説明

傾斜屈折率光学系を製造するシステムおよび方法

印刷を使って画像生成物を生成するシステムおよび方法が提供される。画像生成物は、ベース画像、第一のクリア・トナーおよび第二のクリア・トナーを順次加えることによって生成される。第一のクリア・トナーは一つまたは複数のレンズを形成し、第一のクリア・トナーと第二のクリア・トナーは異なる屈折率をもつ。本システムおよび方法によって生成される画像成生物は、見る角度によって異なる画像を示すレンティキュラー画像成生物であってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概括的には印刷に、より詳細には単一印刷プロセスを使ってレンズを含む画像プロダクトを生成することに関する。
【背景技術】
【0002】
レンティキュラー画像プロダクトは典型的には、被印刷媒体部材(たとえばカットシート用紙)上のベース画像およびレンティキュラー・レンズを含む基板を用いて製造される。図1Aに示されるように、典型的なレンティキュラー画像プロダクトは、複数のインターレースされた画像、今の場合は三つの画像(すなわち画像A、画像B、画像C)を含むベース画像102を含む。ベース画像102は、電気記録印刷(electrographic printing)を含む任意の型の印刷を使って生成できる。レンティキュラー・レンズ104を含む基板は典型的には、ベース画像102とは別個のプロセスで製造され、その後、さらにもう一つのプロセスにおいてベース画像に接着される。図1Aに示されるように、結果として得られるレンティキュラー画像プロダクトを見る角度に依存して、観察者は三つの異なる画像(すなわち画像A、画像B、画像C)を見る。
【0003】
電気記録法(electrography)は、被印刷部材上に像をプリントする一つの一般的な方法である。この方法では、誘電体部材を一様に帯電させて、その一様電荷のうち選択された領域を放電させることによって像に沿った静電電荷パターンを生成することによって、誘電体部材上に静電像が形成される。そのような放電は典型的には、一様に帯電した誘電体部材を、該誘電体部材に向けられたLEDアレイまたはレーザー装置中の特定の光源を選択的に作動させることによって与えられる電磁放射にさらすことによって達成される。画像に沿った電荷パターンが形成されたのち、色素を有する(あるいは場合によっては色素を有さない)マーキング粒子が電荷を与えられ、印加される好適な電場により誘電体部材の近傍に持ち込まれ、マーキング粒子は画像に沿った帯電パターンに引き寄せられて、そのようなパターンを目に見える像に現像する。
【0004】
その後、好適な被印刷部材(たとえば普通のボンド紙またはプラスチックの透明材料のカットシート)が、誘電体部材上で画像に沿った帯電パターンのとおりに現像されたマーキング粒子と隣接させられる。好適な電場が印加されて、マーキング粒子が被印刷部材に画像に沿ったパターンで転写されて、被印刷部材上に所望のプリント画像が形成される。被印刷部材は次いで、誘電体部材との動作上の関連から取り除かれて、熱および/または圧力および/または溶媒蒸気にかけられ、マーキング粒子プリント画像を被印刷部材に恒久的に定着させる。もちろん、たとえばそれぞれ異なる色粒子の複数のマーキング粒子画像が一枚の被印刷部材上で重畳されて、被印刷部材上に多色プリント画像を形成することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0159786号
【特許文献2】米国特許第7,468,820号
【特許文献3】米国特許第7,139,521号
【特許文献4】米国特許第7,502,582号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Marvin J. Weber、『Handbook of Optical Materials』、CRC Press、2002年
【非特許文献2】Index Matching Using Optical Polymers、http://www.nusil.com/library/papers/Index%20Matching%20Using%20Optical%20Polymers.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記に鑑み、本発明は、電気記録技法によってレンズを含む画像プロダクトを製造することに向けられる。本発明はまた、そのようなレンティキュラー画像プロダクトを製造するための装置および結果として得られる画像プロダクトにも向けられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
