説明

二次電池モジュール

【課題】非接触で送電を行うことが可能な利便性の高い二次電池モジュールを提供する。
【解決手段】二次電池モジュール1は、充放電可能な二次電池20と、外部に対する送電及び外部からの受電を非接触で行うことが可能な送受電コイル10と、二次電池20及び送受電コイル10に接続され、二次電池20に充電された電力を送受電コイル10から送電する送電制御と、送受電コイル10で受電された電力により二次電池20を充電する充電制御とを行う充放電回路30とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充放電可能な二次電池を備える二次電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ノート型のパーソナルコンピュータ、携帯電話機、携帯オーディオプレーヤー等の携帯性を有する様々な機器が普及している。これらの機器の多くは、再充電が可能なリチウムイオン二次電池等の二次電池を備えており、外部電源がない環境においても二次電池に蓄えられている電力によって動作が可能である。但し、二次電池の残容量が無くなると機器の使用が制限されてしまうため、二次電池の残容量が無くなった場合において機器を動作させたいときには、何らかの方法で二次電池を充電する必要がある。
【0003】
現在、機器で用いられる二次電池の充電は、基本的には専用の充電器と充電すべき二次電池とを電気的に接続することによって行われる。機器から取り外し可能な二次電池は、例えば商用電源に接続された充電器に設けられている電極端子に対して二次電池の電極を接触させることによって充電される。また、機器に内蔵された二次電池は、例えば商用電源に接続された充電器に設けられている充電プラグを、機器に設けられた充電コネクタに挿入することによって充電される。
【0004】
このように、従来は、二次電池を充電器に接続することによって二次電池の充電を行う接触充電が基本であったが、近年においては、利便性の向上等を図るために、機器に内蔵された二次電池を非接触で充電する技術も開発されている。例えば、以下の特許文献1には、送電側コイルが設けられている充電台の上に、受電側コイルと二次電池とが設けられた携帯電話機を載置することによって、携帯電話機の二次電池を非接触で充電する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2009/031639号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した特許文献1に開示された非接触での充電が一般化すると、非接触での電力供給が可能な二次電池モジュールが必要になると考えられる。このような二次電池モジュールがあれば、例えば特許文献1に開示された携帯電話機(受電側コイルと二次電池とが設けられた携帯電話機)に対し、商用電源がない場所でも携帯電話機に設けられた二次電池を充電することが可能になるからである。
【0007】
加えて、商用電源から得られる電力以外に、自然エネルギーによって得られる電力を用いて上記の二次電池モジュールを充電することができれば、商用電源がない場合であっても二次電池モジュールを繰り返し非常用電源として用いることができるため、利便性が飛躍的に向上するものと期待される。例えば、災害時において、携帯電話機、ラジオ、照明器具等の様々な機器を、1つの二次電池モジュールのみで必要な時に動作させることが可能になると考えられる。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、非接触で送電を行うことが可能な利便性の高い二次電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の二次電池モジュールは、充放電可能な二次電池(20)を備える二次電池モジュール(1〜4)であって、外部に対する送電及び外部からの受電のうち、少なくとも外部に対する送電を非接触で行うことが可能な送受電部(10〜14)と、前記二次電池及び前記送受電部に接続され、前記二次電池に充電された電力を前記送受電部から送電する送電制御と、前記送受電部で受電された電力により前記二次電池を充電する充電制御とを行う充放電部(30)とを備えることを特徴としている。
また、本発明の二次電池モジュールは、前記充放電部が、前記二次電池との間で充放電される直流電力の電力変換を行う電力変換回路(32)と、前記電力変換回路からの直流電力を交流電力に変換して前記送受電部に供給する送受電回路(31、34、35)と、前記送受電回路及び前記電力変換回路を制御して、前記送電制御及び前記充電制御を行う制御回路(33)とを備えることを特徴としている。
