説明

使い捨て着用物品およびその包装体

【課題】部分的に顕著に嵩だかになるのを抑制することができる使い捨て着用物品およびその包装体を提供する。
【解決手段】
おむつ1は、前後ウエスト域2,3を形成する前後ウエストパネル20,30と、前後ウエスト域2,3の一部およびクロッチ域4を形成するクロッチ本体40とを有している。おむつ1は、前後ウエストパネル20,30の内面シート24,34を互いに対向させ、クロッチ本体40の内面シートを互いに対向させて、ほぼ平になるようにされる。このとき、おむつ1は、少なくとも一部が仮想横中心線Q−Qに一致する第1折曲線81に沿って折り畳まれる。第1折曲線81に沿って折り畳んだおむつ1において、クロッチ域3に位置するクロッチ中心部83の厚さ寸法は、前後ウエストパネル20,30に位置する領域85の厚さ寸法よりも小さくなるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、使い捨て着用物品およびその包装体に関し、より詳しくは、ウエスト開口およびレッグ開口が形成された使い捨ておむつ、使い捨てのトイレット・トレーニングパンツ、使い捨て失禁パンツ、使い捨ての生理用パンツ等の使い捨て着用物品およびその包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ウエスト開口およびレッグ開口が形成されパンツ型にされた使い捨ておむつ、および、これらおむつの包装体は公知である。例えば、特許文献1には、いわゆるパンツ型のおむつが開示され、このおむつを包装袋に収容するために、おむつの左右両側方部を縦方向に延びる折曲線に沿って前ウエスト域側または後ウエスト域側に折り返し、さらに、クロッチ域を横方向に延びる折り曲げ線に沿って折り返す構造が開示されている。特許文献2には、パンツ型のおむつのクロッチ域を横方向に延びる折り曲げ線に沿って折り返し、これを複数積層させた包装体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−113956号公報(JP 11−113956 A)
【特許文献2】特開2000−42029号公報(JP 2000−42029 A)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような特許文献1および2記載のおむつは、クロッチ域に吸収体が配置されている。吸収体は、通常フラッフパルプ等によって形成され、吸収体が位置しない他の領域に比べて嵩だかになる。これら特許文献1および2では、おむつの厚さ方向の寸法について言及されていない。
【0005】
この発明では、部分的に顕著に嵩だかになるのを抑制することができる使い捨て着用物品およびその包装体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、第1および第2の発明を含む。
第1の発明は、縦方向および横方向を有し、身体側およびその反対側である非身体側と、前後ウエスト域および前記前後ウエスト域間に位置するクロッチ域と、ウエスト開口およびレッグ開口と、前記横方向における寸法を二等分する仮想縦中心線と、前記縦方向における寸法を二等分するとともに前記クロッチ域に位置する仮想横中心線とを有するシャーシと、少なくとも前記クロッチ域に位置する体液吸収体と、前記仮想横中心線の少なくとも一部に一致する第1折曲線とを含み、前記第1折曲線に沿って折り畳まれ前記前ウエスト域の前記身体側と前記後ウエスト域の前記身体側が互いに対向し、前記クロッチ域の前記身体側が互いに対向する使い捨て着用物品の改良にかかわる。この第1の発明は、前記使い捨て着用物品において、前記クロッチ域であって前記仮想縦中心線上に位置するクロッチ中心部の厚さ寸法が、前記前後ウエスト域であって前記体液吸収体の非存在領域の厚さ寸法よりも小さいことを特徴とする。
【0007】
第2の発明は、複数の使い捨て着用物品が積層されパッケージシートで包装された使い捨て着用物品の包装体の改良にかかわる。この第2の発明は、前記使い捨て着用物品の包装体において、前記使い捨て着用物品は、その厚さ方向に複数積層されるとともに、縦方向および横方向を有し、身体側およびその反対側である非身体側と、前後ウエスト域および前記前後ウエスト域間に位置するクロッチ域と、ウエスト開口およびレッグ開口と、前記横方向における寸法を二等分する仮想縦中心線と、前記縦方向における寸法を二等分するとともに前記クロッチ域に位置する仮想横中心線とを有するシャーシと、少なくとも前記クロッチ域に位置する体液吸収体と、前記仮想横中心線の少なくとも一部に一致する第1折曲線とを含み、前記クロッチ域であって前記仮想縦中心線上に位置するクロッチ中心部の厚さ寸法が、前記前後ウエスト域であって前記体液吸収体の非存在領域の厚さ寸法よりも小さくされ、前記第1折曲線に沿って折り畳まれ前記前ウエスト域の前記身体側と前記後ウエスト域の前記身体側が互いに対向し、前記クロッチ域の前記身体側が互いに対向することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明の特にそのひとつ以上の実施態様によれば、クロッチ域であって仮想縦中心線上に位置するクロッチ中心部の厚さ寸法が、前後ウエスト域であって体液吸収体の非存在領域のそれよりも小さくされているから、この着用物品を重ねた場合であっても、クロッチ域が重なった部分が他の部分に比べて顕著に厚くなることがない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】使い捨て着用物品の一実施形態である使い捨ておむつの斜視図。
【図2】おむつの展開図。
【図3】おむつの分解斜視図。
【図4】おむつ正面図
【図5】図4のV−V線切断拡大端面図。
【図6】図4のVI−VI線切断拡大端面図。
【図7】おむつ正面図。
【図8】おむつの積層状態の説明図。
【図9】包装体の斜視図。
【図10】(a)おむつの折り畳み方の他の例を示す図であって、第3折曲線に沿って折り畳む前の図、(b)第3折曲線に沿って折り畳んだ後の図。
