説明

伸縮門扉

【課題】 門扉を開ける際の力を軽減できる伸縮門扉の提供。
【解決手段】 複数の縦桟1,2,3と、縦桟を連結する左右方向に伸縮自在なリンク6,7と、吊元框13とを備え、リンクは、縦桟の長手方向に沿って移動自在に設けた摺動軸15cを有し、吊元框に隣接する縦桟2は、吊元側に移動可能に吊元框13と連結してあり、吊元框13は、戸先側に向かうにつれて下り勾配で傾斜したガイド部14を有し、門扉を縮めたときに吊元框13に隣接する縦桟2が吊元側に移動し、それに伴って吊元框に隣接する縦桟の摺動軸15cがガイド部14にガイドされて上方に移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮門扉に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の伸縮門扉は、図21に示すように、多数の縦桟90をパンタグラフ状のリンク91で繋いだものとなっている。間口が広く、縦桟やリンクの本数が多い伸縮門扉では、門扉の開閉が重くなり、力の弱い人は門扉の開閉に苦労することがあった。また近年、都市部の住宅等においては、視線が抜けるオープンな感覚の意匠のものが好まれる傾向があり、そのために縦桟90の間隔Pを広くすると、門扉を閉じた状態でリンクの傾きが小さくなるため、門扉を開けるときにより一層強い力が必要となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、門扉を開ける際の力を軽減できる伸縮門扉の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による伸縮門扉は、複数の縦桟と、縦桟を連結する左右方向に伸縮自在なリンクと、吊元框とを備え、リンクは、縦桟の長手方向に沿って移動自在に設けた摺動軸を有し、吊元框に隣接する縦桟は、吊元側に移動可能に吊元框と連結してあり、吊元框は、戸先側に向かうにつれて下り勾配で傾斜したガイド部を有し、門扉を縮めたときに吊元框に隣接する縦桟が吊元側に移動し、それに伴って吊元框に隣接する縦桟の摺動軸がガイド部にガイドされて上方に移動することを特徴とする。
【0005】
請求項2記載の発明による伸縮門扉は、複数の縦桟と、縦桟を連結する左右方向に伸縮自在なリンクと、吊元框とを備え、リンクは、縦桟の長手方向に沿って移動自在に設けた摺動軸を有し、吊元框に隣接する縦桟と吊元框とが左右方向に伸縮自在な吊元部リンクで連結してあり、吊元部リンクは、摺動軸と係合する係合部を有し、係合部は、吊元部リンクが縮むにつれて上方に移動するものであり、門扉を縮めたときに吊元框に隣接する縦桟が吊元側に移動し、それに伴って吊元框に隣接する縦桟の摺動軸が係合部と係合して上方に移動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明による伸縮門扉は、門扉を縮めたときに、吊元框に隣接する縦桟の摺動軸が吊元框に設けたガイド部にガイドされて上方に移動することで、縦桟を連結するリンクが縮むのを補助するため、門扉を開ける際の力を軽減できる。
【0007】
請求項2記載の発明による伸縮門扉は、門扉を縮めたときに、吊元框に隣接する縦桟の摺動軸が吊元部リンクの係合部と係合して上方に移動することで、縦桟を連結するリンクが縮むのを補助するため、門扉を開ける際の力を軽減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1〜図11は、本発明の伸縮門扉の第1実施形態を示している。本伸縮門扉は、図1に示すように、一方の縦桟1と、他方の縦桟2と、両縦桟1,2間に設けた中間縦桟3と、一方の縦桟1と中間縦桟3の上部間に設けた一方側上部リンク4と、中間縦桟3と他方の縦桟2の上部間に設けた他方側上部リンク5と、一方の縦桟1と中間縦桟3の下部間に設けた一方側下部リンク6と、中間縦桟3と他方の縦桟2の下部間に設けた他方側下部リンク7とで1つの区間が構成されており、これを左右に2区間分連続させている。一方の縦桟1と中間縦桟3との間隔、中間縦桟3と他方の縦桟2との間隔、上部リンク4,5と下部リンク6,7との間隔は、いずれも約750mmと非常に広くあいており、そのため見込み方向に視線が抜けるオープンな感覚の意匠になっている。また、一方側上部リンク4と他方側上部リンク5、一方側下部リンク6と他方側下部リンク7とが、それぞれ水平に連続するように配置してあり、斜めのリンクが多数配置された従来の伸縮門扉とは異なり、手摺やフェンスのような直線的ですっきりした意匠となっている。
