人体検知装置
【課題】人体検知センサとセンサ窓との隙間に起因して、人体検知センサがセンサ窓を誤検知してしまう問題を解消することのできる人体検知装置を提供する。
【解決手段】透光材料で形成したセンサ窓60を有するカバー16の内側に、発光部80と受光部82とを有する人体検知センサ46をセンサ窓60に臨む位置に収容して成るセンサユニット44において、人体検知センサ46をコイルスプリング56にてセンサ窓60に向け付勢した状態に弾性支持し、コイルスプリング56にて人体検知センサ46をセンサ窓60に当接状態とする。
【解決手段】透光材料で形成したセンサ窓60を有するカバー16の内側に、発光部80と受光部82とを有する人体検知センサ46をセンサ窓60に臨む位置に収容して成るセンサユニット44において、人体検知センサ46をコイルスプリング56にてセンサ窓60に向け付勢した状態に弾性支持し、コイルスプリング56にて人体検知センサ46をセンサ窓60に当接状態とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は発光部と受光部とを備えた人体検知センサを有し、発光部から発した光の人体による反射光を受光部で受光して、人体検知を行う人体検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光部と受光部とを有する人体検知センサを備え、人体による反射光を受光部で受光して人体検知を行うようになした人体検知装置が従来より広く用いられている。
通常この種の人体検知装置では、透光材料で形成したセンサ窓を有するカバーの内側に人体検知センサを収容し、且つこれをセンサ窓に臨む位置に配置しておく。
【0003】
この種の人体検知装置ではまた、センサ窓から相当距離離れた位置を人体検知センサによる検知エリアの近限とするように、人体検知センサによる検知エリアを設定する。
本発明者等は、この人体検知装置を非接触スイッチに似た使い方をすべく、センサ窓に近接した位置を検知エリアの近限とするように検知エリアを設定したところ、以下のような問題の生ずることが判明した。
【0004】
即ち、図12に示しているように人体検知センサ200と、カバー202のセンサ窓204との間に隙間Sが生じていると、人体検知センサ200がセンサ窓204、詳しくはこれを構成する透光材料を検知対象(人体)と誤検知してしまう問題を生ずることが判明した。
尚206は人体検知センサ200における発光部で、208は受光部である。
この問題は人体検知センサとして半導体位置検出素子を用い、受光部208への反射光の入射角度に基づいて検知対象(人体)までの距離を測定する測距式センサを用いたときに特に生じ易い。
【0005】
而してこのような誤検知が生ずると、例えばこの人体検知センサ200を便器の洗浄装置における人体検知用として用いたとき、その誤検知に基づいて便器洗浄用の水が出っ放しとなってしまうといった問題を生ずる。
またこの問題は、カバー202を設置現場において組み付けなければならない場合に特に問題となる。
【0006】
例えば工場製造段階で予めカバー202と人体検知センサ200とを組み付けた状態としておくことができれば、隙間Sが生じないようにそれらカバー202と人体検知センサ200とを組み付けておくといったことが可能であるが、施工現場でカバー202と人体検知センサ200とを組み付けざるを得ない場合、施工に際しての組付誤差やばらつきによって、またもともとの人体検知センサ200やカバー202の製造誤差等によって、それらの間に隙間Sが生じてしまうことがあり、こうした場合にその隙間Sに起因して誤検知の問題を引き起こしてしまう。
【0007】
本発明はこうした問題点を課題としてなされたものである。
尚、下記特許文献1には被測定物の故障診断等に用いられるセンサ保持具についての発明が示され、それにおいてAEセンサの検出部を、被検出部(測定対象)に対しスプリングにて押し付けるようになした点が開示されている。
しかしながらこの特許文献1に開示のものは、センサを直接測定対象に接触させて始めて故障診断等が可能なものであり、またセンサの検出部を測定対象自体に当てて測定を行うものである点で本発明とは異なったものである。
【0008】
【特許文献1】特開平10−300564号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は以上のような事情を背景とし、人体検知センサとセンサ窓との隙間に起因して、人体検知センサがセンサ窓を誤検知してしまうといったことのない人体検知装置を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
而して請求項1のものは、透光材料で形成したセンサ窓を有するカバーの内側に、発光部と受光部とを有する人体検知センサを該センサ窓に臨む位置に収容して成る人体検知装置において、前記人体検知センサを弾性部材にて前記センサ窓に向け付勢した状態に弾性支持し、該弾性部材にて該人体検知センサを該センサ窓に当接状態としてあることを特徴とする。