【図11】(a)おむつの折り畳み方の他の例を示す図であって、第4折曲線に沿って折り畳む前の図、(b)第4折曲線に沿って折り畳んだ後の図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、この発明に係る使い捨て着用物品の一例として示す、使い捨ておむつ1の斜視図、図2はおむつ1の展開平面図であって身体側から見た図、図3はおむつ1の分解斜視図である。図2および3において、各弾性要素は、その収縮力に抗して伸長させた状態で示し、説明のためにその一部を破断している。
【0011】
図1〜3に示したように、おむつ1は、縦方向Yおよびこれに直交する横方向Xを有し、着用者の身体側およびその反対側である非身体側(着衣側)と、縦方向Yに連なる前ウエスト域2と、後ウエスト域3と、前後ウエスト域2,3間に位置するクロッチ域4とを有する。おむつ1は、前後ウエスト域2,3を形成する前後ウエストパネル20,30と、前後ウエスト域2,3の一部およびクロッチ域4を形成するクロッチ本体40とを有し、これら前後ウエストパネル20,30およびクロッチ本体40によってシャーシを形成している。
【0012】
図2,3に示したように、前ウエストパネル20は、横方向Xに延びる外端縁21および内端縁22と、縦方向Yに延びる両側縁23とを有する。同様に、後ウエストパネル30は、横方向Xに延びる外端縁31および内端縁32と、縦方向Yに延びる両側縁33とを有する。クロッチ本体40は、横方向Xに延びる前後端縁41,42と、縦方向Yに延びる両側縁43とを有する。クロッチ本体40の前後端縁41,42は、前後ウエストパネル20,30の非身体側にそれぞれ取り付けられ、前ウエストパネル20の両側縁23と後ウエストパネル30の両側縁33とが互いに接合され、シーム部5を形成している。シーム部5を形成することによって、図1に示したように、前後ウエストパネル20,30が環状に保たれ、外端縁21,31でウエスト開口が、内端縁22,32およびクロッチ両側縁43でレッグ開口が、それぞれ形成される。
【0013】
おむつ1は、横方向Xにおける寸法を二等分する仮想縦中心線P−Pと、縦方向Yにおける寸法を二等分する仮想横中心線Q−Qとを有し、これら仮想縦中心線P−Pおよび仮想横中心線Q−Qに関してほぼ対称にされている。仮想横中心線Q−Qは、具体的には、前ウエストパネル20の外端縁21および後ウエストパネル30の外端縁31間の縦方向Yにおける寸法の二等分線である。仮想縦中心線P−Pは、具体的には、前後ウエストパネル20,30の両側縁23,33間の横方向Xにおける寸法の二等分線である。
【0014】
前後ウエストパネル20,30は、身体側に位置する内面シート24,34と、その反対側である非身体側に位置する外面シート25,35と、これらシートの間に取り付けられた複数本のウエスト弾性体26,36とを有する。内面シート24,34および外面シート25,35は、単位面積当たりの質量が約10〜30g/mの不透液性または難透液性のスパンボンド・メルトブローン・スパンボンド(SMS)繊維不織布、スパンボンド繊維不織布、プラスチックシート、または、それら不織布とプラスチックシートのラミネートから形成される。
【0015】
ウエスト弾性体26,36は、縦方向Yに離間して、横方向Xに伸長状態で収縮可能に取り付けられ、前後ウエストパネル20,30を横方向Xに弾性化している。ウエスト弾性体26,36としては、ゴム弾性を有する1本以上の、糸またはストランド状もしくはストリング状のものを用いることができる。この実施形態では、約780〜940dtexの弾性糸を用いる。内外面シート24,25のいずれか、内外面シート34,35のいずれかに図示しないホットメルト接着剤がそれぞれ塗布され、その接着剤を介してこれら内外面シートが互いに接合されるとともに、ウエスト弾性体26,36が内外面シートに接合される。
【0016】
ウエスト弾性体26,36は、その伸長倍率を約2.0〜3.0倍として、伸長状態で内外面シート24,25および内外面シート34,35に取り付けられる。伸長倍率とは、弾性体の伸長前の長さに対する倍率であって、いわゆる弾性体の自然長に対して約2.0〜3.0倍に伸長させて取り付けたことを意味する。複数本のウエスト弾性体26,36は、その倍率を部分的に変更して、収縮力を調整することがあるが、倍率の最大値と最小値との差は、約0〜10%とされている。したがって、前後ウエストパネル20,30は、部分的に収縮力が大きくなって横方向Xの見た目の寸法が、部分的に顕著に小さくなるのを防止することができ、両側縁23および両側縁33によって画定される前後ウエストパネル20,30全体がほぼ長方形に維持される。収縮力が大きくなった部分では、厚さ寸法も他の部分よりも大きくなるが、各弾性体の伸張応力をほぼ均等にすることによって、厚さ寸法も均等にすることができる。
【0017】
前後ウエストパネル20,30は、ウエスト弾性体26,36を取り付けることによって弾性化することもできるが、前後ウエストパネル20,30として、例えば、伸縮性繊維不織布を用いて弾性化することもでき、また、伸縮性繊維不織布とウエスト弾性体26,36とを組み合わせて用いることもできる。伸縮性繊維不織布としては、スパンボンド繊維不織布、メルトブローン繊維不織布、ヒートロール繊維不織布、スパンボンド繊維不織布とメルトブローン繊維不織布とを組み合わせたスパンボンド・メルトブローン・スパンボンド(SMS)繊維不織布、エアスルー繊維不織布、スパンレース繊維不織布、または、エアレイド繊維不織布等、公知の種々の繊維不織布を選択することができる。これらは単独で使用してもよいが複数組み合わせて使用してもよい。これら伸縮性繊維不織布を構成する樹脂としては、例えば、ポリスチレン系、ポリウレタン等からなるエラストマー樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、アクリル等からなる熱可塑性樹脂を用いることができる。これら樹脂によって構成される、ポリエチレン/ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン/ポリエチレンテレフタレート等の複合繊維、すなわち芯鞘型繊維やサイドバイサイド型繊維で形成された繊維等の公知の種々の繊維を使用することができ、これら繊維を単独で使用することもでき、複数組み合わせて使用することもできる。
【0018】