【0009】
本伸縮門扉は、一方側(左側)を戸先側、他方側(右側)を吊元側とし、左右の支柱46a,46b間の間口に設置している。左端の縦桟1(一方の縦桟1)には戸先框47が取付けてあり、戸先框47には支柱46aへの掛止具48と操作ハンドル49とを備えている。右端の縦桟2(他方の縦桟2)は吊元框13と連結してあり、吊元框13は支柱46bにヒンジ50で取付けてある。
【0010】
まず、伸縮門扉本体の構成について説明する。一方の縦桟1と他方の縦桟2は、図4,5に示すように、一側面に長手方向にスリット57が形成された略C字状断面のアルミ押出形材よりなり、スリット57を内側に向けて前側と後側に対向して設けてある。前後の縦桟1,1、2,2の下端部には、図8に示すように自在キャスター21を取付けてある。
中間縦桟3は、図4,5に示すように、一側面に長手方向にスリット57が形成された略C字状断面のアルミ押出形材よりなるガイド縦桟3aを、スリット57を内側に向けて前後に対向して配置してあると共に、前後のガイド縦桟3a,3aの間に角パイプよりなる伸長部3bを設けてある。伸長部3bの下部には、前後のガイド縦桟3a,3aにローラー31を介して上下動可能に案内した摺動軸15a,32が2本挿通してあり、摺動軸15a,32により伸長部3bはガイド縦桟3aの長手方向に移動自在に案内され、伸長部3bが上方に移動することで、中間縦桟3が上方に伸長自在となっている。
【0011】
一方側上部リンク4と他方側上部リンク5は、断面下向きコ字状の笠木となっており、各縦桟1,2,3の上端よりも高い位置に一直線に連続して設けてある。図7,8に示すように、他方側上部リンク5の他方側端部には、下方にのびるブラケット33が取付けてあり、ブラケット33の下端部を他方の縦桟2の上端部に見込み方向の軸34で回動自在に連結してある。他方側上部リンク5の一方側端部には、図2,4に示すように、一方側にのびるブラケット35が取付けてあり、ブラケット35の先端部を中間縦桟の伸長部3b上端部に取付けたブラケット36に見込み方向の軸37で回動自在に連結してある。一方側上部リンク4の内側には、断面下向きコ字状のブラケット38が取付けてあり、当該ブラケット38と伸長部3bの上端部に取付けたブラケット36とを見込み方向の軸39で回動自在に連結してある。一方側上部リンク4の他方側端部は、他方側上部リンク5に取付けたブラケット35上に乗っており、また前後の壁が下側から斜めに切断してある。一方側上部リンク4に取付けたブラケット38の前記軸39の挿通孔40は、左右方向の長孔となっている。一方側上部リンク4の一方側端部は、図1に示すように、一方の縦桟1の上端部に取付けたブラケット41に見込み方向の軸42で回動自在に連結してある。
【0012】
一方側下部リンク6は、図5に示すように、縦桟1,1、3a,3a間の下部に見込み方向に間隔をおいて配置した一方側第1下部リンク部材8と一方側第2下部リンク部材9を有している。一方側第1下部リンク部材8は、一方側端部に設けた下向き傾斜部8aと、他方側端部に設けた上向き傾斜部8bと、両傾斜部を繋ぐ水平部8cとを有するものとなっている。一方側第2下部リンク部材9は、一方側第1下部リンク部材8とは左右が逆になっており、一方側端部に設けた上向き傾斜部9bと、他方側端部に設けた下向き傾斜部9aと、両傾斜部を繋ぐ水平部9cとを有するものとなっている。