるように注射用水(大塚製薬工場社製、以下同じ。)に溶解した。
【0053】
製造例2 医薬組成物の調製
(1)担体(リポソームA)の調製
文献(WO94/19314の実施例20)に記載の方法により製造した2−O−(2−ジエチルアミノエチル)カルバモイル−1,3−O−ジオレオイルグリセロール 60mgと100mgの卵黄レシチン(キューピー社製)をバイアル中で2mLのクロロホルムに溶解し、これに窒素ガスを吹きつけてクロロホルムを除去し、バイアルの壁面に薄膜を形成させた。これを更に減圧下で一晩放置した後、1000mgのマルトース(林原社製)、4.0mLの注射用水及び80μLの1N塩酸を加えてボルテックスミキサーで薄膜を分散させた。4℃で3時間放置した後、マイクロプローブ(Sonifier−250、BRANSON社製)を用いて、10分間超音波処理を行った。その後、注射用水を用いて10mLになるように定容し、16mg/mLの分散液を調製した。
(2)医薬組成物の調製
製造例1(2)で合成したセンス鎖及びアンチセンス鎖を等モルで混合し10%マルトース溶液(大塚製薬工場社製、以下同じ。)で希釈し、二本鎖RNAを調製した。上記(1)で調製した担体を10%マルトース溶液にて適宜希釈し、同容量の二本鎖RNAを攪拌しながら少量ずつ滴下して、二本鎖RNAと担体との複合体(医薬組成物)を形成させた。
複合体中の二本鎖RNAの濃度は0.1〜3μMであり、複合体中の二本鎖RNAと担体との比率は1:16(w/w)であった。なお、調製した複合体は10%マルトースで適宜希釈した。
【0054】
試験例1 Dicerによるin vitro切断活性
製造例1(2)で合成したセンス鎖及びアンチセンス鎖をアニーリングバッファー(30mM HEPES-KOH pH7.4、100mM KCl、2mM MgCl2)中でそれぞれの濃度が20μMになるように調製した。PROGRAM TEMP CONTROL SYSTEM PC−800(ASTEC社製)を用いて、95℃まで加熱し、2分間保持した後、60分間かけて30℃まで冷却することでアニーリングさせ、二本鎖RNAを調製した。調製した二本鎖RNAを、Recombinant Dicer Enzyme Kit (Genlantis社製)を用いて、in vitroでの切断反応を行った。反応後、二本鎖RNA 20pmol/laneとなるように15%ポリアクリルアミドゲルにてTBE(×0.5)で電気泳動を行い、エチジウムブロマイドで染色し、ChemiDoc(バイオ・ラッドラボラトリーズ社製)により検出した。
その結果を図1〜4に示す。図1〜4に示すように、本発明RNAは、Dicerによる切断を受け難いことが分かった。一方で、天然型の二本鎖RNAはDicerによる切断を受けていた。
【0055】
試験例2 Bcl−2タンパク質、SOD1タンパク質又はhnRNPHタンパク質の発現抑制活性
A431細胞(ヒト上皮癌細胞株)を6cm径のシャーレに1×105個で播種した。10%ウシ胎児仔血清を含むDMEM培地(シグマ社製、以下同じ。)3mL中、37℃、5%CO2条件下で一晩培養した。新鮮な上記培地2.7mLに交換し、製造例2で調製した30nMの医薬組成物 0.3mLを添加し、3日間培養した。細胞をPBS(ニッスイ社製、以下同じ。)で2回洗浄した後、セルスクレーパーを用いて1.5mLチューブに移した。1000×gで2分間遠心し、上清を取り除き、50〜100μLの緩衝液[50mM Tris−HCl(pH7.5)、150mM NaCl、1% NP−40]に懸濁した後、氷上に30分間静置した。15000×g、4℃で20分間遠心し、上清(細胞抽出液)を回収した。
細胞抽出液中のタンパク質濃度は、BCAプロテインアッセイシステム(ピアスバイオテクノロジー社製)を使用し、測定した。
細胞抽出液中のタンパク質15μgをe−PAGEL(登録商標)(アトー社製)で電気泳動し、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)膜(ミリポア社製)に転写した。タンパク質を転写した膜を、ブロッキングワン(ナカライテスク社製、以下同じ。)中、室温にて30分間振盪することによりブロッキングを行った。1次抗体を0.1%Tween−20含有PBS(PBST)で20倍希釈したブロッキングワン(5%ブロッキングワン)で希釈し、当該希釈溶液中で室温1時間振盪した。PBSTで洗浄した後、5%ブロッキングワンで希釈した2次抗体中で室温1時間振盪した。PBSTで洗浄した後、Western Lightning Chemiluminescence Reagent Plus (パーキンエルマー社製)を用いて発光させ、ChemiDoc(バイオ・ラッド ラボラトリー社製)にてBcl−2タンパク質、SOD1タンパク質、hnRNPHタンパク質又はβ−actinタンパク質を検出し、各タンパク質の発現量を定量化した。なお、GL3−1を添加した細胞と医薬組成物の代わりにマルトースを添加した細胞を陰性対照とした。
