作業機
【課題】 本発明の課題は、整地装置の干渉を防止することである。
【解決手段】 走行車体(1)の後側に昇降リンク装置(3)を介して縦リンクを昇降可能に設け、縦リンクに上下動機構を介して整地装置(8)を収納位置へ上動可能に支持させ、縦リンクに着脱される着脱ヒッチを介して作業部(4)を装着し、作業部装着状態で着脱ヒッチが外れないようロックするロック装置を設け、作業部(4)と整地装置(8)を共に左右ローリングさせるローリング軸を設け、作業部(4)の上昇時には上下動機構の作動により整地装置(8)を収納位置へ上動させる構成とした作業機とした。
また、機体の旋回時には上下動機構の作動により整地装置(8)を収納位置へ上動させる構成とした作業機とした。
【解決手段】 走行車体(1)の後側に昇降リンク装置(3)を介して縦リンクを昇降可能に設け、縦リンクに上下動機構を介して整地装置(8)を収納位置へ上動可能に支持させ、縦リンクに着脱される着脱ヒッチを介して作業部(4)を装着し、作業部装着状態で着脱ヒッチが外れないようロックするロック装置を設け、作業部(4)と整地装置(8)を共に左右ローリングさせるローリング軸を設け、作業部(4)の上昇時には上下動機構の作動により整地装置(8)を収納位置へ上動させる構成とした作業機とした。
また、機体の旋回時には上下動機構の作動により整地装置(8)を収納位置へ上動させる構成とした作業機とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トラクタや田植機等の作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、走行車体の後部に備えた昇降リンク装置の後端部に走行部ベースを取り付け、走行部ベースには整地ベースを整地ローリング軸を介して左右ローリング自在に支持し、整地ベースには、昇降可能な整地装置を装着支持すると共に、作業部(苗植付部)を植付ローリング軸を介して左右ローリング自在に支持させた構成の苗移植機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−129827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、整地装置の干渉を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の本発明は、走行車体(1)の後側に昇降リンク装置(3)を介して縦リンク(51)を昇降可能に設け、縦リンク(51)に上下動機構(90)を介して整地装置(8)を収納位置へ上動可能に支持させ、縦リンク(51)に着脱される着脱ヒッチ(53)を介して作業部(4)を装着し、作業部装着状態で着脱ヒッチ(53)が外れないようロックするロック装置(59)を設け、作業部(4)と整地装置(8)を共に左右ローリングさせるローリング軸(24)を設け、作業部(4)の上昇時には上下動機構(90)の作動により整地装置(8)を収納位置へ上動させる構成とした作業機とする。
【0006】
請求項2記載の本発明は、走行車体(1)の後側に昇降リンク装置(3)を介して縦リンク(51)を昇降可能に設け、縦リンク(51)に上下動機構(90)を介して整地装置(8)を収納位置へ上動可能に支持させ、縦リンク(51)に着脱される着脱ヒッチ(53)を介して作業部(4)を装着し、作業部装着状態で着脱ヒッチ(53)が外れないようロックするロック装置(59)を設け、作業部(4)と整地装置(8)を共に左右ローリングさせるローリング軸(24)を設け、機体の旋回時には上下動機構(90)の作動により整地装置(8)を収納位置へ上動させる構成とした作業機とする。
【0007】
請求項3記載の本発明は、走行車体(1)から取り外したときに作業部(4)を支持する受け台(93a)を備えたスタンド(93)を設け、スタンド(93)が支持する状態で作業部(4)を縦リンク(51)に装着しようとすると、下動した作業位置にある整地装置(8)と前記スタンド(93)が干渉する関係位置に設定した請求項1又は請求項2に記載の作業機とする。
【発明の効果】
【0008】
要するに、請求項1の本発明によれば、整地装置8が例えば後輪と干渉することを防止できる。
請求項2の本発明によれば、旋回時の左右揺れによる整地装置8の干渉を防止し、旋回が良好に行える。
【0009】
請求項3記載の本発明によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加えて、作業部4の取り外し及びその後の作業部4の装着において、スタンド93が整地装置8に干渉することにより、作業部4の移動や姿勢変化による脱落等の危険を回避でき、作業部4の着脱作業を安全に行える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ポット式苗移植機の側面図
【図2】同上要部の平面図
【図3】機体後部の要部拡大側面図
【図4】整地装置の支持構造を示す要部の側面図
【図5】着脱ヒッチ機構の要部拡大側面図
【図6】整地装置の支持構造要部の平面図
【図7】苗植付作業部の要部の側面図
【図8】苗箱供給部及び苗箱搬送部の側面図
【図9】苗箱供給の制御ブロック図
【図10】駆動ケースの背断面図
【図11】図10のS1−S1断面図
【図12】制御ブロック図
【図13】整地装置の上下動機構を示す要部の背面図
【図14】スタンドの側面図
【図15】操作ボックスの平面図
【図16】操作ボックスの平面図
【図17】マーカ作動機構を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
作業機(農作業機)の一例として、図1の側面図に示す苗移植機は、8条植えのポット型苗株移植機であって、操向駆動可能な左右一対の前輪6,6と左右一対の駆動後輪7,7を備えた走行車体1の後側に、上下のリンクで構成されてその後端部にローリング調節部を備える昇降リンク装置3を介してポット式苗植付作業部4が昇降可能に装着され、このポット式苗植付作業部4の下方に設けたフロート5の前方に整地装置8を設ける。
【0012】
整地装置8は、昇降リンク装置3の後端部に取付け、その後方に離れた位置に、昇降リンク装置3からその上下のリンクの延長線上に延びる上下のフレームによる延長フレーム9を介してポット式苗植付作業部4を支持する。そのほかに機体の前側には前輪6,6を操向操舵するステアリングハンドル12、操縦座席13、予備苗載台15、線引きマーカ16等を備え、操縦座席13の後方に施肥装置17を装備する。ステアリングハンドル12及び操作ボックス2近くには、HST(油圧式無断変速装置)を介して走行速を変速制御する変速レバー14が設けられている。
(苗植付作業部)