【0011】
請求項2のものは、請求項1において、前記弾性部材が金属ばねから成っていることを特徴とする。
【0012】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記発光部と受光部との間に遮蔽板が設けてあることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0013】
以上のように本発明は、人体検知センサを弾性部材にてセンサ窓に向け付勢した状態に弾性支持し、その弾性部材にて人体検知センサをセンサ窓に当接状態となしてあるもので、本発明によれば、カバーや人体検知センサの施工の際の組付誤差やばらつきによって、或いはまたそれらの製造誤差等によって、人体検知センサとセンサ窓との間に隙間が生じるのを確実に防止することができ、従ってその隙間に起因して人体検知センサがセンサ窓を検知対象と誤検知してしまう問題を確実に防止することができる。
【0014】
ここで上記弾性部材は金属ばねにて構成しておくことができる(請求項2)。
弾性部材としてこのような金属ばねを用いれば、経年変化が少なく長期の間に人体検知センサとセンサ窓との間に隙間が生じてしまう問題も生じず、また弾性部材が容易に壊れず尚且つ安価である利点が得られる。
【0015】
次に請求項3は、人体検知センサにおける発光部と受光部との間に、光を遮蔽する遮蔽板を設けたもので、このようにしておけば、発光部からの光がセンサ窓で反射しても、遮蔽板による光の遮蔽作用でセンサ窓からの反射光が受光部に入射するのを防止でき、センサ窓に対する誤検知をより確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1〜図4において、10は本実施形態のフラッシュバルブ装置で、下部のバルブユニット12,上部のコントローラユニット14(図4参照)、及びこれらを外側から覆うカバー16を有している。
バルブユニット12は、図4中左側面に接続口18が設けられており、そこに給水用配管の一部を成す継手管20が接続され、かかる継手管20が図1,図2に示しているようにバルブユニット12の左側面から左方に突出している。
尚この継手管20には止水栓22が一体に構成されている。
【0017】
一方バルブユニット12の右側面からは、図2に示しているように押ボタン式の手動操作部24が右方に突出している。
この手動操作部24は、停電時等の非常時においてこれを図中左向きに押込操作することで、バルブユニット12の弁部を開いて便器洗浄水を流出させるためのものである。
他方バルブユニット12の底面には排水用配管の接続口が設けられており、図4に示しているようにそこに排水用配管の一部を成す継手管25が図中下向きに突出する状態で接続されている。
【0018】
バルブユニット12の上部には、鍔状に突出した形態の固定部26が設けられており、そこに固定ねじ28が前後左右4箇所に螺合されている。
ここで図4中前側の2つの固定ねじ28と、後側の2つの固定ねじ28とは、それぞれ左右の間隔が同じ間隔とされており、また図中左側の2つの固定ねじ28と、右側の2つの固定ねじ28とは何れも左右方向の同じ位置に設けられている。
そしてこれら4箇所の固定ねじ28によって、上部のコントローラユニット14が固定部26、即ちバルブユニット12に取付プレート30を介して取付固定されるようになっている。
【0019】
取付プレート30は、図4及び図5に示しているように下向きに突き出した4本の脚32を有しており、それぞれの端部に直角に折れ曲がった締結部34が設けられている。
これら締結部34には、固定ねじ28を挿通するためのU字状の切欠36が設けられており、取付プレート30は固定ねじ28の軸部をこれらU字状の切欠36に挿通させ、その状態で固定ねじ28を図4及び図6中下向きに締め込むことによって、バルブユニット12の固定部26に固定される。
尚U字状の切欠36は何れも同方向、即ち図4及び図5中右向きに開口するように形成されている。
【0020】
上部のコントローラユニット14は、その主体を成すコントローラ38と電源トランス40とを有しており、それぞれが取付プレート30によって支持されている。
このコントローラ38は透明なケースを有しており、その内部に正面の人体を検知するための人体検知センサ42と制御基盤とが内蔵されている。
この人体検知センサ42は正面の人体(使用者)を検知し、その検知時間の長短に応じて大便か小便かを判断し、これに応じて便器洗浄水の流出量を決定するためのものである。
【0021】
44は手かざし用の人体検知センサ(非接触スイッチ)46を内蔵した、コントローラ38とは別体を成すセンサユニットで、取付プレート48によって支持されている。
ここで取付プレート48は、その基端が固定ねじ50にてコントローラ38に固定されている。
【0022】
