説明

伸縮固定杆

【課題】不連続突起列を外面の長さ方向に有する内杆を外杆にスライド可能に挿入してなる杆体の設定された長さを、簡易な手段で確実に固定可能とする。
【解決手段】外杆2に内杆3がスライド可能に挿入され、内杆3の所要のスライドによって設定された杆体5の長さを固定具6で固定する。内杆3の外面には、長さ方向に突起12が不連続状態で設けられた不連続突起列13を有する。固定具6は、互いに螺合し得る内筒体22と外筒体23を具える。内筒体22は外杆2の端部に固定され、内面に、不連続突起列13を通過させる通過溝35を有する。内筒体22の先側部分には、隣り合うスリット43,43間に挾持片45が設けられ、外筒体23を締め付けるに伴い、挾持片45が弾性変形され、その先端係合部63が、隣り合う突起12,12間で内杆3の外面11に当接し、先端係合部63が突起12の端部66を受け止める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は伸縮固定杆に関するものであり、より詳しくは、不連続突起列が外面の長さ方向に設けられた内杆をパイプ状の外杆にスライド可能に挿入し該内杆の所要のスライドによって設定された杆体の長さを固定具で固定可能となされた伸縮固定杆であって、農園芸用の支柱等としての農園芸用杆体や幟竿、或いは、モップや洗車ブラシ等の清掃用具の柄等に好適に応用し得る伸縮固定杆に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明者は、実用新案登録第3096251号において、外面の長さ方向に突起が不連続状態で設けられてなる不連続突起列を有する植物支持用の支柱を提案した。外面が平滑に形成された従来の支柱にあっては、該支柱に植物の茎や蔓が巻き付いたときに、この巻き付いた部分が下方にずり落ちやすく、植物が支柱に沿って上方向に正常に成長でき難かったため、前記支柱を提案したのであった。
【0003】
不連続突起列を具える前記支柱によるときは、前記突起が引っ掛かりとなって、蔓や茎を下方向へのスリップを防止しながら確実に巻き付かせて植物を上方向に正常に成長させることができると共に、結着材で茎を支柱に結着したときに該結着材のずり落ちを防止できる。
【0004】
ところで、不連続突起列を具える前記支柱は、栽培する植物によっては、180cm〜220cm程度の長い長さになる場合があるが、このような長さの大なる支柱は、販売店においては広い売り場スペースを要する不経済があったばかりか、購入した支柱を乗用車に積んで持ち帰るのが容易でなく、しかも、トマト等の収穫が終わった後の収納に際しても広い収納スペースを要する欠点があった。
【0005】
かかることから、販売点における売り場スペースの削減や購入した支柱の持ち帰り、使用時期が終わった後の支柱の収納を容易とするために、支柱を伸縮式にしてコンパクトに販売、運搬、収納できる工夫が望まれていた。
【0006】
これまで、外面が平滑な支柱に関しては、特開2002−39126号公報の図16〜19に記載されているような伸縮パイプの固定装置が提案されていた。該固定装置は、挾持片の先端部分での押圧に伴う摩擦力によってパイプ長さを固定せんとするものであったが、該先端部分での押圧によっては、スリップが発生して十分な摩擦力を得にくく、伸縮パイプの固定が不安定化しやすい問題があった。外面が平滑な支柱に関しては、不十分ながらもかかる構成の固定装置が実用化されていたが、不連続突起列が設けられている内杆をパイプ状の外杆に挿入させる方式の伸縮杆に関しては好ましい固定手段が未だに提案されていない。
【特許文献1】実用新案登録第3096251号公報(第3−5頁、図2、図5、図6)
【特許文献2】特開2002−39126号公報(第3頁、図16−19)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みて開発されたものであり、不連続突起列が外面の長さ方向に延長して設けられた内杆をパイプ状の外杆にスライド可能に挿入し該内杆の所要のスライドによって設定された杆体の長さを、簡易な手段で確実に固定可能となされた伸縮固定杆の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明は以下の手段を採用する。
