説明

人間工学に基づくマスカラ塗布具

まつ毛に化粧品組成物を塗布するための人間工学に基づいた塗布具を提供する。塗布具はハンドル部とヘッド部とを備え、ヘッド部の長手軸がハンドル部の長手軸に対して鈍角を成して位置するか、位置するように回転可能である。ハンドル部は、ハンドル部が回転せず、親指とその他の指で挟持するのに好適なサイズである。ヘッド部は、限定するものではないがブラシ毛、突起部、くぼみ、フィン、櫛歯、ベルクロ(登録商標)、歯、溝、スポンジ、フロック加工された面のような、化粧品組成物の一回分の塗布量を保持して、まつ毛との接触によってまつ毛に化粧品組成物を塗布する部位を遠位端に有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には化粧のための塗布具に関する。本発明はより具体的には、まつ毛に化粧品組成物を塗布するための人間工学に基づく塗布具に関する。
【背景技術】
【0002】
まつ毛にマスカラ組成物を塗布するための従来の塗布具は一般的に、ハンドルに接続した細長い柄に取り付けられたブラシを含む。ブラシのブラシ毛は柄から放射状に突出する。ブラシと柄とは通常円筒形の容器に収納される。ブラシのハンドルは、マスカラ塗布具を使用しないときには容器の蓋部材となる。
【0003】
マスカラ塗布具を使用したい場合には、容器からハンドルを引き抜き、マスカラの付いたブラシを取り外す。マスカラをまつ毛に塗布している間は、ブラシの柄は一般的には顔に平行な位置となり、操作性やブラシとまつ毛との位置関係のために、ブラシのハンドルは頬やこめかみの横に保持されて水平に配向する。
【0004】
マスカラをまつ毛に塗布するとき、ブラシはその中心軸を軸として回され、あるいは回転される。また、ブラシは水平な配向に保持されつつ、上まつ毛に塗布するために額の方向に上げられ、下まつ毛に塗布するために額の方から下げられる等、動かされて鉛直な上下運動を行う。
【0005】
マスカラを右まつ毛に塗布する時に、マスカラブラシのハンドルを右手に持って、マスカラを左まつ毛に塗布する時にはブラシのハンドルを左手に持ち替える使用者もいるだろう。他の使用者にとっては右手あるいは左手が利き手であり、利き手を用いて右目と左目の両方のまつ毛にマスカラを塗布する。
【0006】
しかしながら、両目のまつ毛に対して利き手を使用する場合であっても、利き手から最も離れた、あるいは鼻筋に最も近いまつ毛の最末端に到達するには、他方の手でマスカラ塗布具を持つ必要があるだろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のマスカラ塗布具を用いてマスカラを塗布する場合、まつ毛が所望の外観に到達するまで通常何十回も塗り動作を行い、回転させ、回す必要がある点は特筆すべきである。従来のマスカラ塗布具の保持方法と取り扱い方法のために、マスカラを塗布することが難しく厄介な作業となる場合があった。
【0008】
このため、マスカラを塗布するための、利き手あるいは利き手でない手で容易に取り扱いができるマスカラ塗布具を提供することが望ましい。また、顔の一方の側面の方に離れることなく、容易に手で持って顔のすぐ前に持ってこられるマスカラ塗布具を提供することが望ましい。さらに、容易に取り扱うことができ、同じ手で両目のまつ毛の全範囲にマスカラを塗布できるマスカラ塗布具を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
まつ毛に化粧品組成物を塗布するための、人間工学に基づく塗布具を提供する。人間工学に基づいた塗布具は、(i)ハンドル部と(ii)ヘッド部とを備える。ハンドル部は、表裏をなす2つの面部分で親指とその他の指との間で塗布具を挟持するのに適した大きさである。前記表裏をなす2つの面は、前記ハンドル部が親指とその他の指との間で挟持される際に回転するのを防止するため、前記表裏をなす2つの面を離間させている厚みに対して十分な幅を有する。好適には、前記ハンドル部の面を離間している厚みの最大値と、前記ハンドル部の最大幅との比は約1:5〜約1:50である。ヘッド部の遠位端は、化粧品組成物の一回分の塗布量を保持し、まつ毛との接触によってまつ毛に化粧品組成物を塗布するための、テクスチャ付き表面を備えた少なくとも一つの塗布部材を有する。前記塗布部材は前記ヘッド部の幅を実質的に横断してハンドル部の長手軸に直交する方向に伸長する。前記ヘッド部の長手軸は前記ハンドル部の長手軸に対して鈍角をなして配置する、または配置するように回転可能である。前記鈍角は好適には約120°〜約170°である。ある好適な実施形態において、塗布具の近位端から遠位端までの全長は約35mm〜約80mmである。
【0010】
いくつかの実施形態において、前記ヘッド部は遠位端に末端弓状縁を有し、前記末端弓状縁弓状縁は前記ヘッド部に対して凹状である。前記ヘッド部はまた、その長手軸に直交する弓状断面を有してよい。他の実施形態において、前記ヘッド部は前記塗布部材を導入するための開口部が間に形成される第一の支持部と第二の支持部とを含んでよい。前記塗布部材は前記第一の支持部と前記第二の支持部との間に取り付けられてよい。ハンドル部がさらに、ハンドル部と指との摩擦を増加させるためのグリップ補強あるいは切り抜き部を含んでよい。
【0011】
前記塗布部材は、前記ヘッド部の1つの面あるいは表裏をなす2つの面に含まれてよい。また、前記塗布部材は前記ヘッド部の遠位端の末端縁に沿って配置される。前記塗布部材は、ブラシ毛、突起物、くぼみ、フィン、櫛歯、ベルクロ(登録商標)、歯、溝、スポンジ、フロック加工された面、のような少なくとも一つのテクスチャ付き表面を含んでよい。好適には、前記テクスチャ付き表面はフィンあるいはブラシ毛を含む。より好適な場合、前記ブラシ毛の長さは5mmよりも短い。
【0012】
いくつかの実施形態において、前記ヘッド部の前記長手軸と前記ハンドル部の前記長手軸とが成す鈍角を調節するために、前記ヘッド部は前記ハンドル部に対して回転調節可能である。好適には、前記ヘッド部と前記ハンドル部とは、前記ヘッド部の前記長手軸と前記ハンドル部の前記長手軸とに直交する軸の周りに回転可能である。塗布具はさらに前記ヘッド部を前記ハンドル部に対して回転させるための蝶番を含んでよい。
