説明

伸縮ブーム及び伸縮ブームの製造方法

【課題】伸縮ブームの組み立て性を改善するとともに、内側ブームの基端部において上側の摺動パッドを外側ブームの上部の内面に摺接可能な適所に保持しつつ、内側ブームの端部部材の軽量化を図り、内側ブームの基端部の剛性を確保する。
【解決手段】伸縮ブーム2では、内側ブーム本体22の下ピース28の基端部には、上ピース26の基端部よりも突出した嵌合部28eが形成され、端部部材24は、上ピース26の基端部と向き合うように配置されてその基端部と溶接された第1縦板部31と、第1縦板部31に対して間隔をあけて平行に配置された状態で嵌合部28e内に嵌め込まれ、嵌合部28eの内面と溶接された第2縦板部32と、縦板部31,32同士を繋ぐ軸方向連結部33と、嵌合部28eの上側に位置する第1縦板上側部31d,31iと第2縦板上側部32d,32iの間に設けられ、上側摺動パッド8を格納するパッド格納部24a,24bとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮ブーム及び伸縮ブームの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、クレーンに起伏自在となるように設けられる伸縮ブームが知られており、下記特許文献1には、このような伸縮ブームの一例が示されている。
【0003】
特許文献1に示された伸縮ブームは、互いに径の異なる複数の筒状のブーム部材を備えており、大径の外側のブーム部材の内側に小径の内側のブーム部材が挿入されている。内側のブーム部材は、外側のブーム部材に対して軸方向に相対移動可能であり、その内側のブーム部材の相対移動によって伸縮ブームが伸縮するようになっている。内側のブーム部材は、筒状の本体と、その本体の基端部(後端部)に取り付けられた端部部材とを有する(例えば、特許文献1の図6参照)。端部部材は、内側のブーム部材が外側のブーム部材に対して軸方向に相対移動するときに外側のブーム部材の上部の内面に対して摺動する上側の摺動パッドを保持する。端部部材は、内側のブーム部材の基端部の上端から上側の摺動パッドが突出して外側のブーム部材の上部の内面に対して接触し得るようにその上側の摺動パッドを保持する。
【0004】
また、内側のブーム部材には、伸縮ブームの先端部に吊られた吊荷の荷重により、当該内側のブーム部材の先端側に荷重が掛かり、その結果、当該内側のブーム部材の基端部は、上向きの力を受ける。上側の摺動パッドは、このとき、外側のブーム部材の上部の内面に対して内側のブーム部材の基端部を支える。そして、この状態では、内側のブーム部材の基端部は、上下方向において当該基端部を潰すような力を受ける。端部部材は、この力に対する内側のブーム部材の本体の基端部の剛性を高めるための補剛部材としても機能する。端部部材は、内側のブーム部材の軸方向に対して直交するように配置され、前記軸方向において互いに間隔をあけて配置された2枚の板体と、この2枚の板体同士をそれらの間で繋ぐ連結部とを有している。前記2枚の板体のうちの一方の板体は、前記本体の基端部の端面に向き合うように配置されている。前記本体の基端部は、この一方の板体に対して溶接されている。
【0005】
また、外側のブーム部材の先端部(前端部)の下部の内面には、下側の摺動パッドが設けられている。この下側の摺動パッドは、軸方向に移動する内側のブーム部材の下部の外面に摺接してその内側のブーム部材を下から支えるものである。また、外側のブーム部材の先端部の下部の内面には、下側の摺動パッドを固定するためのパッドストッパ等の部材が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表平9−501384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のような伸縮ブームでは、内側のブーム部材の本体の基端部がその基端部の端面に向き合うように配置された端部部材の前記一方の板体に対して溶接されていることに起因して、伸縮ブームの組み立て性が悪くなるという問題が生じる。その理由は、以下の通りである。
【0008】
内側のブーム部材の本体の基端部がその端面に向き合う端部部材の前記一方の板体に対して溶接される場合には、本体の基端部の外周に沿って隅肉溶接が行われる。この場合には、溶接しろを確保するために前記一方の板体を本体の基端部の軸方向に直交する断面よりも大きくなるように形成せざるを得ず、その結果、本体の基端部が端部部材に溶接された状態で前記一方の板体が本体の基端部の外面よりも外側にはみ出ることになる。そして、このように形成された内側のブーム部材の基端部を伸縮ブームの組み立て時に外側のブーム部材内に挿入すると、前記一方の板体のうち本体の基端部の外面から外側にはみ出た部分が、外側のブーム部材の先端部の下部の内面に設けられたパッドストッパ等の部材に干渉する場合がある。このため、内側のブーム部材の基端部を外側のブーム部材内に挿入しにくくなり、伸縮ブームの組み立て性が悪くなる。
【0009】
また、上記のような伸縮ブームでは、内側のブーム部材の端部部材の軽量化と内側のブーム部材の基端部の剛性の確保とを両立することが難しいという問題もある。
【0010】
具体的には、上記伸縮ブームの内側のブーム部材に用いられている端部部材は、重量が大きいため、その端部部材を内側のブーム部材の本体に取り付けるときの作業性を向上するために端部部材の軽量化が望まれている。しかし、端部部材は、内側のブーム部材の基端部の剛性を高めるための部材であるから、端部部材の構成材をむやみに省略して軽量化を図ると内側のブーム部材の基端部の剛性の確保が困難になる。
【0011】
この発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、伸縮ブームの組み立て性を改善するとともに、内側ブームの基端部において上側の摺動パッドを外側ブームの上部の内面に摺接可能な適所に保持しつつ、内側ブームの端部部材の軽量化を図り、且つ、内側ブームの基端部の剛性を確保することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明による伸縮ブームは、クレーンに起伏自在に設けられ、伸縮可能に構成された伸縮ブームであって、筒状に形成された外側ブームと、前記外側ブーム内に挿入され、前記外側ブームに対して軸方向に相対移動可能である内側ブームと、前記外側ブーム内に挿入された前記内側ブームの基端部に設けられ、その内側ブームが前記外側ブームに対して相対移動するときにその外側ブームの上部の内面に対して摺動する上側摺動パッドとを備え、前記内側ブームは、筒状に形成された内側ブーム本体と、当該内側ブーム本体の基端部に取り付けられ、当該内側ブーム本体の基端部の剛性を高める端部部材とを有し、前記内側ブーム本体は、当該内側ブーム本体の軸方向に直交する断面において上側の部分を構成する上ピースと、前記断面において上部が開口した湾曲形状を呈するように形成され、その上部の開口を形成する左右両側の上端において前記上ピースの下端と結合された下ピースとを有し、前記下ピースの基端部には、前記上ピースの基端部よりも前記伸縮ブームの基端側に突出し、前記端部部材が嵌め込まれる嵌合部が形成され、前記端部部材は、前記内側ブーム本体の軸方向に対して直交するように配置されるとともに前記上ピースの基端部と向き合うように配置され、その上ピースの基端部と溶接された第1縦板部と、前記第1縦板部に対して前記伸縮ブームの基端側に間隔をあけてその第1縦板部と平行に配置された状態で前記嵌合部内に嵌め込まれ、その嵌合部の内面と溶接された第2縦板部と、前記第1縦板部と前記第2縦板部とをそれらの間で繋ぐ軸方向連結部と、前記第1縦板部と前記第2縦板部のうち前記嵌合部の上側に位置する部分同士の間に設けられ、前記上側摺動パッドを格納するパッド格納部とを有する。
【0013】