例示的な方法は、ベース画像を画像受領表面に加えることを含む。第一のクリア・トナーが前記ベース画像に加えられて複数のレンズを形成する。第二のクリア・トナーが前記複数のレンズに加えられる。第一および第二のクリア・トナーは異なる屈折率をもつ。
【0009】
本発明およびその目的および利点は、以下に提示する好ましい実施形態の詳細な説明においてより明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
以下に提示する本発明の好ましい実施形態の詳細な説明では、以下の図面を参照する。
【図1A】典型的なレンティキュラー画像プロダクトの概略的な側面断面図である。
【図1B】本発明に基づいて形成されるレンティキュラー画像プロダクトの概略的な側面断面図である。
【図1C】本発明に基づいて形成されるレンティキュラー画像プロダクトの概略的な側面断面図である。
【図2A】本発明に基づく例示的な方法を示すフローチャートである。
【図2B】本発明に基づくもう一つの例示的な方法を示すフローチャートである。
【図3】本発明とともに使うのに好適な典型的な電気記録複製の概略的な側面立面断面図である。
【図4】図3の電気記録複製の複写像生成部の拡大スケールでの概略的な側面立面断面図である。
【図5】図3の電気記録複製の一つの印刷モジュールの拡大スケールでの概略的な側面立面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで図1Bを参照するに、例示的なレンティキュラー画像プロダクトはベース画像106(複数のインターレースされた画像A、B、Cを含む)、クリア・トナーの第一の層108およびクリア・トナーの第二の層110を含み、そのすべてはたとえば電気記録技法を使って好適な被印刷部材上に形成される。クリア・トナーの第一および第二の層108および110はそれぞれ異なる素材で構成され、各層は異なる屈折率を有する。これらの材料は異なる型のプラスチックであることができる。したがって、図1Bに示されるように、クリア・トナー108の第一の層は複数のレンズ(すなわち、レンティキュールのアレイ)を形成し、クリア・トナーの第二の層110は結果として得られる画像プロダクトのなめらかな表面を形成する。クリア・トナーの層108はクリア・トナーの層110よりも大きな屈折率をもつ。媒質の屈折率は、媒質中および同じ条件下での空気中における光の速度の比である。屈折率は、入射角および屈折角の正弦の比によって測られ、通常の方法により通常の屈折計によって決定される。さまざまな物質の屈折率を与える数多くの文献がある。本用途のための好適な物質は、非特許文献1および非特許文献2に挙げられているもののうちにある。
【0012】
本システムがトナーを使って大きな屈折率の層を作るとき、トナーは、大きな屈折率をもつ透明な(transparent)、光学的にクリアな(optically-clear)ポリマーから作ることができる。たとえば、n=1.65のポリエステル;n=1.6;3のポリスルホンまたはn=1.59のポリカーボネートである。低屈折率の層は、小さな屈折率をもつ透明な、光学的にクリアなポリマーから作られるトナーから作られることができる。たとえば、ポリメタクリル酸メチル(polymethyl methacrylate)PMMA n=1.49またはCR-39(アリルジグリコールカーボネート)n=1.45またはフッ素化ポリマーPTFE n=1.32である。これらの物質は、コンタクトレンズやプラスチック製光ファイバー・ケーブルに使われるものと同様である。このシステムにおいて、しばしば、高屈折率トナーと低屈折率トナーの間の屈折率の相対的な差を大きくすることが重要である。好適な物質の組み合わせとしては、高屈折率物質用のポリエステル・トナーと低屈折率物質用のPMMA、あるいは高屈折率物質用のPMMAと低屈折率物質用のフッ素化ポリマー、あるいは高屈折率物質用のポリエステル・トナーと低屈折率物質用のPTFEがある。
【0013】
