保守データ収集装置
【課題】電気転てつ機の測定結果に基づく転換状態の判断の支援。
【解決手段】電気転てつ機の転換動作中に測定したモータ電流Iをもとに、動作かんが転換動作したストローク期間を推定する。そして、転換動作の状態指標値として、このストローク期間におけるモータ電圧V及びモータ電流の平均値及び最大値、負荷トルクTの平均値及び最大値を算出する。
【解決手段】電気転てつ機の転換動作中に測定したモータ電流Iをもとに、動作かんが転換動作したストローク期間を推定する。そして、転換動作の状態指標値として、このストローク期間におけるモータ電圧V及びモータ電流の平均値及び最大値、負荷トルクTの平均値及び最大値を算出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気転てつ機の保守データを収集する保守データ収集装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気転てつ機の保守作業における測定項目には、転てつ機のモータ電圧やモータ電流のほか、制御リレー電圧(WR電圧)や表示リレーの出力電圧(KR電圧)といった複数の項目がある。これらの測定項目の測定を行う場合、従来では、電気転てつ機の測定用端子に該当する計測器を接続し、保守作業者が計測値を目視で読み取っていた。すなわち、モータ電圧については交流電圧計を、モータ電流については交流電流計を、WR電圧及びKR電圧については直流電圧計を、それぞれ、該当する測定用端子に接続する。このため、1回の転てつ機の転換動作で1つの測定項目の測定しかできず、測定項目毎に転てつ機の転換動作を繰り返さなくてはならないため、1つの転てつ機の測定に多くの手間や時間がかかり、天候等によっては保守作業は労苦を伴うものであった。
【0003】
また、測定は、転換動作が行われている期間中のある時点の計測値を保守作業者が読み取るが、読み取るタイミングには保守作業者の個人差が生じていた。また、計測値は、測定対象の転てつ機番号や種類、測定日、転換状態や転換方向といったデータとともにノートに記録して持ち帰り、例えばパソコンに手作業で入力していた。このため、保守作業者が現場でノートに記録する際の転記ミスが生じるおそれがあった。
【0004】
そこで、特許文献1の測定装置のような、電気転てつ機のモータの駆動電圧及び駆動電流を計測し、これらの計測値から負荷トルクを算出・蓄積記憶する小型軽量で保守作業現場への持ち運びが容易な携帯型の測定装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−149834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の測定装置では、測定結果として、例えば転換動作中の負荷トルクがグラフ形式で表示される。保守作業者は、例えば前回の測定結果のグラフと今回の測定結果のグラフと比較することで電気転てつ機の転換状態の不具合等を判断する。しかしながら、不慣れな保守作業者にとっては判断が難しく、判断基準となる何らかの指標があると至便である。
【0007】
また、負荷トルクを算出するためのモータ電流やモータ電圧を含め、多くの測定項目を自動的に計測・記録しようとする場合、各測定項目の平均値や最大値を算出するためには、動作かんの転換開始と転換終了とを適切に判断する必要があり、保守作業者の個人差によるばらつきを防止する必要がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための第1の形態は、
過去に測定した電気転てつ機の転換動作中の状態指標値を、電気転てつ機毎に対応付けて記憶する状態指標値記憶手段(例えば、図6の測定結果データ群360)と、
測定対象の電気転てつ機を指定入力する指定入力手段(例えば、図2の操作部120)と、
測定プローブを介して電気転てつ機の一連の転換動作に係るモータ電流を測定して記録する測定記録手段(例えば、図2の測定部110)と、
前記測定記録手段により記録された一連のモータ電流の変化から、動作かんが転換動作したストローク期間を特定する特定手段(例えば、図2の処理部200)と、
前記測定記録手段により記録された一連のモータ電流のうち、前記特定手段により特定されたストローク期間内の最大値及び/又は平均値を取得する取得手段(例えば、図2の処理部200)と、
前記取得手段により取得された値を前記状態指標値として、前記指定入力手段により指定入力された電気転てつ機と対応付けて前記記憶手段に記憶させる記憶制御手段(例えば、図2の処理部200)と、
を備えた電気転てつ機の保守データ収集装置(例えば、図1,図2の保守データ収集装置1)である。
【0009】
この第1の形態によれば、電気転てつ機の一連の転換動作にかかるモータ電流が測定・記録されるとともに、更に、動作かんが転換動作したストローク期間におけるモータ電流の最大値及び/又は平均値が、電気転てつ機の転換動作中の状態指標値として記憶される。これにより、転換動作中の状態指標値によって電気転てつ機の転換状態の数値的評価が可能となる。
【0010】
また、第2の形態として、第1の形態の保守データ収集装置であって、
前記特定手段が、前記一連のモータ電流の変化のうち、モータ電流が所定の起動判定用電流に達して後、予め定められた解錠時間経過した時点(例えば、図4のストローク開始点)を始点とし、モータ電流が所定の停止判定用電流に低減した時から予め定められた鎖錠時間遡った時点(例えば、図4のストローク終了点)を終点とする間を前記ストローク期間として特定する、
保守データ収集装置としても良い。
【0011】
この第2の形態によれば、モータ電流の変化からストローク期間が特定される。つまり、動作かんが解錠されて転換が開始されたと判定される時点から転換が終了したと判定される時点までが、動作かんが転換動作したストローク期間として特定される。
【0012】
更に、状態指標値として次の値を含めるようにしても良い。
具体的には、第3の形態として、第2の形態の保守データ収集装置であって、
前記測定記録手段が、前記モータ電流ととともに制御リレー電圧を同時に測定して記録し、
前記取得手段が、前記測定記録手段により記録された一連の制御リレー電圧のうち、前記モータ電流が前記所定の起動判定用電流に達した所定時間前或いは所定時間後の電圧を取得し、
前記記憶制御手段が、前記取得手段により取得された制御リレー電圧の値を更に前記状態指標値として含めて前記記憶手段に記憶させる、
保守データ収集装置としても良い。
【0013】
この第3の形態によれば、モータ電流とともに制御リレー電圧が同時に測定して記録され、モータ電流が所定の起動用電流に達した所定時間前或いは所定時間後の制御リレー電圧が、更に状態指標値に含めて記憶される。
【0014】
また、第4の形態として、第2又は第3の形態の保守データ収集装置であって、
前記測定記録手段が、前記モータ電流ととともに表示リレー出力電圧を同時に測定して記録し、
前記取得手段が、前記測定記録手段により記録された一連の表示リレー出力電圧のうち、前記モータ電流が前記所定の停止判定用電流に達した所定時間後の電圧を取得し、
前記記憶制御手段が、前記取得手段により取得された表示リレー出力電圧の値を更に前記状態指標値として含めて前記記憶手段に記憶させる、
保守データ収集装置としても良い。
【0015】
この第4の形態によれば、モータ電流とともに表示リレー出力電圧が同時に測定して記録され、モータ電流が所定の停止判定用電流に達した所定時間後の表示リレー電圧の値が、更に状態指標値として含めて記憶される。
【0016】
また、第5の形態として、第1〜第5の形態の保守データ収集装置であって、