この伸縮ブームでは、内側ブーム本体の下ピースの嵌合部が上ピースの基端部よりも伸縮ブームの基端側に突出しているとともに、その嵌合部内に嵌め込まれた端部部材の第2縦板部が当該嵌合部の内面に溶接されているので、端部部材の外縁部が下ピースの基端部の外面の外側にはみ出るのを防ぐことができる。その結果、伸縮ブームの組み立て時に内側ブームの基端部を外側ブーム内に挿入するときに、内側ブームの基端部が外側ブームの先端部の下部の内面に設けられたパッドストッパ等の構成部材と干渉するのを防ぐことができ、伸縮ブームの組み立て性を向上することができる。また、この伸縮ブームでは、端部部材が内側ブーム本体の下ピースの嵌合部内に嵌め込まれて溶接されているので、この嵌合部と端部部材を一体として内側ブームの基端部の剛性を高めるために用いることができる。すなわち、本構成では、嵌合部を内側ブームの基端部の剛性を高めるための補剛部材の一部として利用することができる。従来の端部部材のように内側ブーム本体の基端部の端面に対向するように配置され、内側ブームの軸方向に間隔をあけて配置された2枚の板体間を連結部で繋ぐような構造のものでは、前記2枚の板体のうち内側ブーム本体の基端部の端面に向き合う一方の板体が内側ブーム本体の基端部の下部と溶接される部分を有するとともに前記連結部が前記2枚の板体の下部同士の間を繋ぐ部分を有する必要があるが、本構成では、それらの部分を嵌合部で代用して内側ブームの基端部の剛性を確保することができるため、それらの部分を省略して端部部材の軽量化を図ることができる。従って、本構成では、端部部材の軽量化を図りつつ、内側ブームの基端部の剛性を確保することができる。さらに、本構成では、嵌合部が上ピースの基端部よりも伸縮ブームの基端側に突出しており、第1縦板部と第2縦板部のうち嵌合部の上側に位置する部分同士の間に上側摺動パッドを格納するパッド格納部が設けられているので、端部部材を嵌合部内に嵌め込んでいても、内側ブームの基端部において上側摺動パッドを外側ブームの上部の内面に摺接可能な適所に保持することができる。
【0014】
上記伸縮ブームにおいて、前記第1縦板部は、前記嵌合部内に嵌め込まれ、その嵌合部の内面に溶接された部分を有することが好ましい。
【0015】
この構成では、第1縦板部と嵌合部の内面との溶接によって端部部材と嵌合部との結合強度を高めることができ、端部部材と嵌合部からなる内側ブームの基端部の剛性をより高めることができる。
【0016】
上記伸縮ブームにおいて、前記嵌合部は、当該嵌合部の上部の開口を形成する左右両側の上縁部を有し、この左右両側の上縁部は、前記内側ブーム本体の軸方向に沿って延び、前記端部部材は、前記第1縦板部及び前記第2縦板部と結合され、前記左側の上縁部上に載置されてその上縁部と溶接された左側載置部と、前記第1縦板部及び前記第2縦板部と結合され、前記右側の上縁部上に載置されてその上縁部と溶接された右側載置部とを有することが好ましい。
【0017】
この構成では、端部部材の左側載置部と嵌合部の左側の上縁部との溶接及び端部部材の右側載置部と嵌合部の右側の上縁部との溶接により、端部部材と嵌合部との結合強度をより高めることができ、端部部材と嵌合部からなる内側ブームの基端部の剛性をさらに高めることができる。
【0018】
上記第1縦板部が嵌合部内に嵌め込まれてその嵌合部の内面に溶接された部分を有する構成において、前記第1縦板部は、前記内側ブーム本体の軸方向に直交する断面における左右方向の中心に対して左右に互いに間隔をあけて配置された左側第1縦板部と右側第1縦板部とからなり、前記第2縦板部は、前記左右方向の中心に対して左右に互いに間隔をあけて配置された左側第2縦板部と右側第2縦板部とからなり、前記軸方向連結部は、前記左側第1縦板部と前記左側第2縦板部とをそれらの間で繋ぐ左側軸方向連結部と、前記右側第1縦板部と前記右側第2縦板部とをそれらの間で繋ぐ右側軸方向連結部とからなり、前記左側軸方向連結部と前記右側軸方向連結部は、前記左右方向の中心に対して左右に互いに間隔をあけて配置されていることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、第1縦板部を構成する左側第1縦板部及び右側第1縦板部のうち嵌合部内に嵌め込まれた部分の嵌合部内面に対する溶接作業を容易に行うことができる。具体的には、仮に、第1縦板部及び第2縦板部がそれぞれ左右に分かれていない一枚板からなる場合には、第1縦板部のうち嵌合部内に嵌め込まれた部分は、内側ブームの基端側から先端側へ向かって見て第2縦板部の背後に隠れ、内側ブームの基端側から嵌合部の内面と第1縦板部との溶接部へアプローチするためのルートがない。このため、嵌合部の内面と第1縦板部との溶接が困難になる。これに対して、本構成では、第1縦板部が左右に間隔をあけて配置された左側第1縦板部と右側第1縦板部とに分かれているとともに、第2縦板部が左右に間隔をあけて配置された左側第2縦板部と右側第2縦板部とに分かれ、さらに、連結部が左右に間隔をあけて配置された左側連結部と右側連結部とに分かれているので、内側ブームの基端側からそれら左右の部材の間のスペースを通じて嵌合部の内面と第1縦板部との溶接部へアプローチすることができる。このため、第1縦板部のうち嵌合部内に嵌め込まれた部分の嵌合部内面に対する溶接作業を容易に行うことができる。
【0020】
この場合において、前記端部部材は、前記左側軸方向連結部と前記右側軸方向連結部との間でそれらの連結部同士を繋ぐ左右間連結部を有することが好ましい。
【0021】
この構成によれば、上記のように端部部材の第1縦板部、第2縦板部及び連結部が左右の部材に分かれていても左右間連結部を介してそれらの左右の部材を連結することができ、端部部材の剛性を確保することができる。
【0022】
本発明による伸縮ブームの製造方法は、上記の伸縮ブームを製造する方法であって、前記外側ブームを形成する外側ブーム形成工程と、前記内側ブームを形成する内側ブーム形成工程と、前記外側ブーム形成工程で形成した外側ブーム内にその外側ブームの先端側から基端側へ向かって、前記内側ブーム形成工程で形成した内側ブームをその基端部から挿入して伸縮ブームを組み立てる伸縮ブーム組立工程とを備え、前記内側ブーム形成工程は、前記上ピースの下端と前記下ピースの上端とを溶接して前記内側ブーム本体を形成する内側ブーム本体形成工程と、前記下ピースの前記嵌合部の内面に前記端部部材の前記第2縦板部の外縁部が接触するようにその第2縦板部を前記嵌合部内に嵌め込む嵌め込み工程と、前記嵌合部内に嵌め込んだ前記第2縦板部の外縁部をその嵌合部の内面に溶接する第2縦板部溶接工程と、前記端部部材の前記第1縦板部を前記上ピースの基端部と溶接する第1縦板部溶接工程とを含む。
【0023】
この伸縮ブームの製造方法では、端部部材の第2縦板部を嵌合部内に嵌め込んでその嵌合部の内面に溶接するので、端部部材の外縁部が下ピースの基端部の外面の外側にはみ出るのを防ぐことができる。このため、内側ブームの基端部を外側ブーム内に挿入するときに、内側ブームの基端部が外側ブームの先端部の下部の内面に設けられたパッドストッパ等の構成部材と干渉するのを防ぐことができ、伸縮ブームの組み立て性を向上することができる。また、この伸縮ブームの製造方法では、端部部材の第2縦板部を内側ブーム本体の下ピースの嵌合部内に嵌め込んだ状態でその第2縦板部を嵌合部の内面に溶接することができるので、溶接作業に係る作業負担を軽減することができる。具体的には、従来のように筒状の内側ブームの本体の基端部の端面に対して端部部材の対向面を突き合わせながらその内側ブームの本体の基端部を端部部材の対向面に対して溶接する場合には、端部部材を持ち上げて内側ブーム本体の基端部に対して正確に位置決めしながらその位置決めした状態を維持することは難しく、作業負担が増大する。これに対して、上記製造方法では、内側ブーム本体の嵌合部の内面に端部部材の第2縦板部の外縁部が接触するようにその第2縦板部を嵌合部内に嵌め込むことによって端部部材を嵌合部に対して仮固定することができるため、内側ブーム本体の嵌合部に対して端部部材を正確に位置決めした状態を容易に維持することができ、その状態で端部部材の第2縦板部を嵌合部の内面に溶接することができる。このため、溶接作業に係る作業負担を軽減することができる。また、この伸縮ブームの製造方法では、端部部材の第2縦板部のうち嵌合部内に嵌め込む部分の左右方向の寸法と嵌合部の左右方向の内寸との間に多少の差がある場合でも、嵌合部の左右両側の部位を左右方向において変位させて嵌合部の左右方向の内寸を第2縦板部のうち嵌合部内に嵌め込む部分の左右方向の寸法に合うように調節することができる。
