説明

便座

【課題】使用感がよく、手入れが簡単な便座を提供する。
【解決手段】便座20は、ヒータ24と、ヒータ24の上方に配置される被加熱部201とを備える。被加熱部201は、カバー23と、壁部221を含む弾性部材22とを含む。カバー23は、被加熱部201の上面を形成するものである。壁部221は、カバー23から下方に延び、かつ、被加熱部201の内部に気体を保持するための複数の独立した貫通孔222を形成するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便座に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使用感を高めるための工夫がされた便座が提案されている。例えば、使用者が着座したときに便座が変形して座り心地をよくするものや、便座を温めるためのヒータが設置されているものがある。
【0003】
特開平10−276934号公報(特許文献1)には、便座表面板と便座裏板の周縁部を当接して組み立て、中空箱体を構成した便座ユニットが記載されている。この便座ユニットにおいては、中空箱体の内部にヒータが収納されている。ヒータは、使用者が着座したときに使用者に接触する便座表面板の下面、すなわち、中空箱体の内部の空間の最上部に配置されている。このヒータによって便座表面板が加温される。
【0004】
特開2006−141622号公報(特許文献2)には、ベース部材の表面から便座上方に突出するように延在する突起部と、突起部に被せられるカバーとを備える便座が記載されている。突起部とカバーとの間にはフィルムが設けられている。この便座では、フィルムとカバーとの間に、面状のフレキシブルヒーターを配置することも可能であることが記載されている。
【0005】
特開2007−229388号公報(特許文献3)には、柔軟性および通気性を有する便座カバーと、硬質の樹脂材料からなる便座が記載されている。便座の内部は中空にされており、便座の上板の下面にヒータが設置されている。
【0006】
特開2008−237489号公報(特許文献4)には、ベース部材と、ベース部材よりも軟質な発泡ポリエチレン樹脂で形成される被覆部材とから構成される便座装置が記載されている。この便座装置のベース部材の内部には空洞が形成され、加熱用電気ヒータが空洞内においてベース部材の上方部材の板面に、両面テープで固定されている。
【0007】
また、特開平11−318764号公報(特許文献5)には、軟質合成樹脂成形品であり、裏側の便座上面との接触面にクッション性を有する多数の短柱状突子が配設されている便座カバーが記載されている。特許文献5には、便座がヒータ付きのものであれば、便座とカバーとの間に短柱状突子によって形成される僅かな空隙全体に加温された便座の熱が充満してカバーを均一に加温することが記載されている。
【0008】
特開2007−105094号公報(特許文献6)と特開2007−185415号公報(特許文献7)と特開2007−289314号公報(特許文献8)には、使用者の皮膚と接触するシート状の表皮材と、屈曲変形自在な面状のPTCヒータと、軟質樹脂材からなる弾性体層を備える便座装置が記載されている。この便座装置では、PTCヒータは弾性体層内の上部に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−276934号公報
【特許文献2】特開2006−141622号公報
【特許文献3】特開2007−229388号公報
【特許文献4】特開2008−237489号公報
【特許文献5】特開平11−318764号公報
【特許文献6】特開2007−105094号公報
【特許文献7】特開2007−185415号公報
【特許文献8】特開2007−289314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載の便座ユニットや特許文献2の便座、特許文献3の便座カバーと便座、特許文献4に記載の便座装置では、ヒータは、使用者が着座したときに使用者に接触する便座表面板やカバーを直接、加熱する。そのため、ヒータの配置位置によっては、便座において使用者が接触する部分全体を均一に温めることが難しく、着座した使用者に不快感を与える場合がある。
【0011】
また、特許文献3に記載の便座カバーと便座、特許文献4に記載の便座装置や特許文献5に記載の便座カバーでは、便座カバーを取り付ける便座自体が重く、便座の上げ下げに支障をきたすことがある。
【0012】
特許文献3、特許文献4、特許文献6、特許文献7、または、特許文献8に記載の便座装置では、弾性体の内部や弾性体層の下面にPTCヒータが配置されているので、弾性体の表面が十分に温まらない場合がある。また、ヒータが弾性体の内部に配置されていると、弾性体を便座から取り外して洗浄することができない。
【0013】