Bcl−2タンパク質の検出では、1次抗体としてはマウス抗ヒトbcl−2抗体(M0887、DAKO CYTOMATION社製)を500倍希釈したものを、2次抗体としてはペルオキシダーゼ(HRP)標識抗マウスIgG抗体(P0260、DAKO CYTOMATION社製)を2000倍希釈したものをそれぞれ用いた。
SOD1タンパク質の検出では、1次抗体としてはヤギ抗ヒトSOD1抗体(#SOD−101、Stressgen社製)を1000倍希釈したものを、2次抗体としてはHRP標識抗ウサギIgG抗体(#7074、CellSignaling社製)を2000倍希釈したものをそれぞれ用いた。
hnRNPHタンパク質の検出では、1次抗体としてはヤギ抗ヒトhnRNPH抗体(sc−10042、Santa Cruz社製)を200倍希釈したものを、2次抗体としてはHRP標識抗ヤギIgG 抗体(P−0449、DAKO CYTOMATION社製)を2000倍希釈したものをそれぞれ用いた。
β-actinタンパク質の検出では、1次抗体としてはヤギ抗ヒトβ-actin抗体(sc−1615、SantaCruz社製)を2000倍希釈したものを、2次抗体としてはHRP標識抗ヤギIgG 抗体(P0449、DAKO CYTOMATION社製)を2000倍希釈したものを、又は、1次抗体としてはマウス抗ヒトβ-actin抗体(sc−8432、Santa Cruz社製)を2000倍希釈したものを、2次抗体としてはHRP標識抗マウスIgG 抗体(P−0260、DAKO CYTOMATION社製)を2000倍希釈したものをそれぞれ用いた。
その結果を図5〜10に示す。図5〜10に示すように、本発明RNAは、対応する天然型の二本鎖RNAと同程度若しくはそれよりも強く標的遺伝子がコードするタンパク質(Bcl−2タンパク質、SOD1タンパク質又はhnRNPHタンパク質)の発現を抑制した。
【0056】
試験例3 ルシフェラーゼタンパク質の発現抑制活性
96穴プレートにルシフェラーゼを安定に発現するA549細胞(ヒト肺癌由来細胞)を1000個/wellで播種し、10%ウシ胎児仔血清を含むDMEM培地 100μL中、37℃、5%CO2条件下で一晩培養した。翌日、製造例2で調製した100nMの医薬組成物 11.11μLを添加した。医薬組成物を添加72時間後に、新鮮な上記培地75μLに交換し、75μLの市販のルシフェラーゼ活性測定キット(Steady−Glo Luciferase Assay System;プロメガ社製)を添加してルシフェラーゼに依存した発光を生じさせ、マイクロプレート化学発光検出器(Top Count;パッカード社製)により発光量を計測した。なお、医薬組成物の代わりにマルトースを添加した細胞を陰性対照とした。
その結果を図11及び12に示す。図11及び12に示すように、本発明RNAは、ルシフェラーゼ遺伝子を標的とした場合においても、対応する天然型の二本鎖RNAと同程度若しくはそれよりも強くルシフェラーゼタンパク質の発現を抑制した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(1)〜(5)の特徴を有する二本鎖修飾RNA:
(1)標的遺伝子のmRNAと相同的な30〜100塩基の標的配列を含むセンス鎖を有すること、
(2)標的配列と相補的な配列を含むアンチセンス鎖を有すること、
(3)センス鎖の5’末端から22〜24番目の連続する少なくとも2つのヌクレオチド及び/又はアンチセンス鎖の3’末端から22〜24番目の連続する少なくとも2つのヌクレオチドについて、リボースの2’位の水酸基が置換されているヌクレオチドであること、
(4)センス鎖の3’末端から22〜24番目の連続する少なくとも2つのヌクレオチド及び/又はアンチセンス鎖の5’末端から22〜24番目の連続する少なくとも2つのヌクレオチドについて、リボースの2’位の水酸基が置換されているヌクレオチドであること、
(5)標的遺伝子がコードするタンパク質の発現抑制活性を有すること。
【請求項2】
下記(1)〜(5)の特徴を有する二本鎖修飾RNA:
(1)標的遺伝子のmRNAと相同的な30〜100塩基の標的配列を含むセンス鎖を有すること、
(2)標的配列と相補的な配列を含むアンチセンス鎖を有すること、
