説明

充電装置

【課題】 性能の異なる複数種の二次電池に対しそれぞれ最適な充電停止制御を行えるようにし、これにより安全でかつ二次電池の能力を最大限生かし得る充電を可能にする。
【解決手段】 二次電池60が満充電に達する前に充電タイマ時間がしきい値を超えた場合に、EEPROM54に記憶されている充電時間しきい値が二次電池60の性能に対応していない可能性があると判断し、充電モードを急速充電モードから小電流充電モードに切り替えて引き続き充電を行う。そして、この小電流充電により二次電池60が満充電に達した場合に、この時点での充電タイマの計時値をもとに新たな充電時間しきい値を算出してEEPROM54の値を更新するようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、性能の異なる複数種の二次電池を充電するための充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アルカリ系二次電池を急速充電する装置として、例えば−ΔV制御を採用した装置が知られている。−ΔV制御は、充電末期において二次電池の端子電圧がピークに達したのち低下する特性を利用して充電を制御するものである。また、この種の充電装置は一般に、上記端子電圧の検出に失敗した場合に備え、充電時間タイマや積算充電容量を用いた充電停止制御を併用している。この制御は、充電対象となる二次電池の性能に応じて充電時間タイマや積算充電容量の限界値を予め設定し、この設定された値を充電装置内のROMに予め記憶しておくか、又は回路部品の時定数として予め設定しておく。そして、充電動作中にこの設定値を参照することで充電動作を停止するものである(例えば、特許文献1を参照。)。
【特許文献1】特開平7−312229号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、この種の充電装置では、充電時間タイマや積算充電容量の限界値が予め固定的に設定されている。このため、性能の異なる他種の二次電池を充電しようとすると充電停止制御が正しく行われない。例えば、充電装置の出荷当初に充電対象として想定していた二次電池より高容量の二次電池が販売された場合に、この二次電池を充電しようとすると当該電池が備える容量まで充電されないうちに充電停止制御機能が働いて充電動作が停止されてしまう。このため、二次電池が持つ能力を十分に生かすことができない。
【0004】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、性能の異なる複数種の二次電池に対しそれぞれ最適な充電停止制御を行えるようにし、これにより安全でかつ二次電池の能力を最大限生かし得る充電を可能にする充電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために第1の発明に係わる充電装置は、満充電に対応して設定された充電時間又は積算充電容量のしきい値を記憶手段に記憶する。そして、二次電池に対し第1の充電モードにより充電を行っている状態で、その充電時間又は積算充電容量が上記記憶されたしきい値を超えたか否かと、当該二次電池が満充電に達したか否かをそれぞれ判定し、上記充電時間又は積算充電容量がしきい値を超えた時点で上記二次電池が満充電に達していないと判定された場合に、当該二次電池に対し第2の充電モードにより充電を行う。そして、この第2の充電モードによる充電中に、当該二次電池が満充電に達したか否かを判定し、二次電池が満充電に達したと判定された場合に、その時点における通算充電時間又は積算充電容量をもとに上記記憶手段に記憶されたしきい値を変更するようにしたものである。
【0006】
したがって第1の発明によれば、第1の充電モードによる充電動作中に、その充電時間又は積算充電容量がしきい値を超えても二次電池が満充電に達していないと判定された場合には、充電モードが第2の充電モードに変更されて充電動作が継続される。このため、充電装置の出荷当初に充電対象として想定されていた二次電池より高容量の二次電池に対し充電を行った場合でも、当該電池が備える容量まで十分に充電することが可能となり、これにより二次電池が持つ能力を十分に生かすことができる。
【0007】
また、第2の充電モードによる充電動作により満充電に達した時点での通算充電時間又は積算充電容量をもとに、充電装置内の記憶手段に記憶されたしきい値が自動的に変更される。このため、以後この充電装置を使用して同種の二次電池を充電する場合には、第1の充電モードのみを使用して効率の良い充電を行うことが可能となる。
【0008】
