説明

人工爪組成物、人工爪の形成方法および容器

【課題】抗菌性を有する新規な人工爪組成物(ジェルネイル組成物)を提供する。
【解決手段】紫外線照射によって硬化する人工爪を構成する人工爪組成物10であって、紫外線硬化樹脂と、前記紫外線硬化樹脂に分散された真珠パウダーと、前記紫外線硬化樹脂に分散された銀イオンとを備えている、人工爪組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工爪組成物、人工爪の形成方法および容器に関する。特に、紫外線照射によって硬化する人工爪(いわゆるジェルネイル)を構成する人工爪組成物および人工爪の形成方法、および、人工爪が収容された容器(人工爪組成物用容器)に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、手や足の爪にデザインを施すネイルアートに対する人気が高まっており、爪(自爪)に合成樹脂製の人工爪(付け爪)を形成する技術も種々提案されている。特に最近、ウレタン系樹脂やアクリル系樹脂等と光重合性モノマーを含むジェル状の人工爪組成物(ジェルネイル組成物)を爪に塗布した後、紫外線を照射して硬化させた人工爪(ジェルネイル)が、仕上がりがクリアーである等の理由から注目を集めている(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、ジェルネイルは、マニキュアなどと比較して、爪との密着性が良く長持ちするという点でも人気がある。すなわち、マニキュアは日常生活で数日にて爪から剥がれたりするのに対して、ジェルネイルは数週間持つものが多く人気がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−126833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ジェルネイルには、パール色(真珠色)のものが存在するが、実際に、ジェルネイル組成物に真珠が含有されているわけではなく、顔料によってパールのような色が発するようになっているいわゆる疑似パールだけである。本願発明者は、ジェルネイル組成物に真珠パウダーや真珠母貝パウダーを混入することにより本物のパール又は真珠や真珠母貝を配合しているという事実を表現でき、これを配合することにより機能性も向上できることを発見し、その結果、本発明を想到するに至った。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、新規な人工爪組成物(ジェルネイル組成物)に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る人工爪組成物は、紫外線照射によって硬化する人工爪を構成する人工爪組成物であり、紫外線硬化樹脂と、前記紫外線硬化樹脂に分散された真珠パウダーと、前記紫外線硬化樹脂に分散された銀イオンとを備えている。
【0008】
ある好適な実施形態において、前記真珠パウダーは、真珠を粉砕した粉末、および、真珠母貝を粉砕した粉末からなる群から選択された少なくとも一方である。
【0009】
ある好適な実施形態において、前記銀イオンは、前記人工組成物の全体に対して10質量%以下で含有されている。
【0010】
ある好適な実施形態において、前記人工爪組成物は、酸化チタンの粉末およびパワーストーンの粉末からなる群から選択された少なくとも一つを含有している。
【0011】
ある好適な実施形態において、前記人工爪組成物は、前記人工爪組成物を塗布し硬化させてから24時間後において、黄色ぶどう球菌および大腸菌に対して抗菌性を示す材料である。
【0012】
本発明に係る人工爪の形成方法は、爪に人工爪を形成する方法であり、紫外線硬化樹脂と、前記紫外線硬化樹脂に分散された真珠パウダーおよび銀イオンとを備えた人工爪組成物を、爪の表面に塗布する工程と、前記人工爪組成物を硬化させる工程とを含む。
【0013】
ある好適な実施形態において、前記真珠パウダーは、真珠を粉砕した粉末、および、真珠母貝を粉砕した粉末からなる群から選択された少なくとも一方である。
【0014】
ある好適な実施形態において、前記銀イオンは、前記人工組成物の全体に対して10質量%以下で含有されている。
【0015】
ある好適な実施形態において、前記人工爪組成物を硬化させる工程は、前記人工爪組成物に紫外線を照射することを含む。
【0016】
本発明に係る容器は、紫外線照射によって硬化する人工爪を構成する人工爪組成物が収容された容器であり、前記人工爪組成物を保持する容器本体部と、前記容器本体部に保持された前記人工爪組成物を爪に塗布する塗布部とを備え、前記人工爪組成物は、紫外線硬化樹脂と、前記紫外線硬化樹脂に分散された真珠パウダーおよび銀イオンとを含有している。
【0017】
ある好適な実施形態において、前記容器本体部は、ビン形状を有しており、前記容器本体部は、プラスチック材料から構成されており、前記容器本体部の上部には、前記人工爪組成物を導入可能な開口部を有するビン口部が形成されており、前記ビン口部には、前記開口部を塞ぐ蓋部が取り付けられており、前記蓋部には、前記人工爪組成物を塗布する前記塗布部が取り付けられている。
【0018】
ある好適な実施形態において、前記塗布部は、前記塗布部を支持する支持棒によって前記蓋部に固定されており、前記ビン口部の外面と、前記蓋部のうちの前記ビン口部の外面に対応する部位には、それぞれネジ部が形成されている。
【0019】
ある好適な実施形態において、前記容器本体部の内部の底部には、真珠が配置されている。
【0020】
