説明

人体検知装置の取付構造

【課題】簡単な構成かつ省スペース化が可能で、施工の手間を軽減することができる人体検知装置の取付構造を提供する。
【解決手段】取付ブラケット1は、両端部の内側の下部に基端部が保持されてブラケット内側へ起倒可能に設けられた支持軸7と、当該両端部の内側の上部に設けられて支持軸の起立時にその先端部を案内するガイド部8と、取付ブラケットの両端部の端壁を貫通する切欠部6とを有し、支持軸7に、該支持軸から外方へ突出する取付ばね16が軸方向に移動自在に取り付けられるとともに、取付ばねにばね力を付加して押圧位置に保持させる圧縮ばね15が取り付けられ、支持軸をガイド部に沿って起立させる動作により、取付ばねが切欠部を通って天井材Cの上面を押圧することにより、取付ブラケットが天井材に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井や無目の開口に人体検知装置を埋め込むための人体検知装置の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の取付構造では、従来から、センサを天井や無目の開口に埋め込む埋込型センサが知られている。この従来の取付構造として、下端周縁部に鍔を有する筒状のベース本体と、ベース本体天板とバネと挟金具とを介してナットに螺合する取付ねじを備えて、挟金具をバネで天井裏面に押し付けて、天井面を挟み込むことにより固定する感知器ベースが挙げられる(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、天井開口に埋め込む取付装置の鍔付きベースに2本の取付ねじにより固定バネを支持させて、取付ねじを締め込むことにより固定バネを天井裏面に押し付けて、天井面を挟み込むことにより固定する火災感知器の取付装置も知られている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第2526087号公報
【特許文献2】実公平6−39437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の取付構造では、感知器ベースを天井板に取り付ける際に、ドライバで取付ねじを十分にゆるめた状態にして天井開口に挿入した後、取付ねじを締め付けて挟金具を固定する必要があること、および、感知器ベースを挿入する際、挟金具は内側に押圧されるものの、両外方に張り出しているため端部を天井開口に引っ掛けやすいことから、施工に手間がかかる。さらに、ねじ構造のため、ねじ頭分のスペースが必要となるため省スペース化が図れない。
【0006】
また、特許文献2の取付構造でも、ドライバを使用して取付ねじを締め付けて固定バネを固定する必要があること、および、取付装置を挿入する際に、同様に両外方に張り出した固定バネの端部を天井開口に引っ掛けやすいことから、施工に手間がかかり、また、ねじ構造のため省スペース化も図れない。
【0007】
本発明は、前記の問題点を解決して、簡単な構成かつ省スペース化が可能で、施工の手間を軽減することができる人体検知装置の取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明にかかる人体検知装置の取付構造は、天井材に開口が形成され、この開口に取付ブラケットが嵌め込まれて該取付ブラケット内に装置本体が収納されるものであって、前記取付ブラケットは、両端部の内側の下部に基端部が保持されてブラケット内側へ起倒可能に設けられた支持軸と、当該両端部の内側の上部に設けられて前記支持軸の起立時にその先端部を案内するガイド部と、前記取付ブラケットの両端部の端壁を貫通する切欠部とを有し、前記支持軸に、該支持軸から外方へ突出する取付ばねが軸方向に移動自在に取り付けられるとともに、前記取付ばねにばね力を付加して押圧位置に保持させる圧縮ばねが取り付けられ、前記支持軸を前記ガイド部に沿って起立させる動作により、前記取付ばねが前記切欠部を通って天井材の上面を押圧することにより、前記取付ブラケットが天井材に固定されるものである。
【0009】
