説明

個包装

【課題】容器内に隙間がない状態で収納されている個包装された内容物において、容易に取り出しやすくすることを可能とする手段に関する。
【解決手段】密着状態で容器内に収納されている個包装体1において、その取出しの際に使用する把持部5を設けた個包装された内容物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に収納されている内容物の個包装に関する。
【背景技術】
【0002】
チーズやバターなどにおいて、一度に使い切れる量、もしくは一口で食べきれる量に小分けして、それぞれを合成樹脂製のフイルムやアルミ箔、紙等で個包装した商品が各種上市されている。例えば、ポーション状チーズは、円盤形を6〜8等分(1個あたり15〜30g)したものを個包装し、円筒状の容器に収納している。その収納形態は、ポーション状チーズの先端部(鋭角側)を円筒状の容器の中央に向け、後端部(円弧側)を円筒状の容器の側壁に沿うように収納されている。しかし、このように収納された状態では、各ポーション状チーズの間及びポーション状チーズと円筒状容器の間にほとんど隙間はなく、密着状態で収納されているために、特に最初の一個目のポーション状チーズを取り出すことが困難である。ポーション状チーズは軟質であるため、無理に指を押し込んで取り出そうとすると当該チーズまたは隣接したチーズを変形させるという問題がある。そこで、収納容器全体を逆さまにして個包装を全て取り出した後、必要分以外のチーズを再度収納容器に戻すなどということが行われている。
【0003】
このように商品が隙間無く収納された容器内では、最初の1個目の取り出しが容易に行えないということがあり、収納容器や個包装を改良したものが提案されている。例えば、特許文献1の方法では、円筒状の容器本体の底部に、その中心から外れた位置に指先で扇形ポーション状食品を押し上げるための開孔予定部を、弱化線で囲んだ状態に設けた構成をとる食品包装用容器が提案されている。この容器では、弱化線に沿って底部の一部を切り離し、その開孔口から指を入れて扇形ポーション状食品を押し上げて取り出すが、底部の一部を切り離す際に内容物を傷つける恐れがある。また、底部を開孔させた後では保存中に吸湿するなどの問題により、品質の低下などが懸念されるという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−348962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明では、個包装された内容物を傷つけることなく、密着状態で収納されている容器から容易に個包装を取り出すことができる手段を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は以下の構成からなる。
(1)容器内に収納する包装体において、突起した把持部が設けられている包装体。
(2)前記把持部が、前記包装体に貼付されたラベルの一部を突起させて構成されていることを特徴とする(1)に記載の包装体。
(3)前記ラベルと前記包装体を包装する包材が、異なった材質であることを特徴とする(2)に記載の包装体。
(4)前記把持部が、前記包装体の側面に貼付されていることを特徴とする(1)に記載の包装体。
(5)前記把持部が、前記包装体開封用のテープを延長して構成されていることを特徴とする(1)に記載の包装体。
(6)前記把持部が、幅5〜40mm、長さ5〜25mmの大きさであることを特徴とする(1)から(5)のいずれかに記載の包装体。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、容器から個包装を取り出す際に内容物を傷つけることなく容易に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施例1において、把持部を有する個包装ラベルが貼付された扇形ポーション状チーズ包装体の斜視図である。
【図2】本発明の実施例1において、扇形ポーション状チーズ包装体が密着収納された円筒状の容器本体とこれを覆う被せ蓋の斜視図である。
【図3】本発明の実施例2において、円弧部分の側面中央部から、上面より高い位置まで上部に突き出た把持部が貼付された扇形ポーション状チーズ包装体の斜視図である。
【図4】本発明の実施例2において、扇形ポーション状チーズ包装体が密着収納された円筒状容器本体の斜視図である。
