説明

位置合わせ装置

【課題】検査台の計測基準座標の計測原点と立ち位置の中心である足型中心点とを正確かつ容易に一致させることのできる位置合わせ装置を提供する。
【解決手段】被検者が乗る検査板11と、検査板11上に作用する複数箇所の荷重を計測する荷重計測手段(ロードセル12)と、を備えた位置合わせ装置(重心動揺計100)は、被検者の踵から爪先までの足長を計測する足長計測手段(足長計測スケール41)と、足長計測手段によって計測した足長計測値に基づいて、検査板11の中心である計測原点13と、被検者の足型中心点16とを位置合わせする位置合わせ手段(原点中心立位スケール42)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査板の計測座標の中心である計測原点と、被検者の立ち位置の中心である足型中心点とを位置合わせするための位置合わせ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
重心動揺計(stabilometer)は、被検者の直立姿勢時における足底圧の垂直作用力を変換器で検出し、足底中心の動揺を電気信号変化として出力する足圧検出装置である。重心動揺計は、被検者を検査台上に直立させるだけで、直立姿勢に現れる重心動揺を計測するもので、全く被侵襲な検査である。記録・各種パラメータの計測・処理は装置により自動的に行われ、結果はグラフ及び数値として記録される。重心動揺計として、被検者の重心位置変動を捉えて、その得られた重心動揺データや被検者の属性情報から、被検者の立位バランス能力を分析・評価する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
このような重心動揺計では、検査基準として検査台の立ち方の注意事項が示されており、その注意事項には、検査台における計測基準の計測原点と、立ち位置の中心である足型中心点とを一致させて閉足で直立させることが挙げられている。
【特許文献1】特開2003−79599号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、近年、重心動揺やバランス計測・評価の機器が多数発売されているが、立位位置補正用件の足長値が自己申告による不正確なものであったり、被検者の感覚で機構的におおよその位置合わせをするものや、配慮があっても目分量で位置合わせをするものなど、評価器としての正確性・厳密性・再現性を欠くものが多く見受けられる。
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、検査台の計測基準座標の計測原点と、被検者の立ち位置の中心である足型中心点とを正確かつ容易に一致させることのできる位置合わせ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、被検者が乗る検査板と、
前記検査板上に作用する複数箇所の荷重を計測する荷重計測手段と、
被検者の踵から爪先までの足長を計測する足長計測手段と、
前記足長計測手段によって計測した足長計測値に基づいて、前記検査板の計測座標の中心である計測原点と、被検者の立ち位置の中心である足型中心点とを位置合わせする位置合わせ手段と、を備えることを特徴とする。
【0005】
請求項1の発明によれば、足長計測手段によって被検者の足長を計測し、計測した足長計測値に基づいて、位置合わせ手段が検査板の計測原点と被検者の足型中心点とを位置合わせするので、検査板の計測原点と足型中心点とを正確かつ容易に一致させることができる。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載の位置合わせ装置において、
前記足長計測手段は、前記検査板上に設けられて、被検者の足長の寸法が表示された目盛りを有する足長計測スケールであり、
前記位置合わせ手段は、前記足長計測スケールと併記されて、前記足長計測スケールによって計測した足長計測値に対応して、前記計測原点に前記足型中心点を位置合わせするための目盛りを有する原点中心立位スケールであることを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明によれば、検査板上に併記された足長計測スケール及び原点中心立位スケールによって、検査板の計測原点と被検者の足型中心点とを容易に位置合わせすることができる。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載の位置合わせ装置において、