即ち本発明に係る伸縮固定杆は、パイプ状の外杆に内杆をスライド可能に挿入してなり、該内杆の所要のスライドによって設定された杆体の長さを固定具で固定可能となされた伸縮固定杆であって、前記内杆の外面には、長さ方向に突起が不連続状態で設けられてなる不連続突起列が、1列又は周方向に所要間隔を置いて複数列設けられている。そして前記固定具は、内筒体と外筒体とを具え、該内筒体は、両端が開放し且つ前記内杆を挿通させ得る貫通孔を有する筒状を呈し、該内筒体の基端側部分が、前記貫通孔を前記外杆の内孔に連通させて該外杆の端部に固定されている。又前記内筒体の先側部分に、その先端で開口するスリットの複数が周方向に所要間隔で設けられることによって、隣り合うスリット間に挾持片が形成されると共に、前記基端側部分の外面には雄ネジ部が設けられており、一方前記外筒体は、前記内杆を挿通させ得る筒状を呈し、その基端側部分の内面に、前記雄ネジ部に螺合し得る雌ネジ部が設けられており、該雌ネジ部を前記雄ネジ部にねじ込むにつれて、該外筒体の内面が前記挟持片を前記内杆の外面に向けて弾性変形させ、該挟持片の先端係合部が、前記不連続突起列を構成する隣り合う突起間で前記内杆の外面に当接する如くなされ、該当接状態の先端係合部が、前記内杆の外面に設けられている前記突起の端部を受け止めることを特徴とするものである。
【0009】
本発明に係る伸縮固定杆のより具体的な態様は、パイプ状の外杆に内杆をスライド可能に挿入してなり、該内杆の所要のスライドによって設定された杆体の長さを固定具で固定可能となされた伸縮固定杆であって、前記内杆の外面には、長さ方向に突起が不連続状態で設けられてなる不連続突起列が、1列又は周方向に所要間隔を置いて複数列設けられている。そして前記固定具は、内筒体と外筒体とを具え、該内筒体は、両端が開放し且つ前記内杆を挿通させ得る貫通孔を有する筒状を呈し、該内筒体の基端側部分が、前記貫通孔を前記外杆の内孔に連通させて該外杆の端部に固定されており、前記貫通孔の内面には、前記不連続突起列を通過させる通過溝が設けられ、該通過溝に前記不連続突起列が位置合わせされた状態で、前記内杆を、前記貫通孔を通して前記外杆に挿入させることができる。又前記内筒体の先側部分に、その先端で開口するスリットの複数が周方向に所要間隔で設けられることによって、隣り合うスリット間に挾持片が形成されると共に、前記基端側部分の外面には雄ネジ部が設けられている。一方前記外筒体は、前記内杆を挿通させ得る筒状を呈し、その基端側部分の内面に、前記雄ネジ部に螺合し得る雌ネジ部が設けられており、該雌ネジ部を前記雄ネジ部にねじ込むにつれて、該外筒体の内面が前記挟持片を前記内杆の外面に向けて弾性変形させ、該挟持片の先端係合部が、前記不連続突起列を構成する隣り合う突起間で前記内杆の外面に当接する如くなされ、該当接状態の先端係合部が、前記内杆の外面に設けられている前記突起の端部を受け止めることを特徴とするものである。
【0010】
本発明に係る伸縮固定杆のより具体的な他の態様は、パイプ状の外杆に内杆をスライド可能に挿入してなり、該内杆の所要のスライドによって設定された杆体の長さを固定具で固定可能となされた伸縮固定杆であって、前記内杆の外面には、長さ方向に突起が不連続状態で設けられてなる不連続突起列が、1列又は周方向に所要間隔を置いて複数列設けられている。そして前記固定具は、内筒体と外筒体とを具え、該内筒体は、両端が開放し且つ前記内杆を挿通させ得る貫通孔を有する筒状を呈し、該内筒体の基端側部分が、前記貫通孔を前記外杆の内孔に連通させて該外杆の端部に固定されており、前記貫通孔の内面には、内周面が前記内杆の外面に略当接し得る環状突部が周設されると共に該環状突部には、前記不連続突起列を通過させる通過溝が設けられ、該通過溝に前記不連続突起列が位置合わせされた状態で、前記内杆を、前記貫通孔を通して前記外杆に挿入させることができる。又前記内筒体の先側部分に、その先端で開口するスリットの複数が周方向に所要間隔で設けられることによって、隣り合うスリット間に挾持片が形成されると共に、前記基端側部分の外面には雄ネジ部が設けられている。一方前記外筒体は、前記内杆を挿通させ得る筒状を呈し、その基端側部分の内面に、前記雄ネジ部に螺合し得る雌ネジ部が設けられており、該雌ネジ部を前記雄ネジ部にねじ込むにつれて、該外筒体の内面が前記挟持片を前記内杆の外面に向けて弾性変形させ、該挟持片の先端係合部が、前記不連続突起列を構成する隣り合う突起間で前記内杆の外面に当接する如くなされ、該当接状態の先端係合部が、前記内杆の外面に設けられている前記突起の端部を受け止めることを特徴とするものである。