【0024】
上記伸縮ブームの製造方法において、前記嵌め込み工程及び前記第2縦板部溶接工程は、前記内側ブーム本体形成工程に先立って行われ、当該嵌め込み工程では、前記上ピースと溶接されていない前記下ピースの前記嵌合部内に前記端部部材の前記第2縦板部を嵌め込み、当該第2縦板部溶接工程では、前記上ピースと溶接されていない前記下ピースの前記嵌合部内に嵌め込まれた前記第2縦板部の外縁部をその嵌合部の内面に溶接してもよい。
【0025】
この構成によれば、下ピースが上ピースに溶接される前にその下ピースの嵌合部内に端部部材の第2縦板部を嵌め込んで溶接するので、第2縦板部の左右方向の寸法が嵌合部の左右方向の内寸と多少異なる場合に、嵌合部の左右方向の内寸を第2縦板部の左右方向の寸法に合わせて容易に調節することができる。具体的には、仮に、下ピースを上ピースと溶接した後に下ピースの嵌合部内に端部部材の第2縦板部を嵌め込んで溶接する場合には、嵌合部への第2縦板部の溶接時に嵌合部の左右方向の内寸を第2縦板部の左右方向の寸法に合わせて調節しようとしても、下ピースの左右両側の上端が上ピースによって拘束されているため、当該嵌合部を左右方向において変形させにくく、嵌合部の左右方向の内寸の調節を行いにくい。これに対して、本構成では、端部部材の第2縦板部を嵌合部内に嵌め込んで溶接するときには、まだ下ピースが上ピースに溶接されていないので、下ピースの左右両側の部分が拘束されておらず、嵌合部の左右両側の部分を容易に左右方向に変位させてその嵌合部の左右方向の内寸を第2縦板部のうち嵌合部内に嵌め込まれる部分の左右方向の寸法に合うように容易に調節することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように、本発明によれば、伸縮ブームの組み立て性を改善することができるとともに、内側ブームの基端部において上側摺動パッドを外側ブームの上部の内面に摺接可能な適所に保持することができ、さらに、内側ブームの端部部材の軽量化を図ることができ、且つ、内側ブームの基端部の剛性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態による伸縮ブームが適用されるクレーンの概略的な側面図である。
【図2】本発明の一実施形態による伸縮ブームの外側ブームと内側ブームの軸方に沿った部分的な縦断面図である。
【図3】本発明の一実施形態による伸縮ブームを構成する内側ブームの基端部近傍の斜視図である。
【図4】図3に示した内側ブームの基端部の分解斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態による内側ブームの基端部の第1縦板部と第2縦板部の間の位置における内側ブームの軸方向に直交する方向の断面図である。
【図6】図5に示した内側ブームの基端部に上側摺動パッドを装着した状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0029】
まず、図1〜図6を参照して、本発明の一実施形態による伸縮ブームの構成について説明する。
【0030】
本実施形態による伸縮ブーム2は、図1に示すようなクレーンの上部旋回体102に起伏自在に設けられており、伸縮可能に構成されている。この伸縮ブーム2の先端には、図略のワイヤロープを介して吊荷が吊り下げられる。
【0031】
そして、本実施形態の伸縮ブーム2は、複数のブーム材3と、複数の下側摺動パッド6(図2参照)と、複数の上側摺動パッド8(図2及び図6参照)とを備えている。
【0032】
各ブーム材3は、互いに径の異なる筒状に形成されており、大径のブーム材3の内側に小径のブーム材3が挿入されることによってこれらのブーム材3同士が組み合わされている。これら複数のブーム材3のうち大径のブーム材3でその内側に小径のブーム材3を受け入れるブーム材3が外側ブーム12であり、その外側ブーム12内に挿入されたブーム材3が内側ブーム14である。従って、伸縮ブーム2の最も基端側に位置するブーム材3は、外側ブーム12であり、伸縮ブーム2の最も先端側に位置するブーム材3は、内側ブーム14であるが、それら以外のブーム材3は、外側ブーム12であると同時に内側ブーム14でもある。なお、以下の説明において、「基端側」とは、伸縮ブーム2の基端側のことを意味し、「基端部」とは、伸縮ブーム2の基端側に位置する端部のことを意味する。また、「先端側」とは、伸縮ブーム2の先端側のことを意味し、「先端部」とは、伸縮ブーム2の先端側に位置する端部のことを意味する。
【0033】
外側ブーム12は、筒状の外側ブーム本体16を備えている。この外側ブーム本体16は、後述する内側ブーム本体22と基本的に共通の構造を有する。外側ブーム本体16は、上ピース17と、下ピース18とを有する(図2参照)。上ピース17と下ピース18は、それぞれ金属板を曲げ加工することによって形成されている。
【0034】
上ピース17は、その軸方向に直交する断面において左右方向に直線的に延びる天板部の左右両側に丸みを帯びた角部がそれぞれ形成され、その両角部から下方へ直線的に延びる左右の側板部が形成された形状を有する。また、上ピース17は、その軸方向に直交する断面において下部が開口した形状を有する。
【0035】
下ピース18は、その軸方向に直交する断面において上部が開口した左右対称の湾曲形状を呈するように形成されている。具体的には、下ピース18は、その軸方向に直交する断面において上向きに凹の湾曲形状を呈する湾曲部と、その湾曲部の左右両端から上方へ直線的に延びる左右の側板部とを有する。下ピース18は、その上部の開口を形成する左右両側の側板部の上端において上ピース17の左右両側の側板部の下端と溶接されており、それによって、筒状の外側ブーム本体16が形成されている。
【0036】
下側摺動パッド6は、外側ブーム12に対して軸方向に相対移動する内側ブーム14の下部の外面に摺接してその内側ブーム14を下から支えるものである。この下側摺動パッド6は、外側ブーム12の先端部の下部の内面、具体的には、外側ブーム本体16の下ピース18の湾曲部の先端部の内面に設けられている。また、下側摺動パッド6は、下ピース18の湾曲部の内面の湾曲形状に沿って並ぶように複数設置されている。そして、下ピース18の先端部の内面のうち各下側摺動パッド6の基端側(後側)には、その下側摺動パッド6を固定するためのパッドストッパ9がそれぞれ設けられている。
【0037】
内側ブーム14は、外側ブーム12に対して軸方向に相対移動可能であり、当該内側ブーム14の相対移動によって伸縮ブーム2が伸縮するようになっている。内側ブーム14は、内側ブーム本体22と、端部部材24とを有する。
【0038】
内側ブーム本体22は、筒状に形成されており、その軸方向に直交する断面が外側ブーム本体16の軸方向に直交する断面と相似形となるように形成されている。また、内側ブーム本体22は、上ピース26と、下ピース28とを有する。
【0039】
上ピース26は、内側ブーム本体22の軸方向に直交する断面において上側の部分を構成するものである。この上ピース26は、金属板を曲げ加工することによって形成されており、その軸方向に直交する断面において上記した外側ブーム本体16の上ピース17と同様の断面形状を呈するように形成されている。
【0040】