前記検査板上に、被検者の踵が当接されて踵の位置合わせを行う踵当接部と、被検者の爪先が当接されて爪先の位置合わせを行う爪先当接部と、が設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明によれば、検査板上に踵当接部と爪先当接部とが設けられているので、これら踵当接部及び爪先当接部にそれぞれ踵や爪先を当接させることで、踵や爪先を容易に位置合わせすることができる。
【0010】
請求項4の発明は、請求項2又は3に記載の位置合わせ装置において、
前記原点中心立位スケールは、前記計測原点から足長の前後方向に、前記足長計測スケールによって計測した足長計測値の1/2の距離位置がそれぞれ表示された目盛りを有し、
表示された前後の目盛りに爪先及び踵をそれぞれ当接することによって前記計測原点と前記足型中心点とを位置合わせすることを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明によれば、原点中心立位スケールは、計測原点から足長の前後方向に、計測した足長計測値の1/2の距離位置がそれぞれ表示された目盛りを有し、表示された前後の目盛りに爪先及び踵を当接することによって計測原点と足型中心点とを位置合わせするので、その位置合わせが容易である。
【0012】
請求項5の発明は、請求項3に記載の位置合わせ装置において、
前記爪先当接部に、前記検査板に対して足長の前後方向にスライド移動自在なスライダーが設けられ、
前記スライダーに、前記足長計測スケール及び前記原点中心立位スケールが併記されており、
前記スライダーをスライド移動させて、前記爪先当接部を被検者の爪先に当接させることによって、前記足長計測スケールで足長計測値を計測し、前記原点中心立位スケールの、前記足長計測値に対応した目盛りに、前記スライダーをスライド移動させることによって、前記爪先当接部が前記計測原点から爪先側で前記足長計測値の1/2の距離位置に配置されることを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明によれば、爪先当接部にスライダーが設けられ、スライダーに足長計測スケール及び原点中心立位スケールが併記されており、スライダーをスライド移動させて、爪先当接部を被検者の爪先に当接させることによって足長計測値を計測し、原点中心立位スケールの、計測した足長計測値に応じた目盛りに、スライダーをスライド移動させる。これによって、爪先当接部が計測原点から爪先側に足長計測値の1/2の距離位置に配置される。そのため、この爪先当接部に爪先を当接させて足を検査板上に乗せることで、検査板の計測原点及び足型中心点を容易に位置合わせすることができる。
【0014】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の位置合わせ装置において、
前記検査板上で、前記計測座標における左右中心位置に、足長の前後方向に沿って延在する左右位置決め当接部が設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項6の発明によれば、検査板上に左右位置決め当接部が設けられているので、左右両足間に左右位置決め当接部を挟むようにして検査板に乗ることによって、両足の左右方向における位置合わせを容易に行うことができる。
【0016】
請求項7の発明は、請求項1に記載の位置合わせ装置において、
前記足長計測手段は、被検者の足長計測値を検出する距離検出センサーであり、
前記位置合わせ手段は、前記距離検出センサーにより検出した足長計測値の1/2の距離分だけ、前記検査板上に乗せた被検者の前記足型中心点から爪先側にオフセットさせることによって、前記計測原点と前記足型中心点とを位置合わせすることを特徴とする。
【0017】
