説明

便座装置

【課題】センサユニットの前端部を確実にカバーに係止させる。
【解決手段】便座装置Aは、上面から前面に亘って開口する窓孔17を有するカバー11と、カバー11に対し窓孔17を塞ぐように取り付けられるセンサユニット30とを備える。センサユニット30の前端部は、その段差部35の下方に面する天井面36を窓孔17の前縁部17Fに載置させるとともに、段差部35の前方に面する当接面37をカバー11の内面に対して後方から当接又は接近して対向させることにより、カバー11に係止される。センサユニット30とカバー11には、センサユニット30をカバー11に取り付ける過程において、センサユニット30を前方へ誘導する誘導部24A〜24E,45A〜45Eが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便座装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、センサユニットを備えた便座装置が開示されている。この便座装置は、便器本体における便鉢よりも後方に載置されるベース部材と、ベース部材の上面を覆うカバーと、カバーに揺動可能に支持された便座とを備えている。カバーには、その上面から前面に亘って開口する貫通形態の窓孔が形成され、センサユニットは、窓孔を塞ぐようにしてカバーに取り付けられている。
【0003】
カバーに対するセンサユニットの取付け構造は、センサユニットの前端部をカバーに係止し、センサユニットの後端部をカバーに対して離脱規制するようになっている。そして、センサユニットの前端部をカバーに係止する手段として、センサユニットのパネルに形成したリブを、カバーの溝に嵌める構造が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−275268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
リブは、パネル(即ち、板状の部材)に形成されているため、強度や剛性の点で信頼性が低い。そのため、リブを溝に嵌める構造では、リブが破損や変形を来すことが原因となって、センサユニットの前端部がカバーから外れてしまう虞がある。
【0006】
リブ形状を用いずにセンサユニットの前端部をカバーに係止する手段としては、センサユニットの前端部の下端側を段差状に凹ませた形状とし、その段差部の天井面を窓孔の開口縁のうちの前縁部に載せるとともに、段差部の前面をカバーの内面に対して後方から当接させる構造が考えられる。しかし、この構造では、センサユニットを取り付ける際に、作業者が段差部の天井面を直接目視できないことから、段差部の天井面と窓孔の前縁部との係止状態を確認することができない。そのため、係止代が不十分であったり、センサユニットの前端部がカバーから外れてしまう等の不具合が懸念される。
【0007】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、センサユニットの前端部を確実にカバーに係止させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、便器本体における便鉢の後方位置に取り付けられるベース部材と、揺動可能な便座と、前記ベース部材を上から覆うように配置され、上面から前面に亘って開口する貫通形態の窓孔が形成されているカバーと、前記カバーに対し前記窓孔を塞ぐように取り付けられるセンサユニットとを備え、前記センサユニットの前端部には、その前端面のうちの下端側を凹ませた形態の段差部が形成され、前記段差部の下方に面する天井面を前記窓孔の開口縁のうちの前縁部に載置させるとともに、前記段差部の前方に面する当接面を前記カバーの内面に対して後方から当接又は接近して対向させることにより、前記センサユニットの前端部を前記カバーに係止させるようになっており、前記センサユニットと前記カバーには、前記センサユニットを前記カバーに取り付ける過程において、前記センサユニットを前方へ誘導する誘導部が形成されているところに特徴を有する。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記センサユニット側の前記誘導部と前記カバー側の前記誘導部のうち少なくとも一方には、前後方向に対して傾斜した誘導面が形成されているところに特徴を有する。