説明

充電制御装置、太陽光発電システム、および充電制御方法

【課題】より効率良く充電を行う。
【解決手段】充電制御装置は、太陽光パネルから電力を取り出し、蓄電池の充電に必要な電圧に変換する充電用コンバータと、充電用コンバータから出力される出力電圧を調整する制御用CPUとを備えて構成される。そして、充電用コンバータは、ある出力電圧で、太陽光パネルから取り出し可能な2箇所の動作点で、太陽光パネルから電力を取り出して蓄電池を充電し、制御用CPUは、2箇所の動作点にそれぞれ対応する入力電圧の電圧差に従って出力電圧を調整する。本技術は、例えば、太陽光発電システムの充電制御装置に適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、充電制御装置、太陽光発電システム、および充電制御方法に関し、特に、より効率良く充電を行うことができるようにした充電制御装置、太陽光発電システム、および充電制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自然エネルギーの活用や、災害時における対応用として、太陽光パネルおよび蓄電池が組み合わされて構成される太陽光発電システムに対する需要が高まっている。一般的に、太陽光発電システムでは、太陽光パネルにより発電される電力の供給と、負荷により消費される電力の需要とが一致しない時間帯が発生すため、蓄電池を活用した電力制御を行うことが必要となる。
【0003】
また、太陽光パネルから蓄電池へ効果的に充電する充電方法には、様々な手法が提案されている。例えば、特許文献1には、太陽光パネルから入力される電圧と、蓄電池の電圧との電圧差に応じた大電流による充電と、その大電流より小さな電流による充電とを切り替えて充電を行う充電装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−42484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の太陽光発電システムでは、太陽光パネルから蓄電池へ充電を行う際に、太陽光パネルから取り出せる電力が最大となるようにMPPT(Maximum Power Point Tracking)制御を行う変換器と、蓄電池の充電状況(SOC:state of charge)に応じた電圧で充電を行う充電機能を備えた変換器とが用いられていた。このように、2台の変換器を用いて電圧変換を2回行う構成では、太陽光発電システム全体としてみたときに、それぞれの変換器で変換ロスが発生するため、効率良く充電を行うことは困難であった。
【0006】
本開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、より効率良く充電を行うことができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面の充電制御装置は、発電を行う発電手段から電力を取り出し、蓄電池の充電に必要な電圧に変換する変換手段と、前記変換手段から出力される出力電圧を調整する調整手段とを備え、前記変換手段は、前記出力電圧で前記発電手段から取り出し可能な2箇所の動作点で、前記発電手段から電力を取り出して前記蓄電池を充電し、前記調整手段は、前記2箇所の動作点にそれぞれ対応する前記入力電圧の電圧差に従って、前記出力電圧を調整する。
【0008】
本開示の一側面の太陽光発電システムは、太陽光の照射に応じて発電を行う太陽光パネルから電力を取り出し、蓄電池の充電に必要な電圧に変換する変換手段と、前記変換手段から出力される出力電圧を調整する調整手段とを備え、前記変換手段は、前記出力電圧で前記太陽光パネルから取り出し可能な2箇所の動作点で、前記太陽光パネルから電力を取り出して前記蓄電池を充電し、前記調整手段は、前記2箇所の動作点にそれぞれ対応する前記入力電圧の電圧差に従って、前記出力電圧を調整する。
【0009】
本開示の一側面の充電制御方法は、発電を行う発電手段から電力を取り出し、蓄電池の充電に必要な電圧に変換する変換手段と、前記変換手段から出力される出力電圧を調整する調整手段とを備える充電制御装置の充電制御方法において、前記変換手段は、前記出力電圧で前記発電手段から取り出し可能な2箇所の動作点で、前記発電手段から電力を取り出して前記蓄電池を充電し、前記調整手段は、前記2箇所の動作点にそれぞれ対応する前記入力電圧の電圧差に従って、前記出力電圧を調整するステップを含む。
【0010】