内外面シート24,25および内外面シート34,35の間には、ウエスト防漏シート27,37が取り付けられる。ウエスト防漏シート27,37は、不透液性かつ透湿性のプラスチックフィルムを用いることができる。前ウエストパネル20に取り付けられたウエスト防漏シート27は、その内端縁22に沿って取り付けられ、横方向Xの中央部分に位置されている。同様に、後ウエストパネル30に取り付けられたウエスト防漏シート37は、その内端縁32に沿って取り付けられ、横方向Xの中央部分に位置されている。ウエスト防漏シート27,37は、内外面シート24,25および内外面シート34,35よりもその面積が小さくされているので、前後ウエストパネル20,30には、ウエスト防漏シート27,37が存在しない領域が形成される。
【0019】
図3に示したように、クロッチ本体40は、身体側に位置する内面シート44と、その反対側である非身体側に位置する外面シート45と、これら内外面シート44,45の間に取り付けられた第1および第2レッグ弾性体46,47とを有する。内面シート44は、不透液性かつ透湿性のプラスチックフィルムを用いることができ、外面シート45は、難透液性の繊維不織布を用いることができる。
【0020】
クロッチ本体40は、縦方向Yに延びる折曲線48を有し、両側縁43と折曲線48との間では、折曲線48に沿って横方向X内側に折り返された折曲領域49が形成される。折曲領域49においては内面シート44が互いに対向される。折曲領域49では、クロッチ本体40の前後端縁41,42の近傍で、内面シート44が図示しない接着剤等によって互いに接合される。
【0021】
第1および第2レッグ弾性体46,47として、ゴム弾性を有する1本以上の、糸またはストランド状もしくはストリング状のものを用いることができ、縦方向Yに伸長状態で収縮可能に取り付けられ、クロッチ本体40の両側縁43近傍、具体的には折曲領域49を縦方向Yに弾性化している。第1レッグ弾性体46は、両側縁43に沿って取り付けられ、第2レッグ弾性体47は、第1レッグ弾性体46よりも折曲線48側に取り付けられている。第1および第2レッグ弾性体46,47は、内外面シート44,45の少なくともいずれか一方に、図示しないホットメルト接着剤等によって接合されている。
【0022】
クロッチ本体40の一方の側縁43に配置された第1および第2レッグ弾性体46,47は、他方の側縁43に配置されたそれとは互いに連続することなく、離間されている。すなわち、クロッチ本体40の両側縁43の間で横方向Xに延びる弾性体は存在しない。したがって、クロッチ本体40が横方向Xに弾性的に収縮されることがなく、特に、仮想横中心線Q−Qの横方向Xにおける中央部分では、内外面シート44,45が横方向Xに収縮されるのを防止することができる。
【0023】
上記のようなクロッチ本体40の前後端縁41,42が、前後ウエストパネル20,30の非身体側にホットメルト接着剤等の接着手段によって接合される。具体的には、図2に示したように、クロッチ本体40と外面シート25,35との間には、前後端縁41,42に沿って横方向Xに延びる第1接合部分61と、第1接合部分61の横方向X両側において縦方向Yに延びる第2接合部分62とが形成される。これら第1および第2接合部分61,62の間には、接着剤等が塗布されない非接合部分63が形成される。非接合部分63は、横方向Xにおけるほぼ中央に画定され、これら第1および第2接合部分61,62および非接合部分63によって、クロッチ域4に向かって開口する凹を形成する。クロッチ本体40に形成された非接合部分63が、前後ウエストパネル20,30に取り付けられたウエスト防漏シート27,37と一致するように、これら前後ウエストパネル20,30とクロッチ本体40とが接合される。
【0024】
上記のようなおむつ1において、クロッチ本体40は前後ウエストパネル20,30の非身体側に接合されているので、尿等の排泄物がクロッチ本体40を伝って前後ウエストパネル20,30へと縦方向Yに移動したとしても、前後ウエストパネル20,30の身体側へと移動することがなく、排泄物が直接着用者の肌に接触することによるかぶれを防止することができる。クロッチ本体40は、折曲線48に沿って折り曲げられ、折曲領域49が前後ウエストパネル20,30に接合されるとともに、折曲領域49に第1および第2レッグ弾性体46,47が取り付けられているので、両側縁43近傍を着用者の身体に密着させることができる。
【0025】
クロッチ本体40は、第1接合部分61および第2接合部分62によって接合され、非接合部分63によってクロッチ域4へと開口するポケットが形成される。ポケットが形成されることによって、クロッチ本体40を縦方向Yに移動した排泄物を保持することができ、ウエスト開口から排泄物が漏れるのを防止することができる。また、前後ウエストパネル20,30の中央部分にはウエスト防漏シート27,37が取り付けられているので、形成されたポケットから非身体側(着衣側)へと排泄物が透過して漏れるのを防止することができる。
【0026】
クロッチ本体40の身体側には、体液吸収体50が配置されている。体液吸収体50は、横方向Xに延びる前後端縁51,52と、縦方向Yに延びる両側縁53とを有し、前後端縁51,52がクロッチ本体40の前後端縁41,42よりも縦方向Yの内側に位置し、両側縁53が折曲線48よりも横方向Xの内側に位置する。クロッチ本体40の折曲領域49を着用者の身体に密着させることで、体液吸収体50を着用者の身体から離間させることができる。したがって、体液吸収体50に排泄された排泄物と着用者の肌とが直接接触することによるかぶれを防止し、かつ、脚回りからの排泄物の漏れを防止することができる。
【0027】
再び図3を参照すれば、体液吸収体50は、内外面シート54,55と、内外面シート54,55間に位置する吸収性の芯材56と、内外面シート54,55および芯材56を覆い身体側に位置する身体側ライナ57とを含む。内外面シート54,55は、例えば、透液性のスパンボンド・メルトブローン・スパンボンド(SMS)繊維不織布で形成されている。芯材56としては、不溶性の高吸収性ポリマー粒子を用いることができる。
【0028】