一例では、たとえばポリエステルの屈折率は、添加物によって高めることができる。たとえば、ポリエステルと混和する重量比で0ないし約20パーセントの添加物を使って、最終的な組成物が実質的にクリアかつ透明のままとなるように屈折率を高めることができる。有用な添加物は、高い結晶化速度を与える特化したアルカリ金属含有核形成剤を含む。好ましい結晶化核形成剤は、PETベースの樹脂と混和し、少なくとも約1000の数平均分子量をもつポリエステル・ポリマーのアルカリ金属塩を含むポリエステル・ベースの核形成剤である。最も好ましいポリエステル・ベースの核形成剤はナトリウムおよびカリウム塩である。好ましくは、「金属塩」ポリエステル核形成剤がまず形成され、次いで核形成されるべきポリエステルと接触させられる。PET外での核形成剤の形成が、比較的安定したPET分子量を与えるので、最も好ましい。
【0014】
他の有用な核形成剤は、オレフィンとアクリル酸もしくはメタクリル酸のコポリマーまたは芳香族オレフィンと無水マレイン酸のコポリマーといった、カルボキシル基含有有機ポリマーのナトリウムまたはカリウム塩を含む。このクラスの核形成剤は、ステアリン酸のナトリウムまたはカリウム塩;エチレン/メタクリル酸コポリマーのナトリウムまたはカリウム塩(完全に中和された塩および部分的に中和された塩、たとえば少なくとも約30%中和された塩の両方を含む)、スチレン/無水マレイン酸コポリマーのナトリウム塩(完全に中和された塩および部分的に中和された塩、たとえば少なくとも約30%中和された塩の両方を含む)およびベルサティック酸ナトリウム(sodium versatate)を含む。上に挙げたコポリマーにおいて、オレフィンまたは芳香族オレフィン部分は通常、コポリマーの50〜98重量パーセント、好ましくは80〜98パーセントをなす。
【0015】
図2Aは、本発明に基づく例示的な方法を示すフローチャートである。最初、画像データが受領され(ステップ205)、受領された画像データのレンズを含むべき部分が同定される(ステップ210)。たとえば、手紙、封筒または他の印刷プロダクトはレンティキュラー画像をもつ諸部分と、通常画像を含む諸部分をもつことができ、これらの異なる部分が印刷プロセスにおける使用のために同定される。次いで、受領された画像データおよびレンズを含むべき部分に基づいて画像コマンドが生成され(ステップ215)、該プリンタ・コマンドに基づいて画像プロダクトが印刷される(ステップ220)。ステップ205〜215は、好適なプリンタ・ドライバをもつ汎用コンピュータを使って、あるいは特定目的のハードウェアおよびソフトウェア(たとえば特定用途向け集積回路(ASIC)および/またはフィールド・プログラム可能なゲート・アレイ(FPGA))を使って実行できる。
【0016】
ステップ220はプリンタを使って実行されるが、印刷プロセスは図2Bとの関連でより詳細に記述される。最初、印刷コマンドがプリンタによって受領され(ステップ225)、第一、第二および第三のトナー色がプリンタ・コマンドに従って逐次的に好適な被印刷部材に加えられる(ステップ230〜240)。次に、第一の屈折率をもつ第一のクリア・トナーがプリンタ・コマンドに従って被印刷部材に加えられ(ステップ245)、次いで第二の屈折率をもつ第二のクリア・トナーがプリンタ・コマンドに従って被印刷部材に加えられる(ステップ250)。最後に、結果として得られた画像プロダクトが、加えられたトナーを被印刷部材に溶着させるために、溶融器に加えられる(ステップ255)。ステップ220〜255は、プリンタにおいて特定用途向け集積回路(ASIC)および/またはフィールド・プログラム可能なゲート・アレイ(FPGA)を含むいかなる型のプロセッサを使って実行されることもできる。
【0017】
結果として得られる画像プロダクトは、多言語パッケージング、警告ラベル、ポスターにおける動き像形成(motion imaging)、子供の本、コンパクト・ディスク(CD)またはデジタル多用途ディスク(DVD)のケース、トレーディング・カード、マウス・パッド、カウンター・ディスプレイ、キー・リング、フレーム入り写真および/またはその他といった、いかなる型のプロダクトであることもできる。
【0018】