本開示の一側面においては、ある出力電圧で取り出し可能な2箇所の動作点で電力が取り出されて蓄電池に充電され、2箇所の動作点にそれぞれ対応する入力電圧の電圧差に従って、出力電圧が調整される。
【発明の効果】
【0011】
本開示の一側面によれば、より効率良く充電を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本技術を適用した充電制御方法の概念について説明する図である。
【図2】太陽光パネルおよび蓄電池の電圧電流曲線を示す図である。
【図3】太陽光パネルおよび蓄電池の電圧電流曲線を示す図である。
【図4】太陽光パネルおよび蓄電池の電圧電流曲線を示す図である。
【図5】本技術を適用した太陽光発電システムの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図6】太陽光パネルおよび蓄電池の電力を放電する場合のフローを説明する図である。
【図7】電力系統からの電力で蓄電池を充電する場合のフローを説明する図である。
【図8】太陽光パネルで発電された電力を蓄電池に蓄電する場合のフローを説明する図である。
【図9】第1の充電方法による処理を説明するフローチャートである。
【図10】第2の充電方法による処理を説明するフローチャートである。
【図11】第3の充電方法による処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本技術を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
まず、図1乃至4を参照して、本技術を適用した充電制御方法の概念について説明する。
【0015】
図1Aには、従来の太陽光発電システムが簡略化して示されている。従来の太陽光発電システムは、太陽光パネル(PV:Photovoltaic)11から蓄電池12までの間に、整流手段13、DC/DC(Direct Current/Direct Current)コンバータ14、およびDC/DCコンバータ15が直列的に接続されて構成されている。
【0016】
太陽光パネル11で発生された電力は、整流手段13で整流されてDC/DCコンバータ14に入力される。DC/DCコンバータ14は、太陽光パネル11から取り出せる電力が最大となるようにDC/DC変換するMPPT制御を行って、太陽光パネル11から取り出した電力をDC/DCコンバータ15に供給する。DC/DCコンバータ15は、蓄電池12に充電されている電力の充電状況に従って、蓄電池12に充電するのに最適な電圧となるように、DC/DCコンバータ14から出力される電力をDC/DC変換して、蓄電池12に供給して充電を行う。
【0017】
このように、従来の太陽光発電システムでは、DC/DCコンバータ14およびDC/DCコンバータ15が使用され、DC/DC変換が2回行われていた。
【0018】
一方、図1Bには、本技術を適用した充電制御方法を採用する太陽光発電システムが簡略化して示されている。図1Bに示すように、この太陽光発電システムは、太陽光パネル11から蓄電池12までの間に、整流手段13およびDC/DCコンバータ16が直列的に接続されて構成されている。
【0019】
DC/DCコンバータ16は、蓄電池12に充電されている電力の充電状況に従って、蓄電池12に充電するのに最適な電圧から適宜調整を行い、太陽光パネル11から取り出せる電力が最大となる近傍の電圧で太陽光パネル11から取り出した電力を蓄電池12に供給して充電を行う。従って、本技術を適用した充電制御方法を採用する太陽光発電システムでは、従来と比較して、DC/DCコンバータ16だけで効率良く充電を行うことができ、装置サイズを小型化することができるとともに、低コスト化を図ることができる。
【0020】
なお、以下の説明では、図1Bに示すように、太陽光パネル11からDC/DCコンバータ16に入力される電力の電圧を入力電圧Viとし、そのときの電流を入力電流Iiとする。また、DC/DCコンバータ16が蓄電池12に出力する電力の電圧を出力電圧Voとし、そのときの電流を出力電流Ioとする。そして、DC/DCコンバータ16の変換効率ηは、出力電圧Vo×出力電流Io=変換効率η×入力電圧Vi×入力電流Iiの関係で表される。
【0021】
図2乃至図4には、太陽光パネル11および蓄電池12の電圧電流曲線が示されている。
【0022】
図2Aは、横軸が、太陽光パネル11からDC/DCコンバータ16に入力される入力電圧Viを示し、縦軸が、太陽光パネル11からDC/DCコンバータ16に入力される入力電流Iiを示している。そして、図2Aには、DC/DCコンバータ16が太陽光パネル11から取り出すことができる電力の電圧および電流の関係を表す電圧電流曲線が示されている。