【図5】本発明の実施例3において、喫食時に個包装を除去するために設けられている開封テープを上部に引き伸ばし、上面より高い位置まで上部に突き出た把持部を設けた扇形ポーション状チーズ包装体の斜視図である。
【図6】本発明の実施例3において、扇形ポーション状チーズ包装体が密着収納された円筒状容器本体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、容器に密着して収納される個包装品に関するものであるが、例えば、円筒状容器に密着収納される、扇形ポーション状チーズの個包装に適用される。この円筒状容器は円形の底板とこの底板の外周から上側に立ち上がる周壁からなる容器本体およびこれを覆う被せ蓋からなっている。円筒状容器の材質としては、合成樹脂、合成樹脂を主材とした複合材、紙および紙を主材として合成樹脂やアルミニウムがコーティングされた複合材等である。容器本体に収納されている扇形ポーション状チーズは、鋭角をなす先端部と、容器本体の半径と同じ半径を有する円弧からなる後端部からなっており、6または8個で密着収納され、個々にラベルが貼られている。この扇形ポーション状チーズの個包装およびラベルの材質は合成樹脂、合成樹脂を主材とした複合材、紙、紙を主材として合成樹脂やアルミニウムがコーティングされた複合材、金属および金属に合成樹脂がコーティングされた複合材等を使用することが可能であるが、好ましくは扇形ポーション状チーズの個包装は金属に合成樹脂がコーティングされた複合材、個包装ラベルでは、紙を主材として合成樹脂がコーティングされた複合材である。
【0010】
この扇形ポーション状チーズは円筒形容器本体に密着収納されており、特にその一つ目を取り出すことが困難である。そこで、扇形ポーション状チーズに貼り付けられているラベルのいずれかの位置に、容易に摘めることができる把持部を付与する。この把持部は指先で容易に摘める程度の大きさであり、円形、四角形、楕円形、星型など、任意の形状にすることができる。
【0011】
また、扇形ポーション状チーズは後端部を円筒形容器本体の側壁に沿うように収納されているが、この後端部のいずれかの位置に、容易に摘める大きさの把持部を設けても良い。この把持部も扇形ポーション状チーズに貼り付けられているラベルと同様、指先で容易に摘める程度の大きさに構成する。この把持部の材質としては、合成樹脂、合成樹脂を主材とした複合材、紙、紙を主材として合成樹脂やアルミニウムがコーティングされた複合材、金属および金属に合成樹脂がコーティングされた複合材等を使用することが可能であるが、好ましくは合成樹脂を主材とした複合材である。
【0012】
また、扇形ポーション状チーズに取り付けてある開封用テープを利用しても良い。扇形ポーション状チーズは、例えば合成樹脂がコーティングされたアルミ箔で個包装されており、喫食の際にはこの個包装をはがす必要があるため、開封用テープが付与されている。この開封用テープの端部は、個包装のアルミ箔が容易にはがす際に把持できる程度の長さがアルミ箔から突出しているが、このテープの長さを引き伸ばし、密着して収納されている個包装の間からはみ出させるようにすることにより、このテープを把持部として引き出すことで、円筒形容器から扇形ポーション状チーズを容易に取り出すことができる。把持部の材質としては、合成樹脂、合成樹脂を主材とした複合材、紙、紙を主材として合成樹脂やアルミニウムがコーティングされた複合材、金属および金属に合成樹脂がコーティングされた複合材等を使用することが可能であるが、開封用テープと同質の合成樹脂であることが好ましい。
本発明は、円筒形容器に収納される包装体に限られることはなく、直方体や立方体の容器であっても良いし、三角柱状の容器であっても良い。また、包装体の形状も扇形に限られることはなく、収納容器の形状に応じた形状の包装体に適用することが可能である。
【0013】
[実施例1]
本実施例の具体的な構成を図1および図2に基づいて説明する。図1は約60度の頂角を有し対向する辺が円弧状に形成されている扇形のチーズを合成樹脂がコーティングされたアルミ箔2で包装した扇形ポーション状チーズ包装体1を示したものである。扇形ポーション状チーズ包装体1には、喫食時にアルミ箔2を除去するための補助となる開封テープ3が設けられている。開封テープ3はアルミ箔2の内側に延設されてアルミ箔2の内側に貼付されている。このため、開封テープ3をアルミ箔2が内部のチーズからはがれるように引っ張ると開封テープ3とともにアルミ箔2が内部のチーズから剥離するように構成されている。また、扇形ポーション状チーズ包装体1の上部のアルミ箔2には紙製の個包装ラベル4が貼付されている。