説明

使い捨てカイロ

【課題】汗をかいても該汗を吸収し、肌接触面がサラサラしてベトつかない、肌着に内貼りする使い捨てカイロを提供すること。
【解決手段】発熱組成物40を封入した偏平状袋10が四方シール袋であり、肌密着側の面構成部材20は、外層となる疎水性及び通水性を有する第一の不織布21と中間層となる吸水性及び保水性を有する第二の不織布22とが通気性を遮蔽しないように接着又は溶着により積層され、さらに第二の不織布22に内層となるシーラントフィルム23が積層されてなる。肌着内面貼着側の面構成部材30は、外層となる通気性を有する第三の不織布31と内層となる通気性を有するシーラントフィルム32とが通気性を遮蔽しないように接着又は溶着され、第三の不織布31に通気性を遮蔽しないように粘着性塗膜33が塗布形成され、粘着性塗膜33にセパレータ34が積層されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏平状袋の一方の面を肌着内面に貼着し他方の面を肌に接触させる、肌着に内貼りする使い捨てカイロに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カイロの温熱と貼薬の温熱刺激との相乗効果を図る使い捨てカイロが提案されている(特許文献1参照)。この使い捨てカイロは、発熱材を袋体内に封入して形成された使い捨てカイロの袋体の表面又は裏面に設けた接着層に、シートに貼薬剤を展延し剥離シートを貼着してなる貼薬を貼着してなる。
また、カイロの温熱と漢方植物エキスとの相乗効果を図る使い捨てカイロが提案されている(特許文献2参照)。この使い捨てカイロは、皮膚の保湿、殺菌、消炎作用を有するアロエ等の漢方植物エキスに浸透し乾燥させた不織布の袋に鉄粉、活性炭等を封入してなる。
【0003】
【特許文献1】特開平10−201787号公報
【特許文献2】特開2006−239367号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の使い捨てカイロは、シートに展延した貼薬剤が肌に密着するように固定し、薬剤を肌に吸収させるので、最初から肌にツッパリ感・違和感を生じ、肌に発汗があるとベトベト感を生じる、という問題がある。
【0005】
また、特許文献2の使い捨てカイロは、不織布の袋をアロエ等の漢方植物エキスに浸透し乾燥させてあるが、肌に発汗があると汗が溶媒になり漢方植物エキスが浸み出してベトベト感・ツッパリ感を生じる、という問題がある。
【0006】
本発明は、上述した点に鑑み案出したもので、偏平状袋の一方の面を肌着内面に貼着し他方の面を肌に接触させて使用し、汗をかいても該汗を吸収し、肌接触面がサラサラしてベトつかず、柔らかく肌触りが良く、肌に直接貼らないことにより、肌にツッパリ感が生じず、汗を吸収して粘着力を弱めて剥がれてしまうことがない、肌着に内貼りする使い捨てカイロを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、空気の存在下で酸化発熱する発熱組成物を封入してなる通水性を有する偏平状袋が、肌密着側の面構成部材と肌着内面貼着側の面構成部材との周辺部同士をヒートヒールされてなり、前記肌密着側の面構成部材は、外層となる疎水性及び通水性を有する第一の不織布と中間層となる吸水性及び保水性を有する第二の不織布とがそれぞれの通水性を遮断しないように接着又は溶着により積層され、さらに前記第二の不織布に内層となる第一のシーラントフィルムが接着又は溶着により積層されてなり、前記肌着内面貼着側の面構成部材は、外層となる通気性を有する第三の不織布と内層となる通気性を有する第二のシーラントフィルムとが通気性を遮断しないように接着又は溶着により積層され、前記第三の不織布には通気性を遮断しないように肌着内面に貼着するための粘着塗膜が形成され、前記粘着塗膜にセパレータが積層されてなる、肌着に内貼りする使い捨てカイロとしたことを特徴とする。
【0008】
本発明では、前記第二の不織布に薬剤、唐辛子エキス、或いは保湿剤を含浸してなることが望ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、肌着内面貼着側の面構成部材を粘着剤塗布層により肌着内面に貼着して使用すると、肌密着側の面構成部材を肌に接触させることになり、肌着内面貼着側の面構成部材を通して偏平状袋内への空気からの酸素を取り入れて発熱組成物が酸化発熱し、カイロとして機能し、汗をかいても該汗を吸収し、肌接触面がサラサラしてベトつかず、柔らかく肌触りが良く、肌に直接貼らないことにより、肌につっぱり感が生じず、汗を吸収して粘着力を弱めて剥がれてしまうことがない、使い捨てカイロを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明の実施の形態に係る肌着に内貼りする使い捨てカイロを図面を参照して説明する。
【0011】
〔基本的構成〕