上記カバー16は、図7に示しているように底面が開口形状をなしており、上記のコントローラユニット14,バルブユニット12に対し上から下向きに被せられてそれら全体を外側から覆っている。
このカバー16の前面には、上記人体検知センサ42に対応したセンサ窓58が設けられており、またその頂面には手かざし用の人体検知センサ46に対応したセンサ窓60が設けられている。
ここでカバー16の頂面は、図3に示しているように前方に向って斜め下向きに傾斜した面とされており、センサ窓60もまた同様の傾斜面をなしている。
【0023】
尚このカバー16は、図2に示しているように左右の側面において固定ねじ62により上記の取付プレート30、即ち上部のコントローラユニット14を下部のバルブユニット12に取付固定するための取付プレート30に固定されている。
【0024】
図7に示しているように、カバー16には左右の側面のそれぞれに左右対称形状を成すU字状の切欠64R,64Lが設けられている。
ここで各切欠64R,64Lはカバー16の下端に連続して設けられている。
これら切欠64R,64Lは給水用配管、ここでは継手管20をカバー16内からカバー16外に挿通可能な形状で形成されている。
【0025】
図4に示しているように、下部のバルブユニット12の底部にはコ字形状をなす底プレート66が固定されている。
この底プレート66は、図8に詳しく示しているようにカバー16の底面の開口をカバー16の内側で閉鎖する本体部68と、その両端の起立部70,72とを備えている。
一方の起立部70は、カバー16の切欠64R,64Lよりも僅かに大きく形成されており、カバー16の切欠64R,64Lを内側から閉鎖可能な形状とされている。
他方の起立部72は給水用配管、即ちここでは継手管20の挿通空間を形成する状態に、切欠64R,64Lをカバー16の内側から閉鎖する形状となしてあり、その上端に継手管20の外周に沿った半円形状の切欠74を有している。
【0026】
尚、上記一方の起立部70には上記の手動操作部24を突出させるための円形の貫通穴76が形成されており、また本体部68には排水用配管、具体的には継手管25を下向きに挿通させるための円形の貫通穴78が形成されている。
尚この底プレート66はカバー16と同配色とされている。
【0027】
本実施形態のフラッシュバルブ装置10では、カバー16を装着した状態の下でセンサ窓60の上方に使用者が手をかざすと、人体検知センサ46がこれを検知し、その検知信号に基づいてコントローラ38が弁開信号を出し、バルブユニット12の弁部を開動作させる。
これにより便器洗浄水が便器に向けて給水され、便器洗浄が自動的に行われる。
尚この実施形態のフラッシュバルブ装置10では、使用者がセンサ窓60の上方に手をかざし忘れた場合であっても、即ち使用者が洗浄操作をし忘れた場合であっても、使用者が便器から立ち去ることによって人体検知センサ42による人体検知、具体的には人体が立ち去ったことを検知して、コントローラ38から弁開信号が発せられ、これを受けてバルブユニット12が弁部を開いて自動的に便器洗浄水を便器に向けて給水する。
【0028】
上記センサユニット44に備えられた手かざし用の人体検知センサ46は赤外線反射式のもので、図9に示しているように発光部80と、受光部82及びそれらの間に設けられた遮蔽板84(光遮蔽板)を有している。
この人体検知センサ46は、カバー16の透光材料にて形成されたセンサ窓60に臨んで配置されており、発光部80から光を発光して検知対象(ここでは人の指)にて反射させ、その反射光を受光部82で受光して、その受光部82への反射光の入射角度に基づいて検知対象までの距離を検出する。
【0029】
而してその検知対象が設定したエリア内にあれば検知対象有りと判定して検知信号を出力する。
尚センサユニット44のケーシングの人体検知センサ46の上面もまた透光材料で形成されている。
また図9に示しているように遮蔽板84は、センサユニット44のケーシングに形成された挿入部86に先端を挿入させている。
【0030】
図4及び図9に示しているように、センサユニット44における取付プレート48の先端部には軸部の長いねじ51が螺合されている。
ねじ51は、図9に示しているようにセンサユニット44に設けられたボス部54の挿通孔88を挿通して図中上向きに突き出しており、その突き出した端部に大径の頭部52を有している。
【0031】
このねじ51の軸部且つボス部54と取付プレート48との間には、金属製のコイルスプリング(弾性部材)56が嵌装されており、センサユニット44に対し図中上向きの付勢力を及ぼしている。
即ちセンサユニット44が、このコイルスプリング56によって下側から上向きに弾性支持されている。
その結果として、センサユニット44は人体検知センサ46、詳しくはケーシングの上面をカバー16に設けたセンサ窓60に弾性接触状態に当接させている。
【0032】
