説明

使い捨てズボンカバー

【課題】生産コストを抑えることができる使い捨てズボンカバーを提供すること。
【解決手段】一枚の矩形状の防水性を有するシート1から形成されており、シート1の上端縁から延出するようにして配置された胴周り部10と、胴周り部10の下端縁から延出するようにして配置された一対の脚周り部20と、シート1の左右方向両端縁から延出するようにして胴周り部10と一対の脚周り部20との間に存在し、胴周り部10と一対の脚周り部20の一部とを相互に分離可能な第1分離線50と、一対の脚周り部20の間に存在し、これらの脚周り部20を相互に分離可能な第2分離線60と、第2分離線60からシート1の左右方向両端縁に向かって延出しており、胴周り部10と一対の脚周り部20の一部とを相互に分離可能な第3分離線70と、を備えている、ことを特徴とする使い捨てズボンカバー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨てズボンカバーに関するものであり、より詳細には、荒天時に使用してズボンの濡れや汚れを防ぐことを目的とするものである。
【背景技術】
【0002】
雨天時に外出する際、傘をさして移動するというのが一般的である。しかし、風や雨が強く荒天となった場合、傘だけでは雨を防ぎきることができずに、特に下半身が濡れてしまうということは、周知の問題である。このような問題に対して、防水性のシートをズボン型に加工したズボンカバーを使用することで対処する、といったことがしばしば行われる。ズボン型のズボンカバーは、体にフィットさせて着用することが可能であるため、着用感に優れているという利点を有している。
【0003】
しかし、ズボン型に加工されたズボンカバーは、着用時に、両方の脚を胴周り部から挿入して脚周り部に脚を通さなければならず、靴が濡れたり汚れたりしていると、内部が汚れてしまうという問題があった。そのような問題を解決すべく、下記特許文献2に示されるようなタイプのズボンカバーが提案されていた。
【0004】
この一方、下記特許文献3に示されるように、近年では、ニーズの高まりから、生産コストを抑えて使い捨て可能とされた雨具が提案されている。
【特許文献1】実用新案登録第3105050号
【特許文献2】実用新案登録番号第3022122号
【特許文献3】実開平07−044138号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の脚を通さなくとも装着可能なズボンカバーは、その構造が複雑であるため、生産コストが嵩み、安価な使い捨ての商品とすることは困難であった。
そこで、本発明の主たる課題は、生産コストを抑えることができる使い捨てズボンカバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、上記課題を解決するための手段とそれらの作用効果を示す。
〔請求項1に係る発明〕
請求項1に係る発明は、
防水性を有するシートから形成され、装着時に胴周り及び脚周りを被覆する使い捨てズボンカバーであって、
一枚の矩形状のシートから形成されており、
シートの上端縁から延出するようにして配置された胴周り部と、
胴周り部の下端縁から延出するようにして配置された一対の脚周り部と、
シートの左右方向両端縁から延出するようにして胴周り部と一対の脚周り部との間に存在し、胴周り部と一対の脚周り部とを相互に一部分離可能な第1分離線と、
一対の脚周り部の間に存在し、これらの脚周り部を相互に分離可能な第2分離線と、
第2分離線からシートの左右方向両端縁に向かって延出しており、胴周り部と一対の脚周り部とを相互に一部分離可能な第3分離線と、を備えている、ことを特徴とする使い捨てズボンカバーである。
【0007】
〔作用効果〕
本請求項に係る使い捨てズボンカバーでは、胴周り部を装着者の胴周りに巻き付けることによって装着者の胴周りが被覆されるようになっている。この一方、第2分離線で一対の脚周り部を相互に分離し、且つ第1分離線及び第3分離線で胴周り部と一対の脚周り部の一部とを相互に分離し、一対の脚周り部を装着者の両方の脚周りに巻き付けることによって装着者の脚周りが被覆されるようになっている。
