伝動装置用ガイド
【課題】合成樹脂製シューと合成樹脂製ベースとの一体成形により組み付け作業を不要にするとともに、合成樹脂製シューと合成樹脂製ベースの相互間の接合強度を向上させてチェーン軌道を長期に亘って確保した伝動装置用ガイドを提供すること。
【解決手段】合成樹脂製ベース120のガイド長手方向に沿って並列状態で延在する係合突条部が、合成樹脂製ベース120の支持面から突出して形成されているとともに、合成樹脂製ベース120のガイド長手方向に沿って融着する合成樹脂製シュー110の係合凹溝部が、合成樹脂製ベース120の係合突条部にそれぞれ凹凸相対して形成されている伝動装置用ガイド100。
【解決手段】合成樹脂製ベース120のガイド長手方向に沿って並列状態で延在する係合突条部が、合成樹脂製ベース120の支持面から突出して形成されているとともに、合成樹脂製ベース120のガイド長手方向に沿って融着する合成樹脂製シュー110の係合凹溝部が、合成樹脂製ベース120の係合突条部にそれぞれ凹凸相対して形成されている伝動装置用ガイド100。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動側スプロケットと従動側スプロケットとに周回して循環走行させるローラチェーンやサイレントチェーン等の伝動チェーンによって動力を伝達する自動車用エンジンなどの伝動装置において、伝動チェーンを摺接状態で走行案内させる固定ガイド、または、伝動チェーンを摺接状態で走行案内して緊張させる可動ガイドとして用いられる伝動装置用ガイドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車用エンジンなどの伝動装置に用いられる伝動装置用ガイド800として、図19および図20に示すように、伝動チェーンCを摺動させるシュー部材810とこのシュー部材810のシュー形態を保持するベース部材820とをそれぞれ別々に成形し、シュー部材810の両側に突設したフック片813をベース部材820に設けた切り欠き823に捩りながらフック片813と切り欠き823との間に組み付け代を介してそれぞれ係合させて一体に組み立てたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、従来の伝動装置用ガイドとして、一次樹脂からなるベース部材と、このベース部材を成形した後にベース部材の裏面に融着する支持面を備えてベース部材と一体化されて伝動チェーンに摺接する二次樹脂からなるシュー部材とを備えるチェーンガイドが知られている。(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−114126号公報(段落[0013]、図1参照)
【特許文献2】特開2004−150615号公報(段落[0022]、図1参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前者のような従来の伝動装置用ガイド800は、エンジン稼働時におけるエンジン特有の負荷変動により伝動チェーンCが振動しながらシュー部材810上を摺接走行すると、図19の矢印で示すように、シュー部材810がガイド長手方向に組み付け代の分だけ移動するため、シュー部材810のフック片813とベース部材820の切り欠き823との局部的な当接状態となり、フック片813に過度の応力集中が生じてフック片813が折損し、シュー部材810とベース部材820との組み付け状態が悪化して伝動チェーンCのチェーン軌道を保持できない虞があるという問題があった。
【0005】
他方、後者のような従来のチェーンガイドは、伝動チェーンがシュー部材のガイド幅方向に偏在してシュー部材にガイド幅方向のせん断力が働いた場合に、互いに融着したシュー部材の平坦な裏面とベース部材の平坦な支持面とがガイド幅方向にずれてシュー部材とベース部材とが剥離するため、シュー部材とベース部材の相互間の接合強度を長期に亘って維持できないという問題があった。
【0006】
本発明は、前述したような従来技術の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、合成樹脂製シューと合成樹脂製ベースとの一体成形により組み付け作業を不要にするとともに、合成樹脂製シューと合成樹脂製ベースの相互間の接合強度を向上させてチェーン軌道を長期に亘って確保した伝動装置用ガイドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明に係る伝動装置用ガイドは、伝動チェーンのリンクプレートをガイド長手方向に沿って摺接走行させる摺接面を備えた合成樹脂製シューと該合成樹脂製シューの裏面をガイド長手方向に沿って支持する支持面を備えた合成樹脂製ベースとを2材成形加工により一体成形して組み付けた伝動装置用ガイドにおいて、前記合成樹脂製ベースのガイド長手方向に沿って並列状態で延在する係合突条部が、前記合成樹脂製ベースの支持面から突出して形成されているとともに、前記合成樹脂製ベースのガイド長手方向に沿って融着する合成樹脂製シューの係合凹溝部が、前記合成樹脂製ベースの係合突条部にそれぞれ凹凸相対して形成されていることにより、前述した課題を解決するものである。
【0008】
請求項2の発明に係る伝動装置用ガイドは、請求項1に記載された伝動装置用ガイドの構成に加えて、前記合成樹脂製ベースの係合突条部および合成樹脂製シューの係合凹溝部が、前記伝動チェーンのリンクプレートを摺接走行させる位置に対応して配置されていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0009】
請求項3の発明に係る伝動装置用ガイドは、請求項1または請求項2に記載された伝動装置用ガイドの構成に加えて、前記合成樹脂製ベースの係合突条部および合成樹脂製シューの係合凹溝部が、前記伝動チェーンの進行方向に向って徐々に拡幅していることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0010】
請求項4の発明に係る伝動装置用ガイドは、請求項1または請求項2に記載された伝動装置用ガイドの構成に加えて、前記合成樹脂製ベースの係合突条部および合成樹脂製シューの係合凹溝部が、前記伝動チェーンの進行方向に向って徐々に拡幅する部分のガイド長手方向に沿った繰り返し形態によって構成されていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0011】
請求項5の発明に係る伝動装置用ガイドは、請求項1または請求項2に記載された伝動装置用ガイドの構成に加えて、前記合成樹脂製ベースの係合突条部および合成樹脂製シューの係合凹溝部が、前記伝動チェーンの進行方向に向って徐々に拡幅する部分と前記伝動チェーンの進行方向に向って徐々に縮幅する部分との並列組み合わせ形態によって構成されていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0012】
請求項6の発明に係る伝動装置用ガイドは、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載された伝動装置用ガイドの構成に加えて、前記合成樹脂製ベースの係合突条部が、アリ形状の断面形態を有しているとともに、前記合成樹脂製シューの係合凹溝部が、アリ溝形状の断面形態を有していることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0013】
請求項7の発明に係る伝動装置用ガイドは、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載された伝動装置用ガイドの構成に加えて、前記合成樹脂製ベースの係合突条部および合成樹脂製シューの係合凹溝部が、相互に融着する方向に向って先細りした楔形状の断面形態をそれぞれ有していることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の伝動装置用ガイドは、伝動チェーンのリンクプレートをガイド長手方向に沿って摺接走行させる摺接面を備えた合成樹脂製シューとこの合成樹脂製シューの裏面をガイド長手方向に沿って支持する支持面を備えた合成樹脂製ベースとを2材成形加工により一体成形して組み付けたことにより、合成樹脂製シューと合成樹脂製ベースとが成形加工時に一体化されているため、従来のような合成樹脂製シューと合成樹脂製ベースとを別部材とした成形加工後の組み付け作業が不要になるばかりでなく、以下のような本発明に特有の効果を奏することができる。
【0015】
すなわち、本請求項1に係る発明の伝動装置用ガイドは、合成樹脂製ベースのガイド長手方向に沿って並列状態で延在する係合突条部が合成樹脂製ベースの支持面から突出して形成されているとともに、合成樹脂製ベースのガイド長手方向に沿って融着する合成樹脂製シューの係合凹溝部が合成樹脂製ベースの係合突条部にそれぞれ凹凸相対して形成されていることにより、合成樹脂製シューの平坦な裏面と合成樹脂製ベースの平坦な支持面とを対向させる従来の伝動装置用ガイドと比べて、係合凹溝部および係合突条部が凹凸係合する分だけ合成樹脂製シューと合成樹脂製ベースの対向面積が増えて合成樹脂製シューと合成樹脂製ベースとの間に働く接合力が増強されるため、合成樹脂製シューを合成樹脂製ベースに対して強固に融着して合成樹脂製シューの摩耗損傷を防止するとともにチェーン軌道を長期に亘って保持することができ、また、係合凹溝部と係合突条部の相互間で生じがちなガイド幅方向のせん断力が抑制されるため、合成樹脂製シューと合成樹脂製ベースとの間でガイド幅方向の接合強度を大幅に向上させることができる。
【0016】