さらにまた、特許文献5に記載の便座カバーでは、カバー主体を均一に加熱するために便座とカバー主体との間に、短柱状突子によって僅かな空隙が形成されているものの、空隙どうしが連通されているので、温度の異なる空気が平面方向に偏在し、カバー主体の温度むらを十分に解消することができない。
【0014】
そこで、この発明の目的は、表面の温度むらが少なく、使用感がよく、手入れが簡単な便座を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明に従った便座は、加熱部と、加熱部の上方に配置される被加熱部とを備える。被加熱部は、被覆部と壁部とを含む。被覆部は、被加熱部の上面を形成するものである。壁部は、被覆部から下方に延び、かつ、被加熱部の内部に気体を保持するための複数の独立した室を形成するものである。
【0016】
加熱部の上方には被加熱部が配置されているので、被加熱部内に形成されている複数の独立した室内に保持される気体は、加熱部によって温められて被加熱部内を上昇する。被加熱部内を上昇した気体は、被加熱部の上面を形成する被覆部を、被覆部の下方から温める。
【0017】
このように、被覆部を直接、加熱部で加熱するのではなく、加熱部によって温められた気体を用いて被覆部を温めることにより、被覆部の比較的広い範囲を効率よく温めることができ、使用者が便座に接触したときの使用感を高めることができる。壁部は複数の独立した室を形成しているので、温度むらが生じにくくなり、被加熱部による蓄熱性、保温性が高まる。また、被加熱部内には壁部によって独立した室が形成されており、室内には気体が保持されているので、便座全体を軽量化することができる。さらに、加熱部が被加熱部の内部に配置されていないので、被加熱部を洗浄することができる。
【0018】
このようにすることにより、表面の温度むらが少なく、使用感がよく、手入れが簡単な便座を提供することができる。
【0019】
この発明に従った便座においては、被加熱部は、非発泡性の樹脂材料によって形成されていることが好ましい。
【0020】
このようにすることにより、被加熱部の壁部が加熱部によって加熱されやすくなる。被加熱部の壁部が加熱されることによって、被覆部を、被加熱部内の室内を上昇する気体と壁部との両方でより効果的に温めることができる。
【0021】
この発明に従った便座においては、室は、被覆部の下面から被加熱部の下面までを連通していることが好ましい。
【0022】
このようにすることにより、便座をより軽量化することができる。また、被加熱部内の室内に保持される気体が加熱部によって加熱されやすくなり、加熱された気体によって被覆部が温められやすくなる。
【0023】
この発明に従った便座においては、室の水平断面の形状は略六角形状であることが好ましい。
【0024】
このようにすることにより、被加熱部に比較的多数の室を形成することができる。被加熱部に比較的多数の室を形成することによって、便座をより軽量化することができる。また、被加熱部内の室内に保持される気体が加熱部によって加熱されやすくなり、加熱された気体によって被覆部が温められやすくなる。また、被加熱部の耐荷重性を向上させることができる。
【0025】
この発明に従った便座においては、複数の室は、互いに略同一の形状の水平断面を有することが好ましい。また、この発明に従った便座においては、複数の室が形成されている領域内において、複数の室と室とは一定の間隔をあけて形成されていることが好ましい。
【0026】
このようにすることにより、複数の室内の気体をより均一に加熱し、被覆部の表面の温度むらをより少なくすることができる。
【0027】
この発明に従った便座においては、被覆部と壁部とは別個に形成されていることが好ましい。
【0028】
このようにすることにより、被覆部を壁部から取り外してそれぞれ洗浄することが可能になる。また、被覆部と壁部とを別の材質によって形成することが可能になる。
【0029】
この発明に従った便座においては、被覆部は、壁部と比較して相対的に軟質な材料によって形成されていることが好ましい。
【0030】
このようにすることにより、使用者の座り心地をよくすることができる。
【発明の効果】
【0031】
以上のように、この発明によれば、表面の温度むらが少なく、使用感がよく、手入れが簡単な便座を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一つの実施形態のトイレの全体を示す斜視図である。
【図2】便座の全体を示す斜視図である。
【図3】図2に示す便座を構成する主な部材を示す、便座の分解斜視図である。
【図4】図2に示す便座をIV−IV線で示す方向から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0034】
