説明

個人認証システム及び個人認証方法

【課題】 利用者の視線方向の影響を受けることなく利用者の虹彩の特徴を高精度で示す虹彩情報を生成し得る個人認証システム及び個人認証方法を提供する。
【解決手段】 利用者の虹彩を含む目の画像から瞳孔領域及び虹彩領域を抽出する瞳孔虹彩領域抽出手段と、抽出した瞳孔領域及び虹彩領域に基づいて、眼球を三次元の球と仮定した眼球面上の瞳孔領域及び虹彩領域の位置を算出し、三次元モデルを生成する三次元モデル生成手段と、生成した三次元モデルから視線方向を算出する視線方向算出手段と、三次元モデルの虹彩領域を視線方向から撮影した場合の二次元正規化画像を生成する二次元正規化画像作成手段と、生成した二次元正規化画像の虹彩領域を二次元極座標画像に変換する二次元極座標画像生成手段と、変換した二次元極座標画像の特徴を抽出してコード化した二次元極座標画像コードを生成する二次元極座標画像コード化手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、利用者から取得した虹彩情報と、予め利用者が登録した登録虹彩情報とを照合して利用者の本人認証を行う個人認証システム及び個人認証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、虹彩情報を用いて本人認証を行う個人認証システムでは、例えば特許文献1に開示されているように利用者の目を撮影した画像から瞳孔及び虹彩の境界(内側境界)と、虹彩及び強膜の境界(外側境界)とに囲まれた虹彩領域を抽出し、撮影時に利用者の視線が斜めに向いているなどの影響によって生じる該虹彩領域の瞳孔と虹彩の中心の位置ずれを補正するために、内側境界と外側境界との間の距離を線形変換を用いて二次元的に補正した正規化画像を生成する。
【0003】
そして、上記個人認証システムでは、正規化画像を生成すると、該正規化画像上のドーナツ状の虹彩領域を横軸が角度(θ)、縦軸が内側境界から外側境界までの距離(d)に極座標変換した極座標画像を生成する。図3に従来の虹彩情報の生成過程を示す。
【0004】
更に、上記個人認証システムでは、極座標画像を生成すると、該極座標画像を距離(d)方向で分割した環状解析帯域を求め、該環状解析帯域別に角度(θ)方向に対してガボールフィルタを用いて符号化した虹彩コードを生成し、該虹彩コードと、予め登録した登録虹彩コードとを照合して両虹彩コードが一致すると、利用者を本人であると認証していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3307936号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記システムでは、同一利用者であっても視線方向が異なると異なった正規化画像が得られてしまうため、正規化画像から生成した虹彩コードを用いた場合、本人認証精度が低くなってしまうという問題点があった。
【0007】
以上の問題点を鑑み、本発明の目的は、利用者の視線方向の影響を受けることなく利用者の虹彩の特徴を高精度で示す虹彩情報を生成し得る個人認証システム及び個人認証方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以上の点を解決するために、次の構成を採用する。
<構成1>
本発明は、利用者の虹彩を含む目を撮影する撮影手段と、撮影した画像から瞳孔領域及び虹彩領域を抽出する瞳孔虹彩領域抽出手段とを備える個人認証システムにおいて、抽出した前記瞳孔領域及び前記虹彩領域に基づいて、眼球を三次元の球と仮定した眼球面上の瞳孔領域及び虹彩領域の位置を算出し、三次元モデルを生成する三次元モデル生成手段と、生成した前記三次元モデルから視線方向を算出する視線方向算出手段と、前記三次元モデルの虹彩領域を前記視線方向から撮影した場合の二次元正規化画像を生成する二次元正規化画像作成手段と、生成した前記二次元正規化画像の虹彩領域を二次元極座標画像に変換する二次元極座標画像生成手段と、変換した前記二次元極座標画像の特徴を抽出してコード化した二次元極座標画像コードを生成する二次元極座標画像コード化手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
<構成2>
本発明は、利用者の虹彩を含む目の画像から瞳孔領域及び虹彩領域を抽出する工程と、抽出した前記瞳孔領域及び前記虹彩領域に基づいて、眼球を三次元の球と仮定した眼球面上の瞳孔領域及び虹彩領域の位置を算出し、三次元モデルを生成する工程と、生成し前記た三次元モデルから視線方向を算出する視線方向算出手段と、前記三次元モデルの虹彩領域を前記視線方向から撮影した場合の二次元正規化画像を生成する工程と、生成した前記二次元正規化画像の虹彩領域を二次元極座標画像に変換する工程と、変換した前記二次元極座標画像の特徴を抽出してコード化した二次元極座標画像コードを生成する工程とを含むことを特徴とする。
【0010】
<構成3>
本発明は、制御部に、利用者の虹彩を含む目の画像から瞳孔領域及び虹彩領域を抽出する工程と、抽出した前記瞳孔領域及び前記虹彩領域に基づいて、眼球を三次元の球と仮定した眼球面上の瞳孔領域及び虹彩領域の位置を算出し、三次元モデルを生成する工程と、生成した前記三次元モデルから視線方向を算出する視線方向算出手段と、前記三次元モデルの虹彩領域を前記視線方向から撮影した場合の二次元正規化画像を生成する工程と、生成した前記二次元正規化画像の虹彩領域を二次元極座標画像に変換する工程と、変換した前記二次元極座標画像の特徴を抽出してコード化した二次元極座標画像コードを生成する工程とを含む処理を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、撮影した目の画像を一旦三次元の眼球面上に配置し、その後、虹彩領域を視線方向から撮影した場合の画像(二次元正規化画像)に変換することにより、目画像から虹彩情報を生成するようにしたので、利用者の虹彩特徴を正確に示す虹彩情報を得ることができ、従って本人認証精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る実施例の生体情報生成部を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る実施例の個人認証システムを示すブロック図である。
