説明

二重容器

【課題】内容器への加飾の写り込みの影響を低減して加飾の視認性を向上させた二重容器を提案する。
【解決手段】二重容器1は、加飾30を施した外容器12内に、外表面に鏡面処理を施した内容器11を収納したものであり、外容器12は、少なくとも加飾30を施した部分が透明または半透明であり、加飾30は、外層側にあり直接視認可能な表面部31と、表面部31の内層側にあり、内容器11の外表面の色と同系色の色を有する裏面部32と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外容器内に内容器を収納した二重容器に関するものであり、特には内容器への加飾の写り込みの影響を低減して加飾の視認性を向上させた二重容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
外容器内に内容器を収納組付けした二重容器は、種々の構成が提案されているが、例えば、特許文献1には、化粧品用の高級感のある二重容器として、内容器の外表面に光揮性のある塗装を施し、外容器を無色透明な樹脂材料で形成するとともに外容器の内表面に光透過性塗膜層を形成することにより、内容器の外表面の塗装と光透過性塗膜層とが合成されて、メタリックカラーが視認される二重容器が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−35873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の二重容器では、図3(a)に示すように、透明な外容器12に加飾30(文字「ABCDE」)を施した場合、加飾30と、加飾30が内容器11の外表面に写り込んだ写り込みX(文字「ABCDE」)と、が重なり、加飾30が視認しにくいという問題があった。これは、図3(b)において矢印Aで示すように、加飾30の正面から加飾30を視認する際には、写り込みXを視認しないため、加飾30のみを視認することができるが、加飾30の正面以外の方向、例えば、矢印Bで示す方向から加飾30を視認する際には、加飾30と写り込みXとの両方を視認することになるためである。
【0005】
それゆえ、本発明は、透明な外容器に加飾を施した場合、加飾が内容器に写り込む影響を低減して、加飾の視認性を向上させた二重容器を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされものであり、本発明の二重容器は、加飾を施した外容器内に、外表面に鏡面処理を施した内容器を収納した二重容器であって、前記外容器は、少なくとも前記加飾を施した部分が透明または半透明であり、前記加飾は、外層側にあり直接視認可能な表面部と、前記表面部の内層側にあり、前記内容器の外表面の色と同系色の色を有する裏面部と、を有することを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明の二重容器は、前記外容器と、前記内容器と、の間には隙間が存在していることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の二重容器によれば、加飾を、外層側にあり直接視認可能な表面部と、内層側にあり内容器の外表面の色と同系色の色を有する裏面部と、から構成することにより、裏面部が内容器の外表面に写り込んだ写り込みが、外表面の色と同系色であるため、外表面と同化して目立たなくなり、加飾の視認性を向上させることができる。
【0009】
また、外容器と内容器との間に隙間が存在している場合、通常は、写り込みの影響が大きく、加飾の視認性が著しく低下するところ、本発明の二重容器によれば、加飾の視認性を向上させつつ、内容器を外容器に容易に挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る実施の形態の二重容器を一部断面で示した正面図である。
【図2】加飾を説明するための図である。
【図3】従来の二重容器における加飾の写り込みを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。なお、以下の実施の形態では、本発明の二重容器はクリーム容器として説明するが、この実施の形態に限られることはなく、ポンプ付きの二重容器等、多種の二重構造体に使用することができる。また、本発明の二重容器は、化粧品用の容器として用いることができる他、食品容器等その他の容器としても用いることができる。
【0012】
図1に示すように、この二重容器1は本体10と蓋体20とからなる。本体10は内容器11を外容器12内に収納した内外二重構造を有し、蓋体20も内容器21を外容器22内に収納した内外二重構造を有する。なお、二重構造とするのは、本体10および蓋体20のいずれか一方でもよい。内容器21の内部にはパッキン23が設けられ、本体10と蓋体20とが密封されている。
本体10および蓋体20は、合成樹脂、ガラス等の適宜材料から形成され、その成形方法もブロー成形、射出成形、押出成形、シート成形等、種々の成形方法を適用できる。
【0013】
内容器11は、口部11aと、口部11aの下端に繋がる筒状の胴部11bと、該胴部11bの下端を閉塞する底部11cと、胴部11bの外表面から半径方向外側に突出し、外容器12の後述する口部12aに当接するフランジ部11dと、胴部11bの周りを取り囲み、外容器12の後述する胴部12bとの間に隙間を形成する外筒部11eと、胴部11bと底部11cとの間の外表面から下向きに延在する支持部11fと、からなる。口部11aの外表面に形成されたねじと、内容器21の内表面に形成されたねじと、が螺合され、本体10と蓋体20とが嵌着されている。