個包装ラベル4は、扇形ポーション状チーズ包装体1の上面の形状とほぼ相似の形状をしているが、扇形ポーション状チーズ包装体1の円弧部分に対応する部分の中央部分に突出するように半円形の把持部5が設けられている。把持部5はアルミ箔2には貼付されておらず、指先で把持できるようになっている。このように構成された扇形ポーション状チーズ包装体1は、図2に示すように円筒状の容器に収納される。扇形ポーション状チーズ包装体1は円筒状の容器本体10とこれを覆う被せ蓋20で構成される包装用容器に、収納数が6個で、容器本体10側に放射状に密着収納されるが、このような状態においても把持部5を把持することにより、扇形ポーション状チーズ包装体1を容易に容器本体10から取り出すことが可能となる。また、把持部5をつまむ際に指先と他のポーション状チーズ1’が干渉することがないので、取り出された扇形ポーション状チーズ1は変形することはない。
把持部5の大きさは指先で容易に摘める程度の幅5〜40mm、長さ5〜25mmであることが好ましいが、円筒状の容器本体10とこれを覆う被せ蓋20でなる包装用容器に収納できる大きさであれば良い。また、扇形ポーション状チーズ包装体1を持ち上げる時に把持部5のみが切れないように、個包装の重量に耐えうる強度を有するものとする。本実施例では、把持部5の形状は半円形としたが、円形、四角形、楕円形、星型など任意の形状であっても良い。また、本実施例では、放射状に収納される扇形ポーション状チーズ包装体1の円弧側、すなわち容器本体10の中心から遠い側で、かつ円弧の中央部分に把持部5を設けたので、把持部5が互いに近接することなく、所望の扇形ポーション状チーズ包装体1を容易に取り出すことが可能となった。しかし、把持部5の位置はこれに限られることなく、個包装ラベルのいずれの位置に設けても良い。
また、本実施例では扇形ポーション状チーズ包装体1の包装の材質として合成樹脂がコーティングされたアルミ箔としたが、合成樹脂、合成樹脂を主材とした複合材、紙、紙を主材として合成樹脂やアルミニウムがコーティングされた複合材、金属および金属に合成樹脂がコーティングされた複合材等で構成してもよい。また、個包装ラベル4の材質としては、合成樹脂、合成樹脂を主材とした複合材、紙、紙を主材として合成樹脂やアルミニウムがコーティングされた複合材、金属および金属に合成樹脂がコーティングされた複合材等で構成してもよい。
さらに、個包装ラベル4に把持部5が設けられることで、扇形ポーション状チーズ包装体1から個包装ラベル4を容易に取り外すことが出来るため、個包装と貼付されたラベルが異なる材質である場合、分別して廃棄することが容易になり、分別作業または環境負荷を低減することができる。
【0014】
[実施例2]
本実施例を図3および図4に基づいて説明する。図3は、約60度の頂角を有し対向する辺が円弧状に形成されている扇形のチーズを合成樹脂がコーティングされたアルミ箔31で包装した扇形ポーション状チーズ包装体30を示したものである。扇形ポーション状チーズ包装体30には、喫食時にアルミ箔31を除去するための補助となる開封テープ32が設けられている。開封テープ32はアルミ箔31の内側に延設されてアルミ箔31の内側に貼付されている。このため、開封テープ32をアルミ箔31が内部のチーズからはがれるように引っ張ると開封テープ32とともにアルミ箔31が内部のチーズから剥離するように構成されている。また、扇形ポーション状チーズ包装体30の上部のアルミ箔31には紙製の個包装ラベル33が貼付されている。個包装ラベル33は、扇形ポーション状チーズ包装体30の上面の形状とほぼ相似の形状をしている。扇形ポーション状チーズ包装体30の円弧部分の側面中央部から、扇形ポーション状チーズ包装体30の上面より高い位置まで上部に突き出た把持部34が貼付されており、指先で把持できるようになっている。このように構成された扇形ポーション状チーズ包装体30は、図4に示すように円筒状の容器本体に放射状に密着収納されるが、このような状態においても把持部34を把持することにより、扇形ポーション状チーズ包装体30を容器本体から容易に取り出すことが可能となる。把持部34の大きさは指先で容易に摘める程度の幅5〜40mm、長さ5〜25mmであることが好ましいが、円筒状の容器本体とこれを覆う被せ蓋でなる包装用容器に収納できる大きさであれば良い。また、扇形ポーション状チーズ包装体30を持ち上げる時に把持部34のみが切れないように、個包装の重量に耐えうる強度を有するものとする。