【図3】従来技術の虹彩情報の生成過程を示す図である。
【図4】本発明に係る目の構造を示す図である。
【図5】本発明に係る実施例の撮影極座標系算出部における眼球3Dモデル生成の説明図(その1)である。
【図6】本発明に係る実施例の撮影極座標系算出部における眼球3Dモデル生成の説明図(その2)である。
【図7】本発明に係る実施例の撮影極座標系算出部における眼球3Dモデル生成の説明図(その3)である。
【図8】本発明に係る実施例の虹彩立体極座標画像の正規化処理の説明図である。
【図9】本発明に係る実施例の正規化虹彩立体極座標画像を複数の領域に区分けした状態を示す図である。
【図10】本発明に係る実施例の方向性フィルタの説明図である。
【図11】本発明に係る実施例の利用者登録処理の動作を示すフローチャートである。
【図12】本発明に係る実施例の利用者認証処理の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図を用いて詳細に説明する。
【実施例】
【0014】
<実施例の構成>
本発明の実施例の個人認証システムは、図2に示すように、登録装置10と、該登録装置10とネットワーク40を介して接続されている生体情報データベース(DB)20と、認証装置30とで構成されている。ここで、本発明の個人認証システムは、例えば企業の建物もしくは研究施設の電気ドアの開錠システムなどに用いられている。
【0015】
ところで、説明を簡便に行うべく、図2には1台の認証装置30のみが示されているが、ネットワーク40には認証装置30と同様の機能を有する多数の認証装置30が接続されている。
【0016】
登録装置10は、個人認証システムの利用者として登録手続を行うために、登録希望者が操作する装置であり、ネットワーク40に接続されている通信部11と、装置全体を制御する制御部12と、表示部13と、入力部14と、撮影部15と、一時記憶部16と、生体情報生成部17とを備える。
【0017】
生体情報DB20は、登録装置10を介して後述する虹彩立体極座標コードを生成した場合、利用者の識別情報(ID番号)と、虹彩立体極座標コードとを対応付けて登録生体情報として保持するデータベースである。
【0018】
登録装置10は、図示しないセンサを備え、このセンサが登録希望者を検知すると、制御部12は、図示しないメモリの制御プログラムを実行し、登録希望者に個人の識別情報(ID番号)を入力させるための入力指示画面を表示部13に備えるディスプレイに表示させる。
【0019】
入力部14は、タッチパネル、もしくはボタンなどから成り、登録希望者が表示部13に表示された入力指示画面を参照し、識別情報(ID番号)を入力するために用いられる。
【0020】
制御部12は、入力部14を介して識別情報が入力されると、この識別情報を一時記憶部16に記憶すると共に、生体情報DB20に識別情報に該当する登録生体情報が存在するか否かを検索する。
【0021】
そして、制御部12は、識別情報に該当する登録生体情報が生体情報DB20に存在しないと、図示しないメモリの制御プログラムを実行し、登録希望者が撮影部15に備えるカメラを見つめるよう指示するための撮影指示通知画面を表示部13に表示させると共に、撮影部15に撮影を指示する。
【0022】
一方、制御部12は、識別情報に該当する登録生体情報が存在すると、図示しないメモリの制御プログラムを実行し、登録希望者に生体情報が既に登録済であることを通知するための登録済通知画面を表示部13に表示させ、登録処理を中止する。
【0023】
撮影部15は、登録希望者の目を撮影するカメラを備え、撮影指示を受けると、登録希望者をカメラで撮影し、その撮影画像を取得する。
【0024】
制御部12は、撮影部15が撮影画像を取得すると、この撮影画像を一時記憶部16に記憶すると共に、生体情報生成部17に生体情報の生成を指示する。
【0025】
生体情報生成部17は、図1、図2に示すように、瞳孔虹彩境界抽出部171と、虹彩領域判定部172と、フォーカス判定部173と、マスク処理部174と、マスク領域判定部175と、虹彩立体極座標画像生成部176と、虹彩立体極座標コード生成部177とを備える。
【0026】
生体情報生成部17は、生体情報生成の指示を受けると、撮影部15で取得した撮影画像から虹彩の特徴を示す虹彩情報を生成する部である。
【0027】
そして、生体情報生成部17において、生体情報の生成の指示を受けると、瞳孔虹彩境界抽出部171は、瞳孔虹彩境界の抽出を開始する。
【0028】
瞳孔虹彩境界抽出部171は、一時記憶部16で保持する撮影画像から瞳孔及び虹彩の境界(内側境界)と、虹彩及び強膜の境界(外側境界)となる各楕円を抽出する部である。ここで、内側境界と、外側境界となる各楕円の抽出方法は周知であるので、説明を割愛する。(参考文献1:特開平10―262952号公報参照)
【0029】
そして、瞳孔虹彩境界抽出部171は、撮影画像上の内側境界と、外側境界となる各楕円を検索し、内側境界及び外側境界となる両楕円が存在すると、両楕円を抽出すると共に、瞳孔領域及び虹彩領域を抽出する。
【0030】
制御部12は、瞳孔虹彩境界抽出部171が内側境界及び外側境界を抽出すると、虹彩領域判定部172に虹彩領域の判定を指示する。
【0031】
一方、制御部12は、瞳孔虹彩境界抽出部171が上記撮影画像上に内側境界及び外側境界となる両楕円が存在しないため、両境界を抽出できないと、虹彩情報生成エラーとして図示しないカウント部でエラー回数をカウントする。
【0032】
そして、制御部12は、エラー回数をカウントすると、このエラー回数と図示しないメモリに予め設定された最大回数とを比較し、エラー回数が最大回数より小さいと、図示しないメモリの制御プログラムを実行し、登録希望者に目のリトライ撮影を指示するためのリトライ撮影通知画面を表示部13に表示させると共に、撮影部15に撮影を指示する。
【0033】
また、制御部12は、エラー回数が最大回数であると、図示しないメモリの制御プログラムを実行し、登録希望者に生体情報の登録が不可であることを通知するための登録不可通知画面を表示部13に備えるディスプレイに表示させ、登録処理を中止する。
【0034】
虹彩領域判定部172は、虹彩領域が予め設定した虹彩面積閾値以上であるか否かに基づいて虹彩領域が有効であるか否かを判定する部である。
