説明

使用済み紙おむつの処理装置

【課題】 使用済み紙おむつを短時間に炭化処理して再利用可能なリサイクル資源を低コストで得る使用済み紙おむつの処理装置を提供する。
【解決手段】 使用済み紙おむつpを細片sに粉砕する粉砕機3を設け、同粉砕機3で粉砕された細片sを撹拌する撹拌機6を設け、同撹拌機6で撹拌される細片sにオゾンを散布する電気式オゾン散布機7を設け、撹拌機6で撹拌された細片sを周囲から400〜700℃に加熱して炭化させる発熱機9を設け、発熱機9で加熱される細片sに紫外線を照射するUVランプ11を設け、発熱機9に細片sを加熱しながら撹拌する撹拌羽根10を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用済みの紙おむつを炭化処理して再利用可能な資源にリサイクルできるようにする処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、紙おむつは子供用で約206千トン,大人用で134千トン生産されている。使用後は使用前の約4〜5倍の重量となるため、子供用で約1030千トン,大人用で約670千トン,合計で1700千トンが廃棄物として焼却処理されている。ところで、焼却処理はダイオキシンや焼却灰の処分場,二酸化炭素の排出等の問題が生じる。このことは環境問題や地球温暖化の一因となっており、早急なリサイクル化が必要不可欠である。
【0003】
そこで、現在ではリサイクル方法として、
1)使用済み紙おむつを破砕後、パルプを分離回収して再生紙を得、汚水は微生物処理して土壌改良材として用いる。
2)使用済み紙おむつを高温に加熱して炭化し、その炭化物を燃料等として利用する。
等の方法が提案されている。後者の方法は前者の方法と比較して処理時間が短く低コストで処理が可能である。本発明はこの後者の方法に有用な処理装置を提供するものである。
【特許文献1】特開2000−313884号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、従来のこれらの問題点を解消し、使用済み紙おむつを短時間に炭化処理して再利用可能な資源を低コストでリサイクルできるようにする使用済み紙おむつの処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題を解決した本発明の構成は、
1) 使用済みの紙おむつを細片に破砕する破砕機を設け、同破砕機で破砕された細片を撹拌機で撹拌しながら殺菌する殺菌室を設け、同殺菌室で殺菌された細片を減圧状態で周囲から高温に加熱して炭化させる電熱機を備えた炭化室を設けたことを特徴とする、使用済み紙おむつの処理装置
2) 殺菌室が、撹拌される細片にオゾンを散布するオゾン散布機を備えたものである、前記1)記載の使用済み紙おむつの処理装置
3) オゾン散布機が、オゾン発生とその散布とを電気を用いて行う電気式オゾン散布機である、前記2)記載の使用済み紙おむつの処理装置
4) 電熱機で加熱される細片に紫外線を照射する紫外線照射機を炭化室に設けた、前記1)〜3)何れか記載の使用済み紙おむつの処理装置
5) 炭化室に細片を加熱しながら撹拌する撹拌羽根を設けた、前記1)〜4)いずれか記載の使用済み紙おむつの処理装置
6) 細片の加熱温度が400〜700℃の範囲である、前記1)〜5)いずれか記載の使用済み紙おむつの処理装置
にある。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、使用済みの紙おむつが粉砕機で細片に粉砕され、粉砕された細片が撹拌機で撹拌されて発熱機で周囲から高温に加熱され、細片の水分が蒸発して5〜15%に減量して炭化する。このように、本発明によれば、使用済み紙おむつを短時間に炭化処理して再利用可能なリサイクル資源を得る使用済み紙おむつの処理装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の撹拌機には、撹拌中の細片から飛散する水分中の細菌を殺菌するため、オゾン(O3)を散布するオゾン散布機が設けられる。オゾン散布機としては、電気式,薬剤式等が用いられ、散布量としては25〜150ppmの範囲が実用的である。化学式O3 は、液浸するため、良性の発酵菌も殺すため、電気式は室内の後処理洗浄が不安で過剰O3 も気流中の自然分解によって消失するため電気式の方が都合が良い。
【0008】
炭化室としては、電熱機で加熱して周囲から均等に加熱する容器状のものが用いられ、例えば電磁照射マイクロウェーブ,紫外線照射機といったもので、出力0.2〜0.75kWの範囲のものが実用的である。この発熱機には細片を均一に加熱させて炭化させるため撹拌用の撹拌羽根を設けるとよい。以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
【実施例1】
【0009】
図1は実施例の使用済み紙おむつの処理装置の説明図である。図中、1は装置本体、2は投入口、3は粉砕機、4は撹拌室、5はギヤードモータ、6は撹拌機、7は電気式オゾン散布機、8はゲート、9は発熱機、10は撹拌羽根、11はUVランプ、12はゲート、13はシュート、14はオゾン発生機、15はコンプレッサ、16は電熱機、17はコントロールパネル、18は容器、Cは炭化物、pは使用済み紙おむつ、sは細片である。