上記記憶手段に記憶されたしきい値の変更手段は、第2の充電モードによる充電により二次電池が満充電に達したのち、当該二次電池を放電させてその放電所要時間又は積算放電容量を算出し、この算出された放電所要時間又は積算放電容量をもとに記憶手段に記憶されたしきい値を変更するように構成してもよい。
このような構成においても、充電装置内の記憶手段に記憶されたしきい値を自動変更することができ、以後この充電装置を使用して同種の二次電池を充電する場合には、第1の充電モードにより最大容量まで充電を行うことが可能となる。
【0009】
また、上記第2の充電モードで使用する充電電流値は、第1の充電モードで使用する第1の充電電流値より小さい第2の充電電流値とするとよい。このようにすると、過充電等を起こすことなく満充電まで確実に充電することができる。
【0010】
なお、上記第1の発明に関連する技術として以下のようなものが考えられる。すなわち、充電端子が設けられた電池収容部を備える充電ユニットと、この充電ユニットの電池収容部に着脱自在に装着可能な複数の疑似電池ユニットとを備える。疑似電池ユニットは、性能の異なる複数種の二次電池の各々に対応して用意され、対応する二次電池の性能に関連する情報を保持する。一方上記充電ユニットは、電池収容部に上記疑似電池ユニットが装着された場合に、当該疑似電池ユニットから上記保持された二次電池の性能に関連する情報を取得し、この取得された二次電池の性能に関連する情報に基づいて、充電ユニット内の記憶手段に記憶されている充電制御情報を第1の情報から第2の情報に変更する。そして、電池収容部に上記疑似電池ユニットに替えて当該疑似電池ユニットに対応する二次電池が装着された場合に、当該二次電池に対し上記記憶手段に記憶された充電制御情報に従い充電を行うようにしたものである。
【0011】
したがって、二次電池の充電に先立ち、当該二次電池に対応する疑似電池ユニットを電池収容部に装着すると、この疑似電池ユニットに保持されている二次電池の性能に関する情報をもとに充電ユニット内の記憶手段に記憶されている充電制御情報が変更される。したがって、この状態で上記二次電池を電池収容部に装着して充電すれば、当該二次電池に対しその性能に応じた充電制御情報に基づいて充電が行われる。このため、過充電等に対する安全性を確保した上で、二次電池が持つ容量まで常に充電することができ、これにより二次電池が個々に持つ能力を十分に生かすことが可能となる。
【0012】
上記関連技術には、次のような各種具体的構成が考えられる。
(1)第1の構成は、疑似電池ユニットに二次電池の性能に関連する第2の情報を記憶するメモリを備え、電池収容部に上記疑似電池ユニットが装着された場合に、充電ユニットにより、当該疑似電池ユニットのメモリから上記第2の情報を読み出し、充電ユニット内の記憶手段に記憶されている充電制御情報を第1の情報から上記読み出された第2の情報に書き換えるものである。
この構成であれば、第2の情報をメモリに記憶させることにより、二次電池の性能に関連する情報をその形式や量に関係なく正確に保持することができ、また疑似電池ユニットの生産性を高めることができる。
【0013】
上記メモリから第2の情報を読み出す手段としては、具体的に次のような構成が考えられる。
(i)疑似電池ユニットに上記メモリを外部に接続するための第1の通信端子を設けるとともに、充電ユニットに上記第1の通信端子に接続される第2の通信端子を設ける。そして、充電ユニットは、電池収容部に疑似電池ユニットが装着された状態で、上記第1及び第2の通信端子を介して上記疑似電池ユニットのメモリから上記第2の情報を読み出す。
【0014】
(ii)疑似電池ユニットに、電池収容部に装着された状態で充電端子に接続される通信端子を設ける。そして、充電ユニットは、電池収容部に疑似電池ユニットが装着されたとき、上記充電端子への充電電流の供給を遮断した状態で上記充電端子及び通信端子を介して疑似電池ユニットのメモリから第2の情報を読み出す。
【0015】
上記(i)によれば、メモリの記憶情報を専用の第1及び第2の通信端子を介して常に確実に読み出すことができる。一方、(ii)によれば、充電ユニットに既に設けられている充電端子を、メモリから情報を読み出すための通信端子として兼用することができ、これにより端子数を減らして充電ユニットの構成を簡素化することができる。
【0016】
(2)第2の構成は、疑似電池ユニットに、二次電池の性能に関連する情報を回路定数により表した回路素子を設け、電池収容部に上記疑似電池ユニットが装着された場合に、充電ユニットは当該疑似電池ユニットの上記回路素子の回路定数を二次電池の性能に関連する情報として検出するものである。
このように構成すると、メモリを用いる場合に比べ疑似電池ユニットを安価に実現できる。
【0017】