苗植付作業部の各機器について詳細に説明すると、8条植えの構成例によるポット式苗植付作業部4は、その要部拡大側面図を図3に示すように、可撓性を有する苗トレイに格子状配列の多数の育苗ポットを形成してそれぞれに苗を1株づつ収容して苗箱に保持した態様で取扱うために、隣接する2条づつで共用の後下がりに傾斜した上下2段のポット苗箱導入部30,30…が左右並列に4組設けられ、これら各組のポット苗箱導入部30,30…の後端部には、苗箱主搬送路31,31…が接続されて苗箱を移送する搬送部を形成する。
【0013】
各苗箱主搬送路31は、上下2段のポット苗箱導入部30,30から順に1個づつ供給される苗箱を前半は下向きに搬送し、途中から円弧に沿って搬送方向を徐々に変え、後半は上向きに搬送する側面視略U字状に形成され、この苗箱主搬送路31の終端部に接続して、苗取出位置で苗を取り出された後の空の苗箱を複数個上下に重ねた状態で収容することのできる空箱収容部38が設けられている。苗箱主搬送路31には、ポット苗箱導入部30にある苗箱を送り出す供給ローラによる苗箱供給装置が備えられ、載置されている苗箱はポット苗箱導入部30,30の底面の空転ローラにより傾斜に沿って自重で後方に滑り落ちる。
【0014】
また、各苗箱主搬送路31に対応して、苗箱を苗箱搬送路に沿って搬送する苗箱送り機構と、搬送路31の下端に位置する苗取出位置において、搬送中の苗箱からポット横一列分づつ苗を取り出す苗取出機構33、取り出された苗を下側前方に弧を描くような軌跡でもって搬送する苗搬送機構34、該苗搬送機構から苗を抜き出す苗抜き機構35、該苗抜き機構35によって抜き出される横1列分の半分づつ左右両側に横送りする苗横送り機構36、該苗横送り機構36によって供給される苗を取って圃場に植え付ける苗植付機構37等からなる植付部32が設けられ、さらに、植付部32には駆動ケースや植付伝動フレームが一体に構成され、苗載台支持フレームを介して上下2段のポット苗箱導入部30を支持している。
(整地装置)
整地装置8は、図3に示す実施例では、土塊を破砕して圃場を整地するための前後配置の2つの整地ロータ41,41と、その前後をそれぞれ上方から支持する吊ワイヤ42aと吊リンク42bを備えて構成し、これをポット式苗植付部4の下方位置に高さ調節可能に配置している。
【0015】
吊リンク42bは、昇降リンク装置3の後端部に縦フレーム43を設け、この縦フレーム43から上下の2つのリンク45,46を介して上下動作可能に連結するとともに、揺動動作可能な調節レバー44で高さ調節可能に構成する。調節レバー44は2つの空箱収容部38の間の位置でその揺動範囲との干渉を避けて配置する。
【0016】
この場合において、整地装置8を空箱収容部38の下方位置で、その吊リンク42bをポット式苗植付部4の屈曲形状に沿って並行するように屈曲して構成することにより、ポット式苗植付部4の前側のスペースAを有効に活用することができる上に、リンクを必要以上に延ばさないで構成することができる。また、調節レバー44を空箱収容部38の下に配置した場合は、ホッパの邪魔にならずに開閉が可能となる。
【0017】
上記構成においては、整地装置8は昇降リンク装置3の後端位置に、また、ポット式苗植付作業部4は昇降リンク装置3の後方に延びる延長フレーム9を介した位置に支持されることから、両者は機体後部の昇降リンク装置3により一体に昇降可能に支持されて整地圃場にポット苗の植付けを行うとともに、ポット式苗植付作業部4の前側には、整地装置8との間にメンテナンス用スペースAが確保される。したがって、整地装置8によって多様な圃場条件に対して適用範囲を拡大することができるとともに、ポット式苗植付作業部4の植付装置32の前側のメンテナンス用スペースAにより、その植付部32の異常事態にも即応できてポット苗の植付けの作業能率を確保することができる。
【0018】
次に本発明の特徴点である整地装置の支持構造について説明すると、図4に示すように、走行車体1の後側に設けた昇降リンク装置3の後端部に昇降する縦リンク51を備え、縦リンク51に設けた前後方向のローリング軸24を介して左右にローリングする取付フレーム52を縦リンク51の後側に設けている。取付フレーム52に対して着脱する着脱ヒッチ53及び延長フレーム9を介して農作業部(苗植付作業部)4を取付フレーム52の後側に配設する。着脱ヒッチ53には、前記取付フレーム52に設けられた係合凹部52a,52aに受止保持させる係止具53a,53a,が突設されている。そして、取付フレーム52とこれに装着状態の着脱ヒッチ53との間には、係止具53aが係合凹部52aから外れないようにロックする支点Q周りに揺動開閉可能な開閉ロック具58aとロック解除レバー58bなどからなるロック装置59が設けられている。ロック装置59には、ロック解除レバー58bによるロック状態を検出するロック検出スイッチ77と、該ロック解除レバー58bによるロック解除を規制するロック解除規制ピン78と、取付フレームに対する着脱ヒッチの取り外し状態を検出する取り外し状態検出装置(取り外し状態検出スイッチ)79が設けられている。ロック解除規制ピン78は、ロック検出スイッチ77の検出結果に基づき、制御部19がロック解除規制ソレノイド80に出力してロック解除レバー58bのロック解除方向への移動を規制するように構成されている。
【0019】
作業部4の下側には、この作業部を走行車体から取り外したときにこれを下から受けて支持するスタンド93が設置されるようになっている。このスタンド93は、受け台93a、キャスタ93b、作業部の支持ボス部4aを嵌合支持する六角形状の支持軸93c、ロープ掛け用フック93d等からなり、取り外した作業を載せた状態で自由に接地移動させることができる。そして、このスタンド93は、作業部4を支持した状態で、且つこの作業部を縦リンク51に装着しようとするときに、整地装置8が上方の収納位置ではなく下方の作業位置にある場合には前記スタンド93が整地装置8に干渉する関係位置に設定されている。
【0020】
また、前記取付フレーム52には、該取付フレームから後側に延びる整地装置支持フレーム54,54を整地支持部材57を介して支持させて設け、整地装置支持フレーム54,54に該整地装置支持フレームから前側に延びる上下回動アーム55u,55dを連結し、上下回動アーム55u,55dに整地フレーム56を連結して整地装置8を上下回動可能に支持し、前記整地装置支持フレーム54,54と整地フレーム56が機体側面視で重複して交差するように配置構成している。従って、かかる構成によれば、着脱ヒッチにより整地装置を走行車体側に残したままで苗植付作業部のみを異なる種類の農作業部に交換できるものでありながら、ローリング軸により苗植付作業部と整地装置とを共に左右ローリングさせることができる。また、整地装置を上下動可能に支持する支持構造を上下動のストロークを十分に得ながら強固なものにでき、この支持構造により整地装置を前寄りに配置でき、ひいては農作業部も走行車体側に配置できて、機体の前後バランスが良好に行えるものとなる。