一方側第1下部リンク部材8の下向き傾斜部8aの先端部は、見込み方向の軸43aにより一方の縦桟1の下端部に回動自在に連結してあり、一方側第1下部リンク部材8の上向き傾斜部8bの先端部は、摺動軸15aにより中間縦桟3に回動自在に且つ縦桟の長手方向に沿って移動自在に連結してある。一方側第2下部リンク部材9の下向き傾斜部9aの先端部は、見込み方向の軸43bにより中間縦桟3の下端部に回動自在に連結してあり、一方側第2下部リンク部材9の上向き傾斜部9bの先端部は、摺動軸15bにより一方の縦桟1に回動自在に且つ縦桟の長手方向に沿って移動自在に連結してある。一方側第1下部リンク部材8の水平部8cと一方側第2下部リンク部材9の水平部9cは、見込み方向に重なっており、両水平部8c,9cの中央部を見込み方向の軸44aで回動自在に連結してある。
他方側下部リンク7は、一方側下部リンク6と同様に、見込み方向に間隔をおいて配置した他方側第1下部リンク部材10と他方側第2下部リンク部材11とを有している。他方側第1下部リンク部材10は、一方側端部に設けた下向き傾斜部10aと、他方側端部に設けた上向き傾斜部10bと、両傾斜部を繋ぐ水平部10cとを有するものとなっている。他方側第2下部リンク部材11は、他方側第1下部リンク部材10とは左右が逆になっており、一方側端部に設けた上向き傾斜部11bと、他方側端部に設けた下向き傾斜部11aと、両傾斜部を繋ぐ水平部11cとを有するものとなっている。他方側第1下部リンク部材10の下向き傾斜部10aの先端部は、見込み方向の軸43bにより中間縦桟3の下端部に回動自在に連結してあり、他方側第1下部リンク部材10の上向き傾斜部10bの先端部は、摺動軸15cにより他方の縦桟2に回動自在に且つ縦桟の長手方向に沿って移動自在に連結してある。他方側第2下部リンク部材11の下向き傾斜部11aの先端部は、見込み方向の軸43cにより他方の縦桟2の下端部に回動自在に連結してあり、他方側第2下部リンク部材11の上向き傾斜部11bの先端部は、摺動軸15aにより中間縦桟3に回動自在に且つ縦桟の長手方向に沿って移動自在に連結してある。他方側第1下部リンク部材10の水平部10cと他方側第2下部リンク部材11の水平部11cは、見込み方向に重なっており、両水平部10c,11cの中央部を見込み方向の軸44bで回動自在に連結してある。
【0013】
一方側第1下部リンク部材8の上向き傾斜部8bの先端部及び他方側第2下部リンク部材11の上向き傾斜部11bの先端部に挿通した摺動軸15aは、中間縦桟3の伸長部3bの下端部にも挿通されており、伸長部3bにより一方側・他方側下部リンク6,7と一方側・他方側上部リンク4,5とを連結している。
【0014】
一方側第2下部リンク部材9の下向き傾斜部9aの先端部及び他方側第1下部リンク部材10の下向き傾斜部10aの先端部を中間縦桟3に連結している軸43bには、図6に示すように、捻りバネ12が遊嵌して設けてあり、捻りバネ12の前後の端部が前記各リンク部材の下向き傾斜部9a,10aに係止してある。この捻りバネ12は、図中の矢印45で示すように、前記各リンク部材9,10を軸43bを支点として上方に回動する向き(一方側下部リンク6と他方側下部リンク7が縮む方向)に付勢している。
【0015】
図9は本伸縮門扉を途中まで縮めた状態を示し、図11は本伸縮門扉を最も縮めた状態を示している。これらの図に示すように、本伸縮門扉を縮めてゆくと、一方側上部リンク4と他方側上部リンク5が、それぞれ一方及び他方の縦桟1,2側の軸34,42を支点として上方に回動し、それに伴って中間縦桟3の伸長部3bが上方に移動し、中間縦桟3が上方に伸びる。一方側下部リンク6と他方側下部リンク7は、各リンク部材8,9,10,11が下向き傾斜部8a,9a,10a,11aに挿通した軸43a,43b,43cを支点として上方に回動し、上向き傾斜部8b,9b,10b,11bに挿通した摺動軸15a,15b,15cが縦桟1,2,3の上方にスライドすることにより縮む。