第一のクリア・トナーは第二のクリア・トナーより高い屈折率をもち、第一および第二のクリア・トナーはグレースケール印刷を使って被印刷部材に加えられる。たとえば、屈折率が中心で最大になり中心から放射状に減少する傾斜屈折率レンズ(GRIN: gradient index lenses)を作成するために、第一のクリア・トナーは、グレースケール露出を使ってレンズの中心において堆積が最も厚くなり、レンズの端で最も薄くなるように加えられる。結果として得られる画像プロダクトのなめらかな表面を形成するために、第二のクリア・トナーは、第一のクリア・トナーのグレースケールの逆を使って加えられ、それによりレンズの低い点を埋める。第二のクリア・トナーはまた、追加的なオフセットをもって加えられ、それにより、レンズの低い点を埋めることに加えて、レンズの中心の上に第二のクリア・トナーの部分があるようにすることもできる。第二のクリア・トナーに比べて第一のクリア・トナーの屈折率が大きいため、結果として得られるレンズはレンズの中央で高い平均屈折率をもち、端で低い屈折率をもつことになる。結果として得られるレンズは、放物線形などいかなる形を有することもできる。平面状レンズまたはレンズ・アレイについては、融着された画像はつや出し器(glosser)を通される。レンズのために持ち上げられた表面は、ここに明示的に参照によって開示全体が組み込まれるThomas N. Tombsらの名において2008年7月3日に公開された特許文献1に開示される技法を使って達成できる。
【0019】
本発明は、レンズの光学軸に沿ってまたはレンズの厚さを通じて屈折率が変化する軸方向傾斜屈折率レンズ(AGRIN: axial gradient index lenses)を含む他の型の傾斜屈折率レンズを作成するために用いることができる。異なる屈折率をもつ第一および第二のクリア・トナーを使うことにより、通常のガラス・レンズに比べて小さな曲率の傾斜屈折率レンズが許容される。本発明は、フレネル・レンズのような不規則な表面をもつレンズを形成するために用いることもできる。
【0020】
レンズは、ここに明示的に参照によって開示全体が組み込まれる、Yee S. Ngらの名において2008年12月23日に発行された特許文献2に記載される背景テクスチャー生成技法および/またはYee S. Ngらの名において2006年11月21日に発行された特許文献3の逆マスク技法を使って形成できる。
【0021】
本発明は小さなレンズまたはレンズレットのアレイを形成するものとして記述されるが、本発明は単一のレンズを作るために使うことができる。さらに、本発明は、ベース画像の上にレンズを形成するものとして記述されるが、ベース画像なしに本発明を使って一つまたは複数のレンズが形成できる。これは、液晶(LCD)および有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、ワイドスクリーン・ディスプレイなどのためのレンズ・アレイについて有用である。この場合、レンズ・アレイは、透明な被印刷部材上に電気記録印刷技法を使って形成でき、その後、ディスプレイ装置のピクセルのアクティブ・マトリクス上に重ねることができる。
【0022】
さらに、本発明は、ベース画像の上にレンズを形成するものとして記述されているが、図1Cに示されるように、すでにベース画像にラミネートされているまたはのちの処理ステップにおいて画像にラミネートされることのできる透明層109の上に一つまたは複数のレンズが形成されることができる。この場合、透明層109がクリア・トナー108と似た屈折率をもつことが好ましい。たとえば、クリア・トナー108がポリエステルであれば、透明層109は好ましくは、マイラー(mylar)のようなポリエステル・シートである。ある実施形態では、透明層は、EPプリンタを使って、画像とレンズとの間に透明トナーの層を敷くことによって形成できる。
【0023】
結果として得られるレンズ・アレイは、熱および/または圧力および/または溶媒蒸気によって被印刷部材に定着されることができる。ウェブまたはローラーを使った融着は電気写真複写(electrophotographic)技術の分野では既知である。オーブン溶融も使用できる。当技術分野で既知の溶媒または蒸気溶融も使用できる。好適な溶媒は1,3-ジオキソラン(フェロ(Ferro))、塩化メチレン、エステル、酢酸エチル、酢酸アミル、ベンゼン、トルエンおよびクロロホルムを含む。融着後、画像は、コダックNexPressつや出し器のようなフェロタイパー(ferrotyper)またはつや出し器に通されることができる。
【0024】