内外面シート54,55の間には、芯材56の移動を規制する固定部が形成される。この実施形態では固定部はホットメルト接着剤によって形成される。具体的には、外面シート55の全域に図示しないホットメルト接着剤を塗布し、その上に芯材56を散布する。芯材56は、外面シート55の前後端縁および両側縁には散布されず、また、縦方向Yにおいて離間して散布される。このように芯材56が散布された部分では、芯材56がホットメルト接着剤を介して外面シート55に接合される。芯材56が散布されなかった部分では、外面シート55が内面シート54と直接接触し、ホットメルト接着剤を介して接合されて、複数の芯材散布領域を区画することができる。したがって、芯材56がホットメルト接着剤から剥がれてしまっても、区画された領域内からこぼれてしまうことがない。この実施形態では、芯材56がホットメルト接着剤によって内外面シート54,55の少なくともいずれか一方に接合されるようにしているが、これがなくてもよい。この場合には、内外面シート54,55を互いに接合していくつかの区画された空間が形成され、この空間に芯材56が保持されるようにしてもよい。芯材56は、空間内では固定されずに移動可能であるが、区画された空間外に出ることはなくその移動が規制される。
【0029】
この実施形態において、芯材56として高吸収性ポリマー粒子を用いているが、フラッフパルプまたはフラッフパルプと高吸収性ポリマー粒子との混合物を用いることもできる。ただし、後述するように、クロッチ域4での厚さ方向の寸法を小さくするためには、体液吸収体50の厚さ寸法が小さい方が好ましく、高吸収性ポリマー粒子の割合を多くすることが好ましい。
【0030】
前後ウエストパネル20,30に接合されたクロッチ本体40の非身体側には、前後端縁41,42を覆うカバーシート70が取り付けられる。カバーシート70として、例えば、スパンボンド・メルトブローン・スパンボンド(SMS)繊維不織布やスパンボンド繊維不織布等を用いることができる。カバーシート70を取り付けることによって、前後端縁41,42に着用者の手足や衣類が引っかかるのを防止し、この引っかかりによってクロッチ本体40が前後ウエストパネル20,30から外れてしまうのを防止することができる。
【0031】
図4〜7は、着用前におけるおむつ1の折り畳んだ状態を示したものである。図4は第1折曲線81に沿って折り畳んだおむつ1の正面図、図5は図4のV−V線切断拡大端面図、図6は図4のVI−VI線切断拡大端面図、図7は第2折曲線82に沿って折り畳んだおむつ1の正面図である。
【0032】
図4〜6に示したように、おむつ1は、前後ウエストパネル20,30をシーム部5で接合した状態において、前後ウエストパネル20,30の内面シート24,34を互いに対向させ、クロッチ本体40の内面シート44を互いに対向させて、ほぼ平らになるようにされる。このとき、おむつ1は、少なくとも一部が仮想横中心線Q−Qに一致する第1折曲線81に沿って折り畳まれる。すなわち、おむつ1は、縦方向Yにおける寸法をほぼ二等分するように折り畳まれる。
【0033】
第1折曲線81に沿って折り畳んだおむつ1において、クロッチ本体40に位置するクロッチ中心部83の厚さ寸法は、前後ウエストパネル20,30に位置する非存在領域85の厚さ寸法よりも小さくなるようにしている。具体的には、クロッチ中心部83の厚さ寸法は、約2.0〜8.0mm、好ましくは約2.0〜5.0mmとされ、非存在領域85の厚さ寸法は、約4.0〜12.0mm、好ましくは約5.0〜10.0mmとされる。クロッチ中心部83は、外端縁21,31および第1折曲線81間の縦方向Yにおける寸法を四等分した最も第1折曲線81側に位置する仮想線84と、仮想縦中心線P−Pとの交点を含む部分である。非存在領域85は、前後ウエストパネル20,30の縦方向Yにおける寸法を二等分する仮想線86上であって、体液吸収体50とは重ならない領域、すなわち、体液吸収体50の非存在領域である。この実施形態では、クロッチ本体40の横方向Xの両外側における二箇所で非存在領域85の測定をおこない、その平均値を求めた。なお、仮想線86は、シーム部5の縦方向Yにおける寸法を二等分する線として、この仮想線86上で非存在領域85の測定をすることもできるし、その他、体液吸収体50とは重ならない各領域で測定することもできる。
【0034】
図5を参照すれば、クロッチ中心部83は、クロッチ本体40の内外面シート44,45および体液吸収体50がそれぞれ一対積層された部分であって、折曲領域49および第1および第2レッグ弾性体46,47は位置していない。
図6を参照すれば、非存在領域85は、前ウエストパネル20の内面シート24、外面シート25、ウエスト弾性体26、カバーシート70と、後ウエストパネル30の内面シート34、外面シート35、ウエスト弾性体36、カバーシート70とが積層された部分である。また、ウエスト弾性体26,36は、伸長させずに収縮した状態で測定される。
【0035】
<厚さ測定方法>
クロッチ中心部83および非存在領域85の厚さ寸法は、ピーコック精密測定機器(尾崎製作所 シックネスゲージ大型タイプJ−B)を用いて測定した。測定は、直径50mmの円板の測定子を用い、約2Nの測定圧力でおこなった。測定回数(n)は、3とした。
【0036】
上記のようなおむつ1は、クロッチ中心部83を含むクロッチ域4のカンチレバー剛軟度が約15〜140mmである。
【0037】
<カンチレバー剛軟度の測定方法>
JISL1096のカンチレバー法に準拠し、おむつ1のクロッチ中心部83を含むクロッチ本体40からサンプル(横方向における寸法50mm,縦方向における寸法150mm)を切り取り、各サンプルの肌対向面と非肌対向面とを測定した。測定回数(n)は、3とした。
【0038】
再び図4を参照すれば、上記のようなおむつ1は、さらに、クロッチ域4に位置するとともに横方向Xに延びる第2折曲線82に沿って折り畳まれる。第2折曲線82は、外端縁21,31および第1折曲線81間の縦方向Yにおける寸法を二等分した線に少なくとも一部一致する。この実施形態において、前後ウエストパネル20,30の縦方向Yにおける寸法よりも、内端縁22,32および第1折曲線81間の縦方向Yにおける寸法の方が大きくされている。したがって、第2折曲線82は、クロッチ域4すなわちクロッチ本体40上に位置する。なお、第2折曲線82は、第1折曲線81を有する図4に示すおむつ1を、さらに二つ折りにしたときに形成される折曲線であって、必ずしも前記二等分線に一致することを目的としたものではない。したがって、第2折曲線82は、クロッチ域4に位置する限りにおいて、前記二等分線とは一致しない場合であってもよい。