【0023】
つまり、太陽光パネル11からは、入力電圧Viが増加するのに応じて入力電流Iiが緩やかに減少するような電圧電流曲線上の任意の動作点で電力を取り出すことができる。また、電圧電力曲線は、太陽光パネル11に照射される太陽光の照射量に応じて変化し、太陽光の照射量が増加すると、電圧電流曲線が右上方向にシフトするようにDC/DCコンバータ16が太陽光パネル11から取り出すことができる電力が増加する。
【0024】
図2Bは、横軸が、DC/DCコンバータ16が蓄電池12に出力する電力の出力電圧Voを示し、縦軸が、DC/DCコンバータ16が蓄電池12に出力する電力の出力電流Ioを示している。そして、図2Bには、DC/DCコンバータ16が蓄電池12の充電状況に応じて出力することができる電力の電圧および電流の関係を表す電圧電流曲線が示されている。
【0025】
つまり、DC/DCコンバータ16が出力する電力は、蓄電池12の電圧V_batが出力電圧Voと一致する場合には出力電流Ioが0となる。そして、出力電圧Voが増加するのに従って、出力電流Ioが急激に増加するような電圧電流曲線に沿ってDC/DCコンバータ16から電力が出力される。また、蓄電池12の充電状況に応じてSOCが高い状態になる(即ち、蓄電池12に充電されている電力の電圧が増加する)と、電圧電流曲線が右方向にシフトするように、DC/DCコンバータ16が出力する電力が増加する。
【0026】
ここで、図3Bに示すように、DC/DCコンバータ16が出力する電力の出力電圧Voが、出力電圧Vo1となるようにDC/DCコンバータ16を設定した場合、蓄電池12に流れる(流れようとする)出力電流Ioは、蓄電池12の電圧電流曲線に従って出力電流Io1に一義的に決定される。このとき、蓄電池12の電圧電流曲線上の点P_batが、蓄電池12の動作点となる。
【0027】
一方、太陽光パネル11の動作点は、入力電圧Vi1×入力電流Ii1=出力電圧Vo1×出力電流Io1/変換効率ηの関係を満たす点となる。つまり、変数a=出力電圧Vo1×出力電流Io1/変換効率ηとすると、入力電流Ii1=変数a/入力電圧Vi1の関係が成り立つ。即ち、図3Aに示すように、太陽光パネル11の電圧電流曲線と、入力電流Ii=変数a/入力電圧Viが示す曲線との交点が、太陽光パネル11の動作点P1およびP2となる。このように、DC/DCコンバータ16が出力する電力の出力電圧Voを決定すると、太陽光パネル11の動作点は、動作点P1およびP2の2点に限定される。
【0028】
ところで、太陽光パネル11から取り出し可能な最大の電力となる最大動作点P_maxは、太陽光パネル11の電圧電流曲線上において、入力電圧Vi×入力電流Iiが最大となる点である。従って、太陽光パネル11を動作点P1またはP2で動作させたときには、太陽光パネル11から最大の電力を取り出すことができるとは限られない。
【0029】
そこで、例えば、図4Bに白抜きの矢印で示すように、出力電圧Vo1を増加させるのに伴って出力電流Io1が増加する。その結果、変数a(=出力電圧Vo1×出力電流Io1/変換効率η)が増加することになる。従って、図4Aに白抜きの矢印で示すように、入力電流Ii=変数a/入力電圧Viが示す曲線が右上方向にシフトし、動作点P1およびP2が最大動作点P_maxに近接することになる。
【0030】
一方、出力電圧Vo1を増加させ過ぎると、太陽光パネル11の電圧電流曲線と、入力電流Ii=変数a/入力電圧Viが示す曲線との交点が存在しないことになる。この場合、DC/DCコンバータ16が、蓄電池12の充電に必要な電流を出力することができず、太陽光パネル11の動作が不安定になり、DC/DCコンバータ16の出力が急激に低下することになる。従って、太陽光パネル11の電圧電流曲線と、入力電流Ii=変数a/入力電圧Viが示す曲線との交点が存在しない状態を回避するように、出力電圧Voを制御する必要がある。
【0031】
例えば、DC/DCコンバータ16は、太陽光パネル11の動作点を意図的に大きく走査して、出力電圧Voが出力電圧Vo1となる2箇所の動作点P1および動作点P2を定期的に切り替えて利用する。そして、DC/DCコンバータ16は、出力電圧Vo1を徐々に増加させ、動作点P1の入力電圧Vi1と、動作点P2の入力電圧Vi2との電圧差ΔViが小さくなってきたら、最大動作点P_maxに近接していると判断する。このとき、DC/DCコンバータ16は、出力電圧Vo1を増加させる幅を小さくしたり、出力電圧Vo1の増加を停止したりすることで、太陽光パネル11の動作が不安定になることを回避する。
