説明

作業用テーブル

【課題】作業者の下肢との干渉を回避でき使い勝手を良くした作業用テーブルを提供すること。
【解決手段】天板3の下方に棚部5と収納部9とを設けた作業用テーブル1であって、天板3の下方に棚部5が配設されるとともに、棚部5の更に下方に、上部開口するとともに側部及び底部が閉じられた収納部9が取り外し可能に棚部5から吊設されており、収納部9の下面と床面との間に空間10を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天板の下方に棚部と収納部とを設けた作業用テーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の作業用テーブルには、天板の下方に棚部と収納部とが各々脚部に支持され、上下に複数並設されているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭62−190528号公報(第1頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1にあっては、棚部及び収納部が天板側から下方の床面近傍まで並設されているため、作業者が天板上面を使用して作業するときに下肢が棚部及び収納部に当接してしまい作業用テーブルの使い勝手が良くないという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、作業者の下肢との干渉を回避でき使い勝手を良くした作業用テーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の作業用テーブルは、
天板の下方に棚部と収納部とを設けた作業用テーブルであって、
前記天板の下方に棚部が配設されるとともに、該棚部の更に下方に、上部開口するとともに側部及び底部が閉じられた収納部が取り外し可能に該棚部から吊設されており、該収納部の下面と床面との間に空間を形成したことを特徴としている。
この特徴によれば、使用頻度の高い物品を天板に近傍の棚部に載置することで物品の出し入れを容易にできるとともに、使用頻度の低い若しくは落下防止を要する物品を収納部に収納して上部開口を棚部により被覆でき、且つ物品を収納部ごと纏めて取り出せる。また、収納部の下面と床面との間に空間を形成したことで、作業者の下肢との干渉を回避できるため、作業用テーブル周りの作業可能範囲を広く採ることができる。
【0007】
本発明の作業用テーブルは、
前記棚部の下方に、前記収納部を吊設する支持部材が延設されており、該支持部材に吊設した前記収納部の下面よりも上方に支持部材の下端を配置していることを特徴としている。
この特徴によれば、収納部を取り外すと、支持部材下端から床面までの下肢空間を収納部取り付け時よりも更に大きく採ることができ、作業の快適度が向上する。
【0008】
本発明の作業用テーブルは、
前記収納部は、前記天板を挟んで互いに対向する一対の使用方向の両方向にも取り外し可能であって、前記支持部材は、該支持部材に吊設された前記収納部の前記両方向への移動も規制する移動規制部を有していることを特徴としている。
この特徴によれば、作業用テーブルの使用者は、天板を挟んで互いに対向する一対の使用方向の両方向にも収納部を出し入れでき、快適に作業できるばかりか、天板を挟んで互いに対向する一対の使用方向の両方向にも取り外し可能とした収納部が、移動規制部により移動を規制されるため、収納部が意図せず移動してしまい落下する虞を回避できる。
【0009】
本発明の作業用テーブルは、
前記収納部は、該収納部の外側方に膨出し前記支持部材に係合するフランジ部を有しており、前記移動規制部は、前記フランジ部を係止することで前記収納部の移動を規制することを特徴としている。
この特徴によれば、収納部の外側方に膨出したフランジ部を支持部材に係合するだけで、収納部を容易に支持部材に吊設できる。
【0010】
本発明の作業用テーブルは、
前記収納部は、前記棚部上面に載置可能な物品の最大高さ寸法よりも長寸の高さ寸法を有していることを特徴としている。
