説明

住宅設備

【課題】住宅機器の利用者の体温を高精度に検出することができる住宅設備を提供する。
【解決手段】鏡4の前方の第1エリアに人が入ると、信号処理装置15は照明5を点灯させる。第1エリア内に入った人がさらに赤外線透過部10に近い第2エリアに入ると、量子型赤外線センサ13によって人の体温を測定し、その結果を表示パネル14に表示する。第2エリアに人が検知されなくなったならば、体温の測定及び表示を停止する。その後、第1エリアから人が退出すると、照明5を消灯する。人が急に検知されなくなったときには、人が倒れたものとみなし、ブザー6を作動させて警報音を発する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器、洗面台などの住宅設備に係り、特に利用者の体温を検出するように構成された住宅設備に関する。
【背景技術】
【0002】
体温を測定して健康管理を行うための住宅設備として、実開昭62−184435に、洗面台の利用者の体温を非接触型温度センサで検出し、検出された体温をCRTによって表やグラフとして表示するようにしたものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭62−184435
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、非接触型温度センサに関し赤外線センサ等からなるとのみ記載されている。
【0005】
本発明は、住宅機器の利用者の体温を高精度に検出することができる住宅設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の住宅設備は、住宅機器の利用者の体温を検出する赤外線センサと、該センサで検出された体温を表示する表示手段とを備えてなるものである。
【0007】
請求項2の住宅設備は、請求項1において、前記住宅機器は鏡であり、前記赤外線センサは該鏡に設けられていることを特徴とするものである。
【0008】
請求項3の住宅設備は、請求項1又は2において、前記赤外線センサの出力信号に基づいて人体の有無の判定を行う判定手段を備えたことを特徴とするものである。
【0009】
請求項4の住宅設備は、請求項3において、赤外線センサの受光光量の低下が所定速さ以上であるときに警報を出力する警報手段を備えたことを特徴とするものである。
【0010】
請求項5の住宅設備は、請求項3において、赤外線センサの受光光量が第1の所定値以上になったときに照明を点灯させる照明制御手段と、該受光光量が第2の所定値以上となったときに前記表示手段に体温を表示させる表示制御手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0011】
請求項6の住宅設備は、請求項1ないし5のいずれか1項において、前記赤外線センサは量子型赤外線センサであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の住宅設備では、非接触型温度センサとして量子型赤外線センサを用いることができ、住宅機器の利用者の体温を高精度にて検出することができる。
【0013】
本発明の一態様にあっては、鏡に体温が表示されるので、検出された利用者本人の体温を当該利用者が容易に知ることができる。
【0014】
本発明にあっては、赤外線センサの出力信号に基づいて人体の有無を判定するようにしてもよく、このようにすれば、赤外線センサを人体検出センサとして利用することができる。例えば、急激に人体が検出されなくなったときには人体が倒れたものとみなして警報を出力することができる。また、人体が住宅機器に近づいてきたときに照明を点灯させ、さらに近づいてきたときには体温を表示手段に表示させることができる。
【0015】
赤外線センサとして量子型赤外線センサが好適である。量子型赤外線センサは、小型であり、住宅設備への組み込みが容易である。また、窓が小さいので、光ファイバーと組み合わせることにより、センサの配置自由度を高めることができる。量子型赤外線センサは消費電力が少ない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施の形態に係る洗面台設備の断面図である。
【図2】図1の一部の拡大図である。
【図3】図1の設備の制御フロー図である。
【図4】洗面台設備の別例を示すブロック図である。
【図5】実施の形態に係るトイレ設備の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0018】
まず、第1図〜第3図を参照して実施の形態に係る洗面台設備について説明する。
【0019】
洗面キャビネット1の上面にボウル2が設けられている。洗面キャビネット1の上面後部から上方へバックボード3が立設され、その前面に鏡4が取り付けられている。バックボード3の上部には照明5とアラーム用ブザー6が設けられている。バックボード3の下部にはブザー停止スイッチ7が設けられている。ブザー6やスイッチ7は他の箇所に設けられてもよい。
【0020】
鏡4の一部に赤外線透過材料よりなる赤外線透過部10が設けられると共に、その近傍にハーフミラー部11が設けられている。
【0021】
この赤外線透過部10及びハーフミラー部11の裏側にケーシング12が設置されている。このケーシング12内に、赤外線透過部10に臨む量子型赤外線センサ13と、ハーフミラー部11に臨む液晶、有機EL等よりなる表示パネル14と、信号処理装置15とが設けられている。
【0022】
量子型赤外線センサ13は、鏡4の前方の人体が発する赤外線を受光し、この受光赤外線から体温信号と人体までの距離信号とを出力する。この距離は、受光光量に基づいて検出される。
【0023】
この体温信号と距離信号とがマイクロコンピュータを備えた信号処理装置15に入力され、表示パネル14に検知された体温が表示される。信号処理装置15は、人体との距離に応じて照明15の点灯、消灯を行うと共に、必要に応じブザー6を作動させる。なお、ブザー停止スイッチ7からの信号も信号処理装置15に入力される。
【0024】