【0035】
即ち、虹彩領域判定部172は、虹彩領域の判定の指示を受けると、抽出した虹彩領域の面積を算出し、虹彩領域の面積が図示しないメモリに予め設定された虹彩面積閾値以上であると、虹彩領域を有効と判定する。
【0036】
一方、虹彩領域判定部172は、虹彩領域の面積が虹彩面積閾値より小さいと、虹彩領域を無効と判定する。
【0037】
制御部12は、虹彩領域判定部172が虹彩領域を有効と判定すると、フォーカス判定部173にフォーカス判定を指示する。
【0038】
一方、制御部12は、虹彩領域判定部172が無効と判定すると、虹彩情報生成エラーとして図示しないカウント部でエラー回数をカウントする。
【0039】
フォーカス判定部173は、虹彩領域のフォーカス(焦点)が合っているか否かを判定する部である。
【0040】
即ち、フォーカス判定部173は、フォーカス判定の指示を受けると、虹彩領域のエッジ強度の平均が予め設定したエッジ強度閾値以上であると、フォーカスが合っていると判定する。ここで、フォーカス判定として、エッジ強度の最大値が予め設定したエッジ強度閾値以上であるか否かに基づいて行ってもよい。
【0041】
一方、フォーカス判定部173は、虹彩領域のエッジ強度の平均が予め設定したエッジ強度より小さいと、フォーカスが合っていないと判定する。
【0042】
制御部12は、フォーカス判定部173がフォーカスが合っていると判定すると、マスク処理部174にマスク処理を指示する。
【0043】
一方、制御部12は、フォーカス判定部173がフォーカスが合っていないと判定すると、虹彩情報生成エラーとして図示しないカウント部でエラー回数をカウントする。
【0044】
マスク処理部174は、虹彩領域にある瞼部分、睫部分、照明などの映り込みなどにより閾値を越えた輝度の部分などをノイズとして虹彩情報の対象外になるよう設定するために、虹彩領域に対してマスク処理を行う部である。
【0045】
即ち、マスク処理部174は、マスク処理の指示を受けると、虹彩領域に対してマスク処理を行う。
【0046】
制御部12は、マスク処理部174がマスク処理を行うと、マスク領域判定部175にマスク領域の判定を指示する。
【0047】
マスク領域判定部175は、マスク処理された虹彩領域内のマスク領域が予め設定したマスク領域閾値以下であるか否かに基づいて虹彩領域が有効であるか否かを判定する部である。
【0048】
即ち、マスク領域判定部175は、マスク領域の判定の指示を受けると、虹彩領域内のマスク領域を抽出し、マスク領域が予め設定したマスク領域閾値以下であると、虹彩領域を有効と判定する。
【0049】
一方、マスク領域判定部175は、マスク領域が予め設定したマスク領域閾値より大きいと、虹彩領域を無効と判定する。
【0050】
制御部12は、マスク領域判定部175が虹彩領域を有効と判定すると、虹彩立体極座標画像生成部176に虹彩立体極座標画像の生成を指示する。
【0051】
一方、制御部12は、マスク領域判定部175が虹彩領域を無効と判定すると、虹彩情報生成エラーとして図示しないカウント部でエラー回数をカウントする。
【0052】
虹彩立体極座標画像生成部176は、図1に示すように、撮影極座標系算出部1761と、虹彩立体極座標変換部1762と、瞳孔正規化処理部1763とを備える。
【0053】
虹彩立体極座標画像生成部176は、撮影部15に備えるカメラで撮影した図5に示すような撮影画像(マスク処理済)から、図6及び図7に示すような、xyzの3次元座標系で表現した眼球の3Dモデルを生成し、図8(a)に示すような、横軸がこの3Dモデルのxy平面での角度θxy、縦軸がこの3Dモデルのzy平面での角度θzyに極座標変換した立体極座標画像を生成し、図8(b)に示すような、該立体極座標画像の瞳孔サイズを調整した正規化立体極座標画像を生成する部である。
【0054】
ここで、虹彩立体極座標画像生成部176は、眼球の3Dモデルを生成するにあたって、図4に示す目の構造図に示すように、成人の場合の眼球直径は24mmであり、外部から見える虹彩直径(角膜直径)は12mmであり、これらの値は個人差は極めて少なく一定であるという参考文献2に記載のデータを用いている。そして、図7(b)に示す眼球の3Dモデルでは、虹彩の厚みは一定であるが、実際の虹彩は図4に示すように中央部分が膨らんだ形をしている。(参考文献2:日本人体解剖学 金子丑之助 1999年 「I視覚器 A.眼球」 参照)
【0055】
そして、虹彩立体極座標画像生成部176において、虹彩立体極座標画像の生成の指示を受けると、撮影極座標系算出部1761は、撮影極座標系の算出を開始する。
【0056】
即ち、撮影極座標系算出部1761は、図5に示すように、二次元で視線が斜め上方の撮影画像(マスク処理済)内の内側境界及び外側境界を示す楕円の各中心位置を算出し、マスク画像内の内側境界及び外側境界を示す楕円において、内側境界の楕円の中心から放射線上で内側境界と外側境界の距離が最も大きい線分Aを抽出する。
【0057】
そして、撮影極座標系算出部1761は、上記線分Aを抽出すると、該線分Aと瞳孔を挟んで反対側の内側境界と外側境界との距離を示す線分Bを抽出する。
【0058】
更に、撮影極座標系算出部1761は、上記線分A及び線分Bを抽出すると、上記各中心位置と、該線分A及び線分Bの距離と、該線分A及び線分Bの傾きなどとを用いて、図6に示すような、登録希望者の視線方向を正面として撮影するための仮想のカメラ投影面を判定し、この仮想投影面に対し平行に対向すると仮定した瞳孔領域及び虹彩領域を中心としたxyz座標系列上の眼球の3Dモデルを生成する。ここで、図7(a)に眼球の3Dモデルのxy平面図を示し、図7(b)に眼球の3Dモデルのzy平面図を示す。
【0059】
制御部12は、撮影極座標系算出部1761が眼球の3Dモデルを生成すると、虹彩立体極座標変換部1762に虹彩立体極座標変換を指示する。
【0060】
虹彩立体極座標変換部1762は、眼球の3Dモデル上の瞳孔領域及び虹彩領域において、眼球の3Dモデルの原点からxy平面での角度θxyと、zy平面での角度θzyとにおける立体極座標(θxy、θzy)上の各画素値を算出し、横軸をθxy、縦軸をθzyで示す虹彩立体極座標画像を生成する部である。
【0061】