【0039】
図7を参照すれば、おむつ1を第2折曲線82に沿って折り畳むと、前ウエストパネル20の外面シート25と、クロッチ本体40の外面シート45とが互いに対向する。この実施形態では、クロッチ本体40を前ウエストパネル20側に折り畳んでいるが、後ウエストパネル30側に折り畳んでもよい。その場合には、クロッチ本体40の外面シート45は、後ウエストパネル30の外面シート35に対向する。また、おむつ1は、第2折曲線82に沿って折り畳んだ状態において、外端縁21,31と、第2折曲線82と、両側縁23とによって、その外形がほぼ画定される。
【0040】
上記のようなおむつ1は、クロッチ中心部83が薄くされているので、クロッチ本体40を第1折曲線81および第2折曲線82に沿って折り畳んだとしても、全体の厚さ寸法が嵩だかになるのを抑制することができる。特に、クロッチ中心部83の厚さ寸法が、前後ウエストパネル20,30よりも薄くされているので、クロッチ本体40を前後ウエストパネル20,30に重ねて折り畳んだ場合であっても、このクロッチ本体40が重なった部分が他に比べて顕著に厚くなるのを防止することができる。また、クロッチ中心部83では、特に横方向Xに延びる弾性体が存在せず、弾性体の収縮による皺が発生しないので、皺によって厚くなるのを防止することもできる。また、体液吸収体50の芯材56として高吸収性ポリマー粒子を用い、フラッフパルプ等を使用しないまたは少量の使用に留めることによって、厚さ方向の寸法を小さくすることができる。このように厚さ寸法を小さくすることによって、おむつ1の使用後におけるごみを低減させることもできる。
【0041】
おむつ1のカンチレバー剛軟度を約15〜140mmとしたので、第1および第2折曲線81,82に沿って折り畳んだとしても、クロッチ域4が皺になりにくく、折り目がつきにくいので、着用時にはおむつ1を広げやすい。また、着用中においてもおむつ1の皺による着用者の肌への刺激を低減することができる。
【0042】
図8は、おむつを複数枚積層した状態の説明図である。図示したように、第1および第2折曲線81,82に沿って折り畳んだおむつ1a,1b,1c,1dは、折り畳んだクロッチ本体40が露出する第1面11と、その反対面であって前後ウエストパネル20,30のいずれか一方が露出する第2面12とを有する。ここで、第1面11は、第2面12に比べてクロッチ本体40が露出する面積が大きいことをいい、第2面12は、第1面11に比べて前後ウエストパネル20,30が露出する面積が大きいことをいう。この実施形態では、クロッチ本体40は前ウエストパネル20と重なるように折り畳まれているので、第2面12には後ウエストパネル30が露出している。
【0043】
隣接するおむつ1aとおむつ1bは、第1面11を互いに対向させて積層され、おむつ1cとおむつ1dも第1面11を互いに対向させて積層されている。おむつ1bとおむつ1cは第2面12を互いに対向させて積層される。また、おむつ1aの外端縁21,31と、おむつ1bの第2折曲線82とを対向させ、おむつ1bの外端縁21,31と、おむつ1cの第2折曲線82とを対向させている。すなわち、積層するおむつの縦方向Yにおける向きを逆にして積層している。このように複数のおむつを積層することによって、積層体の厚さ方向の寸法を、おむつの縦方向Yおよび横方向Xにおいてほぼ等しくすることができ、おむつの積層状態が崩れ難い。また、これを包装した際にも、包装体全体が立方体に近い状態で維持されるので、包装体を重ねた場合であってもこれが崩れ難い。さらに、包装体自体の保管スペースを小さくすることができるため、物流や保管の効率も向上させることができる。
【0044】
図9は、積層させたおむつをパッケージシート90によって包装した包装体100の斜視図であって説明のため一部を破断した図である。図示したように、上記のように積層されたおむつ1は、可撓性を有するパッケージシート90によって包装され、包装体100が形成される。パッケージシート90は上面91および底面92と、これら上面91および底面92の間に位置する側面93とを有し、複数のおむつ1は、底面92および上面91間に厚さ方向に重ねられ、いわゆる平積みで積層される。このような包装体100は、おむつ1を積層方向に圧縮し、圧縮した状態を維持してパッケージシート90で包まれる。
【0045】
上記のような包装体100において、折り畳まれたおむつ1は、その外形がほぼ長方形にされ、しかも、おむつ1の横方向Xおよび縦方向Yにおいてその厚さに大きな差がなく、ほぼ均等にされる。したがって、これを積層すると、包装体100全体でほぼ直方体に形成されるから、これをパッケージシート90で包んだ場合でも、直方体が維持される。したがって、この包装体100をさらに複数積み重ねたりした場合であっても、積み重ねた状態が安定して崩れ難い。
【0046】
パッケージシート90には、これを切断するための、いわゆるミシン目等の誘導線94が形成される。誘導線94は、少なくともその上面91に形成され、この実施形態では、上面91および側面93に形成されている。具体的には、誘導線94は、側面93から上面91に向かって伸び、上面91から再び側面93へと延びるU字状とされている。パッケージシート90の中からおむつ1を取り出す際には、上面91から側面93に向かって誘導線94に沿ってパッケージシート90を破ることができる。上面91に開口が形成されることによって、積層されたおむつ1の上方からひとつずつ取り出して使用することができる。おむつ1は、図面上下方向に圧縮されているから、包装体100における積層されたおむつ1の下方から引き抜こうとした場合にはこれが取り出しにくいが、開口された上面91では圧縮力が小さくなるから容易におむつ1をひとつずつ取り出すことができる
【0047】
誘導線94は、少なくとも上面91に形成され、上面91からおむつ1が取り出すことができればよい。また、誘導線94は、複数個所に形成されているものであってもよい。
【0048】
この実施形態では、第1折曲線81および第2折曲線82に沿って折り畳んだおむつ1(図7参照)を積層し、包装することについて説明しているが、第1折曲線81で折り畳み、第2折曲線82では折り畳んでいない図4の状態で積層し、包装することもできる。この場合には、クロッチ域4のクロッチ中心部83と、前後ウエスト域2,3の非存在領域85との厚さ寸法の差が、小さくされていることが好ましい。さらに好ましくは、この厚さ寸法の差が、約4.0mm以内である。