この特徴によれば、収納部を棚部上面に載置することが出来なくなるため、収納部を棚部上面に載置できたとした場合に生じうる、当該収納部が載置してあった棚部上面に別の物品を置こうとして収納部が棚部から落下したり、若しくは既に別の物品が載置してあった棚部上面に当該収納部を置こうとして当該別の物品が落下してしまう危険性を無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例における作業用テーブルを示す正面図である。
【図2】コンテナを棚板に吊設する状態を示す側面図である。
【図3】コンテナを棚板に吊設した状態を示す斜視図である。
【図4】コンテナを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る作業用テーブルを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0013】
実施例に係る作業用テーブルにつき、図1から図4を参照して説明する。以下、図1の紙面手前側、図2の紙面左方側を作業用テーブルの正面(前方)側として説明する。先ず図1の符号1は、本発明の適用された作業用テーブルである。この作業用テーブル1は、例えば、学校の理科室等で生徒等の使用者が化学実験を行うために使用されるテーブルである。
【0014】
この作業用テーブル1の左端部には、実験器具を洗浄するための給水蛇口、及び実験で使用した薬品等を廃棄するための図示しない排水口を備えたシンク2aを備えた筐体2が設けられている。この筐体2の左部における上部には、上面が化学実験の作業を行うための作業面となっている天板3の左端部が載置されている。また、天板3は、作業用テーブル1の右端部にて床面から立設する脚柱4によって天板3の右端部を支持されている。つまり、本実施例の筐体2は、脚柱4とともに天板3を支持する脚部を構成している。
【0015】
図1、図2及び図3に示すように、天板3の下方には本発明における棚部を構成する棚板5が配置されている。この棚板5の左端部は、筐体2と天板3とに亘って取り付けられた接続部材6によって筐体2の右端部に接続されており、棚板5の前後右方向は開放されている。また、棚板5の右端部は、天板3の下面から下方に向けて延設された吊設部材7によって吊設されており、使用者は、例えばノートや教科書等の比較的使用頻度の高い物品を棚板5の上面に載置可能となっている。
【0016】
更に、棚板5の下面には、支持部材8が棚板5の左右幅方向に複数(本実施例では2つ)並んで設けられており、これら支持部材8を介して本発明における収納部としてのコンテナ9が棚板5に取り外し可能に吊設されている。この棚板5に吊設されたコンテナ9と床面との間は、使用者が着座する際に天板3の下方に足を入れることが可能な空間10に形成されている。このため、本実施例では、脚部を構成する筐体2と脚柱4との間にコンテナ9を前後方向にスライドさせることが可能な支持板を備えずともよくなっている。
【0017】
具体的には、図1及び図2に示すように、支持部材8は、棚板5の下面から下方に延びる左右一対の垂下部8a,8aを有している。更にこれら垂下部8a,8aの下部に連続して、両垂下部8a間の左右幅寸法が下方に向けて漸次幅狭となるように、両垂下部8a間の略中央部を向いて屈曲された移動規制部8b,8bに形成されている。天板3の下面には、このように構成された左右一対の垂下部8a,8aと同一構成の左右一対の垂下部8a,8aが、前記左右一対の垂下部8a,8aと前後一対となるように取り付けられており、前後一対となった両垂下部8a,8aにおける移動規制部8b,8bの下端部間は、吊設棒部8cを介して連続して形成されている。更に、前記左右一対の垂下部8a,8aの上端部間は、棚板5の下面に固定された固定棒部8dを介して連続して形成されている。すなわち、支持部材8は、前後及び左右一対に形成された垂下部8a及び移動規制部8bそれぞれが吊設棒部8c及び固定棒部8dを介して連続して形成された枠状部材として構成されている。
【0018】
図3及び図4に示すように、コンテナ9は、上部開口するとともに前後左右の側部及び底部が閉じられた箱状に形成されており、例えば化学実験で使用する実験器具等や比較的使用頻度の低い物品を収納可能となっている。また、コンテナ9の上部は、コンテナ9の外側方に向けて膨出するフランジ部9aに形成されている。このフランジ部9aの左右幅寸法は、左右一対の垂下部8a,8aの上部間の左右幅寸法よりも短寸であって、且つ左右一対の垂下部8a,8aにおける移動規制部8b,8bの下端部間の左右幅寸法よりも長寸に形成されている。尚、収納部の側部及び底部は、当該収納部内に収納した物品が収納部から落下することを防止可能に閉じられていれば、必ずしも本実施例のように閉塞面に形成されるものに限られず、例えば収納部の側部及び底部は、細目の格子状若しくはバスケット状に形成されていてもよい。