【0013】
本発明に係る塗布具とケラチン繊維に塗布するための液体化粧品が装填された容器とを含むキットもまた提供される。容器は、前記塗布部材を前記組成物に接触させるために前記ヘッド部が挿入されたときに前記塗布具の前記ヘッド部を受け入れるような形状を有する。前記容器から前記塗布具を取り出す際に前記塗布部材から余分な組成物を取り除くため、容器にワイパーが取り付けられる。
【0014】
さらに、塗布具はまつ毛にマスカラを塗布する方法において使用される。まつ毛にマスカラを塗布する方法は、塗布具の前記塗布部材に載せる一回分のマスカラを計量する過程と、前記塗布具を実質的に鉛直な配向に保持しながら、前記塗布部材をまつ毛に接触させることによって前記組成物をまつ毛に塗布する過程とを含む。
【0015】
本発明の上記あるいはその他の側面は、下記の発明の詳細な説明、図、付随する特許請求の範囲を読むことによって当技術分野の当業者にとって明確となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の一般的な実施形態に係るマスカラ塗布具の側面図である。
【図2】図2は、ヘッド部の表裏をなす2つの面にブラシ毛、遠位端にフィン状突起物を有する例示的な実施形態に係る塗布具の斜視図である。
【図3】図3は、図2に示された本発明の例示的実施形態の異なる視点からの斜視図である。
【図4】図4は、図2に示された本発明の例示的実施形態の前面を表す斜視図である。
【図5】図5は、ブラシ毛の密集度が低く、ヘッド部の一つの面のみにブラシ毛を有する本発明の他の例示的実施形態の前面を表す斜視図である。
【図6】図6は、ブラシ毛の密集度がさらに低く、ヘッド部の一つの面のみにブラシ毛を有する本発明の他の例示的実施形態の前面を表す斜視図である。
【図7】図7は、本発明の図4に示された例示的実施形態の前面を表す斜視図である。
【図8】図8は、本発明の図5に示された例示的実施形態の前面を表す斜視図である。
【図9】図9は、本発明の図6に示された例示的実施形態の前面を表す斜視図である。
【図10】図10は、本発明の図6に示された例示的実施形態の下面を表す斜視図である。
【図11】図11は、本発明の図5に示された例示的実施形態の下面を表す斜視図である。
【図12】図12は、本発明の図4に示された例示的実施形態の下面を表す斜視図である。
【図13】図13は、塗布具の遠位端の末端縁を覆う平行なフィンを有する本発明の他の例示的実施形態を表す斜視図である。
【図14】図14は、図13に示された例示的実施形態のヘッド部の側面を表す斜視図である。
【図15】図15は、細長い塗布部材の端部に接続する側脚を形成する凹状末端縁をヘッド部に有する本発明の他の例示的実施形態を示す斜視図である。
【図16】図16は、図13に示された塗布具の例示的実施形態の塗布部材を取り外した場合を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の化粧品組成物を塗布するための塗布具は一般的に、人間工学に基づく形状を提供する角度および/あるいは曲線を含む。使用者が化粧品組成物を塗布する際の快適性を高めるためである。特に、本発明の塗布具は、マスカラのような化粧品組成物を目に塗布する際に特段有用である。本発明の塗布具はさらに、さまざまな化粧品やパーソナルケア製品をケラチン繊維あるいは皮膚に塗布する際に有用であろう。化粧品やパーソナルケア製品には、限定するものではないが、アイライナー、毛髪染料、リップライナー、リップスティック、口紅、リップグロス等が含まれる。ここで、「ケラチン繊維」という単語が使用されているが、「ケラチン繊維」には、限定することなく、まつ毛、眉毛、あるいは、毛髪を含む体のあらゆる部分の毛が含まれてよい。本発明の塗布具の形状には多くの利点があるために、従来の化粧品塗布具と比較して、使用者は塗布具をより便利に手で持つことができ、片手を用いてより容易に取り扱って、化粧品組成物を効率的で均一に塗布することができると考えられる。さらに、本発明の塗布具によれば、従来の化粧品塗布具と比較して、塗り動作あたりの塗布範囲が広く、まつ毛の長さにわたってより均一にマスカラ組成物を配分することができると考えられる。特定の理論に拘束されることなく、サイズと形状に利点があるために、まつ毛との接触範囲が拡がるために、まつ毛の塗り動作あたりの塗布範囲が拡大すると考えられている。すなわち塗布具は、従来の塗布具よりも少ない回数の塗り動作で効果的にマスカラをまつ毛に塗布することができると考えられる。
【0018】
本発明の一般的な実施形態に係る塗布具10が図1に示されている。マスカラ組成物のような化粧品組成物をまつ毛に塗布するための塗布具10は、近位端80側のハンドル部16と、遠位端70側のヘッド部14とを含む。ハンドル部10は、任意の好適な手段を用いて可動にヘッド部14に接続されてよい。ある実施形態において、ヘッド部14とハンドル部16とは合体してよく、一体的に形成されてよい。また、ヘッド部14とハンドル部16とは、別々の部品として形成され、当技術分野の任意の好適な技術を用いて共に接続されてもよい。例えば、ヘッド部14とハンドル部16とは、蝶番、締まりばめ、錠締め、接着剤、ハンドル部16の遠位端とヘッド部の近位端との融合、によって接続されてよい。ある実施形態において、ヘッド部14は、ハンドル部16に取り外し可能に取り付けられる。具体的には、ハンドル部16は、ヘッド部14から取り外し可能で、複数のヘッド部14に交換可能に取り付けることができてもよい。
【0019】