本伸縮門扉は、下部リンク6,7を構成する各リンク部材8,9,10,11に水平部8c,9c,10c,11cが設けてあり、且つ水平部8c,9cと水平部10c,11cが、それぞれ見込み方向に重なることで、縦桟間の間隔を広くできると共に、下部リンク6,7が水平に配置されて目立たなくなる。また、各リンク部材8,9,10,11の両端部に下向き傾斜部8a,9a,10a,11aと上向き傾斜部8b,9b,10b,11bを設けたことで、縦桟1に門扉を縮める方向に力Fを加えたときに、各リンク部材8,9,10,11が軸43a,43b,43cを支点として上方にスムーズに回動する。門扉を縮めた状態では、中間縦桟3の伸長部3bと各リンク4,5,6,7の自重により、そのままでは門扉が勝手に伸びようとするが、先に述べたように、捻りバネ12により一方側下部リンク6と他方側下部リンク7を縮む方向に付勢してあるため、門扉を任意の長さに縮めた状態で停止させることができる。また、捻りバネ12の付勢力が作用していることで、門扉を縮める際の操作力Fを軽減することができる。さらに、中間縦桟3の伸長部3bが一方側・他方側上部リンク4,5と一方側・他方側下部リンク6,7とを連結しているので、門扉伸縮時の上部リンク4,5と下部リンク6,7の動きが同調し、門扉が安定してスムーズに伸縮する。
【0016】
さらに本伸縮門扉は、吊元部58に門扉を開ける際の力を軽減する機構を備えている。吊元框13は、図7,8に示すように、上部と下部の前側と後側の4箇所にガイドレール51が戸先側に突出して設けてあり、吊元框13に隣接する右端の縦桟2にはガイドレール51と係合するローラー52を有しており、縦桟2がこのガイドレール51とローラー52を介して吊元側に移動可能としてある。さらに、吊元框13の下部には、戸先側に突出するガイドプレート53を設けてある。ガイドプレート53は、戸先側に向かうにつれて下り勾配で傾斜したガイド部14を有している。
【0017】
図9に示すように、門扉を開けようとして操作ハンドル49に吊元側に力Fを加えると、右端の縦桟2が吊元側に移動可能に吊元框13と連結してあるため、まず伸縮門扉が全体的に吊元側に移動する。この時、図10に示すように、他方側第1下部リンク部材10の上向き傾斜部10bに挿通した摺動軸15cがガイド部14に乗り上げて上方に移動する。これにより、操作ハンドル49から吊元側に向けて加えた力Fが一方側・他方側下部リンク6,7を縮ませる力に変換され、その力は中間縦桟3の伸長部3bを介して一方側・他方側上部リンク4,5を押し上げることにもなるから、伸縮門扉を開ける際に操作ハンドル49に加える力Fを小さくできる。なお、図中の符号54は、門扉を縮めたときに縦桟2に当接し、縦桟2がそれ以上吊元側に移動するのを規制するストッパーである。各ガイドレール51の先端部には、縦桟2に取付けたローラー52がガイドレール51から外れるのを防ぐストッパー(図示省略)を有している。
【0018】
上述の第1実施形態においては、各下部リンク部材8,9,10,11をまっすぐな棒状とし、門扉が閉じた図1の状態で、一方側下部リンク6と他方側下部リンク7がそれぞれX字状に交差したものとすることもできる。
【0019】
図12〜16は、本発明の伸縮門扉の第2実施形態を示している。伸縮門扉本体の構成は第1実施形態のものと同じであり、吊元部58に設けてある門扉を開ける際の力を軽減する機構が第1実施形態のものと異なっている。
右端の縦桟2(他方の縦桟2)と吊元框13とは、図13,14に示すように、X字状の吊元部リンク16a,16bにより連結されている。吊元部リンク16a,16bの端部を吊元框13と縦桟2に連結している8本の軸のうち、軸55a,55b,55g,55hは吊元框13と縦桟2にそれぞれ固定してあり、軸55c,55d,55e,55fは吊元框13と縦桟2に上下方向に移動自在に取付けてある。したがって、上下の吊元部リンク16a,16bは左右方向に伸縮自在となり、吊元部リンク16a,16bの伸縮に伴って縦桟2が吊元框13に対して接近・離間自在となっている。下側の吊元部リンク16bの縦桟2側の上下動自在な軸55eにはプレート56が取付けてあり、プレート56にはアングル状の係合部17が取付けてある。係合部17は、他方側第1下部リンク部材10の上向き傾斜部10bに挿通した摺動軸15cに、下方より係合している。