【0049】
クロッチ中心部83および非存在領域85の厚さ寸法の測定は、上述の厚さの測定と同様であり、第1折曲線81でのみ折り畳み、前後ウエストパネル20,30を互いに重ね合わせた状態でおこなっている(段落0033参照)。クロッチ中心部83と非存在領域85との厚さ寸法を小さくしたので、これらおむつ1を積層させても、特に前後ウエスト域2,3において部分的に顕著に嵩だかになるのを防止できる。したがって、包装体をコンパクトにすることができるとともに、包装体全体を直方体に維持し易い。
【0050】
パッケージシート90としては、可撓性を有する合成樹脂を用いることができる。具体的には、質量約20〜70g/mのポリエチレンフィルムを用いることができる。体液吸収体50の芯材56として高吸収性ポリマー粒子を用いる場合には、例えばフラッフパルプを用いる場合に比較して、包装体に用いるパッケージシート90を構成する樹脂材料の質量を小さくすることができる。芯材としてフラッフパルプを用い、これを圧縮してパッケージシート90で包装した場合、圧縮されたフラッフパルプの復元力によって、パッケージシート90がその内側から押し付けられる。このように押し付けられてもパッケージシート90が破れないように、樹脂材料の質量を大きくしてその強度を大きくすることが必要である。しかし、高吸収性ポリマー粒子の場合には、フラッフパルプに比較して圧縮され難く、パッケージシート90を内側から押し付ける力も大きくない。したがって、パッケージシート90の樹脂材料の質量を小さくしても、パッケージシート90が破れたりすることがない。
【0051】
図10は、おむつ1の折り畳み方の他の例を示したものであって、図10(a)はおむつ1における各折曲線の位置を示し、図10(b)は折曲線に沿って折り畳んだ状態を示す。おむつ1は、横方向Xへ延びる第1折曲線81および第2折曲線82でそれぞれ折り曲げられ、さらに、縦方向Yへ延びる第3折曲線87で折り曲げられる。第3折曲線87は、少なくともその一部が仮想縦中心線P−Pに一致される。折り畳まれたおむつ1は、前ウエストパネル20の外面シート25が互いに対向され、後ウエストパネル30の外面シート35が露出される。このように折り畳むことによって、おむつ1をさらに小さくすることができ、このおむつ1を複数積層した包装体をコンパクトにすることができる。
【0052】
体液吸収体50の芯材56として高吸収性ポリマー粒子を用いることによって、おむつ1の厚さ寸法を小さくすることができるとともに、クロッチ中心部83と非存在領域85との厚さ寸法を小さくしたので、これらおむつ1を複数回折り畳んだとしても、その厚さ方向の寸法が顕著に大きくなることがない。したがって、第3折曲線87でさらにおむつ1を折り畳んでも、包装体が顕著に大きくなるのを予防することができる。
【0053】
図10では、前ウエストパネル20の外面シート25が互いに対向するように第3折曲線87に沿って折り畳まれているが、これとは反対に、後ウエストパネル30の外面シート35が互いに対向するように折り畳んでもよい。この場合には、前ウエストパネル20の外面シート25およびクロッチパネル40の外面シート45が露出される。これら第3折曲線87に沿って折り畳んだおむつ1を積層させた場合には、隣接するおむつ1の外端縁21,31が互いに重ならないように積層させることもできるし、互いに重なるように積層させることもできる。
【0054】
図11は、おむつ1の折り畳み方のさらに他の例を示したものであって、図11(a)はおむつ1における各折曲線の位置を示し、図11(b)は折曲線に沿って折り畳んだ状態を示す。おむつ1は、横方向Xへ延びる第1折曲線81および第2折曲線82でそれぞれ折り曲げられ、さらに、縦方向Yへ延びる一対の第4折曲線88で折り曲げられる。第4折曲線88は、横方向Xに離間して形成され、クロッチ本体40の横方向X外方に位置する。第4折曲線88に沿って前後ウエストパネル20,30を折り畳むことによって、前ウエストパネル20の外面シート25がクロッチ本体40の外面シート45に対向する。このように折り畳むことによって、おむつ1をさらに小さくすることができ、このおむつ1を複数積層した包装体をよりコンパクトにすることができる。
【0055】
縦方向Yへ延びる第3折曲線87および第4折曲線88の位置は、適宜変更可能であり、上記例示したものに限られるものではない。また、縦方向Yへ延びる折曲線のほか、横方向Xへ延びる折曲線に沿って、さらに折り畳むこともできる。
【0056】
以上に記載したこの発明に関する開示は、少なくとも下記事項に要約することができる。
この発明は、第1および第2の発明を含む。
第1の発明は、以下の使い捨て着用物品1の改良にかかわる。着用物品1は、縦方向Yおよび横方向Xを有し、身体側およびその反対側である非身体側と、前後ウエスト域2,3および前記前後ウエスト域2,3間に位置するクロッチ域4と、ウエスト開口およびレッグ開口と、前記横方向Xにおける寸法を二等分する仮想縦中心線P−Pと、前記縦方向Yにおける寸法を二等分するとともに前記クロッチ域4に位置する仮想横中心線Q−Qとを有するシャーシと、少なくとも前記クロッチ域4に位置する体液吸収体50と、前記仮想横中心線Q−Qの少なくとも一部に一致する第1折曲線81とを含む。前記着用物品1は、前記第1折曲線81に沿って折り畳まれ前記前ウエスト域2の前記身体側と前記後ウエスト域3の前記身体側が互いに対向し、前記クロッチ域4の前記身体側が互いに対向する。
【0057】
第1の発明は、前記使い捨て着用物品1において、前記クロッチ域4であって前記仮想縦中心線P−P上に位置するクロッチ中心部83の厚さ寸法が、前記前後ウエスト域3であって前記体液吸収体50の非存在領域85の厚さ寸法よりも小さいことを特徴とする。
【0058】
上記第1の発明は、少なくとも下記の実施の形態を含むことができる。
(1)前記シャーシは、前記クロッチ域4に位置するとともに前記横方向Xに延びる第2折曲線82を有し、前記第2折曲線82に沿って前記クロッチ域4が前記前後ウエスト域2,3のいずれか一方に向かって折り畳まれ、前記前後ウエスト域2,3のいずれか一方の前記非身体側と前記クロッチ域4の非身体側が互いに対向する。