請求項2に係る発明の伝動装置用ガイドによれば、請求項1に記載の伝動装置用ガイドが奏する効果に加えて、合成樹脂製ベースの係合突条部および合成樹脂製シューの係合凹溝部が伝動チェーンのリンクプレートを摺接走行させる位置に対応して配置されていることにより、伝動チェーンが合成樹脂製シューに対して摺動走行することにより摺動熱が生じて合成樹脂製シューの温度が上昇した場合であっても、合成樹脂製ベースの係合突条部が合成樹脂製シューの係合凹溝部に係合支持して合成樹脂製シューの軟化変形を防止して伝動チェーンのリンクプレートを確実に支持するため、安定したチェーン走行を確保することができる。
【0017】
請求項3に係る発明の伝動装置用ガイドによれば、請求項1または請求項2に記載の伝動装置用ガイドが奏する効果に加えて、合成樹脂製ベースの係合突条部および合成樹脂製シューの係合凹溝部が伝動チェーンの進行方向に向って徐々に拡幅していることにより、合成樹脂製シューが合成樹脂製ベースに対して伝動チェーンが進行するチェーン進行方向のせん断力を受けた場合であっても、チェーン進行方向側において徐々に拡幅した係合突条部の形状に起因する抗力がチェーン進行方向のせん断力を抑制するため、合成樹脂製シューと合成樹脂製ベースの接合強度を更に向上させることができる。
【0018】
請求項4に係る発明の伝動装置用ガイドによれば、請求項1または請求項2に記載の伝動装置用ガイドが奏する効果に加えて、合成樹脂製ベースの係合突条部および合成樹脂製シューの係合凹溝部が伝動チェーンの進行方向に向って徐々に拡幅する部分のガイド長手方向に沿った繰り返し形態によって構成されていることにより、合成樹脂製シューが合成樹脂製ベースに対してガイド長手方向のせん断力を受けた場合であっても、伝動チェーンが走行するチェーン進行方向に向って徐々に拡幅した部分を多数繰り返して構成された係合凹溝部に起因する抗力がガイド長手方向のせん断力をガイド長手方向に沿って多重に抑制するため、合成樹脂製シューと合成樹脂製ベースとをガイド長手方向に長期に亘って接合することができる。
【0019】
請求項5に係る発明の伝動装置用ガイドによれば、請求項1または請求項2に記載の伝動装置用ガイドが奏する効果に加えて、合成樹脂製ベースの係合突条部および合成樹脂製シューの係合凹溝部が伝動チェーンの進行方向に向って徐々に拡幅する部分と伝動チェーンの進行方向に向って徐々に縮幅する部分との並列組み合わせ形態によって構成されていることにより、合成樹脂製シューが合成樹脂製ベースに対してチェーン進行方向のせん断力を受けた場合であっても、チェーン進行方向に向って徐々に拡幅して形成された係合突条部の形状に起因する抗力がチェーン進行方向のせん断力を抑制し、また、合成樹脂製シューが合成樹脂製ベースに対してチェーン進行方向と逆向きのせん断力を受けた場合であっても、チェーン進行方向に向って徐々に縮幅して形成された係合突条部の形状に起因する抗力がチェーン進行方向と逆向きのせん断力を抑制するため、合成樹脂製シューと合成樹脂製ベースとをガイド長手方向に長期に亘って接合することができる。
【0020】
請求項6に係る発明の伝動装置用ガイドによれば、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の伝動装置用ガイドが奏する効果に加えて、合成樹脂製ベースの係合突条部がアリ形状の断面形態を有しているとともに、合成樹脂製シューの係合凹溝部がアリ溝形状の断面形態を有していることにより、断面アリ形状の係合突条部と断面アリ溝形状の係合凹溝部とが相互に係合して合成樹脂製シューが合成樹脂製ベースから浮き上がることを防止するため、合成樹脂製シューの裏面と合成樹脂製ベースの支持面との間の剥離を回避することができる。
【0021】
請求項7に係る発明の伝動装置用ガイドによれば、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の伝動装置用ガイドが奏する効果に加えて、合成樹脂製ベースの係合突条部および合成樹脂製シューの係合凹溝部が相互に融着する方向に向って先細りした楔形状の断面形態をそれぞれ有していることにより、一次射出成形物の離型性を向上させて一次射出成形物を一次キャビティから容易に取り出し可能になるため、成形精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施例である伝動装置用ガイドの使用態様図。
【図2】図1に示す伝動装置用ガイドの斜視図。
【図3】図2の伝動装置用ガイドにおける断層状態を示す説明図。
【図4】図3の伝動装置用ガイドのIV矢印から視た説明図。
【図5】本発明の第2実施例である伝動装置用ガイドを摺接面の垂直方向上方から視た図。
【図6】図5のVI−VI線から視た断面図。
【図7】図5のVII−VII線から視た断面図。
【図8】図5のVIII−VIII線から視た断面図。
【図9】本発明の第3実施例である伝動装置用ガイドにおける断層状態を示す説明図。
【図10】図9の伝動装置用ガイドをX矢印から視た説明図。
【図11】本発明の第4実施例である伝動装置用ガイドを摺接面の垂直方向上方から視た図。
【図12】図11のXII−XII線から視た断面図。
【図13】図11のXIII−XIII線から視た断面図。
【図14】図11のXIV−XIV線から視た断面図。
【図15】本発明の第5実施例である伝動装置用ガイドにおける断層状態を示す説明図とその一部拡大図。
【図16】図15の合成樹脂製シューをXVI矢印から視た説明図。
【図17】本発明の第6実施例である伝動装置用ガイドの係合突条部を示す断面説明図。
【図18】本発明の第7実施例である伝動装置用ガイドの係合突条部を示す断面説明図。
【図19】従来の伝動装置用ガイドを示す斜視図とその一部拡大図。
【図20】図19の伝動装置用ガイドの断面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に係る伝動装置用ガイドは、伝動チェーンのリンクプレートをガイド長手方向に沿って摺接走行させる摺接面を備えた合成樹脂製シューとこの合成樹脂製シューの裏面をガイド長手方向に沿って支持する支持面を備えた合成樹脂製ベースとを2材成形加工により一体成形して組み付けて、合成樹脂製ベースのガイド長手方向に沿って並列状態で延在する係合突条部が合成樹脂製ベースの支持面から突出して形成されているとともに、合成樹脂製ベースのガイド長手方向に沿って融着する合成樹脂製シューの係合凹溝部が合成樹脂製ベースの係合突条部にそれぞれ凹凸相対して形成されていることにより、合成樹脂製シューと合成樹脂製ベースとの一体成形により組み付け作業を不要にするとともに、合成樹脂製シューと合成樹脂製ベースの相互間の接合強度を向上させてチェーン軌道を長期に亘って確保したものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても何ら構わない。
【0024】
例えば、本発明の伝動装置用ガイドは、伝動チェーンのリンクプレートをガイド長手方向に沿って摺接走行させる摺接面を備えた合成樹脂製シューとこの合成樹脂製シューの裏面をガイド長手方向に沿って支持する合成樹脂製ベースとを2材成形加工により一体成形して組み付けたものであって、駆動側スプロケットと従動側スプロケットとに周回して循環走行させるローラチェーンやサイレントチェーン等の伝動チェーンによって動力を伝達する自動車用エンジンなどの伝動装置において、伝動チェーンを摺接状態で走行案内させる固定ガイドとして用いられるもの、あるいは、伝動チェーンを摺接状態で走行案内して緊張させる可動ガイドとして用いられるものの、いずれであっても構わない。
【0025】
そして、本発明の伝動装置用ガイドを一体成形するための2材成形加工については、一次キャビティとコアとで一次射出成形加工を施して合成樹脂製ベースを成形した後、合成樹脂製ベースを一次キャビティから取り出し、合成樹脂製ベースを二次キャビティ内に取り付け、二次キャビティとコアとで二次射出成形加工を施して合成樹脂製シューを成形するか、または、一次キャビティとコアとで一次射出成形加工を施して合成樹脂製シューを成形した後、合成樹脂製シューを一次キャビティから取り出し、合成樹脂製シューを二次キャビティ内に取り付け、二次キャビティとコアとで二次射出成形加工を施して合成樹脂製ベースを成形することにより、合成樹脂製ベースのガイド長手方向に沿って並列状態で延在する係合突条部が合成樹脂製ベースの支持面から突出して形成されているとともに、合成樹脂製ベースのガイド長手方向に沿って融着する合成樹脂製シューの係合凹溝部が合成樹脂製ベースの係合突条部にそれぞれ凹凸相対して形成することが可能な2材成形加工、2色成形加工、サンドイッチ成形加工などと称する当業者に一般的に用いられている通常の成形加工であれば良い。
【0026】
そして、本発明の伝動装置用ガイドで用いる合成樹脂の具体的な素材については、ポリアミド系、ポリブチレンテレフタレート系などの合成樹脂であれば良く、特に、伝動チェーンをガイド長手方向に沿って摺接走行させる摺接面を備えた合成樹脂製シューの具体的な素材については、自己潤滑性を発揮しやすいポリアミド6樹脂、ポリアミド66樹脂、ポリアミド46樹脂、全芳香族樹脂などのポリアミド系樹脂が好ましく、他方、前述した合成樹脂製シューの裏面をガイド長手方向に沿って支持する合成樹脂製ベースの具体的な素材については、ガイド強度、耐摩耗性などを発揮しやすいガラス繊維を含有した強化ポリアミド系樹脂が好ましい。
【0027】
そして、本発明の伝動装置用ガイドで用いる合成樹脂製シューの具体的形状については、伝動チェーンのリンクプレートをガイド長手方向に沿って摺接走行させる摺接面を備えていれば良く、さらに、合成樹脂製シューのガイド幅方向の端縁にガイド長手方向に沿ってそれぞれ凸設して伝動チェーンの脱落を防止するガイド側壁を備えているのが好ましい。
【実施例1】
【0028】