請求項7の発明によれば、足長計測手段が距離検出センサーであり、位置合わせ手段は距離検出センサーにより検出した足長計測値の1/2の距離分だけ、被検者の足型中心点から爪先側にオフセットさせることによって、計測原点と足型中心点とを位置合わせするので、被検者は検査板に足を乗せておくだけで自動的に位置合わせされ、その操作が容易で、かつ、位置合わせも正確である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、検査板の計測原点と足型中心点とを正確かつ容易に一致させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。
[第一の実施形態]
本実施形態では、本発明の位置合わせ装置を適用した一例として、重心動揺計について説明する。
図1は、重心動揺計の全体構成を示したブロック図、図2は、フォースプレートの上面図、図3(a)は、フォースプレートの側面図である。
重心動揺計100は、フォースプレート1、コンピュータシステム2を備えている。
フォースプレート1は、被検者の両足が乗る検査板11と、検査板11に設けられて荷重情報を連続的に検出するロードセル(荷重計測手段)12とを備えている。被検者が検査板11に乗ることで、ロードセル12が被検者の荷重情報を検出し、その検出信号をコンピュータシステム2に出力する。
検査板11は、略正三角形状の板状をなしている。検査板11の上面には、検査板11の中心位置である計測原点13と、この計測原点13を通り左右方向(足の幅方向)に延在するX軸方向の座標軸、計測原点13を通り前後方向(足長方向)に延在するY軸方向の座標軸と、が記されている。このXY座標軸が計測基準座標となる。計測原点13は、検査板11の正三角形の内接円の中心となる。
また、検査板11の上面には、被検者の両足の踵が当接することによって位置決めを行う踵当接ブレード(踵当接部)14と、両足の爪先が当接することによって位置決めを行う爪先当接ブレード(爪先当接部)15と、が設けられている。これら踵当接ブレード14及び爪先当接ブレード15は、X軸方向に長尺な部材であって、互いにY軸方向において対向するように配置されている。踵当接ブレード14は、その底面にマグネット(図示しない)等が埋設され検査板11に簡易固定されている。
【0020】
検査板11の上面には、スライダースケール(スライダー)31及び本体部32が設けられている。本体部32の底面にはマグネット(図示しない)等が埋設され、検査板11の3つの頂点部のうちの1つの頂点部に簡易固定されている。本体部32には、スライダースケール31が本体部32に対してY軸方向にスライド移動自在に挿入できるスライド穴32aが形成されている。
スライダースケール31は、Y軸方向に延在しており、爪先当接ブレード15の爪先が当接する面と反対側の面15aに固定されている。したがって、スライダースケール31を本体部32に対してY軸方向にスライドさせることによって、スライダースケール31とともに爪先当接ブレード15もY軸方向にスライドするようになっている。
スライダースケール31には、足長計測スケール41と原点中心立位スケール42とが併記されている。
足長計測スケール41は、踵から爪先までの足長の寸法が表示された目盛りを有している。ここで、足長とは、具体的には第1指から踵までの距離を言う。目盛りは、例えば図2に示すように、スライダースケール31のY軸方向先端位置をゼロとしてY軸方向に沿って0〜300mmの範囲で記されている。
原点中心立位スケール42は、スライダースケール31をスライド移動させることによって、計測原点13からY軸方向の爪先側で、足長計測スケール41で計測した足長計測値の1/2の距離位置に、爪先当接ブレード15が配置されるように形成した目盛りを有している。
したがって、スライダースケール31をスライド移動させて、爪先当接ブレード15を被検者の爪先に当接させることによって、足長計測スケール41で足長計測値を計測する。そして、計測した足長計測値に対応した目盛りに、スライダースケール31をスライド移動させることによって、爪先当接ブレード15がY軸方向における爪先側で、足長計測値の1/2の距離位置に配置される。このようにして配置された爪先当接ブレード15に爪先を当接させることで計測原点13と足型中心点16(図6参照)とが位置合わせされる。ここで、足型中心点16とは、被検者が両脚閉足直立となるように立った場合、すなわち、両脚の内側縁を接し、体をまっすぐにして自然の姿勢で立ち、左右足の前方が+Y方向、右方が+Xになる方向に立った場合において、左右足の踵を結ぶ線の中点と、左右足の第1指間を結ぶ線の中点とをそれぞれ結んだ線の二等分点を言う。