【0011】
本発明に係る伸縮固定杆の内筒体が通過溝を具える場合、該通過溝の溝幅を前記突起の幅よりも若干大きく形成し、前記内杆が軸線周りに回転したときも、該突起の側部が前記通過溝の側部に当接することによって前記突起の端部が前記挾持片の先端係合部から外れないように構成するのがよい。
【0012】
前記各伸縮固定杆において、前記内筒体の各挾持片の外面に、該内筒体の先側部分の基端から先端に向けて延長し且つ先端に向かって高さが小さくなる押圧突条を設け、該押圧突条の外端は全体として、先端に向かって細くなる仮想テーパ面上にある如くなし、前記雌ネジ部を前記雄ネジ部にねじ込むにつれて、前記外筒体の内側の、前記仮想テーパ面に略合致するテーパ面が前記係止突条の外端を内方に押圧しながら前記挟持片を前記内杆の外面に向けて変形させるように構成するのがよい。前記押圧突条は、前記内筒体の各挾持片の外面の略中央線に沿って設けられることの他、前記挟持片を前記内杆の外面に向けて効果的に変形させ得る限り、各挾持片の外面の適宜部位に設けられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は以下の如き優れた効果を奏する。
(1) 本発明に係る伸縮固定杆は、内杆の外面に不連続突起列が設けられてなる杆体の長さを固定具で固定するに際し、内筒体と外筒体とを具える固定具を用いることとし、外筒体の締め付けに伴って、内筒体に設けられている挾持片の先端係合部が、不連続突起列を構成する隣り合う突起間で前記内杆の外面に当接する如く構成し、且つ該当接状態の先端係合部が、該突起の端部を受け止める如く構成している。従って本発明によるときは、該先端係合部と突起の端部との引っ掛かりによって、設定された杆体の長さを確実に固定できる。
【0014】
(2) 特に、内筒体の内面に、前記不連続突起列を通過させる通過溝を設ける構成を採用した場合は、突起と通過溝の側部との係合によって内杆の回り止めが図られるため、前記先端係合部を突起の端部に係合させることが容易であり、且つ、内杆が周方向に回転したとしても、先端係合部が突起の端部を確実に受け止め得る利点がある。
【0015】
(3) 前記内筒体の各挾持片の外面に、該先側部分の基端から先端に向けて延長し且つ先端に向かって高さが小さくなる押圧突条を設ける場合は、該先側部分の肉厚を厚くすることなく挾持片を内杆の外面に向けて弾性変形させることができるため、先側部分の外面をテーパ面に形成する場合に比し、該内筒体を、極力使用材料を減らして軽量に形成できる。
【実施例1】
【0016】
図1〜3において本発明に係る伸縮固定杆1は、植物の支柱として応用されており、パイプ状の外杆2にパイプ状の内杆3をスライド可能に挿入すると共に該内杆3の所要のスライドによって設定された杆体5の長さを固定具6で固定可能となされている。
【0017】
前記外杆2及び内杆3は、共に、図1〜2、図4〜6に示すように、鋼製の直線状パイプ本体7の表面を樹脂被覆9してなり、図1(A)に示す最大伸長状態で例えば約180cmに設定されると共に、図1(B)に示す最小縮小状態で約110cmの設定されている。そして前記外杆2の外面10及び前記内杆3の外面11には、長さ方向に突起12が不連続状態で設けられてなる不連続突起列13が、周方向に略90度の角度ピッチで4列設けられている。該突起12は本実施例においては、例えば、長さが約5mmで幅が約2mm、突出量が約0.8mmの縦長の樹脂製の突起であり、突起12,12間の間隔は約10mmに設定されている。本実施例においては、該4列の不連続突起列13,13,13,13を構成する突起12が、前記外杆2の周方向で見て略同一位置(略同一高さ位置)に存在する。又、前記内杆3の周方向で見て略同一位置(略同一高さ位置)に存在する。
【0018】