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載のものにおいて、前記カバー側の前記誘導部と前記センサユニット側の前記誘導部には、前記天井面が前記窓孔の前縁部から後方へ外れた状態において互いに当接することにより、前記センサユニットの取付け動作を規制する規制面が形成されているところに特徴を有する。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のものにおいて、前記センサユニットは、前記カバーの内側から前記窓孔に嵌合するようにして組み付けられるようになっており、前記カバーの内面には、前記センサユニットを左右両側から挟むように位置する一対のガイド壁が形成されているところに特徴を有する。
【0012】
請求項5の発明は、請求項4に記載のものにおいて、前記一対のガイド壁における前記センサユニットとの対向面には、前記窓孔に接近するほど間隔が狭まった形態のガイド斜面が形成されているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0013】
<請求項1の発明>
センサユニットをカバーに取り付ける際には、誘導部によってセンサユニットが前方へ誘導されるので、段差部の前面をカバーの内面に対して確実に当接又は接近させことができる。これにより、前後方向において、段差部の天井面と窓孔の開口縁の前縁部の係止代が十分に確保されるので、センサユニットの前端部がカバーから外れる虞はない。
【0014】
<請求項2の発明>
センサユニットは、誘導面に沿って摺接することにより円滑に誘導される。
【0015】
<請求項3の発明>
センサユニットを取り付ける過程において、センサユニットが後方へ大きく位置ずれし、センサユニットの天井面が窓孔の前縁部から後方へ外れた非係止状態になった場合には、規制面同士が当接することによりセンサユニットの取付け動作が規制される。したがって、天井面が窓孔の前縁部に係止しない状態のままでセンサユニットが取り付けられてしまう虞はない。
【0016】
<請求項4の発明>
センサユニットは、一対のガイド壁によりカバーに対して左右方向に位置決めされるので、センサユニットは、正しい位置に取り付けられて確実に窓孔に嵌合される。
センサユニットをカバーの内側から窓孔に嵌合するようにして組み付けるので、窓孔の開口縁におけるカバーの内面を、窓孔の貫通方向においてセンサユニットを位置決めするためのストッパとしてそのまま利用できる。したがって、カバーの外面における窓孔の開口縁に段差状のストッパを形成しなくても、センサユニットの外面とカバーの外面とを面一状にすることができる。
また、センサユニット側については、その外面の周縁部のうち窓孔に嵌合される部分を段差状に凹ませせて引っ掛かり形状を作るだけで済むので、外面側に張り出す部分を形成せずに済む。したがって、窓孔におけるセンサユニットの露出面積を小さく抑えることができる。
【0017】
<請求項5の発明>
センサユニットを取り付ける過程では、センサユニットは、ガイド斜面により正規の位置へ誘導されるので、作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態1において便座装置を便器本体に取り付けた状態をあらわす側面図
【図2】カバーにセンサユニットを取り付ける途中の状態をあらわす一部切欠斜視図
【図3】カバーにセンサユニットを取り付ける前の状態をあらわす一部切欠側面図
【図4】カバーにセンサユニットを取り付ける途中の状態をあらわす一部切欠側面図
【図5】カバーにセンサユニットを取り付けた状態をあらわす一部切欠側面図
【図6】カバーにセンサユニットを取り付けた状態をあらわす斜視図
【図7】カバーにおけるセンサユニットの取付部分をあらわす底面図
【図8】図5のX−X線断面図
【図9】センサユニットの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態1>
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図9を参照して説明する。本実施形態の便座装置Aは、便器本体Bに取り付けられた状態で使用され、この便座装置Aと便器本体Bとによって便器装置が構成されている。便器本体Bは、上面が開放された便鉢(図示省略)と、便鉢の後方に便鉢と一体に形成された台座部(図示省略)とを備えて構成された周知の形態のものである。