【0032】
このような制御方法により、1台のDC/DCコンバータ16により、より効率良く充電を行うことができる。
【0033】
図5は、本技術を適用した太陽光発電システムの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。なお、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
【0034】
図5に示すように、太陽光発電システム21は、太陽光パネル22、PV用パワーコンディショナ23、分電盤24、および、充電制御装置25を備えて構成されており、分電盤24に、商用電源から電力を供給するための電力系統26が接続されている。
【0035】
太陽光パネル22は、複数の太陽電池モジュールが接続されて構成されるパネルであり、太陽光の照射量に応じて発電を行う。
【0036】
PV用パワーコンディショナ23は、太陽光パネル22により発電される電力を調整し、太陽光パネル22により発電された電力をDC/AC(Direct Current/Alternating Current)変換して、分電盤24に出力する。そして、PV用パワーコンディショナ23から出力された電力は、例えば、電力系統26に逆潮流されて売電され、または、分電盤24に接続された負荷に供給される。
【0037】
分電盤24は、配線用ブレーカ(MCB:Molded Case Circuit Breaker)31、漏電ブレーカ(ELB:Earth Leakage Circuit Breaker)32および33、並びに、複数のブレーカ34を有して構成される。分電盤24では、配線用ブレーカ31を介して電力系統26が接続され、漏電ブレーカ32を介してPV用パワーコンディショナ23が接続され、漏電ブレーカ33を介して充電制御装置25が接続される。また、配線用ブレーカ31、漏電ブレーカ32、および漏電ブレーカ33は、互いに接続されており、それらを接続する配線に接続された複数のブレーカ34を介して、図示しない負荷が接続されている。
【0038】
充電制御装置25は、蓄電池41、バッテリマネジメントシステム(BMS:Battery Management System)42、充電用コンバータ43、放電用インバータ44、表示部45、制御用CPU(Central Processing Unit)46を備えて構成されている。
【0039】
また、蓄電池41および充電用コンバータ43は、整流手段51およびスイッチ52を介して接続され、充電用コンバータ43および分電盤24のELB33は、スイッチ53を介して接続される。また、整流手段51およびスイッチ52の間の接続点と、スイッチ53およびELB33の間の接続点との間に、充電用コンバータ43と並列的に放電用インバータ44が接続される。また、太陽光パネル22およびPV用パワーコンディショナ23は、スイッチ55を介して接続され、太陽光パネル22およびスイッチ55の間の接続点と、充電用コンバータ43およびスイッチ53との間の接続点とが、スイッチ54を介して接続される。
【0040】
蓄電池41は、電力を蓄積する複数のセルを有しており、太陽光パネル22または電力系統26から充電用コンバータ43を介して供給される電力が各セルに充電される。また、蓄電池41のセルに充電されている電力は、放電用インバータ44を介して、分電盤24に接続されている複数の負荷(図示せず)に供給される。
【0041】
バッテリマネジメントシステム42は、蓄電池41が有する複数のセルの状況を管理する。例えば、バッテリマネジメントシステム42は、蓄電池41の電圧、電流、および温度を測定し、その測定結果を制御用CPU46に供給する。
【0042】
充電用コンバータ43は、制御用CPU46の制御に従って、太陽光パネル22により発電された電力を、蓄電池41の充電状況に応じた電圧にDC/DC変換して、蓄電池41に供給して蓄電池41を充電する。また、充電用コンバータ43は、分電盤24を介して電力系統26から供給される電力を、AC/DC(Alternating Current/Direct Current)変換して、蓄電池41に供給して蓄電池41を充電する。
【0043】
放電用インバータ44は、蓄電池41から出力される電力を、DC/AC変換して、分電盤24に接続されている複数の負荷(図示せず)に供給する。なお、放電用インバータ44によりDC/AC変換された蓄電池41からの電力は、電力系統26に出力されないように制御される。