本実施例においては、図1(A)に示すように、外杆2の上下端側の部分15,16及び内杆3の上端側の部分17には、前記不連続突起列13が設けられておらず、又外杆2の下端には、下方に向けて細くなる円錐状の下端キャップ19が取り付けられている。又内杆3の上端には、上端キャップ20が取り付けられている。該上端キャップ20の上部には、図6に拡大して示すように、紐状物やロープを嵌め入れてネットや張り線等を固定状態に支持するための十字状溝21が設けられている。
【0019】
又前記固定具6は、図7に示すように、ABS樹脂等の樹脂で一体に形成された内筒体22と外筒体23からなる。該内筒体22は、両端が開放し且つ前記内杆3を挿通させ得る貫通孔25を有する円筒状を呈しており、該内筒体22の基端側部分26の内面部には、前記外杆2の上端面27(図7)に当接し得る段差29を介して、該外杆2の端部30を挿入させ得る挿入孔部31が設けられており、該外杆2の端部30を該挿入孔部31に圧入することによって、前記基端側部分26が前記外杆2の端部30に固定されている。該固定状態で、前記貫通孔25が外杆2の内孔28に連通する。
【0020】
前記段差29は、本実施例においては図8に示すように、前記基端側部分26の内面28で周方向に突設された環状突部32の基端側の側面(下面)33として形成されており、該環状突部32には、周方向に略90度の角度ピッチで、前記内杆3の外面11に設けられている4列の不連続突起列13,13,13,13を通過させる通過溝35,35,35,35が、環状突部32の内面側の途切れ部分として形成されている。該通過溝35の溝幅は、該通過溝35に対する前記不連続突起列13の位置合わせを容易とするために、前記突起12の前記幅(例えば約2mm)よりも若干大きめの約3mmに設定されている。そして、隣り合う通過溝35,35間に存する各突部分36の内面37は、外杆2に挿入された内杆3の前記外面11に略当接状態となる。又前記基端側部分26の外面38には、図9に示すように雄ネジ部39が設けられている。
【0021】
又、前記内筒体22の先側部分40は全体が略等肉厚に形成されており、図7、図9に示すように、該先側部分40の外面41は、径の大なる前記基端側部分26の外面38に段差42を介して連なっている。そして該先側部分40には、その先端で開口するスリット43の4本が、周方向に略90度の角度ピッチで4本設けられている。各スリット43の基端は、前記環状突部32から稍離れており、該スリット43の延長線は、各突部分36の周方向で見た略中央と交わるように配置されている。そして、隣り合うスリット43,43間が挾持片45とされている。又本実施例においては、各挾持片45,45,45,45の外面には、その略中央線に沿って、先端に向かって高さが小さくなる押圧突条46,46,46,46が突設されており、該押圧突条46の基端の外端47は前記基端側部分26の外面38と面一状態にあり、4本の押圧突条46,46,46,46の外端50,50,50,50は全体として、先端に向かって細くなる仮想テーパ面上にある。
【0022】
又前記外筒体23は、前記内杆3を挿通させ得る円筒状を呈しており、その基端側部分52の内面53には、前記雄ネジ部39に螺合し得る雌ネジ部55が設けられる共に、該外筒体23の先側部分56の内面57は、前記仮想テーパ面に略合致するテーパ面58を形成するように、その基端59から先端60に向けて小径に形成されている。又、外筒体23の外面61にはローレット62が形成されている。
【0023】
かかる構成を有する外筒体23の前記雌ネジ部55を前記内筒体22の前記雄ネジ部39にねじ込んで締め付けると、図10に示すように、前記外筒体23の前記テーパ面58が前記仮想テーパ面51を形成する前記押圧突条46を内方に押圧し、該押圧により、前記挾持片45,45,45,45を前記内杆3の外面11に向けて弾性変形させることができ、最終的に、全ての挾持片45,45,45,45の先端係合部63,63,63,63が、前記不連続突起列13,13,13,13の夫々を構成する隣り合う突起12,12間で、前記内杆3の外面11に押圧状態に当接する。
【0024】
然して、杆体5の長さを所要に設定すると共に設定された長さを前記固定具6で固定すには、前記外筒体23が図11に示すように緩められた状態で、前記4列の不連続突起列13,13,13,13の夫々の下端65,65,65,65を、図8に示すように前記4つの通過溝35,35,35,35と位置合わせして該内杆3を前記外杆2に挿入し、該内杆3を所要にスライドして杆体5の必要な長さを設定する。