以下に、本発明の第1実施例である伝動装置用ガイド100について、図面に基づいて説明する。
ここで、図1は、本発明の第1実施例である伝動装置用ガイドの使用態様図であり、図2は、図1に示す伝動装置用ガイドの斜視図であり、図3は、図2の伝動装置用ガイドにおける断層状態を示す説明図であり、図4は、図3の伝動装置用ガイドのIV矢印から視た説明図である。
【0029】
まず、本発明の第1実施例である伝動装置用ガイド100は、図1に示すように、駆動側スプロケットS1と従動側スプロケットS2とに周回して循環走行するローラチェーンとして用いる伝動チェーンCによって動力を伝達する自動車用エンジンのエンジンブロック壁Eに一端が取り付けショルダーボルトPにより揺動自在に取り付けられて、伝動チェーンCを摺接走行させながら緊張させる可動ガイドとして用いられる。
なお、図1に示す符号Tは、伝動チェーンCの張り過ぎ、緩み過ぎなどに起因する伝動障害を防止するために伝動装置用ガイド100に適切なチェーン張力を付与するテンショナであり、符号Fは、エンジンブロック壁Eに取り付け固定されて伝動チェーンCを摺接走行させながら案内する固定ガイドである。
【0030】
そこで、図2乃至図4に示すように、本実施例の伝動装置用ガイドである可動ガイド100は、伝動チェーンCのリンクプレートLPをガイド長手方向に沿って摺接走行させる摺接面110aを備えたポリアミド系樹脂からなる合成樹脂製シュー110と、合成樹脂製シュー110の裏面110bをガイド長手方向に沿って支持するガラス繊維を含有した強化ポリアミド系樹脂からなる合成樹脂製ベース120とを2材成形加工により一体成形して組み付けられたものである。
【0031】
すなわち、本実施例の伝動装置用ガイドである可動ガイド100は、まず、一次射出成形加工を施してガラス繊維を含有した強化ポリアミド系樹脂からなる合成樹脂製ベース120を成形した後、二次射出成形加工を施してポリアミド系樹脂からなる合成樹脂製シュー110を成形したものである。
これにより、本実施例の伝動装置用ガイドである可動ガイド100は、合成樹脂製シュー110と合成樹脂製ベース120とが成形加工時に一体化されている。
なお、図2に示す符号Lは、合成樹脂製シューのガイド幅方向の端縁にガイド長手方向に沿って設けられて伝動チェーンCの脱落を防止する左右一対のガイド側壁である。
【0032】
そして、図3および図4に示すように、合成樹脂製ベース120のガイド長手方向に沿って並列状態で延在する2列の係合突条部121、121は、合成樹脂製ベース120の支持面120aから突出して形成されている。
また、図4に示すように、合成樹脂製ベース120のガイド長手方向に沿って融着する合成樹脂製シュー110の係合凹溝部111、111は、合成樹脂製ベース120の係合突条部121、121にそれぞれ凹凸相対して形成されている。
これにより、合成樹脂製シューの平坦な裏面と合成樹脂製ベースの平坦な支持面とを対向させる従来の伝動装置用ガイドと比べて、係合凹溝部111および係合突条部121が凹凸係合する分だけ合成樹脂製シュー110と合成樹脂製ベース120の対向面積が増えて、合成樹脂製シュー110と合成樹脂製ベース120との間に働く接合力が増強され、また、係合凹溝部111と係合突条部121の間で相互に作用するガイド幅方向のせん断力が抑制されるようになっている。
【0033】
さらに、図4に示すように、合成樹脂製シュー110の係合凹溝部111と合成樹脂製ベース120の係合突条部121とは、伝動チェーンCのリンクプレートLPを摺接走行させる位置に対応して配置されている。
これにより、伝動チェーンCが合成樹脂製シュー110に対して摺動走行することにより摺動熱が生じて合成樹脂製シュー110の温度が上昇した場合であっても、合成樹脂製ベース120の係合突条部121が、合成樹脂製シュー110の係合凹溝部111に係合支持して合成樹脂製シュー110の軟化変形を防止して伝動チェーンCのリンクプレートLPを確実に支持するようになっている。
【0034】
このようにして得られた本発明の第1実施例である可動ガイド100は、合成樹脂製ベース120のガイド長手方向に沿って並列状態で延在する係合突条部121、121が合成樹脂製ベース120の支持面120aから突出して形成されているとともに、合成樹脂製ベース120のガイド長手方向に沿って融着する合成樹脂製シュー110の係合凹溝部111、111が合成樹脂製ベース120の係合突条部121、121にそれぞれ凹凸相対して形成されていることにより、合成樹脂製シュー110を合成樹脂製ベース120に対して強固に融着して合成樹脂製シュー110の摩耗損傷を防止するとともにチェーン軌道を長期に亘って保持することができ、また、合成樹脂製シュー110と合成樹脂製ベース120との間でガイド幅方向の接合強度を大幅に向上させることができる。
【0035】
また、合成樹脂製シュー110の係合凹溝部111と合成樹脂製ベース120の係合突条部121とが伝動チェーンCのリンクプレートLPを摺接走行させる位置に対応して配置されていることにより、安定したチェーン走行を確保することができるなど、その効果は甚大である。
【実施例2】
【0036】
次に、本発明の第2実施例である可動ガイド200について、図面に基づいて説明する。
ここで、図5は、本発明の第2実施例である伝動装置用ガイドを摺接面の垂直方向上方から視た図であり、図6は、図5のVI−VI線から視た断面図であり、図7は、図5のVII−VII線から視た断面図であり、図8は、図5のVIII−VIII線から視た断面図である。
本発明の第2実施例である可動ガイド200は、上述した第1実施例の可動ガイド100と比較すると、係合凹溝部と係合突条部の具体的な形態のみが異なっており、その余の部品形態については、基本的に何ら変わることがないため、上述した第1実施例の可動ガイド100と同一の部材について対応する200番台の符号を付すことにより、その重複する説明を省略する。
【0037】
すなわち、合成樹脂製シュー210の係合凹溝部211と合成樹脂製ベース220の係合突条部221とは、図5乃至図8に示すように、伝動チェーンCの進行方向に向って徐々に拡幅している。
これにより、合成樹脂製シュー210が合成樹脂製ベース220に対して伝動チェーンCが進行するチェーン進行方向のせん断力を受けた場合であっても、チェーン進行方向側において徐々に拡幅した係合突条部221の形状に起因する抗力がチェーン進行方向のせん断力を抑制するようになっている。
【0038】
このようにして得られた本実施例の可動ガイド200は、前述した可動ガイド100が奏する効果に加えて、合成樹脂製シュー210と合成樹脂製ベース220の接合強度を更に向上させることができる等、その効果は甚大である。
【実施例3】
【0039】
次に、本発明の第3実施例である可動ガイド300について、図面に基づいて説明する。
ここで、図9は、本発明の第3実施例である伝動装置用ガイドにおける断層状態を示す説明図であり、図10は、図9の伝動装置用ガイドのうち合成樹脂製ベースを省略してX矢印から視た説明図である。
本発明の第3実施例である可動ガイド300は、上述した第1実施例の可動ガイド100と比較すると、係合凹溝部と係合突条部の具体的な形態のみが異なっており、その余の部品形態については、基本的に何ら変わることがないため、上述した第1実施例の可動ガイド100と同一の部材について対応する300番台の符号を付すことにより、その重複する説明を省略する。
【0040】
すなわち、図9に示すように、合成樹脂製ベース320の係合突条部321は、伝動チェーンCの進行方向に向って徐々に拡幅する部分322のガイド長手方向に沿った繰り返し形態によって構成されている。
また、図10に示すように、合成樹脂製シュー310の係合凹溝部311は、伝動チェーンCの進行方向に向って徐々に拡幅する部分312のガイド長手方向に沿った繰り返し形態によって構成されている。
これにより、合成樹脂製シュー310が合成樹脂製ベース320に対してガイド長手方向のせん断力を受けた場合であっても、伝動チェーンCが走行するチェーン進行方向に向って徐々に拡幅した部分を多数繰り返して構成された係合凹溝部311に起因する抗力がガイド長手方向のせん断力をガイド長手方向に沿って多重に抑制するようになっている。
【0041】
このようにして得られた本実施例の可動ガイド300は、前述した可動ガイド100が奏する効果に加えて、合成樹脂製シュー310と合成樹脂製ベース320とをガイド長手方向に長期に亘って接合することができる等、その効果は甚大である。
【実施例4】
【0042】
次に、本発明の第4実施例である可動ガイド400について、図面に基づいて説明する。
ここで、図11は、本発明の第4実施例である伝動装置用ガイドを摺接面の垂直方向上方から視た図であり、図12は、図11のXII−XII線から視た断面図であり、図13は、図11のXIII−XIII線から視た断面図であり、図14は、図11のXIV−XIV線から視た断面図である。
本発明の第4実施例である可動ガイド400は、上述した第1実施例の可動ガイド100と比較すると、係合凹溝部と係合突条部の具体的な形態のみが異なっており、その余の部品形態については、基本的に何ら変わることがないため、上述した第1実施例の可動ガイド100と同一の部材について対応する400番台の符号を付すことにより、その重複する説明を省略する。
【0043】
すなわち、図11乃至図14に示すように、合成樹脂製シュー410の係合凹溝部411と合成樹脂製ベース420の係合突条部421とは、伝動チェーンCの進行方向に向って徐々に拡幅する部分と伝動チェーンCの進行方向に向って徐々に縮幅する部分とをそれぞれ1つずつ並列に組み合わせた形態によって構成されている。