今や本発明の高レベルの記述が与えられたので、静電プリンタにおける実装のより詳細な記述が図3〜図5との関連で提示される。これらの図は、五色(pentachrome)画像の印刷に好適な典型的な電気記録プリント・エンジンまたはプリンタ装置の諸部分を概略的に示す側面立面図である。本発明のある実施形態は、三組の単色画像生成または印刷ステーションまたはモジュールが縦列に配列された電気写真複写エンジンを使った印刷に関わるが、本発明は、三つより多いまたは少ない色が単一の被印刷部材上で組み合わされてもよく、他の典型的な電気記録ライターまたはプリンタ装置を含んでもよいことを考えている。
【0025】
電気記録プリンタ装置300は、いくつかの縦列に配置された静電記録画像形成印刷モジュールM1、M2、M3、M4およびM5を有する。印刷モジュールM1〜M3のそれぞれは単色トナー画像を生成し、印刷モジュールM4およびM5のそれぞれは、逐次それらのモジュールを通じて移送される被印刷部材への透明像の転写のためのクリア・トナーを含む。印刷モジュールM4は一つまたは複数のレンズを形成する像を生成し、印刷モジュールM5は結果として得られる画像プロダクトのためのなめらかな表面を形成する像を生成する。各被印刷部材は、三つのモジュールM1〜M5を通じた単一パスの間に、それに位置合わせされた三つまでの(プロセス・カラー画像を形成する)単色トナー画像と二つのクリア・トナー像を転写されることができる。各クリア・トナー像は異なる屈折率をもつ。本稿での用法では、プロセス・カラーという用語は、被印刷部材上に形成された画像において、前記三色の部分集合の組み合わせが組み合わされて被印刷部材上のさまざまな位置において被印刷部材上の他の色を形成し、前記部分集合の少なくとも一部においてプロセス・カラーを形成するために三色すべてが参加し、三色のそれぞれは被印刷部材の特定の位置において他の色の一つまたは複数と組み合わされて、その位置において組み合わされた個別の色トナーとは異なる色を形成してもよいことを含意する。ある具体的な実施形態では、印刷モジュールM1〜M3はそれぞれ、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y);赤(R)、緑(G)および青(B)などのような色の任意の組み合わせを使って色分離画像を形成することができる。これらの色はいかなる順序に配列されてもよい。
【0026】
被印刷部材(図4に示すところではRn〜R(n-6))は給紙ユニット(図示せず)から送達され、印刷モジュールM1〜M5を通じて搬送される。被印刷部材は、ローラー302、303のまわりに連行され、駆動されるエンドレスの搬送ウェブ301に付着させられる(たとえば好ましくは、対になったコロナ取り付け帯電器(corona tack-down chargers)324、325を介して静電的に)。印刷モジュールM1〜M5のそれぞれは、同様に、光伝導性の像形成ローラーと、中間転写部材ローラーと、転写バックアップ・ローラーとを含む。こうして、印刷モジュールM1では第一の色のトナーの分離画像が光伝導性像形成ローラーPC1(311)上に生成され、中間転写部材ローラーITM1(312)に転写され、転写ステーションを通じて動いている被印刷部材に再び転写されることができる。転写ステーションは、転写バックアップ・ローラーTR1(313)と圧力ニップを形成するITM1を含む。同様に、印刷モジュールM2、M3、M4およびM5はそれぞれ:PC2、ITM2、TR2(321、322、323);PC3、ITM3、TR3(331、332、333);PC4、ITM4、TR4(341、342、343);PC5、ITM5、TR5(351、352、353)を含む。供給部から到着する被印刷部材Rnはローラー302上を通過するところが示されている。被印刷部材Rnはその後第一の印刷モジュールM1の転写ステーション中にはいるのだが、そこには直前の被印刷部材R(n-1)が示されている。同様に、被印刷部材R(n-2)、R(n-3)、R(n-4)およびR(n-5)がそれぞれ印刷モジュールM2、M3、M4およびM5の転写ステーションを通じて動いているところが示されている。被印刷部材R(n-6)上に形成された未融着の像は図のように、溶融器アセンブリー360(図3)のような任意の周知の構成の溶融器に向かって動いている。
【0027】
電源ユニット305は個々の転写電流を転写バックアップ・ローラーTR1、TR2、TR3、TR4およびTR5にそれぞれ与える。論理および制御ユニット430(図3)は一つまたは複数のコンピュータを含み、電気写真複写プリンタ装置300に付随するさまざまなセンサーからの信号に応答して、よく理解され知られている使用に従って、当該装置のさまざまなコンポーネントおよびプロセス制御パラメータの制御を提供するために、各コンポーネントにタイミングおよび制御信号を与える。搬送ウェブ301の継続した再利用を許容するために、典型的には搬送ウェブ301のためのクリーニング・ステーション301aも設けられる。