図1に示すように、本発明の一つの実施形態のトイレ1は、主に、便器10と、便器10の上面に取り付けられる便座20と、便器10を床面上に支持する脚30と、使用者の手を支持する手摺り40と、便座20と便器10の上面を覆う蓋50と、使用者の背中が当接される背もたれ60とを備える。便座20は、ボルト等によって便器10の上面に、鉛直面内で回動可能であるように取り付けられている。蓋50は、折りたたまれて背もたれ60の下方に立てかけられるように構成されている。以下の説明において、背もたれ60が配置されている側をトイレ1の後方側、背もたれ60が配置されている側と反対側をトイレ1の前方側とする。
【0035】
図2と図3とに示すように、便座20は、主に、ベース21と、弾性部材22と、被覆部としてカバー23と、加熱部としてヒータとから構成されている。弾性部材22とカバー23とは被加熱部201を構成する。ベース21の上面上に弾性部材22が配置され、弾性部材22の上面上にカバー23が配置される。すなわち、カバー23は、被加熱部201の上面を形成している。
【0036】
ベース21は、中央部がくり抜かれた略長方形状の板状に形成されている。また、ベース21には、ベース孔215が複数、形成されている。ベース孔215は、この実施形態においては、6個形成されている。後述するように、ベース21内の中空部にはヒータが配置されている。ヒータは、ベース孔215を閉塞しないように、ベース21の内部に配置されている。ヒータは配線25によって電源部(図示しない)に接続されている。
【0037】
ベース21には、便器10にベース21を取りつけるための連結部211が形成されている。ベース21は、連結部211を中心に回動するように便器10に取り付けられる。ベース21は、例えば、ポリプロピレン(PP)等の硬質樹脂によって形成される。なお、ベース21の形状は、この実施形態で説明した形状だけでなく、他の形状であってもよい。ベース21は、例えば、U字形状に形成されていてもよい。
【0038】
弾性部材22は、この実施形態においては、非発泡性の樹脂材料の一例として、スチレン系エラストマーによって形成されている。弾性部材22の材質としては、他には例えば、非発泡性のエチレンビニルアセテートコポリマー(EVA)、または、オレフィン系エラストマー等が用いられる。弾性部材22は、弾性を有する材質によって形成され、ベース21よりも軟らかく形成されていることが好ましい。
【0039】
弾性部材22は、多数の貫通孔222を形成する壁部221を含む。貫通孔222は室の一例である。弾性部材22の上面と下面には、六角形状の穴が形成されている。貫通孔222は、弾性部材22の上面と下面とを貫通するように、略六角柱の形状に形成されている。すなわち、複数の貫通孔222の水平断面の形状は略六角形状で同一であることが好ましい。略六角柱状の貫通孔222の軸は、弾性部材22の上面と下面とに略直交する方向に延びている。この実施形態においては、貫通孔222は弾性部材22のほぼ全領域に形成されている。それぞれの貫通孔222は、壁部221によって隔てられている。すなわち、弾性部材22においては、壁部221によって、複数の貫通孔222がそれぞれ独立して形成されている。貫通孔222の内部には気体の一例として空気が保持される。
【0040】
なお、貫通孔222は、弾性部材22の一部にのみ形成されていてもよい。例えば、弾性部材22において、使用者が着座したときに使用者に接触しやすい部分にのみ貫通孔222が形成されていてもよい。また、例えば、使用者が着座したときに使用者に接触しにくい弾性部材22の前方と後方には、貫通孔222が形成されていなくてもよい。
【0041】
また、貫通孔222は、この実施形態においては六角柱状に形成されているが、他の形状に形成されていてもよい。例えば、弾性部材22の上面と下面とに略直交する方向に軸が延びる四角柱形状に形成されていてもよいし、弾性部材22の上面と下面とに略直交する方向に軸が延びる三角柱形状に形成されていてもよい。
【0042】
カバー23は、この実施形態においては、非発泡性のエチレンビニルアセテートコポリマー(EVA)によって形成されている。カバー23は、この実施形態においては透明である。カバー23の材質としては、他には例えば、スチレン系エラストマー、または、オレフィン系エラストマー等が用いられる。カバー23は、弾性部材22よりも軟らかく形成されていることが好ましい。なお、カバー23は透明でなくてもよい。
【0043】
図4に示すように、ベース21は、上側板212と下側板213とを組み合わせて構成されており、ベース21の内部には中空部214が形成されている。中空部214の上部において上側板212の下面には、ヒータ24が取り付けられている。ヒータ24と上側板212との間には、アルミニウム箔(図示しない)が配置されていてもよい。アルミニウム箔をこのように配置することによって、ヒータ24の熱がベース21の上側板212のより広い範囲に伝わりやすくなる。アルミニウム箔は、上側板212の下面の全体に配置されていてもよい。このようにすることにより、ヒータ24の熱が上側板212の全体に伝わりやすくなる。
【0044】
