説明

二重容器

【課題】横断面視多角形状の外容器内に内容器を強固に保持できるとともに、内容器の取り外し時においては、内容器を容易に取り外すことができる操作性に優れた二重容器を提供する。
【解決手段】底蓋4は、下端開口24内に挿入された横断面視多角形状の枠体61と、枠体61の内側に容器軸O回りに回転可能に配設された回転部材62と、を備え、外容器3の下端部22には、容器軸O回りの周方向に沿って間隔をあけて複数の係合部23が形成され、回転部材62には、係合部23に容器軸O方向に沿う外容器3の内側から各別に係合する複数の被係合部82が形成され、回転部材62は、被係合部82が係合部23に係合し、底蓋4の下方への移動を規制する規制位置と、係合部23及び被係合部82が周方向に互いに離間し、底蓋4の下方への移動の規制を解除する解除位置と、の間を容器軸O回りに回転可能に配設されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重容器に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧水等の化粧料や、シャンプー、リンス、液体石鹸等の内容物が収容された内容器を外容器内に収納し、内容器の口部に取り付けられた吐出器を操作することによって内容物を吐出する二重容器が知られている。このような二重容器としては、外容器のうち、胴部の下端開口を閉塞するとともに、一端側が胴部の下端後部に回動可能に連結され、かつ他端側が胴部の下端前部に係脱可能に係合された底蓋を備える構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第2565405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、横断面視多角形状の外容器内に内容器を強固に保持できるとともに、内容器の取り外し時においては、内容器を容易に取り外することができる操作性に優れた二重容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る二重容器は、内容物が収容される内容器と、該内容器を着脱自在に収納する横断面視多角形状の外容器と、前記外容器の下端部に着脱自在に装着され、該外容器の下端開口を閉塞して前記内容器を前記外容器との間に保持する底蓋と、を備え、前記底蓋は、前記下端開口内に挿入された横断面視多角形状の枠体と、前記枠体の内側に前記外容器の容器軸回りに回転可能に配設された回転部材と、を備え、前記外容器の前記下端部には、前記容器軸回りの周方向に沿って間隔をあけて複数の係合部が形成され、前記回転部材には、前記係合部に前記容器軸方向に沿う前記外容器の内側から各別に係合する複数の被係合部が形成され、前記回転部材は、前記被係合部が前記係合部に係合し、前記容器軸方向に沿う前記底蓋の移動を規制する規制位置と、前記係合部及び前記被係合部が周方向に互いに離間し、前記容器軸方向に沿う前記底蓋の移動の規制を解除する解除位置と、の間を前記容器軸回りに回転可能に配設されていることを特徴としている。
【0006】
このような特徴により、回転部材が上述の規制位置に位置しているときには、被係合部が係合部に係合するため、底蓋の、容器軸方向に沿う外容器の外側に向けた移動の規制が解除されるのを抑制できる。
一方で、底蓋の取り外し時においては、枠体に対して回転部材を回転させ、回転部材を上述した解除位置に位置させることで、係合部と被係合部との係合が解除されるため、底蓋の、容器軸方向に沿う外容器の外側に向けた移動の規制を解除できる。
この場合、係合部及び被係合部がそれぞれ複数ずつ設けられているので、底蓋を外容器に対して大きく回転移動させなくても、上述の規制位置と解除位置とを切り替えることが可能になり、底蓋を外容器に着脱する際の操作性を向上させることができる。また、係合部と被係合部とがアンダーカット嵌合ではなく回転部材を容器軸回りに回転移動させることにより互いに係合するので、例えば係合部及び被係合部のうち少なくとも一方の突出量を高くする等して互いの係合代を大きくしても、これらを互いに容易に係合させることができる。
以上により、横断面視多角形状の外容器内に内容器を強固に保持できるとともに、内容器の取り外し時においては、内容器を容易に取り外すことができる操作性に優れた二重容器を提供できる。
【0007】