【0008】
つまり、本請求項に係る使い捨てズボンカバーは、胴周り部及び一対の脚周り部を、装着者の胴周り及び脚周りに巻き付けることで装着されるようになっているため、両方の脚を胴周り部から挿入して脚周り部に脚を通さなくとも着脱可能となっている。
【0009】
また、本請求項に係る発明である使い捨てズボンカバーは、シートの左右方向両端縁から延出するようにして胴周り部と一対の脚周り部との間に存在し、胴周り部と一対の脚周り部とを相互に一部分離可能な第1分離線と、第2分離線からシートの左右方向両端縁に向かって延出しており、胴周り部と一対の脚周り部とを相互に一部分離可能な第3分離線とを備えているため、一対の脚周り部を脚周りに巻き付けた際に、胴周り部が脚周り部の動きに対して引っ張られることがないため、身体へのフィット性を損なうことなく一枚の矩形状のシートから形成することが可能となっている。その結果、構造が単純となるため、生産コストを従来品よりも低く抑えることが可能となる。
【0010】
〔請求項2に係る発明〕
請求項2に係る発明は、胴周り部の左右方向一端側には、胴周り部に対して係着可能であるウエスト調整部が設けられている、請求項1に記載の使い捨てズボンカバーである。
【0011】
〔作用効果〕
請求項2に係る発明は、胴周り部の左右方向一端側には、胴周り部に対して係着可能であるウエスト調整部が設けられているため、このウエスト調整部を胴周り部の任意の位置に係着することによって、胴周りの周長を自由に設定することができるようになる。その結果、ベルトなどのウエストを締め付ける部材がなくとも、装着者のウエストに対して容易にフィットさせることができるようになる。
【0012】
〔請求項3に係る発明〕
請求項3に係る発明は、シートの内側における胴周り部の上端縁近傍には、胴周り部の上端縁に沿って延在し、装着者の衣服又は肌に対して係着可能な脱落防止部が設けられている、請求項1又は請求項2に記載の使い捨てズボンカバーである。
【0013】
〔作用効果〕
請求項3に係る発明は、シートの内側における胴周り部の上端縁近傍には、胴周り部の上端縁に沿って延在し、装着者の衣服又は肌に対して係着可能な脱落防止部が設けられているため、装着時に使い捨てズボンカバーがズレ落ちてしまうことを防止することができる。
【0014】
〔請求項4に係る発明〕
請求項4に係る発明は、シートが、防水性及び透湿性を有する、不織布、レーヨン紙、孔開きフィルム、又は編物から構成されている、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の使い捨てズボンカバーである。
【0015】
〔作用効果〕
請求項4に係る発明は、シートが、防水性及び透湿性を有する、不織布、レーヨン紙、孔開きフィルム、又は編物から構成されているため、生産コストを抑えることができ、また廃棄も容易となるため、使い捨ての物品として優れた使い捨てズボンカバーを提供することができる。また、これらの材料は、防水性及び透湿性を有しているため、着用感に優れている。
【発明の効果】
【0016】
以上に示したように、本発明によれば、生産コストを抑えることができる使い捨てズボンカバーを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明に係る使い捨てズボンカバーの実施形態を、添付図面を参照しつつ説明する。なお、図1中の矢印Rは右方向を、矢印Lは左方向を、矢印Uは上方向を、矢印Dは下方向を、それぞれ示すものであるが、これらの方向は、説明上便宜的に用いているに過ぎない。
【0018】
〔第1実施形態〕
本発明に係る使い捨てズボンカバーの第1実施形態を、添付図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態に係る使い捨てズボンカバーを内面側から見た展開図である。この使い捨てズボンカバーは、一枚の矩形状のシート1から形成されており、装着者の胴周りを被覆する胴周り部10と、装着者の脚周りを被覆する一対の脚周り部20と、から主に構成されている。
【0019】