ベース21の上側板212の上面上には、被加熱部201の弾性部材22が載置されている。弾性部材22は、ベース21上に着脱可能に接着剤によって取り付けられていてもよい。弾性部材22の表面はカバー23によって覆われている。貫通孔222の上部はカバー23によって閉塞され、下部はベース21によって閉塞されている。上述のように、貫通孔222の側面は壁部221に囲まれている。このように、それぞれの貫通孔222は、壁部221と、カバー23と、ベース21とによって、他の貫通孔222から独立させられている。貫通孔222は、弾性部材22の上面から下面まで、すなわち、カバー23の下面からベース21の上面までを連通している。
【0045】
また、複数の貫通孔222どうしは、一定の間隔Dをあけて形成されていることが好ましい。すなわち、貫通孔222と貫通孔222との間の壁部221の厚みは一定であることが好ましい。なお、貫通孔222と貫通孔222との間隔と壁部221の厚みは、便座20の全領域で一定でなくてもよい。
【0046】
この実施形態においては、カバー23は弾性部材22に着脱可能に取り付けられており、使用者によって弾性部材22から引きはがされ得る。また、弾性部材22は、ベース21に着脱可能に取り付けられており、使用者によってベース21から取り外され得る。なお、弾性部材22とカバー23とは一体に形成されていてもよい。
【0047】
以上のように構成されるトイレ1の使用方法について説明する。
【0048】
ヒータ24に通電されると、ヒータ24はアルミニウム箔を通してベース21の上側板212を加熱する。加熱されたベース21の上側板212は、弾性部材22と、弾性部材22の貫通孔222内の空気とを加熱する。貫通孔222内の空気は、温められて貫通孔222内を上昇し、弾性部材22の上面を覆うカバー23を下方から温める。
【0049】
1つの貫通孔222内の空気が熱的に飽和して平衡状態となるとき、他の貫通孔222も同様に平衡状態になる。このように、同じ態様の貫通孔222が独立して複数、壁部221を介して連なることにより、弾性部材22の全体として温度むらが少なくなる。さらに、弾性部材22が非発泡性の樹脂材料で形成されていることによって、弾性部材22の壁部221も、貫通孔222内の空気と同様、蓄熱性、保温性を高められている。このように、弾性部材22が全体として蓄熱性、保温性を高められていることによっても、弾性部材22の全体として温度むらが少なくなる。
【0050】
使用者は、図1に示すように便器10の蓋50を開き、露出した便座20の上に着座する。使用者が着座すると、使用者の尻がカバー23に接触する。カバー23が貫通孔222内の空気によって温められていると、使用者は便座20が冷たいことによって不快感を感じない。また、貫通孔222を形成する壁部221は、使用者が着座したときに変形しやすく、使用者に軟らかい使用感を与える。
【0051】
貫通孔222の水平断面の形状が略六角形に形成され、貫通孔222が便座20の全体に形成されていることによって、便座20上には多数の壁部221が配置されている。そのため、使用者が着座したときに軟らかい使用感を与えるうえ、弾性部材22が押しつぶされにくく、カバー23とベース21とが接触することはない。
【0052】
便座20を手入れする時には、まず、カバー23が弾性部材22から取り外される。次に、弾性部材22がベース21から取り外される。使用者は、このようにして便座20から取り外したカバー23と弾性部材22とをそれぞれ洗浄することができる。また使用者は、ベース21の上側板212の上面を拭くことができる。
【0053】
便器10の内部を清掃する場合等には、使用者は、便座20を連結部211を中心にして鉛直面内で回動させて、便器10の全体を露出させる。便座20の弾性部材22には多数の貫通孔222が形成されているので、便座20が軽量であり、使用者は便座20を回動させやすい。
【0054】
以上のように、便座20は、ヒータ24と、ヒータ24の上方に配置される被加熱部201とを備える。被加熱部201は、カバー23と、壁部221が形成された弾性部材22とを含む。カバー23は、被加熱部201の上面を形成するものである。壁部221は、カバー23から下方に延び、かつ、被加熱部201の内部に空気を保持するための複数の独立した貫通孔222を形成するものである。
【0055】
ヒータ24の上方には被加熱部201が配置されているので、被加熱部201内に形成されている複数の独立した貫通孔222内に保持される空気は、ヒータ24によって温められて被加熱部201内を上昇する。被加熱部201内を上昇した空気は、被加熱部201の上面を形成するカバー23を、カバー23の下方から温める。
【0056】
このように、カバー23を直接、ヒータ24で加熱するのではなく、ヒータ24によって温められた空気を用いてカバー23を温めることにより、カバー23の比較的広い範囲を効率よく温めることができ、使用者が便座20に接触したときの使用感を高めることができる。壁部221は複数の独立した貫通孔222を形成しているので、温度むらが生じにくくなり、被加熱部201による蓄熱性、保温性が高まる。また、被加熱部201内には壁部221によって独立した貫通孔222が形成されており、貫通孔222内には気体が保持されているので、便座20全体を軽量化することができる。さらに、ヒータ24が被加熱部201の内部に配置されていないので、被加熱部201を洗浄することができる。