【0020】
便座装置Aは、ベース部材10、カバー11、便座12、便蓋13、複数の機能部材(図示省略)、回路基板(図示省略)、センサユニット30を備えて構成される。ベース部材10は、便器本体Bの台座部の上面に取り付けられる。カバー11は、合成樹脂製であり、ベース部材10に対しその上面を覆うように組み付けられる。便座12と便蓋13は、カバー11に揺動可能に取り付けられている。機能部材は、ベース部材10又はカバー11に取り付けられており、通電により作動する。機能部材としては、局部洗浄装置、便座暖房装置、温風発生装置、脱臭装置、オーディオ装置、便座開閉装置、便蓋開閉装置等がある。回路基板は、ベース部材10に取り付けられ、機能部材に対する電力供給及び機能部材の制御を行う。
【0021】
センサユニット30は、人体検知センサ31と、リモコン受光部(図示省略)とを一体化させたものであり、全体として前後方向に細長いブロック状をなす。センサユニット30の上面のうち左右両側縁を除いたほぼ全領域は、赤外線を透過可能であり且つ可視光線は透過しない保護板32で覆われている。人体検知センサ31は、赤外線発光部(図示省略)と赤外線受光部31Aとを備えており、便器装置に人が接近したか否かを検知し、その検知信号を回路基板に出力する。赤外線発光部は、保護板32で覆われた領域内に配置されている。
【0022】
センサユニット30の前面における概ね上半分の領域は、保護板32の前端部で覆われており、この領域内には収容凹部33が形成され、この収容凹部33内に、赤外線受光部31Aがセンサユニット30外へ露出した状態で収容されている。正面から見て赤外線受光部31Aはほぼ円形であるのに対し、収容凹部33は、正面から見て横長の略楕円形に開口しているため、赤外線受光部31Aの受光範囲は、上下方向に比べて左右方向が広くなっている。また、センサユニット30の上面部及び前面部のうち保護板32で覆われた部分は、一定の幅寸法で連なる嵌合部34となっている。
【0023】
リモコン受光部は、保護板32で覆われた領域内に配置されており、トイレの壁面等に設けたリモコン装置からの赤外線信号を受信し、その受信信号を回路基板に出力する。さらに、カバー11には、便座12に人が座っているか否かを検知する着座センサ14が設けられ、この着座センサ14からの検知信号が回路基板に出力される。回路基板に入力された人体検知センサ31からの検知信号、リモコン受光部からの受信信号及び着座センサ14からの検知信号に基づき、機能部材が作動する。
【0024】
次に、カバー11に対するセンサユニット30の取付け構造を説明する。カバー11は、僅かに前方に向かって下り勾配となっている上面壁15と、上面壁15の前端縁からほぼ鉛直方向下向きに延出する前面壁16とを有している。カバー11には、上面壁15から前面壁16に亘って貫通するように開口させた窓孔17が形成されている。窓孔17は、前後方向に細長く開口し、窓孔17の左右の幅は全長に亘って一定である。また、便器装置の前方からカバー11を見たときに、窓孔17は、上面壁15における左側の側縁に沿った位置に配置されている。尚、以下の説明における左右の方向は、便器装置の前方からカバー11を見た状態を基準とする。
【0025】
図7に示すように、上面壁15の下面には、下方へ突出した形態の第1〜第3ロック用受け部18,19,20が形成されている。第1ロック用受け部18は、窓孔17の開口縁の左側縁に沿った位置であって、窓孔17の前後方向におけるほぼ中央の位置に配置されている。第2ロック用受け部19は、窓孔17の左側縁に沿った位置であって、第1ロック用受け部18よりも後方の位置に配置されている。第3ロック用受け部20は、窓孔17の右側縁の後端部に配置されている。第1ロック用受け部18と第2ロック用受け部19には、その右側面を凹ませた形態のロック孔21が形成され、第3ロック用受け部20には左右方向に貫通する形態のロック孔21が形成されている。
【0026】