本実施形態に係る使い捨てズボンカバーを構成するシート1は、ポリエチレン系樹脂フィルム、塩化ビニル系樹脂、防水性及び透湿性を有する、ポリエステル系繊維、ポリウレタン系繊維などからなる不織布、レーヨン紙、孔開きフィルム、木綿やポリエステル繊維などを編んで構成されるメリヤスやパイル地などの編物から構成される。その中でも特に、防水性と透湿性とを兼ね備えている点から、不織布、レーヨン紙、孔開きフィルムから構成されていることが好ましい。
【0020】
これらを使用することにより、コストを抑え、廃棄も容易になるため、使い捨て用の雨具とする場合には有効である。また、不織布や編物を使用する場合は、雨具内部の湿度が上がったり、開口部などから水が若干侵入した場合でも、不織布や編物が水分を吸収し、直接皮膚や衣服に水滴が接触することが無く、肌触りが向上して、特に着用感に優れる。なお、編物を使用する場合は厚みの薄い薄地のものを使用するのが着用感などの点から好ましい。
【0021】
ポリエステル系繊維、ポリウレタン系繊維などからなる不織布、レーヨン紙、孔開きフィルム、木綿やポリエステル繊維などを編んで構成されるメリヤスやパイル地などの編物から成るシート1に防水加工を施す方法としては、シート1の外側に透湿性を有する無孔性のフィルムを積層することが提案される。無孔性のフィルムは、例えば、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、アミド基、これらの塩などの親水性基、親水性セグメントの導入などにより透湿性を付与した樹脂から構成される。好ましくは、無孔性のフィルムが、透湿性を付与したポリエーテル骨格を有するエラストマーであるポリウレタン系樹脂及び、或いは又はポリエステル系樹脂からなるのがよい。また、通常のプラスチックと同様に使用できながら、自然界の微生物によって低分子化合物(水と炭酸ガス)に分解可能な生分解性樹脂を使用するのも好ましい。ポリウレタン系樹脂やポリエステル系樹脂、生分解性樹脂の一部のものは、エラストマー状であり、柔軟性や屈曲性に優れ、また、耐磨耗性に優れるため、雨中での作業での運動や作業を阻害せず、さらに、塗料などを塗布することによって図柄などを加えることが容易になる。
【0022】
ポリエーテル骨格を有するエラストマーであるポリウレタン系樹脂やポリエステル系樹脂の詳細な構成は特に限定されない。市販されているものとしては、ポリウレタン系樹脂として「E385P386H」(日本ミラクトラン(株)製)、ポリエステル系樹脂として「ペルプレンP−40B」(東洋紡績(株)製)、「ARNITEL PM381」(ポリエーテルエステル オランダ DSM社製)などが使用できる。
【0023】
上に示した生分解性樹脂の詳細な構成も特に限定されず、市販されているものとしては、脂肪族系ポリエステルである「セルグリーン P−HB」(ダイセル化学工業(株)製)、芳香族系ポリエステルである「Easter Bio Copolyester GP」(イーストマンケミカル社製)などが使用できる。
【0024】
なお、無孔性のフィルムの構成材料には、防水性及び透湿性を損なわない範囲で熱安定剤、酸化防止剤、結晶造核剤、滑剤、帯電防止剤、光安定剤等の添加剤を含有させても良い。また、シート1には、防水性及び透湿性を阻害しない範囲で、無孔性のフィルム以外の他層を有していても良い。
【0025】
無孔性のフィルムの厚み、及び無孔性のフィルムを構成する各層の厚み比率は特に限定されず、水蒸気透過度、強度、柔軟性など所望の無孔性のフィルムの物性などに応じて適宜設定される。
【0026】
無孔性のフィルムの製造方法も、使用材料に応じ、従来一般的な形成方法、フィルム形成方法、積層方法を使用できるが、積層方法としてドライラミネート法を使用する場合は、水蒸気等過度が低下することがあるため注意を要する。
【0027】
図1に示すように、シート1の上端縁から延出するようにして配置された矩形状の胴周り部10は、後述するように、装着時において装着者の胴周りの前身頃側を被覆するものであり、矩形状に形成されている。胴周り部10の具体的なサイズは、標準的な体型の大人用であれば、左右方向長さが110cm〜160cm、上下方向長さが30cm〜50cm程度とされる。
【0028】