ハンドル部16とヘッド部14とは、好適な配置であればどのように接続されてもよい。ある実施形態において、ハンドル部16は塗布具10のヘッド部14と同一直線上にあってもよい。好適には、ハンドル部16はヘッド部10と屈曲した形状を形成してある角度を成して接続しているか合体しており、一般的にはヘッド部14がハンドル部16に接続している側は凸状で、その反対側は一般的には凹状である。屈曲した形状は、同一直線上にある形状からはわずかに逸脱あるいは大きく逸脱してよく、ヘッド部10とハンドル部16とのオフセット角を成してよい。このオフセット角は塗布具10により人間工学に基づいた形状を与え、従来のマスカラ塗布具に比べて、マスカラをまつ毛により効率的に均一に塗布することを補助することができると考えられる。ある実施形態において、塗布具10は遠位端70で最も幅広くてもよく、ヘッド部14がハンドル部16に接続する屈曲部の、塗布具10が最も狭くなる点に向かって細くなってよい。塗布具10の人間工学に基づいた形状は快適性を改善し、使用者がより便利に塗布具10を手に持つことを可能にし、片手で塗布具10をよりよく取り扱うことを可能にしていると考えられる。
【0020】
本発明に係る塗布具10は好適であればどのようなサイズ、形状でもよい。好適には、塗布具10のサイズと形状のために、使用者がまつ毛にマスカラを塗布する際の利き手の有無にかかわらず、どちらの手でも便利に快適に使用することができる。右目と左目の両方のまつ毛へのマスカラの塗布を行うために、使用者が塗布具10を利き手のみで持った場合、塗布具10は、利き手から最も遠いまつ毛や、鼻筋に最も近いまつ毛も含み、両目のまつ毛の全範囲に容易に到達可能である。
【0021】
好適には、塗布具10は、消費者の携帯用のため、比較的小さく便利なサイズであってよい。より好適には、塗布具10は、親指とその他の指との間でしっかりと塗布具10を保持し、消費者による使用や取り扱いの最中に塗布具10が回転することを防止することができるようなサイズであってよい。例えば、塗布具10の近位端80から遠位端70までの最も長い点での全長(L)は、約15mm〜約80mm、約25mm〜約80mm、約25mm〜約75mm、約35mm〜約80mm、約35mm〜約65mm、約40mm〜約60mmであってよい。ある具体的な実施形態において、塗布具10の最も長い点での全長(L)は、約2インチ(あるいは約50.8mm)であってよく、ハンドル部16の長さは1インチ(約25.4mm)よりもわずかに長くてもよく、ヘッド部14の長さは1インチ(約25.4mm)よりもわずかに短くてもよい。ここで用いられている、塗布具10の全長は、ヘッド部14とハンドル部16とによる二つの辺によって定義される三角形の三番目の辺の長さを測ることによって決定される。ヘッド部14とハンドル部16とが、同一直線状にあって長さが重複しない実施形態において、全長(L)はヘッド部14の長さとハンドル部16の長さとの和である。比較的小さく便利なサイズの場合の他の好適な寸法としては、ヘッド部14の遠位端70の幅と塗布具の最も狭い部位での幅とが含まれ、ヘッド部14の遠位端70の幅は約10mm〜約50mm、約12.5mm〜約45mm、約15mm〜約40mm、約17.5mm〜約35mm、約3/4インチ(約19.1mm)〜約1 1/4インチ(約31.8mm)であり、塗布具の最も狭い部位での幅は約5mm〜約30mm、約7.5mm〜約20mm、約8mm〜約15mm、1インチの約16分の5(約7.9mm)〜1インチの約8分の3(約9.5mm)である。
【0022】
本発明によれば、塗布具10のヘッド部14とハンドル部16は、保持や取り扱いに際して人間工学に基づいた快適な形状やサイズを他にも含んでよいと考えられる。
【0023】
ある好適な実施形態において、ハンドル部16の長手軸I−Iは、ヘッド部10の長手軸II−IIに対して鈍角θの配置であるか、鈍角θの配置となることが可能である。鈍角とは、90°よりも大きく、180°よりも小さい角度を意味する。塗布具10のハンドル部16とヘッド部10は、ハンドル部16の長手軸I−Iとヘッド部14の長手軸II−IIとに直交する、軸に固定されるか、軸に回転可能に設置されるか、軸に沿って変形可能であり、ハンドル部16の長手軸I−Iとヘッド部14の長手軸II−IIとはθの角度を成す。ある実施形態において、ハンドル部16はヘッド部14に調節可能な蝶番(不図示)を用いて接続されてよい。具体的には、調節可能な蝶番の可動範囲は、鈍角のみを成すように制限されてよい。他の実施形態において、塗布具10は、使用者が塗布具10を適切な角度θに屈曲させて変形させることができるように、変形可能な素材から形成されてよい。好適には、ハンドル部16の長手軸I−Iとヘッド部14の長手軸II−IIとの間の角度θは約95°〜約175°であり、より好適には約115°〜約170°、さらに好適には約120°〜約170°、いっそう好適には約130°〜約165°、最も好適には約140°〜約160°である。
【0024】
塗布具10のハンドル部14は、塗布具を親指とその他の指との間で保持することを可能にし、親指とその他の指との間で保持されているときにハンドルが回転することを防止するために、好適などのような寸法であってもよい。好適には、ハンドル部16はヘッド部14よりも幅が狭い。ある実施形態において、図2から図16に示されている本発明の例示的な実施形態に示されているように、ハンドル部14は2つの表裏をなす面86、88を含み、これらの面は、親指とその他の指との間で挟持されているときにハンドル部14が回転することを防止するため、これらの面を離間している厚みに比べて十分な幅を有している。2つの面を離間している厚みは、全体で均一であってよく、あるいは変化していてもよい。具体的には、面を離間している厚みの最大値と、ハンドル部14の最も幅が広い場所における幅との、寸法比は約1:2〜約1:50、約1:5〜約1:50、約1:3〜約1:25、約1:4〜約1:20、約1:5〜約1:10であってよい。ある実施形態において、面を離間している厚みの最大値は約1mm〜約10mm、約1.25mm〜約5mm、約1.5mm〜約3mmであってよい。ある実施形態において、ハンドル部14は実質的に線形のあるいは曲がった平面であってよい。他の実施形態において、ハンドル部14は平坦であってよい。
【0025】