【0019】
尚、図1に示すように、コンテナ9の上下幅寸法L3は、棚板5の上面と天板3の下面との上下幅寸法L1よりも長寸に形成されている。このため、棚板5の上面に載置可能な物品の上下幅寸法L1よりも長寸の上下幅寸法L3を有するコンテナ9は、棚板5上に載置することが不可能となっている。更に尚、コンテナ9の上下幅寸法L3は、支持部材8の垂下部8aの下端部から棚板5の下面までの上下幅寸法L2よりも長寸となっており、すなわち支持部材8に吊設したコンテナ9の下面よりも上方に支持部材8の下端を配置している。
【0020】
このように構成されたコンテナ9は、図2に示すように、使用者が左右一対の垂下部8aの上部間をフランジ部9aが通過するようにコンテナ9を作業用テーブル1の背面側に向けて移動させた後、使用者がフランジ部9aを両吊設棒部8c上に載置することで棚板5に吊設されるようになっている。
【0021】
尚、本実施例の支持部材8は、左右一対の垂下部8a,8aを更に前後一対に備えているため、使用者は、作業用テーブル1の背面側から左右一対の垂下部8a,8aの上部間をフランジ部9aが通過するようにコンテナ9を作業用テーブル1の正面側に向けて移動させた後、フランジ部9aを両吊設棒部8c,8c上に載置することでコンテナ9を棚板5に吊設することが可能となっている。
【0022】
このとき、コンテナ9の上部開口は棚板5の下面に近接配置されるため、棚板5をコンテナ9の上部開口を被覆するための蓋として利用することで、コンテナ9内への異物の進入を防止することができる。また、コンテナ9の上部開口と棚板5の下面とが近接することで、作業者が棚板5に吊設されたコンテナ9内に無闇に指等を入れてコンテナ9内の物品に接触することを防止することができる。
【0023】
更に、図2及び図3に示すように、コンテナ9が支持部材8を介して棚板5に吊設されている状態では、使用者等がコンテナ9を前後方向に移動させようとしても、コンテナ9は、フランジ部9aの前後端部の左右側が前後の移動規制部8bに当接することでの前後方向への移動が規制されている。このため、コンテナ9が意図せず前後方向に移動することで棚板5の下方から落下してしまうことが防止されている。
【0024】
尚、棚板5に吊設されたコンテナ9は、使用者がコンテナ9を上方に持ち上げてフランジ部9aを両吊設棒部8cから離間させた後、左右一対の垂下部8a,8aの上部間をフランジ部9aが通過するように作業用テーブル1の正面側または背面側、すなわち天板3を挟んで互いに対向する一対の使用方向の両方向にも任意にコンテナ9を移動させることで棚板5の下方から取り外しが可能となっている。
【0025】
以上、本実施例の作業用テーブル1にあっては、天板3の下方に棚板5が配設されるとともに、棚板5の更に下方に、上部開口するとともに側部及び底部が閉じられたコンテナ9が取り外し可能に棚板5から吊設したので、使用頻度の高い物品を天板3に近傍の棚板5に載置することで物品の出し入れを容易にできるとともに、使用頻度の低い若しくは落下防止を要する物品をコンテナ9に収納して上部開口を棚板5により被覆でき、且つ物品をコンテナ9ごと纏めて取り出せる。また、コンテナ9の下面と床面との間に空間10を形成したことで、作業者の下肢との干渉を回避できるため、作業用テーブル1周りの作業可能範囲を広く採ることができる。
【0026】
また、棚板5の下方に、コンテナ9を吊設する支持部材8が延設されており、支持部材8に吊設したコンテナ9の下面よりも上方に支持部材8の下端を配置しているので、コンテナ9を取り外すと、棚板5の下方にコンテナ9よりも短寸の支持部材8が残されることになるため、支持部材8下端から床面までの下肢空間をコンテナ9取り付け時よりも更に大きく採ることができ、作業の快適度が向上する。
【0027】