また、本発明の二次電池モジュールは、前記送受電回路が、前記送受電部で受電された交流電力を直流電力に変換して前記電力変換回路に供給することを特徴としている。
また、本発明の二次電池モジュールは、前記送受電回路が、前記電力変換回路からの直流電力を交流電力に変換するインバータ回路(34)と、前記送受電部で受電された交流電力を整流して直流電力に変換する整流回路(35)とを備えることを特徴としている。
また、本発明の二次電池モジュールは、前記送受電部が、前記インバータ回路に接続されて外部に非接触で電力を送電する送電コイル(11)と、前記整流回路に接続されて外部からの電力を非接触で受電する受電コイル(12)とを備えることを特徴としている。
或いは、本発明の二次電池モジュールは、前記送受電部が、前記インバータ回路に接続されて外部に電力を送電する送電コイル(11)と、前記整流回路に接続されており、商用交流電源に接続可能な電源プラグ(13)とを備えることを特徴としている。
又は、本発明の二次電池モジュールは、前記送受電回路が、前記電力変換回路からの直流電力を交流電力に変換するインバータ回路(34)を備えており、前記送受電部は、前記インバータ回路と前記電力変換回路との間に接続されて、外部からの直流電力が供給される接続端子(14)を備えることを特徴としている。
ここで、本発明の二次電池モジュールは、前記接続端子には、外部の直流電源に接続される接続プラグ(P1)、太陽光により発電を行う太陽電池装置(P2)、及び風力により発電を行う風力発電装置(P3)が接続可能であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、送受電部、二次電池、及び充放電部を1つのパッケージに収納し、二次電池に充電された電力を送受電部から送電する送電制御と、送受電部で受電された電力により二次電池を充電する充電制御とを行っているため、商用電源がない場所においても携帯電話機等の機器の充電を非接触で行うことができるとともに、二次電池モジュール自体を充電することができるため、利便性を向上させることができるという効果がある。
また、太陽光や風力等の自然エネルギーによって発電された電力を用いて充電することができ、二次電池モジュールを繰り返し非常用電源として用いることができるため、災害時等において利便性が飛躍的に向上するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態による二次電池モジュールの要部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第2実施形態による二次電池モジュールの要部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第3実施形態による二次電池モジュールの要部構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第4実施形態による二次電池モジュールの要部構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施形態による二次電池モジュールの形状の例を示す斜視透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態による二次電池モジュールについて詳細に説明する。
【0013】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態による二次電池モジュールの要部構成を示すブロック図である。図1に示す通り、本実施形態の二次電池モジュール1は、送受電コイル10(送受電部)、二次電池20、充放電回路30(充放電部)、充放電切替スイッチ40、及びバッテリー残存容量表示器50を備えており、外部に対する送電と外部からの受電との双方を非接触で行うことが可能である。
【0014】
送受電コイル10は、二次電池20に蓄えられた電力を非接触で外部に送電するとともに、外部から供給される電力(二次電池20を充電するための電力)を非接触で受電するためのコイルである。具体的に、送受電コイル10は、例えば二次電池モジュール1に近接して配置された携帯電話機等の機器が備える受電コイルと電磁的に結合し、機器に向けて電力を非接触で送電する。また、例えば二次電池モジュール1に近接して配置された充電器に設けられた送電コイルと電磁的に結合し、充電器から送電される電力を非接触で受電する。
【0015】