【0014】
外筒部11eの外表面は、高輝度の金属調の塗装、クロムメッキ、金メッキ、蒸着等の適宜手段により鏡面(光沢)処理が施された反射面である。
【0015】
外容器12は、口部12aと、口部12aの下端に繋がる筒状の胴部12bと、該胴部12bの下端を閉塞する底部12cと、底部12cの内表面から上向きに延在する支持部12dと、からなる。口部12aの段差がフランジ部11dの先端を支持し、支持部12dと支持部11fとが係合することにより、内容器11は外容器12内に収納組付けされている。
【0016】
外容器12の胴部12bは透明(または半透明)であり、図2(a)に示すように、胴部12bには加飾30として文字「ABCDE」が施してある。
加飾30は、ここでは、図2(b)に断面図で示すように、外層側にあり直接視認可能な表面部31と、表面部31の内層側に直接積層された裏面部32と、からなるが、表面部31と裏面部32との間に中間部を設けてもよい(図示省略)。表面部31は加飾30としての所望の色を有しているのに対して、裏面部32は外筒部11eの外表面と同系色の色を有している。ここで、同系色とは、色相、明度、彩度および光沢度(グロス)の全てあるいはいずれかにおいて同一あるいは類似である色のことを意味する。例えば、銀色と灰色は同系色とする。
なお、この実施の形態では、外容器12の全体が透明であるが、少なくとも加飾30が施された部分、図示例では、胴部12bの一部分が透明であればよい。
【0017】
加飾方法としては、ラベル(シール)を貼付する方法、転写フィルムを用いる方法(インモールド法、ホットスタンプ法、熱ロール法等)、印刷する方法(シルク印刷等)等が挙げられる。また、胴部12bに印刷をする際には、例えば、ベースフィルムに剥離層、保護層、表面部31を形成する薄膜、裏面部32を形成する薄膜および接着層を順次に積層してなる転写フィルムを使用したホットスタンプ法を用いて1工程で印刷を行ってもよいし、1工程目でホットスタンプ法により裏面部32を印刷し、2工程目でシルク印刷により所望の色で表面部31を印刷してもよい。
【0018】
図2(b)に矢印Aで示すように、加飾30の正面から加飾30を視認する際には、外筒部11eに写り込んだ加飾30の写り込みXを視認しないため、加飾30のみを視認することができるのは従来と同様である。
一方、加飾30の正面以外の方向、例えば、矢印Bで示す方向から加飾30を視認する際には、加飾30と、外筒部11eに写り込んだ加飾30の写り込みXと、を視認することになるが、写り込みXは、外筒部11eの外表面と同系色の色を有する裏面部32の反射であるため、外筒部11eの外表面に同化して目立たなくなる。それゆえ、加飾30と写り込みXとが重なっても、加飾30が視認しにくいという問題を改善し、加飾30の視認性を向上させることができる。
【0019】
図2(b)に示す例では、加飾30は胴部12bの外表面に施されていたが、図2(c)に示すように、加飾30は胴部12bの内表面に施されていてもよい。この場合、胴部12bの厚さdの分だけ加飾30は外筒部11eの外表面に近づくため、写り込みが発生する範囲が狭くなる。
【0020】
また、内容器11を外容器12に挿入しやすくするために、内容器11と外容器12との間、すなわち、外筒部11eと胴部12bとの間には通常隙間が空いているが、この隙間が大きい場合写り込みの影響が大きくなるため、本発明の効果が特に顕著に現れる。
【0021】
この実施の形態では、外容器12の胴部12bに加飾30を施したが、加飾30を施す位置は限定されるものではない。例えば、蓋体20の内容器21の外表面に鏡面処理を施し、蓋体20の外容器22に加飾30を施してもよい。また、この実施の形態では、外筒部11eを設けて、この外筒部11eの外表面に鏡面処理を施したが、外筒部11eを設けずに、胴部11bを外側から視認可能に構成して胴部11bの外表面に鏡面処理を施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明により、透明な外容器に加飾を施した場合、加飾が内容器に写り込む影響を低減して、加飾の視認性を向上させた二重容器を提案することが可能となった。
【符号の説明】
【0023】
1 二重容器
10 本体
11 内容器
11a 口部
11b 胴部
11c 底部
11d フランジ部
11e 外筒部
11f 支持部
12 外容器
12a 口部
12b 胴部
12c 底部
12d 支持部
20 蓋体
21 内容器
22 外容器
23 パッキン
30 加飾
31 表面部
32 裏面部
X 写り込み



【特許請求の範囲】
【請求項1】
加飾を施した外容器内に、外表面に鏡面処理を施した内容器を収納した二重容器であって、
前記外容器は、少なくとも前記加飾を施した部分が透明または半透明であり、
前記加飾は、外層側にあり直接視認可能な表面部と、前記表面部の内層側にあり、前記内容器の外表面の色と同系色の色を有する裏面部と、を有することを特徴とする二重容器。
【請求項2】
前記外容器と、前記内容器と、の間には隙間が存在していることを特徴とする請求項1に記載の二重容器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−111381(P2013−111381A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262356(P2011−262356)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)