【0021】
そして、前記整地フレーム56の左右位置には、これに接近して整地装置支持フレーム54,54を配置することによって、整地フレーム56の上下動が左右の整地装置支持フレームによりガイドされ、整地装置の上下動が円滑に行えるように構成している。
【0022】
整地装置8の上下動機構としては、図13に示す実施例では、上下調節レバー44を矢印イ方向に回動操作すると、操作アーム90a、回動軸90b、揺動リンク90c、昇降ロッド90d等からなる上下動機構90を介して整地装置8が上方の収納位置に上動し、逆に、矢印ロ方向に回動操作すると、前記の上下動機構90を介して整地装置8が下方の作業位置に下動するようになっている。そして、上下調節レバー44には整地装置8の上下位置を検出するロータ上下位置センサ91が設置されている。なお、前記整地装置上下動機構90の別実施例として、図4に示すように、ロータ上下動モータ92の作動によって整地装置を上下動制御する構成にすることもできる。例えば、ロータ上下位置センサ91が上下調節レバー44によるロータ上げ位置を検出すると、ロータ上下動モータ92の作動により整地装置8が上方の収納位置へ自動的に上昇するように連動構成することができる。
【0023】
また、図12に示すように、制御部19には、整地装置8が収納位置でないとき、昇降用電磁油圧バルブ27を中立位置にロックして昇降用油圧シリンダ26が作動しないように昇降リンク装置3の昇降を規制する油圧昇降規制制御手段(A)がプログラム形式で備えられている。
【0024】
更に、整地装置8を作業位置にしたままで作業部4を縦リンクから取り外そうとしたとき、取り外しのために、ロック装置(59)のロックを解除しようとするが、整地装置が収納位置でないとき、ロック装置59のロックの解除を規制するロック解除規制制御手段(B)が制御部19に備えられている。
【0025】
また、作業部4を縦リンク51から外すとき、ロック装置59のロックの解除又は取り外し状態検出装置79が作業部の取り外し状態を検出すると、この検出結果に基づき、整地装置8が上方の収納位置へ自動的に上動するように、整地装置上動制御制御手段(C)が制御部19に備えられている。
【0026】
作業部装着時、本機側に前後の角度変化があると、昇降用油圧シリンダ26が作動しないように油圧をストップする。つまり、傾斜センサ95が本機の所定以上の前後傾斜を検出すると昇降用電磁油圧バルブ27への油圧をストップすることで、作業部の装着が困難であることをオペレータが気づくようにし、本機を正常な水平姿勢に戻してから作業部を装着するように促すことができる。
【0027】
作業部を取り外す時、副変速レバー11がPTO位置でない場合には、ロック装置59のロックが外れないようにする(副変速レバーセンサ96が「PTO」位置を検出しているときのみロックが外れるようにする。)ことで、副変速レバーが移動速(高低速)域にある場合のように機体が不意に動くおそれがなく、作業部の取り外しが安全に行える。
【0028】
また、作業部を取り外した状態では、路上走行時におけるHST(油圧式無断変速装置)の作動速度を本機が前後方向の水平を保持する範囲内に収めるようにマイコン制御するとよい。これによれば路上走行が安全に行える。
【0029】
機体を旋回するターンには、旋回時に旋回内側の後輪のサイドクラッチを自動的に断って旋回する通常のターン(以下「くるっとターン」と云う。)と、この「くるっとターン」では、耕盤の圃場等で旋回内側の後輪が抵抗により円滑に遊転せず、該後輪で圃場を荒らすおそれがあるので、旋回外側の後輪の回転数(回転速度)に対して旋回内側の後輪の回転数(回転速度)が所定速度(旋回外側の後輪の回転数の5分の1)以下になると、旋回内側のサイドクラッチを強制的に「入」にして旋回内側の後輪を所定の回転量(走行距離67mm程度)だけ強制駆動しながら旋回するターン(以下「ポンピングターン」と云う。)とがある。そして、図15に示すように、操作ボックス2上に設置されたポンピングクラッチ調節ダイヤル97(図12の制御回路図参照)は、前記旋回内側後輪の所定回転量を変更調節するものであり、ポンピングターン自体を「切」にすることもできる。ポンピングクラッチ調節ダイヤル97がポンピングターン「切」以外の位置で、且つハンドル切れ角がポンピングターンを作動させる角度であるとき、ハンドル切れ角センサ98の検出結果に基づき、整地装置を自動収納するように関連構成しておくと、旋回時における機体左右揺れによる整地装置の圃場面への干渉をなくし、旋回が良好に行える。なお、図12中、103は制御部19の入力側に設けられた後輪回転数検出センサであり、104は制御部19の出力側に設けられたサイドクラッチ操作用電磁油圧バルブである。
【0030】
また、作業部4の上昇時は、常に整地装置8が収納位置となるようロータ上下動モータ92の作動により上動させ、作業部を作業位置まで下げると整地装置は元の設定高さに戻るように構成することができる。これによると、旋回時又は悪路などで、整地装置が作業位置のままであると、後輪がローリングしたとき、整地装置が後輪と干渉する問題を解消することができる。
【0031】
ポット式苗植付作業部の全体構成について更に詳しく説明すると、苗植付作業部4の昇降操作は、変速レバー14の握り部に設けた植付・昇降スイッチ10の操作に基づいて手動操作できるように構成され、昇降用電磁油圧バルブ27を介して伸縮作動する昇降用油圧シリンダ26によって苗植付作業部4が上下に昇降する構成である。
【0032】
上下2段の苗箱供給部30が左右並列に4組設けられ、これら各組の苗箱供給部の終端部に苗箱主搬送部31が接続されている。苗箱主搬送部31の終端部に接続して、後記苗取出位置Pで苗を取り出された後の空の苗箱を複数個上下に重ねた状態で収容することのできる空箱収容部38が設けられている。空箱ガイドレール39aと39bとの繋ぎ目に対応する部位には、空箱を上側から案内するガイド体40が設けられ、苗箱の周回移動が円滑に行われるように構成している。
【0033】
苗箱導入部30の底面には空転ローラ20…が設けられていて、載置されている苗箱が自重で後方に滑り落ちるようになっている。各苗箱導入部30の後端部には、苗箱種搬送部31の搬送路へ苗箱を供給する供給装置29として、苗箱の左右縁を把持して苗箱を主搬送部側に繰り出す左右各一対の供給ローラ21,22と、該供給ローラの前方に位置し、外周部に形成された突起がポットとポットの隙間に下側から係合して苗箱を送る幅広の送りローラ23とが設けられている。上下苗箱供給部の下側供給ローラ22及び送りローラ23は、それぞれモータM1,M2によって回転駆動される。