ハンドル部14はまた、親指とその他の指との間で挟持されているときに塗布具10の快適性および/あるいは安定性を改善するための、好適な、どのような変形を含んでもよい。一つの好適な変形には、ハンドル部14の表裏をなす2つの面86と88との少なくとも一方の上の凸型の外形が含まれる。他の好適な変形は、親指での保持に適合するハンドル部14の面88上の凸型外形と、親指以外の指での保持に適合するハンドル部14の表裏をなす2つの面86上の凹型外形であってよい。その他、ハンドル部14に対する他の好適な変形は、図2から図12に示された例示的な実施形態に示されている。変形には、ハンドル部14に取り付けられた、またはハンドル部14と一体的に形成されたグリップ補強94が含まれてよい。グリップ補強94は、ハンドル部14と、親指および/あるいはその他の指との摩擦を増加させるどのようなしくみを含んでもよく、例えば、限定するものではないが、突き出た半円、隆起、くぼみ、その他の形成された突出部分、あるいはそれらの突出部分の間の中空の空間であってもよい。グリップ補強94は、ハンドル部14と一体的に形成されてもよく、接着剤やハンドル部14へのグリップ補強94の融合を含んだ好適な任意の手段を用いて取り付けられてもよい。グリップ補強94は、形成や、柔軟な触感の表面加工やポリマーの共押出のような表面処理技術を含む、任意の好適な手段によって形成されてよい。
【0026】
その他の好適な変形が、図13、15、及び16に示された本発明の他の例示的実施形態に示されている。ハンドル部14は、ハンドル部14と親指および/あるいはその他の指との摩擦を増して、ハンドル部16の握持を補助する切り抜き部あるいは穴58を有するように、変形してもよい。切り抜き部あるいは穴58は、好適などのような形状であってもよい。好適には、切り抜き部あるいは穴58は、幅が狭いか、細長い。図13、15、及び16に示された具体的な実施形態において、切り抜き部あるいは穴58は楕円型である。さらに、図13、15、及び16に示すように、切り抜き部あるいは穴58は互いに平行な配置であってよい。より好適には、切り抜き部あるいは穴58の長手軸は、ハンドル部14の長手軸I−Iに直交する。
【0027】
ヘッド部16は、塗布具10の一部分であり、化粧品組成物を塗布するための少なくとも1つの塗布部材56と接触している。好適には、ヘッド部14は、遠位端70での幅に比べて、そのハンドル部16に接続する近位端の幅がより狭い。ヘッド部16は、塗布部材56の構造的な支持部を提供する。さらに、ヘッド部16の表面がテクスチャ付きで、塗布部材56を形成してもよい。好適には、塗布部材56は実質的にヘッド部14の幅を横断して伸長し、ハンドル部16の長手軸I−Iに直交する方向に伸長する。実質的に幅を横断して伸長する、とは、塗布部材56が、ヘッド部14の幅に対して70%より大きく、好適には80%より大きく、さらに好適には90%より大きく、最も好適には95%よりも大きく伸長することを意味する。塗布部材56は、ヘッド部14の幅全体にわたって伸長していてもよい。さらに、塗布部材56は、好適な、どのような形状であってもよい。具体的には、塗布部材56は、まつ毛あるいはまぶたによって形作られる外形の、少なくとも4分の1、少なくとも3分の1、少なくとも半分、あるいは全体に、実質的に一致するか、一致する、弓状外形を有してよい。ある実施形態において、弓状外形は凸状であり、一方他の実施形態において弓状外形は凹状であってよい。いくつかの実施形態において、塗布部材56がヘッド部16と合体したテクスチャ付き表面を構成する場合のように、ヘッド部16と塗布部材56とは一体であってもよい。例えば、ヘッド部16と塗布部材56とは、射出成形によって一つの部品として形成されてもよい。
【0028】
図2から図14に示される実施形態によって例示されるが、ある好適な実施形態において、ヘッド部16は、ある厚みを持った2つの表裏をなす面40、42を有してよい。表裏をなす2つの面40および42の厚みは全体にわたって均一であってもよいし、異なっていてもよい。一つの好適な実施形態において、ヘッド部16の厚みはその長手軸II−IIに沿った場所で最大となり、長手軸II−IIからの距離が増す程小さくなる。塗布部材56は、表裏をなす2つの面40、42のうち一方あるいは両方から伸長してよい。塗布部材56はまた、塗布具10のヘッド部14の遠位端70から伸長してもよい。ヘッド部16の厚みの最大値は、ヘッド部16の最も幅広い場所での幅よりも小さくて良い。具体的には、表裏をなす2つの面40、42を離間している厚みの最大値は、ヘッド部16の最も幅広い場所での幅に比べて約1:2〜約1:50、約1:5〜約1:25、約1:10〜約1:20、の比率であってよい。具体的な実施形態において、ヘッド部16の表裏をなす2つの面を離間している厚みの最大値は、約1mm〜約10mm、約1mm〜約10mm、約1.25mm〜約5mm、約1.5mm〜約3mmの範囲であってよい。
【0029】
ヘッド部16はまた、ヘッド部16の長手軸II−IIに直交する、さらなる回転軸(不図示)を有してよい。ヘッド部16はさらに、このさらなる軸の周りで調節可能であってよい。具体的には、ヘッド部16は、このさらなる軸に沿った調節可能な蝶番に、回転可能に互いに取り付けられた2つの部品から構成されてよい。調節可能な蝶番の可動範囲は、鈍角のみを成すように制限されてよい。好適には、調節可能な蝶番は、動きが約95°〜約175°に、より好適には約100°〜約170°に、さらに好適には約100°〜約170°に、いっそう好適には約105°〜約165°に、最も好適には約110°〜約160°に制限されてよい。
【0030】