図1、図2に示すように、肌着に内貼りする使い捨てカイロ1は、偏平状袋10と、偏平状袋10に封入された発熱組成物40とを有してなる。偏平状袋10は、肌密着側の面構成部材20と、肌着内面貼着側の面構成部材30とからなる四方シール袋である。肌密着側の面構成部材20は、第一の不織布21と第二の不織布22と第一のシーラントフィルム23とを積層してなる。肌着内面貼着側の面構成部材30は、第三の不織布31と第二のシーラントフィルム32とを積層し第三の不織布31に粘着性塗膜33を形成しセパレータ34を積層してなる。
【0012】
この肌着に内貼りする使い捨てカイロ1は、セパレータ34を剥がし粘着性塗膜33を肌着内面に貼着し肌密着側の面構成部材20を肌に接触させて使用する。この肌着に内貼りする使い捨てカイロ1は、肌密着側の面構成部材20を、二層構造の不織布を備え、外層の第一の不織布21にサラサラ感を持たせ、中間層の第二の不織布22に汗吸収機能或いは薬剤保持機能を有している。そして、第二の不織布22に汗が吸収され又は薬剤が含浸されていると、肌密着側の面構成部材20から偏平状袋10への空気中の酸素の侵入が行われがたいので、肌着内面貼着側の面構成部材30に通気性を持たせ、偏平状袋10への空気中の酸素の侵入を肌着内面に貼着した面構成部材30を通して行うようになっている。
以下、さらに詳細に説明する。
【0013】
〔実施の形態1〕
この実施の形態1の使い捨てカイロ1は、図1、図2に示すように、肌密着側の面構成部材20と肌着内面貼着側の面構成部材30との周辺部同士をヒートヒールしてなる四方シール包装袋である偏平状袋10と、偏平状袋10に封入され空気の存在下で酸化発熱する発熱組成物40とからなる。
【0014】
肌密着側の面構成部材20は、外層となる疎水性及び通水性を有する第一の不織布21と、中間層となる吸水性及び保水性を有する第二の不織布22と、内層となる第一のシーラントフィルム23とが積層されてなる。第一の不織布21と第二の不織布22とは、格子状、ドット状、クモの巣状、ストライプ状等の接着部24で接着されており、該接着部24が、第一の不織布21と第二の不織布22との間の通水性を遮断しないようになっている。なお、接着に換えて溶着としても良い。
第二の不織布22に対し、第一のシーラントフィルム23が接着部25により接着積層されている。この実施の形態の第一のシーラントフィルム23は、三層共押出フィルムを採用している。具体的には、無機フィラー入りポリエチレン1軸延伸フィルム(白色)23a、低密度ポリエチレン(LDPE)23bと、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)とを三層共押出成形してなる。この三層共押出フィルムは、通気性を有していない。なお、第一のシーラントフィルム23は、低密度ポリエチレンの単層であっても良い。三層共押出フィルムの方がコストが安い。
【0015】
第一の不織布21には、例えば白色の厚さ約0.2mm、目付け23〜25g/mのスパンレースと称する不織布を用いることができる。第二の不織布22には、白色の、レーヨン又は高吸水性ポリマー繊維より作られた例えば厚さ約0.25mm、目付け43g/mの不織布を用いることができる。無機フィラー入りポリエチレン1軸延伸フィルム(白色)23aは例えば厚さ30μm、目付け30g/m、低密度ポリエチレン(LDPE)23bは例えば厚さ15μm、メタセロン系押出原料低密度ポリエチレン(mLLDPE)は例えば厚さ17μmとすることができる。
無機フィラー入りポリエチレン1軸延伸フィルム(白色)23aの使用は、マイクロポーラス(延伸による)の白により中身の発熱組成物40が見えないようにすることと風合いが目的であり、また、シール強度、ホットタック性、低温シール性があるものを選定した結果である。
【0016】
肌着内面貼着側の面構成部材30は、外層となる通気性を有する第三の不織布31と内層となる通気性を有する第二のシーラントフィルム32とが積層されてなる。第三の不織布31と第二のシーラントフィルム32とは、格子状、ドット状、クモの巣状、ストライプ状等の接着部35で接着されており、該接着部35が、第三の不織布31及び第二のシーラントフィルム32の通気性を遮断しないようになっている。なお、接着に換えて溶着でも良い。
【0017】
肌着内面貼着側の面構成部材30は、さらに、第三の不織布31に通気性を遮断しないように肌着内面に貼着するための粘着性塗膜33が形成され、粘着性塗膜33にセパレータ(離型紙)34が積層されてなる。粘着性塗膜33は、格子状、ドット状、クモの巣状、ストライプ状等に設けられ、第三の不織布31の通気性を遮断しないようになっている。
【0018】
第三の不織布31には、例えば白色のナイロンスパンボンド又はポリエステル繊維より作られた例えば厚さ約0.15mm、目付け35g/mの不織布を用いることができる。第二のシーラントフィルム32には、例えば厚さ約70μmの多孔質未延伸低密度ポリエチレン、又は多孔質未延伸直鎖状低密度ポリエチレンを用いることができる。
【0019】
発熱組成物40の形態・組成は、空気の存在下で酸化発熱する鉄粉等の金属粉末を主体とする発熱組成物であるが、特に限定しない。発熱組成物40は、一般的に、鉄粉、活性炭、塩類、吸水性樹脂および水を含んでなるか、あるいは、鉄粉等の金属粉末、塩類、水、活性炭及び保水剤を主成分とする。空気の存在下で酸化発熱する鉄粉は、例えば、反応助剤、水、及び保水剤と混合して大気中で緩発熱する組成物用の原料鉄粉を含む。