【0028】
図5を参照するに、代表的な印刷モジュール(たとえばM1〜M5のうちのM1)が示されている。電気記録プリンタ装置300の各印刷モジュールは、単色で色形成された画像またはクリア画像(M4およびM5の場合)を生成するための複数の電気記録式像形成サブシステムを含む。各印刷モジュールには、光伝導性像形成部材(像形成シリンダー405の形で示されている)の表面406を一様に静電的に帯電させるための一次帯電サブシステム410が含まれる。光伝導性像形成部材を露光してそれぞれの色の静電色分離潜像を形成するために、一様な静電電荷を像に沿って変調するために、露出サブシステム420が設けられる。現像ステーション・サブシステム425は、像に沿って露光された光伝導性像形成部材を、それぞれの色のトナー(またはクリア・トナー)を用いて色調付け(toning)するはたらきをする。中間転写部材415が設けられ、それぞれの色分離画像(またはクリア・トナー分離像)を光伝導性像形成部材から転写ニップ401を通じて中間転写部材415の表面416に、そして中間転写部材415から被印刷部材(転写ニップにはいる前に示されている被印刷部材436および色調付けされた色またはクリア分離像の転写後に示されている被印刷部材437)に転写する。この被印刷部材がそれぞれの色調付けされた色分離画像およびクリア分離像を重ね合わせにおいて受け取り、その上に合成多色像およびレンズ・アレイが形成される。
【0029】
各印刷モジュールM1〜M5からの位置合わせされて重ねられたそれぞれの色分離画像の転写後、被印刷部材は溶融アセンブリーに進められて、多色およびクリア・トナー像が被印刷部材に融着される。制御のために設けられる追加的な必要なコンポーネントが、各印刷モジュールのさまざまな処理要素のまわりに集められていてもよい(たとえば、一様な静電荷を測定するための計器411、表面406上の非画像領域において時折形成されるパッチ潜像のパッチ領域内の露光後表面電位を測定するための計器412など)。電気記録プリンタ装置300に関するさらなる詳細がYee S. Ngらの名において2009年3月10日に発行された特許文献4において与えられている。
【0030】
印刷モジュール400に付随して、メイン・プリンタ装置論理および制御ユニット(LCU: logic and control unit)430がある。これはプリンタ装置に付随するさまざまなセンサーから入力信号を受信し、制御信号を印刷モジュールM1〜M5の帯電器410、露光サブシステム420(たとえばLEDライター)および現像ステーション425に送る。各印刷モジュールが、プリンタ装置のメインLCU 430に結合した独自のコントローラを有していてもよい。
【0031】
三色トナー分離画像および二つのクリア・トナー分離画像を各被印刷部材に対して重ね合わされた関係で転写したのち、被印刷部材は搬送ウェブ301から逐次的に取り外され、トナー像を被印刷部材に融着または定着させるために溶融アセンブリー360への方向に送られる。搬送ウェブは、クリーニングし、両表面に搬送ウェブ301の反対面の電荷を中和する電荷を与えることによって(324、325(図4参照))再使用のために再び調えられる。
【0032】
静電画像は、それぞれの現像ステーション425において、潜像を担持する光伝導性ドラムに、顔料を有する(または顔料を有さない)マーキング粒子(トナー)を加えることによって現像される。それぞれの印刷モジュールM1〜M5の現像ステーションのそれぞれは、それぞれの潜像を現像するために、好適なそれぞれの電圧によって電気的にバイアスがかけられる。その電圧は一つの電源によって供給されても、あるいは個々の電源によって供給されてもよい(図示せず)。好ましくは、それぞれの現像材は、トナー・マーキング粒子および磁気担体粒子を含む二成分現像材である。各色の現像ステーションは、それぞれに関連する顔料を有するトナー・マーキング粒子の特定の色またはそれぞれに関連するクリア・トナー(つまり顔料を有さない)をもつ。よって、五つのモジュールのそれぞれは、異なる色のマーキング粒子像またはクリア・トナー像を、それぞれの光伝導性ドラム上に生成する。