また、前記枠体には、前記被係合部における周方向の一端部に当接して前記回転部材を前記規制位置に位置決めする位置決め部が形成されていてもよい。
【0008】
この場合、規制位置において、回転部材の周方向の一端側への移動が規制されるため、被係合部を係合部に容易、かつ確実に係合させることができる。
【0009】
また、前記回転部材の底壁部のうち、外周部分よりも前記容器軸に直交する径方向の内側に位置する部分に、径方向の外側から内側に向かうに従い前記容器軸方向に沿う前記外容器の内側に向けて窪むドーム部が形成されるとともに、前記ドーム部に前記容器軸方向に沿う前記外容器の外側に向けて摘み片が突設され、前記摘み片における前記容器軸方向に沿う前記外容器の外側の端部が、前記外周部分に対して前記容器軸方向に沿う同位置、または前記外周部分よりも前記容器軸方向に沿う前記外容器の内側に位置していてもよい。
【0010】
この場合、摘み片を摘んで回転部材を操作できるため、操作性を向上させることができる。また、摘み片における容器軸方向に沿う外容器の外側の端部が、外周部分に対して容器軸方向に沿う同位置、または外周部分よりも容器軸方向に沿う外容器の内側に位置しているため、摘み片が外容器よりも容器軸方向に沿う外側に突出することがなく、二重容器を安定して接地させることができる。
【0011】
また、前記外容器は、前記内容器の肩部を覆うとともに、その内側に前記内容器の口部が挿入された肩カバーを備えていてもよい。
【0012】
この場合、外容器のうち容器軸方向に沿う下端部とは反対側(肩カバー側)への内容器の移動を規制できるので、外容器内に内容器を確実に保持できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る二重容器によれば、横断面視多角形状の外容器内に内容器を強固に保持できるとともに、内容器の取り外し時においては、内容器を容易に取り外すことができる操作性に優れた二重容器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る二重容器の部分断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る二重容器の底面図である。
【図3】底蓋の側面図(規制位置)である。
【図4】底蓋の側面図(解除位置)である。
【図5】底蓋を取り外した状態を示す外容器と底蓋の下部断面図である。
【図6】(a)は解除位置の二重容器を示す下部断面図であり、(b)は底面図である。
【図7】本発明の他の構成を示す二重容器の底面図(規制位置)である。
【図8】本発明の他の構成を示す二重容器の底面図(解除位置)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態に係る二重容器を説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る二重容器1は、内容物が収容された有底筒状の内容器6と、内容器6に装着される有頂筒状の吐出器31とを備えたカートリッジ体2と、カートリッジ体2を着脱自在に収納する横断面視多角形状の筒状をなす外容器3と、外容器3の下端部22に着脱自在に装着され、外容器3の下端開口24を閉塞して前記内容器6を外容器3との間に保持する底蓋4と、有頂筒状のオーバーキャップ5と、を備えている。なお、カートリッジ体2、外容器3、及びオーバーキャップ5は、それぞれの中心軸線が共通軸上に位置させられた状態で配設されている。
【0016】
まず外容器3の胴部12は横断面形状が正方形状に形成されており、上述した共通軸は横断面がなす正方形状の中央部を通る直線となっている。以下、この共通軸を容器軸Oといい、容器軸O方向に沿うオーバーキャップ5側を上側とし、外容器3の下端開口24側を下側とし、容器軸Oに直交する方向を径方向とし、さらに容器軸O回りの方向を周方向とする。
【0017】
図1,2に示すように、外容器3の胴部12は、容器軸O方向に沿って延在する四隅の角部13(図2参照)と、隣接する角部13間に形成された四面の主壁部14と、で構成されている。上述した角部13は、横断面視において径方向外側に向けて突の円弧状に形成されており、隣接する角部13のうち周方向で対向する端部同士が平面状の主壁部14により架け渡されている。
【0018】