下ピース28は、内側ブーム本体22の軸方向に直交する断面において下側の部分を構成するものである。この下ピース28は、金属板を曲げ加工することによって形成されており、その軸方向に直交する断面において上記した外側ブーム本体16の下ピース18と同様の断面形状を呈するように形成されている。すなわち、この下ピース28は、その軸方向に直交する断面において上部が開口した左右対称の湾曲形状を呈するように形成されている。具体的には、下ピース28は、その軸方向に直交する断面において上向きに凹の湾曲形状を呈し、当該下ピース28の底部を構成する湾曲部と、その湾曲部の左右両端から上方へ直線的に延びる左右の側板部とを有する。下ピース28は、その上部の開口を形成する左右の側板部の上端において上ピース26の左右の側板部の下端と溶接されており、それによって、筒状の内側ブーム本体22が形成されている。また、下ピース28の基端部(伸縮ブーム2の基端側に位置する端部)には、上ピース26の基端部よりも伸縮ブーム2の基端側に突出した嵌合部28eが形成されている(図3及び図4参照)。
【0041】
嵌合部28eは、その内部に端部部材24が嵌め込まれる部分である。この嵌合部28eは、下ピース28の一部であり、その軸方向に直交する方向の断面形状は、上記した下ピース28の断面形状と同じである。すなわち、この嵌合部28eは、下ピース28の湾曲部と同様の断面形状を有する湾曲部28fと、下ピース28の左の側板部と同様の断面形状を有する左側板部28gと、下ピース28の右の側板部と同様の断面形状を有する右側板部28hとを有する(図5参照)。また、嵌合部28eは、下ピース28の左側の上端と連続するように延びる左側上縁部28iと、下ピース28の右側の上端と連続するように延びる右側上縁部28jとを有する。左側上縁部28iは、左側板部28gの上端に相当し、右側上縁部28jは、右側板部28hの上端に相当する。左側上縁部28iと右側上縁部28jは、嵌合部28eの上部の開口を形成しており、内側ブーム本体22の軸方向に沿って延びている。
【0042】
端部部材24は、内側ブーム本体22の基端部の剛性を高めるための部材であり、且つ、上側摺動パッド8を保持する部材である。この端部部材24は、第1縦板部31と、第2縦板部32と、軸方向連結部33と、左側載置部34aと、右側載置部34bと、左側パッド支持部35aと、右側パッド支持部35bと、左端板部36aと、右端板部36bと、左右間連結部37とを有する。これら各部31,32,33,34a,34b,35a,35b,36a,36b,37は、それぞれ金属板からなる。
【0043】
第1縦板部31は、内側ブーム本体22の軸方向に対して直交するように配置されるとともに上ピース26の基端部と向き合い且つその基端部と接触するように配置され、その状態で当該上ピース26の基端部と溶接されている。また、第1縦板部31は、嵌合部28e内に嵌め込まれ、その嵌合部28eの内面に溶接された部分を有する。
【0044】
具体的には、第1縦板部31は、内側ブーム本体22の軸方向に直交する断面における左右方向の中心に対して左右に互いに間隔をあけて配置された左側第1縦板部31aと右側第1縦板部31bとからなる。左側第1縦板部31aと右側第1縦板部31bは、前記左右方向の中心に対して左右に等距離をおいて配置されているとともにその中心に対して左右対称となる形状に形成されている。また、左側第1縦板部31a及び右側第1縦板部31bは、共に内側ブーム本体22の軸方向に対して直交する平板状に形成されている。
【0045】
左側第1縦板部31aは、嵌合部28e内に嵌め込まれる左側第1縦板下側部31cと、嵌合部28eの上部の開口から突出し、嵌合部28eの左側上縁部28iよりも上側に配置される左側第1縦板上側部31dとを有する。
【0046】
左側第1縦板下側部31cは、嵌合部28eの左側の内面に沿った形状の外縁部31eを有している。左側第1縦板下側部31cは、その外縁部31eが嵌合部28eの左側の内面に接触した状態で嵌合部28e内に嵌め込まれている。そして、外縁部31eは、その外縁に沿って嵌合部28eの内面に溶接されている。
【0047】
左側第1縦板上側部31dは、上ピース26の基端部の左側の部分の端面と向き合うように配置されている。左側第1縦板上側部31dは、その左端部から上端部にかけての部分が上ピース26の外面よりも外側に僅かにはみ出るように形成されている。左側第1縦板上側部31dのうち上ピース26の基端部に向き合う面に対して上ピース26の基端部がその外縁に沿って溶接されている。また、左側第1縦板上側部31d及び左側第1縦板下側部31cの右端、すなわち左側第1縦板部31aの右端は、上下に直線的に延びている。
【0048】
右側第1縦板部31bは、内側ブーム本体22の前記左右方向の中心に対して左側第1縦板部31aと対称となるように配置されているとともにその左側第1縦板部31aと左右対称となる形状に形成されている。すなわち、右側第1縦板部31bは、前記左側第1縦板下側部31cと左右対称となるように形成及び配置された右側第1縦板下側部31hと、前記左側第1縦板上側部31dと左右対称となるように形成及び配置された右側第1縦板上側部31iとを有する。右側第1縦板下側部31hは、左側第1縦板下側部31cの外縁部31eと左右対称の外縁部31jを有している。この外縁部31jは、前記外縁部31eと同様にして、嵌合部28eの右側の内面に溶接されている。また、右側第1縦板上側部31iは、前記左側第1縦板上側部31dと同様にして、上ピース26の基端部と溶接されている。
【0049】
第2縦板部32(図3及び図4参照)は、第1縦板部31に対して伸縮ブーム2の基端側に間隔をあけてその第1縦板部31と平行に配置され、その状態で嵌合部28e内に嵌め込まれて嵌合部28eの内面に溶接されている。
【0050】
具体的には、第2縦板部32は、内側ブーム本体22の軸方向に直交する断面における左右方向の中心に対して左右に互いに間隔をあけて配置された左側第2縦板部32aと右側第2縦板部32bとからなる。左側第2縦板部32aと右側第2縦板部32bは、前記左右方向の中心に対して左右に等距離をおいて配置されているとともにその中心に対して左右対称となる形状に形成されている。また、左側第2縦板部32a及び右側第2縦板部32bは、共に内側ブーム本体22の軸方向に対して直交する平板状に形成されている。左側第2縦板部32a及び右側第2縦板部32bは、嵌合部28eの基端から僅かに先端寄りの位置に配置されている。
【0051】
左側第2縦板部32aは、左側第1縦板部31aと同様の形状に形成されている。すなわち、左側第2縦板部32aは、左側第1縦板下側部31cと同様に構成された左側第2縦板下側部32cと、左側第1縦板上側部31dと同様に構成された左側第2縦板上側部32dとを有する。左側第2縦板下側部32cは、左側第1縦板下側部31cと同様、嵌合部28e内に嵌め込まれてその外縁部32eが嵌合部28eの左側の内面に溶接されている。
【0052】
右側第2縦板部32bは、右側第1縦板部31bと同様の形状に形成されている。すなわち、右側第2縦板部32bは、右側第1縦板下側部31hと同様に構成された右側第2縦板下側部32hと、右側第1縦板上側部31iと同様に構成された右側第2縦板上側部32iとを有する。右側第2縦板下側部32hは、右側第1縦板下側部31hと同様、嵌合部28e内に嵌め込まれてその外縁部32jが嵌合部28eの右側の内面に溶接されている。
【0053】
軸方向連結部33は、第1縦板部31と第2縦板部32とをそれらの間で繋ぐものである。軸方向連結部33は、左側第1縦板部31aと左側第2縦板部32aとをそれらの間で繋ぐ左側軸方向連結部33aと、右側第1縦板部31bと右側第2縦板部32bとをそれらの間で繋ぐ右側軸方向連結部33bとからなる。左側軸方向連結部33aと右側軸方向連結部33bとは、内側ブーム本体22の前記左右方向の中心に対して左右に互いに間隔をあけて配置されている。具体的には、左側軸方向連結部33aと右側軸方向連結部33bは、前記左右方向の中心に対して左右に等距離をおいて配置されているとともに前記左右方向の中心に対して左右対称となる形状に形成されている。
【0054】
