説明

使い捨ておむつ

【課題】剛性を抑え、通気性が向上すると共に、着用者に対するクッション性を向上させてフィット性を向上させた使い捨ておむつを提供すること。
【解決手段】本発明のおむつ1は、表面シート2、裏面シート3、これらシート2,3間に配された吸収体4を有する吸収性本体10における背側部Bの両側部10sに一対のファスニングテープ7を備えている。一対のファスニングテープ7の間で且つ表面シート2と裏面シート3との間に、幅方向(X方向)に延びる複数本の襞60を有するギャザーシート6を備えている。ギャザーシート6は、1枚の不織布61と、不織布61上に長手方向(Y方向)に間欠的に複数本配され幅方向(X方向)に伸長状態で配設固定された弾性部材62とを有している。ギャザーシート6の各襞60が各弾性部材62の収縮により形成されており、断面視して、各弾性部材62が各襞60の厚み方向先端寄りに配されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、展開型の使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、漏れ防止の観点及び着用者に対するフィット性の観点から、背側に、いわゆるウエストバリヤシートを配した使い捨ておむつが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、背側胴回り部に、ウエスト開口部の端縁部から吸収体と表面シートとの間に亘って敷設されたウエストバリヤを備えた使い捨ておむつが記載されている。
【0004】
これとは別に、特許文献2には、透液性表面シート及び不透液性裏面シートの二枚のシートで弾性伸縮性部材を被覆せずに、極力構成シートの数を減らして形成された使い捨ておむつが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−10285号公報
【特許文献2】特開平11−299829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の使い捨ておむつは、背側胴回り部に配したウエストバリヤによって、漏れ防止性が向上すると共に、着用者に対するフィット性も向上する。
しかし、特許文献1に記載の使い捨ておむつの備えるウエストバリヤは、折り曲げられて2重構造に形成されており、折り曲げたウエストバリヤの間に挟持されるように複数本の弾性伸縮部材が配されて形成されたものであるため、剛性の観点や通気性の観点から改良の余地があった。また、更に着用者に対するクッション性を向上させてフィット性を向上させたいとのニーズもあった。
【0007】
また、特許文献2に記載の使い捨ておむつは、極力構成シートの数を減らして形成されたおむつであるため、特許文献2には、背側に透液性表面シート及び不透液性裏面シートとは別に、ウエストバリヤシートを設けることについて何ら記載も示唆もされていない。また、特許文献2には、弾性伸縮部材の周囲を裏面シートのみで被覆していることを説明するために、凹凸が過大に示されたシートが図示されているが、このシートは、弾性伸縮部材の厚みだけ凸となったシートであり、襞が形成されているシートではない。従って、この弾性伸縮部材の厚みだけ凸となったシートを用いることによって、クッション性を向上させることはできない。
【0008】
したがって、本発明の課題は、ウエストバリヤシートを備えた使い捨ておむつにおいて、剛性を抑え、通気性を向上させた使い捨ておむつを提供することにある。また、ウエストバリヤシートを備えた使い捨ておむつにおいて、着用者に対するクッション性を向上させてフィット性を向上させた使い捨ておむつを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、液透過性の表面シートと、液難透過性の裏面シートと、これらシート間に配された縦長の吸収体とを有し、腹側部、背側部、股下部に区分された吸収性本体を備え、該吸収性本体における前記背側部の両側部に幅方向外方に延出する一対のファスニングテープを備えた使い捨ておむつであって、一対の前記ファスニングテープの間で且つ前記表面シートと前記裏面シートとの間に、幅方向に延びる複数本の襞を有するギャザーシートを備えており、前記ギャザーシートは、1枚の不織布と、該不織布上に長手方向に間欠的に複数本配され幅方向に伸長状態で配設固定された弾性部材とを有し、前記ギャザーシートの各前記襞が各該弾性部材の収縮により形成されており、断面視して、各該弾性部材が各該襞の厚み方向先端寄りに配されている使い捨ておむつを提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の使い捨ておむつによれば、剛性を抑え、通気性が向上すると共に、着用者に対するクッション性を向上させてフィット性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の実施形態である使い捨ておむつの平面図である。