上面壁15の下面には、一対のガイド壁22が下方へ突出する形態で形成されている。一対のガイド壁22は、窓孔17の左右両側縁に沿うように配置され、前後方向においては上面壁15の前端の近くであって第1ロック用受け部18よりも前方に位置している。一対のガイド壁22の内面(互いに対向する面)には、ガイド斜面23が形成されている。一対のガイド斜面23は、その左右間隔が上方に向かうほど(窓孔17に接近するほど)次第に狭まるように傾斜している。
【0027】
上面壁15の下面には、第1〜第5誘導突起24A〜24E(本発明の構成要件であるカバー11側の誘導部)が形成されている。各誘導突起24A〜24Eの側方から見た形状は、いずれも同じであり、下方に向かって前後方向の寸法(幅寸法)が次第に小さくなるような台形をなしている。各誘導突起24A〜24Eの前面は、上下方向及び前後方向の両方向に対して傾斜した誘導面25となっている。また、各誘導突起24A〜24Eの下面は、水平な受け面26(本発明の構成要件であるカバー11側の規制面)となっている。
【0028】
第1誘導突起24Aは、窓孔17の開口縁のうちの左側縁に沿って配置され、前後方向においては、上面壁15の前端近くであってガイド壁22よりも前方の位置に配置されている。第2〜第4誘導突起24B〜24Dは、窓孔17の左側縁に沿って前後に接近して順に並ぶように配置され、前後方向においては上面壁15のほぼ中央位置であって第1ロック用受け部18と第2ロック用受け部19との間の位置に配置されている。第5誘導突起24Eは、窓孔17の左側縁に沿って配置され、前後方向においては上面壁15の後端近くであって第2ロック用受け部19よりも後方の位置に配置されている。
【0029】
また、上面壁15の下面には、ビス止め部27が形成されている。ビス止め部27は、窓孔17の右側縁に沿った位置であって、前後方向においては上面壁15の前端近くであってガイド壁22よりも前方の位置に配置されている。このビス止め部27には、下面に開口するビス止め孔28が形成されている。
【0030】
センサユニット30は、その嵌合部34の幅寸法が窓孔17の幅と同じかそれよりも僅かに小さい寸法とされていて、カバー11に正しく取り付けた状態では嵌合部34が窓孔17に殆ど隙間なく嵌合されるようになっている。そして、センサユニット30をカバー11に取り付けた状態では、センサユニット30の嵌合部34の上面とカバー11の上面とがほぼ面一状に(段差がないように)連なり、センサユニット30の前面とカバー11の前面とがほぼ面一状に(段差がないように)連なる。
【0031】
センサユニット30の前端部には、その前面のうち略上半分の領域(収容凹部33と赤外線受光部31Aが配置されている領域)に対して、略下半分の領域が段差状に凹んだ形態の段差部35が形成されている。段差部35は、センサユニット30の前面の全幅に亘って形成されており、下方に面する天井面36と、前方に面する当接面37とを有している。
【0032】
センサユニット30には、窓孔17の開口縁との隙間をシールするためのパッキン38が取り付けられている。パッキン38は、センサユニット30の上面のうち嵌合部34に対して段差状に低くなった左右両側縁部に沿って前後方向に細長く延びる一対のサイドシール部38Sと、この左右両サイドシール部38Sの前端同士を繋いだ形態であって当接面37の上端部に沿って左右方向に細長く延びるフロントシール部38Fとから構成されている。また、センサユニット30の右側面には、カバー11のビス止め部27と対応する突起状取付部39が形成されている。突起状取付部39には、ビス止め孔28と対応する開口部40が形成されている。
【0033】
センサユニット30をカバー11に正しく取り付けた状態では、図5に示すように、天井面36が窓孔17の開口縁のうちの前縁部17Fに対して上から当接(載置)されるとともに、当接面37が、カバー11の前面壁16の内面に対して後方からパッキン38のフロントシール部38Fを介して突き当たる。これにより、センサユニット30の前端部が、カバー11に対して下方及び前方への相対変位を規制された状態で係止される。また、天井面36が窓孔17の前縁部17Fに対して上から当接しているので、センサユニット30の前端部は確実に下から支承された状態に保たれ、センサユニット30は、その上面に荷重を受けてもカバー11から外れる虞はない。
【0034】
また、サイドシール部38Sが、窓孔17の左右両側縁に沿って配置され、上面壁15の内面(下面)に密着するとともに、フロントシール部38Fが窓孔17の前縁に沿って配置され、前面壁16の内面(後面)に密着することで、窓孔17の左右両側縁と前縁における防水が図られる。