【0021】
図4は、足長計測値と、スライダースケールの戻し位置の換算表を示した図である。
例えば、足長計測値が150mmの場合、スライダースケール31を本体部32に対して75mmスライド移動させて戻す必要がある。この換算表に従って足長計測スケール41の目盛りと原点中心立位スケール42の目盛りとがスライダースケール31に併記されている。なお、図4は換算表の一例を示したものであって、これに限定されるものではない。図2及び図4の足長計測値は10mmピッチで示したが、1mmピッチとした方が好ましい。
【0022】
ロードセル12は、検査板11上に作用する垂直方向(Z軸方向)の荷重を測定できる周知のものである。ロードセル12は、それぞれの配置位置に加わる荷重情報を連続的に検出し、その検出した荷重情報をコンピュータシステム2に出力する。そしてロードセル12からの荷重情報の検出信号は、コンピュータシステム2の入出力インタフェース21に入力される。
【0023】
コンピュータシステム2は、周知のようにCPU、RAM、ROM等から構成される演算処理装置22と、キーボードや操作盤等の入力手段23と、ハードディスクドライブやフロッピー(登録商標)ディスクドライブ、コンパクトディスクドライブ等の補助記憶手段24と、演算処理装置22のデータ解析手段25による解析データ等の出力手段としてのLCDやCRTディスプレイ等の表示手段26と、印刷手段27と、を備えている。
演算処理装置22は、データ解析手段(演算手段)25としての機能を有している。演算処理装置22において、フォースプレート1の検査板11に被検者が乗った状態で各ロードセル12にて計測された荷重データに基づいてデータ解析手段25により重心位置が求められる。その求められた重心位置25は、表示手段26に画像として出力されるとともに、印刷手段27によりプリントして出力される。なお、コンピュータシステム2は、警報手段28も備えている。
【0024】
このような重心動揺計100において、データ解析手段25による解析項目は以下のように他項目ある。
「解析項目」
1.重心動揺軌跡
2.総軌跡長(LNG.)
3.単位軌跡長(LNG/TIME)
4.単位面積軌跡長(LNG/E.AREA)
5.外周面積(ENV.AREA)
6.矩形面積(REC.AREA)
7.実効値面積(RMS.AREA)
8.動揺平均中心変位(DEV OF Mx,My)
9.動揺中心変位(DEV OF Xo,Yo)
10.ロンベルグ率(項目2−7の閉眼値/開眼値)
11.パワースペクトル
12.位置ベクトル
13.速度ベクトル
14.振幅確率密度分布
15.グラビチャート(EVALUATION;健常値との比較評価グラフ)
以上の解析項目に基づいて、演算処理装置22は表示手段26及び印刷手段27に出力する。
【0025】
次に、検査板11の計測原点13と足型中心点16との位置合わせ方法について説明する。
図5及び図6は、検査板の計測原点と足型中心点との位置合わせ方法を説明するための図である。
まず、図5に示すように、被検者は踵当接ブレード14に踵を当接させて検査板11に立つ。そして、爪先当接ブレード15に爪先が当接するまで、スライダースケール31を本体部32に対してY軸方向にスライドさせる。爪先当接ブレード15に爪先が当接した状態で足長計測スケール41の目盛りで足長を読み取る(図5では例えば150mm)。
次いで、図6に示すように、スライダースケール31を本体部32に対してスライドさせて、計測した足長計測値に対応した原点中心立位スケール42の目盛りに合わせる(図6では例えば150mm)。その後、爪先当接ブレード15に爪先が当接するように立ち直す。このようにして足型中心点16を検査板11の計測原点13に位置合わせすることができる。
【0026】