ここで、非接触で電力の送受電を行う方式としては、「電磁誘導方式」と「電磁界共鳴方式」とが挙げられる。「電磁誘導方式」は、隣接する2つのコイルの一方のコイルに電流を流した場合に発生する磁束を媒介して他方のコイルに起電力が発生するという電磁誘導を利用した非接触の給電方式である。これに対し、「電磁界共鳴方式」は、隣接する2つのコイルの間における電磁界の共鳴現象を利用した非接触の給電方式である。送受電コイル10による送受電方式は、上記の「電磁誘導方式」,「電磁界共鳴方式」の何れであっても良い。
【0016】
二次電池20は、蓄電部21、セルセンサ22、及び保護回路23を備えており、充放電回路30の制御の下で充放電を行う。蓄電部21は、例えばリチウムイオン二次電池等の電池セル(二次電池セル)を複数備えており、充電時には電力を貯蔵し、放電時には外部に電力を放出する。セルセンサ22は、電池セルの電圧及び温度を検出してバッテリー残存容量(SOC:State Of Charge)を求め、求めたSOCを示す情報(SOC情報)を保護回路23に送信する。
【0017】
保護回路23は、セルセンサ22からのSOC情報に基づいて蓄電部21の状態を判断し、その判断結果に応じて蓄電部21を保護する。具体的に、保護回路23は、蓄電部21が過充電状態又は過放電状態であると判断した場合には、充放電回路30にアラームを出力して充放電を停止させる。また、過電流を検出した場合には、電流を遮断して蓄電部21を保護する。更に、過充電となった電池セルの切り離し等を行うことによって、セル電圧のバランスを調整する。尚、保護回路23は、セルセンサ22からのSOC情報を充放電回路30の制御回路33に送信する。
【0018】
充放電回路30は、送受電コイル10及び二次電池20に接続されており、充放電切替スイッチ40の設定に応じて、二次電池20に充電された電力を放電させて送受電部コイル10から送電する送電制御、或いは、送受電コイル10で受電された電力により二次電池20を充電する充電制御を行う。この充放電回路30は、送受電回路31、電力変換回路32、及び制御回路33を備える。尚、送受電回路31と電力変換回路32との間にはコンデンサC1が並列接続されている。
【0019】
送受電回路31は、整流回路及びインバータ回路(何れも図示省略)を備えており、制御回路33の制御の下で、送受電コイル10で受電される電力(交流電力)を直流電力に変換してコンデンサC1を介して電力変換回路32に供給し、或いは、電力変換回路32からの電力(コンデンサC1を介した直流電力)を交流電力に変換して送受電コイル10に供給する。この送受電回路31には、電流、電圧、及び温度を検出するセンサ31aが設けられている。
【0020】
電力変換回路32は、DC/DCコンバータ或いは昇降圧チョッパを備えており、制御回路33の制御の下で、二次電池20から放電される直流電力、或いは送受電回路31から供給される直流電力(コンデンサC1を介した直流電力)の電力変換を行う。上記の送受電回路31と同様に、この電力変換回路32にも、電流、電圧、及び温度を検出するセンサ32aが設けられている。
【0021】
制御回路33は、充放電切替スイッチ40の設定に応じて、センサ31a,31bの検出結果を参照しつつ送受電回路31及び電力変換回路32を制御することにより、上述した送電制御又は充電制御を行う。具体的に、制御回路33は、充放電切替スイッチ40が「送電モード」(二次電池20に蓄えられた電力を放電させて外部に電力を送電するモード)に設定されている場合には上述した送電制御を行い、充放電切替スイッチ40が「充電モード」(外部からの電力によって二次電池20を充電するモード)に設定されている場合には上述した充電制御を行う。
【0022】
尚、制御回路33は、充放電切替スイッチ40が「充電モード」に設定されている場合には、二次電池20の保護回路23からのSOC情報に基づいて入力電力(充電電流)を制御する。例えば、SOC情報に基づいて蓄電部21が過充電になったと判断した場合には充電を停止する制御を行う。また、センサ31a,31bの検出結果に基づいて、二次電池20の過電圧保護、過電流保護、及び過温度保護のための制御を行う。
【0023】
また、制御回路33は、充放電切替スイッチ40が「送電モード」に設定されている場合には、送受電コイル10から送電される交流電力の電圧及び周波数が、予め設定された電圧及び周波数となるように制御する。また、制御回路33は、二次電池20の保護回路23からのSOC情報に基づいて、蓄電部21の残存容量が規定値を下回ったと判断した場合には放電を停止する制御を行う。また、「充電モード」の場合と同様に、センサ31a,31bの検出結果に基づいて、二次電池20の過電圧保護、過電流保護、及び過温度保護のための制御を行う。
【0024】