この構成によれば、支持軸が取付ブラケットの内側で起倒するので、取付ブラケットを開口に挿入する際に、支持軸が内側に倒されてこれに取り付けられた取付ばねを取付ブラケットから張り出させることがなく、かつ、支持軸をガイド部に沿って起立させる動作のみで、取付ばねが天井材上面を押圧して、取付ブラケットを天井材に固定させることができる。これにより、簡単な構成かつ省スペース化が可能で、施工の手間を軽減することができる。
【0010】
好ましくは、前記取付ばねは、前記支持軸に移動自在に取り付けられる軸取付部と、前記支持軸から外方に突出する側面視で略円弧状のばね本体とを有し、
前記支持軸を前記ガイド部に沿って起立させる動作で、前記ばね本体の先端部が天井材上面に接触した状態で、前記支持軸の起立状態で前記軸取付部が該支持軸と噛み合うことにより、前記取付ばねの押圧姿勢を保持する。したがって、支持軸を起立させる動作のみで、取付ばねが天井材上面に接触した状態で弾性変形して、天井材を十分に押圧することができる。
【0011】
好ましくは、天井材の板厚に応じて、前記圧縮ばねが圧縮されることにより、前記取付ばねの軸取付部が上方に移動する。したがって、天井材の板厚に対応して、取付ばねの軸取付部を上方に押し上げることにより、取付ブラケットを天井材に固定することができる。
【0012】
好ましくは、前記支持軸は、その横断面形状がD字状の形状を有し、前記取付ばねの該支持軸を挿通させる挿通孔と周方向に相対移動不能に係合させている。したがって、支持軸の起倒時に取付ばねが周方向に移動しないようにその姿勢を保持できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、支持軸が取付ブラケットの内側方で起倒するので、取付ブラケットを開口に挿入する際に、取付ばねを取付ブラケットから張り出させることがなく、かつ、支持軸をガイド部に沿って起立させる動作のみで、取付ばねが天井材上面を押圧して、取付ブラケットを天井材に固定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る人体検知装置の取付構造を示す側面図である。
【図2】本取付構造を示す斜視図である。
【図3】本取付構造の要部を示す斜視図である。
【図4】(A)は本取付構造の動作を示す一部側面図、(B)はその斜視図である。
【図5】(A)は本取付構造の動作を示す一部側面図、(B)はその斜視図である。
【図6】(A)、(B)は本取付構造の動作を示す一部側面図である。
【図7】本取付構造の動作を示す一部側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。図1は本発明の一実施形態に係る人体検知装置の取付構造を示す側面図、図2はその斜視図である。図1のように、本取付構造では、取付ブラケット1が、下端周縁部に鍔部2と有蓋筒状の収納部3とを有し、天井の天井材Cに形成された開口5に嵌め込まれて取り付けられる。この開口5は収納部3よりも若干大きく鍔部2よりも小さく形成される。取付ブラケット1が開口5に取り付けられた後に、装置本体4が取付ブラケット1の収納部3に収納されて、図示しない係止爪またはネジ止め等で固定される。
【0016】
図2のように、取付ブラケット1は、その両端部1aにそれぞれ端壁を貫通する切欠部6が設けられている。また、支持軸(シャフト)7が取付ブラケット1の両端部1aの内側の下部に基端部が保持されてその内側へ起倒可能に設けられており、起立時にこの切欠部6に臨むとともに、切欠部6を通って支持軸7に取り付けられた取付ばね16が取付ブラッケット1から出入する。
【0017】
図3は、本取付構造の要部を示すもので、取付ブラケット1は、両端部内側の下部に基端保持部9が設けられ、この基端保持部9に基端部7bが保持されてブラケット内側へ起倒可能に設けられた支持軸7と、下部の基端保持部9に相対向して当該両端部内側の上部に設けられて支持軸7の起立時近傍でその先端部7aを案内するガイド部8とを有している。
【0018】