【図2】図2は、図1のY1−Y1線断面図である。
【図3】図3は、図1に示す使い捨ておむつの備えるギャザーシートの要部拡大断面図である。
【図4】図4は、他の本発明の実施形態である使い捨ておむつの断面図である(図2相当図)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の使い捨ておむつを、その好ましい実施形態に基づき、図1〜図4を参照しながら説明する。
【0013】
本実施形態の使い捨ておむつ1(以下、「おむつ1」ともいう。)は、図1に示すように、液透過性の表面シート2と、液難透過性の裏面シート3と、これらシート2,3間に配された縦長の吸収体4とを有し、腹側部A、背側部B、股下部Cに区分された吸収性本体10を備え、吸収性本体10における背側部Bの両側部10s,10sに幅方向外方に延出する一対のファスニングテープ7,7を備えた使い捨ておむつである。腹側部Aは着用時に着用者の腹側に配される領域であり、背側部Bは着用時に着用者の背側に配される領域であり、股下部Cは腹側部A及び背側部Bの間に配される領域である。以下、おむつ1について、詳述する。
【0014】
おむつ1は、図1〜図3に示すように、中心線CLに対して左右対称に形成されている。
本明細書において、「肌当接面」とは、おむつ1を構成する各部材の表裏両面のうち、着用時に着用者の肌側に配される面であり、図2,図3における「上面」と同じ面である。また、「非肌当接面」とは、おむつ1を構成する各部材の表裏両面のうち、着用時に着用者の肌側とは反対側に向けられる面であり、図2,図3における「下面」と同じ面である。
おむつ1は、図1に示すように、腹側部Aから股下部Cを介して背側部Bに亘る方向の長手方向(以下「Y方向」ともいう。Y方向:中心線CLに平行な方向をいう。)と、長手方向(Y方向)に直交する幅方向(以下「X方向」ともいう。)とを備えている。尚、図2,図3に示すZ方向とは、おむつ1の厚み方向を示している。
【0015】
おむつ1は、図1に示すように、背側部Bの両側部10s,10sそれぞれの側縁に連設された左右一対のファスニングテープ7,7を有する所謂展開型の使い捨ておむつである。おむつ1は、腹側部Aの外面には、ファスニングテープ7を止着するターゲットシート(不図示)を有している。
尚、おむつ1は、図1に示すように、平面状に拡げた状態において、縦長の吸収体4と同方向に長い形状を有している。
【0016】
おむつ1の吸収性本体10は、図1に示すように、長手方向(Y方向)に長く、長手方向(Y方向)の両側縁が、長手方向(Y方向)の中央部(股下部C)において内方に括れた形状を有しており、長手方向(Y方向)の両端部(背側部B,腹側部A)それぞれの幅が、長手方向(Y方向)の中央部(股下部C)の幅よりも広くなっている。おむつ1の吸収性本体10は、図1,図2に示すように、おむつ1の内面をなす表面シート2と、おむつ1の外面をなす裏面シート3と、これらのシート2,3間に介在された吸収体4とを有している。表面シート2及び裏面シート3それぞれは、図1に示すように、吸収体4の肌当接面側の全面及び非肌当接面側の全面を覆っており、吸収体4の周縁から延出しており、延出した部分において、ホットメルト等の接着剤やヒートシール等の融着により固定されている。表面シート2は、長手方向(Y方向)においては、裏面シート3の長さと同じであるが、幅方向(X方向)においては、裏面シート3よりも短く形成されている。
【0017】
おむつ1の吸収性本体10には、図1に示すように、長手方向(Y方向)に沿う両側部10s,10sそれぞれに、表面シート2を介してサイドシート5が配されている。サイドシート5は、表面シート2の肌当接面側であって、長手方向(Y方向)の側部10s全域に亘って配設固定されている。各サイドシート5のX方向の内方(中心線CL寄り)の端部は、自由端となっており、股下部Cにおける自由端近傍には立体ギャザー形成用の弾性部材81が長手方向(Y方向)に伸長状態で配設固定されており、着用時には、その弾性部材の収縮力により、自由端から所定幅の部分が表面シート2から離間して立体ギャザーが形成される。
【0018】