充放電切替スイッチ40は、上述した「送電モード」と「充電モード」とを切り替えるためのスイッチであり、例えば二次電池モジュール1のユーザによって操作される。バッテリー残存容量表示器50は、二次電池20に蓄えられている電力の残存量を表示する液晶表示器やメータ等の表示器である。尚、このバッテリー残存容量表示器50は、二次電池20が満充電である場合や、一定の充電量になった場合にアラーム等を発することでユーザに報知する装置であっても良い。
【0025】
次に、上記構成における二次電池モジュール1の動作について説明する。尚、二次電池モジュール1の動作は、送電時の動作と充電時の動作とに大別されるため、以下各々の動作を順に説明する。
【0026】
〈送電時の動作〉
外部電源がない場所において、外部からの非接触給電が可能な機器(例えば、ノート型のパーソナルコンピュータ、携帯電話機、携帯オーディオプレーヤー等)に内蔵されている二次電池の残容量が零になってしまったとする。この機器に設けられた二次電池を充電する場合には、ユーザが、機器に設けられたコイル(受電のためのコイル)と、二次電池モジュール1に設けられた送受電コイル10とが近接するように、機器に対して二次電池モジュール1を配置する。
【0027】
以上の配置が終了し、ユーザが二次電池モジュール1に設けられた充放電切替スイッチ40を操作して二次電池モジュール1の動作モードを「送電モード」に設定すると、制御回路33により送電制御が開始される。具体的に、制御回路33は、センサ31a,31b及び保護回路23からのSOC情報を参照しつつ電力変換回路32を制御して、二次電池20に蓄えられた電力の放電を開始する。
【0028】
二次電池20から放電された電力(直流電力)は、電力変換回路32で電圧が予め規定された電圧に変換されるとともに、コンデンサC1を介した後に送受電回路31で交流電力に変換されて送受電コイル10に供給される。ここで、送受電コイル10と、二次電池モジュール1に近接して配置された機器に設けられたコイル(受電のためのコイル)とは電磁的に結合しているため、送受電コイル10に供給された交流電力は非接触で機器に送電される。機器に送電された交流電力は、機器に設けられた整流器等によって直流電力に変換され、この直流電力により機器に設けられた二次電池が充電される。
【0029】
機器に対する送電を行っている最中に、二次電池20に設けられた保護回路23からのSOC情報に基づいて蓄電部21の残存容量が規定値を下回ったと判断した場合には、制御回路33は、放電を停止する制御を行い、残存容量が規定値を下回った旨をバッテリー残存容量表示器50に表示させる。尚、以上の動作中にセンサ31a,31bにより二次電池20の過電圧、過電流、或いは過温度が検出された場合には、制御回路33は、送電制御を停止して、エラー情報をバッテリー残存容量表示器50に表示させる。
【0030】
〈充電時の動作〉
二次電池モジュール1を充電するには、ユーザが、例えば商用電源等の外部電源に接続されている非接触での充電が可能な充電器に対し、充電器に設けられたコイル(送電のためのコイル)と二次電池モジュール1に設けられた送受電コイル10とが近接するように二次電池モジュール1を配置する。
【0031】
以上の配置が終了し、ユーザが二次電池モジュール1に設けられた充放電切替スイッチ40を操作して二次電池モジュール1の動作モードを「充電モード」に設定すると、制御回路33により充電制御が開始される。具体的に、制御回路33は、センサ31a,31b及び保護回路23からのSOC情報を参照しつつ、送受電回路31及び電力変換回路32を制御して、二次電池20の充電を開始する。
【0032】
充電器のコイル(送電のためのコイル)と二次電池モジュール1に設けられた送受電コイル10とは電磁的に結合しているため、充電器のコイルから送電された交流電力は、送受電コイル10で受電される。送受電コイル10で受電された交流電力は、送受電回路31で整流されて直流電力に変換され、コンデンサC1を介した後に電力変換回路32で二次電池20の充電に適した電流に変換された後に二次電池20に供給され、これにより二次電池20が充電される。
【0033】
二次電池モジュール1に設けられた二次電池20の充電を行っている最中に、二次電池20に設けられた保護回路23からのSOC情報に基づいて蓄電部21が満充電状態になったと判断した場合には、制御回路33は、充電を停止する制御を行い、満充電状態である旨をバッテリー残存容量表示器50に表示させる。尚、以上の動作中にセンサ31a,31bにより二次電池20の過電圧、過電流、或いは過温度が検出された場合には、制御回路33は、充電制御を停止して、エラー情報をバッテリー残存容量表示器50に表示させる。
【0034】