また、コンテナ9は、天板3を挟んで互いに対向する一対の使用方向の両方向にも取り外し可能であって、支持部材8は、支持部材8に吊設されたコンテナ9の両方向への移動も規制する移動規制部8bを有しているので、作業用テーブル1の使用者は、天板3を挟んで互いに対向する一対の使用方向の両方向にもコンテナ9を出し入れでき、快適に作業できるばかりか、天板3を挟んで互いに対向する一対の使用方向の両方向にも取り外し可能としたコンテナ9が、移動規制部8bにより移動を規制されるため、コンテナ9が意図せず移動してしまい落下する虞を回避できる。
【0028】
また、コンテナ9は、コンテナ9の外側方に膨出し支持部材8に係合するフランジ部9aを有しており、移動規制部8bは、フランジ部9aを係止することでコンテナ9の移動を規制するので、コンテナ9の外側方に膨出したフランジ部9aを支持部材8に係合するだけで、コンテナ9を容易に支持部材8に吊設できる。
【0029】
また、コンテナ9は、棚板5上面に載置可能な物品の最大高さ寸法よりも長寸の高さ寸法を有しているので、コンテナ9を棚板5上面に載置することが出来なくなるため、コンテナを棚部上面に載置できたとした場合に生じうる、当該コンテナが載置してあった棚部上面に別の物品を置こうとしてコンテナが棚部から落下したり、若しくは既に別の物品が載置してあった棚部上面に当該コンテナを置こうとして当該別の物品が落下してしまう危険性を無くすことができる。
【0030】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0031】
例えば、前記実施例では、支持部材8の垂下部8aの下端部から棚板5の下面までの上下幅寸法L2をコンテナ9の上下幅寸法L3よりも短寸とすることで、コンテナ9が棚板5の下方で吊設された際に棚板5とコンテナ9の上部開口を近接させ、棚板5をコンテナ9の蓋として利用したが、支持部材8の垂下部8aの下端部から棚板5の下面までの上下幅寸法L2を更に短寸に形成することで、コンテナ9が棚板5の下方で吊設された際にコンテナ9の上端部と棚板5の下面とを当接させ、棚板5によってコンテナ9の上部開口を完全に被覆するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 作業用テーブル
2 筐体
2a シンク
3 天板
4 脚柱
5 棚板(棚部)
6 接続部材
7 吊設部材
8 支持部材
8a 垂下部
8b 移動規制部
8c 吊設棒部
8d 固定棒部
9 コンテナ(収納部)
9a フランジ部
10 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板の下方に棚部と収納部とを設けた作業用テーブルであって、
前記天板の下方に棚部が配設されるとともに、該棚部の更に下方に、上部開口するとともに側部及び底部が閉じられた収納部が取り外し可能に該棚部から吊設されており、該収納部の下面と床面との間に空間を形成したことを特徴とする作業用テーブル。
【請求項2】
前記棚部の下方に、前記収納部を吊設する支持部材が延設されており、該支持部材に吊設した前記収納部の下面よりも上方に支持部材の下端を配置していることを特徴とする請求項1に記載の作業用テーブル。
【請求項3】
前記収納部は、前記天板を挟んで互いに対向する一対の使用方向の両方向にも取り外し可能であって、前記支持部材は、該支持部材に吊設された前記収納部の前記両方向への移動も規制する移動規制部を有していることを特徴とする請求項2に記載の作業用テーブル。
【請求項4】
前記収納部は、該収納部の外側方に膨出し前記支持部材に係合するフランジ部を有しており、前記移動規制部は、前記フランジ部を係止することで前記収納部の移動を規制することを特徴とすることを特徴とする請求項3に記載の作業用テーブル。
【請求項5】
前記収納部は、前記棚部上面に載置可能な物品の最大高さ寸法よりも長寸の高さ寸法を有していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の作業用テーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−100770(P2012−100770A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−250173(P2010−250173)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】