以上のように、第一の実施形態によれば、検査板11上に爪先当接ブレード15及び踵当接ブレード14が設けられ、爪先当接ブレード15にはスライダースケール31が固定されており、スライダースケール31に足長計測スケール41及び原点中心立位スケール42が併記されているので、スライダースケール31をスライド移動させて、爪先当接ブレード15を被検者の爪先に当接させることによって足長計測値を計測することができる。そして、原点中心立位スケール42の、足長計測値に応じた目盛りに、スライダースケール31をスライド移動させることによって、爪先当接ブレード15が計測原点13から爪先側に足長計測値の1/2の距離位置に配置される。したがって、爪先当接ブレード15に爪先を当接させて足を検査板11上に乗せることで、検査板11の計測原点13及び足型中心点16を正確かつ容易に位置合わせすることができる。
【0027】
なお、上記実施形態において、例えば図3(b)に示すように、Y軸上にY軸方向に沿って長尺な左右位置決め当接ブレード(左右位置決め当接部)17を設けても良い。したがって、両足間に左右位置決め当接ブレード17を挟むようにして検査板11に乗ることによって、両足のX軸方向における位置合わせを容易に行うことができる。
また、上記実施形態では、スライダースケール31をスライド移動させて爪先当接ブレード15を被検者の爪先に当接させることによって足長計測値を計測する構成としたが、爪先でなくとも、踵に当接させることによって足長計測値を計測する構成としても良い。この場合、図示しないが、スライダースケールに踵当接ブレードを固定しておき、爪先当接ブレードを検査板11上に固定しておく構成とすれば良い。
【0028】
[第二の実施形態]
図7は、フォースプレートの上面図、図8(a)は、踵当接ブレードの正面図、図8(b)は、踵当接ブレードの上面図、図8(c)は、踵当接ブレードの側面図である。
第二の実施形態の重心動揺計は、足型中心点を検査板11Aの計測原点13Aに位置合わせする方法が第一の実施形態の重心動揺計100の場合とは異なる。なお、その他、第二の実施形態の重心動揺計の基本的な構成については第一の実施形態の重心動揺計100と同様のため、その説明は省略する。
以下、第二の実施形態の重心動揺計の検査板11Aについて説明する。
検査板11Aは、略三角形状の板状をなしている。検査板11Aの上面には、第一の実施形態と同様に計測原点13A、X軸方向及びY軸方向の座標軸が記されている。このXY座標軸が計測基準座標となる。
また、検査板11Aの上面には、被検者の両足の踵が当接することによって位置決めを行う踵当接ブレード14Aと、両足の爪先が当接することによって位置決めを行う爪先当接ブレード15Aと、足長読取ブレード18Aと、が設けられている。これら踵当接ブレード15A、爪先当接ブレード14A及び足長読取ブレード18Aは、X軸方向に長尺な板状部材であって、互いにY軸方向において対向するように配置されている。
【0029】
踵当接ブレード14Aは、検査板11Aの上面に固定される底面部141Aと、底面部141Aの計測原点座標側を向く側縁に上方に立設された立設部142Aと、を備え、側断面視略L字型をなしている。底面部141Aには、マグネット143Aが埋設され、これによって踵当接ブレード14Aは検査板11Aに簡易固定され、また、検査板11Aに着脱自在とされている。また、立設部142AのX軸方向における中央部にはスリットが形成されている。スリットに、Y軸方向に沿って延在する左右位置決め当接ブレード(左右位置決め当接部)17Aが嵌め込まれている。なお、図7及び図8(c)には、図面の関係上、左右位置決め当接ブレード17Aを図示していない。
【0030】
爪先当接ブレード15Aは、検査板11Aの上面に固定される底面部151Aと、底面部151Aの計測原点座標側を向く側縁に上方に立設された立設部152Aと、を備え、側断面視略L字型をなしている。この底面部151Aにもマグネット(図示しない)が埋設され、これによって爪先当接ブレード15Aは検査板11Aに簡易固定され、また、検査板11Aに着脱自在とされている。
【0031】
足長読取ブレード18Aは、検査板11Aの上面に固定される底面部181Aと、底面部181Aの計測原点座標側を向く側縁に上方に立設された立設部182Aと、を備え、側断面視略L字型をなしている。底面部181Aにも、マグネット(図示しない)が埋設され、これによって足長読取ブレード18Aは検査板11Aに簡易固定され、また、検査板11Aに着脱自在とされている。