(3)センス鎖の5’末端から22及び23番目のヌクレオチド及び/又はアンチセンス鎖の3’末端から23及び24番目のヌクレオチドについて、リボースの2’位の水酸基が置換されているヌクレオチドであること、
(4)センス鎖の3’末端から23及び24番目のヌクレオチド及び/又はアンチセンス鎖の5’末端から22及び23番目のヌクレオチドについて、リボースの2’位の水酸基が置換されているヌクレオチドであること、
(5)標的遺伝子がコードするタンパク質の発現抑制活性を有すること。
【請求項3】
センス鎖及び/若しくはアンチセンス鎖の5’末端から24番目のヌクレオチドのリボースの2’位の水酸基、並びに/又はセンス鎖及び/若しくはアンチセンス鎖の3’末端から22番目のヌクレオチドのリボースの2’位の水酸基が更に置換されているヌクレオチドである、請求項2に記載の二本鎖修飾RNA。
【請求項4】
リボースの2’位の水酸基が、水素原子、アルキル、アリール、アリールアルキル、アルコキシアルキル、アリールオキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、アルコキシアルキルオキシ、アリールオキシアルキルオキシ、チオール、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノアルキルオキシ、アルキルアミノアルキルオキシ、ジアルキルアミノアルキルオキシ、アジド、シアノ、ニトロ及びハロゲンから選択されるいずれかの基に置換されていることを特徴とする、請求項1に記載の二本鎖修飾RNA。
【請求項5】
リボースの2’位の水酸基が、水素原子、フッ素原子及びメトキシから選択されるいずれかの基に置換されていることを特徴とする、請求項1に記載の二本鎖修飾RNA。
【請求項6】
センス鎖及び/又はアンチセンス鎖を構成するリボヌクレオチドの一部が、デオキシリボヌクレオチド又は修飾デオキシリボヌクレオチドに置換されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の二本鎖修飾RNA。
【請求項7】
センス鎖及び/又はアンチセンス鎖の3’末端及び/又は5’末端に突出部として1〜4塩基のヌクレオチドが付加されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の二本鎖修飾RNA。
【請求項8】
突出部として付加されたヌクレオチドがデオキシリボヌクレオチドである、請求項7に記載の二本鎖修飾RNA。
【請求項9】
突出部として付加したヌクレオチドが2塩基のデオキシチミジン一リン酸である、請求項7に記載の二本鎖修飾RNA。
【請求項10】
センス鎖及び/又はアンチセンス鎖のヌクレオチドを構成するリボース又はリン酸バックボーンの一部が修飾されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の二本鎖修飾RNA。
【請求項11】
リボース又はリン酸バックボーンの修飾が、リボースの2’位の水酸基を水素原子、アルキル、アリール、アリールアルキル、アルコキシアルキル、アリールオキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、アルコキシアルキルオキシ、アリールオキシアルキルオキシ、チオール、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノアルキルオキシ、アルキルアミノアルキルオキシ、ジアルキルアミノアルキルオキシ、アジド、シアノ、ニトロ及びハロゲンから選択されるいずれかの基に置換する修飾、リボースの4’位をチオ体とする修飾又はリン酸バックボーンをホスホロチオエート体、ホスホロジチオエート体、アルキルホスホネート体又はホスホロアミデート体とする修飾である、請求項10に記載の二本鎖修飾RNA。
【請求項12】
センス鎖及び/又はアンチセンス鎖に1ないし複数の欠失、置換、挿入又は付加した塩基を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の二本鎖修飾RNA。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の二本鎖修飾RNAと担体との複合体を含有することを特徴とする医薬組成物。
【請求項14】
担体がカチオン性担体、ウイルスエンベロープ又はナノ粒子を利用した担体である、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
カチオン性担体がカチオン性リポソームである、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