基端保持部9は、取付ブラケット1の両端部1aの内側下壁に固定されて支持軸7の基端部7bを挟む両側一対の基台9kと、支持軸7を回動自在に軸支する軸9jとを有して、支持軸7を軸9j回りに回動自在に保持する。ガイド部8は、両端部1aの内側上壁に設けられて平面視で略U字状の曲線形状の溝からなり、支持軸7を起立させる動作にしたがい、支持軸7の先端部7aが溝内に沿って支持軸7の起立位置に容易に導かれて、該起立位置で支持軸7は起立状態に保持される。支持軸7を倒す場合には、支持軸7に手前方向へ若干の力を加えて起立位置から先端部7aを脱出させたうえで倒す動作により、先端部7aが起立動作と逆方向に溝内に沿って容易に導かれて、支持軸7の起立動作と同様に倒す動作を容易に行うことができる。
【0019】
支持軸7に、該支持軸7から外方へ突出する板状の取付ばね16が軸方向に移動自在に取り付けられるとともに、取付ばね16にばね力を付加して押圧位置に保持させる圧縮ばね15が取り付けられている。支持軸7は取付ブラケット1の内側で起倒し、取付ばね16はそれに伴って取付ブラケット1の内側を通るものであり、支持軸7を倒しているときには取付ばね16は取付ブラケット1の内側に位置して張り出さないようにでき、支持軸7の起立時には取付ばね16は切欠部6を通って取付ブラケット1の外側に位置する。支持軸7の先端部7a下に止め輪12が設けられて、圧縮ばね15の抜け止めとなっている。この圧縮ばね15と基端保持部9との間に取付ばね16が配置されている。取付ばね16は、支持軸7に移動自在に取り付けられる軸取付部17と支持軸7から外方に突出する形状のばね本体18とを備え、基端側の軸取付部17は、支持軸7を挿通させるための挿通孔17aをもつ平板17bと垂直板17cからなるL字状の形状を有し、ばね本体18は側面視で略円弧状の形状を有する。天井材C下面からばね本体18の基端(垂直板17cの上端)の高さは、天井材Cの種々の板厚に対応させるため、例えば16mmに設定される。
【0020】
支持軸7は、その横断面形状がD字状の形状を有し、取付ばね16の支持軸7を挿通させる挿通孔17aもD字状の形状を有して、取付ばね16の挿通孔17aと周方向に相対移動不能に係合させている。これにより、支持軸7の起倒動作に際して取付ばね16が周方向に移動しないようにその姿勢を保持できる。
【0021】
支持軸7をガイド部8に沿って起立させる動作で、取付ばね16が切欠部6を通って取付ばね16の先端部が天井材C上面に接触した状態で、まず、圧縮ばね15により取付ばね16にばね力を付加して常に支持軸7が押圧状態となる位置である押圧位置に保持させる。これとともに、支持軸7の起立時に取付ばね16の軸取付部17が若干斜めに傾いて(図1)、その軸取付部17の挿通孔17aの内周面と支持軸7の外周面とが噛み合うことにより、取付ばね16が押圧姿勢を保持しながら弾性変形して天井材Cを下方向に押圧する。これにより、取付ブラケット1を天井材Cに固定することができる。
【0022】
図4(A)に示すように、取付ブラケット1を開口5に取り付ける際には、図4(B)に示すように、支持軸(シャフト)7が内側へ倒されて、取付ブラケット1が上方向へ開口5に挿入される。したがって、取付ブラケット1を開口5へ挿入する場合に、支持軸7を内側へ倒すことで、取付ブラケット1から取付ばね16を張り出させないようにできる。
【0023】
つぎに、図5(A)に示すように、支持軸(シャフト)7が矢印方向に引き起こされ、図5(B)に示すように、この起立動作により、取付ばね16が切欠部6から取付ブラケット1外方へ突出されて、その先端部が天井材C上面に接触される。さらに、支持軸7がガイド部8により起立位置まで案内されて、取付ばね16が弾性変形により広がり、天井材Cに対して下方向へのばね力によるテンションが掛かる。このとき、支持軸(シャフト)7にも取付ばね16の当該テンションが掛かるが、ガイド部8により起立位置へ案内されて当該起立位置で容易に保持される。
【0024】
図6(A)、(B)は、天井材Cの板厚が薄い場合の例を示す。図6(A)のように、例えば、天井材Cの板厚2mmのとき、約5Nのテンションが掛かって取付ブラケット1が固定される。また、図6(B)のように、天井材Cの板厚12mmのとき、約10Nのテンションが掛かって取付ブラケット1が固定される。