【0032】
検査板11Aの上面には、図7中、Y軸を中心とした左側に足長計測スケール41A、右側に原点中心立位スケール42Aが併記されている。
足長計測スケール41Aは、踵から爪先までの足長の寸法が表示された目盛りを有している。目盛りは、例えば図7に示すように、検査板11Aの側縁部111AをゼロとしてY軸方向に沿って0〜300mmの範囲で記されている。
原点中心立位スケール42Aは、計測原点13AからY軸方向の前後で、足長計測スケール41Aで計測した足長計測値の1/2の距離位置に、それぞれ同じ足長計測値の目盛りが付されている。
したがって、足長計測スケール41Aで計測した足長計測値に応じた原点中心立位スケール42Aの目盛りに爪先当接ブレード15A及び踵当接ブレード14Aを配置する。そして、配置した爪先当接ブレード15Aに爪先を当接させ、踵当接ブレード14Aに踵を当接させることで計測原点13Aと足型中心点とが位置合わせされる。
【0033】
なお、コンピュータシステム(図示しない)等のその他の構成については、第一の実施形態の重心動揺計100と同様の構成であるため、その説明を省略する。
【0034】
次に、検査板11Aの計測原点13Aと足型中心点(図示しない)との位置合わせ方法について説明する。
まず、被検者は検査板11Aの側縁部111Aに左足の踵を当接させて、爪先に足長読取ブレード18Aを当接させる。そして、爪先に当接させた位置の足長計測スケール41Aの目盛りを読み取る(図7では例えば250mm)
次いで、原点中心立位スケール42Aの足長計測値に応じた目盛り位置(図7では例えば250mm)に、踵当接ブレード14A及び爪先当接ブレード15Aをそれぞれ配置する。そして、踵当接ブレード14Aに右足の踵を当接させるとともに、爪先当接ブレード15Aに右足の爪先を当接させる。同様にして、左足の踵及び爪先を各ブレード14A,15Aに当接させて、左足も右足と同様に同じ位置に揃える。このようにして足型中心点を検査板11Aの計測原点13Aに位置合わせすることができる。
【0035】
以上、本発明の第二の実施形態によれば、検査板11A上に足長計測スケール41A及び原点中心立位スケール42Aが併記され、原点中心立位スケール42Aは、計測原点13Aから足長の前後方向に、計測した足長計測値の1/2の距離位置がそれぞれ表示された目盛りを有し、表示された前後の目盛りに爪先及び踵を当接することによって計測原点13Aと足型中心点とが位置合わせされるので、検査板11Aの計測原点13Aと被検者の足型中心点とを正確かつ容易に位置合わせすることができる。
【0036】
なお、足長計測スケール41A及び原点中心立位スケール42Aの表示方法は、図7に示したものに限らず、例えば図9に示すように、足長計測スケール41BをY軸より右側に形成し、原点中心立位スケール42BをY軸より左側に形成しても良い。
図10(a)〜(c)は、図9の検査板を使用した際の、検査板の計測原点と足型中心点との位置合わせ方法を説明するための図である。この場合、符号19Bが足長計測スケール41Bの踵を合わせる基準線である。図10(a)に示すように、基準線19Bに右足の踵を合わせて、足長計測スケール41Bの目盛りで爪先の位置を読み取って足長を計測する。次いで、図10(b)に示すように、原点中心立位スケールで、対応する足長計測値の目盛りに左足の踵及び爪先を合わせる。さらに、図10(c)に示すように、右足も同様にして踵及び爪先を同じ目盛りに合わせる。
また、足長計測スケール及び原点中心立位スケールの表示方法は、例えば図11に示すように、Y軸の左側に足長計測スケール41Cの目盛りを形成し、さらにその外側にそれぞれ原点中心立位スケール42C,42Cの目盛りを形成しても構わない。
【0037】
[第三の実施形態]
図12は、フォースプレートの上面図である。
第三の実施形態の重心動揺計は、足型中心点を検査板11Dの計測原点13Dに位置合わせする方法が第一の実施形態の重心動揺計100の場合とは異なる。なお、その他、第三の実施形態の重心動揺計の基本的な構成については第一の実施形態の重心動揺計100と同様のため、その説明は省略する。