【0034】
駆動ケース47aと一体のフレーム47bの下側から植付伝動フレーム47cが後方に延出され、駆動ケース47aの上面には苗載台支持フレーム47dが固着され、苗箱導入部30を支持している。ローリング軸24は、植付部支持ブラケット48に取り付けた軸受ケース50に回動自在に軸受けされ、整地装置及び植付部全体がローリング自在に支持されている。植付部全体はローリングセンサ(左右傾斜角センサ)28の検出値に基づき、この検出値が設定値に維持されるように制御装置(コントローラ)からの信号によりローリングモータ25を正逆転駆動することで、ローリング軸24回りに左右ローリング制御されるようになっている。
【0035】
苗箱送り機構は、左右一対の送り爪60,60及び係止爪61,61とからなり、これらの作動により、苗箱搬送路31に沿って苗箱がポット配列の1ピッチ分づつ間欠的に送られるようになっている。送り爪60,60及び係止爪61,61の搬送上手側には苗箱搬送路31を滑り落ちてくる後続の苗箱を一旦受け止める遮断爪63,63が設けられている。
【0036】
苗箱送りカム65の回転により、苗箱送り作動アーム66が揺動し、苗箱送り駆動軸69を介して苗箱送り駆動アーム70,70に伝えられ、送り爪60,60を上下に往復動させる。カム65がローラ67を押す時に送り爪60,60が下動して苗箱を送るようになっている。カム65を伝動回転する伝動軸64には、これと一体的に回転する筒体64aに外部操作によって伝動を入り切りする定位置停止用クラッチ64bが設けられている。
【0037】
また、図7に示すように、苗搬送装置34は、苗押し出しピンにより苗箱から押し出される苗の床土部を保持する苗ホルダー83を備えている。この苗ホルダー83は、上下の揺動リンク84,85に連結された支持部材86に固定されており、揺動リンク84,85の揺動により、円弧軌跡を描いて往復動するようになっている。更に、苗ホルダー83は、苗植付時において、植付クラッチ又は畦クラッチ64bを切った時の苗ホルダーの停止位置が下死点付近の位相で停止し、且つ苗を取りに行く方向で洗浄ノズル89から噴水される噴水圏(イ)内にあって停止するようになっている。
【0038】
更に、図7において、苗植付機構37は、植付駆動軸100と一体回転する回転ケース101に一対の苗植込具102,102が取り付けられ、この苗植込具が閉ループの軌跡を描いて移動し、苗を交互に一株づつ取って圃場に植え付けるようにしている。
【0039】
図8に示す構成例において、苗箱検出センサSW1〜SW7は、図9に示すように、コントローラに接続されていて、各センサからの情報に基づきコントローラ72がモータM1,M2、苗減少ランプ及び苗減少ブザーに出力する。モータM1又はM2の作動により、苗箱供給部にある苗箱が主搬送部の所定位置に繰り出されるものであるが、このとき、モータM1又はM2が所定時間以上作動しても、苗箱が所定位置まで送られて来ない場合には、苗箱検出センサW3がOFF作動し、苗箱送り不良警報装置BZに出力してオペレータに告知するようにしている。
【0040】
苗箱の自動供給装置において、上段搬送路と下段搬送路を送るモータMI,M2の作動時には、車速が所定の速度より少し遅くなるようにコントローラ72が変速モータ74(HST操作)に出力して制御する構成になっている。 苗箱供給時に車速が速いと車体の揺れによって苗箱供給が不安定となる問題があるが、車速を遅くすることによって苗箱自動供給が安定し精度が向上する。
【0041】
なお、前記変速モータ74は、通常は変速レバー14の操作で、変速レバーセンサ73の検知結果に基づき駆動され、車速が任意変速制御されるようになっている。
操縦座席13の左右両側には畦クラッチレバー75が設けられている。畦クラッチレバー75の操作で、畦クラッチを「切り」にし、その後、植付クラッチモータ76の作動で植付クラッチを「切」にして、再度、植付クラッチを「入」にすると、植付部の苗植込具102が1行程回った後、機体が走行発進するように構成している。これにより、走行しながらの植付作業が欠株なく行える。
【0042】
マーカ操作装置105において、旋回の度に線引きする左右マーカ16,16を左右に切り替える「自動」位置と、左右両方のマーカで線引きする「両出」位置と、常時マーカを非線引き状態にする「切」位置とに切り替えるマーカ切替スイッチ106と、線引きするマーカを左右反対側に切り替えるボタンを押す度に線引きするマーカが左右交互に切り替わる左右切替ボタン107を備え、マーカ操作装置105からの指令に基づいて、マーカ用ソレノイド108が作動し、苗植付作業部4の昇降に連動して線引きマーカが倒伏作動又は起立作動するようになっている。
【0043】
そして、前記線引きマーカが線引き作用位置にある時のみ、植付・昇降スイッチ10の苗植付作業部「上げ」操作で、エンジン回転数をアクセルモータ109の作動により自動的にアップしてマーカのリフトスピードが速くなるように連動構成している。かかる構成によれば、水車マーカでは、泥が付き易くて重くなるため、マーカを上げる負荷が大きくなり、リフトスピードが遅くなる問題を解消することができる。
【0044】
なお、苗植付作業部のバックリフト時においても、自動的にエンジン回転数を上げ、油圧上昇スピードを上げるように構成することもできる。
【技術分野】
【0001】
この発明は、トラクタや田植機等の作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、走行車体の後部に備えた昇降リンク装置の後端部に走行部ベースを取り付け、走行部ベースには整地ベースを整地ローリング軸を介して左右ローリング自在に支持し、整地ベースには、昇降可能な整地装置を装着支持すると共に、作業部(苗植付部)を植付ローリング軸を介して左右ローリング自在に支持させた構成の苗移植機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−129827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、整地装置の干渉を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の本発明は、走行車体(1)の後側に昇降リンク装置(3)を介して縦リンク(51)を昇降可能に設け、縦リンク(51)に上下動機構(90)を介して整地装置(8)を収納位置へ上動可能に支持させ、縦リンク(51)に着脱される着脱ヒッチ(53)を介して作業部(4)を装着し、作業部装着状態で着脱ヒッチ(53)が外れないようロックするロック装置(59)を設け、作業部(4)と整地装置(8)を共に左右ローリングさせるローリング軸(24)を設け、作業部(4)の上昇時には上下動機構(90)の作動により整地装置(8)を収納位置へ上動させる構成とした作業機とする。