好適には、ヘッド部16は、まつ毛あるいはまぶたによって形作られる外形の、少なくとも4分の1に実質的に一致するか、一致する、好適な任意の形状を有してよい。一つの好適な実施形態において、図2から図12に示されているように、ヘッド部16の長手軸II−IIに直交するどの断面も弓状の形状をしているであろう。好適には、弓状の形状は、まつ毛あるいはまぶたによって形作られる外形の、少なくとも4分の1、少なくとも3分の1、少なくとも半分、あるいは全体に、実質的に一致するか、一致する。ヘッド部16の長手軸II−IIに直交する弓形の形状の断面は、上面40に沿って凸状、下面42に沿って凹状であってよい。一方、上面40と下面42とに沿ったヘッド部の断面は、凹状/凹状、凸状/凸状、平面状/平面状、あるいはそれらのあらゆる組み合わせであってもよい。その他の好適な実施形態において、ヘッド部16は、図4から図6及び図13に示すように、遠位端70に末端弓状縁を有し、末端弓状縁は好適には凹状の端部である。末端の凹状端部は、まつ毛あるいはまぶたによって形作られる外形の、少なくとも4分の1か、少なくとも3分の1か、少なくとも半分か、あるいは全体に実質的に一致するか、一致する。
【0031】
他のある実施形態において、図15及び図16に示された例示的な実施形態に示されているように、ヘッド部16は、ヘッド部16の長手軸II−IIの右側にある例えば第一の側方脚30のような第一の支持部と、ヘッド部16の長手軸II−IIの左側にある例えば第二の側方脚32のような第二の支持部とを備えてよい。第一の支持部と第二の支持部とは、それらの間に塗布部材56を導入し、保持するための開口部を形成する。図15及び図16に示されている具体的な実施形態において、第一の支持部及び第二の支持部は、ヘッド部16の遠位端70にある末端の凹状端部によって形成されてよい。塗布部材56は、第一の支持部と第二の支持部との間に、その長手軸の周りに回転可能であるか、あるいは回転不可能に、設置されてよい。塗布部材56は、細長い形状であってよく、その例は、限定するものではないが、円筒形、あるいは円形の断面を有する伸長された楕円形である。
【0032】
塗布部材56は、例えばマスカラのような化粧品組成物を保持し、解放するための部位を含む。また、化粧品組成物の一回分の塗布量を保持し、例えばまつ毛、あるいは皮膚のようなケラチン繊維に、接触に際してそれを塗布するためのあらゆる形のテクスチャ付き表面を含むことができる。化粧品組成物の一回分の塗布量を保持し、塗布することができるどのような好適なテクスチャ付き表面も、塗布部材56として用いてよい。テクスチャ付き表面はまた、ボリュームのある外観、セパレート性の高い外観(すなわち、まつ毛が互いに個別に離れている)、カールした外観、その他のような、多様なタイプの美観的に好ましい外観をまつ毛に与えることが可能であってよい。好適なテクスチャ付き表面の例には、ブラシ毛、突起物、くぼみ、フィン、櫛歯、ベルクロ(登録商標)、歯、溝、スポンジ、あるいはフロック加工された面が含まれる。テクスチャ付き表面は、好適などのような素材から形成されてもよい。いくつかの実施形態において、テクスチャ付き表面はシリコーンや他の柔軟な触感を持つ素材によって形成される。しかしながら、ブラシ毛が、例えば絵筆の場合のように、容易に曲がるのに十分なほどの長さである場合、ブラシ毛はもはやテクスチャ付き表面を形成するとは見なされず、そしてそのような場合にはヘッド部の端部の末端縁の上に含まれるべきではない、ということが理解されるであろう。しかしながら、いくつかの実施形態において、例えば約10mm〜約20mmの長いブラシ毛は、本発明の範疇であると考えられる。ただしこの場合それらはヘッド部の末端縁上にあるのではなく、例えば好適には、長いブラシ毛はヘッド部の1つの面あるいは2つの表裏をなす面の上に含まれてよい。本発明に係るブラシ毛は、典型的には長さが10mmより短いか、7.5mmより短いか、5mmより短いか、2.5mmより短いであろう。ブラシ毛は、限定するものではないが、ヘッド本体と一体であるか、ヘッドに埋没された合成繊維であってよい。ある実施形態において、塗布部材56はヘッド部14と一体ではなく、ブラシ毛は塗布部材56を基準として約5mmよりも短い。ある実施形態において、塗布具の末端縁から外側に、実質的にヘッド部14を含む面に対して平行に伸長するブラシ毛は、約5mmより短いか、約4.5mmより短いか、約4mmより短いか、約3.5mmより短いか、約3mmより短いか、約2mmより短いか、約1mmより短いであろう。その他の実施形態において、塗布部材56は、実質的にヘッド部14を含む面に対して平行に伸長するブラシ毛は有しないであろう。その他の実施形態において、前記ヘッド部の末端縁は実質的にブラシ毛を有しない。これは、末端縁からヘッド部14の長手軸II−IIに平行な方向に伸長するブラシ毛の数が相応に少ないために、使用者の通常使用の間に、実質的な数のまつ毛にマスカラを塗布する作用にブラシ毛が実質上は寄与しないことを意味する。
【0033】
ある好適な実施形態において、テクスチャ付き表面は、並列した切り株(stub)状の突起物、フィン状、および/あるいはブラシ毛を備えてよく、それらは任意の好適な形状あるいはパターンに配置され、対称性を持つ必要はない。好適なパターンの例には、隙間を有する平行な列、ずらした列と行、直線状の列と行、ランダムなパターンが含まれる。突起物の並びがヘッド部14の長手軸II−IIと同方向に平行な列をなして配置されている場合には、セパレート性の高いまつ毛の外観を与えるであろう。対照的に、ずらした列と行をなして配列された突起物の並びは、ボリューム感のあるまつ毛の外観をあたえるであろう。並びの密集度は、図3から図5に示される例示的な実施形態において示されているように、塗布される化粧品組成物の特性に応じて異なってよい。突起物の並びの密集度の違いはまた、まつ毛に異なる美的外観を与えるであろう。
【0034】
本発明の化粧品塗布具10は、容器が付属しているか、あるいはその容器と組み合わせられて使用されるキットに収納されてよく、容器にはマスカラのような化粧品組成物が含まれているか、充填されている。容器は、塗布部材56から余剰のマスカラを除去するための、少なくとも1つのワイパーを含む。ある実施形態において塗布具10は、容器の蓋部材の役割を果たしてよく、その場合キャップやカバーのような別途の蓋部材は使用しない。塗布具10は容器と組み合わされて使用されてよく、その場合最初にヘッド部14を容器の中に入れて塗布部材をマスカラ組成物と接触させ、次にヘッド部14を容器から引き出してマスカラの一回分の塗布量を塗布部材56の上に計り取る。塗布具10のヘッド部14が容器から引き出されている間に、スムージング動作と余剰のマスカラを容器に押し戻す動作とによって、ワイパーが塗布部材56から余剰のマスカラを除去する。