即ち、虹彩立体極座標変換部1762は、虹彩立体極座標変換の指示を受けると、眼球の3Dモデルを用いて図8(a)に示すような虹彩立体極座標画像を生成する。
【0062】
制御部12は、虹彩立体極座標変換部1762が虹彩立体極座標画像を生成すると、瞳孔正規化処理部1763に瞳孔領域のサイズの正規化を指示する。
【0063】
瞳孔正規化処理部1763は、虹彩立体極座標画像上の瞳孔領域のサイズを予め設定した規定瞳孔領域サイズに正規化し、正規の虹彩領域の極座標画像を示す正規化虹彩立体極座標画像を生成する部である。
【0064】
即ち、瞳孔正規化処理部1763は、瞳孔領域のサイズの正規化の指示を受けると、虹彩立体極座標画像の瞳孔領域のサイズを規定瞳孔領域サイズに正規化し、図8(b)に示すような正規化虹彩立体極座標画像を生成する。
【0065】
制御部12は、瞳孔正規化処理部1763が正規化虹彩立体極座標画像を生成すると、虹彩立体極座標コード生成部177に虹彩立体極座標コードの生成を指示する。
【0066】
虹彩立体極座標コード生成部177は、図9に示すように、正規化虹彩立体極座標画像をM×Nの領域に区切り、各領域の特徴に基づいて正規化虹彩立体極座標画像をコード化する部である。
【0067】
ここで、虹彩立体極座標コード生成部177は、M×Nの各領域に対し図10に示すような方向性フィルタ及びガボールフィルタのいずれかを用いて、もしくは方向性フィルタ及びガボールフィルタの両フィルタを用いて、各領域の特徴を示すエッジ成分の方向性及び周波数を抽出し、これら方向性及び周波数をコード化した虹彩立体極座標コードを生成する。尚、正規化虹彩立体極座標画像のM×Nの領域の区分けにおいては、隣の領域同士が一部重なり合うような区分け方法を用いてもよい。
【0068】
また、虹彩立体極座標コード生成部177は、M×Nの各領域に対し2次元フーリエ変換及び2次元ウェーブレット変換のいずれかを行い、もしくは2次元フーリエ変換及び2次元ウェーブレット変換の両変換を行い、変換により得られた各領域の特徴量をコード化した虹彩立体極座標コードを生成してもよい。
【0069】
更に、虹彩立体極座標コード生成部177は、M×Nの各領域に対し、各領域と他の領域とをパターンマッチングを用いて比較し、マッチング結果に基づいて、各領域が他の領域の中のどの領域と類似しているのかを複数の領域の各識別情報を用いてコード化して虹彩立体極座標コードを生成してもよい。
【0070】
そして、虹彩立体極座標コード生成部177は、M×Nの各領域に図示しないメモリに予め設定した閾値面積以上のマスク領域を含む領域が存在すると、該領域に対し特徴抽出を行わず、該領域が虹彩情報の対象外になるようにマスクコードを生成するものとする。
【0071】
即ち、虹彩立体極座標コード生成部177は、虹彩立体極座標コードの生成の指示を受けると、正規化虹彩立体極座標画像をM×Nの領域に区切り、各領域の特徴を示すマスクコードを含む虹彩立体極座標コードを生成する。
【0072】
制御部12は、虹彩立体極座標コード生成部177が虹彩立体極座標コードが生成すると、この虹彩立体極座標コードと、一時記憶部16で保持する識別番号(ID番号)とを対応付けた登録生体情報を生体情報DB20に記憶する。
【0073】
そして、制御部12は、登録生体情報を生体情報DB20に記憶すると、図示しないメモリで保持する制御プログラムを実行し、生体情報の登録が完了したことを通知する登録完了通知画面を表示部13に表示させると共に、登録処理を終了する。
【0074】
認証装置30は、個人認証システムの利用者の本人認証を行うために、識別対象者が操作する装置であり、図2に示すように、ネットワーク40に接続されている通信部31と、装置全体を制御する制御部32と、表示部33と、入力部34と、撮影部35と、一時記憶部36と、生体情報生成部37と、照合判定部38とを備える。
【0075】
生体情報生成部37は、図1、図2に示す登録装置10の生体情報生成部17と同じ構成であり、瞳孔虹彩境界抽出部371と、虹彩領域判定部372と、フォーカス判定部373と、マスク処理部374と、マスク領域判定部375と、虹彩立体極座標画像生成部376と、虹彩立体極座標コード生成部377とを備える。
【0076】
虹彩立体極座標画像生成部376は、図2に示す登録装置10の虹彩立体極座標画像生成部176と同じ構成であり、撮影極座標系算出部3761と、虹彩立体極座標変換部3762と、瞳孔正規化処理部3763とを備える。
【0077】
認証装置30は、図示しないセンサを備え、このセンサが識別対象者を検知すると、制御部32は、図示しないメモリの制御プログラムを実行し、識別対象者に識別情報(ID番号)を入力させるための入力指示画面を表示部33に備えるディスプレイに表示させる。
【0078】
入力部34は、タッチパネル、もしくはボタンから成り、識別対象者が表示部33に表示された入力指示画面を参照し、識別情報(ID番号)を入力するために用いられる。
【0079】
制御部32は、入力部34を介して識別情報が入力されると、この識別情報を一時記憶部36に記憶すると共に、図示しない制御プログラムを実行し、識別対象者が撮影部35に備えるカメラを見つめるよう指示するための撮影指示画面を表示部33に表示させる。そして、制御部32は、撮影指示画面を表示部33に表示させると共に、撮影部35に撮影を指示する。
【0080】
制御部32は、エラー回数をカウントすると、このエラー回数と図示しないメモリに予め設定された最大回数とを比較し、エラー回数が最大回数より小さいと、図示しないメモリの制御プログラムを実行し、識別対象者に目のリトライ撮影を指示するためのリトライ撮影通知画面を表示部33に表示させると共に、撮影部35に撮影を指示する。
【0081】
また、制御部32は、エラー回数が最大回数であると、図示しないメモリの制御プログラムを実行し、識別対象者に生体情報の認証が不可であることを通知するための認証不可通知画面を表示部33に備えるディスプレイに表示させ、認証処理を中止する。
【0082】
制御部32は、虹彩立体極座標コード生成部377で虹彩立体極座標コードが生成すると、照合判定部38へ照合判定を指示する。ここで、虹彩立体極座標コード生成部377は、登録装置10の虹彩立体極座標コード生成部177と同一構成及び機能を備えている。
【0083】