カチオン性リポソームが2−O−(2−ジエチルアミノエチル)カルバモイル−1,3−O−ジオレオイルグリセロールとリン脂質とを必須の構成成分とするカチオン性リポソーム:2−O−(2−ジエチルアミノエチル)カルバモイル−1,3−O−ジオレオイルグリセロール、1,3−ジステアロイルグリセロ−2−ホスファチジル−N−(メトキシ ポリエチレングリコールスクシニル)エタノールアミン及びリン脂質を必須の構成成分とするカチオン性リポソーム:又は2−O−(2−ジエチルアミノエチル)カルバモイル−1,3−O−ジオレオイルグリセロール、N−(メトキシ ポリエチレングリコールスクシニル)ジステアロイル ホスファチジルエタノールアミン及びリン脂質を必須の構成成分とするカチオン性リポソームである、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
リン脂質がホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、卵黄レシチン、大豆レシチン又はこれらの水素添加リン脂質である、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
カチオン性担体がカチオン性ポリマーである、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項19】
カチオン性担体がカチオン性デンドリマーである、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項20】
カチオン性デンドリマーがポリアミドアミンデンドリマーである、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
ナノ粒子が金ナノ粒子である、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項22】
標的遺伝子がコードするタンパク質の異常な発現が原因となっている疾患の治療及び/又は予防のための、請求項1〜12のいずれか1項に記載の二本鎖修飾RNA。
【請求項23】
癌、ウイルス性疾患、代謝性疾患、循環器疾患、神経疾患又は泌尿器疾患の治療及び/又は予防のための、請求項1〜12のいずれか1項に記載の二本鎖修飾RNA。
【請求項24】
アポトーシスの促進又は抑制が所望される疾患の治療及び/又は予防のための、請求項1〜12のいずれか1項に記載の二本鎖修飾RNA。
【請求項25】
血液学的悪性疾患の治療及び/又は予防のための、請求項1〜12のいずれか1項に記載の二本鎖修飾RNA。
【請求項26】
標的遺伝子がコードするタンパク質の異常な発現が原因となっている疾患の治療及び/又は予防のための、請求項13〜21のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項27】
癌、ウイルス性疾患、代謝性疾患、循環器疾患、神経疾患又は泌尿器疾患の治療及び/又は予防のための、請求項13〜21のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項28】
アポトーシスの促進又は抑制が所望される疾患の治療及び/又は予防のための、請求項13〜21のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項29】
血液学的悪性疾患の治療及び/又は予防のための、請求項13〜21のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項1】
下記(1)〜(5)の特徴を有する二本鎖修飾RNA:
(1)標的遺伝子のmRNAと相同的な30〜100塩基の標的配列を含むセンス鎖を有すること、
(2)標的配列と相補的な配列を含むアンチセンス鎖を有すること、
(3)センス鎖の5’末端から22〜24番目の連続する少なくとも2つのヌクレオチド及び/又はアンチセンス鎖の3’末端から22〜24番目の連続する少なくとも2つのヌクレオチドについて、リボースの2’位の水酸基が置換されているヌクレオチドであること、
(4)センス鎖の3’末端から22〜24番目の連続する少なくとも2つのヌクレオチド及び/又はアンチセンス鎖の5’末端から22〜24番目の連続する少なくとも2つのヌクレオチドについて、リボースの2’位の水酸基が置換されているヌクレオチドであること、
(5)標的遺伝子がコードするタンパク質の発現抑制活性を有すること。
【請求項2】
下記(1)〜(5)の特徴を有する二本鎖修飾RNA:
(1)標的遺伝子のmRNAと相同的な30〜100塩基の標的配列を含むセンス鎖を有すること、