【0035】
マスカラ組成物をまつ毛に塗布する目的で塗布具10を使うために、使用者は塗布具10のハンドル部16を親指とその他の指との間に挟持してよく、ヘッド部14をまつ毛のすぐ前に、実質的に鉛直な位置に据えてよい。このとき塗布部材56はまぶたに対して平行か、実質的に平行である。実質的に鉛直とは、一般的には鼻のラインに対して平行であることを意味する。その後塗布具10は、塗布部材56が作用するため、またマスカラ組成物を均一に置くため、上方に(頭上に向かって)あるいは下方に(あごに向かって)容易に一回の動作で動く。
【0036】
ハンドル部16のサイズと形状のために、使用者は、人間工学に基づいて、安定して塗布具10を親指とその他の指との間で挟持することができ、塗布具10をまつ毛にマスカラ組成物を塗布するために取り扱うことができる。具体的には、塗布具10は、使用者の手が頬や額にあてがわれて、マスカラ組成物の塗布をさらに補助する場合があってもよいよう、好適なサイズであってよい。頬や額のような顔の部分にあてがわれることが可能であるため、安定性が高まり、使用者はより高精度にマスカラをまつ毛に塗布でき、崩れた外観となることを回避できる。
【0037】
図2から図12には、本発明の塗布具10の現時点で好適である実施形態のいくつかが例示されている。塗布具10はハンドル部16と鈍角で接続したヘッド部14を含み、ヘッド部14がハンドル部16に接続した側に、一般的には凹状の面22が形成され、反対側に、一般的には凸状の面24が形成される。ヘッド部14は、ヘッド部14の長手軸II−IIの右側に側縁32を有し、長手軸II−IIの左側に反対側の側縁30を有する。ヘッド部14は、対面する側縁30と側縁32との間にあってわずかに凹状の形状を有する遠位端70を含む。図2から図12の例示的な実施形態に示されているように、ヘッド部14は、ヘッド部14の遠位端70に比べて、ハンドル部16との接続部である近位端で、より幅が狭い。
【0038】
図2に例示されている実施形態はまた、上面40および下面42を有するヘッド部14を含む。上面40は平面状であってよいが、好適には対向する側縁30と側縁32との間で凸状である。下面42は好適には対向する側縁30と側縁32との間で凹状である。上面40および下面42はまた、凹状/凹状、凸状/凸状、平面状/平面状、あるいはそれらの任意の組み合わせの関係を有してよい。
【0039】
ヘッド部14の上面40と下面42との間の厚みは、均一であってよく、不均一であってよい。好適には、ヘッド部14の上面40と下面42との間の厚みは、ヘッド部14の対面する側縁30と側縁32との間の中間において最大である。ヘッド部14の厚みは、対面する側縁30と側縁32において最小であってよい。
【0040】
ヘッド部14の上面40は、実質的に右側縁30から左側縁32へ伸長する塗布部材56を含む。塗布部材56はまた、遠位端70から近位端80へ所定の長さで伸長する。塗布部材56は、化粧品組成物の一回分の塗布量を保持し、まつ毛との接触時に塗布するための任意のタイプのテクスチャ付き表面を含む。本例示的実施形態のテクスチャ付き表面は、ずらした、あるいは線形の列と行、あるいはランダムなパターンに配置された切り株状の突起物またはブラシ毛57の並びを含む。ブラシ毛57の密集度は、図4から図12に示すように、塗布される化粧品組成物の特性に応じて異なってよい。
【0041】
図2、図3、図4、図7、図8および図12に示された具体的な実施形態において、ヘッド部14の下面42は、右側縁32から左側縁30へ実質的に伸長する塗布部材56を含む。下面42の塗布部材56はまた、遠位端70から近位端80へ所定の長さで下方へ伸長する。下面42の塗布部材56はまた、化粧品組成物の一回分の塗布量を保持し、まつ毛との接触時に塗布するための任意のタイプのテクスチャ付き表面を含み、上面40上の切り株状突起物またはブラシ毛の配置と類似して配置された、切り株状突起物またはブラシ毛57の並びを含む。
【0042】
本発明の他の実施形態において、上面40上の塗布部材56あるいは下面42上の塗布部材56のいずれかは無くても良い。
【0043】
図2から図12に示された具体的な実施形態において、ヘッド部40の遠位端70はまた、塗布部材56を含んでよい。塗布部材56は、化粧品組成物の一回分の塗布量を保持し、まつ毛との接触時に塗布するための任意のタイプのテクスチャ付き表面を含む。具体的には、テクスチャ付き表面は、隙間の開いたフィン状突起物によって形成されてよく、突起物は遠位端70の縁から突出し、上面40から下面42に向かって伸長する。その他、遠位端70の縁は上面40および下面42に関連して記述されたテクスチャ付き表面を含んでよい。塗布具10上の、遠位端70の縁にあるフィン状突起物を含むテクスチャ付き表面は、まつ毛にマスカラを塗布するための塗布具10上のさらなる領域を与える。具体的には、フィン状突起物の高さは、テクスチャ付き表面の基部を基準として約0.001〜約0.5インチの範囲であってよい。フィン状突起物の並びに配置された隙間は、約0.0001〜約0.25インチの範囲であってよい。
【0044】
それらの例示的実施形態におけるハンドル部16は、ハンドル部16の長手軸I−Iの左側の側縁76と、長手軸I−Iの右側の反対側の側縁78とを有する。塗布具10のそれらの例示的実施形態はまた、近位端80を有するハンドル部16を含み、近位端80は左側縁76と右側縁78との間で外形が凸状である。
【0045】