これにより、合成樹脂製シュー410が合成樹脂製ベース420に対してチェーン進行方向のせん断力を受けた場合であっても、図11中の紙面左側に設けられたチェーン進行方向に向って徐々に拡幅して形成された係合突条部421の形状に起因する抗力が、チェーン進行方向のせん断力を抑制し、また、合成樹脂製シュー410が合成樹脂製ベース420に対してチェーン進行方向と逆向きのせん断力を受けた場合であっても、図11中の紙面右側に設けられたチェーン進行方向に向って徐々に縮幅して形成された係合突条部421の形状に起因する抗力が、チェーン進行方向と逆向きのせん断力を抑制するようになっている。
【0044】
したがって、このようにして得られた本実施例の可動ガイド400は、前述した可動ガイド100が奏する効果に加えて、合成樹脂製シュー410と合成樹脂製ベース420とをガイド長手方向に長期に亘って接合することができる等、その効果は甚大である。
【実施例5】
【0045】
次に、本発明の第5実施例である可動ガイド500について、図面に基づいて説明する。
ここで、図15は、本発明の第5実施例である伝動装置用ガイドにおける断層状態を示す説明図とその一部拡大図であり、図16は、図15の合成樹脂製シューをXVI矢印から視た説明図である。
本発明の第5実施例である可動ガイド500は、上述した第1実施例の可動ガイド100と比較すると、係合凹溝部と係合突条部の具体的な形態のみが異なっており、その余の部品形態については、基本的に何ら変わることがないため、上述した第1実施例の可動ガイド100と同一の部材について対応する500番台の符号を付すことにより、その重複する説明を省略する。
【0046】
すなわち、図15および図16に示すように、合成樹脂製シュー510の係合凹溝部511と合成樹脂製ベース520の係合突条部521とは、相互に融着する方向に向って先細りした楔形状の断面形態をそれぞれ有している。
これにより、一次射出成形物の離型性を向上させて一次射出成形物を一次キャビティから容易に取り出し可能になっている。
また、合成樹脂製シュー510の係合凹溝部511と合成樹脂製ベース520の係合突条部521とは、タイミングチェーンである伝動チェーンCのリンクプレートLPを摺接走行させる位置に対応してガイド幅方向に5列ずつ隣接配置されている。
これにより、リンクプレートLPをガイド幅方向に隣接配置するタイミングチェーンである伝動チェーンCが摺接面510a上を摺接走行して摺動熱が生じて合成樹脂製シュー510の温度が上昇する場合であっても、合成樹脂製ベース520の係合突条部521が伝動チェーンCのリンクプレートLPを確実に支持している。
【0047】
したがって、このようにして得られた本実施例の可動ガイド500は、前述した可動ガイド100が奏する効果に加えて、成形精度を向上させることができ、また、安定したチェーン走行を確保できる等、その効果は甚大である。
【実施例6】
【0048】
次に、本発明の第6実施例である可動ガイド600について、図面に基づいて説明する。
ここで、図17は、本発明の第6実施例である伝動装置用ガイドの係合突条部を示す断面説明図である。
本発明の第6実施例である可動ガイド600は、上述した第1実施例の可動ガイド100と比較すると、係合凹溝部と係合突条部の具体的な形態のみが異なっており、その余の部品形態については、基本的に何ら変わることがないため、上述した第1実施例の可動ガイド100と同一の部材について対応する600番台の符号を付すことにより、その重複する説明を省略する。
【0049】
すなわち、図17に示すように、合成樹脂製ベース620の係合突条部621は、アリ形状の断面形態を有して、ガイド幅方向の外側に向けて部分的に突設した直角台形状断面を呈している。
また、合成樹脂製シュー610の係合凹溝部611は、アリ溝形状の断面形態を有して、ガイド幅方向の外側に向けて部分的に凹設した直角台形状断面を呈している。
これにより、断面アリ溝形状の係合凹溝部611と断面アリ形状の係合突条部621とが相互に係合して、合成樹脂製シュー610が合成樹脂製ベース620から浮き上がることを防止している。
【0050】
したがって、このようにして得られた本実施例の可動ガイド600は、前述した可動ガイド100が奏する効果に加えて、合成樹脂製シュー610の裏面610bと合成樹脂製ベース620の支持面620aとの間の剥離を回避することができる等、その効果は甚大である。
【実施例7】
【0051】
次に、本発明の第7実施例である可動ガイド700について、図面に基づいて説明する。
ここで、図18は、本発明の第7実施例である伝動装置用ガイドの係合突条部を示す断面説明図である。
本発明の第7実施例である可動ガイド700は、上述した第1実施例の可動ガイド100と比較すると、係合凹溝部と係合突条部の具体的な形態のみが異なっており、その余の部品形態については、基本的に何ら変わることがないため、上述した第1実施例の可動ガイド100と同一の部材について対応する700番台の符号を付すことにより、その重複する説明を省略する。
【0052】
すなわち、図18に示すように、合成樹脂製ベース720の係合突条部721は、アリ形状の断面形態を有して、先端部をガイド幅方向の外側に向けて部分的に張り出したL字状断面を呈している。
また、合成樹脂製シュー710の係合凹溝部711は、アリ溝形状の断面形態を有して、底部をガイド幅方向の外側に向けて部分的に凹設させたL字状断面を呈している。
これにより、断面アリ溝形状の係合凹溝部711と断面アリ形状の係合突条部721とが相互に係合して、合成樹脂製シュー710が合成樹脂製ベース720から浮き上がることを防止するようになっている。
【0053】
したがって、このようにして得られた本実施例の可動ガイド700は、前述した可動ガイド100が奏する効果に加えて、合成樹脂製シュー710の裏面710bと合成樹脂製ベース720の支持面720aとの間の剥離を回避することができる等、その効果は甚大である。
【符号の説明】
【0054】
100、200、300、400、500、600、700・・・伝動装置用ガイド
110、210、310、410、510、610、710・・・合成樹脂製シュー
110a、210a、310a、410a、510a、610a、710a・・・摺接面
110b、210b、310b、410b、510b、610b、710b・・・裏面
111、211、311、411、511、611、711・・・係合凹溝部
312 ・・・ 係合凹溝部を構成するチェーン進行方向に向って徐々に拡幅する部分
120、220、320、420、520、620、720・・・合成樹脂製ベース
120a、220a、320a、420a、520a、620a、720a・・・支持面
121、221、321、421、521、621、721・・・係合突条部
322 ・・・ 係合突条部を構成するチェーン進行方向に向って徐々に拡幅する部分
800 ・・・ 伝動装置用ガイド
810 ・・・ シュー部材
813 ・・・ フック片
820 ・・・ ベース部材
823 ・・・ 切り欠き
C ・・・ 伝動チェーン
LP・・・ 伝動チェーンのリンクプレート
L ・・・ ガイド側壁
S1・・・ 駆動側スプロケット
S2・・・ 従動側スプロケット
E ・・・ エンジンブロック壁
T ・・・ テンショナ
F ・・・ 固定ガイド
P ・・・ ショルダーボルト
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動側スプロケットと従動側スプロケットとに周回して循環走行させるローラチェーンやサイレントチェーン等の伝動チェーンによって動力を伝達する自動車用エンジンなどの伝動装置において、伝動チェーンを摺接状態で走行案内させる固定ガイド、または、伝動チェーンを摺接状態で走行案内して緊張させる可動ガイドとして用いられる伝動装置用ガイドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車用エンジンなどの伝動装置に用いられる伝動装置用ガイド800として、図19および図20に示すように、伝動チェーンCを摺動させるシュー部材810とこのシュー部材810のシュー形態を保持するベース部材820とをそれぞれ別々に成形し、シュー部材810の両側に突設したフック片813をベース部材820に設けた切り欠き823に捩りながらフック片813と切り欠き823との間に組み付け代を介してそれぞれ係合させて一体に組み立てたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、従来の伝動装置用ガイドとして、一次樹脂からなるベース部材と、このベース部材を成形した後にベース部材の裏面に融着する支持面を備えてベース部材と一体化されて伝動チェーンに摺接する二次樹脂からなるシュー部材とを備えるチェーンガイドが知られている。(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−114126号公報(段落[0013]、図1参照)
【特許文献2】特開2004−150615号公報(段落[0022]、図1参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前者のような従来の伝動装置用ガイド800は、エンジン稼働時におけるエンジン特有の負荷変動により伝動チェーンCが振動しながらシュー部材810上を摺接走行すると、図19の矢印で示すように、シュー部材810がガイド長手方向に組み付け代の分だけ移動するため、シュー部材810のフック片813とベース部材820の切り欠き823との局部的な当接状態となり、フック片813に過度の応力集中が生じてフック片813が折損し、シュー部材810とベース部材820との組み付け状態が悪化して伝動チェーンCのチェーン軌道を保持できない虞があるという問題があった。
【0005】