【0044】
表示部45は、制御用CPU46の制御に従って、各種の情報を表示する。例えば、表示部45は、太陽光パネル22による電力の発電量や、蓄電池41に蓄電されている電力の残量などを表示する。
【0045】
制御用CPU46は、太陽光パネル22による電力の発電量や、蓄電池41に充電されている電力の残量、時間帯(例えば、昼間または夜間)などに応じて、充電制御装置25が備える各ブロックに対する制御を行い、電力の充電または放電を制御する。
【0046】
例えば、太陽光パネル22により発電が行われ、蓄電池41に電力が十分に充電されているとき、制御用CPU46は、太陽光パネル22および蓄電池41の電力を放電するように制御を行う。
【0047】
即ち、図6に示すように、制御用CPU46は、スイッチ55をオンにするとともに、スイッチ54をオフにして、太陽光パネル22で発電された電力がPV用パワーコンディショナ23に供給されるように制御を行う。また、このとき、制御用CPU46は、スイッチ52をオンにして、放電用インバータ44を動作させる一方、充電用コンバータ43の動作を停止させるように制御を行う。これにより、太陽光パネル22で発電された電力がPV用パワーコンディショナ23によりDC/AC変換されて分電盤24に供給され、蓄電池41に充電されている電力が放電用インバータ44によりDC/AC変換されて分電盤24に供給される。
【0048】
また、例えば、太陽光パネル22により発電が行われず、蓄電池41に電力が十分に充電されていないとき、制御用CPU46は、分電盤24から充電用コンバータ43を介して供給される電力により蓄電池41を充電するように制御を行う。
【0049】
即ち、図7に示すように、制御用CPU46は、スイッチ52および53をオンにし、充電用コンバータ43を動作させる一方、放電用インバータ44の動作を停止させるように制御を行う。これにより、電力系統26から分電盤24を介して供給される電力が、充電用コンバータ43によりAC/DC変換されて蓄電池41に充電される。
【0050】
また、例えば、太陽光パネル22により発電が行われ、蓄電池41に電力が十分に充電されていないとき、制御用CPU46は、太陽光パネル22で発電された電力を蓄電池41に充電するように制御を行う。
【0051】
即ち、図8に示すように、制御用CPU46は、スイッチ52および54をオンにし、スイッチ53および55をオフにするとともに、充電用コンバータ43を動作させる一方、放電用インバータ44の動作を停止させるように制御を行う。これにより、太陽光パネル22で発電された電力が、充電用コンバータ43によりDC/DC変換されて蓄電池41に充電される。
【0052】
ここで、太陽光パネル22で発電された電力を蓄電池41に充電する場合には、図1Bを参照して説明したように、太陽光パネル22および蓄電池41の間に、1台の充電用コンバータ43が配置された構成となる。従って、充電用コンバータ43および制御用CPU46は、図2乃至図4を参照して説明したような充電制御方法により、蓄電池41に対する充電を行う。つまり、充電用コンバータ43は、太陽光パネル22の電圧電流曲線と入力電流Ii=変数a/入力電圧Viが示す曲線との交点で示される2箇所の動作点P1およびP2で太陽光パネル22から電力を取り出し、制御用CPU46は、動作点P1およびP2にそれぞれ対応する入力電圧の電圧差ΔViに従って出力電圧Vo1を調整する。
【0053】
図9は、充電用コンバータ43による第1の充電方法による処理を説明するフローチャートである。
【0054】
例えば、制御用CPU46が、太陽光パネル22の発電状況、および、蓄電池41の充電状況に基づいて、太陽光パネル22で発電された電力を蓄電池41に充電すると判断した場合、処理は開始される。
【0055】
ステップS11において、制御用CPU46は、充電用コンバータ43が蓄電池41に対して出力する出力電圧Vo1を決定し、充電用コンバータ43に対して設定する。例えば、制御用CPU46は、バッテリマネジメントシステム42により測定された蓄電池41の充電状況に応じた電圧に基づいて、その電圧より若干高い電圧値を、出力電圧Vo1として決定する。
【0056】
ステップS12において、制御用CPU46は、蓄電池41への充電を継続するか否かを判定する。例えば、制御用CPU46は、蓄電池41が満充電である場合や、太陽光パネル22の発電量では蓄電池41に充電を行うことができない状況である場合などに、蓄電池41への充電を継続しないと判定する。
【0057】