【0033】
図3をさらに参照するに、搬送ベルト301はトナー像を担持する被印刷部材を融着または定着アセンブリー360に搬送する。融着または定着アセンブリー360は、熱および圧力を加えることにより、トナー粒子をそれぞれの被印刷部材に固定する。より具体的には、融着アセンブリー360は加熱された溶融ローラー362および対向する圧力ローラー364を含み、これらが両者の間に融着ニップを形成する。融着アセンブリー360はまた、たとえばシリコーン油のような剥離流体を溶融ローラー362に加える概括的に368で示される剥離流体適用サブステーションをも含む。融着された画像を担持する被印刷部材は、逐次、融着アセンブリー360から経路に沿ってリモートの出力トレーに搬送されるか、被印刷部材の裏側に像を生成する(両面プリントを形成する)ために画像形成装置に戻される。
【0034】
論理および制御ユニット(LCU)430は、好適なルックアップ・テーブルおよびLCU 430によって実行される制御ソフトウェアを組み込んだマイクロプロセッサを含む。制御ソフトウェアは好ましくはLCU 430に付随するメモリに記憶される。融着アセンブリーに付随するセンサーがLCU 430に適切な信号を提供する。センサーに応答して、LCU 430は、融着ニップ366内の熱および/または圧力を調整し、他の形で一般的に融着アセンブリー360の動作パラメータを像形成基質のために公称化する(nominalize)および/または最適化するコマンドおよび制御信号を発する。
【0035】
プリンタ装置300による書き込みのための画像データは、ラスタ・イメージ・プロセッサ(RIP: raster image processor)によって処理されてもよい。RIPは色分離スクリーン生成器(単数または複数)を含んでいてもよい。RIPの出力は、LEDライターY、MおよびC(これらはそれぞれイエロー、マゼンタおよびシアンを表す)のそれぞれへの色分離プリント・データの送信のためにフレームまたはライン・バッファに記憶されてもよい。RIPおよび/または色分離スクリーン生成器は当該プリンタ装置の一部であってもよいし、当該プリンタ装置からリモートであってもよい。RIPによって処理される画像データは、カラー・ドキュメント・スキャナまたはデジタル・カメラから得られても、あるいはコンピュータによって、またはメモリもしくはネットワークから生成されてもよい。これは典型的には、プリンタによって十分に表現されるためにはハーフトーン画像データに再加工される必要がある連続画像を表す画像データを含む。RIPは、所望されるカラー・プリントを得るために、色補正などを含む画像処理プロセスを実行してもよい。カラー画像データはそれぞれの色に分離され、RIPによって、所望されるスクリーン角度およびスクリーン線数を有するマトリクスを使ってそれぞれの色のハーフトーンのドット・イメージ・データに変換される。RIPは好適にプログラムされたコンピュータおよび/または論理デバイスであってもよく、記憶されているまたは生成されたマトリクスおよびテンプレートを用いて、分離された色画像データを処理して、印刷のために好適なハーフトーン情報の形のレンダリングされた画像データにするよう適応される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像生成物を生成する方法であって:
画像受領表面にベース画像を加える段階と;
前記ベース画像上に第一のクリア・トナーを加えて複数のレンズを形成する段階と;
前記複数のレンズの上に第二のクリア・トナーを加える段階とを含み、
前記第一のクリア・トナーと第二のクリア・トナーが異なる屈折率をもつ、
方法。
【請求項2】
前記ベース画像が複数のインターレースされた画像を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記複数のレンズが前記インターレースされた画像と整列して生成されるレンティキュールである、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記複数のレンズが、各レンズの中心で屈折率がより高く、中心から放射状に屈折率が減少する傾斜屈折率レンズである、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記ベース画像がさらに、前記画像と前記レンズの間に透明層を含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記ベース画像ならびに第一および第二のクリア・トナーを融着させて結果として得られる画像を形成する段階をさらに含む、