【0006】
請求項2記載の本発明は、走行車体(1)の後側に昇降リンク装置(3)を介して縦リンク(51)を昇降可能に設け、縦リンク(51)に上下動機構(90)を介して整地装置(8)を収納位置へ上動可能に支持させ、縦リンク(51)に着脱される着脱ヒッチ(53)を介して作業部(4)を装着し、作業部装着状態で着脱ヒッチ(53)が外れないようロックするロック装置(59)を設け、作業部(4)と整地装置(8)を共に左右ローリングさせるローリング軸(24)を設け、機体の旋回時には上下動機構(90)の作動により整地装置(8)を収納位置へ上動させる構成とした作業機とする。
【0007】
請求項3記載の本発明は、走行車体(1)から取り外したときに作業部(4)を支持する受け台(93a)を備えたスタンド(93)を設け、スタンド(93)が支持する状態で作業部(4)を縦リンク(51)に装着しようとすると、下動した作業位置にある整地装置(8)と前記スタンド(93)が干渉する関係位置に設定した請求項1又は請求項2に記載の作業機とする。
【発明の効果】
【0008】
要するに、請求項1の本発明によれば、整地装置8が例えば後輪と干渉することを防止できる。
請求項2の本発明によれば、旋回時の左右揺れによる整地装置8の干渉を防止し、旋回が良好に行える。
【0009】
請求項3記載の本発明によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加えて、作業部4の取り外し及びその後の作業部4の装着において、スタンド93が整地装置8に干渉することにより、作業部4の移動や姿勢変化による脱落等の危険を回避でき、作業部4の着脱作業を安全に行える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ポット式苗移植機の側面図
【図2】同上要部の平面図
【図3】機体後部の要部拡大側面図
【図4】整地装置の支持構造を示す要部の側面図
【図5】着脱ヒッチ機構の要部拡大側面図
【図6】整地装置の支持構造要部の平面図
【図7】苗植付作業部の要部の側面図
【図8】苗箱供給部及び苗箱搬送部の側面図
【図9】苗箱供給の制御ブロック図
【図10】駆動ケースの背断面図
【図11】図10のS1−S1断面図
【図12】制御ブロック図
【図13】整地装置の上下動機構を示す要部の背面図
【図14】スタンドの側面図
【図15】操作ボックスの平面図
【図16】操作ボックスの平面図
【図17】マーカ作動機構を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
作業機(農作業機)の一例として、図1の側面図に示す苗移植機は、8条植えのポット型苗株移植機であって、操向駆動可能な左右一対の前輪6,6と左右一対の駆動後輪7,7を備えた走行車体1の後側に、上下のリンクで構成されてその後端部にローリング調節部を備える昇降リンク装置3を介してポット式苗植付作業部4が昇降可能に装着され、このポット式苗植付作業部4の下方に設けたフロート5の前方に整地装置8を設ける。
【0012】
整地装置8は、昇降リンク装置3の後端部に取付け、その後方に離れた位置に、昇降リンク装置3からその上下のリンクの延長線上に延びる上下のフレームによる延長フレーム9を介してポット式苗植付作業部4を支持する。そのほかに機体の前側には前輪6,6を操向操舵するステアリングハンドル12、操縦座席13、予備苗載台15、線引きマーカ16等を備え、操縦座席13の後方に施肥装置17を装備する。ステアリングハンドル12及び操作ボックス2近くには、HST(油圧式無断変速装置)を介して走行速を変速制御する変速レバー14が設けられている。
(苗植付作業部)
苗植付作業部の各機器について詳細に説明すると、8条植えの構成例によるポット式苗植付作業部4は、その要部拡大側面図を図3に示すように、可撓性を有する苗トレイに格子状配列の多数の育苗ポットを形成してそれぞれに苗を1株づつ収容して苗箱に保持した態様で取扱うために、隣接する2条づつで共用の後下がりに傾斜した上下2段のポット苗箱導入部30,30…が左右並列に4組設けられ、これら各組のポット苗箱導入部30,30…の後端部には、苗箱主搬送路31,31…が接続されて苗箱を移送する搬送部を形成する。
【0013】
各苗箱主搬送路31は、上下2段のポット苗箱導入部30,30から順に1個づつ供給される苗箱を前半は下向きに搬送し、途中から円弧に沿って搬送方向を徐々に変え、後半は上向きに搬送する側面視略U字状に形成され、この苗箱主搬送路31の終端部に接続して、苗取出位置で苗を取り出された後の空の苗箱を複数個上下に重ねた状態で収容することのできる空箱収容部38が設けられている。苗箱主搬送路31には、ポット苗箱導入部30にある苗箱を送り出す供給ローラによる苗箱供給装置が備えられ、載置されている苗箱はポット苗箱導入部30,30の底面の空転ローラにより傾斜に沿って自重で後方に滑り落ちる。
【0014】
また、各苗箱主搬送路31に対応して、苗箱を苗箱搬送路に沿って搬送する苗箱送り機構と、搬送路31の下端に位置する苗取出位置において、搬送中の苗箱からポット横一列分づつ苗を取り出す苗取出機構33、取り出された苗を下側前方に弧を描くような軌跡でもって搬送する苗搬送機構34、該苗搬送機構から苗を抜き出す苗抜き機構35、該苗抜き機構35によって抜き出される横1列分の半分づつ左右両側に横送りする苗横送り機構36、該苗横送り機構36によって供給される苗を取って圃場に植え付ける苗植付機構37等からなる植付部32が設けられ、さらに、植付部32には駆動ケースや植付伝動フレームが一体に構成され、苗載台支持フレームを介して上下2段のポット苗箱導入部30を支持している。
(整地装置)
整地装置8は、図3に示す実施例では、土塊を破砕して圃場を整地するための前後配置の2つの整地ロータ41,41と、その前後をそれぞれ上方から支持する吊ワイヤ42aと吊リンク42bを備えて構成し、これをポット式苗植付部4の下方位置に高さ調節可能に配置している。
【0015】
吊リンク42bは、昇降リンク装置3の後端部に縦フレーム43を設け、この縦フレーム43から上下の2つのリンク45,46を介して上下動作可能に連結するとともに、揺動動作可能な調節レバー44で高さ調節可能に構成する。調節レバー44は2つの空箱収容部38の間の位置でその揺動範囲との干渉を避けて配置する。
【0016】
この場合において、整地装置8を空箱収容部38の下方位置で、その吊リンク42bをポット式苗植付部4の屈曲形状に沿って並行するように屈曲して構成することにより、ポット式苗植付部4の前側のスペースAを有効に活用することができる上に、リンクを必要以上に延ばさないで構成することができる。また、調節レバー44を空箱収容部38の下に配置した場合は、ホッパの邪魔にならずに開閉が可能となる。