前記測定記録手段が、前記モータ電流とともにモータ電圧を同時に測定して記録し、
前記取得手段が、前記測定記録手段により記録された一連のモータ電圧のうち、前記特定手段により特定されたストローク期間の電圧変化のうちの最大値及び/又は平均値を取得し、
前記記憶制御手段が、前記取得手段により取得された電圧の値を更に前記状態指標値として含めて前記記憶手段に記憶させる、
保守データ収集装置としても良い。
【0017】
この第5の形態によれば、モータ電流とともにモータ電圧が同時に測定して記録され、特定されたストローク期間のモータ電圧の最大値及び/又は平均値が、更に状態指標値として含めて記憶される。
【0018】
また、第6の形態として、第5の形態の保守データ収集装置であって、
電気転てつ機のモータ電圧及びモータ電流と、負荷トルクとの関係を定義した特性データを電気転てつ機の種類毎に記憶する特性データ記憶手段(例えば、図5の特性データ320)と、
前記指定入力手段により入力された電気転てつ機の種類に対応する前記特性データに従って、前記測定記録手段により記録されたモータ電圧及びモータ電流を基に、少なくとも前記ストローク期間の負荷トルクを推定するトルク推定手段(例えば、図2の処理部200)と、
を更に備え、
前記取得手段が、前記トルク推定手段により推定された前記ストローク期間の負荷トルクのうちの最大値及び/又は平均値を取得し、
前記記憶制御手段が、前記取得手段により算出された負荷トルクを更に前記状態指標値として含めて前記記憶手段に記憶させる、
保守データ収集装置としても良い。
【0019】
この第6の形態によれば、記録されたモータ電圧及びモータ電流をもとに、少なくともストローク期間の負荷トルクが推定され、推定されたストローク期間の負荷トルクの最大値及び/又は平均値が、更に状態指標値として含めて記憶される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】保守データ収集装置の外観例。
【図2】保守データ収集装置の機能構成図。
【図3】転てつ機特定データのデータ構成例。
【図4】モータ電流に基づくストローク期間の推定の説明図。
【図5】特性データのデータ構成例。
【図6】測定結果データ群のデータ構成例。
【図7】測定条件データのデータ構成例。
【図8】測定値データのデータ構成例。
【図9】状態指標値データのデータ構成例。
【図10】判定パラメータテーブルのデータ構成例。
【図11】保守データ収集処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0022】
[外観]
図1は、本実施形態における保守データ収集装置1の外観例である。この保守データ収集装置1は、電気転てつ機の保守作業に用いられ、電気転てつ機の電気的保守データを測定・記録する装置である。図1によれば、保守データ収集装置1は、使用者が携帯可能な大きさの略直方体の筐体の表面に、ディスプレイ10や電源スイッチ等の各種スイッチが設けられている。ディスプレイ10には、その表示領域全体に亘ってタッチパネルが一体的に形成されている。タッチパネルは、感圧式や光学式、静電式、電磁誘導式等の検出原理によって、ディスプレイ10に対するタッチ位置を、例えば、ディスプレイ10を構成するドット単位で検出する。使用者は、付属のタッチペンや手指によるディスプレイ10に対するタッチ操作によって、各種の操作入力を行うことができる。
【0023】
また、保守データ収集装置1の筐体の底面には、複数の測定プローブ組20が取り付けられている。測定プローブ組20は、電気転てつ機の端子板に形成されている測定用端子や導線等(以下、代表して「測定用端子」として説明する)に接続可能な1又は2つの測定プローブを組としてなり、それぞれに測定項目が割り当てられている。なお、図示していないが、測定プローブはクランプ式のプローブであっても良い。ここで、測定項目としては、電気転てつ機のモータ電圧V、モータ電流I、制御リレー電圧(以下、「WR電圧」という)及び表示リレーの出力電圧(以下、「KR電圧」という)である。つまり、この保守データ収集装置1では、複数種類の測定項目について同時に測定を行うことができる。
【0024】
また、保守データ収集装置1は、CPUやICメモリ等を実装した制御ユニットを内蔵している。この制御ユニットに実装されたCPUは、ICメモリから読み出したプログラムやデータ、タッチパネルにより検出されたタッチ位置、測定プローブ組20から入力される測定データ等に基づいて、電気転てつ機の電気的保守データの測定・収集を行う。
【0025】
[操作方法]
保守データ収集装置1の操作方法を説明する。先ず、測定プローブ組20それぞれを、電気転てつ機の定められた測定用端子それぞれに接続する。次いで、保守データ収集装置1の電源を投入し、ディスプレイ10の表示画面に従って測定にかかる各種設定を行う。この設定は、例えば、ディスプレイ10に対するタッチ操作によって行うことができる。設定内容としては、測定対象の電気転てつ機に特定するデータとして、電気転てつ機の識別番号や種類等を設定する。また、測定条件として、測定日時や測定を行う保守作業者名、「通常転換」又は「妨害転換」といった転換種別、「定位から反位」や「反位から定位」、「定位から往復」といった転換方向などを設定する。
【0026】
測定準備が完了すると、測定開始指示を入力し、続いて電気転てつ機を転換させる操作を行う。具体的には、電気転てつ機に設けられている動作スイッチを押下する。すると、電気転てつ機のモータの駆動が開始されて動作かんの転換が開始される。また、保守データ収集装置1では、各測定項目についての測定が行われ、電気転てつ機の転換が終了すると、測定データに対する所定のデータ処理がなされ、1回分の測定結果データとして保存される。保存された測定結果データは、当該保守データ収集装置1のディスプレイ10に表示させることもできるし、或いは、パソコン等に転送することもできる。
【0027】
[機能構成]
図2は、保守データ収集装置1の機能構成図である。図2によれば、保守データ収集装置1は、機能的には、測定部110と、操作部120と、表示部130と、データ入出力部140と、処理部200と、記憶部300とを備えて構成される。
【0028】
測定部110は、測定プローブ組20を含むいわゆるテスタ回路であって、現在計測している値をデジタル信号に変換して処理部200に出力する。
【0029】
操作部120は、例えば、ディスプレイ10に一体形成されたタッチパネルや電源スイッチ等の各種スイッチであり、使用者の操作入力に応じた操作信号を処理部200に出力する。
【0030】
表示部130は、例えば、ディスプレイ10であり、処理部200からの表示信号に応じた表示画面を表示する。
【0031】
データ入出力部140は、例えば、無線通信装置、有線用の通信ケーブルのジャックや制御回路であり、外部装置とのデータの送受信を行う。
【0032】
処理部200は、例えば、制御ユニットに実装されているCPUであり、所定のプログラムやデータ、操作部120からの操作信号等に基づいて各種の演算処理を実行して、保守データ収集装置1を統括的に制御する、また、本実施形態では、処理部200は、保守データ収集プログラム310に従った保守データ収集処理を行う。
【0033】
保守データ収集処理では、先ず、操作部120からの操作指示に従って、測定対象の電気転てつ機を特定するデータや測定条件等の設定を行う。入力設定された測定対象の電気転てつ機についてのデータは、転てつ機特定データ340として記憶される。
【0034】