他方、後者のような従来のチェーンガイドは、伝動チェーンがシュー部材のガイド幅方向に偏在してシュー部材にガイド幅方向のせん断力が働いた場合に、互いに融着したシュー部材の平坦な裏面とベース部材の平坦な支持面とがガイド幅方向にずれてシュー部材とベース部材とが剥離するため、シュー部材とベース部材の相互間の接合強度を長期に亘って維持できないという問題があった。
【0006】
本発明は、前述したような従来技術の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、合成樹脂製シューと合成樹脂製ベースとの一体成形により組み付け作業を不要にするとともに、合成樹脂製シューと合成樹脂製ベースの相互間の接合強度を向上させてチェーン軌道を長期に亘って確保した伝動装置用ガイドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明に係る伝動装置用ガイドは、伝動チェーンのリンクプレートをガイド長手方向に沿って摺接走行させる摺接面を備えた合成樹脂製シューと該合成樹脂製シューの裏面をガイド長手方向に沿って支持する支持面を備えた合成樹脂製ベースとを2材成形加工により一体成形して組み付けた伝動装置用ガイドにおいて、前記合成樹脂製ベースのガイド長手方向に沿って並列状態で延在する係合突条部が、前記合成樹脂製ベースの支持面から突出して形成されているとともに、前記合成樹脂製ベースのガイド長手方向に沿って融着する合成樹脂製シューの係合凹溝部が、前記合成樹脂製ベースの係合突条部にそれぞれ凹凸相対して形成されていることにより、前述した課題を解決するものである。
【0008】
請求項2の発明に係る伝動装置用ガイドは、請求項1に記載された伝動装置用ガイドの構成に加えて、前記合成樹脂製ベースの係合突条部および合成樹脂製シューの係合凹溝部が、前記伝動チェーンのリンクプレートを摺接走行させる位置に対応して配置されていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0009】
請求項3の発明に係る伝動装置用ガイドは、請求項1または請求項2に記載された伝動装置用ガイドの構成に加えて、前記合成樹脂製ベースの係合突条部および合成樹脂製シューの係合凹溝部が、前記伝動チェーンの進行方向に向って徐々に拡幅していることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0010】
請求項4の発明に係る伝動装置用ガイドは、請求項1または請求項2に記載された伝動装置用ガイドの構成に加えて、前記合成樹脂製ベースの係合突条部および合成樹脂製シューの係合凹溝部が、前記伝動チェーンの進行方向に向って徐々に拡幅する部分のガイド長手方向に沿った繰り返し形態によって構成されていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0011】
請求項5の発明に係る伝動装置用ガイドは、請求項1または請求項2に記載された伝動装置用ガイドの構成に加えて、前記合成樹脂製ベースの係合突条部および合成樹脂製シューの係合凹溝部が、前記伝動チェーンの進行方向に向って徐々に拡幅する部分と前記伝動チェーンの進行方向に向って徐々に縮幅する部分との並列組み合わせ形態によって構成されていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0012】
請求項6の発明に係る伝動装置用ガイドは、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載された伝動装置用ガイドの構成に加えて、前記合成樹脂製ベースの係合突条部が、アリ形状の断面形態を有しているとともに、前記合成樹脂製シューの係合凹溝部が、アリ溝形状の断面形態を有していることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0013】
請求項7の発明に係る伝動装置用ガイドは、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載された伝動装置用ガイドの構成に加えて、前記合成樹脂製ベースの係合突条部および合成樹脂製シューの係合凹溝部が、相互に融着する方向に向って先細りした楔形状の断面形態をそれぞれ有していることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の伝動装置用ガイドは、伝動チェーンのリンクプレートをガイド長手方向に沿って摺接走行させる摺接面を備えた合成樹脂製シューとこの合成樹脂製シューの裏面をガイド長手方向に沿って支持する支持面を備えた合成樹脂製ベースとを2材成形加工により一体成形して組み付けたことにより、合成樹脂製シューと合成樹脂製ベースとが成形加工時に一体化されているため、従来のような合成樹脂製シューと合成樹脂製ベースとを別部材とした成形加工後の組み付け作業が不要になるばかりでなく、以下のような本発明に特有の効果を奏することができる。
【0015】
すなわち、本請求項1に係る発明の伝動装置用ガイドは、合成樹脂製ベースのガイド長手方向に沿って並列状態で延在する係合突条部が合成樹脂製ベースの支持面から突出して形成されているとともに、合成樹脂製ベースのガイド長手方向に沿って融着する合成樹脂製シューの係合凹溝部が合成樹脂製ベースの係合突条部にそれぞれ凹凸相対して形成されていることにより、合成樹脂製シューの平坦な裏面と合成樹脂製ベースの平坦な支持面とを対向させる従来の伝動装置用ガイドと比べて、係合凹溝部および係合突条部が凹凸係合する分だけ合成樹脂製シューと合成樹脂製ベースの対向面積が増えて合成樹脂製シューと合成樹脂製ベースとの間に働く接合力が増強されるため、合成樹脂製シューを合成樹脂製ベースに対して強固に融着して合成樹脂製シューの摩耗損傷を防止するとともにチェーン軌道を長期に亘って保持することができ、また、係合凹溝部と係合突条部の相互間で生じがちなガイド幅方向のせん断力が抑制されるため、合成樹脂製シューと合成樹脂製ベースとの間でガイド幅方向の接合強度を大幅に向上させることができる。
【0016】
請求項2に係る発明の伝動装置用ガイドによれば、請求項1に記載の伝動装置用ガイドが奏する効果に加えて、合成樹脂製ベースの係合突条部および合成樹脂製シューの係合凹溝部が伝動チェーンのリンクプレートを摺接走行させる位置に対応して配置されていることにより、伝動チェーンが合成樹脂製シューに対して摺動走行することにより摺動熱が生じて合成樹脂製シューの温度が上昇した場合であっても、合成樹脂製ベースの係合突条部が合成樹脂製シューの係合凹溝部に係合支持して合成樹脂製シューの軟化変形を防止して伝動チェーンのリンクプレートを確実に支持するため、安定したチェーン走行を確保することができる。
【0017】
請求項3に係る発明の伝動装置用ガイドによれば、請求項1または請求項2に記載の伝動装置用ガイドが奏する効果に加えて、合成樹脂製ベースの係合突条部および合成樹脂製シューの係合凹溝部が伝動チェーンの進行方向に向って徐々に拡幅していることにより、合成樹脂製シューが合成樹脂製ベースに対して伝動チェーンが進行するチェーン進行方向のせん断力を受けた場合であっても、チェーン進行方向側において徐々に拡幅した係合突条部の形状に起因する抗力がチェーン進行方向のせん断力を抑制するため、合成樹脂製シューと合成樹脂製ベースの接合強度を更に向上させることができる。
【0018】
請求項4に係る発明の伝動装置用ガイドによれば、請求項1または請求項2に記載の伝動装置用ガイドが奏する効果に加えて、合成樹脂製ベースの係合突条部および合成樹脂製シューの係合凹溝部が伝動チェーンの進行方向に向って徐々に拡幅する部分のガイド長手方向に沿った繰り返し形態によって構成されていることにより、合成樹脂製シューが合成樹脂製ベースに対してガイド長手方向のせん断力を受けた場合であっても、伝動チェーンが走行するチェーン進行方向に向って徐々に拡幅した部分を多数繰り返して構成された係合凹溝部に起因する抗力がガイド長手方向のせん断力をガイド長手方向に沿って多重に抑制するため、合成樹脂製シューと合成樹脂製ベースとをガイド長手方向に長期に亘って接合することができる。
【0019】
請求項5に係る発明の伝動装置用ガイドによれば、請求項1または請求項2に記載の伝動装置用ガイドが奏する効果に加えて、合成樹脂製ベースの係合突条部および合成樹脂製シューの係合凹溝部が伝動チェーンの進行方向に向って徐々に拡幅する部分と伝動チェーンの進行方向に向って徐々に縮幅する部分との並列組み合わせ形態によって構成されていることにより、合成樹脂製シューが合成樹脂製ベースに対してチェーン進行方向のせん断力を受けた場合であっても、チェーン進行方向に向って徐々に拡幅して形成された係合突条部の形状に起因する抗力がチェーン進行方向のせん断力を抑制し、また、合成樹脂製シューが合成樹脂製ベースに対してチェーン進行方向と逆向きのせん断力を受けた場合であっても、チェーン進行方向に向って徐々に縮幅して形成された係合突条部の形状に起因する抗力がチェーン進行方向と逆向きのせん断力を抑制するため、合成樹脂製シューと合成樹脂製ベースとをガイド長手方向に長期に亘って接合することができる。
【0020】
請求項6に係る発明の伝動装置用ガイドによれば、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の伝動装置用ガイドが奏する効果に加えて、合成樹脂製ベースの係合突条部がアリ形状の断面形態を有しているとともに、合成樹脂製シューの係合凹溝部がアリ溝形状の断面形態を有していることにより、断面アリ形状の係合突条部と断面アリ溝形状の係合凹溝部とが相互に係合して合成樹脂製シューが合成樹脂製ベースから浮き上がることを防止するため、合成樹脂製シューの裏面と合成樹脂製ベースの支持面との間の剥離を回避することができる。
【0021】