以上の通り、本実施形態によれば、送受電コイル10、二次電池20、及び充放電回路30を1つのパッケージに収納し、二次電池20に充電された電力を送受電コイル10から送電する送電制御と、送受電コイル10で受電された電力により二次電池20を充電する充電制御とを行っている。このため、商用電源がない場所においても携帯電話機等の機器の充電を非接触で行うことができるとともに、二次電池モジュール1自体を非接触で充電することができるため、利便性を向上させることができる。
【0035】
〔第2実施形態〕
図2は、本発明の第2実施形態による二次電池モジュールの要部構成を示すブロック図である。尚、図2においては、図1に示すブロックと同じブロックについては同一の符号を付してある。本実施形態の二次電池モジュール2は、図1に示す二次電池モジュール1とは、電力の送電を行う回路と受電を行う回路とが分離されている点が相違する。
【0036】
具体的に、二次電池モジュール2は、図2に示す通り、図1に示した二次電池モジュール1の送受電コイル10に代えて送電コイル11及び受電コイル12を設け、充放電回路30の送受電回路31に代えてインバータ回路34及び整流回路35を設けた構成である。送電コイル11は、二次電池20に蓄えられた電力を非接触で外部に送電するためのコイルであり、受電コイル12は、外部から供給される電力(二次電池20を充電するための電力)を非接触で受電するためのコイルである。
【0037】
インバータ回路34は、送電コイル11に接続されるとともに、コンデンサC1を介して電力変換回路32に接続されており、制御回路33の制御の下で、電力変換回路32からの電力(コンデンサC1を介した直流電力)を交流電力に変換して送電コイル11に供給する。尚、このインバータ回路34には、図1に示す送受電回路31に設けられたセンサ31aと同様に、電流、電圧、及び温度を検出するセンサ34aが設けられている。整流回路35は、受電コイル12と電力変換回路32(正確には、インバータ回路34とコンデンサC1との間)に接続されており、受電コイル12で受電される電力(交流電力)を直流電力に変換して電力変換回路32に供給する。
【0038】
上記構成の二次電池モジュール2において、充放電切替スイッチ40によって二次電池モジュール2の動作モードが「送電モード」に設定されると、第1実施形態と同様に、制御回路33によって電力変換回路32が制御されて二次電池20に蓄えられた電力が放電される。二次電池20から放電された電力(直流電力)は、電力変換回路32で電圧が予め規定された電圧に変換されるとともに、コンデンサC1を介した後にインバータ回路34で交流電力に変換されて送電コイル11に供給され、非接触で外部の機器に送電される。
【0039】
これに対し、充放電切替スイッチ40によって二次電池モジュール2の動作モードが「充電モード」に設定されると、制御回路33によって電力変換回路32が制御されて二次電池20が充電される。具体的には、受電コイル12で受電された交流電力が整流回路35で整流されて直流電力に変換され、コンデンサC1を介した後に電力変換回路32で二次電池20の充電に適した電流に変換された後に二次電池20に供給されて二次電池20が充電される。
【0040】
以上の通り、本実施形態では、送受電コイル10に代えて送電コイル11及び受電コイル12を設け、これらのコイルと二次電池20、及び充放電回路30を1つのパッケージに収納し、二次電池20に充電された電力を送電コイル11から送電する送電制御と、受電コイル12で受電された電力により二次電池20を充電する充電制御とを行っている。このため、第1実施形態と同様に利便性を向上させることができる。
【0041】
〔第3実施形態〕
図3は、本発明の第3実施形態による二次電池モジュールの要部構成を示すブロック図である。尚、図3においては、図2に示すブロックと同じブロックについては同一の符号を付してある。本実施形態の二次電池モジュール3は、図2に示す二次電池モジュール2とは、二次電池を商用電源に接続することによって二次電池20の充電を行うものである点が相違する。具体的に、二次電池モジュール3は、図3に示す通り、図2中の受電コイル12に代えて電源プラグ13を設けた構成である。電源プラグ13は、整流回路35に接続されており、例えば電圧が100Vの商用交流電源に接続可能である。
【0042】
上記構成の二次電池モジュール2において、充放電切替スイッチ40によって二次電池モジュール3の動作モードが「送電モード」に設定された場合の動作は、第2実施形態で説明した動作と同様である。これに対し、電源プラグ13が商用交流電源に接続され、充放電切替スイッチ40によって二次電池モジュール3の動作モードが「充電モード」に設定された場合には、商用交流電源から電源プラグ13を介して供給される交流電力が整流回路35で整流されて直流電力に変換される。この直流電力は、コンデンサC1を介した後に電力変換回路32で二次電池20の充電に適した電流に変換された後に二次電池20に供給されて二次電池20が充電される。