左側軸方向連結部33aは、左側第1縦板部31aと左側第2縦板部32aの右端同士を連結している。左側軸方向連結部33aは、左側第1縦板部31a及び左側第2縦板部32aの右端の上下寸法と等しい上下寸法を有し、それらの縦板部31a,32aの右端に沿って配置された矩形状の平板からなる。左側軸方向連結部33aは、左側第1縦板部31a及び左側第2縦板部32aに対して垂直に配置されている。左側軸方向連結部33aの先端側(前側)の端縁と左側第1縦板部31aの右端縁が、それら両端縁の延びる方向に沿って互いに溶接されているとともに、左側軸方向連結部33aの基端側(後側)の端縁と左側第2縦板部32aの右端縁が、それら両端縁の延びる方向に沿って互いに溶接されている。また、左側軸方向連結部33aの下端は、嵌合部28eの底部の内面に溶接されている。
【0055】
右側軸方向連結部33bは、右側第1縦板部31bと右側第2縦板部32bの左端同士を連結している。この右側軸方向連結部33bは、左側軸方向連結部33aと左側第1縦板部31a及び左側第2縦板部32aとの接合構造と同様の接合構造で右側第1縦板部31b及び右側第2縦板部32bと溶接されている。また、右側軸方向連結部33bの下端は、左側軸方向の連結部33aの下端と同様、嵌合部28eの底部の内面に溶接されている。
【0056】
左側載置部34aは、左側第1縦板部31a、左側第2縦板部32a及び左側軸方向連結部33aと結合されており、嵌合部28eの左側上縁部28i上に載置されてその左側上縁部28iと溶接されている。具体的には、この左側載置部34aは、左側第1縦板部31a、左側第2縦板部31b及び左側軸方向連結部33aに対して垂直に配置された平板からなる。左側載置部34aは、左側第1縦板下側部31cの外縁部31e及び左側第2縦板下側部32cの外縁部32eが嵌合部28eの左側の湾曲した内面に接触するようにそれら両縦板下側部31c,32cが嵌合部28e内に嵌め込まれた状態で当該左側載置部34aの下面が嵌合部28eの左側上縁部28iに接触するように配置されている。左側載置部34aは、左側第1縦板部31a、左側第2縦板部32a及び左側軸方向連結部33aによって囲まれた空間内に配置された部分と、その部分から左側に僅かに延出された部分とを有する。そして、左側載置部34aの右端縁は、左側軸方向連結部33aの左側面に溶接され、左側載置部34aのうち左側第1縦板部31a、左側第2縦板部32a及び左側軸方向連結部33aによって囲まれた空間内に配置された部分の先端側の端縁は、左側第1縦板部31aの基端側の面に溶接され、当該部分の基端側の端縁は、左側第2縦板部32aの先端側の面に溶接されている。また、左側載置部34aは、左側第1縦板上側部31dのうち左側第1縦板下側部31cの左端よりも左側に突出した左端部の下側に入り込む部分を有し、この部分の上面に左側第1縦板上側部31dの前記突出した左端部の下端が溶接されている。また、左側載置部34aは、左側第2縦板上側部32dのうち左側第2縦板下側部32cの左端よりも左側に突出した左端部の下側に入り込む部分を有し、この部分の上面に左側第2縦板上側部32dの前記突出した左端部の下端が溶接されている。また、左側載置部34aは、その下面が嵌合部28eの左側上縁部28iに接触するように配置されており、その下面に左側上縁部28iが当該左側上縁部28iの延びる方向に沿って溶接されている。
【0057】
右側載置部34bは、右側第1縦板部31b、右側第2縦板部32b及び右側軸方向連結部33bと結合されており、嵌合部28eの右側上縁部28j上に載置されてその右側上縁部28jと溶接されている。この右側載置部34bは、左側載置部34aと左右対称の形状に形成されているとともに、左側載置部34aと左右対称に配置されている。そして、右側載置部34bは、左側第1縦板部31a、左側第2縦板部32a及び左側軸方向連結部33aに対する左側載置部34aの溶接と同様にして、右側第1縦板部31b、右側第2縦板部32b及び右側軸方向連結部33bに対して溶接されている。また、右側載置部34bは、嵌合部28eの左側上縁部28iに対する左側載置部34aの溶接と同様にして嵌合部28eの右側上縁部28jに対して溶接されている。
【0058】
左側パッド支持部35aは、後述する左上側摺動パッド8aを下から支持する部分である。この左側パッド支持部35aは、矩形状の平板であり、左側載置部34aから上側に間隔をあけて配置されている。左側パッド支持部35aは、左側第1縦板上側部31d、左側第2縦板上側部32d及び左側軸方向連結部33aに対して垂直に配置されており、それら各部31d,32d,33aによって囲まれた空間内に配置されている。そして、左側パッド支持部35aの右端縁は、左側軸方向連結部33aの左側面に溶接され、左側パッド支持部35aの先端側の端縁は、左側第1縦板上側部31dの基端側の面に溶接され、左側パッド支持部35aの基端側の端縁は、左側第2縦板上側部32dの先端側の面に溶接されている。この左側パッド支持部35aと、左側第1縦板上側部31d、左側第2縦板上側部32d及び左側軸方向連結部33aのうち当該左側パッド支持部35aよりも上側に位置する部位とによって、左上側摺動パッド8aを格納する左側パッド格納部24aが構成されている。
【0059】
右側パッド支持部35b(図5及び図6参照)は、後述する右上側摺動パッド8bを下から支持する部分である。この右側パッド支持部35bは、左側パッド支持部35aと左右対称の形状に形成されているとともに、左側パッド支持部35aと左右対称に配置されている。また、右側パッド支持部35bは、左側第1縦板上側部31d、左側第2縦板上側部32d及び左側軸方向連結部33aに対する左側パッド支持部35aの溶接と同様にして、右側第1縦板上側部31i、右側第2縦板上側部32i及び右側軸方向連結部33bに対して溶接されている。この右側パッド支持部35bと、右側第1縦板上側部31i、右側第2縦板上側部32i及び右側軸方向連結部33bのうち当該右側パッド支持部35bよりも上側に位置する部位とによって、右上側摺動パッド8bを格納する右側パッド格納部24bが構成されている。
【0060】
左端板部36aは、左側載置部34a、左側パッド支持部35a、左側第1縦板上側部31d及び左側第2縦板上側部32dに対して垂直に配置された矩形状の平板からなり、それら各部34a,35a,31d,32dによって囲まれた空間内に嵌め込まれている。左端板部36aは、左側パッド支持部35a、左側第1縦板上側部31d及び左側第2縦板上側部32dの左端近傍に配置されている。左端板部36aの上端縁は、左側パッド支持部35aの下面に溶接されており、左端板部36aの下端縁は、左側載置部34aの上面に溶接されている。また、左端板部36aの先端側の端縁は、左側第1縦板上側部31dの基端側の面に溶接され、左端板部36aの基端側の端縁は、左側第2縦板上側部32dの先端側の面に溶接されている。
【0061】
右端板部36bは、右側載置部34b、右側パッド支持部35b、右側第1縦板上側部31i及び右側第2縦板上側部32iに対して垂直に配置された矩形状の平板からなり、それら各部34b,35b,31i,32iによって囲まれた空間内に嵌め込まれている。右端板部36bは、左端板部36aと左右対称に配置されており、左端板部36aが左側載置部34a、左側パッド支持部35a、左側第1縦板上側部31d及び左側第2縦板上側部32dに溶接されているのと同様にして、右側載置部34b、右側パッド支持部35b、右側第1縦板上側部31i及び右側第2縦板上側部32iに溶接されている。
【0062】
左右間連結部37は、左側軸方向連結部33aと右側軸方向連結部33bとの間でそれらの連結部33a,33b同士を繋ぐものである。この左右間連結部37は、左側軸方向連結部33a及び右側軸方向連結部33bに対して垂直に配置されるとともに第1縦板部31及び第2縦板部32に対して垂直に配置された矩形状の平板からなる。左右間連結部37は、左側軸方向連結部33a及び右側軸方向連結部33bの上端部同士の間に配置されている。そして、左右間連結部37の左端縁は、左側軸方向連結部33aの上端部の右側面に対して溶接され、左右間連結部37の右端部は、右側軸方向連結部33bの上端部の左側面に対して溶接されている。
【0063】