照合判定部38は、識別対象者から取得した虹彩立体極座標コードが生体情報DB20で保持する利用者の登録生体情報の登録立体極座標コードと一致するか否かを判定する部である。
【0084】
即ち、照合判定部38は、照合判定の指示を受けると、一時記憶部36で保持する識別情報(ID番号)に基づいて生体情報DB20の登録生体情報を検索し、該当する登録生体情報の立体極座標コードと、生成した立体極座標コードとを照合して一致不一致を判定し、一致すると、照合一致と判定する。ここで、照合判定部38は、認証時の撮影における識別対象者の顔の傾き(目の傾き)と、登録時の撮影における登録希望者の顔の傾き(目の傾き)が異なることを考慮して、登録立体極座標コード及び立体極座標コードのいずれかをθxy方向にシフトさせながら両立体極座標コードが一致するか否かの判定を行う。
【0085】
一方、照合判定部38は、登録生体情報の立体極座標コードと、立体極座標コードとが一致しないと、照合不一致と判定する。更に、照合判定部38は、識別対象者が入力した識別情報が生体情報DB20に存在しないと、照合不一致と判定する。
【0086】
制御部32は、照合判定部38が照合一致と判定すると、図示しないメモリの制御プログラムを実行し、識別対象者に本人認証したことを通知するための本人認証通知画面を表示部33に表示させると共に、例えば図示しない電子ドアの施錠を解除し、認証処理を終了する。
【0087】
一方、制御部32は、照合判定部38が照合不一致と判定すると、図示しないメモリの制御プログラムを実行し、識別対象者に認証が不可であることを通知するための認証不可通知画面を表示部33に表示させると共に、認証処理を中止する。
【0088】
尚、その他の構成は、登録装置10の構成と同じである。
【0089】
<実施例の動作>
次に、本発明の個人認証システムの実施例の動作について説明する。
【0090】
まず、登録希望者をシステム利用者として登録する動作の説明を行う。図11に実施例の利用者登録処理の動作のフローチャートを示す。
【0091】
登録装置10の図示しないセンサが登録希望者を検知すると、制御部12は、図示しないメモリの制御プログラムを実行し、登録希望者に個人の識別情報(ID番号)を入力させるための入力指示画面を表示部13に備えるディスプレイに表示させる。
【0092】
登録希望者が表示部13に表示された入力画面を参照し、入力部14に備えるタッチパネル、もしくはボタンを用いて識別情報(ID番号)を入力すると(ステップS101)、制御部12は、この識別情報を一時記憶部16に記憶すると共に、通信部11を介して生体情報DB20に識別情報に該当する登録生体情報が存在するか否かを検索する。
【0093】
そして、識別情報に該当する登録生体情報が生体情報DB20に存在しないと(ステップS102)、制御部12は、図示しないメモリの制御プログラムを実行し、登録希望者が撮影部15に備えるカメラを見つめるよう指示するための撮影指示通知画面を表示部13に表示させると共に、撮影部15に撮影を指示する。
【0094】
一方、識別情報に該当する登録生体情報が存在すると、制御部12は、図示しないメモリの制御プログラムを実行し、登録希望者に生体情報が既に登録済であることを通知するための登録済通知画面を表示部13に表示させ、登録処理を中止する。
【0095】
撮影部15は、撮影指示を受けると、登録希望者をカメラで撮影し、その撮影画像を取得する(ステップS103)。
【0096】
撮影部15が撮影画像を取得すると、制御部12は、この撮影画像を一時記憶部16に記憶すると共に、生体情報生成部17に生体情報の生成を指示する。
【0097】
そして、生体情報生成部17において、生体情報の生成の指示を受けると、瞳孔虹彩境界抽出部171は、瞳孔虹彩境界の抽出を開始する。
【0098】
瞳孔虹彩境界抽出部171は、一時記憶部16で保持する撮影画像上の瞳孔及び虹彩の境界(内側境界)と、虹彩及び強膜の境界(外側境界)となる各楕円を検索し、内側境界及び外側境界となる両楕円が存在すると、両楕円を抽出すると共に、瞳孔領域及び虹彩領域を抽出する(ステップS104)。
【0099】
瞳孔虹彩境界抽出部171が内側境界及び外側境界を抽出すると、制御部12は、虹彩領域判定部172に虹彩領域の判定を指示する。
【0100】
一方、瞳孔虹彩境界抽出部171が上記撮影画像上に内側境界及び外側境界となる両楕円が存在しないため、両境界を抽出できないと、制御部12は、虹彩情報生成エラーとして図示しないカウント部でエラー回数をカウントする。
【0101】
そして、制御部12は、エラー回数をカウントすると、このエラー回数と図示しないメモリに予め設定された最大回数とを比較し、エラー回数が最大回数より小さいと(ステップS105)、図示しないメモリの制御プログラムを実行し、登録希望者に目のリトライ撮影を指示するためのリトライ撮影通知画面を表示部13に表示させると共に、撮影部15に撮影を指示する。
【0102】
また、制御部12は、エラー回数が最大回数であると、図示しないメモリの制御プログラムを実行し、登録希望者に生体情報の登録が不可であることを通知するための登録不可通知画面を表示部13に備えるディスプレイに表示させ、登録処理を中止する。
【0103】
虹彩領域判定部172は、虹彩領域の判定の指示を受けると、抽出した虹彩領域の面積を算出し、虹彩領域の面積が図示しないメモリに予め設定された虹彩面積閾値以上であると(ステップS106)、虹彩領域を有効と判定する。
【0104】
一方、虹彩領域判定部172は、虹彩領域の面積が虹彩面積閾値より小さいと、虹彩領域を無効と判定する。
【0105】
虹彩領域判定部172が虹彩領域を有効と判定すると、制御部12は、フォーカス判定部173にフォーカス判定を指示する。
【0106】
一方、虹彩領域判定部172が無効と判定すると、制御部12は、虹彩情報生成エラーとして図示しないカウント部でエラー回数をカウントする。そして、制御部12は、エラー回数をカウントすると、ステップS105と同じ動作を行う。
【0107】
フォーカス判定部173は、フォーカス判定の指示を受けると、虹彩領域のエッジ強度の平均が予め設定したエッジ強度閾値以上であると、フォーカスが合っていると判定する(ステップS107)。
【0108】