図3は、転てつ機特定データ340のデータ構成の一例を示す図である。図3に示すように、転てつ機特定データ340は、測定対象となる電気転てつ機を特定するデータであり、設置されている駅名341と、転てつ機の識別番号342と、種類343と、モータの電源周波数344とを格納している。
【0035】
次いで、操作部120から測定指示が入力されると、測定を開始する。すなわち、測定部110から入力される測定項目(モータ電圧V、モータ電流I、WR電圧及びKR電圧)それぞれの測定値の取り込みを開始する。つまり、測定項目それぞれの測定値を所定時間間隔で同時に取り込み、取り込んだ測定値は、測定一時データ350として蓄積記憶される。ここで、モータ電圧V及びモータ電流Iについては実効値に変換し、WR電圧及びKR電圧については平均値に変換して、測定値として蓄積記憶する。そして、測定値の取り込みの開始から所定時間(具体的には、電気転てつ機の1回の転換動作に充分な時間)が経過すると、測定値の取り込みを終了する。
【0036】
測定値の取り込みを終了すると、続いて、取り込んだ測定値に対する所定の解析処理を行って、電気転てつ機の転換状態を評価するための指標として予め定められた複数の状態指標項目それぞれの値(状態指標値)を算出する。ここで、状態指標項目としては、モータ電圧V及びモータ電流Iの最大値及び平均値、負荷トルクTの最大値及び平均値、モータの制御リレー電圧(WR電圧)、及び、表示リレーの出力電圧(KR電圧)である。
【0037】
具体的には、先ず、モータ電流Iをもとに、動作かんが転換した期間である「ストローク期間」を推定する。電気転てつ機は、モータの駆動によって動作かんの転換・鎖錠を行うものであり、その動作は、先ず、鎖錠されている動作かんを解錠した後、動作かんを転換し、転換が完了すると動作かんを鎖錠する順序でなされる。この電気転てつ機の一連の転換動作のうち、実際の動作かんの転換についての評価を行うため、実際に動作かんが転換されている期間(ストローク期間)を推定する。
【0038】
図4は、転換動作を行ったときに測定されるモータ電流Iの一例を示す図である。図4では、横軸を時刻tとし、縦軸をモータ電流Iとしている。図4に示すように、モータ電流Iが所定の起動判定点判定閾値Ix以上となった時点を、モータが起動したとみなす「モータの起動判定点」とする。次いで、この起動判定点より所定のストローク開始点判定時間Lbだけ経過した(遅い)時点を、動作かんの転換(ストローク)が開始された「ストローク開始点」とする。このストローク開始点判定時間Lbは、動作かんの解錠に要する時間に相当し、突入電流等の影響もあって一時的にモータ電流Iが上昇する時間である。
【0039】
また、起動判定点以降であって、モータ電流Iが所定の停止判定点判定閾値Iy未満となった時点を、モータが停止したとみなす「モータの停止判定点」とする。次いで、この停止判定点よりストローク終了点判定時間Lcだけ遡った(早い)時点を、動作かんの転換が終了した「ストローク終了点」とする。このストローク終了点判定時間Lcは、動作かんの鎖錠に要する時間に相当する。そして、このストローク開始点からストローク終了点までの期間を、「ストローク期間」と推定する。転換動作中の電気転てつ機の状態を把握するため、電気転てつ機の保守において、このストローク期間の見極めは重要である。
【0040】
続いて、このストローク期間におけるモータ電圧V及びモータ電流Iそれぞれの平均値及び最大値を算出する。また、ストローク期間における負荷トルクTの推定値を算出する。トルク推定値Tは、測定されたモータ電圧V及びモータ電流Iをもとに、特性データ320に従って算出する。
【0041】
特性データ320は、モータ電圧V及びモータ電流Iと負荷トルクTとの対応関係を定義したデータである。なお、モータ電圧V及びモータ電流Iと負荷トルクTとの対応関係は、電気転てつ機の種類によって異なる。このため、特性データ320は電気転てつ機の種類毎に用意されている。
【0042】
図5に、特性データ320のデータ構成の一例を示す。図5に示すように、特性データ320は電的転てつ機の種類毎に生成され、該当する転てつ機の種類321と、変換データ322とを格納している。変換データ322は、モータ電圧V及びモータ電流Iを相当する負荷トルクTに変換するためのデータである。この変換データ322は、複数のモータ電圧V毎のモータ電流Iと負荷トルクTとの関係式としても良いし、或いは、複数のモータ電圧V毎にモータ電流Iと負荷トルクTとを対応付けたデータテーブルとしても良い。
【0043】
ストローク期間におけるトルク推定値Tを算出すると、続いて、ストローク期間におけるトルク推定値Tの平均値及び最大値を算出する。
【0044】
また、処理部200は、モータの起動判定点より所定のWR電圧測定点判定時間Laだけ遡った(早い)時点を、「WR電圧の測定点」とする。そして、このWR電圧測定点におけるWR電圧を、WR電圧の状態指標値とする。なお、このWR電圧測定点は、モータ起動判定点より所定のWR電圧測定点判定時間Laだけ経過した(遅い)時点としても良い。
【0045】
また、モータ停止判定点より所定のKR電圧測定点判定時間Leだけ経過した(遅い)時点を、「KR電圧の測定点」とする。そして、このKR電圧測定点におけるKR電圧を、KR電圧の状態指標値とする。
【0046】
更に、処理部200は、モータの起動判定点から所定の保存開始点判定時間Lgだけ遡った(早い)時点を保存開始点とするとともに、停止判定点から所定の保存終了点判定時間Lhだけ経過した(遅い)時点を保存終了点とする。そして、この保存開始点から保存終了点までの保存期間における測定値を、測定データの保存期間とする。
【0047】
このように、取り込んだ測定値をもとに状態指標項目それぞれの値を算出すると、今回の測定についてのデータを、該当する測定結果データ361に追加する。
【0048】
図6は、測定結果データ群360のデータ構成の一例を示す図である。図6によれば、測定結果データ群360は、電気転てつ機毎の測定結果データ361の集合であり、測定結果データ361それぞれは、該当する転てつ機の転てつ機番号362と、複数の個別測定データ363とを含んでいる。個別測定データ363は、1回の測定についてのデータであり、測定条件データ364と、測定値データ365と、状態指標値データ366とを含んでいる。
【0049】
測定条件データ364は、測定条件についてのデータであり、図7に示すように、測定対象の電気転てつ機の種類364aと、測定を行った保守作業者名364bと、測定日時364cと、モータの電源周波数364dと、転換種別364eと、転換方向364fとを格納している。
【0050】
測定値データ365は、測定項目それぞれの測定値のデータであり、図8に示すように、時刻365a毎に、測定項目であるモータ電圧365bと、モータ電流365cと、WR電圧365dと、KR電圧365eとを対応付けて時系列に格納している。この測定値データ365は、取り込まれた各測定項目値のうち、保存期間におけるデータである。
【0051】
状態指標値データ366は、当該測定における状態指標値のデータであり、図9に示すように、状態指標項目366aそれぞれについての値(状態指標値)366bを格納している。状態指標項目には、ストローク期間におけるモータ電圧V及びモータ電流Iの平均値及び最大値、KR電圧、WR電圧が含まれている。
【0052】
ここで、図4における状態指標項目値を算出するための各種閾値Ix,Iyや時間La,Lb,Lc,Le(以下、まとめて「判定パラメータ」という)は、判定パラメータテーブル330にて定義されている。また、これらの判定パラメータは転てつ機の種類によって異なる。図10は、判定パラメータテーブル330のデータ構成の一例を示す図である。図10に示すように、判定パラメータテーブル330は、電気転てつ機の種類331毎に用意され、判定パラメータ332それぞれについての設定値333を格納している。