図1に示すように、胴部12の上端縁からは、内容器6の後述する肩部33を覆うとともに、その内側に内容器6の後述する口部37が挿入された肩カバー15が連設されている。具体的に、肩カバー15は、胴部12の上端縁から径方向の内側に向かうに従い上方に向けて傾斜する下段部16と、下段部16の内周縁から上方に向けて延設された縦筒部17と、縦筒部17の上端縁から径方向の内側に向けて突設された上段部18と、を備えている。そして、上段部18の内側には、容器軸O方向に向けて開口する頂部開口19が形成されている。尚、前記肩カバー15は、外容器3の胴部12と別体で形成されていてもよい。
【0019】
胴部12の下端部22は、該下端部22より上方に位置する胴部12(上方胴部)より内径が大きくなっており、胴部12の上方胴部内面と下端部22の内面とは、下方を向く段差部21を介して連なっている。そして、下端部22の下端開口が、容器軸O方向に向けて開口する外容器3の下端開口24を構成している。下端部22のうち、各主壁部14に位置する部分には径方向の内側に向けて突出する係合部23が各別に形成されている。これらの係合部23は、下端部22における容器軸O方向の中間部分に配設されている。また、各係合部23は、容器軸O方向に沿う縦断面視が略矩形状に形成されるとともに、各主壁部14上を周方向に沿って延在している。各係合部23における周方向の中心を通り容器軸O方向に延びる係合部23の中心線と、各主壁部14における周方向の中心を通り容器軸O方向に延びる主壁部14の中心線と、が一致している。また、各係合部23の径方向における内側端部と、段差部21の径方向の内側端縁と、は径方向に沿う位置が互いに同等になっている。
【0020】
内容器6の胴部32は、横断面形状が正方形状に形成され、横断面がなす正方形状の中央部に上述した容器軸Oが通っている。胴部32は、上述した外容器3の内面形状に倣って形成されており、外容器3の胴部12内に嵌合されている。
【0021】
また、内容器6の肩部33は、上述した外容器3の肩カバー15の内面形状に倣って下段部34、縦筒部35、及び上段部36を有している。そして、肩部33は、上述した外容器3の肩カバー15に覆われるとともに、その外面が肩カバー15の内面に近接または当接している。
【0022】
内容器6の口部37は、上段部36の内周縁から上方に向けて延設された筒状をなしている。具体的に、口部37は、根元部分が上述した外容器3の頂部開口19内に嵌合されるとともに、先端部分が外容器3の上段部18よりも上方に向けて突出している。
一方、内容器6の底部41のうち、径方向の中央部に位置する部分には、下方に向けて膨出する膨出部42が形成されている。膨出部42は、平面視で円形状に形成されている。なお、内容器6は角筒や円筒、楕円筒等、特に限定しないが、内容器6が外容器3に対して回転しない構成とすることが好ましい。
【0023】
吐出器31は、内容器6内に収容された内容物を吐出するポンプ部材43と、このポンプ部材43を内容器6に取り付ける取付キャップ44と、を備えている。
まず取付キャップ44は、上述した内容器6における口部37に螺着された装着筒45と、装着筒45の上方に設けられ、後述するポンプヘッド46の容器軸O方向に沿った上下動を案内する案内筒47と、装着筒45を径方向の外側から囲繞する外装筒48と、を備えている。
【0024】
外装筒48の上端縁には、径方向の内側に向けて連結環49が突設されており、この連結環49の内周縁が案内筒47の下端部に連設されている。外装筒48は、上述した外容器3の縦筒部17よりも径方向の内側に位置するとともに、その下端縁は外容器3の上段部18に近接している。
また、装着筒45と案内筒47との連結部分には、その内周面から径方向の内側に向けてフランジ状のポンプ装着部51が突設されており、このポンプ装着部51にポンプ部材43が固定されている。
【0025】
ポンプ部材43は、容器軸Oと同軸に配設されるとともに、ポンプ装着部51に固定された筒状のポンプ本体52と、ポンプ本体52の上端部に装着されたポンプヘッド46と、を備えている。
ポンプ本体52は、取付キャップ44内及び内容器6内に挿入されており、その上端部が取付キャップ44の案内筒47の内側に位置するとともに、下端部が内容器6の胴部32の内側に位置している。また、ポンプ本体52における容器軸O方向に沿う中途部には、径方向の外側に向けてフランジ部52aが突設されている。このフランジ部52aは、パッキン53を間に挟んだ状態で内容器6の口部37の上端開口縁に支持されている。