【0035】
センサユニット30には、第1〜第3弾性ロック片41〜43が形成されている。第1弾性ロック片41は、センサユニット30の左側面に沿った形態であって、第1ロック用受け部18と対応するように窓孔17の前後方向におけるほぼ中央の位置に配置されている。第2弾性ロック片42は、センサユニット30の左側面に沿った形態であって、第2ロック用受け部19と対応するように第1弾性ロック片41よりも後方の位置に配置されている。第3弾性ロック片43は、センサユニット30の右側面に沿った形態であって、第3ロック用受け部20と対応するようにセンサユニット30の後端部に配置されている。また、第1〜第3弾性ロック片41〜43は、その外面にロック突起44が形成されていて、内側へ弾性撓みし得るようになっている。
【0036】
センサユニット30には、第1〜第5誘導リブ45A〜45E(本発明の構成要件であるセンサユニット30側の誘導部)が形成されている。各誘導リブ45A〜45Eの側方から見た形状は、いずれも同じであり、3つのリブ状突起を連ねることにより、上方に向かって前後方向の寸法(幅寸法)が次第に小さくなるような台形をなしている。各誘導リブ45A〜45Eの後面は、上下方向及び前後方向の両方向に対して傾斜した誘導面46となっている。このセンサユニット30の誘導面46の傾斜角度は、センサユニット30が正しくカバー11に取り付けられた状態においてカバー11側の誘導面25の傾斜角度と同じとなる。また、各誘導リブ45A〜45Eの上面は、センサユニット30の上面とほぼ平行な突当面47(本発明の構成要件であるセンサユニット30側の規制面)となっている。
【0037】
第1誘導リブ45Aは、センサユニット30の左側面から突出した形態であり、前後方向においては、第1誘導突起24Aと対応するようにセンサユニット30の前端近くの位置に配置されている。第2〜第4誘導リブ45B〜45Dは、センサユニット30の左側面から突出した形態であって、前後に連なって順に並ぶように配置されている。この第2〜第4誘導リブ45B〜45Dは、夫々、第2〜第4誘導突起24Dと対応するように、前後方向においてはセンサユニット30のほぼ中央位置であって第1弾性ロック片41と第2弾性ロック片42との間の位置に配置されている。第5誘導リブ45Eは、センサユニット30の左側面から突出した形態であり、前後方向においては、第5誘導突起24Eと対応するようにセンサユニット30の後端近くであって第2弾性ロック片42よりも後方の位置に配置されている。
【0038】
次に、本実施形態の作用を説明する。センサユニット30をカバー11に取り付ける際には、上面壁15に対して斜め姿勢にしたセンサユニット30の前端部を、カバー11の下方から窓孔17の前端部に接近させ、センサユニット30の当接面37の下端縁を前面壁16の後面(内面)に対して後方から当接させるとともに、センサユニット30の上端部(段差部35)のうち天井面36よりも上方の部分を窓孔17内に嵌め入れる。
【0039】
そして、センサユニット30と窓孔17との当接部分を支点として、センサユニット30の後端部が上面壁15(窓孔17)に接近するようにセンサユニット30を揺動させながらカバー11への取り付け作業を進めていく。取り付け作業が進む過程では、一対のガイド壁22の間にセンサユニット30の前端部が挟まれるように入り込み、これにより、センサユニット30が左右方向において位置決めされる。ガイド壁22の間に入り込むときに、センサユニット30が窓孔17に対して左右に位置ずれしていたとしても、ガイド斜面23に摺接することにより正しい位置に矯正される。このガイド壁22によるガイド及び位置決め作用は、取付けが完了するまで継続される。
【0040】
ガイド壁22によるガイドが開始した後、第1弾性ロック片41がそのロック突起44を第1ロック用受け部18に当接させて弾性撓みし、次いで、第2弾性ロック片42と第3弾性ロック片43がそのロック突起44を第2ロック用受け部19と第3ロック用受け部20に当接させて順に弾性撓みする。そして、嵌合部34の全体が窓孔17に嵌合してセンサユニット30が正しい位置に取り付けられると、第1〜第3弾性ロック片41〜43が弾性復帰して、それらのロック突起44が対応するロック孔21に係止し、この係止作用によりセンサユニット30が取り付け状態にロックされる。この後は、センサユニット30に形成されている突起状取付部39の開口部40にビス48を通してビス止め部27のビス止め孔28にねじ込めば、センサユニット30はカバー11に対して離脱規制された状態に固定される。