おむつ1の両側部10s,10sには、図1に示すように、腹側部A及び背側部Bそれぞれにおいて、幅方向(X方向)の外方に延出したサイドシート5と裏面シート3とが接合され、サイドフラップ部11が形成されている。おむつ1には、図1に示すように、股下部Cにおいて、幅方向(X方向)外方に延出したサイドシート5と裏面シート3とが接合され、レッグフラップ部12が形成されている。レッグフラップ部12には、股下部Cにおいて、レッグギャザー形成用の弾性部材82が長手方向(Y方向)に伸長状態で配設固定されており、着用時には、その弾性部材の収縮力により、レッグギャザーが形成される。
【0019】
吸収体4は、図1に示すように、長手方向(Y方向)に長い長方形状であり、図2に示すように、液保持性の吸収性コア41と該吸収性コアを包むティッシュペーパー等の被覆シート42とを有しており、吸収性コア41が接着剤を介して被覆シート42に固定されて形成されている。吸収体4は、図2,図3に示すように、表面シート2と裏面シート3との間に配されている。吸収体4と裏面シート3との間は、ホットメルト等の公知の接着剤をスパイラルパターン等の間欠パターンで塗布して、接合されている。
【0020】
本発明の使い捨ておむつは、図1,図2に示すように、一対のファスニングテープ7,7の間で且つ表面シート2と裏面シート3との間に、幅方向(X方向)に延びる複数本の襞60を有するギャザーシート6を備えている。即ち、おむつ1のギャザーシート6は、図1に示すように平面視して、一対のファスニングテープ7,7間に亘って配されており、図2に示すように断面視して、表面シート2と裏面シート3との間に配されている。以下、詳述すると、おむつ1のギャザーシート6は、図2に示すように、Z方向においては、背側部Bにおける表面シート2と裏面シート3との間に配されている。また、おむつ1のギャザーシート6は、図1に示すように、Y方向においては、おむつ着用時にウエスト開口部となる開口縁(吸収性本体10の背側部BにおけるY方向の端部端縁)から吸収体4の背側部BにおけるY方向端部を覆う位置に亘って配されており、X方向においては、一対のファスニングテープ7,7間に亘って配されている。ギャザーシート6は、おむつ1においては、図2に示すように、おむつ1のウエスト開口部となる開口縁と吸収体4の背側部BにおけるY方向端部との間においては、弾性部材62がY方向に間欠的に配されているが、吸収体4と重なる位置においては、弾性部材62が配されておらず、不織布61のみが延在している。このように配されているので、おむつ1においては、体にフィットし易く、背側部B側からの体液の漏れを効率的に防止することができる。尚、おむつ1のギャザーシート6は、Y方向において、おむつ1のウエスト開口部となる開口縁から吸収体4のY方向端部を覆う位置に亘って配されているが、吸収性本体10の背側部BにおけるY方向の端部に配されていればよい。
【0021】
本発明の使い捨ておむつの備えるギャザーシート6は、1枚の不織布61と、不織布61上に長手方向(Y方向)に間欠的に複数本配され幅方向(X方向)に伸長状態で配設固定された弾性部材62とを有している。詳述すると、ギャザーシート6は、おむつ1においては、X方向に延ばした状態においてX方向に長い長方形状の1枚の不織布61と、長方形状の不織布61の非肌当接面上に長手方向(Y方向)に間欠的に複数本配され幅方向(X方向)に伸長状態で配され、接着剤63で固定された弾性部材62とを有している(図2,図3参照)。ギャザーシート6は、X方向に伸長状態で配された複数本の弾性部材62を、接着剤63を用いて不織布61上に固定して形成されている。
【0022】
ギャザーシート6を構成する不織布61としては、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維等の疎水性繊維等から構成された、単層又は多層構造のスパンボンド不織布、スパンレース不織布、エアースルー不織布等であり、その目付は、10〜20g/m2の範囲の不織布であることが好ましい。尚、特に吸収対の上層から用いた場合、液モレ防止効果からの観点から、ポリプロピレン繊維から構成されたスパンボンド/メルブローン/スパンボンド(SMS)不織布であることが好ましい。
【0023】
ギャザーシート6を構成する弾性部材62は、X方向に伸張した状態で、ギャザーシート6の肌当接面又は非肌当接面上に、5〜15本、Y方向に間隔を空けて配されて接着剤63により固定されている。Y方向に隣り合う弾性部材62どうしの間隔は、3〜10mmであることが好ましい。
【0024】