ある好適な実施形態において、前記容器は、ペン形状を有しており、前記容器本体部は、円筒形状を有しており、前記塗布部は、前記容器本体部から延びた円錐部の先端に配置されている。
【0021】
ある好適な実施形態において、前記人工爪組成物に含有されている前記真珠パウダーは、真珠を粉砕した粉末、および、真珠母貝を粉砕した粉末からなる群から選択された少なくとも一方である。
【0022】
ある好適な実施形態において、前記人工爪組成物は、前記人工爪組成物を塗布し硬化させてから24時間後において、黄色ぶどう球菌および大腸菌に対して抗菌効果を有する材料である。
【0023】
ある好適な実施形態において、前記人工爪組成物は、酸化チタンの粉末およびパワーストーンの粉末からなる群から選択された少なくとも一つを含有している。
【0024】
本発明の実施形態に係る人工爪組成物は、紫外線照射によって硬化する人工爪を構成する人工爪組成物であり、紫外線硬化樹脂と、前記紫外線硬化樹脂に分散された真珠パウダーとを備えている。
【0025】
本発明の実施形態に係る人工爪の形成方法は、爪に人工爪を形成する方法であり、紫外線硬化樹脂と、前記紫外線硬化樹脂に分散された真珠パウダーおよび銀イオンとを備えた人工爪組成物を、爪の表面に塗布する工程と、前記人工爪組成物を硬化させる工程とを含む。
【0026】
本発明の実施形態に係る容器は、紫外線照射によって硬化する人工爪を構成する人工爪組成物が収容された容器であり、前記人工爪組成物を保持する容器本体部と、前記容器本体部に保持された前記人工爪組成物を爪に塗布する塗布部とを備え、前記人工爪組成物は、紫外線硬化樹脂と、前記紫外線硬化樹脂に分散された真珠パウダーとを含有している。
【0027】
ある実施形態において、前記容器本体部は、ビン形状を有しており、前記容器本体部は、プラスチック材料から構成されており、前記容器本体部の上部には、前記人工爪組成物を導入可能な開口部を有するビン口部が形成されており、前記ビン口部には、前記開口部を塞ぐ蓋部が取り付けられており、前記蓋部には、前記人工爪組成物を塗布する前記塗布部が取り付けられている。
【0028】
ある実施形態において、前記塗布部は、前記塗布部を支持する支持棒によって前記蓋部に固定されており、前記ビン口部の外面と、前記蓋部のうちの前記ビン口部の外面に対応する部位には、それぞれネジ部が形成されている。
【0029】
ある実施形態において、前記容器本体部の内部の底部には、真珠が配置されている。
【0030】
ある実施形態において、前記容器は、ペン形状を有しており、前記容器本体部は、円筒形状を有しており、前記塗布部は、前記容器本体部から延びた円錐部の先端に配置されている。
【0031】
ある実施形態において、前記人工爪組成物に含有されている前記真珠パウダーは、真珠を粉砕した粉末、および、真珠母貝を粉砕した粉末からなる群から選択された少なくとも一方である。
【0032】
ある実施形態において、前記人工爪組成物は、抗菌効果を有する材料である。
【0033】
ある実施形態において、前記人工爪組成物は、酸化チタンの粉末、パワーストーンの粉末、銀イオンからなる群から選択された少なくとも一つを含有している。
【発明の効果】
【0034】
本発明の人工爪組成物によれば、紫外線硬化樹脂に分散された真珠パウダーおよび銀イオンを備えているので、真珠パウダーからなる真珠色の人工爪(ジェルネイル)を形成することができる。そして、真珠パウダーおよび銀イオンが分散された紫外線硬化樹脂からなる人工爪(ジェルネイル)は抗菌性を示すので、人工爪(ジェルネイル)を形成した状態で生じる雑菌の繁殖やカビの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】(a)および(b)は、本発明の実施形態に係る人工爪組成物10およびそれを収容する容器100の構成を示す斜視図である。
【図2】(a)から(c)は、本発明の実施形態に係る人工爪組成物10を塗布して人工爪を形成する工程を説明するための図である。
【図3】本発明の実施形態に係る人工爪組成物10を収容する容器100の構成を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る人工爪組成物10を収容する容器100の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本願発明者は、紫外線照射によって硬化する人工爪(ジェルネイル)において爪水虫や雑菌繁殖、カビの発生などが問題になっている点についてその解決に望んだ。このようなものの発生の理由の一つは、自爪とジェルネイルとの間に隙間が生じ、そこに雑菌が繁殖することによるものと考えられている。一方で、ジェルネイルの業界では、カビが生えにくい構造のジェルネイルなどはあるものの、抗菌素材のジェルネイルは販売ないし普及されていないのが実情である。ジェルネイルの業界では、実際には、ジェルネイルをつける前にきれいにする、使用する器具を清潔にする、カビが生えにくい構造のものを使用する、爪水虫の治療薬などがある程度であった。
【0037】
本願発明者は、紫外線硬化樹脂に真珠パウダーを分散させた天然真珠成分の真珠カラーのジェルネイルを開発しているときに、このジェルネイルが抗菌効果を持つことを見いだした。天然素材からなる真珠パウダーを紫外線硬化樹脂に分散させた人工爪組成物(ジェルネイル組成物)が抗菌効果を持つことは、人体に悪影響を与えるような強力な抗菌剤を用いずに、かつ、ネイルアート的にも優れた天然真珠カラーを持った抗菌性を有するジェルネイルを構築することとなる。さらに、真珠パウダーを含有する人工爪組成物(ジェルネイル組成物)は、化学物質(揮発性有機化合物)の量を低減できる効果もあり、したがって、本発明の容器から外に拡散する揮発性物質(VOC)の量を減らすことができ、施術者及び/又は使用者に対する臭いの不快感やアレルギーの可能性を低減させることができる。また、真珠及び真珠母貝は天然のカルシウムであるため、その配合量を増やすほど爪に対する悪影響は低減し、従来のジェルネイルよりも爪が傷むことを低減することができる。