(2)前記シャーシは、前記縦方向Yへ延びるとともに、前記仮想縦中心線P−Pの少なくとも一部に一致する第3折曲線87をさらに有し、前記第3折曲線87に沿って前記前後ウエスト域2,3および前記クロッチ域4が折り畳まれる。
(3)前記シャーシは、前記縦方向Yへ延びるとともに、前記横方向Xへ離間する一対の第4折曲線88をさらに有し、前記第4折曲線88に沿って前記前後ウエスト域2,3および前記クロッチ域4が折り畳まれる。
(4)前記シャーシは、前記前後ウエスト域2,3を画定するとともに前記横方向Xに弾性的に伸縮可能な前後ウエストパネル20,30と、前記前後ウエスト域2,3の一部および前記クロッチ域4を画成するクロッチ本体40とを有し、前記クロッチ本体40の前後端縁41,42は、前記前後ウエストパネル20,30にそれぞれ接合され、前記第2折曲線82は、前記クロッチ本体40に位置する。
(5)前記前後ウエストパネル20,30は、前記身体側に位置する内面シート24,34と、前記非身体側に位置する外面シート25,35と、前記内外面シートの間で前記横方向Xに延びて伸長状態で取り付けられる複数本のウエスト弾性体26,36とを有し、前記前内外面シート24,25および前記後内外面シート34,35の前記横方向Xにおける寸法に対する複数の前記ウエスト弾性体26,36の前記伸長状態の倍率の最大値と最小値は、その差が0〜10%である。
(6)前記体液吸収体50は、前記身体側に位置する透液性の内面シート54と、前記非身体側に位置する外面シート55と、これらシート54,55の間に保持された吸収性の芯材56とを有する。
(7)前記体液吸収体50は、前記芯材56の移動を規制する固定部をさらに含む。
(8)前記シャーシは、前記クロッチ域4において、前記縦方向Yに伸びて伸長状態で取り付けられるレッグ弾性体46,47をさらに含み、前記レッグ弾性体46,47は、前記クロッチ域4の両側縁43近傍に配置され、一方側に配置された前記レッグ弾性体と、他方側に配置された前記レッグ弾性体とは、互いに連続することなく離間して取り付けられる。
【0059】
第2の発明は、複数の使い捨て着用物品1が積層されパッケージシート90で包装された使い捨て着用物品の包装体100の改良にかかわる。
【0060】
第2の発明は、前記使い捨て着用物品1の包装体100において、前記使い捨て着用物品1は、その厚さ方向に複数積層されるとともに、縦方向Yおよび横方向Xを有し、身体側およびその反対側である非身体側と、前後ウエスト域2,3および前記前後ウエスト域2,3間に位置するクロッチ域4と、ウエスト開口およびレッグ開口と、前記横方向Xにおける寸法を二等分する仮想縦中心線P−Pと、前記縦方向Yにおける寸法を二等分するとともに前記クロッチ域4に位置する仮想横中心線Q−Qとを有するシャーシと、少なくとも前記クロッチ域4に位置する体液吸収体50と、前記仮想横中心線Q−Qの少なくとも一部に一致する第1折曲線81とを含む。前記クロッチ域4であって前記仮想縦中心線P−P上に位置するクロッチ中心部83の厚さ寸法が、前記前後ウエスト域2,3であって前記体液吸収体50の非存在領域85の厚さ寸法よりも小さくされ、前記第1折曲線81に沿って折り畳まれ前記前ウエスト域2の前記身体側と前記後ウエスト域3の前記身体側が互いに対向し、前記クロッチ域4の前記身体側が互いに対向することを特徴とする。
【0061】
上記第2の発明は、少なくとも下記の実施の形態を含むことができる。
(1)前記シャーシは、前記クロッチ域4に位置するとともに前記横方向Xに延びる第2折曲線82を有し、前記第2折曲線82に沿って前記クロッチ域4が前記前後ウエスト域2,3のいずれか一方に向かって折り畳まれ、前記前後ウエスト域2,3のいずれか一方の前記非身体側と前記クロッチ域4の非身体側が互いに対向する。
(2)前記着用物品1は、折り畳まれた前記クロッチ域4が露出する第1面11と、その反対面であって前記前後ウエスト域2,3のいずれか一方が露出する第2面12とを有し、隣接する前記着用物品1は、前記第1面11を互いに対向させて積層される。
(3)前記シャーシは、前記ウエスト開口を形成する外端縁21,31を有し、前記着用物品1は、前記外端縁21,31と、前記第2折曲線82と、前記シャーシの両側縁とによってその外形が画定され、隣接する前記着用物品は、一方の前記着用物品の前記外端縁21,31と他方の前記着用物品の前記第2折曲線82とを互いに対向させて積層される。
(4)前記着用物品1は、可撓性を有するパッケージシート90によって包装され、前記パッケージシート90は上面91および底面92と、これら上面91および底面92間に位置する側面93とを有し、前記着用物品1は、前記上面91および前記底面92間に積層され、前記上面91には、前記パッケージシート90を切断するための誘導線94が形成される。
【0062】
おむつ1を構成する各構成部材には、この明細書に記載されている材料のほかに、この種の分野において通常用いられている、各種の公知の材料を制限なく用いることができる。また、この発明の明細書において、用語「第1」、「第2」、「第3」および「第4」は、同様の要素、位置等を単に区別するために用いられている。
【符号の説明】
【0063】
1 使い捨ておむつ(使い捨て着用物品)
2 前ウエスト域
3 後ウエスト域
4 クロッチ域
11 第1面
12 第2面
20 前ウエストパネル
21 外端縁
24 内面シート
25 外面シート
26 ウエスト弾性体
30 後ウエストパネル
31 外端縁
34 後内面シート
35 外面シート
36 ウエスト弾性体
40 クロッチ本体
41 前端縁
42 後端縁
46 第1レッグ弾性体
47 第2レッグ弾性体
50 体液吸収体
54 内面シート
55 外面シート
56 芯材
81 第1折曲線
82 第2折曲線
83 クロッチ中心部
90 パッケージシート
91 上面
92 底面
93 側面
94 誘導線
100 包装体
X 横方向
Y 縦方向
P−P 仮想縦中心線