一方、フォーカス判定部173は、虹彩領域のエッジ強度の平均が予め設定したエッジ強度より小さいと、フォーカスが合っていないと判定する。
【0109】
フォーカス判定部173がフォーカスが合っていると判定すると、制御部12は、マスク処理部174にマスク処理を指示する。
【0110】
一方、フォーカス判定部173がフォーカスが合っていないと判定すると、制御部12は、虹彩情報生成エラーとして図示しないカウント部でエラー回数をカウントする。そして、制御部12は、エラー回数をカウントすると、ステップS105と同じ動作を行う。
【0111】
マスク処理部174は、マスク処理の指示を受けると、虹彩領域にある瞼部分、睫部分、照明などの映り込みなどにより閾値を越えた輝度の部分などをノイズとして虹彩情報の対象外になるよう設定するために、虹彩領域に対してマスク処理を行う(ステップS108)。
【0112】
マスク処理部174がマスク処理を行うと、制御部12は、マスク領域判定部175にマスク領域の判定を指示する。
【0113】
マスク領域判定部175は、マスク領域の判定の指示を受けると、虹彩領域内のマスク領域を抽出し、マスク領域が予め設定したマスク領域閾値以下であると(ステップS109)、虹彩領域を有効と判定する。
【0114】
一方、マスク領域判定部175は、マスク領域が予め設定したマスク領域閾値より大きいと、虹彩領域を無効と判定する。
【0115】
マスク領域判定部175が虹彩領域を有効と判定すると、制御部12は、虹彩立体極座標画像生成部176に虹彩立体極座標画像の生成を指示する。
【0116】
一方、マスク領域判定部175が虹彩領域を無効と判定すると、制御部12は、虹彩情報生成エラーとして図示しないカウント部でエラー回数をカウントする。そして、制御部12は、エラー回数をカウントすると、ステップS105と同じ動作を行う。
【0117】
そして、虹彩立体極座標画像生成部176において、虹彩立体極座標画像の生成の指示を受けると、撮影極座標系算出部1761は、撮影極座標系の算出を開始する。
【0118】
撮影極座標系算出部1761は、図5に示すように、二次元で視線が斜め上方の撮影画像(マスク処理済)内の内側境界及び外側境界を示す楕円の各中心位置を算出し、マスク画像内の内側境界及び外側境界を示す楕円において、内側境界の楕円の中心から放射線上で内側境界と外側境界の距離が最も大きい線分Aを抽出する。
【0119】
そして、撮影極座標系算出部1761は、上記線分Aを抽出すると、該線分Aと瞳孔を挟んで反対側の内側境界と外側境界との距離を示す線分Bを抽出する。
【0120】
更に、撮影極座標系算出部1761は、上記線分A及び線分Bを抽出すると、上記各中心位置と、該線分A及び線分Bの距離と、該線分A及び線分Bの傾きなどとを用いて、図6に示すような、登録希望者の視線方向を正面として撮影するための仮想のカメラ投影面を判定し、この仮想投影面に対し平行に対向すると仮定した瞳孔領域及び虹彩領域を中心としたxyz座標系列上の眼球の3Dモデルを生成する(ステップS110)。
【0121】
撮影極座標系算出部1761が眼球の3Dモデルを生成すると、制御部12は、虹彩立体極座標変換部1762に虹彩立体極座標変換を指示する。
【0122】
虹彩立体極座標変換部1762は、虹彩立体極座標変換の指示を受けると、眼球の3Dモデル上の瞳孔領域及び虹彩領域において、眼球の3Dモデルの原点からxy平面での角度θxyと、zy平面での角度θzyとにおける立体極座標(θxy、θzy)上の各画素値を算出し、横軸をθxy、縦軸をθzyで示す虹彩立体極座標画像を生成する(ステップS111)。
【0123】
虹彩立体極座標変換部1762が虹彩立体極座標画像を生成すると、制御部12は、瞳孔正規化処理部1763に瞳孔領域のサイズの正規化を指示する。
【0124】
瞳孔正規化処理部1763は、瞳孔領域のサイズの正規化の指示を受けると、虹彩立体極座標画像の瞳孔領域のサイズを規定瞳孔領域サイズに正規化し、図8(b)に示すような正規化虹彩立体極座標画像を生成する(ステップS112)。
【0125】
瞳孔正規化処理部1763が正規化虹彩立体極座標画像を生成すると、制御部12は、虹彩立体極座標コード生成部177に虹彩立体極座標コードの生成を指示する。
【0126】
虹彩立体極座標コード生成部177は、虹彩立体極座標コードの生成の指示を受けると、図9に示すように、正規化虹彩立体極座標画像をM×Nの領域に区切り、各領域に図示しないメモリに予め設定した閾値面積以上のマスク領域を含む領域が存在すると、該領域に対し特徴抽出を行わず、該領域が虹彩情報の対象外になるようにマスクコードを生成する。
【0127】
そして、虹彩立体極座標コード生成部177は、図示しないメモリに予め設定した閾値面積より小さい、もしくはマスク領域を含まない領域に対し図10に示すような方向性フィルタを用いて各領域の特徴を示すエッジ成分の方向性及び周波数を抽出し、これら方向性及び周波数をコード化した虹彩立体極座標コードを生成する。これにより、虹彩立体極座標コード生成部177は、各領域の特徴を示すマスクコードを含む虹彩立体極座標コードを生成する(ステップS113)。
【0128】
制御部12は、虹彩立体極座標コード生成部177が虹彩立体極座標コードが生成すると、この虹彩立体極座標コードと、一時記憶部16で保持する識別番号(ID番号)とを対応付けた登録生体情報を生体情報DB20に記憶する(ステップS114)。
【0129】
そして、制御部12は、登録生体情報を生体情報DB20に記憶すると、図示しないメモリで保持する制御プログラムを実行し、生体情報の登録が完了したことを通知する登録完了通知画面を表示部13に表示させると共に、登録処理を終了する。
【0130】
次に、識別対象者をシステム利用者として本人認証する動作の説明を行う。図12に実施例の利用者認証処理の動作のフローチャートを示す。
【0131】
認証装置30の図示しないセンサが識別対象者を検知すると、制御部32は、図示しないメモリの制御プログラムを実行し、識別対象者に識別情報(ID番号)を入力させるための入力指示画面を表示部33に備えるディスプレイに表示させる。
【0132】