尚センサユニット44におけるケーシングの上面、詳しくは人体検知センサ46の上面は、図3に示しているように前方に向けて斜め下向きに傾斜した面とされている。
【0033】
本実施形態のフラッシュバルブ装置10は、カバー16を取り外した状態の下で下部のバルブユニット12が上部のコントローラユニット14に対し、その取付けの向きを左右且つ前後に逆転可能である。
図1〜図4はフラッシュバルブ装置10を左給水に対応させた場合を表しているが、バルブユニット12の取付けの向きを左右及び前後に逆転させることで、容易に右給水に対しても対応することができる。
図10及び図11は、その右給水に対応させた場合を表している。
この場合バルブユニット12から図中右向きに突出した給水用配管、具体的には継手管20がカバー16の右側面の切欠64Rを挿通して図中右向きに突出した状態となる。
【0034】
即ち図1〜図4の左給水の場合には、継手管20がカバー16の左側面の切欠64Lを挿通して外部に突出しているが、図10及び図11の右給水の場合には、バルブユニット12の向きの逆転(左右逆転)によって、継手管20がカバー16の右側面の切欠64Rを挿通して図中右方に突出した状態となる。
【0035】
尚このとき、底プレート66もまた左右の向きを逆転させる。
左給水の場合には、カバー16の右側面の切欠64Rを内側から閉鎖していたU字状の底プレート66の起立部70が、今度は図中左側に位置した状態となって、カバー16の左側面の切欠64Lを内側から閉鎖した状態となる。
また他方の起立部72は、図1〜図4の左給水の場合にはカバー16の左側面の切欠64Lを、継手管20の挿通空間を形成する状態で内側から閉鎖した状態となるが、図10及び図11の右給水の場合には、この起立部72が図中右側に位置して、カバー16の右側面の切欠64Rを継手管20の挿通空間を形成する状態で、かかる切欠64Rをカバー16の内側から閉鎖した状態となる。
【0036】
以上のように本実施形態では、手かざし用の人体検知センサ46をコイルスプリング56にてセンサ窓60に向け付勢した状態に弾性支持し、そのコイルスプリング56にて人体検知センサ46をセンサ窓60に当接状態となしてあることから、カバー16や人体検知センサ46の組付けの際の組付誤差やばらつきによって、或いはまたそれらの製造誤差等によって、人体検知センサ46とセンサ窓60との間に隙間が生じるのを確実に防止することができ、その隙間に起因して人体検知センサ46がセンサ窓60を検知対象と誤検知してしまう問題を確実に防止することができる。
【0037】
また本実施形態では弾性部材として金属製のコイルスプリング56を用いていることから、経年変化が少なく、長期の間に人体検知センサ46とセンサ窓60との間に隙間が生じてしまう問題も生じず、またコイルスプリング56が容易に壊れず尚且つ安価である利点が得られる。
【0038】
更に本実施形態では、人体検知センサ46における発光部80と受光部82との間に、光を遮蔽する遮蔽板84を設けていることから、発光部80からの光がセンサ窓60で反射しても、遮蔽板84による光の遮蔽作用で、センサ窓60からの反射光が受光部82に入射するのを防止でき、センサ窓60に対する誤検知をより確実に防止することができる。
【0039】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態であるフラッシュバルブ装置を示す外観斜視図である。
【図2】図1のカバーの内部を示す正面図である。
【図3】図1のカバーの内部を示す側面図である。
【図4】図1のカバーの内部のバルブユニットとコントローラユニットを分解して示す斜視図である。
【図5】図4のコントローラユニット及び取付プレートを下方から示す斜視図である。
【図6】図4のバルブユニットとコントローラユニットとの取付固定の際の作用説明図である。
【図7】図1のカバーを単体で示す図である。
【図8】図4の底プレートを単体で示す図である。
【図9】本実施形態における人体検知センサと周辺部を拡大して示す図である。
【図10】図1〜図4に示す左給水対応のフラッシュバルブ装置を右給水対応にする際のバルブユニットの取付けを示す説明図である。
【図11】図10の右給水対応のフラッシュバルブ装置を示す図である。
【図12】本発明の背景説明のための説明図である。
【符号の説明】
【0041】
16 カバー
44 センサユニット(人体検知装置)
46 人体検知センサ
56 コイルスプリング(弾性部材)
60 センサ窓
80 発光部
82 受光部
84 遮蔽板
【技術分野】
【0001】
この発明は発光部と受光部とを備えた人体検知センサを有し、発光部から発した光の人体による反射光を受光部で受光して、人体検知を行う人体検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光部と受光部とを有する人体検知センサを備え、人体による反射光を受光部で受光して人体検知を行うようになした人体検知装置が従来より広く用いられている。