【0053】
記憶部300は、制御ユニットに実装されているICメモリなどであり、処理部200が保守データ収集装置1を統括的に制御するための諸機能を実現するためのプログラムやデータ等を記憶する。本実施形態では、記憶部300には、プログラムとして保守データ収集プログラム310が記憶されるとともに、データとして、特性データ320と、判定パラメータテーブル330と、転てつ機特定データ340と、測定一時データ350と、測定結果データ群360とが記憶される。
【0054】
[処理の流れ]
図11は、保守データ収集装置1の処理部200が実行する保守データ収集処理の流れを説明するフローチャートである。図11によれば、処理部200は、先ず、操作部120からの操作入力に従って、測定対象となる電気転てつ機に関するデータや測定条件等の設定を行う(ステップA1)。この設定によって状態指標値を算出するための判定パラメータ(閾値Ix,Iyや時間Lb,Lc,La,Le,Lg,Lh)が特定される。
【0055】
次いで、操作部120から測定記録の開始が指示入力されると(ステップA3:YES)、処理部200は、測定部110から入力されるモータ電圧V、モータ電流I、WR電圧及びKR電圧の所定時間間隔での取り込みを行って、取り込んだ値を一時的に蓄積記録する(ステップA5)。そして、測定の開始指示から計測に必要な充分な時間の経過をもって測定記録の終了を判定する。
【0056】
測定記録の終了を判定すると(ステップA7:YES)、処理部200は、蓄積記録した測定データの解析処理を行って、複数の状態指標項目それぞれの値(状態指標値)を算出する。すなわち、モータ電流Iが所定の起動判定点判定閾値Ix以上となった時点を、モータの起動判定点として判定する(ステップA9)。次いで、この起動判定点から所定のストローク開始点判定時間Lbだけ経過した時点を、ストローク開始点として判定する(ステップA11)。また、起動判定点以降であって、モータ電流Iが所定の停止判定点判定閾値Iy未満となった時点を、モータの停止判定点として判定する(ステップA13)。次いで、この停止判定点から所定のストローク終了点判定時間Lcだけ遡った時点を、ストローク終了点として判定する(ステップA15)。そして、このストローク開始点からストローク終了点までの期間をストローク期間とする(ステップA17)。
【0057】
続いて、推定したストローク期間におけるモータ電圧V及びモータ電流Iそれぞれの平均値及び最大値を算出する(ステップA19)。また、ストローク期間におけるモータ電圧V及びモータ電流Iをもとに、トルク推定値Tを算出し(ステップA21)、更に、算出したストローク期間におけるトルク推定値Tの平均値及び最大値を算出する(ステップA23)。
【0058】
また、処理部200は、モータの起動判定点から所定のWR電圧測定点判定時間Laだけ遡った時点を、WR電圧測定点として判定し(ステップA25)、このWR電圧測定点におけるWR電圧の測定値を、WR電圧の状態指標値とする(ステップA27)。また、モータの停止判定点から所定のKR電圧測定点判定時間Leだけ経過した時点を、KR電圧測定点として判定し(ステップA29)、このKR電圧測定点におけるKR電圧の測定値をKR電圧の指標項目値とする(ステップA31)。
【0059】
更に、処理部200は、定められた複数の状態指標項目値それぞれを算出すると、今回の測定についての個別測定結果データ361を生成し、該当する電気転てつ機の測定結果データ361に追加する(ステップA33)。以上の処理を行うと、保守データ測定処理を終了する。
【0060】
[作用・効果]
このように、本実施形態の保守データ収集装置1では、電気転てつ機の転換動作中に測定したモータ電流Iをもとに、動作かんが転換動作したストローク期間が推定される。これにより、電気転てつ機の保守作業において、保守作業者の経験や知見を頼りに判断されてきたストローク期間を客観的且つ自動的に判定できるようになる。そして、転換動作の状態指標値として、このストローク期間におけるモータ電圧V及びモータ電流の平均値及び最大値、負荷トルクTの平均値及び最大値が算出される。また、WR電圧及びKR電圧の測定点が一義的に決定されて自動的に読み取られるので、個人差による測定点のばらつきを防止できる。これにより、電気転てつ機の転換状態を、数値的に評価することが可能となり、転換状態の判断が容易になる。この結果、多くの電気転てつ機を検査する際の保守作業効率の向上が図れる。
【0061】
[変形例]
なお、本発明の適用可能な実施形態は、上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なのは勿論である。
【0062】
(A)モータの起動判定点及び停止判定点
例えば、WR電圧が所定の閾値電圧未満となった時点をモータの起動判定点とし、KR電圧が所定の閾値電圧以上となった時点をモータの停止判定点とすることにしても良い。
【0063】
(B)状態指標値
また、状態指標項目の全てを測定しなくも良い。例えば、モータ電流Iからストローク期間を特定しているため、モータ電流Iのみを測定し、ストローク期間における電流Iの最大値や平均値を状態指標値として算出する。
【0064】
(C)転換状態の評価
また、保守データ収集装置1が転換状態の評価を行うこととしても良い。
例えば、同一の電気転てつ機について、評価指標項目毎に過去の評価指標値と今回の評価指標値と比較する。或いは、電気転てつ機の種類毎に評価指標項目それぞれについての平均値を算出し、この平均値と今回の評価指標値を比較する。
【符号の説明】
【0065】
1 保守データ収集装置
20 プローブ組
110 測定部、120 操作部、130 表示部、140 データ入出力部
200 処理部
300 記憶部
310 保守データ収集プログラム
320 特性データ、330 判定パラメータテーブル
340 転てつ機特定データ、350 測定一時データ
360測定結果データ群、361 測定結果データ
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気転てつ機の保守データを収集する保守データ収集装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気転てつ機の保守作業における測定項目には、転てつ機のモータ電圧やモータ電流のほか、制御リレー電圧(WR電圧)や表示リレーの出力電圧(KR電圧)といった複数の項目がある。これらの測定項目の測定を行う場合、従来では、電気転てつ機の測定用端子に該当する計測器を接続し、保守作業者が計測値を目視で読み取っていた。すなわち、モータ電圧については交流電圧計を、モータ電流については交流電流計を、WR電圧及びKR電圧については直流電圧計を、それぞれ、該当する測定用端子に接続する。このため、1回の転てつ機の転換動作で1つの測定項目の測定しかできず、測定項目毎に転てつ機の転換動作を繰り返さなくてはならないため、1つの転てつ機の測定に多くの手間や時間がかかり、天候等によっては保守作業は労苦を伴うものであった。
【0003】
また、測定は、転換動作が行われている期間中のある時点の計測値を保守作業者が読み取るが、読み取るタイミングには保守作業者の個人差が生じていた。また、計測値は、測定対象の転てつ機番号や種類、測定日、転換状態や転換方向といったデータとともにノートに記録して持ち帰り、例えばパソコンに手作業で入力していた。このため、保守作業者が現場でノートに記録する際の転記ミスが生じるおそれがあった。