請求項7に係る発明の伝動装置用ガイドによれば、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の伝動装置用ガイドが奏する効果に加えて、合成樹脂製ベースの係合突条部および合成樹脂製シューの係合凹溝部が相互に融着する方向に向って先細りした楔形状の断面形態をそれぞれ有していることにより、一次射出成形物の離型性を向上させて一次射出成形物を一次キャビティから容易に取り出し可能になるため、成形精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施例である伝動装置用ガイドの使用態様図。
【図2】図1に示す伝動装置用ガイドの斜視図。
【図3】図2の伝動装置用ガイドにおける断層状態を示す説明図。
【図4】図3の伝動装置用ガイドのIV矢印から視た説明図。
【図5】本発明の第2実施例である伝動装置用ガイドを摺接面の垂直方向上方から視た図。
【図6】図5のVI−VI線から視た断面図。
【図7】図5のVII−VII線から視た断面図。
【図8】図5のVIII−VIII線から視た断面図。
【図9】本発明の第3実施例である伝動装置用ガイドにおける断層状態を示す説明図。
【図10】図9の伝動装置用ガイドをX矢印から視た説明図。
【図11】本発明の第4実施例である伝動装置用ガイドを摺接面の垂直方向上方から視た図。
【図12】図11のXII−XII線から視た断面図。
【図13】図11のXIII−XIII線から視た断面図。
【図14】図11のXIV−XIV線から視た断面図。
【図15】本発明の第5実施例である伝動装置用ガイドにおける断層状態を示す説明図とその一部拡大図。
【図16】図15の合成樹脂製シューをXVI矢印から視た説明図。
【図17】本発明の第6実施例である伝動装置用ガイドの係合突条部を示す断面説明図。
【図18】本発明の第7実施例である伝動装置用ガイドの係合突条部を示す断面説明図。
【図19】従来の伝動装置用ガイドを示す斜視図とその一部拡大図。
【図20】図19の伝動装置用ガイドの断面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に係る伝動装置用ガイドは、伝動チェーンのリンクプレートをガイド長手方向に沿って摺接走行させる摺接面を備えた合成樹脂製シューとこの合成樹脂製シューの裏面をガイド長手方向に沿って支持する支持面を備えた合成樹脂製ベースとを2材成形加工により一体成形して組み付けて、合成樹脂製ベースのガイド長手方向に沿って並列状態で延在する係合突条部が合成樹脂製ベースの支持面から突出して形成されているとともに、合成樹脂製ベースのガイド長手方向に沿って融着する合成樹脂製シューの係合凹溝部が合成樹脂製ベースの係合突条部にそれぞれ凹凸相対して形成されていることにより、合成樹脂製シューと合成樹脂製ベースとの一体成形により組み付け作業を不要にするとともに、合成樹脂製シューと合成樹脂製ベースの相互間の接合強度を向上させてチェーン軌道を長期に亘って確保したものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても何ら構わない。
【0024】
例えば、本発明の伝動装置用ガイドは、伝動チェーンのリンクプレートをガイド長手方向に沿って摺接走行させる摺接面を備えた合成樹脂製シューとこの合成樹脂製シューの裏面をガイド長手方向に沿って支持する合成樹脂製ベースとを2材成形加工により一体成形して組み付けたものであって、駆動側スプロケットと従動側スプロケットとに周回して循環走行させるローラチェーンやサイレントチェーン等の伝動チェーンによって動力を伝達する自動車用エンジンなどの伝動装置において、伝動チェーンを摺接状態で走行案内させる固定ガイドとして用いられるもの、あるいは、伝動チェーンを摺接状態で走行案内して緊張させる可動ガイドとして用いられるものの、いずれであっても構わない。
【0025】
そして、本発明の伝動装置用ガイドを一体成形するための2材成形加工については、一次キャビティとコアとで一次射出成形加工を施して合成樹脂製ベースを成形した後、合成樹脂製ベースを一次キャビティから取り出し、合成樹脂製ベースを二次キャビティ内に取り付け、二次キャビティとコアとで二次射出成形加工を施して合成樹脂製シューを成形するか、または、一次キャビティとコアとで一次射出成形加工を施して合成樹脂製シューを成形した後、合成樹脂製シューを一次キャビティから取り出し、合成樹脂製シューを二次キャビティ内に取り付け、二次キャビティとコアとで二次射出成形加工を施して合成樹脂製ベースを成形することにより、合成樹脂製ベースのガイド長手方向に沿って並列状態で延在する係合突条部が合成樹脂製ベースの支持面から突出して形成されているとともに、合成樹脂製ベースのガイド長手方向に沿って融着する合成樹脂製シューの係合凹溝部が合成樹脂製ベースの係合突条部にそれぞれ凹凸相対して形成することが可能な2材成形加工、2色成形加工、サンドイッチ成形加工などと称する当業者に一般的に用いられている通常の成形加工であれば良い。
【0026】
そして、本発明の伝動装置用ガイドで用いる合成樹脂の具体的な素材については、ポリアミド系、ポリブチレンテレフタレート系などの合成樹脂であれば良く、特に、伝動チェーンをガイド長手方向に沿って摺接走行させる摺接面を備えた合成樹脂製シューの具体的な素材については、自己潤滑性を発揮しやすいポリアミド6樹脂、ポリアミド66樹脂、ポリアミド46樹脂、全芳香族樹脂などのポリアミド系樹脂が好ましく、他方、前述した合成樹脂製シューの裏面をガイド長手方向に沿って支持する合成樹脂製ベースの具体的な素材については、ガイド強度、耐摩耗性などを発揮しやすいガラス繊維を含有した強化ポリアミド系樹脂が好ましい。
【0027】
そして、本発明の伝動装置用ガイドで用いる合成樹脂製シューの具体的形状については、伝動チェーンのリンクプレートをガイド長手方向に沿って摺接走行させる摺接面を備えていれば良く、さらに、合成樹脂製シューのガイド幅方向の端縁にガイド長手方向に沿ってそれぞれ凸設して伝動チェーンの脱落を防止するガイド側壁を備えているのが好ましい。
【実施例1】
【0028】
以下に、本発明の第1実施例である伝動装置用ガイド100について、図面に基づいて説明する。
ここで、図1は、本発明の第1実施例である伝動装置用ガイドの使用態様図であり、図2は、図1に示す伝動装置用ガイドの斜視図であり、図3は、図2の伝動装置用ガイドにおける断層状態を示す説明図であり、図4は、図3の伝動装置用ガイドのIV矢印から視た説明図である。
【0029】
まず、本発明の第1実施例である伝動装置用ガイド100は、図1に示すように、駆動側スプロケットS1と従動側スプロケットS2とに周回して循環走行するローラチェーンとして用いる伝動チェーンCによって動力を伝達する自動車用エンジンのエンジンブロック壁Eに一端が取り付けショルダーボルトPにより揺動自在に取り付けられて、伝動チェーンCを摺接走行させながら緊張させる可動ガイドとして用いられる。
なお、図1に示す符号Tは、伝動チェーンCの張り過ぎ、緩み過ぎなどに起因する伝動障害を防止するために伝動装置用ガイド100に適切なチェーン張力を付与するテンショナであり、符号Fは、エンジンブロック壁Eに取り付け固定されて伝動チェーンCを摺接走行させながら案内する固定ガイドである。
【0030】
そこで、図2乃至図4に示すように、本実施例の伝動装置用ガイドである可動ガイド100は、伝動チェーンCのリンクプレートLPをガイド長手方向に沿って摺接走行させる摺接面110aを備えたポリアミド系樹脂からなる合成樹脂製シュー110と、合成樹脂製シュー110の裏面110bをガイド長手方向に沿って支持するガラス繊維を含有した強化ポリアミド系樹脂からなる合成樹脂製ベース120とを2材成形加工により一体成形して組み付けられたものである。
【0031】
すなわち、本実施例の伝動装置用ガイドである可動ガイド100は、まず、一次射出成形加工を施してガラス繊維を含有した強化ポリアミド系樹脂からなる合成樹脂製ベース120を成形した後、二次射出成形加工を施してポリアミド系樹脂からなる合成樹脂製シュー110を成形したものである。
これにより、本実施例の伝動装置用ガイドである可動ガイド100は、合成樹脂製シュー110と合成樹脂製ベース120とが成形加工時に一体化されている。
なお、図2に示す符号Lは、合成樹脂製シューのガイド幅方向の端縁にガイド長手方向に沿って設けられて伝動チェーンCの脱落を防止する左右一対のガイド側壁である。
【0032】
そして、図3および図4に示すように、合成樹脂製ベース120のガイド長手方向に沿って並列状態で延在する2列の係合突条部121、121は、合成樹脂製ベース120の支持面120aから突出して形成されている。
また、図4に示すように、合成樹脂製ベース120のガイド長手方向に沿って融着する合成樹脂製シュー110の係合凹溝部111、111は、合成樹脂製ベース120の係合突条部121、121にそれぞれ凹凸相対して形成されている。
これにより、合成樹脂製シューの平坦な裏面と合成樹脂製ベースの平坦な支持面とを対向させる従来の伝動装置用ガイドと比べて、係合凹溝部111および係合突条部121が凹凸係合する分だけ合成樹脂製シュー110と合成樹脂製ベース120の対向面積が増えて、合成樹脂製シュー110と合成樹脂製ベース120との間に働く接合力が増強され、また、係合凹溝部111と係合突条部121の間で相互に作用するガイド幅方向のせん断力が抑制されるようになっている。
【0033】
さらに、図4に示すように、合成樹脂製シュー110の係合凹溝部111と合成樹脂製ベース120の係合突条部121とは、伝動チェーンCのリンクプレートLPを摺接走行させる位置に対応して配置されている。