図1に示すように、シート1の内面側における胴周り部10には、胴周り部10の上端縁に沿うようにして、装着者の胴周りに対して係着可能である脱落防止部80が設けられている。この脱落防止部80は、両面に粘着剤が塗布された両面テープで形成され、後述するように、装着者の肌又は衣服に接着され、塗布された粘着剤により仮留め又は滑り止めの機能を奏する。このため、脱落防止部80に塗布される粘着剤としては、肌又は衣服を傷めないものを選択することが好ましく、具体的には、皮膚貼付用粘着テープ等に一般的に使用される粘着剤を特に限定されることなく使用することができ、スチレン−イソブチレン−スチレン共重合体を主成分とする合成ゴム系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤、ポリシロキサン系粘着剤、天然ゴム系粘着剤、ポリエーテル系粘着剤、アクリル系粘着剤等の1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0029】
また、シート1の内面側における胴周り部10には、左右方向一端縁側に沿うようにして、胴周り部10の外面側に係着可能とされた矩形状のウエスト調整部30が配置されている。このウエスト調整部30は、シート11に接着可能な両面テープから構成されており、シート1の素材に応じて適宜変更される。
【0030】
図1及び図2に示すように、矩形状に形成された一対の脚周り部20は、胴周り部10の下端縁から下方向に向かって延出する形で存在しており、これらの脚周り部20は互いに同形とされている。後述するように、使い捨てズボンカバーの装着時において、一対の脚周り部20は、装着者の両方の脚をそれぞれ被覆するものである。これらの脚周り部20の左右方向長さは、胴周り部10の左右方向長さの半分となっており、この一方、これらの具体的な上下方向長さは、標準的な体型の大人用であれば60cm〜80cm程度とされる。
【0031】
図1及び図2に示すように、胴周り部10と一対の脚周り部20との間には、シート1の左右方向両端縁から延出する第1分離線50が形成されている。この第1分離線50は、左右方向に沿って延在しており、スリットまたはミシン目とされていて、胴周り部10と一対の脚周り部20とは、この第1分離線50によってそれぞれ相互に一部分離可能となっている。また、第1分離線50は、それぞれシート1の左右方向長さに対して1/10〜1/4程度の長さとされている。なお、第1分離線50は、後述の第3分離線70と同様に、左右方向両端縁から上端縁側に向かって斜めに延出していても良い。
【0032】
図1及び図2に示すように、一対の脚周り部20の間には、第2分離線60が、上下方向に沿うようにして形成されている。この第2分離線60はスリットまたはミシン目とされており、一対の脚周り部20は、この第2分離線60によって相互に分離可能となっている。
【0033】
図1及び図2に示すように、胴周り部10と一対の脚周り部20との間には、第2分離線60の上端からシート1の左右方向両端縁に向かって延出する一対の第3分離線70が形成されている。この第3分離線70は、第2分離線60の上端からシート1の上端縁側にも向かうようにして延在しており、シート1の上端縁に対して若干斜めになっている。また、この第3分離線70はスリットまたはミシン目とされており、一胴周り部10と一対の脚周り部20とは、この第3分離線70によってそれぞれ相互に一部分離可能となっている。また、第3分離線70は、それぞれシート1の左右方向長さに対して1/10〜1/4程度の長さとされている。
【0034】
図1に示すように、シート1の内面側における一対の脚周り部20には、細長い矩形状の脚周り固定部40が、それぞれ二つずつ設けられている。これらの脚周り固定部40は、それぞれ第2分離線60に沿うようにして配置されている。また、一対の脚周り部20にそれぞれ設けられた二つの脚周り固定部40は、装着状態において装着者の膝近傍に位置する部分において、それぞれ一定距離離間して配置されている。なお、この膝近傍に位置する部分における離間距離は、5〜15cm程度とされている。
【0035】