通常この種の人体検知装置では、透光材料で形成したセンサ窓を有するカバーの内側に人体検知センサを収容し、且つこれをセンサ窓に臨む位置に配置しておく。
【0003】
この種の人体検知装置ではまた、センサ窓から相当距離離れた位置を人体検知センサによる検知エリアの近限とするように、人体検知センサによる検知エリアを設定する。
本発明者等は、この人体検知装置を非接触スイッチに似た使い方をすべく、センサ窓に近接した位置を検知エリアの近限とするように検知エリアを設定したところ、以下のような問題の生ずることが判明した。
【0004】
即ち、図12に示しているように人体検知センサ200と、カバー202のセンサ窓204との間に隙間Sが生じていると、人体検知センサ200がセンサ窓204、詳しくはこれを構成する透光材料を検知対象(人体)と誤検知してしまう問題を生ずることが判明した。
尚206は人体検知センサ200における発光部で、208は受光部である。
この問題は人体検知センサとして半導体位置検出素子を用い、受光部208への反射光の入射角度に基づいて検知対象(人体)までの距離を測定する測距式センサを用いたときに特に生じ易い。
【0005】
而してこのような誤検知が生ずると、例えばこの人体検知センサ200を便器の洗浄装置における人体検知用として用いたとき、その誤検知に基づいて便器洗浄用の水が出っ放しとなってしまうといった問題を生ずる。
またこの問題は、カバー202を設置現場において組み付けなければならない場合に特に問題となる。
【0006】
例えば工場製造段階で予めカバー202と人体検知センサ200とを組み付けた状態としておくことができれば、隙間Sが生じないようにそれらカバー202と人体検知センサ200とを組み付けておくといったことが可能であるが、施工現場でカバー202と人体検知センサ200とを組み付けざるを得ない場合、施工に際しての組付誤差やばらつきによって、またもともとの人体検知センサ200やカバー202の製造誤差等によって、それらの間に隙間Sが生じてしまうことがあり、こうした場合にその隙間Sに起因して誤検知の問題を引き起こしてしまう。
【0007】
本発明はこうした問題点を課題としてなされたものである。
尚、下記特許文献1には被測定物の故障診断等に用いられるセンサ保持具についての発明が示され、それにおいてAEセンサの検出部を、被検出部(測定対象)に対しスプリングにて押し付けるようになした点が開示されている。
しかしながらこの特許文献1に開示のものは、センサを直接測定対象に接触させて始めて故障診断等が可能なものであり、またセンサの検出部を測定対象自体に当てて測定を行うものである点で本発明とは異なったものである。
【0008】
【特許文献1】特開平10−300564号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は以上のような事情を背景とし、人体検知センサとセンサ窓との隙間に起因して、人体検知センサがセンサ窓を誤検知してしまうといったことのない人体検知装置を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
而して請求項1のものは、透光材料で形成したセンサ窓を有するカバーの内側に、発光部と受光部とを有する人体検知センサを該センサ窓に臨む位置に収容して成る人体検知装置において、前記人体検知センサを弾性部材にて前記センサ窓に向け付勢した状態に弾性支持し、該弾性部材にて該人体検知センサを該センサ窓に当接状態としてあることを特徴とする。
【0011】
請求項2のものは、請求項1において、前記弾性部材が金属ばねから成っていることを特徴とする。
【0012】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記発光部と受光部との間に遮蔽板が設けてあることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0013】
以上のように本発明は、人体検知センサを弾性部材にてセンサ窓に向け付勢した状態に弾性支持し、その弾性部材にて人体検知センサをセンサ窓に当接状態となしてあるもので、本発明によれば、カバーや人体検知センサの施工の際の組付誤差やばらつきによって、或いはまたそれらの製造誤差等によって、人体検知センサとセンサ窓との間に隙間が生じるのを確実に防止することができ、従ってその隙間に起因して人体検知センサがセンサ窓を検知対象と誤検知してしまう問題を確実に防止することができる。
【0014】
ここで上記弾性部材は金属ばねにて構成しておくことができる(請求項2)。
弾性部材としてこのような金属ばねを用いれば、経年変化が少なく長期の間に人体検知センサとセンサ窓との間に隙間が生じてしまう問題も生じず、また弾性部材が容易に壊れず尚且つ安価である利点が得られる。
【0015】