これにより、伝動チェーンCが合成樹脂製シュー110に対して摺動走行することにより摺動熱が生じて合成樹脂製シュー110の温度が上昇した場合であっても、合成樹脂製ベース120の係合突条部121が、合成樹脂製シュー110の係合凹溝部111に係合支持して合成樹脂製シュー110の軟化変形を防止して伝動チェーンCのリンクプレートLPを確実に支持するようになっている。
【0034】
このようにして得られた本発明の第1実施例である可動ガイド100は、合成樹脂製ベース120のガイド長手方向に沿って並列状態で延在する係合突条部121、121が合成樹脂製ベース120の支持面120aから突出して形成されているとともに、合成樹脂製ベース120のガイド長手方向に沿って融着する合成樹脂製シュー110の係合凹溝部111、111が合成樹脂製ベース120の係合突条部121、121にそれぞれ凹凸相対して形成されていることにより、合成樹脂製シュー110を合成樹脂製ベース120に対して強固に融着して合成樹脂製シュー110の摩耗損傷を防止するとともにチェーン軌道を長期に亘って保持することができ、また、合成樹脂製シュー110と合成樹脂製ベース120との間でガイド幅方向の接合強度を大幅に向上させることができる。
【0035】
また、合成樹脂製シュー110の係合凹溝部111と合成樹脂製ベース120の係合突条部121とが伝動チェーンCのリンクプレートLPを摺接走行させる位置に対応して配置されていることにより、安定したチェーン走行を確保することができるなど、その効果は甚大である。
【実施例2】
【0036】
次に、本発明の第2実施例である可動ガイド200について、図面に基づいて説明する。
ここで、図5は、本発明の第2実施例である伝動装置用ガイドを摺接面の垂直方向上方から視た図であり、図6は、図5のVI−VI線から視た断面図であり、図7は、図5のVII−VII線から視た断面図であり、図8は、図5のVIII−VIII線から視た断面図である。
本発明の第2実施例である可動ガイド200は、上述した第1実施例の可動ガイド100と比較すると、係合凹溝部と係合突条部の具体的な形態のみが異なっており、その余の部品形態については、基本的に何ら変わることがないため、上述した第1実施例の可動ガイド100と同一の部材について対応する200番台の符号を付すことにより、その重複する説明を省略する。
【0037】
すなわち、合成樹脂製シュー210の係合凹溝部211と合成樹脂製ベース220の係合突条部221とは、図5乃至図8に示すように、伝動チェーンCの進行方向に向って徐々に拡幅している。
これにより、合成樹脂製シュー210が合成樹脂製ベース220に対して伝動チェーンCが進行するチェーン進行方向のせん断力を受けた場合であっても、チェーン進行方向側において徐々に拡幅した係合突条部221の形状に起因する抗力がチェーン進行方向のせん断力を抑制するようになっている。
【0038】
このようにして得られた本実施例の可動ガイド200は、前述した可動ガイド100が奏する効果に加えて、合成樹脂製シュー210と合成樹脂製ベース220の接合強度を更に向上させることができる等、その効果は甚大である。
【実施例3】
【0039】
次に、本発明の第3実施例である可動ガイド300について、図面に基づいて説明する。
ここで、図9は、本発明の第3実施例である伝動装置用ガイドにおける断層状態を示す説明図であり、図10は、図9の伝動装置用ガイドのうち合成樹脂製ベースを省略してX矢印から視た説明図である。
本発明の第3実施例である可動ガイド300は、上述した第1実施例の可動ガイド100と比較すると、係合凹溝部と係合突条部の具体的な形態のみが異なっており、その余の部品形態については、基本的に何ら変わることがないため、上述した第1実施例の可動ガイド100と同一の部材について対応する300番台の符号を付すことにより、その重複する説明を省略する。
【0040】
すなわち、図9に示すように、合成樹脂製ベース320の係合突条部321は、伝動チェーンCの進行方向に向って徐々に拡幅する部分322のガイド長手方向に沿った繰り返し形態によって構成されている。
また、図10に示すように、合成樹脂製シュー310の係合凹溝部311は、伝動チェーンCの進行方向に向って徐々に拡幅する部分312のガイド長手方向に沿った繰り返し形態によって構成されている。
これにより、合成樹脂製シュー310が合成樹脂製ベース320に対してガイド長手方向のせん断力を受けた場合であっても、伝動チェーンCが走行するチェーン進行方向に向って徐々に拡幅した部分を多数繰り返して構成された係合凹溝部311に起因する抗力がガイド長手方向のせん断力をガイド長手方向に沿って多重に抑制するようになっている。
【0041】
このようにして得られた本実施例の可動ガイド300は、前述した可動ガイド100が奏する効果に加えて、合成樹脂製シュー310と合成樹脂製ベース320とをガイド長手方向に長期に亘って接合することができる等、その効果は甚大である。
【実施例4】
【0042】
次に、本発明の第4実施例である可動ガイド400について、図面に基づいて説明する。
ここで、図11は、本発明の第4実施例である伝動装置用ガイドを摺接面の垂直方向上方から視た図であり、図12は、図11のXII−XII線から視た断面図であり、図13は、図11のXIII−XIII線から視た断面図であり、図14は、図11のXIV−XIV線から視た断面図である。
本発明の第4実施例である可動ガイド400は、上述した第1実施例の可動ガイド100と比較すると、係合凹溝部と係合突条部の具体的な形態のみが異なっており、その余の部品形態については、基本的に何ら変わることがないため、上述した第1実施例の可動ガイド100と同一の部材について対応する400番台の符号を付すことにより、その重複する説明を省略する。
【0043】
すなわち、図11乃至図14に示すように、合成樹脂製シュー410の係合凹溝部411と合成樹脂製ベース420の係合突条部421とは、伝動チェーンCの進行方向に向って徐々に拡幅する部分と伝動チェーンCの進行方向に向って徐々に縮幅する部分とをそれぞれ1つずつ並列に組み合わせた形態によって構成されている。
これにより、合成樹脂製シュー410が合成樹脂製ベース420に対してチェーン進行方向のせん断力を受けた場合であっても、図11中の紙面左側に設けられたチェーン進行方向に向って徐々に拡幅して形成された係合突条部421の形状に起因する抗力が、チェーン進行方向のせん断力を抑制し、また、合成樹脂製シュー410が合成樹脂製ベース420に対してチェーン進行方向と逆向きのせん断力を受けた場合であっても、図11中の紙面右側に設けられたチェーン進行方向に向って徐々に縮幅して形成された係合突条部421の形状に起因する抗力が、チェーン進行方向と逆向きのせん断力を抑制するようになっている。
【0044】
したがって、このようにして得られた本実施例の可動ガイド400は、前述した可動ガイド100が奏する効果に加えて、合成樹脂製シュー410と合成樹脂製ベース420とをガイド長手方向に長期に亘って接合することができる等、その効果は甚大である。
【実施例5】
【0045】
次に、本発明の第5実施例である可動ガイド500について、図面に基づいて説明する。
ここで、図15は、本発明の第5実施例である伝動装置用ガイドにおける断層状態を示す説明図とその一部拡大図であり、図16は、図15の合成樹脂製シューをXVI矢印から視た説明図である。
本発明の第5実施例である可動ガイド500は、上述した第1実施例の可動ガイド100と比較すると、係合凹溝部と係合突条部の具体的な形態のみが異なっており、その余の部品形態については、基本的に何ら変わることがないため、上述した第1実施例の可動ガイド100と同一の部材について対応する500番台の符号を付すことにより、その重複する説明を省略する。
【0046】
すなわち、図15および図16に示すように、合成樹脂製シュー510の係合凹溝部511と合成樹脂製ベース520の係合突条部521とは、相互に融着する方向に向って先細りした楔形状の断面形態をそれぞれ有している。
これにより、一次射出成形物の離型性を向上させて一次射出成形物を一次キャビティから容易に取り出し可能になっている。
また、合成樹脂製シュー510の係合凹溝部511と合成樹脂製ベース520の係合突条部521とは、タイミングチェーンである伝動チェーンCのリンクプレートLPを摺接走行させる位置に対応してガイド幅方向に5列ずつ隣接配置されている。
これにより、リンクプレートLPをガイド幅方向に隣接配置するタイミングチェーンである伝動チェーンCが摺接面510a上を摺接走行して摺動熱が生じて合成樹脂製シュー510の温度が上昇する場合であっても、合成樹脂製ベース520の係合突条部521が伝動チェーンCのリンクプレートLPを確実に支持している。
【0047】
したがって、このようにして得られた本実施例の可動ガイド500は、前述した可動ガイド100が奏する効果に加えて、成形精度を向上させることができ、また、安定したチェーン走行を確保できる等、その効果は甚大である。
【実施例6】
【0048】
次に、本発明の第6実施例である可動ガイド600について、図面に基づいて説明する。
ここで、図17は、本発明の第6実施例である伝動装置用ガイドの係合突条部を示す断面説明図である。
本発明の第6実施例である可動ガイド600は、上述した第1実施例の可動ガイド100と比較すると、係合凹溝部と係合突条部の具体的な形態のみが異なっており、その余の部品形態については、基本的に何ら変わることがないため、上述した第1実施例の可動ガイド100と同一の部材について対応する600番台の符号を付すことにより、その重複する説明を省略する。
【0049】
すなわち、図17に示すように、合成樹脂製ベース620の係合突条部621は、アリ形状の断面形態を有して、ガイド幅方向の外側に向けて部分的に突設した直角台形状断面を呈している。