次に、本実施形態に係る使い捨てズボンカバーの装着方法を、図3乃至図5を参照しつつ説明する。なお、以下の説明においては、装着者は衣類を着用していることを前提としている。
まず、図3に示すように、脱落防止部80の左右方向中央部が装着者の背中側における腰の中央近傍に位置するように使い捨てズボンカバーを配置し、胴周り部10を胴周りに巻き付けると共に脱落防止部80よって胴周り部10を胴周りに仮留めする。
次に、図4に示すように、ウエスト調整部30を胴周り部10の外側に貼り付けて固定し、胴周り部10を装着者の胴周りに巻き付ける。
次に、図4及び図5に示すように、脚周り固定部40を脚周り部20の外側にそれぞれ貼り付けて固定し、脚周り部20をそれぞれ装着者の脚周りに巻き付ける。
【0036】
次に、本実施形態に係る使い捨てズボンカバーの作用効果を説明する。
本実施形態に係る使い捨てズボンカバーでは、胴周り部10を装着者の胴周りに巻き付けることによって装着者の胴周りが被覆されるようになっている。この一方、第2分離線60で一対の脚周り部20を相互に分離し、且つ第1分離線50及び第3分離線70で胴周り部10と一対の脚周り部20とを相互に一部分離し、一対の脚周り部20を装着者の両方の脚周りに巻き付けることによって装着者の脚周りが被覆されるようになっている。
【0037】
つまり、本実施形態に係る使い捨てズボンカバーは、胴周り部10及び一対の脚周り部20を、装着者の胴周り及び脚周りに巻き付けることで装着されるようになっているため、両方の脚を胴周り部10から挿入して脚周り部20に脚を通さなくとも着脱可能となっている。
【0038】
また、本実施形態に係る使い捨てズボンカバーは、シート1の左右方向両端縁から延出するようにして胴周り部10と一対の脚周り部20との間に存在し、胴周り部10と一対の脚周り部20とを相互に一部分離可能な第1分離線50と、第2分離線60からシート1の左右方向両端縁に向かって延出しており、胴周り部10と一対の脚周り部20とを相互に一部分離可能な第3分離線70とを備えているため、一対の脚周り部20を脚周りに巻き付けた際に、胴周り部10が脚周り部20の動きに対して引っ張られることがないため、身体へのフィット性を損なうことなく一枚の矩形状のシート1から形成することが可能となっている。その結果、構造が単純となるため、生産コストを従来品よりも低く抑えることが可能となる。
【0039】
本実施形態に係る使い捨てズボンカバーは、胴周り部10の左右方向一端側には、胴周り部10に対して係着可能であるウエスト調整部30が設けられているため、このウエスト調整部30を胴周り部10の任意の位置に係着することによって、胴周りの周長を自由に設定することができるようになる。その結果、ベルトなどのウエストを締め付ける部材がなくとも、装着者のウエストに対して容易にフィットさせることができるようになる。
【0040】
本実施形態に係る使い捨てズボンカバーでは、シート1の内側における胴周り部10の上端縁近傍には、胴周り部10の上端縁に沿って延在し、装着者の衣服又は肌に対して係着可能な脱落防止部80が設けられているため、装着時にズボンカバーがズレ落ちてしまうことを防止することができる。
【0041】
〔第2実施形態〕
次に、本発明に係る使い捨てズボンカバーの第2実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。なお、第1実施形態と共通する部材に関しては、同一の符号を付し説明を省略する。
本実施形態に係るズボンカバーは、8つの仮固定部41がシート1の内側に設けられている点で、第1実施形態に係る使い捨てズボンカバーと異なり、それ以外の点では同一の構成を有する。
【0042】
8つの仮固定部41は、脚周り固定部40と同形であり、脱落防止部80を構成する両面テープと同じものが、シート1の内側に貼り付けられていることで構成されている。これらの仮固定部41は、脚周り固定部40と同じように、上下方向に沿うようにして2つ1組で配置されている。なお、この膝近傍に位置する部分における離間距離は、一対の脚周り固定部40の離間距離と同様に、5〜15cm程度とされている。また、4組の仮固定部41は、シート1の左右方向両端縁近傍と、一対の脚周り部20の左右方向中央とにそれぞれ配置されている。