【0026】
ポンプ本体52の内部には、内容器6内に収容された内容物が流通可能な図示しない導入路が形成されている。この導入路は、下端側が吸上筒54を介して内容器6内に連通しているとともに、上端側がポンプヘッド46の後述する吐出口46aに連通している。また、ポンプ本体52内においてポンプ装着部51より下方に位置する部分には、図示しないピストン部材が配設されている。
【0027】
ポンプヘッド46は、ポンプ本体52の上端部に上方付勢状態で配置され、その外径が取付キャップ44の案内筒47の内径よりも小さくなっており、案内筒47の内側で容器軸O方向に沿って移動可能とされている。ポンプヘッド46には、上述した導入路内に導入された内容物を外部に吐出する吐出口46aが形成されている。
【0028】
図1〜3に示すように、底蓋4は、有底筒状に形成され、外容器3の下端開口24内に挿入された横断面視多角形状の枠体61と、枠体61の内側に容器軸O回りに回転可能に配設された回転部材62と、を備えている。
枠体61は、下端開口24を閉塞する底壁部63を備えている。底壁部63は、平面視正方形状に形成され、その外周縁が外容器3の下端部22の内面形状に倣って形成されている。また、底壁部63は、下端開口24の内側に配設されており、その下端面が外容器3の下端縁よりも上方に位置している。枠体61における径方向の中央部には、平面視円形状の開口部64が形成されている。なお、底壁部63の下端面は、外容器3の下端縁と面一に配置されていても構わない。
【0029】
底壁部63の外周縁には、上方に向けて外筒部65が立設されている。外筒部65は、底壁部63の全周を取り囲む角筒状に形成され、下端部22内に配設されている。具体的に、外筒部65は、上述した外容器3の下端部22の内面に倣って延在する角部67及び主壁部66を有している。外筒部65の上端縁は、外容器3の下端部22内で段差部21に当接または近接している。
【0030】
また、外筒部65の各主壁部66のうち、上述した外容器3の各係合部23に容器軸O方向で重なる部分には、各係合部23を各別に収容する複数の切欠き部68が形成されている。各切欠き部68は、主壁部66の上端縁から下方に向けて切り込まれており、係合部23における下方及び周方向の両側を囲むように形成されている。
切欠き部68は、周方向及び容器軸O方向に沿う大きさが係合部23よりも大きくなっている。また、切欠き部68における周方向の中心を通り容器軸O方向に延びる切欠き部68の中心線は、上述した主壁部66の中心線に対して周方向にオフセットしている。本実施形態では、各主壁部66の中心線から、各切欠き部68における周方向の一端側の側縁部(位置決め部)68aまでの距離は、各切欠き部68における周方向の他端側の側縁部68bまでの距離に比べて短くなっている(図3参照)。
【0031】
図2に示すように、枠体61には、各切欠き部68の上述した一端側の側縁部68aから切欠き部68に対して周方向の外側に向けて周方向に沿うように湾曲しながら延びるガイド壁69が各別に形成されている。各ガイド壁69は、径方向の外側に向けて突の曲面状に形成されるとともに、容器軸O方向に沿う長さが外筒部65と同等に形成されている。また、ガイド壁69の内周面は、回転部材62の後述する囲繞筒75の外周面に沿って延在している。
【0032】
各ガイド壁69は、周方向に沿う内側端部が切欠き部68の上述した一端側の側縁部68aに連設され、周方向に沿う外側端部は周方向で隣り合う他の切欠き部68の他端側の側縁部68bに対して離間している。
尚、本実施形態の場合、前記側縁部68aが回転部材62の位置決め部(規制位置)として機能する。
また、ガイド壁69の自由端(周方向に沿う外側端部)を、回転部材62を解除位置に位置決めする位置決め部として機能するようにしてもよい。
【0033】
図1〜3に示すように、底壁部63における開口部64の開口縁には、上方に向けて内筒部71が立設されている。内筒部71は、開口部64の全周を取り囲む円筒状に形成されている。内筒部71の上端縁は、外筒部65よりも下方に位置している。また、内筒部71における上端部の内面には、径方向の内側に向けて突出する突出部72(図1参照)が全周に亘って形成されている。