図2から図12に示された例示的実施形態はまた、上ハンドル面86および下ハンドル面88を含む。上ハンドル面86は好適には左側縁76と右側縁78との間で凸状であり、下ハンドル面88は好適には左側縁76と右側縁78との間で平面状である。ハンドル部16は、ハンドル部16がヘッド部14に接続する遠位端と比べて、近位端80の幅がより広い。塗布具10のこれらの例示的実施形態はまた、上ハンドル面86と下ハンドル面88とに形成されたグリップ補強94を含む。
【0046】
図13および図14は、鈍角をなして可動に接続するヘッド部14とハンドル部16を含む本発明の塗布具10、および図2から図12に示された例示的実施形態のために前述した同じ一般的な形状を有する塗布具10の、他の好適な実施形態を例示する。
【0047】
図13および図14に示された実施形態は、塗布具10のヘッド部14の他の実施形態を提供する。図2から図12の例示的実施形態と同様、図13および図14に示された他の実施形態はヘッド部14を含み、ヘッド部14の遠位端70は対面する側縁30及び側縁32の間でわずかに凹状の外形を持ち、ヘッド部14は、ヘッド部14の遠位端70に比べて、ハンドル部16に接続する近位端における幅がより狭い。ヘッド部14はまた、一般的には平面状の上面40と、一般的には平面状の下面42とを含む。
【0048】
塗布部材56は、塗布具10の遠位端70に設けられている。塗布部材56は、化粧品組成物の一回分の塗布量を保持し、まつ毛との接触時に塗布するための任意のタイプのテクスチャ付き表面を含む。具体的には、テクスチャ付き表面は、隙間を有して実質的に平行なフィン48の列を含んでよい。フィン48は遠位端70において、凸状外形のような曲がった外形を有してよい。曲がった外形は、円形あるいは涙型であってよい。フィン48は長手軸II−IIに平行に配置されてよい。さらに、フィン48は、上面40及び下面42に取り付けられるか、あるいは上面40及び下面42と一体であってよく、遠位端70において対面する側縁30と側面32との間で縁周辺を取り囲んでよい。フィン48は、上面40上で近位端80にむかって所定量伸長する上脚部52を有してよい。フィン48はまた、下面42上で近位端80にむかって所定量伸長する下脚部50を有する。図14に示すように、下脚部50は下面42に向かって下方にテーパー状であってよく、上脚部52は上面40から均一に突出してよい。さらに、脚部50および脚部52は連続的な、あるいは一体のフィンの一部であってよい。フィン48の遠位端70からの突起の高さの最大値は、テクスチャ付き表面の基部を基準にして、上面40、下面42、遠位端70の縁と同様、約0.001インチ〜約0.5インチの範囲であってよい。フィン48は隙間をもって配置され、隙間は約0.001インチ〜約0.25インチの範囲であってよい。
【0049】
図13に例示された実施形態はまた、塗布具10のハンドル部16の他の実施形態を提供する。ハンドル部16はヘッド部14よりも幅が狭く、ハンドル部16の握持を補助する切り抜き部あるいは穴58を含む。切り抜き部あるいは穴58は、任意の好適な形状であってよい。好適には、切り抜き部あるいは穴58は幅が狭いか細長い。図13に示された具体的な実施形態において、切り抜き部あるいは穴58は楕円形である。さらに、図13に示されているように、切り抜き部あるいは穴58は互いに平行に配置されてよい。より好適には、切り抜き部あるいは穴58の長手軸はハンドル部14の長手軸I−Iに対して直交する。
【0050】
図15および図16は、鈍角をなして可動に接続したヘッド部14とハンドル部16とを含む本発明の塗布具10のその他の実施形態を例示している。この具体的な実施形態のハンドル部16は、すでに記述されているものか、図13に示されている例示的実施形態のものと同様である。
【0051】
図15及び図16に示されている例示的実施形態によって、塗布具10のヘッド部14の他の実施形態が開示される。ヘッド部16は、ヘッド部16の長手軸II−IIの右側方に、端部38を有する側方脚30を含んでよく、長手軸II−IIの左側方に、端部39を有する側方脚32を含んでよい。右側方脚30および左側方脚32は塗布部材56を導入するための開口部をそれらの間に形成する。図15および図16に示すように、側方脚30および側方脚32は、ヘッド部16の遠位端70を凹状に切り抜いて形成してもよい。右端部38に右支持孔46が形成され、対応する左端部39に左支持孔が形成される。
【0052】
塗布部材56は、側方脚30および側方脚32によって支持され、化粧品組成物の一回分の塗布量を保持して接触の際にそれをまつ毛に塗布するための表裏をなすテクスチャ付き表面54および58を含む。具体的には、塗布部材56は従来のマスカラブラシの形状であってよく、あるいは円筒形の形状であってよく、あるいは円形の断面を有する伸長された楕円形であってよい。塗布部材56は、それぞれ支持ピン72および支持ピン74の付いた反対側に位置する端部64及び端部66を有し、それぞれが側方脚30および側方脚32の支持孔46および支持孔47にはめ込まれる。
【0053】
支持ピン72および支持ピン74と支持孔46および支持孔47との間のはめ込みは、塗布部材56が側方脚30および側方脚32に対して回転可能となるように行われてよい。また、このはめ込みは回転不可能であってもよい。他の実施形態において、塗布部材56は、側方脚30および側方脚32から取り外しができる状態であってよく、丸形の円筒形あるいは丸形の伸長された楕円形の形状であるローラー型塗布部材56のような、異なる形状あるいはサイズを有する他の塗布部材56と交換が可能であってよい。
【0054】
本明細書及び特許請求の範囲に記載された発明は、ここに開示された具体的な実施形態によってその範囲が限定されるものではない。これらの実施形態は本発明の複数の側面の例示となることを意図したものであるためである。同等の実施形態であればどのようなものであっても、本発明の範疇となることを意図している。実際に、上述の明細書によって、ここに示され、記載されたものに付け加えて、本発明の様々な応用がこの技術分野の当業者にとって明らかとなるであろう。このような応用もまた、付随する特許請求の範囲の範疇に含まれるものとする。本明細書で引用した全ての出版物は、その全体が参照として本明細書に含まれる。