【0025】
なお前記のように、不連続突起列13の下端65を前記通過溝35に位置合わせするのを容易とするため、前記のように、前記通過溝35の溝幅を前記突起12の幅よりも若干大きく形成して遊びを設けているため、挿入状態にある前記内杆3がその周方向で若干回転できる。しかし本実施例においては、前記挾持片45の周方向の幅が前記遊びに比して極めて大きいために、前記突起12の端部66が前記先端係合部63から外れる恐れがない。従って外筒体23を締め付ければ、図10に示すように、前記突起12の基端側(下端側)の端部66aが前記先端係合部(本実施例においては先端)63で確実に受け止められることになる。
【0026】
その後、前記外筒体23を締め付けるのであるが、この締め付けに先立って、内杆3を杆体5の軸線方向で適宜移動させると、前記先端係合部63,63,63,63が、図12に示すように、前記突起12の基端側(下端側)の端部66aを受け止める状態となり得る。この状態で外筒体23を強く締め付けると、全ての挾持片45,45,45,45が前記内杆3の外面11に向けて弾性的に変形せしめられ、最終的に、該挾持片の先端係合部63,63,63,63が、図10に示すように前記内杆3の外面11に押圧状態に当接する。これにより、該先端係合部63がその先端(上端)で、突起12の基端側(下端側)の端部66aを受け止める。従って、図10に矢印で示すように前記杆体5を縮小させる方向に荷重が加わったとしても、突起12が前記先端係合部63に受け止められた状態(引っ掛かった状態)となることから、杆体5の縮小が確実に阻止される。逆に、前記杆体5に図13に矢印で示すような伸長方向の加重が加わった場合は、前記内杆3の外面11に押圧状態に当接している前記先端係合部63がその内面部分で、前記突起12に隣り合う(下側で隣り合う)突起12aの先端側(上端側)の端部66bを図13に示すように受け止めるため、杆体5の伸長も確実に防止される。
【0027】
本実施例においては、略同一高さにあり且つ略等間隔で周方向に配置された4個の突起12,12,12,12の端部66,66,66,66を、略等間隔で周方向に配置された4つの挾持片45,45,45,45の先端係合部63,63,63,63で受け止める構成を採用するため、受け止め箇所の数とその配置状態によって、杆体の長さをより安定的に固定できる。
【実施例2】
【0028】
本発明は、前記実施例で示したものに限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。その一例を挙げれば次のようである。
【0029】
(1) 本発明に係る伸縮杆体1は、前記直線状の植物支持用の支柱としての他、図14に示すような雨除け構成用の逆U字状の支柱や、該支柱相互を横方向で繋ぐ繋ぎ杆に応用でき、更には、洗車ブラシやモップ等の清掃用具の柄や幟竿等にも応用できる。
【0030】
(2) 前記内杆3は、前記実施例においてはパイプ状に形成されているが、中実杆であってもよい。又、前記外杆2の外面には前記不連続突起列13が設けられないこともある。
【0031】
(3) 前記不連続突起列13は、1列であることの他、内杆の周方向で見て2列、3列等で設けられることもある。
【0032】
(4) 前記不連続突起列13が内杆3の周方向で見て複数列設けられる場合、挾持片45の先端係合部63が、不連続突起列13を構成する隣り合う突起12,12間で前記内杆3の外面11に当接して該先端係合部63が突起12の端部66を受け止めることができる限り、各不連続突起列13を構成する突起12が、内杆3の周方向で見て略同一位置に存することは必ずしも必要でない。
【0033】
(5) 本発明に係る伸縮杆体1が通過溝35を具える場合、該通過溝35は、内杆3の内面側に上下方向に長く形成されることもある。又、かかる通過溝が内杆に設けられないこともある。
【0034】
(6) 前記内杆3の外面に設けられる不連続突起列13を構成する突起12は、半球状等の他の形態に構成されることもある。
【0035】