【0034】
回転部材62は、有底筒状の平面視円形状に形成され、上述した枠体61の開口部64内に配設されている。具体的に、回転部材62は、底壁部73及び周壁部74と、周壁部74を径方向の外側から囲繞する囲繞筒75と、を備えている。
底壁部73は、平面視円形状に形成され、その外周部分73aよりも径方向の内側に位置する部分には、径方向の外側から内側に向かうに従い上方に向けて窪むドーム部76が形成されている。ドーム部76の上面における径方向の中央部は、内容器6の膨出部42の下面に近接または当接している。
【0035】
また、ドーム部76の下面には、下方に向けて突出する摘み片77が形成されている。この摘み片77は、径方向のうちの一方向に沿って延在しており、底壁部73の外周部分73aのうち上述の一方向で互いに対向する部分同士を連結している。すなわち、摘み片77は、ドーム部76を径方向のうちの一方向に直交する他方向に区画するように延在している。また、底壁部73の外周部分73a及び摘み片77の各下面は、上述した枠体61の底壁部63と面一に配置されるとともに、外容器3の下端縁よりも上方に配置されている。
【0036】
周壁部74は、底壁部73の外周縁から上方に向かって立設され、枠体61の内筒部71内に配設されている。周壁部74の外面には、径方向の外側に向けて突出する突出部78が周方向に間隔をあけて複数形成されている。そして、これら突出部78が上述した枠体61の突出部72にアンダーカット嵌合されることで、回転部材62が枠体61に対して容器軸O回りに回転可能に保持されている。なお、突出部72,78は、少なくとも一方が全周に亘って形成されていれば、他方が周方向に間欠的に形成されていても構わない。また、安定した相互回転が可能であれば、突出部72,78の両方が間欠的に形成されていてもよい。
【0037】
周壁部74の上端縁には、径方向の外側に向けて突出するフランジ部81が周壁部74の全周に亘って形成されている。このフランジ部81は、上述した枠体61における内筒部71の上方を跨ぐように延び、外周縁が内筒部71よりも径方向の外側に位置している。
囲繞筒75は、上述したフランジ部81の外周縁から下方に向けて延設されている。囲繞筒75は、図2に示すように、枠体61の内筒部71と、ガイド壁69または外筒部65と、の間に位置している。
【0038】
ここで、図1〜3に示すように、囲繞筒75の外面には、径方向の外側に向けて突出する被係合部82が周方向に間隔をあけて複数形成されている。これら被係合部82は、容器軸O方向に沿う縦断面視において、径方向の外側に向かうに従い先細る台形状に形成され、周方向に沿って延在している。また、被係合部82のうち径方向の外側に位置する外周面は円弧状に形成されている。
【0039】
各被係合部82は、上述した切欠き部68内に配設され、切欠き部68内で、外容器3の係合部23に係合部23の上方から各別に当接している。具体的に、各被係合部82は、容器軸O方向から見て係合部23及び切欠き部68と重なる位置に配設され、底蓋4の外容器3に対する下方への移動が規制されている。本実施形態では、各被係合部82は、各係合部23と同数形成されるとともに、上述した各係合部23にそれぞれ対応する位置に配設されている。図示の例では、囲繞筒75において周方向に沿う90度ごとの4箇所に被係合部82が形成されている。
【0040】
各被係合部82における周方向の中心を通り容器軸O方向に延びる被係合部82の中心線は、上述した各主壁部66の中心線に一致している。また、被係合部82は、切欠き部68内における周方向の一端側寄りに配置され、上述した切欠き部68の上述した一端側の側縁部68aに近接または当接している。
【0041】
そして、本実施形態の回転部材62は、各被係合部82が係合部23に係合し、底蓋4の下方への移動を規制する規制位置と、被係合部82及び係合部23が周方向に互いに離間し、底蓋4の下方への移動の規制を解除する解除位置(図4〜6参照)と、の間を容器軸O回りに回転可能に配設されている。なお、図6(b)に示す例では、解除位置において、各被係合部82が切欠き部68から退避して各角部13,67と径方向で対向している。