【0025】
図7は、天井材Cの板厚が厚い場合の例を示す。この場合、圧縮ばね15を圧縮させ、取付ばね16の軸取付部17を上方に移動させて取付ばね16を押し上げた状態で、支持軸(シャフト)7を起立させる動作が行われる。上記と同様に、支持軸7がガイド部8に沿って起立位置まで案内されて、当該起立位置に保持され、取付ブラケット1が固定される。
【0026】
これにより、支持軸が取付ブラケットの内側で起倒するので、取付ブラケットを開口に挿入する際に、支持軸が内側に倒されてこれに取り付けられた取付ばねを取付ブラケットから張り出させることがなく、かつ、支持軸をガイド部に沿って起立させる動作のみで、取付ばねが天井材に接触したのち弾性変形して天井材を押圧して、取付ブラケットを天井材に固定することができる。これにより、簡単な構成かつ省スペース化が可能で、施工の手間を軽減することができる。
【0027】
なお、上記実施形態では、取付ブラケットが、天井の天井材に形成された開口に取り付けられているが、無目の天井材に形成された開口に取り付けられてもよい。
【0028】
なお、上記実施形態では、本取付構造を自動ドアセンサのような人体検知装置に適用しているが、人体検知装置の周辺機器、照明器具、スピーカおよびカメラなどの比較的軽量の天井埋込機器に適用してもよい。
【符号の説明】
【0029】
1:取付ブラケット
4:装置本体
5:開口
6:切欠部
7:支持軸(シャフト)
8:ガイド部
15:圧縮ばね
16:取付ばね
17:軸取付部
18:ばね本体
C:天井材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井材に開口が形成され、この開口に取付ブラケットが嵌め込まれて該取付ブラケット内に装置本体が収納される人体検知装置の取付構造であって、
前記取付ブラケットは、両端部の内側の下部に基端部が保持されてブラケット内側へ起倒可能に設けられた支持軸と、当該両端部の内側の上部に設けられて前記支持軸の起立時にその先端部を案内するガイド部と、前記取付ブラケットの両端部の端壁を貫通する切欠部とを有し、
前記支持軸に、該支持軸から外方へ突出する取付ばねが軸方向に移動自在に取り付けられるとともに、前記取付ばねにばね力を付加して押圧位置に保持させる圧縮ばねが取り付けられ、
前記支持軸を前記ガイド部に沿って起立させる動作により、前記取付ばねが前記切欠部を通って天井材の上面を押圧することにより、前記取付ブラケットが天井材に固定される、
人体検知装置の取付構造。
【請求項2】
請求項1において、
前記取付ばねは、前記支持軸に移動自在に取り付けられる軸取付部と、前記支持軸から外方に突出する側面視で略円弧状のばね本体とを有し、
前記支持軸を前記ガイド部に沿って起立させる動作で、前記ばね本体の先端部が天井材上面に接触した状態で、前記支持軸の起立状態で前記軸取付部が該支持軸と噛み合うことにより、前記取付ばねの押圧姿勢を保持する、人体検知装置の取付構造。
【請求項3】
請求項2において、
天井材の板厚に応じて、前記圧縮ばねが圧縮されることにより、前記取付ばねの軸取付部が上方に移動する、人体検知装置の取付構造。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項において、
前記支持軸は、その横断面形状がD字状の形状を有し、前記取付ばねの該支持軸を挿通させる挿通孔と周方向に相対移動不能に係合している、人体検知装置の取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−146503(P2012−146503A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3843(P2011−3843)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(000103736)オプテックス株式会社 (116)
【Fターム(参考)】