ステップS12において、制御用CPU46が蓄電池41への充電を継続すると判定した場合、処理はステップS13に進み、充電用コンバータ43は、設定されている出力電圧Vo1で電力を出力し、蓄電池41への充電を行う。
【0058】
ここで、図3を参照して説明したように、蓄電池41への充電を出力電圧Vo1で行うとき、太陽光パネル11の電圧電流曲線上にある2箇所の動作点P1およびP2で、太陽光パネル11を動作させることができる。充電用コンバータ43は、入力電圧Viを大きく走査(変化)させながら太陽光パネル22から電力を取り出し、出力電圧Voが出力電圧Vo1となる動作点P1およびP2を検出する。そして、充電用コンバータ43は、スイッチング素子のPWM(Pulse Width Modulation)制御を大きく異なる2パターンで行い、動作点P1およびP2を定期的に切り替えながら、太陽光パネル11から電力を取り出す。
【0059】
つまり、ステップS13において、充電用コンバータ43は、設定されている出力電圧Vo1で規定される動作点P1およびP2を定期的に切り替えながら太陽光パネル11から電力を取り出し、出力電圧Vo1で電力を出力して蓄電池41の充電を行う。
【0060】
ステップS14において、制御用CPU46は、充電用コンバータ43が太陽光パネル22から電力を取り出す2箇所の動作点P1およびP2について、動作点P1の入力電圧Vi1および動作点P2の入力電圧Vi2の電圧差ΔViを算出する。
【0061】
ステップS15において、制御用CPU46は、入力電圧Vi1および入力電圧Vi2の電圧差ΔViが、許容入力電圧差Va以上であるか否かを判定する。ここで、許容入力電圧差Vaは、この電圧差より電圧差ΔViが小さくなると出力電圧Vo1を低下させるように予め設定されている値である。
【0062】
ステップS15において、制御用CPU46が、動作点P1の入力電圧Vi1および動作点P2の入力電圧Vi2の電圧差ΔViが許容入力電圧差Va以上でないと判定した場合、処理はステップS16に進む。
【0063】
ステップS16において、制御用CPU46は、充電用コンバータ43の出力電圧Vo1を低下させる処理を行う。即ち、この場合、入力電圧Vi1および入力電圧Vi2の電圧差ΔViが小さく、太陽光パネル22の最大動作点P_maxに近いため、入力電流Ii=変数a/入力電圧Viが示す曲線を図4の左下方向にシフトさせる。例えば、制御用CPU46は、充電用コンバータ43が蓄電池41に対して出力する出力電圧Vo1を、充電用コンバータ43に現在設定されている出力電圧Vo1から電圧ステップ幅ΔV1を減算した値(Vo1=Vo1−ΔV1)に設定する。ここで、電圧ステップ幅ΔV1は、出力電圧が低下するように調整させる場合の調整量として予め設定されている値である。
【0064】
一方、ステップS15において、制御用CPU46が、入力電圧Vi1および入力電圧Vi2の電圧差ΔViが許容入力電圧差Va以上であると判定した場合、処理はステップS17に進む。
【0065】
ステップS17において、制御用CPU46は、入力電圧Vi1および入力電圧Vi2の電圧差ΔViが、バッファ入力電圧差Vb以下であるか否かを判定する。ここで、バッファ入力電圧差Vbは、この電圧差より電圧差が大きくなると出力電圧を増加させるように予め設定されている値である。
【0066】
ステップS17において、制御用CPU46が、入力電圧Vi1および入力電圧Vi2の電圧差ΔViがバッファ入力電圧差Vb以下でないと判定した場合、処理はステップS18に進む。
【0067】
ステップS18において、制御用CPU46は、充電用コンバータ43の出力電圧Vo1を増加させる処理を行う。即ち、この場合、入力電圧Vi1および入力電圧Vi2の電圧差ΔViが大きく、太陽光パネル22の最大動作点P_maxから遠いため、入力電流Ii=変数a/入力電圧Viが示す曲線を図4の右上方向にシフトさせる。例えば、制御用CPU46は、充電用コンバータ43が蓄電池41に対して出力する出力電圧Vo1を、充電用コンバータ43に現在設定されている出力電圧Vo1に電圧ステップ幅ΔV2を加算した値(Vo1=Vo1+ΔV2)に設定する。ここで、電圧ステップ幅ΔV2は、出力電圧が増加するように調整させる場合の調整量として予め設定されている値である。
【0068】
一方、ステップS17において、制御用CPU46が、入力電圧Vi1および入力電圧Vi2の電圧差ΔViがバッファ入力電圧差Vb以下であると判定した場合、処理はステップS19に進む。即ち、この場合、入力電圧Vi1および入力電圧Vi2の電圧差ΔViは、許容入力電圧差Vaおよびバッファ入力電圧差Vbにより規定される適切な所定範囲内になっている。