【0017】
上記構成においては、整地装置8は昇降リンク装置3の後端位置に、また、ポット式苗植付作業部4は昇降リンク装置3の後方に延びる延長フレーム9を介した位置に支持されることから、両者は機体後部の昇降リンク装置3により一体に昇降可能に支持されて整地圃場にポット苗の植付けを行うとともに、ポット式苗植付作業部4の前側には、整地装置8との間にメンテナンス用スペースAが確保される。したがって、整地装置8によって多様な圃場条件に対して適用範囲を拡大することができるとともに、ポット式苗植付作業部4の植付装置32の前側のメンテナンス用スペースAにより、その植付部32の異常事態にも即応できてポット苗の植付けの作業能率を確保することができる。
【0018】
次に本発明の特徴点である整地装置の支持構造について説明すると、図4に示すように、走行車体1の後側に設けた昇降リンク装置3の後端部に昇降する縦リンク51を備え、縦リンク51に設けた前後方向のローリング軸24を介して左右にローリングする取付フレーム52を縦リンク51の後側に設けている。取付フレーム52に対して着脱する着脱ヒッチ53及び延長フレーム9を介して農作業部(苗植付作業部)4を取付フレーム52の後側に配設する。着脱ヒッチ53には、前記取付フレーム52に設けられた係合凹部52a,52aに受止保持させる係止具53a,53a,が突設されている。そして、取付フレーム52とこれに装着状態の着脱ヒッチ53との間には、係止具53aが係合凹部52aから外れないようにロックする支点Q周りに揺動開閉可能な開閉ロック具58aとロック解除レバー58bなどからなるロック装置59が設けられている。ロック装置59には、ロック解除レバー58bによるロック状態を検出するロック検出スイッチ77と、該ロック解除レバー58bによるロック解除を規制するロック解除規制ピン78と、取付フレームに対する着脱ヒッチの取り外し状態を検出する取り外し状態検出装置(取り外し状態検出スイッチ)79が設けられている。ロック解除規制ピン78は、ロック検出スイッチ77の検出結果に基づき、制御部19がロック解除規制ソレノイド80に出力してロック解除レバー58bのロック解除方向への移動を規制するように構成されている。
【0019】
作業部4の下側には、この作業部を走行車体から取り外したときにこれを下から受けて支持するスタンド93が設置されるようになっている。このスタンド93は、受け台93a、キャスタ93b、作業部の支持ボス部4aを嵌合支持する六角形状の支持軸93c、ロープ掛け用フック93d等からなり、取り外した作業を載せた状態で自由に接地移動させることができる。そして、このスタンド93は、作業部4を支持した状態で、且つこの作業部を縦リンク51に装着しようとするときに、整地装置8が上方の収納位置ではなく下方の作業位置にある場合には前記スタンド93が整地装置8に干渉する関係位置に設定されている。
【0020】
また、前記取付フレーム52には、該取付フレームから後側に延びる整地装置支持フレーム54,54を整地支持部材57を介して支持させて設け、整地装置支持フレーム54,54に該整地装置支持フレームから前側に延びる上下回動アーム55u,55dを連結し、上下回動アーム55u,55dに整地フレーム56を連結して整地装置8を上下回動可能に支持し、前記整地装置支持フレーム54,54と整地フレーム56が機体側面視で重複して交差するように配置構成している。従って、かかる構成によれば、着脱ヒッチにより整地装置を走行車体側に残したままで苗植付作業部のみを異なる種類の農作業部に交換できるものでありながら、ローリング軸により苗植付作業部と整地装置とを共に左右ローリングさせることができる。また、整地装置を上下動可能に支持する支持構造を上下動のストロークを十分に得ながら強固なものにでき、この支持構造により整地装置を前寄りに配置でき、ひいては農作業部も走行車体側に配置できて、機体の前後バランスが良好に行えるものとなる。
【0021】
そして、前記整地フレーム56の左右位置には、これに接近して整地装置支持フレーム54,54を配置することによって、整地フレーム56の上下動が左右の整地装置支持フレームによりガイドされ、整地装置の上下動が円滑に行えるように構成している。
【0022】
整地装置8の上下動機構としては、図13に示す実施例では、上下調節レバー44を矢印イ方向に回動操作すると、操作アーム90a、回動軸90b、揺動リンク90c、昇降ロッド90d等からなる上下動機構90を介して整地装置8が上方の収納位置に上動し、逆に、矢印ロ方向に回動操作すると、前記の上下動機構90を介して整地装置8が下方の作業位置に下動するようになっている。そして、上下調節レバー44には整地装置8の上下位置を検出するロータ上下位置センサ91が設置されている。なお、前記整地装置上下動機構90の別実施例として、図4に示すように、ロータ上下動モータ92の作動によって整地装置を上下動制御する構成にすることもできる。例えば、ロータ上下位置センサ91が上下調節レバー44によるロータ上げ位置を検出すると、ロータ上下動モータ92の作動により整地装置8が上方の収納位置へ自動的に上昇するように連動構成することができる。
【0023】
また、図12に示すように、制御部19には、整地装置8が収納位置でないとき、昇降用電磁油圧バルブ27を中立位置にロックして昇降用油圧シリンダ26が作動しないように昇降リンク装置3の昇降を規制する油圧昇降規制制御手段(A)がプログラム形式で備えられている。
【0024】
更に、整地装置8を作業位置にしたままで作業部4を縦リンクから取り外そうとしたとき、取り外しのために、ロック装置(59)のロックを解除しようとするが、整地装置が収納位置でないとき、ロック装置59のロックの解除を規制するロック解除規制制御手段(B)が制御部19に備えられている。
【0025】
また、作業部4を縦リンク51から外すとき、ロック装置59のロックの解除又は取り外し状態検出装置79が作業部の取り外し状態を検出すると、この検出結果に基づき、整地装置8が上方の収納位置へ自動的に上動するように、整地装置上動制御制御手段(C)が制御部19に備えられている。
【0026】
作業部装着時、本機側に前後の角度変化があると、昇降用油圧シリンダ26が作動しないように油圧をストップする。つまり、傾斜センサ95が本機の所定以上の前後傾斜を検出すると昇降用電磁油圧バルブ27への油圧をストップすることで、作業部の装着が困難であることをオペレータが気づくようにし、本機を正常な水平姿勢に戻してから作業部を装着するように促すことができる。
【0027】