第3図に示す通り、人を検知していない初期状態において、鏡4の前方の第1エリア(例えば赤外線透過部10から1m以内)に人が入ると、信号処理装置15は照明5を点灯させる。その後、さらに赤外線透過部10に接近することなく第1エリアから人が立ち去った場合には、照明5を消灯し、初期状態に復帰する(ステップ1〜5)。
【0025】
第1エリア内に入った人がさらに赤外線透過部10に近い(例えば50cm以内)第2エリアに入ると、量子型赤外線センサ13によって人の体温を測定し、その結果を表示パネル14に表示する。第2エリアに人が居続ける限り、この体温測定及び表示を行う(ステップ6,7)。なお、体温測定は連続して行ってもよく、間欠的たとえば5〜10秒に1回程度の頻度で行ってもよい。また、人が赤外線透過部10の前に手をかざしたときに所定時間だけ体温測定及び表示を行うようにしてもよい。
【0026】
第2エリアに人が検知されなくなったならば、体温の測定及び表示を停止する(ステップ8)。その後、第1エリアから人が退出すると、照明5を消灯し、初期状態に復帰する(ステップ9〜11)。
【0027】
なお、この実施の形態では、前述の通り、赤外線センサ13の受光光量に基づいて人体までの距離を測定している。距離は例えば量子型赤外線センサの検出電流又は出力電圧の大小から得られる。
【0028】
人が正常に第1エリアから退出する場合には、量子型赤外線センサから人体までの距離は徐々に増大する。ところが、貧血、眩暈、発作等によって人が倒れた場合には、検知距離の漸増を伴うことなく突然に人体が検知されなくなる。そこで、この実施の形態では、検知距離の漸増(例えば人体移動速度が所定値以下)を伴うことなく人体が検知されなくなったときには、人が洗面台付近において倒れたものとみなし、ブザー6を作動させて警報音を発する。ブザー6は、ブザー停止スイッチ7が操作されるまで鳴り続ける(ステップ12,13)。なお、ブザー作動後、所定時間が経過したならばブザー6を停止させてもよい。
【0029】
人体が異常に長時間(例えば1分以上)連続して検知されるときにブザー6を作動させてもよい。
【0030】
なお、ブザー以外の警報手段で動作させてもよく、緊急信号を電話回線やインターネット等を介して警備会社などに送信するようにしてもよい。
【0031】
第4図は別の実施の形態を示すブロック図である。
【0032】
この実施の形態では、信号処理装置15に個人識別手段17とデータ蓄積手段18とが接続されている。個人識別手段17としては、例えば暗証番号等の個人番号入力用テンキー、タグキー検知器、指紋識別装置、静脈毛細血管識別装置、顔面や虹彩の画像解析装置などを用いることができる。
【0033】
データ蓄積手段18としては、フラッシュメモリ、ハードディスク装置など各種のものを用いることができるが、信号処理装置15のメモリ装置を利用すれば足りる。
【0034】
データ蓄積手段18には、過去の各人の測定データを蓄積しておき、体温表示時に現在の体温のみを表示するのではなく、過去のデータと併せて表示パネル14にグラフや表として表示するのが好ましい。
【0035】
上記実施の形態は洗面台設備に関するものであるが、第5図のようにトイレ設備などにも本発明を適用することができる。
【0036】
洋風便器20を備えたトイレルームの壁面に測定・表示器21が設置されている。この測定・表示器21には、量子型赤外線センサ13と、表示パネル14と、信号処理装置15とが設置されている。赤外線センサ13によって便器着座者Pの顔や首筋の体温を測定し、その結果を表示パネル14に表示させる。なお、赤外線センサ13によって人体までの距離を検知し、人が赤外線センサ13の前に手をかざしたと判定されるときには、便器洗浄を行ったり、擬音装置を作動させて便器洗浄音を発生させたりしてもよい。
【0037】
体温測定及び表示は、便器20に人が座ったときに行うようにしてもよく、赤外線センサ13の前に手をかざしたときだけ体温測定を行うようにしてもよい。
【0038】
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は上記以外の態様をとることもできる。例えば、洗面設備のない化粧鏡や小便器設備に上記の測定・表示器を設置してもよい。また、量子型赤外線センサ13による人体検知信号に基づいて、鏡4の防曇用ヒータのオン・オフを行うようにしてもよい。
【0039】
上記実施の形態では、小型で電力消費の少ない量子型赤外線センサを用いているが、サーモバイル式赤外線センサ、焦電式赤外線センサ、サーミスタ式赤外線センサ等の熱型赤外線センサを用いてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 洗面キャビネット
4 鏡
5 照明
6 ブザー
10 赤外線透過部
11 ハーフミラー部
13 量子型赤外線センサ
14 表示パネル
15 信号処理装置
20 洋風便器
21 測定・表示器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅機器の利用者の体温を検出する赤外線センサと、該センサで検出された体温を表示する表示手段とを備えてなる住宅設備。
【請求項2】
請求項1において、前記住宅機器は鏡であり、前記赤外線センサは該鏡に設けられていることを特徴とする住宅設備。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記赤外線センサの出力信号に基づいて人体の有無の判定を行う判定手段を備えたことを特徴とする住宅設備。
【請求項4】
請求項3において、赤外線センサの受光光量の低下が所定速さ以上であるときに警報を出力する警報手段を備えたことを特徴とする住宅設備。
【請求項5】
請求項3において、赤外線センサの受光光量が第1の所定値以上になったときに照明を点灯させる照明制御手段と、該受光光量が第2の所定値以上となったときに前記表示手段に体温を表示させる表示制御手段とを備えたことを特徴とする住宅設備。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項において、前記赤外線センサは量子型赤外線センサであることを特徴とする住宅設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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