(2)標的配列と相補的な配列を含むアンチセンス鎖を有すること、
(3)センス鎖の5’末端から22及び23番目のヌクレオチド及び/又はアンチセンス鎖の3’末端から23及び24番目のヌクレオチドについて、リボースの2’位の水酸基が置換されているヌクレオチドであること、
(4)センス鎖の3’末端から23及び24番目のヌクレオチド及び/又はアンチセンス鎖の5’末端から22及び23番目のヌクレオチドについて、リボースの2’位の水酸基が置換されているヌクレオチドであること、
(5)標的遺伝子がコードするタンパク質の発現抑制活性を有すること。
【請求項3】
センス鎖及び/若しくはアンチセンス鎖の5’末端から24番目のヌクレオチドのリボースの2’位の水酸基、並びに/又はセンス鎖及び/若しくはアンチセンス鎖の3’末端から22番目のヌクレオチドのリボースの2’位の水酸基が更に置換されているヌクレオチドである、請求項2に記載の二本鎖修飾RNA。
【請求項4】
リボースの2’位の水酸基が、水素原子、アルキル、アリール、アリールアルキル、アルコキシアルキル、アリールオキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、アルコキシアルキルオキシ、アリールオキシアルキルオキシ、チオール、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノアルキルオキシ、アルキルアミノアルキルオキシ、ジアルキルアミノアルキルオキシ、アジド、シアノ、ニトロ及びハロゲンから選択されるいずれかの基に置換されていることを特徴とする、請求項1に記載の二本鎖修飾RNA。
【請求項5】
リボースの2’位の水酸基が、水素原子、フッ素原子及びメトキシから選択されるいずれかの基に置換されていることを特徴とする、請求項1に記載の二本鎖修飾RNA。
【請求項6】
センス鎖及び/又はアンチセンス鎖を構成するリボヌクレオチドの一部が、デオキシリボヌクレオチド又は修飾デオキシリボヌクレオチドに置換されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の二本鎖修飾RNA。
【請求項7】
センス鎖及び/又はアンチセンス鎖の3’末端及び/又は5’末端に突出部として1〜4塩基のヌクレオチドが付加されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の二本鎖修飾RNA。
【請求項8】
突出部として付加されたヌクレオチドがデオキシリボヌクレオチドである、請求項7に記載の二本鎖修飾RNA。
【請求項9】
突出部として付加したヌクレオチドが2塩基のデオキシチミジン一リン酸である、請求項7に記載の二本鎖修飾RNA。
【請求項10】
センス鎖及び/又はアンチセンス鎖のヌクレオチドを構成するリボース又はリン酸バックボーンの一部が修飾されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の二本鎖修飾RNA。
【請求項11】
リボース又はリン酸バックボーンの修飾が、リボースの2’位の水酸基を水素原子、アルキル、アリール、アリールアルキル、アルコキシアルキル、アリールオキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、アルコキシアルキルオキシ、アリールオキシアルキルオキシ、チオール、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノアルキルオキシ、アルキルアミノアルキルオキシ、ジアルキルアミノアルキルオキシ、アジド、シアノ、ニトロ及びハロゲンから選択されるいずれかの基に置換する修飾、リボースの4’位をチオ体とする修飾又はリン酸バックボーンをホスホロチオエート体、ホスホロジチオエート体、アルキルホスホネート体又はホスホロアミデート体とする修飾である、請求項10に記載の二本鎖修飾RNA。
【請求項12】
センス鎖及び/又はアンチセンス鎖に1ないし複数の欠失、置換、挿入又は付加した塩基を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の二本鎖修飾RNA。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の二本鎖修飾RNAと担体との複合体を含有することを特徴とする医薬組成物。
【請求項14】
担体がカチオン性担体、ウイルスエンベロープ又はナノ粒子を利用した担体である、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