作業部を取り外す時、副変速レバー11がPTO位置でない場合には、ロック装置59のロックが外れないようにする(副変速レバーセンサ96が「PTO」位置を検出しているときのみロックが外れるようにする。)ことで、副変速レバーが移動速(高低速)域にある場合のように機体が不意に動くおそれがなく、作業部の取り外しが安全に行える。
【0028】
また、作業部を取り外した状態では、路上走行時におけるHST(油圧式無断変速装置)の作動速度を本機が前後方向の水平を保持する範囲内に収めるようにマイコン制御するとよい。これによれば路上走行が安全に行える。
【0029】
機体を旋回するターンには、旋回時に旋回内側の後輪のサイドクラッチを自動的に断って旋回する通常のターン(以下「くるっとターン」と云う。)と、この「くるっとターン」では、耕盤の圃場等で旋回内側の後輪が抵抗により円滑に遊転せず、該後輪で圃場を荒らすおそれがあるので、旋回外側の後輪の回転数(回転速度)に対して旋回内側の後輪の回転数(回転速度)が所定速度(旋回外側の後輪の回転数の5分の1)以下になると、旋回内側のサイドクラッチを強制的に「入」にして旋回内側の後輪を所定の回転量(走行距離67mm程度)だけ強制駆動しながら旋回するターン(以下「ポンピングターン」と云う。)とがある。そして、図15に示すように、操作ボックス2上に設置されたポンピングクラッチ調節ダイヤル97(図12の制御回路図参照)は、前記旋回内側後輪の所定回転量を変更調節するものであり、ポンピングターン自体を「切」にすることもできる。ポンピングクラッチ調節ダイヤル97がポンピングターン「切」以外の位置で、且つハンドル切れ角がポンピングターンを作動させる角度であるとき、ハンドル切れ角センサ98の検出結果に基づき、整地装置を自動収納するように関連構成しておくと、旋回時における機体左右揺れによる整地装置の圃場面への干渉をなくし、旋回が良好に行える。なお、図12中、103は制御部19の入力側に設けられた後輪回転数検出センサであり、104は制御部19の出力側に設けられたサイドクラッチ操作用電磁油圧バルブである。
【0030】
また、作業部4の上昇時は、常に整地装置8が収納位置となるようロータ上下動モータ92の作動により上動させ、作業部を作業位置まで下げると整地装置は元の設定高さに戻るように構成することができる。これによると、旋回時又は悪路などで、整地装置が作業位置のままであると、後輪がローリングしたとき、整地装置が後輪と干渉する問題を解消することができる。
【0031】
ポット式苗植付作業部の全体構成について更に詳しく説明すると、苗植付作業部4の昇降操作は、変速レバー14の握り部に設けた植付・昇降スイッチ10の操作に基づいて手動操作できるように構成され、昇降用電磁油圧バルブ27を介して伸縮作動する昇降用油圧シリンダ26によって苗植付作業部4が上下に昇降する構成である。
【0032】
上下2段の苗箱供給部30が左右並列に4組設けられ、これら各組の苗箱供給部の終端部に苗箱主搬送部31が接続されている。苗箱主搬送部31の終端部に接続して、後記苗取出位置Pで苗を取り出された後の空の苗箱を複数個上下に重ねた状態で収容することのできる空箱収容部38が設けられている。空箱ガイドレール39aと39bとの繋ぎ目に対応する部位には、空箱を上側から案内するガイド体40が設けられ、苗箱の周回移動が円滑に行われるように構成している。
【0033】
苗箱導入部30の底面には空転ローラ20…が設けられていて、載置されている苗箱が自重で後方に滑り落ちるようになっている。各苗箱導入部30の後端部には、苗箱種搬送部31の搬送路へ苗箱を供給する供給装置29として、苗箱の左右縁を把持して苗箱を主搬送部側に繰り出す左右各一対の供給ローラ21,22と、該供給ローラの前方に位置し、外周部に形成された突起がポットとポットの隙間に下側から係合して苗箱を送る幅広の送りローラ23とが設けられている。上下苗箱供給部の下側供給ローラ22及び送りローラ23は、それぞれモータM1,M2によって回転駆動される。
【0034】
駆動ケース47aと一体のフレーム47bの下側から植付伝動フレーム47cが後方に延出され、駆動ケース47aの上面には苗載台支持フレーム47dが固着され、苗箱導入部30を支持している。ローリング軸24は、植付部支持ブラケット48に取り付けた軸受ケース50に回動自在に軸受けされ、整地装置及び植付部全体がローリング自在に支持されている。植付部全体はローリングセンサ(左右傾斜角センサ)28の検出値に基づき、この検出値が設定値に維持されるように制御装置(コントローラ)からの信号によりローリングモータ25を正逆転駆動することで、ローリング軸24回りに左右ローリング制御されるようになっている。
【0035】
苗箱送り機構は、左右一対の送り爪60,60及び係止爪61,61とからなり、これらの作動により、苗箱搬送路31に沿って苗箱がポット配列の1ピッチ分づつ間欠的に送られるようになっている。送り爪60,60及び係止爪61,61の搬送上手側には苗箱搬送路31を滑り落ちてくる後続の苗箱を一旦受け止める遮断爪63,63が設けられている。
【0036】
苗箱送りカム65の回転により、苗箱送り作動アーム66が揺動し、苗箱送り駆動軸69を介して苗箱送り駆動アーム70,70に伝えられ、送り爪60,60を上下に往復動させる。カム65がローラ67を押す時に送り爪60,60が下動して苗箱を送るようになっている。カム65を伝動回転する伝動軸64には、これと一体的に回転する筒体64aに外部操作によって伝動を入り切りする定位置停止用クラッチ64bが設けられている。
【0037】
また、図7に示すように、苗搬送装置34は、苗押し出しピンにより苗箱から押し出される苗の床土部を保持する苗ホルダー83を備えている。この苗ホルダー83は、上下の揺動リンク84,85に連結された支持部材86に固定されており、揺動リンク84,85の揺動により、円弧軌跡を描いて往復動するようになっている。更に、苗ホルダー83は、苗植付時において、植付クラッチ又は畦クラッチ64bを切った時の苗ホルダーの停止位置が下死点付近の位相で停止し、且つ苗を取りに行く方向で洗浄ノズル89から噴水される噴水圏(イ)内にあって停止するようになっている。
【0038】
更に、図7において、苗植付機構37は、植付駆動軸100と一体回転する回転ケース101に一対の苗植込具102,102が取り付けられ、この苗植込具が閉ループの軌跡を描いて移動し、苗を交互に一株づつ取って圃場に植え付けるようにしている。
【0039】
図8に示す構成例において、苗箱検出センサSW1〜SW7は、図9に示すように、コントローラに接続されていて、各センサからの情報に基づきコントローラ72がモータM1,M2、苗減少ランプ及び苗減少ブザーに出力する。モータM1又はM2の作動により、苗箱供給部にある苗箱が主搬送部の所定位置に繰り出されるものであるが、このとき、モータM1又はM2が所定時間以上作動しても、苗箱が所定位置まで送られて来ない場合には、苗箱検出センサW3がOFF作動し、苗箱送り不良警報装置BZに出力してオペレータに告知するようにしている。