識別対象者が表示部33に備えるディスプレイに表示された入力指示画面を参照し、入力部34に備えるタッチパネル、もしくはボタンを用いて識別情報(ID番号)を入力すると(ステップS201)、制御部32は、この識別情報を一時記憶部36に記憶すると共に、図示しない制御プログラムを実行し、識別対象者が撮影部35に備えるカメラを見つめるよう指示するための撮影指示画面を表示部33に表示させる。そして、制御部32は、撮影指示画面を表示部33に表示させると共に、撮影部35に撮影を指示する。
【0133】
利用者認証処理のステップS202、S203の動作は、利用者登録処理のステップS103、S104の動作と同じである。
【0134】
制御部32は、エラー回数をカウントすると、このエラー回数と図示しないメモリに予め設定された最大回数とを比較し、エラー回数が最大回数より小さいと(ステップS204)、図示しないメモリの制御プログラムを実行し、識別対象者に目のリトライ撮影を指示するためのリトライ撮影通知画面を表示部33に表示させると共に、撮影部35に撮影を指示する。
【0135】
また、制御部32は、エラー回数が最大回数であると、図示しないメモリの制御プログラムを実行し、識別対象者に生体情報の認証が不可であることを通知するための認証不可通知画面を表示部33に備えるディスプレイに表示させ、認証処理を中止する。
【0136】
利用者認証処理のステップS205〜S212の動作は、利用者登録処理のステップS106〜S113の動作と同じである。
【0137】
制御部32は、虹彩立体極座標コード生成部377で虹彩立体極座標コードが生成すると、照合判定部38へ照合判定を指示する。
【0138】
照合判定部38は、照合判定の指示を受けると、通信部31を介し一時記憶部36で保持する識別情報(ID番号)に基づいて生体情報DB20の登録生体情報を検索し、該当する登録生体情報の立体極座標コードと、生成した立体極座標コードとを照合して一致不一致を判定し、一致すると(ステップS213)、照合一致と判定する。ここで、照合判定部38は、認証時の撮影における識別対象者の顔の傾き(目の傾き)と、登録時の撮影における登録希望者の顔の傾き(目の傾き)が異なることを考慮して、登録立体極座標コード及び立体極座標コードのいずれかをθxy方向にシフトさせながら両立体極座標コードが一致するか否かの判定を行う。
【0139】
一方、照合判定部38は、登録生体情報の立体極座標コードと、立体極座標コードとが一致しないと、照合不一致と判定する。更に、照合判定部38は、識別対象者が入力した識別情報が生体情報DB20に存在しないと、照合不一致と判定する。
【0140】
制御部32は、照合判定部38が照合一致と判定すると、図示しないメモリの制御プログラムを実行し、識別対象者に本人認証したことを通知するための本人認証通知画面を表示部33に表示させると共に、例えば図示しない電子ドアの施錠を解除し、認証処理を終了する(ステップS214)。
【0141】
一方、制御部32は、照合判定部38が照合不一致と判定すると、図示しないメモリの制御プログラムを実行し、識別対象者に認証が不可であることを通知するための認証不可通知画面を表示部33に表示させると共に、認証処理を中止する。
【0142】
<実施例の効果>
従来は、顔向きや視線が正面でない場合において実際の眼球の3Dモデルに合わせた正規化を行っておらず撮影された二次元画像を単に二次元平面上で幾何学的に正規化していただけであった。そのため、従来技術で生成された虹彩コードは、登録側と照合側で顔向きや視線が異なる場合の認証精度が低下していた。実施例の個人認証システムによれば、二次元で視線が斜め上方の撮影画像(マスク処理済)から、登録希望者の視線方向を正面として撮影するための仮想のカメラ投影面を判定し、この仮想投影面に対し平行に対向すると仮定した瞳孔領域及び虹彩領域を中心としたxyz座標系列上の眼球の3Dモデルを生成するので、利用者の視線方向の影響を受けることなく利用者の虹彩の特徴を高精度で示す虹彩立体極座標コードを生成することができる。このような実際の眼球の3Dモデルに合わせて正規化した虹彩立体極座標コードを用いることにより、顔向きや視線が正面でない場合においても高い精度で照合することができる。また、登録画像と照合画像で目の回転方向のずれについてもθxy方向のシフトを行うことで迅速に対応することができる。
【0143】
尚、本実施例の個人認証システムの利用者としては、馬等の動物を含んでいてもよい。
【0144】
本実施例の個人認証システムでは、利用者の片方の目を撮影した撮影画像から虹彩立体極座標画像を生成して虹彩立体極座標コードを取得することを例に説明したが、利用者の両方の目を撮影した撮影画像から各虹彩立体極座標画像を生成して各虹彩立体極座標コードを取得し、両虹彩立体極座標コードを本人認証に用いてもよい。これにより、本実施例の個人認証システムの認証精度は向上する。
【0145】
上記構成では、生体情報DB20に利用者の両方の目の各虹彩立体極座標コードを記憶したが、これに限らず利用者の両方の目を撮影条件を異ならせて複数回撮影した各画像から生成した複数の両方の目の各虹彩立体極座標コードを登録生体情報として生体情報DB20に記憶してもよい。
【0146】
そして、上記構成においては、利用者認証時に識別対象者から取得した両方の目の各虹彩立体極座標コードのいずれか一方と、生体情報DB20で保持する登録生体情報の1つの虹彩立体極座標コードとが一致すると、利用者本人であると認証してもよい。
【0147】
また、上記構成においては、利用者認証時に識別対象者から取得した両方の目の各虹彩立体極座標コードと一致する登録生体情報の虹彩立体極座標コードが生体情報DB20で保持されていると、利用者本人であると認証してもよい。
【0148】
更に、上記構成においては、利用者認証時に識別対象者から取得した両方の目及び片方の目のいずれかの虹彩立体極座標コードと一致する登録生体情報の虹彩立体極座標コードが予め設定した閾値以上の割合で生体情報DB20で保持されていると、利用者本人であると認証してもよい。
【0149】
そして、本実施例の個人認証システムでは、内側境界及び外側境界の抽出として瞳孔領域及び虹彩領域が楕円であることを例に説明したが、これに限らず、外形が凹凸の連続する形状を有する「自由閉曲線」の虹彩にも適用することができる。
【0150】
また、本実施例の個人認証システムでは、認証装置30の入力部34から識別情報(ID番号)を入力する構成にしたが、識別情報を入力せず、取得した識別対象者の虹彩立体極座標コードと生体情報DB20で保持する登録生体情報の虹彩立体極座標コードとを照合して識別対象者が利用者であるか否かを判定するという構成にしてもよい。