【0043】
8つの仮固定部41がこのようにして配置されていることによって、装着時における脚周り固定部40を係着する前段階で、装着者の脚周りに対して、一対の脚周り部20を仮固定できるため、風が強い中であっても、一対の脚周り部20がばたつくことがなく容易に装着できる。
【0044】
〔その他の実施形態〕
ウエスト調整部30及び脚周り固定部40は、面ファスナーの雄材から構成されていても良い。その場合、ウエスト調整部30及び脚周り固定部40が係着される部分に面ファスナーの雌材を配置することによって、係着可能とすることもできるが、シート1を不織布から形成することによって、シート1に対してウエスト調整部30及び脚周り固定部40を係着できるため、雌材が不要となり、生産コストを抑えることができる。
【0045】
〔その他の参考形態〕
図7に示すのは、その他の第1参考形態である。
本参考形態は、一枚の台形状のシート101から成る使い捨てスカートカバーである。シート101の上端縁側は装着時に装着者のウエストを被覆する部分となっており、シート101の内側における上端縁近傍には、左右方向に沿って延在するウエスト固定部180が2つ設けられている。これらのウエスト固定部180は、第1実施形態に係るズボンカバーのシート1の脱落防止部80と同じ両面テープから構成されている。この一方、シート101の左端縁近傍には、この左端縁沿って延在する裾回り固定部140が設けられている。この裾回り固定部140は、第1実施形態に係るズボンカバーのシート1の脱脚周り固定部40と同じ両面テープから構成されている。なお、本参考形態に係る使い捨てスカートカバーのシート101を構成する素材としては、上に示した第1実施形態に係る使い捨てズボンカバーを構成するシート1と同じものが適用される。
【0046】
以上のように構成された使い捨てスカートカバーは、ウエスト固定部180で装着者の腰周りに固定され、裾回り固定部140をシート101の外側における右端縁近傍に係着することによって、スカート状に形成されるようになっている。本参考形態に係る使い捨てスカートカバーは、一枚のシート101を台形状に形成することで作成可能となっており、構造が単純であるため、生産コストを低く抑えることが可能となる。また、装着者の腰周りに巻き付けることで装着されるようになっているため、製品に脚を通さなくても着脱可能となる。そのため、装着時にシート101が汚れてしまうことがない。
【0047】
図8及び図9に示すのは、その他の第2参考形態である。
本参考形態は、一枚のシート201から成る使い捨て脚カバーである。この使い捨て脚カバーは、矩形状の脚周り部220と、その上端縁から延出する吊用ベルト280とを主として構成されている。
【0048】
脚周り部220のサイズは、第1実施形態に係るズボンカバーの脚周り部20とほぼ同じとされている。脚周り部220の内側における右側端縁近傍には、第1実施形態に係るズボンカバーの脚周り固定部40と同じ機能を奏する一対の脚周り固定部240が、相互に離間して設けられている。
【0049】
この一方、脚周り部220の上端縁における中央から若干左寄りの部分からは、帯状の吊用ベルト280が延出しており、この吊用ベルト280の先端には、係着部材230が設けられている。この係着部材230は、吊用ベルト280に対して係着可能とされており、両面テープや面ファスナーから構成されている。なお、係着部材230を面ファスナーの雄材から形成する場合、吊用ベルト280を不織布から構成することによって、面ファスナーの雌材を設置する必要がないため、低コストで生産することができる。なお、本参考形態に係る使い捨て脚カバーは、装着者の片側の脚を被覆するものであり、逆の脚に被覆するものは、図8に示した使い捨て脚カバーとは、左右対象に形成される。
【0050】
図9に示すように、以上のように構成された使い捨て脚カバーは、次のようにして装着される。まず、脚周り部220を装着者の脚周りに巻き付けると共に、脚周り固定部240をシート201の外側に係着させて脚周り部220を装着者の脚周りに固定する。次に、吊用ベルト280を装着者が装着しているベルトに通して、係着部材230を吊用ベルト280に対して係着させる。