【0010】
本実施例の処理装置は、図1に示すように装置本体1の上部に使用済み紙おむつpを投入する投入口2を設け、投入口2の下方に投入された使用済み紙おむつpを細片に粉砕する粉砕機3を取り付け、粉砕機3の下方に撹拌室4を設けて複数本の鋭利な羽根を有したギヤードモータ5で回転する撹拌機6を横方向に設け、撹拌機6の上方に撹拌中の細片sを殺菌するオゾン散布機7を取り付けている。
【0011】
撹拌室4の底部には粉砕された細片sを排出するゲート8を図示しないエアシリンダで開閉自在に設け、細片sの排出先に容器状の発熱機9を設け、発熱機9の底部に加熱される細片sを撹拌する撹拌羽根10を図示しないモータで回転自在に設け、発熱機9の上方に加熱される細片sへ紫外線を照射するUVランプ11を取り付け、発熱機9の下部側面に炭化物Cをゲート12で開口して排出するシュート13を設けている。
【0012】
その他、装置本体1には電気式オゾン散布機7にオゾンを供給するオゾン発生機14を設け、ゲート8及びゲート12の図示しないエアシリンダに圧縮空気を供給するコンプレッサ15を設け、発熱機9を加熱させる電熱機16を設け、各機器を制御するコントロールパネル17を設けている。
【0013】
本実施例では、使用済み紙おむつpを投入口2へ投入すると、粉砕機3で粒径5〜25mm程の大きさの細片sに粉砕されて下方の撹拌室4に落下する。撹拌室4では撹拌機6がギヤードモータ5で毎分6回転しているとともにオゾン散布機7でオゾンが毎分100ppmの量を散布しており、落下した細片sは撹拌機6で撹拌されながらオゾンで均一に殺菌・消毒処理されて底部に貯留する。
【0014】
撹拌室4の底部に一定量の細片sが貯留すると、ゲート8を開口して細片sを発熱機9内へ自重で送り込む。発熱機9内は電熱機16で約500℃前後に加熱されているとともに撹拌羽根10が毎分6回転しており、この高温雰囲気中に送り込まれて細片sが高速で撹拌されながら周囲から均一に加熱され、およそ3〜5時間で完全に炭化する。その後、炭化物Cはシュート13で装置本体1外から容器18へ取り出される。
【0015】
本実施例ではこのように構成したから、投入された使用済み紙おむつpに対して取り出された炭化物Cは体積で100/1〜100/3、重量で100/0.5〜100/5に減量された。また、処理に要した時間は0.5時間/kgであった。この炭化物Cは500℃前後の高温で加熱処理しているから細菌の繁殖もなく臭いもほとんど無いものであり、燃料,消臭材,土壌改良材等に有効に再利用されることとなる。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明は主として使用済み紙おむつに使用されるものであるが、これに限定されるものではなく、例えば尿取りパッド,失禁パンツ,ナプキン,ライナー,ティッシュ類の衛生用品に全て適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例の使用済み紙おむつの処理装置の説明図である。
【符号の説明】
【0018】
1 装置本体
2 投入口
3 粉砕機
4 撹拌室
5 ギヤードモータ
6 撹拌機
7 電気式オゾン散布機
8 ゲート
9 発熱機
10 撹拌羽根
11 UVランプ
12 ゲート
13 シュート
14 オゾン発生機
15 コンプレッサ
16 電熱機
17 コントロールパネル
18 容器
C 炭化物
p 使用済み紙おむつ
s 細片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用済みの紙おむつを細片に破砕する破砕機を設け、同破砕機で破砕された細片を撹拌機で撹拌しながら殺菌する殺菌室を設け、同殺菌室で殺菌された細片を減圧状態で周囲から高温に加熱して炭化させる電熱機を備えた炭化室を設けたことを特徴とする、使用済み紙おむつの処理装置。
【請求項2】
殺菌室が、撹拌される細片にオゾンを散布するオゾン散布機を備えたものである、請求項1記載の使用済み紙おむつの処理装置。
【請求項3】
オゾン散布機が、オゾン発生とその散布とを電気を用いて行う電気式オゾン散布機である、請求項2記載の使用済み紙おむつの処理装置。
【請求項4】
電熱機で加熱される細片に紫外線を照射する紫外線照射機を炭化室に設けた、請求項1〜3何れか記載の使用済み紙おむつの処理装置。
【請求項5】
炭化室に細片を加熱しながら撹拌する撹拌羽根を設けた、請求項1〜4いずれか記載の使用済み紙おむつの処理装置。
【請求項6】
細片の加熱温度が400〜700℃の範囲である、請求項1〜5いずれか記載の使用済み紙おむつの処理装置。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2006−272203(P2006−272203A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−96845(P2005−96845)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(301000309)株式会社エヌイ−ケイ (1)
【Fターム(参考)】