以下、重心動揺計の検査板11Dについて説明する。
検査板11Dは、略正三角形状の板状をなしている。検査板11Dの上面には、第一の実施形態と同様に計測原点13D、X軸方向及びY軸方向の座標軸が記されている。このXY座標軸が計測基準座標となる。
【0038】
また、検査板11Dの上面には、被検者の両足の踵が当接することによって位置決めを行う踵当接ブレード14Dが設けられている。
踵当接ブレード14Dの底面には、マグネット(図示しない)等が埋設され、これによって検査板11Dに簡易固定されている。
【0039】
検査板11Dの上面には、足長を計測する光距離計測センサー5Dが設けられている。光距離計測センサー5Dは、X軸に関して踵当接ブレード14Dに線対称な位置に配置されている。すなわち、踵当接ブレード14Dと計測原点13Dとの間の距離L/2と、光距離計測センサー5Dと計測原点13Dとの間の距離L/2が等しく、光距離計測センサー5Dと踵当接ブレード14Dとの間の距離Lが既知とされている。
光距離計測センサー5Dは、被検者の爪先に光を照射することによって、光距離計測センサー5Dから爪先までの距離nを計測する。この計測した距離nの信号を演算処理装置22に出力する。これによって、演算処理装置22は、予め既知の距離Lから距離nを差し引き、この差し引いた長さが足長計測値となる。ここで、図12の場合は、足長計測値が距離L/2となっているがこれに限定されるものではない。
このようにして足長計測値を算出し、さらに、足長計測値の1/2が、爪先から足型中心点までの距離値mとなる。したがって、演算処理装置22は、足長計測値の1/2の距離分だけ、足型中心点16DからY軸方向の爪先側にオフセットさせて、足型中心点16Dを検査板11Dの計測原点13Dに位置合わせし、この計測原点13Dを元に演算処理装置22が演算解析処理を行う。
【0040】
以上、本発明の第三の実施形態によれば、検査板11D上に距離検出センサー5Dが設けられ、距離検出センサー5Dにより検出した足長計測値の1/2の距離分だけ、被検者の足型中心点16Dから爪先側にオフセットさせることによって、計測原点13Dと足型中心点16Dとを位置合わせするので、被検者は検査板11Dに足を乗せておくだけで自動的に位置合わせされ、その操作が容易で、かつ、位置合わせも正確である。
【0041】
なお、上記第一〜第三の実施形態において、検査板11,11A,11B,11C,11Dは、略正三角形の板状をなしているとしたが、この形状に限らず、例えば、台形や二等片三角形等としても構わない。これら台形や二等辺三角形とした場合、その内接円の中心が計測基準座標の計測原点となる。
さらに、上記第一〜第三の実施形態では、本発明の位置合わせ装置を重心動揺計100に適用したが、重心移動を計測しない単なる、被検者の前後・左右の荷重バランスを計測する荷重バランス計にも適用することができる。具体的には、左右足の分割体重配分計に適用することができる。この場合も足型中心点を、配分計の検査板の計測原点に厳密に合わせる必要があるためである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】第一の実施形態を示したものであって、重心動揺計の全体構成を示したブロック図である。
【図2】フォースプレートの上面図である。
【図3】(a)は、フォースプレートの側面図、(b)は、変形例を示したものであって、フォースプレートの側面図である。
【図4】足長計測値と、スライダースケールの戻し位置の換算表を示した図である。
【図5】検査板の計測原点と足型中心点との位置合わせ方法を説明するための図である。
【図6】検査板の計測原点と足型中心点との位置合わせ方法を説明するための図である。
【図7】第二の実施形態を示したものであって、フォースプレートの上面図である。
【図8】(a)は、踵当接ブレードの正面図、(b)は、踵当接ブレードの上面図、(c)は、踵当接ブレードの側面図である。
【図9】変形例を示したものであって、フォースプレートの上面図である。
【図10】(a)〜(c)は、図9の検査板を使用した場際の、検査板の計測原点と足型中心点との位置合わせ方法を説明するための図である。
【図11】他の変形例を示したものであって、フォースプレートの上面図である。