【0038】
なお、特開2010−195689号公報には、有機溶剤を使用しない無臭で安全なマニキュア液が提案されている。このマニキュア液は、有機溶剤を用いずに水系エマルジョンに貝殻(ホタテ貝)の微粉末が混合されたものである。しかしながら、本願発明者が、このマニキュア液を実際に使用してみたところ、真珠色をしているというよりも、透明な液体を塗布しているようなものであり、また、耐久性についても二日と持たないものであった。加えて、この公報は、マニキュア液のことを開示しているが、ジェルネイルについての言及や示唆はないものである。
【0039】
本発明はこのような観点に基づいて創出されたものである。以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面においては、説明の簡潔化のため、実質的に同一の機能を有する構成要素を同一の参照符号で示す。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
【0040】
図1(a)および(b)を参照しながら、本発明の実施形態に係る人工爪組成物10およびそれを収容する容器(ジェルネイル用容器)100について説明する。図1(a)および(b)は、本実施形態の容器100の構成を示す図である。図1(a)は、蓋部35を外した様子を示す図であり、一方、図1(b)は、蓋部35を締めた様子を示す図である。
【0041】
本実施形態の容器(ジェルネイル用容器)100は、人工爪を構成する人工爪組成物10が収容された容器である。本実施形態における「人工爪」は、紫外線照射または可視光線によって硬化するジェルネイルである。また、本実施形態の人工爪組成物10は、紫外線照射によって硬化することによって人工爪(ジェルネイル)へと変化する組成物(ジェルネイル組成物)である。「ジェルネイル」は、紫外線または可視光線で硬化する光硬化樹脂(例えば、アクリル系樹脂)のジェルを用いて作られた人工爪であり、爪に塗布したジェルネイル組成物に紫外線ランプまたはLEDランプの光を照射することによって形成されるものである。
【0042】
本実施形態の容器100は、人工爪組成物(ジェルネイル組成物)10を保持する容器本体部20と、容器本体部20に保持された人工爪組成物10を爪に塗布する塗布部30とから構成されている。また、本実施形態の人工爪組成物10は、紫外線または可視光線によって硬化する樹脂(紫外線硬化樹脂)と、その樹脂に分散された真珠パウダーとを含有している。なお、本実施形態では、紫外線で硬化するものだけでなく可視領域の光線で硬化するものも含めて紫外線硬化樹脂と称する。
【0043】
図示した容器本体部20は、ビン形状を有している。容器本体部20の上部には、人工爪組成物10を導入可能な開口部25を有するビン口部24が形成されている。また、ビン口部24には、開口部25を塞ぐ蓋部35が取り付けられている。本実施形態の容器本体部20は、プラスチック材料(例えば、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)など)、または、ガラスから構成されている。破損しないという点からは、容器本体部20は、プラスチック材料から構成されていることが好ましい。
【0044】
本実施形態の構成では、人工爪組成物10を塗布する塗布部30は、蓋部35に取り付けられている。塗布部30は、ハケまたは筆ペンのような部材である。図示した例では、塗布部30は、蓋部35の天面の内部から延びた支持棒32の先端に取り付けられている。すなわち、塗布部30は、塗布部30を支持する支持棒32によって蓋部35に固定されている。したがって、蓋部35を手で持つことにより、支持棒32の先端に位置する塗布部30を爪に接触させることによって、爪にジェルネイルを塗布することができる。
【0045】
本実施形態の容器100では、ビン口部24の外面と、蓋部35のうちのビン口部24の外面に対応する部位36には、それぞれネジ部(26、36)が形成されている。したがって、蓋部35の支持棒32をビン口部24の開口部25に挿入した後、蓋部35をビン口部24に締めることによって、図1(b)に示すように、容器100(または容器本体部20)を密閉状態にすることができる。この密閉状態であれば、容器100の移動時において、容器本体部20内の人工爪組成物(ジェルネイル組成物)10が外部に漏れ出すことはない。
【0046】
図1(b)に示した状態では、蓋部(塗布器具)35の塗布部(またはハケ部分)30は、容器本体部20の内部の底面またはその付近に位置して、その塗布部30は、人工爪組成物10によって浸されることになる。蓋部(塗布器具)35によって人工爪組成物10を爪に塗布する場合には、図1(b)に示した状態から、蓋部35を取り外して、図1(a)に示した状態にして、その塗布部30に付与された人工爪組成物10を爪に塗布すればよい。
【0047】
本実施形態の人工爪組成物(ジェルネイル組成物)10は、上述したように、紫外線(または可視光線)によって硬化する紫外線硬化樹脂と、紫外線硬化樹脂に分散された真珠パウダーとを含有している。ある好適な例では、紫外線硬化樹脂を溶解させるために使用されている溶媒以外には、有機溶媒(具体的には、ネイル業界で通常使用される特定54種の有機溶剤)は含まれておらず、人工爪組成物10は、紫外線硬化樹脂と真珠パウダーのみから構成されている。