また、合成樹脂製シュー610の係合凹溝部611は、アリ溝形状の断面形態を有して、ガイド幅方向の外側に向けて部分的に凹設した直角台形状断面を呈している。
これにより、断面アリ溝形状の係合凹溝部611と断面アリ形状の係合突条部621とが相互に係合して、合成樹脂製シュー610が合成樹脂製ベース620から浮き上がることを防止している。
【0050】
したがって、このようにして得られた本実施例の可動ガイド600は、前述した可動ガイド100が奏する効果に加えて、合成樹脂製シュー610の裏面610bと合成樹脂製ベース620の支持面620aとの間の剥離を回避することができる等、その効果は甚大である。
【実施例7】
【0051】
次に、本発明の第7実施例である可動ガイド700について、図面に基づいて説明する。
ここで、図18は、本発明の第7実施例である伝動装置用ガイドの係合突条部を示す断面説明図である。
本発明の第7実施例である可動ガイド700は、上述した第1実施例の可動ガイド100と比較すると、係合凹溝部と係合突条部の具体的な形態のみが異なっており、その余の部品形態については、基本的に何ら変わることがないため、上述した第1実施例の可動ガイド100と同一の部材について対応する700番台の符号を付すことにより、その重複する説明を省略する。
【0052】
すなわち、図18に示すように、合成樹脂製ベース720の係合突条部721は、アリ形状の断面形態を有して、先端部をガイド幅方向の外側に向けて部分的に張り出したL字状断面を呈している。
また、合成樹脂製シュー710の係合凹溝部711は、アリ溝形状の断面形態を有して、底部をガイド幅方向の外側に向けて部分的に凹設させたL字状断面を呈している。
これにより、断面アリ溝形状の係合凹溝部711と断面アリ形状の係合突条部721とが相互に係合して、合成樹脂製シュー710が合成樹脂製ベース720から浮き上がることを防止するようになっている。
【0053】
したがって、このようにして得られた本実施例の可動ガイド700は、前述した可動ガイド100が奏する効果に加えて、合成樹脂製シュー710の裏面710bと合成樹脂製ベース720の支持面720aとの間の剥離を回避することができる等、その効果は甚大である。
【符号の説明】
【0054】
100、200、300、400、500、600、700・・・伝動装置用ガイド
110、210、310、410、510、610、710・・・合成樹脂製シュー
110a、210a、310a、410a、510a、610a、710a・・・摺接面
110b、210b、310b、410b、510b、610b、710b・・・裏面
111、211、311、411、511、611、711・・・係合凹溝部
312 ・・・ 係合凹溝部を構成するチェーン進行方向に向って徐々に拡幅する部分
120、220、320、420、520、620、720・・・合成樹脂製ベース
120a、220a、320a、420a、520a、620a、720a・・・支持面
121、221、321、421、521、621、721・・・係合突条部
322 ・・・ 係合突条部を構成するチェーン進行方向に向って徐々に拡幅する部分
800 ・・・ 伝動装置用ガイド
810 ・・・ シュー部材
813 ・・・ フック片
820 ・・・ ベース部材
823 ・・・ 切り欠き
C ・・・ 伝動チェーン
LP・・・ 伝動チェーンのリンクプレート
L ・・・ ガイド側壁
S1・・・ 駆動側スプロケット
S2・・・ 従動側スプロケット
E ・・・ エンジンブロック壁
T ・・・ テンショナ
F ・・・ 固定ガイド
P ・・・ ショルダーボルト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝動チェーンのリンクプレートをガイド長手方向に沿って摺接走行させる摺接面を備えた合成樹脂製シューと該合成樹脂製シューの裏面をガイド長手方向に沿って支持する支持面を備えた合成樹脂製ベースとを2材成形加工により一体成形して組み付けた伝動装置用ガイドにおいて、
前記合成樹脂製ベースのガイド長手方向に沿って並列状態で延在する係合突条部が、前記合成樹脂製ベースの支持面から突出して形成されているとともに、
前記合成樹脂製ベースのガイド長手方向に沿って融着する合成樹脂製シューの係合凹溝部が、前記合成樹脂製ベースの係合突条部にそれぞれ凹凸相対して形成されていることを特徴とする伝動装置用ガイド。
【請求項2】
前記合成樹脂製ベースの係合突条部および合成樹脂製シューの係合凹溝部が、前記伝動チェーンのリンクプレートを摺接走行させる位置に対応して配置されていることを特徴とする請求項1記載の伝動装置用ガイド。
【請求項3】
前記合成樹脂製ベースの係合突条部および合成樹脂製シューの係合凹溝部が、前記伝動チェーンの進行方向に向って徐々に拡幅していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の伝動装置用ガイド。
【請求項4】
前記合成樹脂製ベースの係合突条部および合成樹脂製シューの係合凹溝部が、前記伝動チェーンの進行方向に向って徐々に拡幅する部分のガイド長手方向に沿った繰り返し形態によって構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の伝動装置用ガイド。
【請求項5】
前記合成樹脂製ベースの係合突条部および合成樹脂製シューの係合凹溝部が、前記伝動チェーンの進行方向に向って徐々に拡幅する部分と前記伝動チェーンの進行方向に向って徐々に縮幅する部分との並列組み合わせ形態によって構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の伝動装置用ガイド。
【請求項6】
前記合成樹脂製ベースの係合突条部が、アリ形状の断面形態を有しているとともに、
前記合成樹脂製シューの係合凹溝部が、アリ溝形状の断面形態を有していることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の伝動装置用ガイド。
【請求項7】
前記合成樹脂製ベースの係合突条部および合成樹脂製シューの係合凹溝部が、相互に融着する方向に向って先細りした楔形状の断面形態をそれぞれ有していることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の伝動装置用ガイド。
【請求項1】
伝動チェーンのリンクプレートをガイド長手方向に沿って摺接走行させる摺接面を備えた合成樹脂製シューと該合成樹脂製シューの裏面をガイド長手方向に沿って支持する支持面を備えた合成樹脂製ベースとを2材成形加工により一体成形して組み付けた伝動装置用ガイドにおいて、
前記合成樹脂製ベースのガイド長手方向に沿って並列状態で延在する係合突条部が、前記合成樹脂製ベースの支持面から突出して形成されているとともに、
前記合成樹脂製ベースのガイド長手方向に沿って融着する合成樹脂製シューの係合凹溝部が、前記合成樹脂製ベースの係合突条部にそれぞれ凹凸相対して形成されていることを特徴とする伝動装置用ガイド。
【請求項2】
前記合成樹脂製ベースの係合突条部および合成樹脂製シューの係合凹溝部が、前記伝動チェーンのリンクプレートを摺接走行させる位置に対応して配置されていることを特徴とする請求項1記載の伝動装置用ガイド。
【請求項3】
前記合成樹脂製ベースの係合突条部および合成樹脂製シューの係合凹溝部が、前記伝動チェーンの進行方向に向って徐々に拡幅していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の伝動装置用ガイド。
【請求項4】
前記合成樹脂製ベースの係合突条部および合成樹脂製シューの係合凹溝部が、前記伝動チェーンの進行方向に向って徐々に拡幅する部分のガイド長手方向に沿った繰り返し形態によって構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の伝動装置用ガイド。
【請求項5】
前記合成樹脂製ベースの係合突条部および合成樹脂製シューの係合凹溝部が、前記伝動チェーンの進行方向に向って徐々に拡幅する部分と前記伝動チェーンの進行方向に向って徐々に縮幅する部分との並列組み合わせ形態によって構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の伝動装置用ガイド。
【請求項6】
前記合成樹脂製ベースの係合突条部が、アリ形状の断面形態を有しているとともに、
前記合成樹脂製シューの係合凹溝部が、アリ溝形状の断面形態を有していることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の伝動装置用ガイド。
【請求項7】
前記合成樹脂製ベースの係合突条部および合成樹脂製シューの係合凹溝部が、相互に融着する方向に向って先細りした楔形状の断面形態をそれぞれ有していることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の伝動装置用ガイド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2013−50181(P2013−50181A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188857(P2011−188857)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000003355)株式会社椿本チエイン (861)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000003355)株式会社椿本チエイン (861)
【Fターム(参考)】
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