上側摺動パッド8は、外側ブーム12内に挿入された内側ブーム14の基端部に設けられ、内側ブーム14が外側ブーム12に対して軸方向に相対移動するときに外側ブーム12の上部の内面に対して摺動するものである。具体的には、この上側摺動パッド8は、左上側摺動パッド8aと、右上側摺動パッド8bとからなる。左上側摺動パッド8aは、左側第1縦板上側部31d及び左側第2縦板上側部32dの外縁から外側に突出するように左側パッド格納部24a内に格納されており、外側ブーム本体16の上ピース17の左上部の内面に摺接している。右上側摺動パッド8bは、右側第1縦板上側部31i及び右側第2縦板上側部32iの外縁から外側に突出するように右側パッド格納部24b内に格納されており、外側ブーム本体16の上ピース17の右上部の内面に摺接している。
【0064】
次に、本発明の一実施形態による伸縮ブーム2の製造方法について説明する。
【0065】
本実施形態による伸縮ブーム2の製造方法では、伸縮ブーム2を構成する各ブーム材3を形成する。すなわち、前記外側ブーム12及び前記内側ブーム14を形成する。
【0066】
外側ブーム12の形成工程では、上ピース17と下ピース18をそれぞれ金属板を曲げ加工することによって形成し、その形成した上ピース17と下ピース18とを互いに溶接することによって筒状の外側ブーム本体16を形成する。そして、その外側ブーム本体16の先端部の下部の内面には、パッドストッパ9等の構成部材を取り付ける。
【0067】
内側ブーム14の形成工程では、内側ブーム本体22と、端部部材24とをそれぞれ形成する。
【0068】
内側ブーム本体22の形成工程では、まず、上ピース26と下ピース28をそれぞれ金属板を曲げ加工することによって形成する。その後、上ピース26の左右の下端縁と下ピース28の左右の上端縁とを突き合わせ、それらの端縁同士をそれらの端縁の延びる方向に沿って溶接する。この時、下ピース28の基端部が上ピース26の基端部に対して前記嵌合部28eの分だけ突出するように下ピース28に対して上ピース26を配置した状態で溶接を行う。このようにして、内側ブーム本体22が形成される。
【0069】
端部部材24の形成工程では、端部部材24を構成する左側第1縦板部31a、左側第2縦板部32a、左側軸方向連結部33a、左側載置部34a、左側パッド支持部35a、左端板部36a、右側第1縦板部31b、右側第2縦板部32b、右側軸方向連結部33b、右側載置部34b、右側パッド支持部35b、右端板部36b及び左右間連結部37の各板材を形成し、それらの板材同士を溶接することによって上記構造の端部部材24を形成する。
【0070】
次に、上記のように形成した内側ブーム本体22の嵌合部28eの内面に端部部材24の左側第1縦板下側部31c、右側第1縦板下側部31h、左側第2縦板下側部32c及び右側第2縦板下側部32hの各々の外縁部が接触するようにそれら左側第1縦板下側部31c、右側第1縦板下側部31h、左側第2縦板下側部32c及び右側第2縦板下側部32hを嵌合部28e内に嵌め込む。この時、左側第1縦板上側部31dのうち左側第2縦板上側部32dと反対側を向く面と右側第1縦板上側部31iのうち右側第2縦板上側部32iと反対側を向く面が上ピース26の基端部に当接し、左側載置部34aが嵌合部28eの左側上縁部28iに載置され、右側載置部34bが嵌合部28eの右側上縁部28j上に載置されるように、端部部材24を配置する。
【0071】
次に、端部部材24のうち嵌合部28e内に嵌め込んだ部分を嵌合部28eの内面に溶接する。具体的には、左側第1縦板下側部31cの外縁部31e、右側第1縦板下側部31hの外縁部31j、左側第2縦板下側部32cの外縁部32e、右側第2縦板下側部32hの外縁部32j、左側軸方向連結部33aの下端及び右側軸方向連結部33bの下端をそれぞれ嵌合部28eの内面に溶接する。ここで、作業者は、左側第1縦板下側部31cの外縁部31e及び右側第1縦板下側部31hの外縁部31jの溶接時には、端部部材24の基端側から左側軸方向連結部33aと右側軸方向連結部33bとの間のスペースを通じてそれらの外縁部31e,31jにアプローチし、それらの外縁部31e,31jのうち内側ブーム14の先端側に面する部位を嵌合部28eの内面に溶接する。
【0072】
また、端部部材24の左側第1縦板上側部31d及び右側第1縦板上側部31iを上ピース26の基端部と溶接する。具体的には、左側第1縦板上側部31dのうち左側第2縦板上側部32dと反対側を向く面に上ピース26の基端部の左側の部分をその外縁に沿って溶接し、右側第1縦板上側部31iのうち右側第2縦板上側部32iと反対側を向く面に上ピース26の基端部の右側の部分をその外縁に沿って溶接する。
【0073】
さらに、左側載置部34aの下面に嵌合部28eの左側上縁部28iをその外縁に沿って溶接し、右側載置部34bの下面に嵌合部28eの右側上縁部28jをその外縁に沿って溶接する。以上のようにして、内側ブーム14が形成される。
【0074】
次に、このように形成した内側ブーム14の端部部材24の左側パッド格納部24aに左上側摺動パッド8aを格納し、その内側ブーム14の端部部材24の右側パッド格納部24bに右上側摺動パッド8bを格納する。
【0075】
そして、上側摺動パッド8a,8bを装着した内側ブーム14をその基端部から、外側ブーム12内に当該外側ブーム12の先端側から基端側へ向かって挿入する。同様に、その内側ブーム14を外側ブーム12として、さらにその内側に別の内側ブーム14を挿入する作業を順次行い、それによって伸縮ブーム2を組み立てる。なお、下側摺動パッド6は、内側ブーム14を外側ブーム12内に挿入した後、外側ブーム12の下部の内面に設置する。以上のようにして、伸縮ブーム2が作製される。
【0076】
本実施形態では、内側ブーム本体22の下ピース28の嵌合部28eが上ピース26の基端部よりも伸縮ブーム2の基端側に突出しているとともに、その嵌合部28e内に嵌め込まれた端部部材24の第1縦板部31及び第2縦板部32が当該嵌合部28eの内面に溶接されているので、端部部材24の下部の外縁部が下ピース28の基端部の外面の外側にはみ出るのを防ぐことができる。その結果、伸縮ブーム2の組み立て時に内側ブーム14の基端部を外側ブーム12内に挿入するときに、内側ブーム14の基端部が外側ブーム12の先端部の下部の内面に設けられたパッドストッパ9等の構成部材と干渉するのを防ぐことができ、伸縮ブーム2の組み立て性を向上することができる。
【0077】
また、本実施形態では、端部部材24が内側ブーム本体22の下ピース28の嵌合部28e内に嵌め込まれて溶接されているので、この嵌合部28eと端部部材24を一体として内側ブーム14の基端部の剛性を高めるために用いることができる。すなわち、本実施形態では、嵌合部28eを内側ブーム14の基端部の剛性を高めるための補剛部材の一部として利用することができる。従来の内側ブーム本体の基端部の端面に対向するように配置され、内側ブームの軸方向に間隔をあけて配置された2枚の板体間を連結部で繋ぐような構造の端部部材は、前記連結部が前記2枚の板体の下部同士をそれらの外縁に略沿うように繋ぐ部分を有するが、本実施形態では、その部分を嵌合部28eで代用して内側ブーム14の基端部の剛性を確保することができる。このため、本実施形態では、端部部材24から第1縦板部31と第2縦板部32の下部同士をそれらの下部の外縁に沿うように連結する部分を省略して端部部材24の軽量化を図ることができる。従って、本実施形態では、端部部材24の軽量化を図りつつ、内側ブーム14の基端部の剛性を確保することができる。
【0078】
さらに、本実施形態では、嵌合部28eが上ピース17の基端部よりも伸縮ブーム2の基端側に突出しており、嵌合部28eの上側に位置する左側第1縦板上側部31dと左側第2縦板上側部32dとの間に左上側摺動パッド8aを格納する左側パッド格納部24aが設けられ、嵌合部28eの上側に位置する右側第1縦板上側部31iと右側第2縦板上側部32iとの間に右上側摺動パッド8bを格納する右側パッド格納部24bが設けられているので、端部部材24を嵌合部28e内に嵌め込んでいても、内側ブーム14の基端部において左上側摺動パッド8a及び右上側摺動パッド8bを外側ブーム12の上部の内面に摺接可能な適所に保持することができる。