次に請求項3は、人体検知センサにおける発光部と受光部との間に、光を遮蔽する遮蔽板を設けたもので、このようにしておけば、発光部からの光がセンサ窓で反射しても、遮蔽板による光の遮蔽作用でセンサ窓からの反射光が受光部に入射するのを防止でき、センサ窓に対する誤検知をより確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1〜図4において、10は本実施形態のフラッシュバルブ装置で、下部のバルブユニット12,上部のコントローラユニット14(図4参照)、及びこれらを外側から覆うカバー16を有している。
バルブユニット12は、図4中左側面に接続口18が設けられており、そこに給水用配管の一部を成す継手管20が接続され、かかる継手管20が図1,図2に示しているようにバルブユニット12の左側面から左方に突出している。
尚この継手管20には止水栓22が一体に構成されている。
【0017】
一方バルブユニット12の右側面からは、図2に示しているように押ボタン式の手動操作部24が右方に突出している。
この手動操作部24は、停電時等の非常時においてこれを図中左向きに押込操作することで、バルブユニット12の弁部を開いて便器洗浄水を流出させるためのものである。
他方バルブユニット12の底面には排水用配管の接続口が設けられており、図4に示しているようにそこに排水用配管の一部を成す継手管25が図中下向きに突出する状態で接続されている。
【0018】
バルブユニット12の上部には、鍔状に突出した形態の固定部26が設けられており、そこに固定ねじ28が前後左右4箇所に螺合されている。
ここで図4中前側の2つの固定ねじ28と、後側の2つの固定ねじ28とは、それぞれ左右の間隔が同じ間隔とされており、また図中左側の2つの固定ねじ28と、右側の2つの固定ねじ28とは何れも左右方向の同じ位置に設けられている。
そしてこれら4箇所の固定ねじ28によって、上部のコントローラユニット14が固定部26、即ちバルブユニット12に取付プレート30を介して取付固定されるようになっている。
【0019】
取付プレート30は、図4及び図5に示しているように下向きに突き出した4本の脚32を有しており、それぞれの端部に直角に折れ曲がった締結部34が設けられている。
これら締結部34には、固定ねじ28を挿通するためのU字状の切欠36が設けられており、取付プレート30は固定ねじ28の軸部をこれらU字状の切欠36に挿通させ、その状態で固定ねじ28を図4及び図6中下向きに締め込むことによって、バルブユニット12の固定部26に固定される。
尚U字状の切欠36は何れも同方向、即ち図4及び図5中右向きに開口するように形成されている。
【0020】
上部のコントローラユニット14は、その主体を成すコントローラ38と電源トランス40とを有しており、それぞれが取付プレート30によって支持されている。
このコントローラ38は透明なケースを有しており、その内部に正面の人体を検知するための人体検知センサ42と制御基盤とが内蔵されている。
この人体検知センサ42は正面の人体(使用者)を検知し、その検知時間の長短に応じて大便か小便かを判断し、これに応じて便器洗浄水の流出量を決定するためのものである。
【0021】
44は手かざし用の人体検知センサ(非接触スイッチ)46を内蔵した、コントローラ38とは別体を成すセンサユニットで、取付プレート48によって支持されている。
ここで取付プレート48は、その基端が固定ねじ50にてコントローラ38に固定されている。
【0022】
上記カバー16は、図7に示しているように底面が開口形状をなしており、上記のコントローラユニット14,バルブユニット12に対し上から下向きに被せられてそれら全体を外側から覆っている。
このカバー16の前面には、上記人体検知センサ42に対応したセンサ窓58が設けられており、またその頂面には手かざし用の人体検知センサ46に対応したセンサ窓60が設けられている。
ここでカバー16の頂面は、図3に示しているように前方に向って斜め下向きに傾斜した面とされており、センサ窓60もまた同様の傾斜面をなしている。
【0023】
尚このカバー16は、図2に示しているように左右の側面において固定ねじ62により上記の取付プレート30、即ち上部のコントローラユニット14を下部のバルブユニット12に取付固定するための取付プレート30に固定されている。
【0024】
図7に示しているように、カバー16には左右の側面のそれぞれに左右対称形状を成すU字状の切欠64R,64Lが設けられている。
ここで各切欠64R,64Lはカバー16の下端に連続して設けられている。
これら切欠64R,64Lは給水用配管、ここでは継手管20をカバー16内からカバー16外に挿通可能な形状で形成されている。
【0025】
図4に示しているように、下部のバルブユニット12の底部にはコ字形状をなす底プレート66が固定されている。
この底プレート66は、図8に詳しく示しているようにカバー16の底面の開口をカバー16の内側で閉鎖する本体部68と、その両端の起立部70,72とを備えている。