【0048】
人工爪組成物(ジェルネイル組成物)10を構成する材料の紫外線硬化樹脂は、例えば、ウレタンアクリル樹脂などのジェル状の樹脂であり、紫外線ランプやLEDランプの光を照射することによって当該ジェルを硬化させることができる。具体的な紫外線硬化樹脂の例としては、ウレタン樹脂またはアクリル樹脂を挙げることができる。なお、ジェルネイルとは、流動性のある合成樹脂(粘液状)を爪に塗布し紫外線(UV−A)や可視光線(Vis)を照射して硬化する光重合(フォトポリマリゼーション)反応を、ネイル材料として爪に利用したものである。本実施形態では、紫外線硬化樹脂と称しているが、厳密に紫外線で硬化するものだけでなく、可視領域の光線で硬化するものも紫外線硬化樹脂と称する場合がある。
【0049】
人工爪組成物10に紫外線(または、紫外−可視光線)を照射することによって、人工爪組成物10が光重合(フォトポリマリゼーション)して硬化する。人工爪組成物10の主要な成分は、紫外線硬化樹脂であり、典型的には、ウレタン樹脂やアクリル樹脂を使用する。具体的にはウレタンアクリレートオリゴマー、エポキシアクリレートオリゴマー、メタクリル酸エステルモノマー・アクリル酸オリゴマー・光重合開始剤(フォトイニシエーター)が一体となったものである。光重合開始剤(フォトイニシエーター)は、ジェルネイルのための重合開始剤であり、光(紫外線、可視光線)を吸収することによりラジカル(不対電子)を発生し、重合の起点となる成分である。
【0050】
本実施形態の真珠パウダーは、真珠の粒子または真珠母貝の粒子である。真珠の粒子からなる真珠パウダーは、真珠を微細粒子に粉砕する機械を使用して作製することができる。また、真珠母貝(例えば、アコヤ貝)の粒子(微粉末)は、例えば、真珠母貝を粉砕することによって作製することができる。真珠母貝は、真珠または養殖真珠を生成する貝であり、殻の内側は美しい真珠光沢を呈するものである。真珠母貝としては、例えば、アコヤ貝、イケチョウ貝、クロチョウ貝、シロチョウ貝、マベ貝などを挙げることができる。真珠パウダーの粒子は、あくまで例示であるが、平均粒径1μm〜800μm(一例では、300μm以下、あるいは、3μm〜300μm、または3μm程度)であり、紫外線硬化樹脂に30%(質量%)前後(例えば、20%〜40%)含有させることができる。
【0051】
また、真珠母貝(例えば、アコヤ貝)を遺伝子操作することにより、金色、ピンク、黒色、青色、銀色などの色も発生させることができ、したがって、種々の真珠色の人工爪組成物10を形成することができる。真珠母貝における当該遺伝子操作は、公知の技術を用いて行うことができ、遺伝子操作された真珠母貝を微細粒子に粉砕することで、所定の白の真珠粉末を得ることができる。真珠母貝(例えば、アコヤ貝)は、ごみとして廃棄処分されるものであるので、その有効利用となる。また、上述したように、真珠母貝の粉末に代えて(または、それとともに)、真珠の粒子(微粉末)を紫外線硬化樹脂に含有させてもよい。なお、宝石として使用できない形状や品質のそれほど高くない真珠を粉砕してその粒子を使用するのであれば、コスト的にも大きなものにならないようにすることができる。
【0052】
次に、図2(a)から(c)を参照しながら、使用者(ユーザ)50の爪52に、本実施形態の人工爪組成物10を塗布して、爪52の表面にジェルネイル(人工爪)15を形成する工程を説明する。
【0053】
まず、図2(a)に示すように、ハケまたは筆ペンのような塗布器具(蓋部)35の先端部分(塗布部)30に、本実施形態の人工爪組成物10を付着させて、それを使用者(ユーザ)50の爪52の方に近づける。この例の人工爪組成物10は、図1に示した容器100に収納されている。
【0054】
次いで、図2(b)に示すように、塗布器具35の先端部分30に付着した人工爪組成物10を爪52に塗布していく。人工爪組成物10を構成するジェル状の紫外線硬化樹脂が爪52の上に位置して、被覆膜15が形成される。図2(c)に示すように、塗布が必要な指の爪(ここでは、全ての指の爪52)に人工爪組成物10を塗布した後、その被覆膜15に紫外線ランプの光を照射することによって、被覆膜15(すなわち、人工爪組成物10)を硬化させることができる。すなわち、これによって、ジェルネイル(人工爪)ができる。被覆膜15の厚さは、使用する人工爪組成物10の溶液濃度、塗布量などに依存するが、例えば5mm以下(一例では、5mm〜0.01mm程度)である。
【0055】
本実施形態の人工爪組成物10には、紫外線硬化樹脂に分散された真珠パウダーが入っているので、被覆膜15およびそれが硬化したジェルネイルは真珠色になる。この真珠色は、天然由来の真珠のカラーであり、他のフェイクの真珠カラーとは相違する。
【0056】
本実施形態の人工爪組成物10における真珠パウダーの濃度は、例えば、0.1〜50%(質量%)であり、それ以外は紫外線硬化樹脂である。他の例では、紫外線硬化樹脂とともに、香料、抗菌剤のうちの少なくとも一つを含有させることができる。また、人工爪組成物10には、ジェルネイルの着色のための顔料を含ませることも可能であり、例えば、顔料(雲母やマイカなど光沢や輝きを出すラメ類を含む)を添加して、人工爪組成物10から形成される被覆膜15を真珠色だけでなく、有色透明、有色不透明などのものに変化させることができる。なお、人工爪組成物10は、塗布後に蒸発する成分が含まれているので、人工爪組成物10の状態における真珠パウダーの濃度はあくまで例示であり、被覆膜15が形成できるのであれば、特に限定されるものではない。また、人工爪組成物10には、他の機能性物質(例えば、香りを放つ香料のような物質など)を添加することが可能である。
【0057】