また、回転部材62は、上述した規制位置において、被係合部82における周方向に沿う一端部が、上述した切欠き部68内で上述した一端側の側縁部68aに当接することで、それ以上の周方向に沿う一端側への回転移動が規制されている。一方、回転部材62は、上述した解除位置において、被係合部82における周方向に沿う他端部が、図6(b)に示すように、周方向で隣り合う他の切欠き部68における一端側の側縁部68aから延びるガイド壁69の外側端部に当接することで、回転部材62のそれ以上の周方向に沿う他端側への回転移動が規制されている。したがって、回転部材62は、切欠き部68における一端側の側縁部68aと、周方向で隣り合う他の切欠き部68における一端側の側縁部68aから延びるガイド壁69の外側端部と、の間の角度範囲で回転可能に構成されている。
【0042】
また、オーバーキャップ5は、ポンプヘッド46及び外容器3の肩カバー15を覆うように配設されており、その下端縁が外容器3における縦筒部17に外嵌されている。
【0043】
次に、上述した二重容器1の作用について説明する。なお、以下の説明では、主として底蓋4の取り付け方法及び取り外し方法について説明する。
まず、外容器3内に内容器6を下方から挿入する。具体的に、内容器6の肩部33が外容器3の肩カバー15に下方から近接するように内容器6を挿入することで、内容器6の口部37が外容器3の頂部開口19内に挿入されるとともに、内容器6の胴部32が外容器3の胴部12内に嵌合される。
【0044】
次に、内容器6の口部37に吐出器31を装着する。具体的に、吐出器31のポンプ本体52及び吸上筒54を口部37内に挿入するとともに、取付キャップ44の装着筒45を内容器6の口部37に螺着する。これにより、取付キャップ44の外装筒48と、内容器6の肩部33と、の間で外容器3の肩カバー15を容器軸O方向に挟んだ状態で、カートリッジ体2が外容器3にセットされる。このとき、外装筒48の下端縁が外容器3の上段部18に容器軸O方向で対向しているため、カートリッジ体2の外容器3に対する下方移動を規制して、カートリッジ体2が下端開口24から抜けてしまうのを防ぐことができる。
【0045】
続いて、底蓋4を外容器3に装着する。具体的には、図4に示すように、枠体61に対して回転部材62を容器軸O回りに回転させ、上述した解除位置に位置させる。すなわち、解除位置において、被係合部82は切欠き部68内から退避した位置に配置される。そして、底蓋4と外容器3との間で、角部13,67同士、及び主壁部14,66同士の周方向の位置を合わせた状態で、底蓋4を下方から外容器3内に挿入する(図5参照)。
【0046】
図6に示すように、底蓋4を外容器3内に挿入すると、枠体61における外筒部65の上端縁が外容器3の段差部21に近接または当接するとともに、各切欠き部68内に外容器3の係合部23が収容される。
続いて、枠体61に対して回転部材62を容器軸O回りに回転させ、被係合部82が係合部23に係合する規制位置に位置させる。具体的には、摘み片77を摘んだ状態で回転部材62を回転させると、回転部材62の被係合部82が切欠き部68内における周方向の他端側から進入する。そして、被係合部82は、切欠き部68内における周方向の一端側において、係合部23と容器軸O方向で重なる。これにより、被係合部82が、切欠き部68内で外容器3の係合部23に係合部23の上方から当接して、底蓋4の下方への移動が規制される。
以上により、底蓋4の取り付けが完了する。なお、規制位置において、被係合部82は、周方向に沿う一端部が側縁部68aに当接することで、回転部材62のそれ以上の周方向に沿う一端側への回転移動が規制されている。
【0047】
次に、カートリッジ体2を外容器3から取り外す際は、まず、枠体61に対して回転部材62を容器軸O回りに回転させ、上述した解除位置に位置させる。これにより、被係合部82及び係合部23が周方向に互いに離間するとともに、切欠き部68から退避することで、被係合部82の下方への移動の規制が解除される。
次に、底蓋4を下方に向けて引き抜く。すると、外容器3の係合部23が切欠き部68から退避して、底蓋4が外容器3から取り外される。
その後、内容器6の口部37から吐出器31(取付キャップ44)を取り外した後、内容器6を外容器3から引き抜く。そして、新しい内容器6を外容器3内に挿入するとともに、吐出器31を装着した後、上述した方法により底蓋4を外容器3に再度取り付けることで、カートリッジ体2の交換作業が完了する。
【0048】