一方の起立部70は、カバー16の切欠64R,64Lよりも僅かに大きく形成されており、カバー16の切欠64R,64Lを内側から閉鎖可能な形状とされている。
他方の起立部72は給水用配管、即ちここでは継手管20の挿通空間を形成する状態に、切欠64R,64Lをカバー16の内側から閉鎖する形状となしてあり、その上端に継手管20の外周に沿った半円形状の切欠74を有している。
【0026】
尚、上記一方の起立部70には上記の手動操作部24を突出させるための円形の貫通穴76が形成されており、また本体部68には排水用配管、具体的には継手管25を下向きに挿通させるための円形の貫通穴78が形成されている。
尚この底プレート66はカバー16と同配色とされている。
【0027】
本実施形態のフラッシュバルブ装置10では、カバー16を装着した状態の下でセンサ窓60の上方に使用者が手をかざすと、人体検知センサ46がこれを検知し、その検知信号に基づいてコントローラ38が弁開信号を出し、バルブユニット12の弁部を開動作させる。
これにより便器洗浄水が便器に向けて給水され、便器洗浄が自動的に行われる。
尚この実施形態のフラッシュバルブ装置10では、使用者がセンサ窓60の上方に手をかざし忘れた場合であっても、即ち使用者が洗浄操作をし忘れた場合であっても、使用者が便器から立ち去ることによって人体検知センサ42による人体検知、具体的には人体が立ち去ったことを検知して、コントローラ38から弁開信号が発せられ、これを受けてバルブユニット12が弁部を開いて自動的に便器洗浄水を便器に向けて給水する。
【0028】
上記センサユニット44に備えられた手かざし用の人体検知センサ46は赤外線反射式のもので、図9に示しているように発光部80と、受光部82及びそれらの間に設けられた遮蔽板84(光遮蔽板)を有している。
この人体検知センサ46は、カバー16の透光材料にて形成されたセンサ窓60に臨んで配置されており、発光部80から光を発光して検知対象(ここでは人の指)にて反射させ、その反射光を受光部82で受光して、その受光部82への反射光の入射角度に基づいて検知対象までの距離を検出する。
【0029】
而してその検知対象が設定したエリア内にあれば検知対象有りと判定して検知信号を出力する。
尚センサユニット44のケーシングの人体検知センサ46の上面もまた透光材料で形成されている。
また図9に示しているように遮蔽板84は、センサユニット44のケーシングに形成された挿入部86に先端を挿入させている。
【0030】
図4及び図9に示しているように、センサユニット44における取付プレート48の先端部には軸部の長いねじ51が螺合されている。
ねじ51は、図9に示しているようにセンサユニット44に設けられたボス部54の挿通孔88を挿通して図中上向きに突き出しており、その突き出した端部に大径の頭部52を有している。
【0031】
このねじ51の軸部且つボス部54と取付プレート48との間には、金属製のコイルスプリング(弾性部材)56が嵌装されており、センサユニット44に対し図中上向きの付勢力を及ぼしている。
即ちセンサユニット44が、このコイルスプリング56によって下側から上向きに弾性支持されている。
その結果として、センサユニット44は人体検知センサ46、詳しくはケーシングの上面をカバー16に設けたセンサ窓60に弾性接触状態に当接させている。
【0032】
尚センサユニット44におけるケーシングの上面、詳しくは人体検知センサ46の上面は、図3に示しているように前方に向けて斜め下向きに傾斜した面とされている。
【0033】
本実施形態のフラッシュバルブ装置10は、カバー16を取り外した状態の下で下部のバルブユニット12が上部のコントローラユニット14に対し、その取付けの向きを左右且つ前後に逆転可能である。
図1〜図4はフラッシュバルブ装置10を左給水に対応させた場合を表しているが、バルブユニット12の取付けの向きを左右及び前後に逆転させることで、容易に右給水に対しても対応することができる。
図10及び図11は、その右給水に対応させた場合を表している。
この場合バルブユニット12から図中右向きに突出した給水用配管、具体的には継手管20がカバー16の右側面の切欠64Rを挿通して図中右向きに突出した状態となる。
【0034】
即ち図1〜図4の左給水の場合には、継手管20がカバー16の左側面の切欠64Lを挿通して外部に突出しているが、図10及び図11の右給水の場合には、バルブユニット12の向きの逆転(左右逆転)によって、継手管20がカバー16の右側面の切欠64Rを挿通して図中右方に突出した状態となる。
【0035】
尚このとき、底プレート66もまた左右の向きを逆転させる。
左給水の場合には、カバー16の右側面の切欠64Rを内側から閉鎖していたU字状の底プレート66の起立部70が、今度は図中左側に位置した状態となって、カバー16の左側面の切欠64Lを内側から閉鎖した状態となる。