【0020】
門扉を開けようとして操作ハンドル49を吊元側に動かすと、図15に示すように、吊元部リンク16a,16bが縮みながら縦桟2が吊元側に移動する。この時、吊元部リンク16bの軸55eが上方に移動するのに伴い、摺動軸15cが係合部17と係合して上方に移動する。これにより、操作ハンドル49から吊元側に向けて加えた力Fが一方側・他方側下部リンク6,7を縮ませる力に変換され、その力は中間縦桟3の伸長部3bを介して一方側・他方側上部リンク4,5を押し上げることにもなるから、伸縮門扉を開ける際に操作ハンドル49に加える力を小さくできる。
【0021】
図17は、本発明の伸縮門扉の第3実施形態を示す正面図であり、図18はこの伸縮門扉を途中まで縮めた状態を示している。この伸縮門扉は、複数の縦桟59,59,…をパンタグラフ状のリンク60で連結してあり、吊元部58には第1実施形態のものと同様に門扉を開ける際の力を軽減する機構を備えている。リンク60は、右上がりに傾斜する第1リンク部材61と、左上がりに傾斜する第2リンク部材62を有し、両リンク部材の交差部を見込み方向の軸63a,63b,63c,63dで連結して構成してある。下から2番目の高さに位置する軸63bは縦桟59に固定してあり、下から3番目の高さに位置する軸63cは縦桟59の長手方向に沿って摺動する摺動軸となっている。
【0022】
図18に示すように、門扉を開けようとして操作ハンドル49に吊元側に力Fを加えると、右端の縦桟2が吊元側に移動可能に吊元框13と連結してあるため、伸縮門扉が全体的に吊元側に移動する。リンク60は、各リンク部材61,62が縦桟59に固定した軸63bを支点として回動し、摺動軸63cが縦桟59に沿って上方に移動することで縮む。この時、摺動軸63cがガイド部14に乗り上げて上方に移動し、これにより操作ハンドル49から吊元側に向けて加えた力Fがリンク60を縮ませる力に効率よく変換されるので、伸縮門扉を開ける際に操作ハンドル49に加える力Fを小さくできる。
【0023】
図19は、本発明の伸縮門扉の第4実施形態を示す正面図であり、図20はこの伸縮門扉を途中まで縮めた状態を示している。この伸縮門扉は、複数の縦桟59,59,…の上部間に設けた上部リンク64と、複数の縦桟59,59,…の下部間に設けた下部リンク65と、縦桟59,59,…上に一直線状に配置した複数の笠木材66,66,…を備えている。吊元部58には、第1実施形態のものと同様に門扉を開ける際の力を軽減する機構を備えている。上部リンク64は、右上がりに傾斜する第1上部リンク部材67と、左上がりに傾斜する第2上部リンク部材68を有し、第1上部リンク部材67の右側端部と第2上部リンク部材68の左側端部を交差させて軸69で連結してあり、第1上部リンク部材67の左側端部と第2上部リンク部材68の右側端部は軸70で縦桟59に連結してある。笠木材66は、第1上部リンク部材67の右側端部に固定してある。下部リンク65は、第1,2実施形態の下部リンク7と同様に構成してある。上部リンク64の交差部と下部リンク65の交差部とを中間縦桟71で連結してある。
【0024】
図20に示すように、門扉を開けようとして操作ハンドル49に吊元側に力Fを加えると、右端の縦桟2が吊元側に移動可能に吊元框13と連結してあるため、伸縮門扉が全体的に吊元側に移動し、それに伴って下部リンク65の摺動軸15cがガイド部14に乗り上げて上方に移動する。これにより、操作ハンドル49から吊元側に向けて加えた力Fが下部リンク65を縮ませる力に変換され、その力は中間縦桟71を介して上部リンク64を押し上げることにもなるから、伸縮門扉を開ける際に操作ハンドル49に加える力Fを小さくできる。笠木材66は、第1上部リンク部材67と共に上方に回動する。
【0025】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。本発明はどのような伸縮門扉にも用いることができ、リンクの形態は問わない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の伸縮門扉の第1実施形態を示す正面図である。