このように、本実施形態の二重容器1によれば、回転部材62が規制位置に位置しているときには、被係合部82が係合部23に係合するため、底蓋4の、下方への移動の規制が解除されるのを抑制できる。
一方で、底蓋4の取り外し時においては、枠体61に対して回転部材62を回転させ、回転部材62を上述した解除位置に位置させることで、係合部23と被係合部82との係合が解除されるため、底蓋4の、下方への移動の規制を解除できる。
この場合、係合部23及び被係合部82がそれぞれ複数ずつ設けられているので、底蓋4を外容器3に対して大きく回転移動させなくても、上述の規制位置と解除位置とを切り替えることが可能になり、底蓋4を外容器3に着脱する際の操作性を向上させることができる。また、係合部23と被係合部82とがアンダーカット嵌合ではなく回転部材62を容器軸O回りに回転移動させることにより互いに係合するので、例えば係合部23及び被係合部82のうち少なくとも一方の突出量を高くする等して互いの係合代を大きくしても、これらを互いに容易に係合させることができる。
以上により、横断面視多角形状の外容器3内にカートリッジ体2を強固に保持できるとともに、カートリッジ体2の取り外し時においては、カートリッジ体2を容易に取り外すことができる操作性に優れた二重容器1を提供できる。
【0049】
また、被係合部82のうち周方向の一端部に当接して回転部材62を規制位置に位置決めする位置決め部(切欠き部68の一端側の側縁部68a)が形成されているため、規制位置において、回転部材62の周方向の一端側への移動を規制できる。そのため、被係合部82を係合部23に容易、かつ確実に係合させることができる。
【0050】
さらに、摘み片77を摘んで回転部材62を操作できるため、操作性を向上させることができる。また、摘み片77の下面が、底壁部73の外周部分73aに対して面一に配置されているため、摘み片77が外容器3よりも下方に突出することがなく、二重容器1を安定して接地させることができる。
また、外容器3が、内容器6の肩部33を覆うとともに、その内側に内容器6の口部37が挿入された肩カバー15を備えているため、上方への内容器6の移動を規制でき、外容器3内に内容器6を確実に保持できる。
【0051】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0052】
例えば、上述した実施形態では、外容器3の係合部23を径方向の内側に向けて突出させ、回転部材62の被係合部82と係合させる構成について説明したが、これに限らず、図7,8に示すように、外容器3の係合部123を径方向の外側に向けて窪む凹部とし、この係合部123内に被係合部82を収容させる構成にしても構わない。
図示の例では、係合部123は、周方向の一端側から他端側に向かうに従い、径方向に沿う深さが漸次浅くなるように形成されている。すなわち、被係合部82は、回転部材62の回転に伴い、周方向の他端側から係合部123内に進入し、係合部123の上面及び下面と容器軸O方向で重なる規制位置に配置される。また、係合部123のうち周方向の一端側の端面は、被係合部82のうち周方向の一端側の端面に当接して、回転部材62の周方向の一端側への移動を規制する位置決め部169を構成している。
この構成によれば、上述した実施形態と同様に、横断面視多角形状の外容器3内にカートリッジ体2を強固に保持できるとともに、カートリッジ体2の取り外し時においては、カートリッジ体2を容易に取り外すことができる操作性に優れた二重容器1を提供できる。
【0053】
また、上述した実施形態では、外容器3の各主壁部14に係合部23をそれぞれ一箇所ずつ設ける構成について説明したが、これに限らず、底蓋4が外容器3に装着可能であれば、例えば、各主壁部14のうち、少なくとも2つ以上の主壁部14に底蓋4が係合する構成でも構わない。
さらに、上述した実施形態では、係合部23と被係合部82を同数設ける構成について説明したが、これに限らず、係合部23と被係合部82は異数であっても構わない。
【0054】
また、上述した実施形態では、外容器3及び内容器6の横断面形状を正方形状に形成した場合について説明したが、これに限らず、三角形、五角形等、適宜変更可能である。
【0055】
さらに、上述した実施形態では、枠体61の外筒部65に切欠き部68を形成した場合について説明したが、切欠き部68を設けず、外筒部65における容器軸O方向に沿う長さを、その上端縁が係合部23に至らない長さに構成にしても構わない。