なお、人工爪組成物10は、すべての爪52に塗布する場合の他、一部の爪52だけに塗布することもできる。また、人工爪組成物10は、一つの爪52の全ての領域に塗布する場合の他、一つの爪52の一部の領域(例えば、爪52の先端側のみ)に塗布することも可能である。人工爪組成物10は、爪52にベースコートを塗布した状態で当該爪52に塗布することができる。また、人工爪組成物10を硬化させたジェルネイルの表面に、トップコートを塗布することも可能である。
【0058】
加えて、この人工爪組成物10から構成されたジェルネイル(または、被覆膜15)とともに、ネイルストーン(不図示)を取り付けることも可能である。ネイルストーンは、被覆膜15の表面に取り付けることができる。被覆膜15を硬化させる前のジェル状態の時にネイルストーンを被覆膜15に載せて、その後に、被覆膜15を硬化させるとネイルストーンの取付けが便利である。ネイルストーンは、様々な材質や種類があり、形や色も様々であり、特に特定の種類・形状のものに限定されるものではない。ネイルストーンとしては、スワロフスキー(スワロフスキー社が製造しているストーン)、アクリルまたはガラスストーン(材質がアクリルまたはガラスからなるストーン)、パールストーン(真珠のように加工されたストーンであり、半球体のアクリルにパールカラーを加工したもの)、ブリオン(球体の小さな粒状のタイプのストーン)などを挙げることができる。
【0059】
本願発明者が、本実施形態の人工爪組成物10の抗菌試験を行ったところ、人工爪組成物10に抗菌特性が認められた。この試験例の人工爪組成物10における真珠パウダーの配合割合(質量%)は50%以下であり、具体的には20%である。この試験方法は、JIS Z 28012010、5である。供試菌は、黄色ぶどう球菌(Staphylococcus aureus NBRC 12732)、大腸菌(Escherichia coli NBRC 3972)である。本実施形態の人工爪組成物10では、黄色ぶどう球菌および大腸菌ともに抗菌性が認められた。なお、無加工試験片としてポリエチレンフィルムを使用した。
【0060】
本実施形態の人工爪組成物10の場合、黄色ぶどう球菌についての生菌数の常用対数値は<−0.20、抗菌活性値は>4.8であり、抗菌性が認められた。黄色ぶどう球菌についての参考例の無加工試験片は菌液接種直後は4.1であり、24時間培養後は4.7であり、抗菌性は認められなかった。また、本実施形態の人工爪組成物10の場合、大腸菌についての生菌数の常用対数値は3.6、抗菌活性値は>2.1であり、抗菌性が認められた。大腸菌についての参考例の無加工試験片は菌液接種直後は4.1であり、24時間培養後は5.8であり、抗菌性は認められなかった。ここで、抗菌効果の認定基準として、抗菌活性値(静菌活性値)が2.1以上であることで利用することができる。なお、抗菌性を示すようジェルネイル用樹脂(紫外線硬化樹脂)に、本実施形態の真珠パウダーを添加した場合でも、その樹脂の抗菌性を妨げるような効果はなかった。
【0061】
本実施形態の人工爪組成物10が抗菌性を有することにより、本実施形態の人工爪組成物10から形成された被覆膜15(および硬化したジェルネイル)に抗菌性を持たせることができる。したがって、本実施形態の人工爪組成物10から構成された人工爪(ジェルネイル)では、当該抗菌効果により、細菌(雑菌)の繁殖を抑制することができる。すなわち、本実施形態の人工爪組成物10を用いた場合、爪52の表面(ジェルネイルの表面)における雑菌が繁殖することを抑制ないし防止することができる。爪52(ジェルネイルの表面)は、口に触れたり、眼球の周囲に触れたりすることがあり、爪52の表面に雑菌が繁殖することは衛生的には好ましくない。特に、不衛生な爪で目をこすったりすると眼病の原因にもなりかねない。それゆえに、本実施形態のジェルネイルに抗菌性を持たせることによって、爪52の雑菌繁殖を予防できることの衛生面での利点は大きい。
【0062】
また、人工爪組成物10の紫外線硬化樹脂に分散される真珠パウダーは、人体に無害の天然由来成分であるので、安全性に優れており、したがって、人工爪組成物10を構成する紫外線硬化樹脂が人体に与える影響(悪影響)を越えて、真珠パウダーを含む人工爪組成物10が人体に悪い影響を及ぼすことがない。なお、大腸菌及び黄色ブドウ球菌以外の雑菌の付着や繁殖は絶対に発生しないという保証はないため予期せぬ雑菌の付着や繁殖を抑制するため、そのパウダーはガス滅菌等の滅菌処理を施してから配合することが好ましい。
【0063】
また、本実施形態の人工爪組成物10は、ジェルネイルの本体部分として使用したが、人工爪組成物10の抗菌性を利用して、人工爪組成物10をベースコート及び/又はトップコートに使用することもできる。また、上述の説明では、主に、人工爪組成物10を手の爪52に塗布する場合の説明をしたが、それに限らず、足の爪に塗布しても構わない。さらには、人間の爪だけでなく、人工爪(つけ爪など)に塗布しても構わない。人工爪組成物10からなる被覆膜15を硬化させたものを、装飾済みの独自のつけ爪として、それを人間の爪に取り付けることも可能である。
【0064】
加えて、本実施形態の人工爪組成物10の抗菌性をさらに向上させるために、人工爪組成物10他の抗菌材料を含有させることができる。そのような抗菌材料は銀イオン(Ag+)、酸化チタンなどを挙げることができる。好適な実施形態の一例では、人工爪組成物10は、人工爪組成物10は、紫外線硬化樹脂と真珠パウダーと抗菌材料(銀イオン)とから構成されている(必要に応じて、顔料が添加される)。人工爪組成物10に更なる抗菌材料を含有させることにより、紫外線硬化樹脂の種類が変更になったり(特に、従来とは異なる新規の紫外線硬化樹脂を使用する場合)、真珠パウダーの量が変更になった場合でも、安定して、人工爪組成物10から構成された被覆膜15(ジェルネイル)に抗菌性を持たせることができる。