【0040】
苗箱の自動供給装置において、上段搬送路と下段搬送路を送るモータMI,M2の作動時には、車速が所定の速度より少し遅くなるようにコントローラ72が変速モータ74(HST操作)に出力して制御する構成になっている。 苗箱供給時に車速が速いと車体の揺れによって苗箱供給が不安定となる問題があるが、車速を遅くすることによって苗箱自動供給が安定し精度が向上する。
【0041】
なお、前記変速モータ74は、通常は変速レバー14の操作で、変速レバーセンサ73の検知結果に基づき駆動され、車速が任意変速制御されるようになっている。
操縦座席13の左右両側には畦クラッチレバー75が設けられている。畦クラッチレバー75の操作で、畦クラッチを「切り」にし、その後、植付クラッチモータ76の作動で植付クラッチを「切」にして、再度、植付クラッチを「入」にすると、植付部の苗植込具102が1行程回った後、機体が走行発進するように構成している。これにより、走行しながらの植付作業が欠株なく行える。
【0042】
マーカ操作装置105において、旋回の度に線引きする左右マーカ16,16を左右に切り替える「自動」位置と、左右両方のマーカで線引きする「両出」位置と、常時マーカを非線引き状態にする「切」位置とに切り替えるマーカ切替スイッチ106と、線引きするマーカを左右反対側に切り替えるボタンを押す度に線引きするマーカが左右交互に切り替わる左右切替ボタン107を備え、マーカ操作装置105からの指令に基づいて、マーカ用ソレノイド108が作動し、苗植付作業部4の昇降に連動して線引きマーカが倒伏作動又は起立作動するようになっている。
【0043】
そして、前記線引きマーカが線引き作用位置にある時のみ、植付・昇降スイッチ10の苗植付作業部「上げ」操作で、エンジン回転数をアクセルモータ109の作動により自動的にアップしてマーカのリフトスピードが速くなるように連動構成している。かかる構成によれば、水車マーカでは、泥が付き易くて重くなるため、マーカを上げる負荷が大きくなり、リフトスピードが遅くなる問題を解消することができる。
【0044】
なお、苗植付作業部のバックリフト時においても、自動的にエンジン回転数を上げ、油圧上昇スピードを上げるように構成することもできる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体(1)の後側に昇降リンク装置(3)を介して縦リンク(51)を昇降可能に設け、縦リンク(51)に上下動機構(90)を介して整地装置(8)を収納位置へ上動可能に支持させ、縦リンク(51)に着脱される着脱ヒッチ(53)を介して作業部(4)を装着し、作業部装着状態で着脱ヒッチ(53)が外れないようロックするロック装置(59)を設け、作業部(4)と整地装置(8)を共に左右ローリングさせるローリング軸(24)を設け、作業部(4)の上昇時には上下動機構(90)の作動により整地装置(8)を収納位置へ上動させる構成とした作業機。
【請求項2】
走行車体(1)の後側に昇降リンク装置(3)を介して縦リンク(51)を昇降可能に設け、縦リンク(51)に上下動機構(90)を介して整地装置(8)を収納位置へ上動可能に支持させ、縦リンク(51)に着脱される着脱ヒッチ(53)を介して作業部(4)を装着し、作業部装着状態で着脱ヒッチ(53)が外れないようロックするロック装置(59)を設け、作業部(4)と整地装置(8)を共に左右ローリングさせるローリング軸(24)を設け、機体の旋回時には上下動機構(90)の作動により整地装置(8)を収納位置へ上動させる構成とした作業機。
【請求項3】
走行車体(1)から取り外したときに作業部(4)を支持する受け台(93a)を備えたスタンド(93)を設け、スタンド(93)が支持する状態で作業部(4)を縦リンク(51)に装着しようとすると、下動した作業位置にある整地装置(8)と前記スタンド(93)が干渉する関係位置に設定した請求項1又は請求項2に記載の作業機。
【請求項1】
走行車体(1)の後側に昇降リンク装置(3)を介して縦リンク(51)を昇降可能に設け、縦リンク(51)に上下動機構(90)を介して整地装置(8)を収納位置へ上動可能に支持させ、縦リンク(51)に着脱される着脱ヒッチ(53)を介して作業部(4)を装着し、作業部装着状態で着脱ヒッチ(53)が外れないようロックするロック装置(59)を設け、作業部(4)と整地装置(8)を共に左右ローリングさせるローリング軸(24)を設け、作業部(4)の上昇時には上下動機構(90)の作動により整地装置(8)を収納位置へ上動させる構成とした作業機。
【請求項2】
走行車体(1)の後側に昇降リンク装置(3)を介して縦リンク(51)を昇降可能に設け、縦リンク(51)に上下動機構(90)を介して整地装置(8)を収納位置へ上動可能に支持させ、縦リンク(51)に着脱される着脱ヒッチ(53)を介して作業部(4)を装着し、作業部装着状態で着脱ヒッチ(53)が外れないようロックするロック装置(59)を設け、作業部(4)と整地装置(8)を共に左右ローリングさせるローリング軸(24)を設け、機体の旋回時には上下動機構(90)の作動により整地装置(8)を収納位置へ上動させる構成とした作業機。
【請求項3】
走行車体(1)から取り外したときに作業部(4)を支持する受け台(93a)を備えたスタンド(93)を設け、スタンド(93)が支持する状態で作業部(4)を縦リンク(51)に装着しようとすると、下動した作業位置にある整地装置(8)と前記スタンド(93)が干渉する関係位置に設定した請求項1又は請求項2に記載の作業機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−66479(P2013−66479A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−270509(P2012−270509)
【出願日】平成24年12月11日(2012.12.11)
【分割の表示】特願2009−97177(P2009−97177)の分割
【原出願日】平成21年4月13日(2009.4.13)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年12月11日(2012.12.11)
【分割の表示】特願2009−97177(P2009−97177)の分割
【原出願日】平成21年4月13日(2009.4.13)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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