【関連出願の相互参照】
【0055】
本出願は、米国特許法119条(e)項の下で2008年10月10日に出願された米国仮出願第61/104368号、2008年10月10日に出願された米国仮出願第61/104369号、2008年10月10日に出願された米国仮出願第61/104373号に対して優先権を主張し、これら仮出願の開示は参照として本明細書に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
まつ毛に化粧品組成物を塗布するための人間工学に基づく塗布具であって、当該塗布具は、
表裏をなす2つの面部分で親指とその他の指との間で当該塗布具を挟持するのに適した大きさのハンドル部と、
端部に少なくとも一つの塗布部材を有するヘッド部と、を備え、
前記表裏をなす2つの面は、前記ハンドル部が親指とその他の指との間で挟持される際に回転するのを防止するため、前記2つの面を隔てている厚みに対して十分な幅を有し、
前記少なくとも一つの塗布部材は、化粧品組成物の一回分の塗布量を保持し、まつ毛との接触によって、まつ毛に化粧品組成物を塗布するテクスチャ付き表面を備え、
前記少なくとも一つの塗布部材は前記ヘッド部の幅を実質的に横断して前記ハンドル部の長手軸に直交する方向に伸長し、
前記ヘッド部の長手軸は前記ハンドル部の長手軸に対して鈍角をなして方向付けられるか、または方向付けられるように回転可能である、
ことを特徴とする塗布具。
【請求項2】
前記ヘッド部が端部に末端弓状縁を有し、前記末端弓状縁は前記ヘッド部に対して凹状である、
ことを特徴とする請求項1に記載の塗布具。
【請求項3】
前記ヘッド部の長手軸に直交する断面が弓状である、
ことを特徴とする請求項1に記載の塗布具。
【請求項4】
前記塗布部材は前記ヘッド部の表裏をなす2つの面の1つの面あるいは両方の面に含まれている、
ことを特徴とする請求項1に記載の塗布具。
【請求項5】
前記塗布部材が前記ヘッド部の遠位端の末端縁に沿って配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の塗布具。
【請求項6】
前記テクスチャ付き表面は、ブラシ毛、突起物、くぼみ、フィン、櫛歯、ベルクロ(登録商標)、歯、溝、スポンジ、フロック加工された面、からなる群から独立して選ばれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の塗布具。
【請求項7】
前記テクスチャ付き表面がフィンを備える、
ことを特徴とする請求項6に記載の塗布具。
【請求項8】
前記テクスチャ付き表面がブラシ毛を備える、
ことを特徴とする請求項6に記載の塗布具。
【請求項9】
前記ブラシ毛の長さが5mmよりも短い、
ことを特徴とする請求項8に記載の塗布具。
【請求項10】
前記ヘッド部がさらに、前記塗布部材を収容するための開口部が間に形成される第一の支持部と第二の支持部とを備え、前記塗布部材が前記第一の支持部と前記第二の支持部との間に取り付けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の塗布具。
【請求項11】
前記ハンドル部がさらに、前記ハンドル部と指との摩擦を増加させるためのグリップ補強あるいは切り抜き部を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の塗布具。
【請求項12】
前記鈍角が約120°〜約170°である、
ことを特徴とする請求項1に記載の塗布具。
【請求項13】
前記ハンドル部の前記2つの面を隔てている厚みの最大値と、前記ハンドル部の最大幅との比が約1:5〜約1:50である、
ことを特徴とする請求項1に記載の塗布具。
【請求項14】
寸法の最大値が長さで約35mm〜約80mmである、
ことを特徴とする請求項1に記載の塗布具。
【請求項15】
前記ヘッド部の前記長手軸と前記ハンドル部の前記長手軸とが成す鈍角を調節するために、前記ヘッド部を前記ハンドル部に対して回転可能に調節できる、
ことを特徴とする請求項1に記載の塗布具。
【請求項16】
前記ヘッド部と前記ハンドル部とが、前記ヘッド部の前記長手軸と前記ハンドル部の前記長手軸とに直交する軸の周りに回転可能である、
ことを特徴とする請求項15に記載の塗布具。
【請求項17】
前記ヘッド部を前記ハンドル部に対して回転させるための蝶番を備える、
ことを特徴とする請求項16に記載の塗布具。
【請求項18】
請求項1に記載の塗布具と、
ケラチン繊維に塗布するための液体化粧品が装填され、前記塗布部材を前記組成物に接触させるために前記ヘッド部が挿入されたときに前記塗布具の前記ヘッド部を受け入れる容器と、
前記容器に取り付けられ、前記容器から前記塗布具を取り出す際に前記塗布部材から余剰の組成物を取り除くワイパーと、
を備えるキット。
【請求項19】
請求項1に記載の塗布具の前記塗布部材に載せる一回分のマスカラを計量する過程と、
前記塗布具を実質的に鉛直な姿勢に保持しながら、前記塗布部材をまつ毛に接触させることによって前記組成物をまつ毛に塗布する過程と、を含む、
ことを特徴とするマスカラをまつ毛に塗布する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2012−505051(P2012−505051A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−531227(P2011−531227)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/060252
【国際公開番号】WO2010/042878
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(399130393)エイボン プロダクツ インコーポレーテッド (75)
【Fターム(参考)】