【0151】
更に、本実施例の個人認証システムでは、登録装置10と認証装置30とを備える構成にしたが、登録装置10及び認証装置30を1つの装置(端末)にまとめた登録認証装置を備える構成にしてもよい。
【0152】
上記構成において、登録認証装置は、生体情報DB20を登録認証装置内に備えてもよい。これにより、登録認証装置のみを用いて、利用者登録及び利用者認証を行うことができる。
【0153】
そして、上記構成の登録認証装置は、登録認証装置内の生体情報DB20に利用者一人の登録生体情報を記憶する、例えばPDA(Personal Digital Assistants)及び携帯電話などのパーソナル端末であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0154】
前記した実施例では、本発明の実施例の個人認証システムを電子ドアの開錠に使用する場合を例に説明したが、これに限る必要はなく、空港ゲートでの本人認証、端末へのログインシステムなどに用いてもよい。
【符号の説明】
【0155】
10 登録装置
11 通信部
12 制御部
13 表示部
14 入力部
15 撮影部
16 一時記憶部
17 生体情報生成部
171 瞳孔虹彩境界抽出部
172 虹彩領域判定部
173 フォーカス判定部
174 マスク処理部
175 マスク領域判定部
176 虹彩立体極座標画像生成部
1761 撮影極座標系算出部
1762 虹彩立体極座標変換部
1763 瞳孔正規化処理部
177 虹彩立体極座標コード生成部
20 生体情報データベース(DB)
30 認証装置
31 通信部
32 制御部
33 表示部
34 入力部
35 撮影部
36 一時記憶部
37 生体情報生成部
371 瞳孔虹彩境界抽出部
372 虹彩領域判定部
373 フォーカス判定部
374 マスク処理部
375 マスク領域判定部
376 虹彩立体極座標画像生成部
3761 撮影極座標系算出部
3762 虹彩立体極座標変換部
3763 瞳孔正規化処理部
377 虹彩立体極座標コード生成部
38 照合判定部
40 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の虹彩を含む目を撮影する撮影手段と、撮影した画像から瞳孔領域及び虹彩領域を抽出する瞳孔虹彩領域抽出手段とを備える個人認証システムにおいて、
抽出した前記瞳孔領域及び前記虹彩領域に基づいて、眼球を三次元の球と仮定した眼球面上の瞳孔領域及び虹彩領域の位置を算出し、三次元モデルを生成する三次元モデル生成手段と、
生成した前記三次元モデルから視線方向を算出する視線方向算出手段と、
前記三次元モデルの虹彩領域を前記視線方向から撮影した場合の二次元正規化画像を生成する二次元正規化画像作成手段と、
生成した前記二次元正規化画像の虹彩領域を二次元極座標画像に変換する二次元極座標画像生成手段と、
変換した前記二次元極座標画像の特徴を抽出してコード化した二次元極座標画像コードを生成する二次元極座標画像コード化手段と
を備えることを特徴とする個人認証システム。
【請求項2】
前記三次元モデル生成手段は、前記虹彩の標準直径に基づいて正規化を行うことを特徴とする請求項1に記載の個人認証システム。
【請求項3】
前記抽出した虹彩領域内の映り込み部分を含むノイズを虹彩情報の対象外になるようマスク処理してマスク領域を生成するマスク処理手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の個人認証システム。
【請求項4】
利用者登録時に生成した前記二次元極座標画像コードを登録生体情報として格納する格納手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の個人認証システム。
【請求項5】
利用者認証時に生成した前記二次元極座標コードと、予め登録した登録生体情報の二次元極座標コードとを照合して一致、不一致を判定する認証判定手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の個人認証システム。
【請求項6】
利用者の虹彩を含む目の画像から瞳孔領域及び虹彩領域を抽出する工程と、
抽出した前記瞳孔領域及び前記虹彩領域に基づいて、眼球を三次元の球と仮定した眼球面上の瞳孔領域及び虹彩領域の位置を算出し、三次元モデルを生成する工程と、
生成した前記三次元モデルから視線方向を算出する工程と、
前記三次元モデルの虹彩領域を前記視線方向から撮影した場合の二次元正規化画像を生成する工程と、
生成した前記二次元正規化画像の虹彩領域を二次元極座標画像に変換する工程と、
変換した前記二次元極座標画像の特徴を抽出してコード化した二次元極座標画像コードを生成する工程と
を含むことを特徴とする個人認証方法。
【請求項7】
制御部に、
利用者の虹彩を含む目の画像から瞳孔領域及び虹彩領域を抽出する工程と、
抽出した前記瞳孔領域及び前記虹彩領域に基づいて、眼球を三次元の球と仮定した眼球面上の瞳孔領域及び虹彩領域の位置を算出し、三次元モデルを生成する工程と、
生成した前記三次元モデルから視線方向を算出する視線方向算出手段と、
前記三次元モデルの虹彩領域を前記視線方向から撮影した場合の二次元正規化画像を生成する工程と、
生成した前記二次元正規化画像の虹彩領域を二次元極座標画像に変換する工程と、
変換した前記二次元極座標画像の特徴を抽出してコード化した二次元極座標画像コードを生成する工程と
を含む処理を実行させるための個人認証プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−34580(P2011−34580A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−229459(P2010−229459)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【分割の表示】特願2006−268860(P2006−268860)の分割
【原出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】