説明

便器上面部材

【課題】便蓋の発光体に対し電磁誘導によって通電が行われる便器上面部材を提供する。
【解決手段】便座2内にヒータと1次コイル4とが設けられている。便蓋3には、該便蓋3が便座2上に倒伏したときに1次コイル4と対峙する位置に2次コイル5が設けられている。また、便蓋3には、この2次コイル5から通電される発光体としてUVLED6が設けられている。便蓋3を便座2上に倒伏させると、1次コイル4に対し2次コイル5が対峙し、電磁誘導によりUVLED6へ通電され、UVLED6が発光する。これにより、便座2の上面及び便鉢内がUV殺菌あるいは防汚される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便蓋を備えた便器上面部材に関するものであり、特に紫外線等を発光する発光体が該便蓋に設けられた便器上面部材に関する。
【背景技術】
【0002】
実開昭60−117800号、実開平1−89088号、実開平1−159798号、特開平11−71803号の図5には便蓋の裏側に殺菌灯を設けることが記載されている。
【0003】
特開2000−333882号には、便座のヒータに電磁誘導を利用して通電することが記載されている。
【特許文献1】実開昭60−117800号
【特許文献2】実開平1−89088号
【特許文献3】実開平1−159798号
【特許文献4】特開平11−71803号
【特許文献5】特開2000−333882号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、便蓋の発光体に対し電磁誘導によって通電が行われる便器上面部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の便器上面部材は、便蓋と、該便蓋に設けられた発光体とを有する便器上面部材において、電磁誘導によって該発光体に通電するための2次コイルを便蓋に備えたことを特徴とするものである。
【0006】
請求項2の便器上面部材は、請求項1において、該便器上面部材は便座を備えており、前記便蓋が該便座に重なったときに前記2次コイルと対峙する1次コイルが該便座に設けられていることを特徴とするものである。
【0007】
請求項3の便器上面部材は、請求項1において、該便器上面部材は便座支持部材を備えており、前記便蓋が起立したとき又は倒伏したときに前記2次コイルと対峙する1次コイルが該便座支持部材に設けられていることを特徴とするものである。
【0008】
請求項4の便器上面部材は、請求項3において、前記便座にヒータ又は導線が設けられており、該ヒータ又は導線の少なくとも一部が前記1次コイルを構成していることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の便器上面部材にあっては、便蓋の発光体に対し電磁誘導によって通電が行われるので、便蓋と、便座ボックスやロータンクカバー等の便蓋支持部材との間に発光体に電力を供給するためのリード線を配材することが不要である。このため、リード線の耐久性を確保するための設計上の配慮が不要であると共に、清掃時にリード線が引掛かる等の不便もない。
【0010】
請求項2のように1次コイルを便座に設けた場合、1次コイルと2次コイルとの対峙面積を大きくし、十分な電流を電磁誘導によって便蓋側へ供給することができる。なお、便蓋のみを起立させたときには発光体への通電が停止される。
【0011】
請求項3のように1次コイルを便座支持部材に設けたときには、便蓋を起立させると便蓋の発光体への通電が停止されるよう構成することが可能である。
【0012】
請求項4の便器上面部材にあっては、1次コイルのすべて又は一部をヒータや導線と兼用することにより、材料コストの低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。第1図は実施の形態に係る便器上面部材を示す斜視図、第2図は第1図のII−II線断面図である。
【0014】
この実施の形態では、便座ボックス1に便座2及び便蓋3がそれぞれ中空筒状の支軸を介して2点鎖線で示すように上下方向回動可能に取り付けられている。
【0015】
便座2は暖房便座であり、その内部には暖房ヒータ(第1,2図では図示略)及び1次コイル4が設けられている。このヒータ及び1次コイル4への通電用のリード線は、便座2の支軸(図示略)内を通って、便座ボックス1内に引き込まれている。
【0016】
便蓋3には、該便蓋3が便座2上に倒伏したときに1次コイル4と対峙する位置に2次コイル5が設けられている。また、便蓋3には、この2次コイル5から通電される発光体としてUVLED(紫外線発光LED)6が設けられている。なお、この実施の形態では、UVLED6は便座2の内周縁の上方に配置されており、便座2の上面と便鉢内の双方にUVを照射可能としているが、主として便鉢内に紫外線を照射するように便蓋3の中央側に配置されてもよい。