【0004】
そこで、特許文献1の測定装置のような、電気転てつ機のモータの駆動電圧及び駆動電流を計測し、これらの計測値から負荷トルクを算出・蓄積記憶する小型軽量で保守作業現場への持ち運びが容易な携帯型の測定装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−149834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の測定装置では、測定結果として、例えば転換動作中の負荷トルクがグラフ形式で表示される。保守作業者は、例えば前回の測定結果のグラフと今回の測定結果のグラフと比較することで電気転てつ機の転換状態の不具合等を判断する。しかしながら、不慣れな保守作業者にとっては判断が難しく、判断基準となる何らかの指標があると至便である。
【0007】
また、負荷トルクを算出するためのモータ電流やモータ電圧を含め、多くの測定項目を自動的に計測・記録しようとする場合、各測定項目の平均値や最大値を算出するためには、動作かんの転換開始と転換終了とを適切に判断する必要があり、保守作業者の個人差によるばらつきを防止する必要がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための第1の形態は、
過去に測定した電気転てつ機の転換動作中の状態指標値を、電気転てつ機毎に対応付けて記憶する状態指標値記憶手段(例えば、図6の測定結果データ群360)と、
測定対象の電気転てつ機を指定入力する指定入力手段(例えば、図2の操作部120)と、
測定プローブを介して電気転てつ機の一連の転換動作に係るモータ電流を測定して記録する測定記録手段(例えば、図2の測定部110)と、
前記測定記録手段により記録された一連のモータ電流の変化から、動作かんが転換動作したストローク期間を特定する特定手段(例えば、図2の処理部200)と、
前記測定記録手段により記録された一連のモータ電流のうち、前記特定手段により特定されたストローク期間内の最大値及び/又は平均値を取得する取得手段(例えば、図2の処理部200)と、
前記取得手段により取得された値を前記状態指標値として、前記指定入力手段により指定入力された電気転てつ機と対応付けて前記記憶手段に記憶させる記憶制御手段(例えば、図2の処理部200)と、
を備えた電気転てつ機の保守データ収集装置(例えば、図1,図2の保守データ収集装置1)である。
【0009】
この第1の形態によれば、電気転てつ機の一連の転換動作にかかるモータ電流が測定・記録されるとともに、更に、動作かんが転換動作したストローク期間におけるモータ電流の最大値及び/又は平均値が、電気転てつ機の転換動作中の状態指標値として記憶される。これにより、転換動作中の状態指標値によって電気転てつ機の転換状態の数値的評価が可能となる。
【0010】
また、第2の形態として、第1の形態の保守データ収集装置であって、
前記特定手段が、前記一連のモータ電流の変化のうち、モータ電流が所定の起動判定用電流に達して後、予め定められた解錠時間経過した時点(例えば、図4のストローク開始点)を始点とし、モータ電流が所定の停止判定用電流に低減した時から予め定められた鎖錠時間遡った時点(例えば、図4のストローク終了点)を終点とする間を前記ストローク期間として特定する、
保守データ収集装置としても良い。
【0011】
この第2の形態によれば、モータ電流の変化からストローク期間が特定される。つまり、動作かんが解錠されて転換が開始されたと判定される時点から転換が終了したと判定される時点までが、動作かんが転換動作したストローク期間として特定される。
【0012】
更に、状態指標値として次の値を含めるようにしても良い。
具体的には、第3の形態として、第2の形態の保守データ収集装置であって、
前記測定記録手段が、前記モータ電流ととともに制御リレー電圧を同時に測定して記録し、
前記取得手段が、前記測定記録手段により記録された一連の制御リレー電圧のうち、前記モータ電流が前記所定の起動判定用電流に達した所定時間前或いは所定時間後の電圧を取得し、
前記記憶制御手段が、前記取得手段により取得された制御リレー電圧の値を更に前記状態指標値として含めて前記記憶手段に記憶させる、
保守データ収集装置としても良い。
【0013】
この第3の形態によれば、モータ電流とともに制御リレー電圧が同時に測定して記録され、モータ電流が所定の起動用電流に達した所定時間前或いは所定時間後の制御リレー電圧が、更に状態指標値に含めて記憶される。
【0014】
また、第4の形態として、第2又は第3の形態の保守データ収集装置であって、
前記測定記録手段が、前記モータ電流ととともに表示リレー出力電圧を同時に測定して記録し、
前記取得手段が、前記測定記録手段により記録された一連の表示リレー出力電圧のうち、前記モータ電流が前記所定の停止判定用電流に達した所定時間後の電圧を取得し、
前記記憶制御手段が、前記取得手段により取得された表示リレー出力電圧の値を更に前記状態指標値として含めて前記記憶手段に記憶させる、
保守データ収集装置としても良い。
【0015】
この第4の形態によれば、モータ電流とともに表示リレー出力電圧が同時に測定して記録され、モータ電流が所定の停止判定用電流に達した所定時間後の表示リレー電圧の値が、更に状態指標値として含めて記憶される。
【0016】
また、第5の形態として、第1〜第5の形態の保守データ収集装置であって、
前記測定記録手段が、前記モータ電流とともにモータ電圧を同時に測定して記録し、
前記取得手段が、前記測定記録手段により記録された一連のモータ電圧のうち、前記特定手段により特定されたストローク期間の電圧変化のうちの最大値及び/又は平均値を取得し、
前記記憶制御手段が、前記取得手段により取得された電圧の値を更に前記状態指標値として含めて前記記憶手段に記憶させる、
保守データ収集装置としても良い。
【0017】
この第5の形態によれば、モータ電流とともにモータ電圧が同時に測定して記録され、特定されたストローク期間のモータ電圧の最大値及び/又は平均値が、更に状態指標値として含めて記憶される。
【0018】
また、第6の形態として、第5の形態の保守データ収集装置であって、
電気転てつ機のモータ電圧及びモータ電流と、負荷トルクとの関係を定義した特性データを電気転てつ機の種類毎に記憶する特性データ記憶手段(例えば、図5の特性データ320)と、
前記指定入力手段により入力された電気転てつ機の種類に対応する前記特性データに従って、前記測定記録手段により記録されたモータ電圧及びモータ電流を基に、少なくとも前記ストローク期間の負荷トルクを推定するトルク推定手段(例えば、図2の処理部200)と、
を更に備え、
前記取得手段が、前記トルク推定手段により推定された前記ストローク期間の負荷トルクのうちの最大値及び/又は平均値を取得し、
前記記憶制御手段が、前記取得手段により算出された負荷トルクを更に前記状態指標値として含めて前記記憶手段に記憶させる、
保守データ収集装置としても良い。
【0019】
この第6の形態によれば、記録されたモータ電圧及びモータ電流をもとに、少なくともストローク期間の負荷トルクが推定され、推定されたストローク期間の負荷トルクの最大値及び/又は平均値が、更に状態指標値として含めて記憶される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】保守データ収集装置の外観例。
【図2】保守データ収集装置の機能構成図。