【0041】
さて、センサユニット30を取り付ける過程では、センサユニット30がカバー11に対して相対的に後方へ位置ずれして、センサユニット30の前端部(段差部35)が窓孔17の前縁部17Fから外れ、その結果、円滑な取り付け作業に支障を来すことが懸念される。しかし、本実施形態では、センサユニット30の第1〜第5誘導リブ45A〜45Eの誘導面46が、夫々、カバー11の第1〜第5誘導突起24A〜24Eの誘導面25に対して前方から当接して摺接するので、センサユニット30は、カバー11に対して後方へ相対移動することはない。したがって、段差部35を支点としてセンサユニット30を支障なく揺動させ、正しい取付け位置及び姿勢に到達させることができる。
【0042】
また、取付けの開始時又は途中で、センサユニット30がカバー11に対して大きく後方へ変位した場合には、取付けの途中で第1〜第5誘導リブ45A〜45Eのうち少なくとも1つの誘導リブの突当面47が、第1〜第5誘導突起24A〜24Eのいずれかの受け面26に対して下から突き当たるので、それ以上のセンサユニット30の取り付け動作が阻止される。したがって、段差部35が窓孔17から外れた状態で、センサユニット30が無理に取り付けられる、という虞はない。
【0043】
上述のように本実施形態においては、センサユニット30をカバー11に取り付ける際に、誘導突起24A〜24Eと誘導リブ45A〜45Eとの当接による誘導作用によってセンサユニット30を前方へ誘導するようにしたので、段差部35の当接をカバー11の内面に対して確実に当接又は接近させことができる。これにより、前後方向において、段差部35の天井面36と窓孔17の開口縁の前縁部17Fの係止代が十分に確保されるので、センサユニット30の前端部がカバー11から外れる虞はない。
【0044】
また、誘導突起24A〜24Eと誘導リブ45A〜45Eに前後方向に対して傾斜した誘導面25、46を形成し、双方の誘導面25、46同士を摺接させることにより、センサユニット30をカバー11に対して前方へ相対変位させる力を生じさせるようにしたので、誘導動作が円滑に行われる。
【0045】
また、本実施形態では、センサユニット30をカバー11に組み付けた状態で、センサユニット30の外面(上面及び前面)がカバーの外面(上面及び前面)と面一になるのであるが、このような形態を前提として、センサユニット30を、カバー11に対して外側から窓孔17に嵌合して組み付けようとした場合には、次のような問題が生じる。
【0046】
まず、窓孔17の開口縁には、センサユニット30の外縁部を係止させるために段差状に内側へ凹ませたストッパを形成する必要があるため、窓孔17の開口縁を段差状に成形するか、若しくはカバー11全体の厚さをストッパの凹み寸法よりも大きくなるように肉厚にする必要がある。ところが、前者の形態では、カバーを成形するための金型の形状が複雑になって金型コストがアップする。一方、後者の形態では、カバー11が重たくなる、カバー11の材料コストがアップする等の問題を来す。
【0047】
さらに、センサユニット30の外面に沿った外縁部には、ストッパに係止するための張出部を形成しなければならないので、センサユニット30の外面側の寸法が大きくなり、カバー11の外面(窓孔17)におけるセンサユニット30の露出面積が大きくなってしまう。
【0048】
その点、本実施形態では、センサユニット30をカバー11の内側から窓孔17に嵌合するようにして組み付けるので、窓孔17の開口縁におけるカバー11の内面を、窓孔17の貫通方向においてセンサユニット30を位置決めするためのストッパとしてそのまま利用できる。したがって、カバー11の外面における窓孔17の開口縁に段差状のストッパを形成しなくても、センサユニット30の外面とカバー11の外面とを面一状にすることが実現されている。
【0049】