【0051】
以上のように構成された使い捨て脚カバーは、両方の脚を胴周り部から挿入して脚周り部に脚を通さなくとも着脱可能となっていると共に、胴周りを被覆する部分を有していないため、持ち運びに際して嵩張ることがない。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明に係るズボンカバーは、装着者の下半身を着用済の衣類と共に被覆するズボンカバーとして適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係る使い捨てズボンカバーの第1実施形態の展開状態における内側を示す図である。
【図2】本発明に係る使い捨てズボンカバーの第1実施形態の展開状態における外側を示す図である。
【図3】(A)は本発明に係る使い捨てズボンカバーの第1実施形態の装着方法を示す図であり、(B)は(A)を装着者の頭側から見た状態を示す図である。
【図4】(A)は本発明に係る使い捨てズボンカバーの第1実施形態の装着方法を示す図であり、(B)は(A)を装着者の頭側から見た状態を示す図である。
【図5】(A)は本発明に係る使い捨てズボンカバーの第1実施形態の装着方法を示す図であり、(B)は(A)を装着者の頭側から見た状態を示す図である。
【図6】本発明に係る使い捨てズボンカバーの第2実施形態の展開状態における内側を示す図である。
【図7】他の参考形態である使い捨てスカートカバーの展開状態における内側を示す図である。
【図8】他の参考形態である使い捨て脚カバーの展開状態における内側を示す図である。
【図9】他の参考形態である使い捨て脚カバーの装着状態を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
1・・・使い捨てズボンカバー
10・・・胴周り部
20・・・脚周り部
30・・・ウエスト調整部
40・・・脚周り固定部
50・・・第1分離線
60・・・第2分離線
70・・・第3分離線
80・・・脱落防止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防水性を有するシートから形成され、装着時に胴周り及び脚周りを被覆する使い捨てズボンカバーであって、
一枚の矩形状のシートから形成されており、
シートの上端縁から延出するようにして配置された胴周り部と、
胴周り部の下端縁から延出するようにして配置された一対の脚周り部と、
シートの左右方向両端縁から延出するようにして胴周り部と一対の脚周り部との間に存在し、胴周り部と一対の脚周り部とを相互に一部分離可能な第1分離線と、
一対の脚周り部の間に存在し、これらの脚周り部を相互に分離可能な第2分離線と、
第2分離線からシートの左右方向両端縁に向かって延出しており、胴周り部と一対の脚周り部とを相互に一部分離可能な第3分離線と、を備えている、ことを特徴とする使い捨てズボンカバー。
【請求項2】
胴周り部の左右方向一端側には、胴周り部に対して係着可能であるウエスト調整部が設けられている、請求項1に記載の使い捨てズボンカバー。
【請求項3】
シートの内側における胴周り部の上端縁近傍には、胴周り部の上端縁に沿って延在し、装着者の衣服又は肌に対して係着可能な脱落防止部が設けられている、請求項1又は請求項2に記載の使い捨てズボンカバー。
【請求項4】
シートが、防水性及び透湿性を有する、不織布、レーヨン紙、孔開きフィルム、又は編物から構成されている、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の使い捨てズボンカバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−144265(P2010−144265A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−320559(P2008−320559)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(508371345)
【Fターム(参考)】