本実施例では、把持部34の形状は長方形としたが、円形、四角形、楕円形、星型など任意の形状であっても良い。また、本実施例では、放射状に収納される扇形ポーション状チーズ包装体30の円弧の中央部分の側面に把持部34を設けたので、把持部34が互いに近接することなく、所望の扇形ポーション状チーズ包装体30を容易に取り出すことが可能となった。しかし、把持部34の位置はこれに限られることなく、扇形ポーション状チーズ包装体30の円弧の側面のいずれの位置に設けても良い。把持部34の材質としては、合成樹脂、合成樹脂を主材とした複合材、紙、紙を主材として合成樹脂やアルミニウムがコーティングされた複合材、金属および金属に合成樹脂がコーティングされた複合材等で構成してもよい。
【0015】
[実施例3]
図5および図6に基づいて、第3の実施例を説明する。図5は、約60度の頂角を有し対向する辺が円弧状に形成されている扇形のチーズを合成樹脂がコーティングされたアルミ箔41で包装した扇形ポーション状チーズ包装体40を示したものである。扇形ポーション状チーズ包装体40の上部のアルミ箔41には紙製の個包装ラベル43が貼付されている。個包装ラベル43は、扇形ポーション状チーズ包装体40の上面の形状とほぼ相似の形状をしている。喫食時に扇形ポーション状チーズ包装体40のアルミ箔41を除去するために設けられている開封テープを上部に引き伸ばし、扇形ポーション状チーズ包装体40の上面より高い位置まで上部に突き出た把持部42を設けた。このように構成された扇形ポーション状チーズ包装体40は、図6に示すように円筒状の容器本体に放射状に密着収納されるが、このような状態においても把持部42を把持することにより、扇形ポーション状チーズ包装体40を容器本体から容易に取り出すことが可能となる。この把持部42は実施例1および実施例2で示した把持部と同様、指先で容易に摘める程度の幅5〜40mm、長さ5〜25mmの大きさであることが好ましいが、円筒状の容器本体とこれを覆う被せ蓋で成る包装用容器に収納できる大きさであれば良い。また扇形ポーション状チーズ包装体40を持ち上げる時に把持部42のみが切れないように、把持部42は扇形ポーション状チーズ包装体40の重量に耐えうる強度を有し、さらに、扇形ポーション状チーズ包装体40の包装体であるアルミ箔41は把持部42を引き出す際に開封しない強度を有するものとする。本実施例では把持部42の形状は、開封用テープと同じ幅で形作られる長方形の形状としたが、円形、四角形、楕円形、星型など、任意の形状であっても良い。把持部42の材質としては、合成樹脂、合成樹脂を主材とした複合材、紙、紙を主材として合成樹脂やアルミニウムがコーティングされた複合材、金属および金属に合成樹脂がコーティングされた複合材等で構成してもよい。
【符号の説明】
【0016】
1.扇形ポーション状チーズ包装体
2.アルミ箔
3.開封テープ
4.個包装ラベル
5.把持部
10.容器本体
20.被せ蓋
30.扇形ポーション状チーズ包装体
31.アルミ箔
32.開封テープ
33.個包装ラベル
34.把持部
40.扇形ポーション状チーズ包装体
41.アルミ箔
42.把持部
43.個包装ラベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内に収納する包装体において、突起した把持部が設けられている包装体。
【請求項2】
前記把持部が、前記包装体に貼付されたラベルの一部を突起させて構成されていることを特徴とする請求項1に記載の包装体。
【請求項3】
前記ラベルと前記包装体を包装する包材が異なった材質であることを特徴とする請求項2に記載の包装体。
【請求項4】
前記把持部が、前記包装体の側面に貼付されていることを特徴とする請求項1に記載の包装体。
【請求項5】
前記把持部が、前記包装体開封用のテープを延長して構成されていることを特徴とする請求項1に記載の包装体。
【請求項6】
前記把持部が、幅5〜40mm、長さ5〜25mmの大きさであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−111216(P2011−111216A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−271811(P2009−271811)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000006699)雪印乳業株式会社 (155)
【Fターム(参考)】