(7) 本発明において、内杆3の外面に当接状態の前記先端係合部63が、突起12の端部66を受け止めるとは、伸縮杆体1の使用目的に応じて、内杆の先端寄りに存する突起の基端側の端部を受け止めたり、内杆の基端寄りに存する突起の先端側の端部を受け止めることを意味する。特に、伸縮固定杆1が支柱として応用される場合は、図10に示す基端側(下端側)の端部66aのみを受け止めることもある。そしてこの場合は、杆体5の縮小が確実に阻止される。
【0036】
(8) 前記内筒体22の前記先側部分40は、その外面41が、先端に向かって先細となるテーパ面に形成されることもある。
【0037】
(9) 前記押圧突条は、前記のように、内筒体の各挾持片の外面の略中央線に沿って設けられることの他、挟持片を内杆の外面に向けて効果的に変形させ得る限り、例えば各挾持片の外面の両側等、各挾持片の外面の適宜部位に設けられることもある。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る伸縮固定杆の伸縮状態と縮小状態を示す斜視図である。
【図2】伸縮固定杆の使用状態を示す斜視図である。
【図3】伸縮固定杆の部分斜視図である。
【図4】内杆の断面図である。
【図5】外杆の断面図である。
【図6】伸縮固定杆の上端側部分を示す斜視図である。
【図7】固定具を説明する一部欠切分解斜視図である。
【図8】固定具を構成する内筒体を内杆と共に示す斜視図である。
【図9】内筒体を示す斜視図である。
【図10】伸縮固定杆の固定状態を示す断面図である。
【図11】外筒体が緩められた状態の固定具を示す断面図である。
【図12】その状態において杆体の長さを調整した状態を示す断面図である。
【図13】固定具の締め付け状態の他の態様を示す断面図である。
【図14】本発明に係る伸縮固定杆を応用して構成された雨除け用支柱を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0039】
1 伸縮固定杆
2 外杆
3 内杆
5 杆体
6 固定具
12 突起
13 不連続突起列
22 内筒体
23 外筒体
29 段差
32 環状突部
35 通過溝
39 雄ネジ部
43 スリット
45 挾持片
46 押圧突条
51 仮想テーパ面
55 雌ネジ部
58 テーパ面
63 先端係合部
66 突起の端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプ状の外杆に内杆をスライド可能に挿入してなり、該内杆の所要のスライドによって設定された杆体の長さを固定具で固定可能となされた伸縮固定杆であって、前記内杆の外面には、長さ方向に突起が不連続状態で設けられてなる不連続突起列が、1列又は周方向に所要間隔を置いて複数列設けられており、
又前記固定具は、内筒体と外筒体とを具え、該内筒体は、両端が開放し且つ前記内杆を挿通させ得る貫通孔を有する筒状を呈し、該内筒体の基端側部分が、前記貫通孔を前記外杆の内孔に連通させて該外杆の端部に固定されており、又前記内筒体の先側部分に、その先端で開口するスリットの複数が周方向に所要間隔で設けられることによって、該スリット間に挾持片が形成されると共に、前記基端側部分の外面には雄ネジ部が設けられており、一方前記外筒体は、前記内杆を挿通させ得る筒状を呈し、その基端側部分の内面に、前記雄ネジ部に螺合し得る雌ネジ部が設けられており、該雌ネジ部を前記雄ネジ部にねじ込むにつれて、該外筒体の内面が前記挟持片を前記内杆の外面に向けて弾性変形させ、該挟持片の先端係合部が、前記不連続突起列を構成する隣り合う突起間で前記内杆の外面に当接する如くなされ、該当接状態の先端係合部が、前記内杆の外面に設けられている前記突起の端部を受け止めることを特徴とする伸縮固定杆。
【請求項2】
パイプ状の外杆に内杆をスライド可能に挿入してなり、該内杆の所要のスライドによって設定された杆体の長さを固定具で固定可能となされた伸縮固定杆であって、前記内杆の外面には、長さ方向に突起が不連続状態で設けられてなる不連続突起列が、1列又は周方向に所要間隔を置いて複数列設けられており、