【0069】
ステップS19において、制御用CPU46は、充電用コンバータ43の出力電圧Vo1を現在設定されている値で維持させる。
【0070】
また、ステップS16、S18、またはS19の処理後、処理はステップS12に戻り、以下、同様の処理が行われる。
【0071】
そして、ステップS12において、制御用CPU46が、蓄電池41への充電を継続しないと判定した場合、処理は終了される。
【0072】
以上のように、充電制御装置25では、入力電圧Vi1および入力電圧Vi2の電圧差ΔViに従って、出力電圧Vo1が、最大動作点P_maxの近傍となるように調整されるので、より効率良く充電を行うことができる。また、動作点P1およびP2が存在しない状態になることを回避することで、太陽光パネル11の動作が不安定になることを回避する。
【0073】
図10は、充電用コンバータ43による第2の充電方法による処理を説明するフローチャートである。
【0074】
ステップS31乃至S34において、図9のステップS11乃至S14と同様の処理が行われ、制御用CPU46は、設定されている出力電圧Vo1で規定される動作点P1およびP2に対応する入力電圧Vi1および入力電圧Vi2の電圧差ΔViを算出する。
【0075】
ステップS35において、制御用CPU46は、予め設定されている電圧差ΔViの関数に基づいて、出力電圧を調整する調整量F(ΔVi)を求める。そして、制御用CPU46は、充電用コンバータ43が蓄電池41に対して出力する出力電圧Vo1を、充電用コンバータ43に現在設定されている出力電圧Vo1に調整量F(ΔVi)を加算した値(Vo1=Vo1+F(ΔVi))に設定する。
【0076】
ここで、調整量F(ΔVi)は、例えば、係数α、係数β、および係数γとして太陽光の照射状況に応じて学習を行うことで適切な係数を設定し、調整量F(ΔVi)=α×ΔVi+β×ΔVi+γで表される数式とすることができる。
【0077】
以上のように、充電制御装置25では、電圧差ΔViの関数に基づいて求められる調整量F(ΔVi)により出力電圧Vo1を調整することにより、より効率良く充電を行うことができる。
【0078】
図11は、充電用コンバータ43による第3の充電方法による処理を説明するフローチャートである。
【0079】
ステップS51において、制御用CPU46は、充電用コンバータ43が蓄電池41に対して出力する出力電圧Vo1を決定し、充電用コンバータ43に対して設定する。また、制御用CPU46は、所定のカウント値nを初期値としての1に設定する。
【0080】
ステップS52において、充電用コンバータ43は、入力電圧Viを広い範囲で走査しながら太陽光パネル22から電力を取り出す。
【0081】
ステップS53において、充電用コンバータ43は、出力電圧Voが出力電圧Vo1となる動作点P1およびP2を検出する。
【0082】
ステップS54において、制御用CPU46は、蓄電池41への充電を継続するか否かを判定し、蓄電池41への充電を継続すると判定した場合、処理はステップS55に進む。
【0083】
ステップS55において、現在の動作点P1およびP2に対応する入力電圧Vi1およびVi2の近傍で入力電圧Viを走査し、出力電圧Voが出力電圧Vo1となる動作点P1およびP2を新たに検出する。なお、ステップS55の処理は、カウント値nが1の場合はスキップされ、カウント値nが1以外の場合のみ行われる。
【0084】
ステップS56およびS57において、図10のステップS34および35と同様に、制御用CPU46は、入力電圧Vi1および入力電圧Vi2の電圧差ΔViを算出し、出力電圧を調整する調整量F(ΔVi)を求めて、出力電圧Vo1を調整する。
【0085】
ステップS58において、制御用CPU46は、カウント値nをインクリメントし(n=n+1)、処理はステップS54に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
【0086】
以上のように、充電制御装置25では、動作点P1およびP2を検出した後は、入力電圧Vi1およびVi2の近傍で入力電圧Viを走査することにより動作点P1およびP2を新たに検出するので、入力電圧Viの走査範囲が狭くてよく、より効率的に出力電圧Vo1を調整することができる。
【0087】