【図3】転てつ機特定データのデータ構成例。
【図4】モータ電流に基づくストローク期間の推定の説明図。
【図5】特性データのデータ構成例。
【図6】測定結果データ群のデータ構成例。
【図7】測定条件データのデータ構成例。
【図8】測定値データのデータ構成例。
【図9】状態指標値データのデータ構成例。
【図10】判定パラメータテーブルのデータ構成例。
【図11】保守データ収集処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0022】
[外観]
図1は、本実施形態における保守データ収集装置1の外観例である。この保守データ収集装置1は、電気転てつ機の保守作業に用いられ、電気転てつ機の電気的保守データを測定・記録する装置である。図1によれば、保守データ収集装置1は、使用者が携帯可能な大きさの略直方体の筐体の表面に、ディスプレイ10や電源スイッチ等の各種スイッチが設けられている。ディスプレイ10には、その表示領域全体に亘ってタッチパネルが一体的に形成されている。タッチパネルは、感圧式や光学式、静電式、電磁誘導式等の検出原理によって、ディスプレイ10に対するタッチ位置を、例えば、ディスプレイ10を構成するドット単位で検出する。使用者は、付属のタッチペンや手指によるディスプレイ10に対するタッチ操作によって、各種の操作入力を行うことができる。
【0023】
また、保守データ収集装置1の筐体の底面には、複数の測定プローブ組20が取り付けられている。測定プローブ組20は、電気転てつ機の端子板に形成されている測定用端子や導線等(以下、代表して「測定用端子」として説明する)に接続可能な1又は2つの測定プローブを組としてなり、それぞれに測定項目が割り当てられている。なお、図示していないが、測定プローブはクランプ式のプローブであっても良い。ここで、測定項目としては、電気転てつ機のモータ電圧V、モータ電流I、制御リレー電圧(以下、「WR電圧」という)及び表示リレーの出力電圧(以下、「KR電圧」という)である。つまり、この保守データ収集装置1では、複数種類の測定項目について同時に測定を行うことができる。
【0024】
また、保守データ収集装置1は、CPUやICメモリ等を実装した制御ユニットを内蔵している。この制御ユニットに実装されたCPUは、ICメモリから読み出したプログラムやデータ、タッチパネルにより検出されたタッチ位置、測定プローブ組20から入力される測定データ等に基づいて、電気転てつ機の電気的保守データの測定・収集を行う。
【0025】
[操作方法]
保守データ収集装置1の操作方法を説明する。先ず、測定プローブ組20それぞれを、電気転てつ機の定められた測定用端子それぞれに接続する。次いで、保守データ収集装置1の電源を投入し、ディスプレイ10の表示画面に従って測定にかかる各種設定を行う。この設定は、例えば、ディスプレイ10に対するタッチ操作によって行うことができる。設定内容としては、測定対象の電気転てつ機に特定するデータとして、電気転てつ機の識別番号や種類等を設定する。また、測定条件として、測定日時や測定を行う保守作業者名、「通常転換」又は「妨害転換」といった転換種別、「定位から反位」や「反位から定位」、「定位から往復」といった転換方向などを設定する。
【0026】
測定準備が完了すると、測定開始指示を入力し、続いて電気転てつ機を転換させる操作を行う。具体的には、電気転てつ機に設けられている動作スイッチを押下する。すると、電気転てつ機のモータの駆動が開始されて動作かんの転換が開始される。また、保守データ収集装置1では、各測定項目についての測定が行われ、電気転てつ機の転換が終了すると、測定データに対する所定のデータ処理がなされ、1回分の測定結果データとして保存される。保存された測定結果データは、当該保守データ収集装置1のディスプレイ10に表示させることもできるし、或いは、パソコン等に転送することもできる。
【0027】
[機能構成]
図2は、保守データ収集装置1の機能構成図である。図2によれば、保守データ収集装置1は、機能的には、測定部110と、操作部120と、表示部130と、データ入出力部140と、処理部200と、記憶部300とを備えて構成される。
【0028】
測定部110は、測定プローブ組20を含むいわゆるテスタ回路であって、現在計測している値をデジタル信号に変換して処理部200に出力する。
【0029】
操作部120は、例えば、ディスプレイ10に一体形成されたタッチパネルや電源スイッチ等の各種スイッチであり、使用者の操作入力に応じた操作信号を処理部200に出力する。
【0030】
表示部130は、例えば、ディスプレイ10であり、処理部200からの表示信号に応じた表示画面を表示する。
【0031】
データ入出力部140は、例えば、無線通信装置、有線用の通信ケーブルのジャックや制御回路であり、外部装置とのデータの送受信を行う。
【0032】
処理部200は、例えば、制御ユニットに実装されているCPUであり、所定のプログラムやデータ、操作部120からの操作信号等に基づいて各種の演算処理を実行して、保守データ収集装置1を統括的に制御する、また、本実施形態では、処理部200は、保守データ収集プログラム310に従った保守データ収集処理を行う。
【0033】
保守データ収集処理では、先ず、操作部120からの操作指示に従って、測定対象の電気転てつ機を特定するデータや測定条件等の設定を行う。入力設定された測定対象の電気転てつ機についてのデータは、転てつ機特定データ340として記憶される。
【0034】
図3は、転てつ機特定データ340のデータ構成の一例を示す図である。図3に示すように、転てつ機特定データ340は、測定対象となる電気転てつ機を特定するデータであり、設置されている駅名341と、転てつ機の識別番号342と、種類343と、モータの電源周波数344とを格納している。
【0035】
次いで、操作部120から測定指示が入力されると、測定を開始する。すなわち、測定部110から入力される測定項目(モータ電圧V、モータ電流I、WR電圧及びKR電圧)それぞれの測定値の取り込みを開始する。つまり、測定項目それぞれの測定値を所定時間間隔で同時に取り込み、取り込んだ測定値は、測定一時データ350として蓄積記憶される。ここで、モータ電圧V及びモータ電流Iについては実効値に変換し、WR電圧及びKR電圧については平均値に変換して、測定値として蓄積記憶する。そして、測定値の取り込みの開始から所定時間(具体的には、電気転てつ機の1回の転換動作に充分な時間)が経過すると、測定値の取り込みを終了する。
【0036】
測定値の取り込みを終了すると、続いて、取り込んだ測定値に対する所定の解析処理を行って、電気転てつ機の転換状態を評価するための指標として予め定められた複数の状態指標項目それぞれの値(状態指標値)を算出する。ここで、状態指標項目としては、モータ電圧V及びモータ電流Iの最大値及び平均値、負荷トルクTの最大値及び平均値、モータの制御リレー電圧(WR電圧)、及び、表示リレーの出力電圧(KR電圧)である。
【0037】
具体的には、先ず、モータ電流Iをもとに、動作かんが転換した期間である「ストローク期間」を推定する。電気転てつ機は、モータの駆動によって動作かんの転換・鎖錠を行うものであり、その動作は、先ず、鎖錠されている動作かんを解錠した後、動作かんを転換し、転換が完了すると動作かんを鎖錠する順序でなされる。この電気転てつ機の一連の転換動作のうち、実際の動作かんの転換についての評価を行うため、実際に動作かんが転換されている期間(ストローク期間)を推定する。
【0038】