【0079】
また、本実施形態では、左側第1縦板部31aが嵌合部28e内に嵌め込まれてその嵌合部28eの内面に溶接された左側第1縦板下側部31cを有し、右側第1縦板部31bが嵌合部28e内に嵌め込まれてその嵌合部28eの内面に溶接された右側第1縦板下側部31hを有するため、例えば第2縦板部32のみが嵌合部28eの内面に溶接されている場合に比べて端部部材24と嵌合部28eとの結合強度を高めることができ、端部部材24と嵌合部28eからなる内側ブーム14の基端部の剛性をより高めることができる。
【0080】
また、本実施形態では、端部部材24の左側載置部34aと嵌合部28eの左側上縁部28iとが溶接されているとともに端部部材24の右側載置部34bと嵌合部28eの右側上縁部28jとが溶接されているため、端部部材24と嵌合部28eとの結合強度をより高めることができ、端部部材24と嵌合部28eからなる内側ブーム14の基端部の剛性をさらに高めることができる。
【0081】
また、本実施形態では、左側第1縦板部31a、左側第2縦板部32a及び左側軸方向連結部33aと、右側第1縦板部31b、右側第2縦板部32b及び右側軸方向連結部33bとが左右に間隔をあけて配置されているため、嵌合部28eの内面に対する左側第1縦板部31a及び右側第1縦板部31bの溶接時に内側ブーム14の基端側からそれらの左右の部材間のスペースを通じて、左側第1縦板下側部31cの外縁部31eと右側第1縦板下側部31hの外縁部31jにアプローチすることができる。このため、嵌合部28e内で左側第1縦板下側部31cが左側第2縦板下側部32cの背後に隠れているとともに右側第1縦板下側部31hが右側第2縦板下側部32hの背後に隠れていても、左側第1縦板下側部31cの外縁部31e及び右側第1縦板下側部31hの外縁部31jの嵌合部28eの内面に対する溶接作業を容易に行うことができる。
【0082】
また、本実施形態では、端部部材24の左側軸方向連結部33aと右側軸方向連結部33bとが左右間連結部37によって連結されているため、端部部材24の左側第1縦板部31a、左側第2縦板部32a及び左側軸方向連結部33aと、端部部材24の右側第1縦板部31b、右側第2縦板部32b及び右側軸方向連結部33bとが左右に間隔をあけて配置されていても左右間連結部37を介してそれらの左右の部材を一体化することができ、端部部材24の剛性を確保することができる。
【0083】
また、本実施形態では、内側ブーム14の形成工程において、下ピース28の嵌合部28eの内面に左側第1縦板下側部31cの外縁部31e、右側第1縦板下側部31hの外縁部31j、左側第2縦板下側部32cの外縁部32e及び右側第2縦板下側部32hの外縁部32jが接触するように端部部材24のそれら各縦板下側部31c,31h,32c,32hを嵌合部28e内に嵌め込み、その後、その嵌め込んだ縦板下側部31c,31h,32c,32hの外縁部31e,31j,32e,32jを嵌合部28eの内面に溶接するため、溶接作業に係る作業負担を軽減することができる。具体的には、本実施形態では、嵌合部28eの内面に端部部材24の左側第1縦板下側部31cの外縁部31e、右側第1縦板下側部31hの外縁部31j、左側第2縦板下側部32cの外縁部32e及び右側第2縦板下側部32hの外縁部32jが接触するようにそれらの縦板下側部31c,31h,32c,32hを嵌合部28e内に嵌め込むことによって端部部材24を嵌合部28eに対して仮固定することができるため、嵌合部28eに対して端部部材24を正確に位置決めした状態を容易に維持することができ、その状態で縦板下側部31c,31h,32c,32hの外縁部31e,31j,32e,32jを嵌合部28eの内面に溶接することができる。このため、溶接作業に係る作業負担を軽減することができる。
【0084】
また、本実施形態では、端部部材24の第1縦板部31及び第2縦板部32のうち嵌合部28e内に嵌め込む部分の左右方向の寸法(左側第1縦板下側部31cの左端と右側第1縦板下側部31hの右端との間の寸法及び左側第2縦板下側部32cの左端と右側第2縦板下側部32hの右端との間の寸法)と嵌合部28eの左右方向の内寸との間に多少の差がある場合でも、嵌合部28eの左側板部28g及び右側板部28hを左右方向において変位させて嵌合部28eの左右方向の内寸を第1縦板部31及び第2縦板部32のうち嵌合部28e内に嵌め込む部分の左右方向の寸法に合うように調節することができる。
【0085】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0086】
例えば、伸縮ブーム2の製造工程において、嵌合部28eに端部部材24を嵌め込む嵌め込み工程及びその嵌め込んだ端部部材24を嵌合部28eの内面に溶接する溶接工程は、上ピース26と下ピース28とを互いに溶接する内側ブーム本体22の形成工程に先立って行ってもよい。具体的には、嵌合部28eへの端部部材24の嵌め込み工程では、上ピース26と溶接されていない下ピース28の嵌合部28e内に端部部材24の左右の第1縦板下側部31c,31h及び左右の第2縦板下側部32c,32hを嵌め込み、その後、嵌合部28eに対する端部部材24の第1縦板下側部31c,31h及び第2縦板下側部32c,32hの溶接工程では、上ピース26と溶接されていない下ピース28の嵌合部28e内に嵌め込まれた左側第1縦板下側部31cの外縁部31e、右側第1縦板下側部31hの外縁部31j、左側第2縦板下側部32cの外縁部32e及び右側第2縦板下側部32hの外縁部32jを嵌合部28eの内面に溶接してもよい。
【0087】
この構成によれば、下ピース28が上ピース26に溶接される前にその下ピース28の嵌合部28e内に端部部材24の第1縦板下側部31c,31h及び第2縦板下側部32c,32hを嵌め込んで溶接するので、その嵌合部28e内に嵌め込む部分の左右方向の寸法(左側第1縦板下側部31cの左端と右側第1縦板下側部31hの右端との間の寸法及び左側第2縦板下側部32cの左端と右側第2縦板下側部32hの右端との間の寸法)が嵌合部28eの左右方向の内寸と多少異なる場合に、嵌合部28eの左右方向の内寸をその嵌め込む部分の左右方向の寸法に合わせて容易に調節することができる。具体的には、下ピース28を上ピース26と溶接した後に下ピース28の嵌合部28e内に第1縦板下側部31c,31h及び第2縦板下側部32c,32hを嵌め込んで溶接する場合には、下ピース28の左右両側の上端が上ピース26によって拘束されているため、嵌合部28eの左側板部28g及び右側板部28hを左右方向において変形させにくく、嵌合部28eの左右方向の内寸の調節を行いにくい。これに対して、この構成では、端部部材24の第1縦板下側部31c,31h及び第2縦板下側部32c,32hを嵌合部28e内に嵌め込んで溶接するときには、まだ下ピース28が上ピース26に溶接されていないので、下ピース28の左右両側の上端が拘束されておらず、嵌合部28eの左側板部28g及び右側板部28hを容易に左右方向に変位させてその嵌合部28eの左右方向の内寸を端部部材24のうち嵌合部28e内に嵌め込まれる部分の左右方向の寸法に合うように容易に調節することができる。
【0088】
上記形態において、嵌合部28e内に嵌め込まれた左側第1縦板下側部31c、右側第1縦板下側部31h、左側第2縦板下側部32c及び右側第2縦板下側部32hの外縁部31e,31j,32e,32jのうち嵌合部28eの湾曲部28fの内面に接触した部分のみを溶接し、嵌合部28eの左右の側板部28g,28hの内面に接触した部分は溶接しなくてもよい。
【0089】
また、上記形態において、左側第1縦板下側部31cの外縁部31e及び右側第1縦板下側部31hの外縁部31jと嵌合部28eの内面との溶接を省略してもよい。
【0090】
また、左側第1縦板部31aから左側第1縦板下側部31cを省略してもよく、右側第1縦板部31bから右側第1縦板下側部31hを省略してもよい。