弾性部材62としては、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものであれば、特に制限なく用いることができ、例えば、ポリウレタン、ポリスチレン−ポリイソプレン共重合体、ポリスチレン−ポリブタジエン共重合体、アクリル酸エチル−エチレン等のポリエチレン−αオレフィン共重合体等からなる糸状の伸縮性材料や、天然ゴムを用いることができ、特に、ポリウレタンからなる糸状の伸縮性材料を用いることが好ましい。糸状の弾性部材73は、単糸のサイズが、300〜800dtexであることが好ましく、400〜620dtexであることが更に好ましい。このような糸状の弾性部材73を、長方形状の不織布61上に、20%以上、30〜120%の範囲の伸長倍率となるように配することが好ましい。尚、伸長倍率は、自然長に対する、伸長されて増加した分の長さの割合であり、例えば、長さ10cmのものを20cmに伸長するとその伸長倍率は100%とされる。
【0025】
接着剤63としては、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものであれば、特に制限なく用いることができ、例えば、ホットメルトを用いることができる。
接着剤63の塗工パターンは、接着剤塗工機として、スプレーガン、コーターガン等を用いて不織布61上にスパイラル状、オメガ字状等のパターン塗工を施してもよいが、接着剤塗工機としてビードガンを用いて、各弾性部材62に直接塗工を施すことが好ましく、更に、美感の向上した襞60の形成のし易さの観点から、各弾性部材62の不織布61との対向位置にのみ直接塗工を施すことが好ましい。おむつ1においては、図3に示すように、弾性部材62を断面視して、弾性部材62の全周における不織布61の非肌当接面と対向する上面側の略半周上にのみ接着剤63が直接塗工されている。
【0026】
上述したように、ギャザーシート6は、X方向に伸長状態で配された複数本の弾性部材62を、接着剤63を用いて不織布61上に固定して形成されている。そのため、本発明の使い捨ておむつにおいては、ギャザーシート6の各襞60が各弾性部材62の収縮により形成されており、図2,図3に示すように、断面視して、各弾性部材62が各襞60の厚み方向先端寄りに配されている。このように、襞60が弾性部材62の収縮により形成されているので、各襞60は、図2に示すように、各弾性部材62の配置と同じ位置に形成されるようになる。
【0027】
おむつ1のギャザーシート6は、断面視して、図3に示すように、各弾性部材62と、長手方向(Y方向)に隣り合う弾性部材どうし62,62の間の底部64に位置する不織布61との間に間隔Wがある。間隔Wは、図3に示すように、弾性部材62の下面側の最下点と、ギャザーシート6の底部64における不織布61の肌当接面との距離であり、着用者に対するクッション性を向上させると共に、通気性が向上する観点から、0.1〜10mmであることが好ましく、0.5〜5.0mmであることが更に好ましい。
【0028】
ギャザーシート6は、おむつ1においては、図2,図3に示すように、表面シート2側に、各襞60を形成する各弾性部材62が配されている。即ち、ギャザーシート6の襞60の先端側が、図2に示すように、表面シート2側に配されている。このように、ギャザーシート6の襞60の先端側が、着用者の肌に当接する表面シート2側に配されているので、背側部Bのゴワゴワ感を低減すると共に、クッション性を向上させることができる。
【0029】
ギャザーシート6は、おむつ1においては、図2,図3に示すように、長手方向(Y方向)に隣り合う弾性部材どうし62,62の間の底部64にて裏面シート3に固定されている。ギャザーシート6は、各弾性部材62が収縮して各襞60を形成した状態で、接着剤9を介して裏面シート3に固定されている。接着剤9の塗工パターンは、接着剤塗工機として、スプレーガン、コーターガン等を用いて、所謂ベタ塗りすることが好ましいが、接着剤塗工機として、ビードガン、スパイラルスプレーガン、オメガ字状スプレーガン、転写ロール等を用いて、直線状、スパイラル状、オメガ字状、ドット状等のパターン塗工を行うこともできる。具体的には、スプレーガン、ビードガン、コーターガン等を用いて、ギャザーシート6における長手方向(Y方向)に隣り合う弾性部材どうし62,62の間の底部64毎に、直線状に接着剤9を塗工したり、細かいスパイラル状に接着剤9を塗工したりしてもよく、スパイラルスプレーガン、オメガ字状スプレーガン等を用いて、裏面シート3の肌当接面にスパイラル状に接着剤9を塗工したりしてもよい。
接着剤9の塗工量は、0.015〜3.0g/m2であることが好ましい。
【0030】