図4は、転換動作を行ったときに測定されるモータ電流Iの一例を示す図である。図4では、横軸を時刻tとし、縦軸をモータ電流Iとしている。図4に示すように、モータ電流Iが所定の起動判定点判定閾値Ix以上となった時点を、モータが起動したとみなす「モータの起動判定点」とする。次いで、この起動判定点より所定のストローク開始点判定時間Lbだけ経過した(遅い)時点を、動作かんの転換(ストローク)が開始された「ストローク開始点」とする。このストローク開始点判定時間Lbは、動作かんの解錠に要する時間に相当し、突入電流等の影響もあって一時的にモータ電流Iが上昇する時間である。
【0039】
また、起動判定点以降であって、モータ電流Iが所定の停止判定点判定閾値Iy未満となった時点を、モータが停止したとみなす「モータの停止判定点」とする。次いで、この停止判定点よりストローク終了点判定時間Lcだけ遡った(早い)時点を、動作かんの転換が終了した「ストローク終了点」とする。このストローク終了点判定時間Lcは、動作かんの鎖錠に要する時間に相当する。そして、このストローク開始点からストローク終了点までの期間を、「ストローク期間」と推定する。転換動作中の電気転てつ機の状態を把握するため、電気転てつ機の保守において、このストローク期間の見極めは重要である。
【0040】
続いて、このストローク期間におけるモータ電圧V及びモータ電流Iそれぞれの平均値及び最大値を算出する。また、ストローク期間における負荷トルクTの推定値を算出する。トルク推定値Tは、測定されたモータ電圧V及びモータ電流Iをもとに、特性データ320に従って算出する。
【0041】
特性データ320は、モータ電圧V及びモータ電流Iと負荷トルクTとの対応関係を定義したデータである。なお、モータ電圧V及びモータ電流Iと負荷トルクTとの対応関係は、電気転てつ機の種類によって異なる。このため、特性データ320は電気転てつ機の種類毎に用意されている。
【0042】
図5に、特性データ320のデータ構成の一例を示す。図5に示すように、特性データ320は電的転てつ機の種類毎に生成され、該当する転てつ機の種類321と、変換データ322とを格納している。変換データ322は、モータ電圧V及びモータ電流Iを相当する負荷トルクTに変換するためのデータである。この変換データ322は、複数のモータ電圧V毎のモータ電流Iと負荷トルクTとの関係式としても良いし、或いは、複数のモータ電圧V毎にモータ電流Iと負荷トルクTとを対応付けたデータテーブルとしても良い。
【0043】
ストローク期間におけるトルク推定値Tを算出すると、続いて、ストローク期間におけるトルク推定値Tの平均値及び最大値を算出する。
【0044】
また、処理部200は、モータの起動判定点より所定のWR電圧測定点判定時間Laだけ遡った(早い)時点を、「WR電圧の測定点」とする。そして、このWR電圧測定点におけるWR電圧を、WR電圧の状態指標値とする。なお、このWR電圧測定点は、モータ起動判定点より所定のWR電圧測定点判定時間Laだけ経過した(遅い)時点としても良い。
【0045】
また、モータ停止判定点より所定のKR電圧測定点判定時間Leだけ経過した(遅い)時点を、「KR電圧の測定点」とする。そして、このKR電圧測定点におけるKR電圧を、KR電圧の状態指標値とする。
【0046】
更に、処理部200は、モータの起動判定点から所定の保存開始点判定時間Lgだけ遡った(早い)時点を保存開始点とするとともに、停止判定点から所定の保存終了点判定時間Lhだけ経過した(遅い)時点を保存終了点とする。そして、この保存開始点から保存終了点までの保存期間における測定値を、測定データの保存期間とする。
【0047】
このように、取り込んだ測定値をもとに状態指標項目それぞれの値を算出すると、今回の測定についてのデータを、該当する測定結果データ361に追加する。
【0048】
図6は、測定結果データ群360のデータ構成の一例を示す図である。図6によれば、測定結果データ群360は、電気転てつ機毎の測定結果データ361の集合であり、測定結果データ361それぞれは、該当する転てつ機の転てつ機番号362と、複数の個別測定データ363とを含んでいる。個別測定データ363は、1回の測定についてのデータであり、測定条件データ364と、測定値データ365と、状態指標値データ366とを含んでいる。
【0049】
測定条件データ364は、測定条件についてのデータであり、図7に示すように、測定対象の電気転てつ機の種類364aと、測定を行った保守作業者名364bと、測定日時364cと、モータの電源周波数364dと、転換種別364eと、転換方向364fとを格納している。
【0050】
測定値データ365は、測定項目それぞれの測定値のデータであり、図8に示すように、時刻365a毎に、測定項目であるモータ電圧365bと、モータ電流365cと、WR電圧365dと、KR電圧365eとを対応付けて時系列に格納している。この測定値データ365は、取り込まれた各測定項目値のうち、保存期間におけるデータである。
【0051】
状態指標値データ366は、当該測定における状態指標値のデータであり、図9に示すように、状態指標項目366aそれぞれについての値(状態指標値)366bを格納している。状態指標項目には、ストローク期間におけるモータ電圧V及びモータ電流Iの平均値及び最大値、KR電圧、WR電圧が含まれている。
【0052】
ここで、図4における状態指標項目値を算出するための各種閾値Ix,Iyや時間La,Lb,Lc,Le(以下、まとめて「判定パラメータ」という)は、判定パラメータテーブル330にて定義されている。また、これらの判定パラメータは転てつ機の種類によって異なる。図10は、判定パラメータテーブル330のデータ構成の一例を示す図である。図10に示すように、判定パラメータテーブル330は、電気転てつ機の種類331毎に用意され、判定パラメータ332それぞれについての設定値333を格納している。
【0053】
記憶部300は、制御ユニットに実装されているICメモリなどであり、処理部200が保守データ収集装置1を統括的に制御するための諸機能を実現するためのプログラムやデータ等を記憶する。本実施形態では、記憶部300には、プログラムとして保守データ収集プログラム310が記憶されるとともに、データとして、特性データ320と、判定パラメータテーブル330と、転てつ機特定データ340と、測定一時データ350と、測定結果データ群360とが記憶される。
【0054】
[処理の流れ]
図11は、保守データ収集装置1の処理部200が実行する保守データ収集処理の流れを説明するフローチャートである。図11によれば、処理部200は、先ず、操作部120からの操作入力に従って、測定対象となる電気転てつ機に関するデータや測定条件等の設定を行う(ステップA1)。この設定によって状態指標値を算出するための判定パラメータ(閾値Ix,Iyや時間Lb,Lc,La,Le,Lg,Lh)が特定される。
【0055】
次いで、操作部120から測定記録の開始が指示入力されると(ステップA3:YES)、処理部200は、測定部110から入力されるモータ電圧V、モータ電流I、WR電圧及びKR電圧の所定時間間隔での取り込みを行って、取り込んだ値を一時的に蓄積記録する(ステップA5)。そして、測定の開始指示から計測に必要な充分な時間の経過をもって測定記録の終了を判定する。
【0056】