さらに、上述した実施形態では、底壁部73にドーム部76、及びドーム部76から突出する摘み片77を形成したが、これに限らず、底壁部73の一部が上方に向けて窪む操作凹部を形成しても構わず、摘み片77や操作凹部を設けなくてもよい。
また、上述した実施形態では、内容器6を外容器3にセットした後、吐出器31を取り付けてカートリッジ体2としたが、これに限らず、例えば頂部開口19を拡大する等して、取付キャップ44の外径を頂部開口19の内径よりも小さくすることで、カートリッジ体2を外容器3の下端開口24から挿入しても構わない。
【0056】
さらに、上述した実施形態では、解除位置において、被係合部82が切欠き部68から退避した状態について説明したが、被係合部82及び係合部23が周方向に互いに離間していれば、被係合部82は切欠き部68内に配置されていても構わない。
また、上述した実施形態では摘み片77の下面が、底壁部73の外周部分と面一に配置される場合について説明したが、これに限らず、底壁部73よりも上方に配置されていても構わない。
【0057】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…二重容器
3…外容器
4…底蓋
6…内容器
12…胴部
15…肩カバー
23,123…係合部
22…下端部
24…下端開口
33…肩部
37…口部
61…枠体
62…回転部材
68a…一端側の側縁部(位置決め部)
76…ドーム部
77…摘み片
82…被係合部
169…位置決め部
O…容器軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される内容器と、
該内容器を着脱自在に収納する横断面視多角形状の外容器と、
前記外容器の下端部に着脱自在に装着され、該外容器の下端開口を閉塞して前記内容器を前記外容器との間に保持する底蓋と、を備え、
前記底蓋は、
前記下端開口内に挿入された横断面視多角形状の枠体と、
前記枠体の内側に前記外容器の容器軸回りに回転可能に配設された回転部材と、を備え、
前記外容器の前記下端部には、前記容器軸回りの周方向に沿って間隔をあけて複数の係合部が形成され、
前記回転部材には、前記係合部に前記容器軸方向に沿う前記外容器の内側から各別に係合する複数の被係合部が形成され、
前記回転部材は、前記被係合部が前記係合部に係合し、前記容器軸方向に沿う前記底蓋の移動を規制する規制位置と、前記係合部及び前記被係合部が周方向に互いに離間し、前記容器軸方向に沿う前記底蓋の移動の規制を解除する解除位置と、の間を前記容器軸回りに回転可能に配設されていることを特徴とする二重容器。
【請求項2】
前記枠体には、前記被係合部における周方向の一端部に当接して前記回転部材を前記規制位置に位置決めする位置決め部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の二重容器。
【請求項3】
前記回転部材の底壁部のうち、外周部分よりも前記容器軸に直交する径方向の内側に位置する部分に、径方向の外側から内側に向かうに従い前記容器軸方向に沿う前記外容器の内側に向けて窪むドーム部が形成されるとともに、前記ドーム部に前記容器軸方向に沿う前記外容器の外側に向けて摘み片が突設され、
前記摘み片における前記容器軸方向に沿う前記外容器の外側の端部が、前記外周部分に対して前記容器軸方向に沿う同位置、または前記外周部分よりも前記容器軸方向に沿う前記外容器の内側に位置していることを特徴とする請求項1または請求項2記載の二重容器。
【請求項4】
前記外容器は、前記内容器の肩部を覆うとともに、その内側に前記内容器の口部が挿入された肩カバーを備えていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の二重容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−112412(P2013−112412A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−263008(P2011−263008)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】