Q−Q 仮想横中心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦方向および横方向を有し、身体側およびその反対側である非身体側と、前後ウエスト域および前記前後ウエスト域間に位置するクロッチ域と、ウエスト開口およびレッグ開口と、前記横方向における寸法を二等分する仮想縦中心線と、前記縦方向における寸法を二等分するとともに前記クロッチ域に位置する仮想横中心線とを有するシャーシと、少なくとも前記クロッチ域に位置する体液吸収体と、前記仮想横中心線の少なくとも一部に一致する第1折曲線とを含み、前記第1折曲線に沿って折り畳まれ前記前ウエスト域の前記身体側と前記後ウエスト域の前記身体側が互いに対向し、前記クロッチ域の前記身体側が互いに対向する使い捨て着用物品において、
前記クロッチ域であって前記仮想縦中心線上に位置するクロッチ中心部の厚さ寸法が、前記前後ウエスト域であって前記体液吸収体の非存在領域の厚さ寸法よりも小さいことを特徴とする前記使い捨て着用物品。
【請求項2】
前記シャーシは、前記クロッチ域に位置するとともに前記横方向に延びる第2折曲線を有し、前記第2折曲線に沿って前記クロッチ域が前記前後ウエスト域のいずれか一方に向かって折り畳まれ、前記前後ウエスト域のいずれか一方の前記非身体側と前記クロッチ域の非身体側が互いに対向する請求項1記載の使い捨て着用物品。
【請求項3】
前記シャーシは、前記縦方向へ延びるとともに、前記仮想縦中心線の少なくとも一部に一致する第3折曲線をさらに有し、前記第3折曲線に沿って前記前後ウエスト域および前記クロッチ域が折り畳まれる請求項2記載の使い捨て着用物品。
【請求項4】
前記シャーシは、前記縦方向へ延びるとともに、前記横方向へ離間する一対の第4折曲線をさらに有し、前記第4折曲線に沿って前記前後ウエスト域および前記クロッチ域が折り畳まれる請求項2記載の使い捨て着用物品。
【請求項5】
前記シャーシは、前記前後ウエスト域を画定するとともに前記横方向に弾性的に伸縮可能な前後ウエストパネルと、前記前後ウエスト域の一部および前記クロッチ域を画成するクロッチ本体とを有し、前記クロッチ本体の前後端縁は、前記前後ウエストパネルにそれぞれ接合され、
前記第2折曲線は、前記クロッチ本体に位置する請求項2〜4のいずれかに記載の使い捨て着用物品。
【請求項6】
前記前後ウエストパネルは、前記身体側に位置する内面シートと、前記非身体側に位置する外面シートと、前記内外面シートの間で前記横方向に延びて伸長状態で取り付けられる複数本のウエスト弾性体とを有し、
前記前内外面シートおよび前記後内外面シートの前記横方向における寸法に対する複数の前記ウエスト弾性体の前記伸長状態の倍率の最大値と最小値は、その差が0〜10%である請求項1〜5のいずれかに記載の使い捨て着用物品。
【請求項7】
前記体液吸収体は、前記身体側に位置する透液性の内面シートと、前記非身体側に位置する外面シートと、これらシートの間に保持された吸収性の芯材とを有する請求項1〜6のいずれかに記載の使い捨て着用物品。
【請求項8】
前記体液吸収体は、前記芯材の移動を規制する固定部をさらに含む請求項7記載の使い捨て着用物品。
【請求項9】
前記シャーシは、前記クロッチ域において、前記縦方向に伸びて伸長状態で取り付けられるレッグ弾性体をさらに含み、
前記レッグ弾性体は、前記クロッチ域の両側縁近傍に配置され、一方側に配置された前記レッグ弾性体と、他方側に配置された前記レッグ弾性体とは、互いに連続することなく離間して取り付けられる請求項1〜8のいずれかに記載の使い捨て着用物品。
【請求項10】
複数の使い捨て着用物品が積層されパッケージシートで包装された使い捨て着用物品の包装体において、
前記使い捨て着用物品は、その厚さ方向に複数積層されるとともに、縦方向および横方向を有し、身体側およびその反対側である非身体側と、前後ウエスト域および前記前後ウエスト域間に位置するクロッチ域と、ウエスト開口およびレッグ開口と、前記横方向における寸法を二等分する仮想縦中心線と、前記縦方向における寸法を二等分するとともに前記クロッチ域に位置する仮想横中心線とを有するシャーシと、少なくとも前記クロッチ域に位置する体液吸収体と、前記仮想横中心線の少なくとも一部に一致する第1折曲線とを含み、前記クロッチ域であって前記仮想縦中心線上に位置するクロッチ中心部の厚さ寸法が、前記前後ウエスト域であって前記体液吸収体の非存在領域の厚さ寸法よりも小さくされ、前記第1折曲線に沿って折り畳まれ前記前ウエスト域の前記身体側と前記後ウエスト域の前記身体側が互いに対向し、前記クロッチ域の前記身体側が互いに対向することを特徴とする前記使い捨て着用物品の包装体。
【請求項11】
前記シャーシは、前記クロッチ域に位置するとともに前記横方向に延びる第2折曲線を有し、前記第2折曲線に沿って前記クロッチ域が前記前後ウエスト域のいずれか一方に向かって折り畳まれ、前記前後ウエスト域のいずれか一方の前記非身体側と前記クロッチ域の非身体側が互いに対向する請求項10記載の使い捨て着用物品の包装体。
【請求項12】
前記着用物品は、折り畳まれた前記クロッチ域が露出する第1面と、その反対面であって前記前後ウエスト域のいずれか一方が露出する第2面とを有し、隣接する前記着用物品は、前記第1面を互いに対向させて積層される請求項11記載の使い捨て着用物品の包装体。
【請求項13】
前記シャーシは、前記ウエスト開口を形成する外端縁を有し、前記着用物品は、前記外端縁と、前記第2折曲線と、前記シャーシの両側縁とによってその外形が画定され、
隣接する前記着用物品は、一方の前記着用物品の前記外端縁と他方の前記着用物品の前記第2折曲線とを互いに対向させて積層される請求項11または12記載の使い捨て着用物品の包装体。
【請求項14】
前記着用物品は、可撓性を有するパッケージシートによって包装され、
前記パッケージシートは上面および底面と、これら上面および底面間に位置する側面とを有し、
前記着用物品は、前記上面および前記底面間に積層され、前記上面には、前記パッケージシートを切断するための誘導線が形成される請求項10〜13のいずれかに記載の使い捨て着用物品の包装体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2013−31627(P2013−31627A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261124(P2011−261124)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】