請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記第二のクリア・トナーが、融着後、前記結果として得られる画像が実質的に平坦な表面をもつように前記複数のレンズに加えられる、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記ベース画像が前記画像受領表面の第一の部分に加えられ、当該方法がさらに:
前記画像受領表面の第二の部分に第二の画像を加える段階を含む、
請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記第二のクリア・トナーが前記画像受領表面の前記第二の部分に加えられる、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記第一および第二のクリア・トナーがプラスチックを含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
画像生成物を生成する方法であって:
プリンタ・コマンドを受領する段階を含み、前記プリンタ・コマンドに応答して、当該方法が:
第一の印刷モジュールを制御して画像受領表面にベース画像を加える段階と;
第二の印刷モジュールを制御して前記ベース画像上に第一のクリア・トナーを加えて複数のレンズを形成する段階と;
第三の印刷モジュールを制御して前記複数のレンズの上に第二のクリア・トナーを加える段階とを含み、
前記第一のクリア・トナーと第二のクリア・トナーが異なる屈折率をもつ、
方法。
【請求項12】
前記ベース画像が複数のインターレースされた画像を含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記複数のレンズが前記インターレースされた画像と整列して生成されるレンティキュールである、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記複数のレンズが、各レンズの中心で屈折率がより高く、中心から放射状に屈折率が減少する傾斜屈折率レンズである、請求項11記載の方法。
【請求項15】
前記第一の印刷モジュールが、それぞれ異なる色のトナーに関連する複数の印刷モジュールを含み、前記第一の印刷モジュールの前記制御は、前記複数の印刷モジュールのそれぞれを制御して前記異なる色のトナーを逐次的に適用することを含む、請求項11記載の方法。
【請求項16】
前記プリンタ・コマンドに応答して、当該方法が、前記ベース画像ならびに第一および第二のクリア・トナーの融着を制御して結果として得られる画像を形成する段階を含む、請求項11記載の方法。
【請求項17】
前記第二のクリア・トナーが、融着後、前記結果として得られる画像が実質的に平坦な表面をもつように前記複数のレンズに加えられる、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記ベース画像が前記画像受領表面の第一の部分に加えられ、当該方法がさらに:
前記画像受領表面の第二の部分に第二の画像を加える段階を含む、
請求項11記載の方法。
【請求項19】
前記第二のクリア・トナーが前記画像受領表面の前記第二の部分に加えられる、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記第一および第二のクリア・トナーがプラスチックを含む、請求項11記載の方法。
【請求項21】
前記ベース画像がさらに、前記ベース画像上の透明層を含む、請求項18記載の方法。


【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−520484(P2012−520484A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−554036(P2011−554036)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【国際出願番号】PCT/US2010/000593
【国際公開番号】WO2010/104554
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】