【図2】図1のX部拡大図である。
【図3】図1のA−A断面図である。
【図4】図1のB−B断面図である。
【図5】一方側下部リンク及び他方側下部リンクの斜視図である。
【図6】図1のD−D断面図である。
【図7】第1実施形態の伸縮門扉の吊元部を拡大して示す正面図である。
【図8】図7のA−A断面図である。
【図9】第1実施形態の伸縮門扉を途中まで縮めた状態を示す正面図である。
【図10】図9の状態における吊元部の拡大正面図である。
【図11】第1実施形態の伸縮門扉を最も縮めた状態を示す正面図である。
【図12】第2実施形態の伸縮門扉の正面図である。
【図13】第2実施形態の伸縮門扉の吊元部を拡大して示す正面図である。
【図14】図13のA−A断面図である。
【図15】第2実施形態の伸縮門扉を途中まで縮めたときの吊元部の拡大正面図である。
【図16】第2実施形態の伸縮門扉を最も縮めた状態を示す正面図である。
【図17】第3実施形態の伸縮門扉の正面図である。
【図18】第3実施形態の伸縮門扉を途中まで縮めた状態を示す正面図である。
【図19】第4実施形態の伸縮門扉の正面図である。
【図20】第4実施形態の伸縮門扉を途中まで縮めた状態を示す正面図である。
【図21】従来の伸縮門扉を示す正面図である。
【符号の説明】
【0027】
1 一方の縦桟(縦桟)
2 他方の縦桟(縦桟)
3 中間縦桟(縦桟)
3a ガイド縦桟
3b 伸長部
4 一方側上部リンク(リンク)
5 他方側上部リンク(リンク)
6 一方側下部リンク(リンク)
7 他方側下部リンク(リンク)
8 一方側第1下部リンク部材
9 一方側第2下部リンク部材
10 他方側第1下部リンク部材
11 他方側第2下部リンク部材
8a,9a,10a,11a 下向き傾斜部
8b,9b,10b,11b 上向き傾斜部
8c,9c,10c,11c 水平部
12 捻りバネ(付勢部材)
13 吊元框
14 ガイド部
15a,15b,15c 摺動軸
16a,16b 吊元部リンク
17 係合部
58 吊元部
59 縦桟
60 リンク
63c 摺動軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の縦桟と、縦桟を連結する左右方向に伸縮自在なリンクと、吊元框とを備え、リンクは、縦桟の長手方向に沿って移動自在に設けた摺動軸を有し、吊元框に隣接する縦桟は、吊元側に移動可能に吊元框と連結してあり、吊元框は、戸先側に向かうにつれて下り勾配で傾斜したガイド部を有し、門扉を縮めたときに吊元框に隣接する縦桟が吊元側に移動し、それに伴って吊元框に隣接する縦桟の摺動軸がガイド部にガイドされて上方に移動することを特徴とする伸縮門扉。
【請求項2】
複数の縦桟と、縦桟を連結する左右方向に伸縮自在なリンクと、吊元框とを備え、リンクは、縦桟の長手方向に沿って移動自在に設けた摺動軸を有し、吊元框に隣接する縦桟と吊元框とが左右方向に伸縮自在な吊元部リンクで連結してあり、吊元部リンクは、摺動軸と係合する係合部を有し、係合部は、吊元部リンクが縮むにつれて上方に移動するものであり、門扉を縮めたときに吊元框に隣接する縦桟が吊元側に移動し、それに伴って吊元框に隣接する縦桟の摺動軸が係合部と係合して上方に移動することを特徴とする伸縮門扉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2009−287309(P2009−287309A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−142081(P2008−142081)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000175560)三協立山アルミ株式会社 (529)
【出願人】(000220929)東工シャッター株式会社 (26)
【Fターム(参考)】