なお、本技術は、太陽光パネル22により発電された電力を蓄電池41に充電するシステムの他、風力発電や、燃料電池、コージェネレーションなどの各種の発電手段(分散電源)により発電された電力を蓄電池41に充電するシステムに適用することができ、太陽光パネル22と同様の制御方法で充電を行うことができる。また、それらの発電手段が組み合わされたシステムに適用してもよい。
【0088】
なお、上述のフローチャートを参照して説明した各処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含むものである。
【0089】
なお、本実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0090】
11 太陽光パネル
12 蓄電池
13 整流手段
14乃至16 DC/DCコンバータ
21 太陽光発電システム
22 太陽光パネル
23 PV用パワーコンディショナ
24 分電盤
25 充電制御装置
26 電力系統
41 蓄電池
42 バッテリマネジメントシステム
43 充電用コンバータ
44 放電用インバータ
45 表示部
46 制御用CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電を行う発電手段から電力を取り出し、蓄電池の充電に必要な電圧に変換する変換手段と、
前記変換手段から出力される出力電圧を調整する調整手段と
を備え、
前記変換手段は、前記出力電圧で前記発電手段から取り出し可能な2箇所の動作点で、前記発電手段から電力を取り出して前記蓄電池を充電し、
前記調整手段は、前記2箇所の動作点にそれぞれ対応する入力電圧の電圧差に従って、前記出力電圧を調整する
充電制御装置。
【請求項2】
前記調整手段は、前記入力電圧の電圧差を変数とした所定の関数に従って、前記出力電圧を調整する
請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項3】
前記調整手段は、前記入力電圧の電圧差が、所定の第1の設定値以上でない場合には前記出力電圧を低減させ、前記入力電圧の電圧差が、所定の第2の設定値以下でない場合には前記出力電圧を増加させるように、前記出力電圧を調整する
請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項4】
前記変換手段は、前記発電手段から取り出される電力の電圧を広範囲で変更させ、出力する電圧が前記調整手段により調整された前記出力電圧となる前記2箇所の動作点を検出する
請求項1乃至3のいずれかに記載の充電制御装置。
【請求項5】
前記変換手段は、前記2箇所の動作点を検出した後、その2箇所の動作点に対応する前記入力電圧の近傍で、前記発電手段から取り出される電力の電圧を変更させ、前記2箇所の動作点を新たに検出して、前記出力電圧を調整する処理を繰り返す
請求項4に記載の充電制御装置。
【請求項6】
前記発電手段で発電された電力を前記蓄電池に充電する際に前記発電手段と前記蓄電池とを接続する配線に、電力を変換する手段として前記変換手段のみが配置されている
請求項1乃至5のいずれかに記載の充電制御装置。
【請求項7】
太陽光の照射に応じて発電を行う太陽光パネルから電力を取り出し、蓄電池の充電に必要な電圧に変換する変換手段と、
前記変換手段から出力される出力電圧を調整する調整手段と
を備え、
前記変換手段は、前記出力電圧で前記太陽光パネルから取り出し可能な2箇所の動作点で、前記太陽光パネルから電力を取り出して前記蓄電池を充電し、
前記調整手段は、前記2箇所の動作点にそれぞれ対応する前記入力電圧の電圧差に従って、前記出力電圧を調整する
太陽光発電システム。
【請求項8】
発電を行う発電手段から電力を取り出し、蓄電池の充電に必要な電圧に変換する変換手段と、
前記変換手段から出力される出力電圧を調整する調整手段と
を備える充電制御装置の充電制御方法において、
前記変換手段は、前記出力電圧で前記発電手段から取り出し可能な2箇所の動作点で、前記発電手段から電力を取り出して前記蓄電池を充電し、
前記調整手段は、前記2箇所の動作点にそれぞれ対応する前記入力電圧の電圧差に従って、前記出力電圧を調整する
ステップを含む充電制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−115993(P2013−115993A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262052(P2011−262052)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】