また他方の起立部72は、図1〜図4の左給水の場合にはカバー16の左側面の切欠64Lを、継手管20の挿通空間を形成する状態で内側から閉鎖した状態となるが、図10及び図11の右給水の場合には、この起立部72が図中右側に位置して、カバー16の右側面の切欠64Rを継手管20の挿通空間を形成する状態で、かかる切欠64Rをカバー16の内側から閉鎖した状態となる。
【0036】
以上のように本実施形態では、手かざし用の人体検知センサ46をコイルスプリング56にてセンサ窓60に向け付勢した状態に弾性支持し、そのコイルスプリング56にて人体検知センサ46をセンサ窓60に当接状態となしてあることから、カバー16や人体検知センサ46の組付けの際の組付誤差やばらつきによって、或いはまたそれらの製造誤差等によって、人体検知センサ46とセンサ窓60との間に隙間が生じるのを確実に防止することができ、その隙間に起因して人体検知センサ46がセンサ窓60を検知対象と誤検知してしまう問題を確実に防止することができる。
【0037】
また本実施形態では弾性部材として金属製のコイルスプリング56を用いていることから、経年変化が少なく、長期の間に人体検知センサ46とセンサ窓60との間に隙間が生じてしまう問題も生じず、またコイルスプリング56が容易に壊れず尚且つ安価である利点が得られる。
【0038】
更に本実施形態では、人体検知センサ46における発光部80と受光部82との間に、光を遮蔽する遮蔽板84を設けていることから、発光部80からの光がセンサ窓60で反射しても、遮蔽板84による光の遮蔽作用で、センサ窓60からの反射光が受光部82に入射するのを防止でき、センサ窓60に対する誤検知をより確実に防止することができる。
【0039】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態であるフラッシュバルブ装置を示す外観斜視図である。
【図2】図1のカバーの内部を示す正面図である。
【図3】図1のカバーの内部を示す側面図である。
【図4】図1のカバーの内部のバルブユニットとコントローラユニットを分解して示す斜視図である。
【図5】図4のコントローラユニット及び取付プレートを下方から示す斜視図である。
【図6】図4のバルブユニットとコントローラユニットとの取付固定の際の作用説明図である。
【図7】図1のカバーを単体で示す図である。
【図8】図4の底プレートを単体で示す図である。
【図9】本実施形態における人体検知センサと周辺部を拡大して示す図である。
【図10】図1〜図4に示す左給水対応のフラッシュバルブ装置を右給水対応にする際のバルブユニットの取付けを示す説明図である。
【図11】図10の右給水対応のフラッシュバルブ装置を示す図である。
【図12】本発明の背景説明のための説明図である。
【符号の説明】
【0041】
16 カバー
44 センサユニット(人体検知装置)
46 人体検知センサ
56 コイルスプリング(弾性部材)
60 センサ窓
80 発光部
82 受光部
84 遮蔽板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光材料で形成したセンサ窓を有するカバーの内側に、発光部と受光部とを有する人体検知センサを該センサ窓に臨む位置に収容して成る人体検知装置において、
前記人体検知センサを弾性部材にて前記センサ窓に向け付勢した状態に弾性支持し、該弾性部材にて該人体検知センサを該センサ窓に当接状態としてあることを特徴とする人体検知装置。
【請求項2】
請求項1において、前記弾性部材が金属ばねから成っていることを特徴とする人体検知装置。
【請求項3】
請求項1,2の何れかにおいて、前記発光部と受光部との間に遮蔽板が設けてあることを特徴とする人体検知装置。
【請求項1】
透光材料で形成したセンサ窓を有するカバーの内側に、発光部と受光部とを有する人体検知センサを該センサ窓に臨む位置に収容して成る人体検知装置において、
前記人体検知センサを弾性部材にて前記センサ窓に向け付勢した状態に弾性支持し、該弾性部材にて該人体検知センサを該センサ窓に当接状態としてあることを特徴とする人体検知装置。
【請求項2】
請求項1において、前記弾性部材が金属ばねから成っていることを特徴とする人体検知装置。
【請求項3】
請求項1,2の何れかにおいて、前記発光部と受光部との間に遮蔽板が設けてあることを特徴とする人体検知装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−284332(P2006−284332A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−103717(P2005−103717)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
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