【図12】第三の実施形態を示したものであって、フォースプレートの上面図である。
【符号の説明】
【0043】
1,1A フォースプレート
5D 距離検出センサー
11,11A 検査板
12 ロードセル(荷重計測手段)
13,13A 計測原点
14,14A 踵当接ブレード(踵当接部)
15,15A 爪先当接ブレード(爪先当接部)
16 足型中心点
17,17A 左右位置決め当接ブレード(左右位置決め当接部)
22 演算処理装置
25 データ解析手段(演算手段)
31 スライダースケール(スライダー)
32 本体部
41,41A 足長計測スケール
42,42A 原点中心立位スケール
100 重心動揺計(位置合わせ装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者が乗る検査板と、
前記検査板上に作用する複数箇所の荷重を計測する荷重計測手段と、
被検者の踵から爪先までの足長を計測する足長計測手段と、
前記足長計測手段によって計測した足長計測値に基づいて、前記検査板の計測座標の中心である計測原点と、被検者の立ち位置の中心である足型中心点とを位置合わせする位置合わせ手段と、を備えることを特徴とする位置合わせ装置。
【請求項2】
前記足長計測手段は、前記検査板上に設けられて、被検者の足長の寸法が表示された目盛りを有する足長計測スケールであり、
前記位置合わせ手段は、前記足長計測スケールと併記されて、前記足長計測スケールによって計測した足長計測値に対応して、前記計測原点に前記足型中心点を位置合わせするための目盛りを有する原点中心立位スケールであることを特徴とする請求項1に記載の位置合わせ装置。
【請求項3】
前記検査板上に、被検者の踵が当接されて踵の位置合わせを行う踵当接部と、被検者の爪先が当接されて爪先の位置合わせを行う爪先当接部と、が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の位置合わせ装置。
【請求項4】
前記原点中心立位スケールは、前記計測原点から足長の前後方向に、前記足長計測スケールによって計測した足長計測値の1/2の距離位置がそれぞれ表示された目盛りを有し、
表示された前後の目盛りに爪先及び踵をそれぞれ当接することによって前記計測原点と前記足型中心点とを位置合わせすることを特徴とする請求項2又は3に記載の位置合わせ装置。
【請求項5】
前記爪先当接部に、前記検査板に対して足長の前後方向にスライド移動自在なスライダーが設けられ、
前記スライダーに、前記足長計測スケール及び前記原点中心立位スケールが併記されており、
前記スライダーをスライド移動させて、前記爪先当接部を被検者の爪先に当接させることによって、前記足長計測スケールで足長計測値を計測し、前記原点中心立位スケールの、前記足長計測値に対応した目盛りに、前記スライダーをスライド移動させることによって、前記爪先当接部が前記計測原点から爪先側で前記足長計測値の1/2の距離位置に配置されることを特徴とする請求項3に記載の位置合わせ装置。
【請求項6】
前記検査板上で、前記計測座標における左右中心位置に、足長の前後方向に沿って延在する左右位置決め当接部が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の位置合わせ装置。
【請求項7】
前記足長計測手段は、被検者の足長計測値を検出する距離検出センサーであり、
前記位置合わせ手段は、前記距離検出センサーにより検出した足長計測値の1/2の距離分だけ、前記検査板上に乗せた被検者の前記足型中心点から爪先側にオフセットさせることによって、前記計測原点と前記足型中心点とを位置合わせすることを特徴とする請求項1に記載の位置合わせ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−51360(P2010−51360A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−216622(P2008−216622)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【出願人】(000101558)アニマ株式会社 (13)
【Fターム(参考)】