【0091】
また、左側載置部34aと嵌合部28eの左側上縁部28iとの溶接及び右側載置部34bと嵌合部28eの右側上縁部28jとの溶接を省略してもよい。
【0092】
また、端部部材24から左側載置部34a及び右側載置部34bを省略してもよい。
【0093】
また、端部部材24から左端板部36a及び右端板部36bを省略してもよい。
【0094】
また、端部部材24から左右間連結部37を省略してもよい。
【0095】
また、左右間連結部は、上記のようなものに限定されず、左右に分かれて配置された端部部材の構成部材同士をそれらの間で繋ぐものであればどのような構成のものであってもよい。例えば、左右間連結部は、柱状の部材等であってもよい。
【0096】
また、第1縦板部は、左右に分割されていない1枚の板体からなっていてもよく、第2縦板部も同様に左右に分割されていない1枚の板体からなっていてもよい。
【0097】
また、左側第1縦板部31aと右側第1縦板部31bの上端部同士の間には、それらを連結する部分が設けられていてもよく、左側第1縦板部31aと右側第1縦板部31bの下端部同士の間には、それらを連結する部分が設けられていてもよい。
【0098】
また、左側第2縦板部32aと右側第2縦板部32bの上端部同士の間には、それらを連結する部分が設けられていてもよく、左側第2縦板部32aと右側第2縦板部32bの下端部同士の間には、それらを連結する部分が設けられていてもよい。
【0099】
また、左側第1縦板部、左側第2縦板部及び左側軸方向連結部は、1枚の板材を曲げ加工することによって一体的に形成してもよく、右側第1縦板部、右側第2縦板部及び右側軸方向連結部も同様に1枚の板材を曲げ加工することによって一体的に形成してもよい。
【0100】
また、左側第2縦板部及び左側軸方向連結部は、1枚の板材を曲げ加工することによって一体的に形成してもよく、右側第2縦板部及び右側軸方向連結部は、1枚の板材を曲げ加工することによって一体的に形成してもよい。
【符号の説明】
【0101】
2 伸縮ブーム
8 上側摺動パッド
12 外側ブーム
14 内側ブーム
22 内側ブーム本体
24 端部部材
24a 左側パッド格納部
24b 右側パッド格納部
26 上ピース
28 下ピース
28e 嵌合部
28i 左側上縁部
28j 右側上縁部
31 第1縦板部
31a 左側第1縦板部
31b 右側第1縦板部
32 第2縦板部
32a 左側第2縦板部
32b 右側第2縦板部
33 軸方向連結部
33a 左側軸方向連結部
33b 右側軸方向連結部
34a 左側載置部
34b 右側載置部
37 左右間連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレーンに起伏自在に設けられ、伸縮可能に構成された伸縮ブームであって、
筒状に形成された外側ブームと、
前記外側ブーム内に挿入され、前記外側ブームに対して軸方向に相対移動可能である内側ブームと、
前記外側ブーム内に挿入された前記内側ブームの基端部に設けられ、その内側ブームが前記外側ブームに対して相対移動するときにその外側ブームの上部の内面に対して摺動する上側摺動パッドとを備え、
前記内側ブームは、筒状に形成された内側ブーム本体と、当該内側ブーム本体の基端部に取り付けられ、当該内側ブーム本体の基端部の剛性を高める端部部材とを有し、
前記内側ブーム本体は、当該内側ブーム本体の軸方向に直交する断面において上側の部分を構成する上ピースと、前記断面において上部が開口した湾曲形状を呈するように形成され、その上部の開口を形成する左右両側の上端において前記上ピースの下端と結合された下ピースとを有し、
前記下ピースの基端部には、前記上ピースの基端部よりも前記伸縮ブームの基端側に突出し、前記端部部材が嵌め込まれる嵌合部が形成され、
前記端部部材は、前記内側ブーム本体の軸方向に対して直交するように配置されるとともに前記上ピースの基端部と向き合うように配置され、その上ピースの基端部と溶接された第1縦板部と、前記第1縦板部に対して前記伸縮ブームの基端側に間隔をあけてその第1縦板部と平行に配置された状態で前記嵌合部内に嵌め込まれ、その嵌合部の内面と溶接された第2縦板部と、前記第1縦板部と前記第2縦板部とをそれらの間で繋ぐ軸方向連結部と、前記第1縦板部と前記第2縦板部のうち前記嵌合部の上側に位置する部分同士の間に設けられ、前記上側摺動パッドを格納するパッド格納部とを有する、伸縮ブーム。
【請求項2】
前記第1縦板部は、前記嵌合部内に嵌め込まれ、その嵌合部の内面に溶接された部分を有する、請求項1に記載の伸縮ブーム。
【請求項3】
前記嵌合部は、当該嵌合部の上部の開口を形成する左右両側の上縁部を有し、この左右両側の上縁部は、前記内側ブーム本体の軸方向に沿って延び、
前記端部部材は、前記第1縦板部及び前記第2縦板部と結合され、前記左側の上縁部上に載置されてその上縁部と溶接された左側載置部と、前記第1縦板部及び前記第2縦板部と結合され、前記右側の上縁部上に載置されてその上縁部と溶接された右側載置部とを有する、請求項1又は2に記載の伸縮ブーム。
【請求項4】
前記第1縦板部は、前記内側ブーム本体の軸方向に直交する断面における左右方向の中心に対して左右に互いに間隔をあけて配置された左側第1縦板部と右側第1縦板部とからなり、
前記第2縦板部は、前記左右方向の中心に対して左右に互いに間隔をあけて配置された左側第2縦板部と右側第2縦板部とからなり、
前記軸方向連結部は、前記左側第1縦板部と前記左側第2縦板部とをそれらの間で繋ぐ左側軸方向連結部と、前記右側第1縦板部と前記右側第2縦板部とをそれらの間で繋ぐ右側軸方向連結部とからなり、前記左側軸方向連結部と前記右側軸方向連結部は、前記左右方向の中心に対して左右に互いに間隔をあけて配置されている、請求項2に記載の伸縮ブーム。
【請求項5】
前記端部部材は、前記左側軸方向連結部と前記右側軸方向連結部との間でそれらの連結部同士を繋ぐ左右間連結部を有する、請求項4に記載の伸縮ブーム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の伸縮ブームを製造する方法であって、
前記外側ブームを形成する外側ブーム形成工程と、
前記内側ブームを形成する内側ブーム形成工程と、
前記外側ブーム形成工程で形成した外側ブーム内にその外側ブームの先端側から基端側へ向かって、前記内側ブーム形成工程で形成した内側ブームをその基端部から挿入して伸縮ブームを組み立てる伸縮ブーム組立工程とを備え、
前記内側ブーム形成工程は、前記上ピースの下端と前記下ピースの上端とを溶接して前記内側ブーム本体を形成する内側ブーム本体形成工程と、前記下ピースの前記嵌合部の内面に前記端部部材の前記第2縦板部の外縁部が接触するようにその第2縦板部を前記嵌合部内に嵌め込む嵌め込み工程と、前記嵌合部内に嵌め込んだ前記第2縦板部の外縁部をその嵌合部の内面に溶接する第2縦板部溶接工程と、前記端部部材の前記第1縦板部を前記上ピースの基端部と溶接する第1縦板部溶接工程とを含む、伸縮ブームの製造方法。
【請求項7】
前記嵌め込み工程及び前記第2縦板部溶接工程は、前記内側ブーム本体形成工程に先立って行われ、当該嵌め込み工程では、前記上ピースと溶接されていない前記下ピースの前記嵌合部内に前記端部部材の前記第2縦板部を嵌め込み、当該第2縦板部溶接工程では、前記上ピースと溶接されていない前記下ピースの前記嵌合部内に嵌め込まれた前記第2縦板部の外縁部をその嵌合部の内面に溶接する、請求項6に記載の伸縮ブームの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−112437(P2013−112437A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257931(P2011−257931)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【出願人】(304020362)コベルコクレーン株式会社 (296)
【Fターム(参考)】