ギャザーシート6は、おむつ1においては、図2に示すように、表面シート2と固定されていない。言い換えれば、おむつ1においては、図2に示すように、ギャザーシート6の各襞60の先端においても表面シート2と固定されておらず、ギャザーシート6を構成する不織布61の肌当接面と表面シート2の非肌当接面とが固定されていない。このように、ギャザーシート6の不織布61の肌当接面と表面シート2の非肌当接面とが固定されていないので、背側部Bのゴワゴワ感を低減すると共に、クッション性を向上させることができる。
【0031】
本実施形態の使い捨ておむつ1の形成材料について説明する。
表面シート2、裏面シート3及び吸収体4としては、それぞれ、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。例えば、表面シート2としては、親水性且つ液透過性の不織布等を用いることができ、裏面シート3としては、液不透過性又は撥水性の樹脂フィルムや樹脂フィルムと不織布の積層体等を用いることができ、吸収体4としては、パルプ繊維等の繊維の集合体(不織布であっても良い)又はこれに吸水性ポリマーの粒子を保持させてなる吸収性コア41を、透水性の薄紙や不織布からなる被覆シート42で被覆したもの等を用いることができる。立体ギャザーやレッグギャザーを形成するサイドシート5としては、それぞれ、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものであれば、特に制限なく用いることができ、伸縮性のフィルム、不織布、織物またはそれらの積層シート等を用いることができる。
【0032】
立体ギャザー形成用の弾性部材81、レッグギャザー形成用の弾性部材82としては、ギャザーシート6を構成する弾性部材62と同様に、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものであれば、特に制限なく用いることができ、例えば、ポリウレタン、ポリスチレン−ポリイソプレン共重合体、ポリスチレン−ポリブタジエン共重合体、アクリル酸エチル−エチレン等のポリエチレン−αオレフィン共重合体等からなる糸状の伸縮性材料や、天然ゴムを用いることができる。
ファスニングテープ7としては、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。例えば、ファスニングテープ7を構成するフック材としては、「マジックテープ(登録商標)」(クラレ社製)、「クイックロン(登録商標)」(YKK社製)、「マジクロス(登録商標)」(カネボウベルタッチ社製)等におけるオス部材等を用いることができる。
【0033】
ファスニングテープ7の接合には、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられる接着剤や、ヒートエンボス、超音波エンボス、高周波エンボス等の融着手段が用いられる。吸収性本体10の表面シート2、裏面シート3、吸収体4、サイドシート5の固定も同様に、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられる接着剤やヒートエンボス、超音波エンボス、高周波エンボス等の融着手段が用いられる。
【0034】
上述した本発明の実施形態である使い捨ておむつ1(以下、「おむつ1」ともいう。)を使用した際の作用効果について説明する。
おむつ1は、図2に示すように、一対のファスニングテープ7,7の間で且つ表面シート2と裏面シート3との間に、幅方向(X方向)に延びる複数本の襞60を有するギャザーシート6を備えている。ギャザーシート6は、1枚の不織布61上に接着剤63を介して幅方向(X方向)伸長状態の弾性部材62を配設固定し、ギャザーシート6の各襞60が各弾性部材62の収縮により形成されており、断面視して、各弾性部材62が各襞60の厚み方向先端寄りに配されている。このように、ギャザーシート6は、構成する部材点数が少ないにも拘わらず、Z方向に襞60を有する厚みのあるものであるため、おむつ1の剛性が抑えられ、通気性も向上する。また、Z方向に襞60を有する厚みのあるギャザーシート6を用いているので、背側部Bにおいて、着用者に対するクッション性が向上し、フィット性が向上する。
【0035】
おむつ1の備えるギャザーシート6は、図3に示すように、弾性部材62を断面視して、弾性部材62の全周における不織布61の非肌当接面と対向する上面側の略半周上にのみ接着剤63が直接塗工されている。言い換えれば、弾性部材62の下面側の略半周上に接着剤63が塗工されていないので、弾性部材62の全周を不織布61が覆っていない。このように、弾性部材62の下面側を不織布61が覆っていないので、Z方向に起立する襞60が綺麗に形成され易く、フィット性が向上する。