【0043】
以上の通り、本実施形態では、非接触で電力の送電を行う一方で、商用交流電源から電源プラグ13を介して供給される交流電力を用いて二次電池20を充電している。このため、携帯電話機等の機器の充電を非接触で行うことができる一方で、二次電池モジュール3自体の充電は商用交流電源を用いて行うことができる。これにより、例えば二次電池モジュール3の充電を非接触で行う充電器がなくとも二次電池モジュール3を充電することができ、利便性を向上させることができる。
【0044】
〔第4実施形態〕
図4は、本発明の第4実施形態による二次電池モジュールの要部構成を示すブロック図である。尚、図4においては、図3に示すブロックと同じブロックについては同一の符号を付してある。本実施形態の二次電池モジュール4は、図3に示す二次電池モジュール3とは、外部から供給される直流電力によって二次電池20の充電を行うものである点が相違する。
【0045】
具体的に、二次電池モジュール4は、図4に示す通り、図3中の整流回路35を省略するとともに、図3中の電源プラグ13に代えて接続端子14を設けた構成である。接続端子14は、電力変換回路32(正確には、インバータ回路34とコンデンサC1との間)に接続されており、外部の直流電源が接続される端子である。
【0046】
この接続端子14には、例えばUSB(Universal Serial Bus)ポートに接続可能なUSB接続プラグP1(接続プラグ)、太陽光により発電を行う太陽電池パネルP2(太陽電池装置)、風力により発電を行う風力発電装置P3が接続可能である。尚、例えば流力発電装置P3が交流電力を発電するものである場合には、図2,3に示す整流回路35と同様の整流回路を設ければよい。
【0047】
上記構成の二次電池モジュール2において、充放電切替スイッチ40によって二次電池モジュール4の動作モードが「送電モード」に設定された場合の動作は、第2,第3実施形態で説明した動作と同様である。これに対し、接続端子14に直流電源が接続され、充放電切替スイッチ40によって二次電池モジュール4の動作モードが「充電モード」に設定された場合には、直流電源から接続端子14を介して供給される直流電力がコンデンサC1を介した後に電力変換回路32で二次電池20の充電に適した電流に変換された後に二次電池20に供給されて二次電池20が充電される。
【0048】
以上の通り、本実施形態では、非接触で電力の送電を行う一方で、直流電源から接続端子14を介して供給される直流電力を用いて二次電池20を充電している。このため、携帯電話機等の機器の充電を非接触で行うことができる一方で、二次電池モジュール4自体の充電はUSBポートから供給される直流電力、或いは太陽光や風力等の自然エネルギーによって発電された直流電力を用いて行うことができる。これにより、商用電源がない場合であっても二次電池モジュール4を充電することができ、二次電池モジュール4を繰り返し非常用電源として用いることができるため、利便性が飛躍的に向上する。
【0049】
図5は、本発明の実施形態による二次電池モジュールの形状の例を示す斜視透視図である。前述した第1〜第4実施形態による二次電池モジュール1〜4は、任意の外形形状にすることが可能であるが、例えば図5(a)に示すキューブ形状、図5(b)に示す平板形状、及び図5(c)に示す棒形状にすることができる。
【0050】
例えば、二次電池モジュール1を図5(a)に示すキューブ形状にした場合には、6面の全てに送受電コイル10を配置し、中心部に二次電池20や充放電回路30を配置するのが望ましい。かかる配置にすることで、充電すべき機器を二次電池モジュール1の上面のみならず側面に近接させて配置すれば充電が可能になる。
【0051】
二次電池モジュール1を図5(b)に示す平板形状にした場合には、上面と底面との何れが一方側に送受電コイル10を配置し、何れか他方側に二次電池20や充放電回路30を配置するのが望ましい。或いは、上面と底面との双方に送受電コイル10を配置し、これら送受電コイル10の間に二次電池20や充放電回路30を配置するのが望ましい。かかる配置にすることで、充電すべき機器を二次電池モジュール1の上面又は底面に近接させて配置すれば充電が可能になる。
【0052】
二次電池モジュール1を図5(c)に示す棒形状にした場合には、一端部に送受電コイル10を配置し、中心部から他端部にかけて二次電池20や充放電回路30を配置するのが望ましい。或いは両端部に送受電コイル10を配置し、これら送受電コイル10の間(中心部)に二次電池20や充放電回路30を配置するのが望ましい。かかる配置にすることで、ユーザが二次電池モジュール1の一端部を充電すべき機器に近接させる操作(二次電池モジュール1で機器を指し示す操作)をすれば充電が可能になる。