【0017】
このように構成された便器上面部材においては、便蓋3を便座2上に倒伏させると、1次コイル4に対し2次コイル5が対峙し、電磁誘導によりUVLED6へ通電され、UVLED6が発光する。これにより、便座2の上面及び便鉢内がUV殺菌あるいは防汚される。なお、便座2の上面や便鉢の内面に光触媒を設けておき、光触媒反応によって殺菌、防汚効果を高めるようにしてもよい。光触媒を設けてある場合には、発光体として可視光発光体を設けた場合でも殺菌、防汚効果を得ることができる。
【0018】
便蓋3のみを起立させると、1次コイル4と2次コイル5とが離反し、UVLED6が消灯する。そのため、人にUVが照射されることが防止される。
【0019】
なお、便座2の起立を検知するためのセンサ(例えば、便座2の支軸に設けられたロータリエンコーダやリードスイッチ等)を設けておき、便座2が起立した場合には1次コイル4への通電を停止するように構成してもよい。このようにすれば、便座2及び便蓋3を起立させた場合でも人体にUVが照射されることが防止される。
【0020】
第1,2図では便座2に1次コイル4を設けているが、第3図のように、便座ボックス1Aのうち便蓋3Aを倒伏させたときに便蓋3Aの基端側と対峙する位置に1次コイル4を設け、便蓋3Aの基端側に2次コイル5を設けてもよい。
【0021】
この第3図の便器上面部材においても、便蓋3Aを倒伏させると2次コイル5からUVLED(第3図では図示略)に通電されて該UVLEDが点灯する。便蓋3Aを起立させると、2次コイル5が1次コイル4から離反するので、便座2の起倒の如何にかかわらずUVLEDが消灯する。従って、UVが人体に照射することが確実に防止される。
【0022】
本発明では、便座のヒータを1次コイルと兼用させてもよい。第4図はそのような便器上面部材の一例を示す斜視図であり、便座2Bを周回してヒータ兼1次コイル8が設けられている。便蓋3Bには、該便蓋3Bが便座2B上に倒伏したときに該ヒータ兼1次コイル8と対峙するように2次コイル9が設けられている。
【0023】
便蓋3Bを便座2B上に倒伏させると、電磁誘導により2次コイル9からUVLED6に通電され、UVLED6が点灯する。便蓋3Bのみを起立させると、UVLED6が消灯する。この場合も、便座2Bの起立検知センサを設け、便座2Bが起立したときにはヒータ兼1次コイル8への通電を停止するよう構成するのが好適である。
【0024】
第4図ではヒータと1次コイルとを兼用させているが、便座温度を検知するための温度センサのリード線を1次コイルと兼用させてもよい。温度センサが熱電対であるときには、熱電対で1次コイルの一部を構成してもよい。
【0025】
上記実施の形態では便座ボックスを採用しているが、ロータンクカバーを採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施の形態に係る便器上面部材を示す斜視図である。
【図2】第1図のII−II線断面図である。
【図3】別の実施の形態を示す断面図である。
【図4】さらに別の実施の形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0027】
1,1A 便座ボックス
2,2B 便座
3,3A,3B 便蓋
4 1次コイル
5 2次コイル
6 UVLED

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便蓋と、該便蓋に設けられた発光体とを有する便器上面部材において、電磁誘導によって該発光体に通電するための2次コイルを便蓋に備えたことを特徴とする便器上面部材。
【請求項2】
請求項1において、該便器上面部材は便座を備えており、前記便蓋が該便座に重なったときに前記2次コイルと対峙する1次コイルが該便座に設けられていることを特徴とする便器上面部材。
【請求項3】
請求項1において、該便器上面部材は便座支持部材を備えており、前記便蓋が起立したとき又は倒伏したときに前記2次コイルと対峙する1次コイルが該便座支持部材に設けられていることを特徴とする便器上面部材。
【請求項4】
請求項3において、前記便座にヒータ又は導線が設けられており、該ヒータ又は導線の少なくとも一部が前記1次コイルを構成していることを特徴とする便器上面部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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