【0065】
銀イオンを含有した人工爪組成物10では、人工爪組成物10の銀イオンの抗菌効果により、細菌(雑菌)の繁殖を抑制することができる。抗菌性を有する銀イオン(Ag+)は、例えば、銀イオン水、銀ナノ粒子などの形態で利用することができる。銀イオン(Ag+)は、原子としての銀(Ag)から電子が外れた陽イオンとして存在している銀イオンのことであり、大きさは銀原子とほぼ同じで200ピコメートル程度のいわゆる原子の大きさである。銀イオンは、例えば、銀を水中にて電気分解で溶出させることによって生成させることができる。銀イオン水の場合、銀イオンは水分子の中で単独遊離しており、基本的には水の中にイオン状態で存在する。銀イオンの主な製法としては、水中の純銀電極に電流を流して銀イオンを発生させる電気分解法と、銀イオン成分を含む化学薬品を水に添加する薬剤法の2種を挙げることができる。銀ナノ粒子は、銀をナノメートルのオーダーにした粒子である。また、鉱物であるアルミナシリカに微粒子化した銀イオンを保持させた銀ナノ粒子を用いることも可能である。
【0066】
なお、銀イオンは、各種の細菌の細胞に強く吸着し、細菌の細胞酵素をブロッキングして死滅させることができる。したがって、銀イオンによって細菌の繁殖を制御することができる。また、銀イオンは、抗菌効果が比較的強い特徴を有するとともに、人体に対して極めて安全性が高いという特徴を有しており、したがって、人工爪組成物10およびジェルネイルが間違って人間の口に入ったとしても、銀イオンによる問題は実質的に生じない。なお、銀イオンおよび真珠パウダーのいずれも、人体に対して安全性が高いので、その点で好適である。本実施形態の構成では、銀イオン(抗菌材料)を人工爪組成物10中において10%(質量%)以下にすることができ、典型的には5%(質量%)または5%程度にすることができる。
【0067】
また、抗菌材料として銀イオン(Ag+)を配合した構成について説明したが、抗菌効果を奏する条件において、他の抗菌材料を人工爪組成物10に配合することも可能である。例えば、銀イオンに代えて(または、銀イオンとともに)、酸化チタンを配合させることができるし、銀イオン、酸化チタン、そして、それ以外の抗菌材料(例えば、カテキン、キトサン、ヒノキチオール)を用いることも可能である。なお、酸化チタンは、UVカット(紫外線カット)の特性を発揮させるために、人工爪組成物10に含有させることが可能である。その他の抗菌材料としては、無機系抗菌剤(金属イオンの静菌作用を利用したもの)、有機系抗菌剤(有機物を利用した抗菌剤。合成系抗菌剤または天然系抗菌剤)を挙げることができる。
【0068】
本実施形態の容器100では、人工爪組成物10を保持する容器本体部と、人工爪組成物10を塗布する塗布部30とを備え、人工爪組成物10が紫外線硬化樹脂に分散された真珠パウダーを含有している。したがって、本実施形態の容器100における塗布部30によって、真珠パウダーからなる真珠色の人工爪(ジェルネイル)を形成することができる。そして、真珠パウダーが分散された紫外線硬化樹脂からなる人工爪(ジェルネイル)は抗菌性を示すので、人工爪(ジェルネイル)を形成した状態で生じる雑菌の繁殖やカビの発生を抑制することができる。また、真珠及び真珠母貝は天然のカルシウムであるため、その配合量を増やすほど爪に対する悪影響は低減し、従来のジェルネイルよりも爪が痛むことを低減することができる。
【0069】
紫外線または可視光線の照射によって硬化する人工爪(ジェルネイル)の分野においては、爪水虫や雑菌繁殖、カビの発生などが問題として挙がることがあるが、抗菌素材のジェルネイルは販売ないし普及されていないのが実情であった。本実施形態の構成においては、真珠パウダーを含有する人工爪組成物10によって、天然の真珠色のジェルネイルを構築するとともに、抗菌性を発揮させている。爪水虫や雑菌繁殖、カビの発生などの問題は、自爪とジェルネイルとの間に隙間が生じ、そこに雑菌が繁殖することによるものと考えられているが、本実施形態の構成では、人工爪組成物(ジェルネイル組成物)10自体が抗菌性を有しているので、そのような隙間における雑菌(またはカビ)の繁殖を抑制することができる。したがって、ジェルネイルの業界におけるジェルネイルをつける前にきれいにする、使用する器具を清潔にする、カビが生えにくい構造のものを使用する、爪水虫の治療薬を使用する等とは違って、爪水虫や雑菌繁殖、カビ発生などの問題に対してより直接的な処置を簡便に施すことができる。
【0070】
また、本願発明者は、真珠パウダー(例えば、シロチョウ貝由来のパウダー)を含有する人工爪組成物10が化学物質(揮発性有機化合物)の量を低減できる効果もあることを実験により確認した。この化学物質の量の軽減については、本実施形態の人工爪組成物10に対してホルムアルデヒド試験を実行することで確認することができる。具体的には、人工爪組成物10を、40℃の精製水100mlによって1時間抽出し、JIS L−1041:2000(樹脂加工織物及び織物の試験方法 6.3 遊離ホルムアルデヒド試験、6.3.1 液相抽出法 b)アセチルアセトン法 B法)の方法に準じて処理し、吸光度を測定することによって行うことができる。
【0071】
本実施形態の人工爪組成物10によって、化学物質(揮発性有機化合物)の発生を抑制することができると、本実施形態の容器100から外にでる揮発性有機化合物の量を低減することができる。その結果、人工爪組成物10を使用して爪52に塗布する施術者、および/または、人工爪組成物10を塗布される爪52を持った使用者に、揮発性有機化合物による臭いの不快感を低減させることができる。