【0057】
このようにすることにより、表面の温度むらが少なく、使用感がよく、手入れが簡単な便座20を提供することができる。
【0058】
また、便座20においては、被加熱部201は、非発泡性の樹脂材料によって形成されている。
【0059】
このようにすることにより、被加熱部201の壁部221がヒータ24によって加熱されやすくなる。被加熱部201の壁部221が加熱されることによって、カバー23を、被加熱部201内の貫通孔222内を上昇する気体と壁部221との両方でより効果的に温めることができる。
【0060】
また、便座20においては、貫通孔222は、カバー23の下面から被加熱部201の下面までを連通している。
【0061】
このようにすることにより、便座20をより軽量化することができる。また、被加熱部201内の貫通孔222内に保持される気体がヒータ24によって加熱されやすくなり、加熱された気体によってカバー23が温められやすくなる。
【0062】
また、便座20においては、貫通孔222の水平断面の形状は略六角形状である。
【0063】
このようにすることにより、被加熱部201に比較的多数の貫通孔222を形成することができる。被加熱部201に比較的多数の貫通孔222を形成することによって、便座20をより軽量化することができる。また、被加熱部201内の貫通孔222内に保持される気体がヒータ24によって加熱されやすくなり、加熱された気体によってカバー23が温められやすくなる。また、被加熱部201の耐荷重性を向上させることができる。
【0064】
また、便座20においては、複数の貫通孔222は、互いに略同一の形状の水平断面を有する。さらにまた、便座20においては、複数の貫通孔222が形成されている領域内において、貫通孔222と貫通孔222とは一定の間隔Dをあけて形成されていることが好ましい。
【0065】
このようにすることにより、複数の貫通孔222内の空気をより均一に加熱し、カバー23の表面の温度むらをより少なくすることができる。
【0066】
また、便座20においては、カバー23と壁部221を含む弾性部材22とは別個に形成されている。
【0067】
このようにすることにより、カバー23を弾性部材22から取り外してそれぞれ洗浄することが可能になる。また、カバー23と、壁部221が形成された弾性部材22とを、別の材質によって形成することが可能になる。
【0068】
また、便座20においては、カバー23は、壁部221を含む弾性部材22と比較して相対的に軟質な材料によって形成されている。
【0069】
このようにすることにより、使用者の座り心地をよくすることができる。
【0070】
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変形を含むものである。
【符号の説明】
【0071】
20:便座、201:被加熱部、22:弾性部材、221:壁部、222:貫通孔、23:カバー、24:ヒータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱部と、
前記加熱部の上方に配置される被加熱部とを備え、
前記被加熱部は、前記被加熱部の上面を形成する被覆部と、前記被覆部から下方に延び、かつ、前記被加熱部の内部に気体を保持するための複数の独立した室を形成する壁部とを含む、便座。
【請求項2】
前記被加熱部は、非発泡性の樹脂材料によって形成されている、請求項1に記載の便座。
【請求項3】
前記室は、前記被覆部の下面から前記被加熱部の下面までを連通している、請求項1または請求項2に記載の便座。
【請求項4】
前記室の水平断面の形状は略六角形状である、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の便座。
【請求項5】
前記複数の室は、互いに略同一の形状の水平断面を有する、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の便座。
【請求項6】
前記複数の室が形成されている領域内において、前記複数の室と室とは一定の間隔をあけて形成されている、請求項5に記載の便座。
【請求項7】
前記被覆部と前記壁部とは別個に形成されている、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の便座。
【請求項8】
前記被覆部は、前記壁部と比較して相対的に軟質な材料によって形成されている、請求項7に記載の便座。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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