測定記録の終了を判定すると(ステップA7:YES)、処理部200は、蓄積記録した測定データの解析処理を行って、複数の状態指標項目それぞれの値(状態指標値)を算出する。すなわち、モータ電流Iが所定の起動判定点判定閾値Ix以上となった時点を、モータの起動判定点として判定する(ステップA9)。次いで、この起動判定点から所定のストローク開始点判定時間Lbだけ経過した時点を、ストローク開始点として判定する(ステップA11)。また、起動判定点以降であって、モータ電流Iが所定の停止判定点判定閾値Iy未満となった時点を、モータの停止判定点として判定する(ステップA13)。次いで、この停止判定点から所定のストローク終了点判定時間Lcだけ遡った時点を、ストローク終了点として判定する(ステップA15)。そして、このストローク開始点からストローク終了点までの期間をストローク期間とする(ステップA17)。
【0057】
続いて、推定したストローク期間におけるモータ電圧V及びモータ電流Iそれぞれの平均値及び最大値を算出する(ステップA19)。また、ストローク期間におけるモータ電圧V及びモータ電流Iをもとに、トルク推定値Tを算出し(ステップA21)、更に、算出したストローク期間におけるトルク推定値Tの平均値及び最大値を算出する(ステップA23)。
【0058】
また、処理部200は、モータの起動判定点から所定のWR電圧測定点判定時間Laだけ遡った時点を、WR電圧測定点として判定し(ステップA25)、このWR電圧測定点におけるWR電圧の測定値を、WR電圧の状態指標値とする(ステップA27)。また、モータの停止判定点から所定のKR電圧測定点判定時間Leだけ経過した時点を、KR電圧測定点として判定し(ステップA29)、このKR電圧測定点におけるKR電圧の測定値をKR電圧の指標項目値とする(ステップA31)。
【0059】
更に、処理部200は、定められた複数の状態指標項目値それぞれを算出すると、今回の測定についての個別測定結果データ361を生成し、該当する電気転てつ機の測定結果データ361に追加する(ステップA33)。以上の処理を行うと、保守データ測定処理を終了する。
【0060】
[作用・効果]
このように、本実施形態の保守データ収集装置1では、電気転てつ機の転換動作中に測定したモータ電流Iをもとに、動作かんが転換動作したストローク期間が推定される。これにより、電気転てつ機の保守作業において、保守作業者の経験や知見を頼りに判断されてきたストローク期間を客観的且つ自動的に判定できるようになる。そして、転換動作の状態指標値として、このストローク期間におけるモータ電圧V及びモータ電流の平均値及び最大値、負荷トルクTの平均値及び最大値が算出される。また、WR電圧及びKR電圧の測定点が一義的に決定されて自動的に読み取られるので、個人差による測定点のばらつきを防止できる。これにより、電気転てつ機の転換状態を、数値的に評価することが可能となり、転換状態の判断が容易になる。この結果、多くの電気転てつ機を検査する際の保守作業効率の向上が図れる。
【0061】
[変形例]
なお、本発明の適用可能な実施形態は、上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なのは勿論である。
【0062】
(A)モータの起動判定点及び停止判定点
例えば、WR電圧が所定の閾値電圧未満となった時点をモータの起動判定点とし、KR電圧が所定の閾値電圧以上となった時点をモータの停止判定点とすることにしても良い。
【0063】
(B)状態指標値
また、状態指標項目の全てを測定しなくも良い。例えば、モータ電流Iからストローク期間を特定しているため、モータ電流Iのみを測定し、ストローク期間における電流Iの最大値や平均値を状態指標値として算出する。
【0064】
(C)転換状態の評価
また、保守データ収集装置1が転換状態の評価を行うこととしても良い。
例えば、同一の電気転てつ機について、評価指標項目毎に過去の評価指標値と今回の評価指標値と比較する。或いは、電気転てつ機の種類毎に評価指標項目それぞれについての平均値を算出し、この平均値と今回の評価指標値を比較する。
【符号の説明】
【0065】
1 保守データ収集装置
20 プローブ組
110 測定部、120 操作部、130 表示部、140 データ入出力部
200 処理部
300 記憶部
310 保守データ収集プログラム
320 特性データ、330 判定パラメータテーブル
340 転てつ機特定データ、350 測定一時データ
360測定結果データ群、361 測定結果データ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
過去に測定した電気転てつ機の転換動作中の状態指標値を、電気転てつ機毎に対応付けて記憶する状態指標値記憶手段と、
測定対象の電気転てつ機を指定入力する指定入力手段と、
測定プローブを介して電気転てつ機の一連の転換動作に係るモータ電流、制御リレー電圧及び表示リレー出力電圧を同時に測定して記録する測定記録手段と、
前記測定記録手段により記録された制御リレー電圧が所定の閾値電圧未満となった時点から、同じく記録された表示リレー出力電圧が所定の閾値電圧以上となった時点までをストローク期間として特定する特定手段と、
前記測定記録手段により記録された一連のモータ電流のうち、前記特定手段により特定されたストローク期間内の最大値及び/又は平均値を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された値を前記状態指標値として、前記指定入力手段により指定入力された電気転てつ機と対応付けて記憶手段に記憶させる記憶制御手段と、
を備えた電気転てつ機の保守データ収集装置。
【請求項1】
過去に測定した電気転てつ機の転換動作中の状態指標値を、電気転てつ機毎に対応付けて記憶する状態指標値記憶手段と、
測定対象の電気転てつ機を指定入力する指定入力手段と、
測定プローブを介して電気転てつ機の一連の転換動作に係るモータ電流、制御リレー電圧及び表示リレー出力電圧を同時に測定して記録する測定記録手段と、
前記測定記録手段により記録された制御リレー電圧が所定の閾値電圧未満となった時点から、同じく記録された表示リレー出力電圧が所定の閾値電圧以上となった時点までをストローク期間として特定する特定手段と、
前記測定記録手段により記録された一連のモータ電流のうち、前記特定手段により特定されたストローク期間内の最大値及び/又は平均値を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された値を前記状態指標値として、前記指定入力手段により指定入力された電気転てつ機と対応付けて記憶手段に記憶させる記憶制御手段と、
を備えた電気転てつ機の保守データ収集装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−225216(P2011−225216A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168976(P2011−168976)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【分割の表示】特願2009−107994(P2009−107994)の分割
【原出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(000001292)株式会社京三製作所 (324)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【分割の表示】特願2009−107994(P2009−107994)の分割
【原出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(000001292)株式会社京三製作所 (324)
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