【0072】
加えて、人工爪組成物10に、遠赤外線を発する遠赤外線放射材料を含有させることができる。遠赤外線放射材料は、例えば、セラミック、炭(備長炭など)を挙げることができる。人工爪組成物10に遠赤外線放射材料を含有させることにより、人工爪組成物10から形成されたジェルネイルから遠赤外線を放射させることができる。したがって、この遠赤外線によって血行を促進させることができるという効果を得ることができる。本実施形態の構成では、遠赤外線放射材料を、人工爪組成物10(または被覆膜15)中において10%(質量%)前後(例えば、5%〜20%)に含有させることができる。
【0073】
また、人工爪組成物10に、天然石などのパワーストーンを粉末にしたパワーストーン粉末を含有させることも可能である。パワーストーンとは、宝石(貴石・半貴石)の中でもある種の特殊な力が宿っていると考えられている石のことである。パワーストーンの範囲は、基本的に宝石類であるが、それに限らず、鼈甲や象牙のような生物材料、金・銀のような貴金属、銅のような卑金属、化石類、岩塩のような食品材料までがパワーストーンとして用いられることがある。本実施形態の人工爪組成物10に含有されるパワーストーン粉末の一例としては、ヒスイ粉末、水晶粉末などである。当該パワーストーン粉末を含有する人工爪組成物10を用いたジェルネイルによれば、爪52にパワーストーンのコーティングを塗布することができ、また、パワーストーン粉末の色彩を顔料として使用することも可能である。例えば、金粉を人工爪組成物10に含有させることにより、金粉入りの真珠色のジェルネイルを構築することも可能である。
【0074】
さらに、人工爪組成物10に香料を含有させることも可能である。人工爪組成物10を構成する紫外線硬化樹脂に香料を含有させても香りがしない場合には、有機溶媒には溶けずに物理的な圧力によって香りがでるナノカプセル(カプセル内に香料が包摂されている)を分散させるような手法をとることができる。特に液体の香料を紫外線硬化樹脂に分散させても、人工爪組成物10から香りがしない場合があり得るが、このようなナノカプセルを用いれば、爪52の表面からカプセルが割れてそこから放たれた香料の香りを生じさせることができる。
【0075】
上述した実施形態においては、図1に示すような容器100の構成のものを示したが、本発明の容器はそのようなものに限られない。例えば、容器100における蓋部35の一部に塗布部30が取り付けられたものに限らず、塗布部30は、蓋部35とは別体で形成されていても構わない。また、加えて、本発明の容器100は、図3に示すようなペンタイプの構成を有するものであってもよい。
【0076】
図3に示した容器100では、人工爪組成物10を収容する容器本体部40は、円筒形状を有している。塗布部42は、容器本体部40から延びた円錐部43の先端に配置されている。この例では、塗布部42は、筆ペンの先の筆部のような構成となっている。容器本体部40の内部と塗布部42とは繋がっており、容器本体部40の内部に収納された人工爪組成物10は、順次、塗布部42に供給されていく。人工爪組成物10が順次供給される塗布部42によって、爪52に人工爪組成物10を塗布することができる。
【0077】
容器本体部40の後端には、容器本体部40の後端開口部を封止する封止部(有底円筒部材)47が設けられている。封止部47を外すと、容器本体部40の後端開口部が露出し、その後端開口部から人工爪組成物10を充填することができる。また、図示した構成例では、円錐部43および塗布部(筆部)42を収容するキャップ部45が取り付けられるようになっている。この例では、円錐部43の外面と、キャップ部45の内面とにネジ部(43a、45a)が形成されており、キャップ部45を円錐部43に対して回転させることにより、両者を嵌合させることができる。
【0078】
キャップ部45は、円錐部43に回転させて嵌め込む方式でなく、容器本体部40の長軸方向に沿って入れ込むことで固定できる方式であっても構わない。また、封止部47は、容器本体部40に対してねじ切りの回転方式で固定してもよいし、他の方式(例えば、容器本体部40の長軸方向に沿って差し込む方式)で固定してもよい。図3に示した容器100では、容器本体部40は円筒形のものを示したが、それに限らず、他の形態のもの(六角筒など)を採用することも可能である。
【0079】
図3に示したペンタイプの容器100では、人工爪組成物10に含まれている真珠パウダーが連続して塗布部42に供給できるように、容器本体部40から塗布部42への供給通路の部材(例えば、多孔質部材)を設計しておくことが求められる。真珠パウダーの粒径が300μm以下であると顔料と同じレベルの粒径になるので、ペンタイプの容器100の塗布部42に供給することが容易となる。本実施形態の一例では、真珠パウダーの粒径は3μm程度にすることができ、その場合は、それを通過させるための、容器本体部40から塗布部42への供給通路の部材を簡便に作製することができる。本実施形態の容器本体部40は、樹脂製であるが、容器本体部40を透明なものにして、中に収納されている人工爪組成物10が見えるようにしてもよい。または、容器本体部40は不透明な材料から構成して、容器本体部40の一部を透明にして、人工爪組成物10の残量がわかるような構成にすることも可能である。
【0080】
このペンタイプの容器100では、連続して人工爪組成物10を爪52に塗布することができるので、便利である。また、容器100が細長の形状であるので、収納スペースを大きくとらないので、保管や持ち運びが便利である。