【0036】
おむつ1は、図1,図2に示すように、吸収性本体10の背側部Bにギャザーシート6を備えているので、吸収体4の背側部B側の端部からの液の染み出しを防止することが出来ると共に背側部B側のウエスト領域において柔軟におむつ1の端部を身体にフィットさせることが出来る。
【0037】
本発明の使い捨ておむつは、上述の本実施形態のおむつ1に何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。
【0038】
例えば、上述の実施形態の使い捨ておむつ1においては、図2に示すように、表面シート2側に、各襞60を形成する各弾性部材62が配されているが、図4に示すように、裏面シート3側に、各襞60を形成する各弾性部材62が配されていてもよい。また、図2に示すように、おむつ1のギャザーシート6は、ギャザーシート6を構成する弾性部材62が、おむつ1のウエスト開口部となる開口縁と吸収体4の背側部BにおけるY方向端部との間にのみ配されているが、図4に示すように、吸収体4と重なる位置においても弾性部材62が配されていてもよい。
【0039】
また、上述の実施形態の使い捨ておむつ1においては、図2に示すように、表面シート2の非肌当接面(下面)及び裏面シート3の肌当接面(上面)に直接接するように、ギャザーシート6が配されているが、表面シート2と裏面シート3との間に、ギャザーシート6が配されていればよい。即ち、表面シート2とギャザーシート6との間に別のシートが介在していてもよいし、裏面シート3とギャザーシート6との間に別のシートが介在していてもよい。
【0040】
また、上述の実施形態の使い捨ておむつ1は、幼児用の使い捨ておむつであても、大人用の使い捨ておむつであってもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 使い捨ておむつ
10 吸収性本体
10s 長手方向(Y方向)に沿う側部
11 サイドフラップ部
12 レッグフラップ部
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
41 吸収性コア
42 被覆シート
5 サイドシート
6 ギャザーシート
60 襞
61 不織布
62 弾性部材
63 接着剤
64 底部
7 ファスニングテープ
81 立体ギャザー形成用の弾性部材
82 レッグギャザー形成用の弾性部材
9 接着剤
A 腹側部,B 背側部,C 股下部
CL おむつの長手方向に延びる中心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液透過性の表面シートと、液難透過性の裏面シートと、これらシート間に配された縦長の吸収体とを有し、腹側部、背側部、股下部に区分された吸収性本体を備え、該吸収性本体における前記背側部の両側部に幅方向外方に延出する一対のファスニングテープを備えた使い捨ておむつであって、
一対の前記ファスニングテープの間で且つ前記表面シートと前記裏面シートとの間に、幅方向に延びる複数本の襞を有するギャザーシートを備えており、
前記ギャザーシートは、1枚の不織布と、該不織布上に長手方向に間欠的に複数本配され幅方向に伸長状態で配設固定された弾性部材とを有し、前記ギャザーシートの各前記襞が各該弾性部材の収縮により形成されており、断面視して、各該弾性部材が各該襞の厚み方向先端寄りに配されている使い捨ておむつ。
【請求項2】
前記ギャザーシートは、断面視して、各前記弾性部材と、長手方向に隣り合う該弾性部材どうしの間の底部に位置する前記不織布との間に間隔がある請求項1に記載の使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記ギャザーシートは、前記表面シート側に、各前記襞を形成する各前記弾性部材が配されている請求項1又は2に記載の使い捨ておむつ。
【請求項4】
前記ギャザーシートは、長手方向に隣り合う前記弾性部材どうしの間の底部にて前記裏面シートに固定されている請求項3に記載の使い捨ておむつ。
【請求項5】
前記ギャザーシートは、前記表面シートと固定されていない請求項3又は4に記載の使い捨ておむつ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−111325(P2013−111325A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261324(P2011−261324)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】