【0053】
尚、以上の説明では、二次電池モジュール1を例に挙げて説明したが、二次電池モジュール2〜3が備える送電コイル11も図5(a)〜(c)に示す送受電コイル10と同様に配置することができる。尚、図2に示す二次電池モジュール2が備える受電コイル12は、送電コイル11が設けられていない空きスペースに配置すれば良い。例えば、二次電池モジュール2が図5(b)に示す平板形状である場合には、上面に送電コイル11を配置し、底面に受電コイル12を配置することができる。
【0054】
以上、本発明の実施形態による二次電池モジュールについて説明したが、本発明は上記実施形態に制限されず、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記第3実施形態で用いられる商用交流電源は、単相の交流電源であっても良く、多相(例えば、3相)の交流電源であっても良い。また、上述した第4実施形態では、太陽光や風力等の自然エネルギーによって発電を行う発電機以外の発電機(例えば、人力による発電機)を接続することも可能である。
【符号の説明】
【0055】
1〜4 二次電池モジュール
10 送受電コイル
11 送電コイル
12 受電コイル
13 電源プラグ
14 接続端子
20 二次電池
30 充放電回路
31 送受電回路
32 電力変換回路
33 制御回路
34 インバータ回路
35 整流回路
P1 USB接続プラグ
P2 太陽電池パネル
P3 風力発電装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充放電可能な二次電池を備える二次電池モジュールであって、
外部に対する送電及び外部からの受電のうち、少なくとも外部に対する送電を非接触で行うことが可能な送受電部と、
前記二次電池及び前記送受電部に接続され、前記二次電池に充電された電力を前記送受電部から送電する送電制御と、前記送受電部で受電された電力により前記二次電池を充電する充電制御とを行う充放電部と
を備えることを特徴とする二次電池モジュール。
【請求項2】
前記充放電部は、前記二次電池との間で充放電される直流電力の電力変換を行う電力変換回路と、
前記電力変換回路からの直流電力を交流電力に変換して前記送受電部に供給する送受電回路と、
前記送受電回路及び前記電力変換回路を制御して、前記送電制御及び前記充電制御を行う制御回路と
を備えることを特徴とする請求項1記載の二次電池モジュール。
【請求項3】
前記送受電回路は、前記送受電部で受電された交流電力を直流電力に変換して前記電力変換回路に供給することを特徴とする請求項2記載の二次電池モジュール。
【請求項4】
前記送受電回路は、前記電力変換回路からの直流電力を交流電力に変換するインバータ回路と、
前記送受電部で受電された交流電力を整流して直流電力に変換する整流回路と
を備えることを特徴とする請求項3記載の二次電池モジュール。
【請求項5】
前記送受電部は、前記インバータ回路に接続されて外部に非接触で電力を送電する送電コイルと、
前記整流回路に接続されて外部からの電力を非接触で受電する受電コイルと
を備えることを特徴とする請求項4記載の二次電池モジュール。
【請求項6】
前記送受電部は、前記インバータ回路に接続されて外部に電力を送電する送電コイルと、
前記整流回路に接続されており、商用交流電源に接続可能な電源プラグと
を備えることを特徴とする請求項4記載の二次電池モジュール。
【請求項7】
前記送受電回路は、前記電力変換回路からの直流電力を交流電力に変換するインバータ回路を備えており、
前記送受電部は、前記インバータ回路と前記電力変換回路との間に接続されて、外部からの直流電力が供給される接続端子を備える
ことを特徴とする請求項2記載の二次電池モジュール。
【請求項8】
前記接続端子には、外部の直流電源に接続される接続プラグ、太陽光により発電を行う太陽電池装置、及び風力により発電を行う風力発電装置が接続可能であることを特徴とする請求項7記載の二次電池モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−115876(P2013−115876A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257942(P2011−257942)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】