【0081】
また、図1に示した容器100において、図4に示すように容器本体部20の内部に真珠60を沈めておくことも可能である。このように真珠60を入れておくことにより、人工爪組成物10中の真珠パウダーの分散が良くなるとともに、真珠60による美的外観の向上を図ることができる。また、真珠60ではなく、パワーストーンのようなものを入れておくことも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明によれば、抗菌性を有する新規な人工爪組成物(ジェルネイル組成物)を提供することができる。
【符号の説明】
【0083】
10 人工爪組成物
15 被覆膜
20 容器本体部
24 ビン口部
25 開口部
30 塗布部
32 支持棒
35 蓋部(塗布器具)
40 容器本体部
42 塗布部
43 円錐部
45 キャップ部
47 封止部
52 爪
60 真珠
100 容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線照射によって硬化する人工爪を構成する人工爪組成物であって、
紫外線硬化樹脂と、
前記紫外線硬化樹脂に分散された真珠パウダーと、
前記紫外線硬化樹脂に分散された銀イオンと
を備えている、人工爪組成物。
【請求項2】
前記真珠パウダーは、真珠を粉砕した粉末、および、真珠母貝を粉砕した粉末からなる群から選択された少なくとも一方である、請求項1に記載の人工爪組成物。
【請求項3】
前記銀イオンは、前記人工組成物の全体に対して10質量%以下で含有されている、請求項1または2に記載の人工爪組成物。
【請求項4】
前記人工爪組成物は、酸化チタンの粉末およびパワーストーンの粉末からなる群から選択された少なくとも一つを含有している、請求項1から3の何れか一つに記載の人工爪組成物。
【請求項5】
前記人工爪組成物は、前記人工爪組成物を塗布し硬化させてから24時間後において、黄色ぶどう球菌および大腸菌に対して抗菌性を示す材料である、請求項1から4の何れか一つに記載の人工爪組成物。
【請求項6】
爪に人工爪を形成する方法であって、
紫外線硬化樹脂と、前記紫外線硬化樹脂に分散された真珠パウダーおよび銀イオンとを備えた人工爪組成物を、爪の表面に塗布する工程と、
前記人工爪組成物を硬化させる工程と
を含む、人工爪の形成方法。
【請求項7】
前記真珠パウダーは、真珠を粉砕した粉末、および、真珠母貝を粉砕した粉末からなる群から選択された少なくとも一方である、請求項6に記載の人工爪の形成方法。
【請求項8】
前記銀イオンは、前記人工組成物の全体に対して10質量%以下で含有されている、請求項6または7に記載の人工爪の形成方法。
【請求項9】
前記人工爪組成物を硬化させる工程は、前記人工爪組成物に紫外線を照射することを含む、請求項6から8の何れか一つに記載の人工爪の形成方法。
【請求項10】
紫外線照射によって硬化する人工爪を構成する人工爪組成物が収容された容器であって、
前記人工爪組成物を保持する容器本体部と、
前記容器本体部に保持された前記人工爪組成物を爪に塗布する塗布部と
を備え、
前記人工爪組成物は、紫外線硬化樹脂と、前記紫外線硬化樹脂に分散された真珠パウダーおよび銀イオンとを含有している、容器。
【請求項11】
前記容器本体部は、ビン形状を有しており、
前記容器本体部は、プラスチック材料から構成されており、
前記容器本体部の上部には、前記人工爪組成物を導入可能な開口部を有するビン口部が形成されており、
前記ビン口部には、前記開口部を塞ぐ蓋部が取り付けられており、
前記蓋部には、前記人工爪組成物を塗布する前記塗布部が取り付けられている、請求項10に記載の容器。
【請求項12】
前記塗布部は、前記塗布部を支持する支持棒によって前記蓋部に固定されており、
前記ビン口部の外面と、前記蓋部のうちの前記ビン口部の外面に対応する部位には、それぞれネジ部が形成されている、請求項11に記載の容器。
【請求項13】
前記容器本体部の内部の底部には、真珠が配置されている、請求項11または12に記載の容器。
【請求項14】
前記容器は、ペン形状を有しており、
前記容器本体部は、円筒形状を有しており、
前記塗布部は、前記容器本体部から延びた円錐部の先端に配置されている、請求項10に記載の容器。
【請求項15】
前記人工爪組成物に含有されている前記真珠パウダーは、真珠を粉砕した粉末、および、真珠母貝を粉砕した粉末からなる群から選択された少なくとも一方である、請求項10から14の何れか1つに記載の容器。
【請求項16】
前記人工爪組成物は、前記人工爪組成物を塗布し硬化させてから24時間後において、黄色ぶどう球菌および大腸菌に対して抗菌効果を有する材料である、請求項10から15の何れか1つに記載の容器。
【請求項17】
前記人工爪組成物は、酸化チタンの粉末およびパワーストーンの粉末からなる群から選択された少なくとも一つを含有している、請求項10から16の何れか1つに記載の容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−99508(P2013−99508A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−160642(P2012−160642)
【出願日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【基礎とした実用新案登録】実用新案登録第3173169号
【原出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(506366068)株式会社松風 (5)
【Fターム(参考)】