又前記固定具は、内筒体と外筒体とを具え、該内筒体は、両端が開放し且つ前記内杆を挿通させ得る貫通孔を有する筒状を呈し、該内筒体の基端側部分が、前記貫通孔を前記外杆の内孔に連通させて該外杆の端部に固定されており、前記貫通孔の内面には、前記不連続突起列を通過させる通過溝が設けられ、該通過溝に前記不連続突起列が位置合わせされた状態で、前記内杆を、前記貫通孔を通して前記外杆に挿入させることができ、又前記内筒体の先側部分に、その先端で開口するスリットの複数が周方向に所要間隔で設けられることによって、該スリット間に挾持片が形成されると共に、前記基端側部分の外面には雄ネジ部が設けられており、一方前記外筒体は、前記内杆を挿通させ得る筒状を呈し、その基端側部分の内面に、前記雄ネジ部に螺合し得る雌ネジ部が設けられており、該雌ネジ部を前記雄ネジ部にねじ込むにつれて、該外筒体の内面が前記挟持片を前記内杆の外面に向けて弾性変形させ、該挟持片の先端係合部が、前記不連続突起列を構成する隣り合う突起間で前記内杆の外面に当接する如くなされ、該当接状態の先端係合部が、前記内杆の外面に設けられている前記突起の端部を受け止めることを特徴とする伸縮固定杆。
【請求項3】
パイプ状の外杆に内杆をスライド可能に挿入してなり、該内杆の所要のスライドによって設定された杆体の長さを固定具で固定可能となされた伸縮固定杆であって、前記内杆の外面には、長さ方向に突起が不連続状態で設けられてなる不連続突起列が、1列又は周方向に所要間隔を置いて複数列設けられており、
又前記固定具は、内筒体と外筒体とを具え、該内筒体は、両端が開放し且つ前記内杆を挿通させ得る貫通孔を有する筒状を呈し、該内筒体の基端側部分が、前記貫通孔を前記外杆の内孔に連通させて該外杆の端部に固定されており、前記貫通孔の内面には、内周面が前記内杆の外面に略当接し得る環状突部が周設されると共に該環状突部には、前記不連続突起列を通過させる通過溝が設けられ、該通過溝に前記不連続突起列が位置合わせされた状態で、前記内杆を、前記貫通孔を通して前記外杆に挿入させることができ、又前記内筒体の先側部分に、その先端で開口するスリットの複数が周方向に所要間隔で設けられることによって、該スリット間に挾持片が形成されると共に、前記基端側部分の外面には雄ネジ部が設けられており、一方前記外筒体は、前記内杆を挿通させ得る筒状を呈し、その基端側部分の内面に、前記雄ネジ部に螺合し得る雌ネジ部が設けられており、該雌ネジ部を前記雄ネジ部にねじ込むにつれて、該外筒体の内面が前記挟持片を前記内杆の外面に向けて弾性変形させ、該挟持片の先端係合部が、前記不連続突起列を構成する隣り合う突起間で前記内杆の外面に当接する如くなされ、該当接状態の先端係合部が、前記内杆の外面に設けられている前記突起の端部を受け止めることを特徴とする伸縮固定杆。
【請求項4】
前記通過溝の溝幅が前記突起の幅よりも若干大きく形成されており、前記内杆が軸線周りに回転したときも、該突起の側部が前記通過溝の側部に当接することによって前記突起の端部が前記挾持片の先端係合部から外れないことを特徴とする請求項2又は3記載の伸縮固定杆。
【請求項5】
前記内筒体の各挾持片の外面に、該内筒体の先側部分の基端から先端に向けて延長し且つ先端に向かって高さが小さくなる押圧突条が設けられ、該押圧突条の外端は全体として、先端に向かって細くなる仮想テーパ面上にあり、前記雌ネジ部を前記雄ネジ部にねじ込むにつれて、前記外筒体の内側の、前記仮想テーパ面に略合致するテーパ面が前記係止突条の外端を内方に押圧しながら前記挟持片を前記内杆の外面に向けて変形させることを特徴とする請求項1、2又は3記載の伸縮固定杆。
【請求項6】
前記内筒体の各挾持片の外面の略中央線に沿って、該内筒体の先側部分の基端から先端に向けて延長し且つ先端に向かって高さが小さくなる押圧突条が設けられ、該押圧突条の外端は全体として、先端に向かって細くなる仮想テーパ面上にあり、前記雌ネジ部を前記雄ネジ部にねじ込むにつれて、前記外筒体の内側の、前記仮想テーパ面に略合致するテーパ面が前記係止突条の外端を内方に押圧しながら前記挟持片を前記内杆の外面に向けて変形させることを特徴とする請求項1、2又は3記載の伸縮固定杆。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−170267(P2006−170267A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−361079(P2004−361079)
【出願日】平成16年12月14日(2004.12.14)
【出願人】(392003225)第一ビニール株式会社 (27)
【Fターム(参考)】