【0020】
上述のように、この実施の形態の使い捨てカイロ1は、肌密着側の面構成部材20を構成する不織布について、外層となる疎水性及び通水性を有する第一の不織布21と、中間層となる吸水性及び保水性を有する第二の不織布22との2層構造とし、又、肌着内面貼着側の面構成部材30について、不織布31と第二のシーラントフィルム32とを積層し両者に通気性を持たせた。
【0021】
この使い捨てカイロ1は、肌着内面貼着側の面構成部材30のセパレータ34を剥がして粘着性塗膜33を肌着内面に貼着して肌密着側の面構成部材20の柔らかく肌触りが良くサラサラ感がある第一の不織布21を肌に接触させて使用する。
【0022】
偏平状袋10内への空気からの酸素の取り入れは、肌着内面貼着側の面構成部材30を通して行われる。発熱組成物40が酸化発熱し、第一の不織布21と接触した肌部分に温熱効果を継続して与え、該肌部分に汗をかいたとき、該汗を吸水性及び保水性を有する第二の不織布22が吸収する。疎水性を有する第一の不織布21は、肌に対してサラサラ感を継続し汗によるベトつきが出てくることがない。この使い捨てカイロ1は、肌に直接貼らないことにより、肌につっぱり感を生じず、汗を吸収して粘着力を弱めて剥がれてしまうことがない。
【0023】
〔その他の実施の形態〕
本発明は上記実施の形態にこれに限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨を逸脱しない範囲内での種々、設計変更した形態を技術的範囲に含むものである。
【0024】
上記実施の形態1の使い捨てカイロ1は、吸水性及び保水性を有する第二の不織布22に予め薬剤等を含浸させないで、該第二の不織布22に汗を吸収する機能を持たせたが、該第二の不織布22に薬剤(血行促進剤、鎮痛剤、消炎剤など)、唐辛子エキス、漢方エキス、或いは保湿剤を予め含浸してなる場合も本発明の技術的範囲に含むものである。
第二の不織布22に薬剤等を含浸させた場合でも、疎水性を有する第一の不織布21は、肌に対してサラサラ感を与えることができ、汗によるベトつきが生じない。この使い捨てカイロ1は、肌に直接貼らないことにより、肌につっぱり感を生じず、汗を吸収して粘着力を弱めて剥がれてしまうことがない。
このため、第二の不織布22に通気性を確保することができないことと、発熱組成物40に含まれる水分が蒸気となって第一の不織布21より肌に触れないようにするために、上記実施の形態では、第一のシーラントフィルム23には通気性を有しないものを選択したが、第一のシーラントフィルム23には通気性を持たせても使用上、特に差支えがないので、第一のシーラントフィルム23に通気性を持たせた場合も本発明に含まれる。これとともに、接着部25は、通気性の有無を問わない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施の形態1に係る肌着に内貼りする使い捨てカイロの断面図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【符号の説明】
【0026】
1 肌着に内貼りする使い捨てカイロ
10 偏平状袋
20 肌密着側の面構成部材
21 第一の不織布
22 第二の不織布
23 第一のシーラントフィルム
30 肌着内面貼着側の面構成部材
31 第三の不織布
32 第二のシーラントフィルム
33 粘着性塗膜
34 セパレータ
40 発熱組成物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気の存在下で酸化発熱する発熱組成物を封入してなる通水性を有する偏平状袋が、肌密着側の面構成部材と肌着内面貼着側の面構成部材との周辺部同士をヒートヒールされてなり、
前記肌密着側の面構成部材は、外層となる疎水性及び通水性を有する第一の不織布と中間層となる吸水性及び保水性を有する第二の不織布とがそれぞれの通水性を遮断しないように接着又は溶着により積層され、さらに前記第二の不織布に内層となる第一のシーラントフィルムが接着又は溶着により積層されてなり、
前記肌着内面貼着側の面構成部材は、外層となる通気性を有する第三の不織布と内層となる通気性を有する第二のシーラントフィルムとが通気性を遮断しないように接着又は溶着により積層され、前記第三の不織布には通気性を遮断しないように肌着内面に貼着するための粘着塗膜が形成され、前記粘着塗膜にセパレータが積層されてなる、
ことを特徴とする肌着に内貼りする使い捨てカイロ。
【請求項2】
前記第二の不織布に薬剤、唐辛子エキス、或いは保湿剤を含浸してなる、
ことを特徴とする請求項1に記載の肌着に内貼りする使い捨てカイロ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2009−160297(P2009−160297A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−2182(P2008−2182)
【出願日】平成20年1月9日(2008.1.9)
【出願人】(000000550)オカモト株式会社 (118)
【Fターム(参考)】