また、センサユニット30側については、その外面の周縁部のうち窓孔17に嵌合される部分を段差状に凹ませせた引っ掛かり形状(嵌合部34)を作るだけで済んでいる。したがって、窓孔17の開口縁に係止させる手段として、センサユニット30の外面に沿って外側方へ張り出す部分を形成した場合に比べると、窓孔17におけるセンサユニット30の露出面積が小さく抑えられている。
【0050】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態ではセンサユニットをカバーの内側から取り付けるようにしたが、本発明によれば、センサユニットをカバーの外側から取り付けるようにしてもよい。
(2)上記実施形態ではセンサユニット側の誘導部とカバー側の誘導部の両方に誘導面を形成したが、本発明によれば、誘導面は、センサユニット側の誘導部とカバー側の誘導部のうちいずれか一方のみに形成してもよい。
(3)上記実施形態では、一対のガイド壁におけるセンサユニットとの対向面に、窓孔に接近するほど間隔が狭まった形態のガイド斜面を形成したが、本発明によれば、ガイド斜面はいずれか一方のガイド壁のみに形成してもよい。
(4)上記実施形態では、一対のガイド壁におけるセンサユニットとの対向面に、窓孔に接近するほど間隔が狭まった形態のガイド斜面をしたが、本発明によれば、ガイド壁は、ガイド斜面を有しない形態であってもよい。
(5)上記実施形態では誘導部に規制面を形成したが、本発明によれば、誘導部は規制面を有しない形態であってもよい。
【符号の説明】
【0051】
A…便座装置
10…ベース部材
11…カバー
12…便座
17…窓孔
17F…窓孔の前縁部
22…ガイド壁
23…ガイド斜面
24A〜24E…第1〜第5誘導突起(カバー側の誘導部)
25…カバー側の誘導面
26…受け面(カバー側の規制面)
30…センサユニット
35…段差部
36…天井面
37…当接面
45A〜45E…第1〜第5誘導リブ(センサユニット側の誘導部)
46…センサユニット側の誘導面
47…突当面(センサユニット側の規制面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器本体における便鉢の後方位置に取り付けられるベース部材と、
揺動可能な便座と、
前記ベース部材を上から覆うように配置され、上面から前面に亘って開口する貫通形態の窓孔が形成されているカバーと、
前記カバーに対し前記窓孔を塞ぐように取り付けられるセンサユニットとを備え、
前記センサユニットの前端部には、その前端面のうちの下端側を凹ませた形態の段差部が形成され、
前記段差部の下方に面する天井面を前記窓孔の開口縁のうちの前縁部に載置させるとともに、前記段差部の前方に面する当接面を前記カバーの内面に対して後方から当接又は接近して対向させることにより、前記センサユニットの前端部を前記カバーに係止させるようになっており、
前記センサユニットと前記カバーには、前記センサユニットを前記カバーに取り付ける過程において、前記センサユニットを前方へ誘導する誘導部が形成されていることを特徴とする便座装置。
【請求項2】
前記センサユニット側の前記誘導部と前記カバー側の前記誘導部のうち少なくとも一方には、前後方向に対して傾斜した誘導面が形成されていることを特徴とする請求項1記載の便座装置。
【請求項3】
前記カバー側の前記誘導部と前記センサユニット側の前記誘導部には、前記天井面が前記窓孔の前縁部から後方へ外れた状態において互いに当接することにより、前記センサユニットの取付け動作を規制する規制面が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の便座装置。
【請求項4】
前記センサユニットは、前記カバーの内側から前記窓孔に嵌合するようにして組み付けられるようになっており、
前記カバーの内面には、前記センサユニットを左右両側から挟むように位置する一対のガイド壁が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の便座装置。
【請求項5】
前記一対のガイド壁における前記センサユニットとの対向面には、前記窓孔に接近するほど間隔が狭まった形態のガイド斜面が形成されていることを特徴とする請求項4記載の便座装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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