カチオン性担体がカチオン性リポソームである、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
カチオン性リポソームが2−O−(2−ジエチルアミノエチル)カルバモイル−1,3−O−ジオレオイルグリセロールとリン脂質とを必須の構成成分とするカチオン性リポソーム:2−O−(2−ジエチルアミノエチル)カルバモイル−1,3−O−ジオレオイルグリセロール、1,3−ジステアロイルグリセロ−2−ホスファチジル−N−(メトキシ ポリエチレングリコールスクシニル)エタノールアミン及びリン脂質を必須の構成成分とするカチオン性リポソーム:又は2−O−(2−ジエチルアミノエチル)カルバモイル−1,3−O−ジオレオイルグリセロール、N−(メトキシ ポリエチレングリコールスクシニル)ジステアロイル ホスファチジルエタノールアミン及びリン脂質を必須の構成成分とするカチオン性リポソームである、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
リン脂質がホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、卵黄レシチン、大豆レシチン又はこれらの水素添加リン脂質である、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
カチオン性担体がカチオン性ポリマーである、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項19】
カチオン性担体がカチオン性デンドリマーである、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項20】
カチオン性デンドリマーがポリアミドアミンデンドリマーである、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
ナノ粒子が金ナノ粒子である、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項22】
標的遺伝子がコードするタンパク質の異常な発現が原因となっている疾患の治療及び/又は予防のための、請求項1〜12のいずれか1項に記載の二本鎖修飾RNA。
【請求項23】
癌、ウイルス性疾患、代謝性疾患、循環器疾患、神経疾患又は泌尿器疾患の治療及び/又は予防のための、請求項1〜12のいずれか1項に記載の二本鎖修飾RNA。
【請求項24】
アポトーシスの促進又は抑制が所望される疾患の治療及び/又は予防のための、請求項1〜12のいずれか1項に記載の二本鎖修飾RNA。
【請求項25】
血液学的悪性疾患の治療及び/又は予防のための、請求項1〜12のいずれか1項に記載の二本鎖修飾RNA。
【請求項26】
標的遺伝子がコードするタンパク質の異常な発現が原因となっている疾患の治療及び/又は予防のための、請求項13〜21のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項27】
癌、ウイルス性疾患、代謝性疾患、循環器疾患、神経疾患又は泌尿器疾患の治療及び/又は予防のための、請求項13〜21のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項28】
アポトーシスの促進又は抑制が所望される疾患の治療及び/又は予防のための、請求項13〜21のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項29】
血液学的悪性疾患の治療及び/又は予防のための、請求項13〜21のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図4】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−147677(P2012−147677A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−117916(P2009−117916)
【出願日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(000004156)日本新薬株式会社 (46)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(000004156)日本新薬株式会社 (46)
【Fターム(参考)】
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