上記二次電池の性能に関連する情報を回路定数により表す手段としては、次のような構成が考えられる。すなわち、疑似電池ユニットに、充電ユニットの電池収容部に装着された状態で回路素子を充電端子に接続する端子を設ける。そして、電池収容部に疑似電池ユニットが装着された状態で、充電ユニットから上記回路素子に対し上記充電端子を介して検出電流を供給し、上記回路素子を介して流れる検出電流の値と当該回路素子の両端に発生する電圧値とから回路定数を検出する。
このような構成によれば、充電ユニットが備える既存の充電端子を使用して回路素子から回路定数を取得することができる。
【発明の効果】
【0018】
したがってこの発明によれば、性能の異なる複数種の二次電池に対しそれぞれ最適な充電停止制御を行うことができ、これにより安全でかつ二次電池の能力を最大限生かし得る充電を可能にする充電装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(第1の実施形態)
この発明の第1の実施形態は、二次電池に対し急速充電モードで充電を行っている状態で、充電ユニットにおいて、充電時間が予め充電制御値として記憶されたしきい値を超えたか否かと、当該二次電池が満充電に達したか否かをそれぞれ監視する。そして、上記充電時間がしきい値を超えた時点で上記二次電池がまだ満充電に達していない場合には、充電モードを急速充電モードから小電流充電モードに切り替えて引き続き充電を行う。そして、この小電流充電モードによる充電中に当該二次電池が満充電に達したか否かを監視し、二次電池が満充電に達したと判定された時点で通算充電時間を算出して、この算出された通算充電時間をもとに上記充電時間のしきい値を新たな値に更新するようにしたものである。
【0020】
図11は、この発明の第1の実施形態に係わる充電装置の回路構成を示すブロック図である。この実施形態に係わる充電装置は、定電流充電回路51と、中央処理部(CPU)52Aと、このCPU52Aに対し動作電源を供給するCPU電源回路53と、EEPROM54と、充電制御スイッチ55と、電流測定回路56と、温度検出回路57とを備えている。
【0021】
このうちCPU52Aはマイクロコンピュータからなり、充電制御値の更新制御機能を備える。この機能は図示しないプログラムメモリに格納されたプログラムを実行することにより実現される。
充電制御値の更新制御機能は、二次電池60に対し急速充電モードで充電を行っている状態で、充電時間がしきい値を超えたか否かと、二次電池60が満充電に達したか否かをそれぞれ監視する。そして、上記充電時間がしきい値を超えた時点で二次電池60がまだ満充電に達していない場合には、充電モードを急速充電モードから小電流充電モードに切り替えて引き続き充電を行う。そして、この小電流充電モードによる充電中に二次電池60が満充電に達したか否かを監視し、二次電池60が満充電に達したと判定された時点で通算充電時間を算出して、この算出された通算充電時間をもとに上記充電時間のしきい値を新たな値に更新する。
【0022】
次に、以上のように構成された装置による充電制御値の更新制御を説明する。図12は、その制御手順及び制御内容を示すフローチャートである。
二次電池60を充電装置に装着すると、CPU52Aはステップ11aによりEEPROM54から充電タイマのしきい値を読み出した後、ステップ11bにおいて充電制御スイッチ55をオンし、これにより先ず急速充電モードによる充電制御を開始する。また、このとき同時に充電タイマの計時をスタートさせる。
【0023】
さて、この急速充電期間中にCPU52Aは、ステップ11cにより満充電の監視を行いながら、ステップ11dにおいて充電タイマの計時値を上記読み出されたしきい値と比較する。上記満充電の監視は、二次電池60の端子間電圧、電流測定回路56により検出される充電電流値、或いは温度検出回路57により検出される電池温度を監視することにより行われる。満充電の検出方式としては、例えばΔV方式や温度微分方式が使用される。そして、充電タイマの計時値がしきい値に達する前に満充電になったことが検出されると、CPU52Aはこの時点で充電制御スイッチ55をオフし、急速充電を終了する。
【0024】
一方、上記満充電が検出される前に充電タイマの計時値がしきい値を超えたとする。この場合CPU52Aは、EEPROM54に記憶されていた充電時間のしきい値が二次電池60の性能に対応していない可能性があると判断し、ステップ11eに移行してここで充電モードを急速充電モードから小電流充電モードに切り替え、引き続きこの小電流充電モードにより充電を行う。小電流充電モードにおける充電電流値は、実験結果をもとに二次電池ごとに最適な値を設定するのがよい。例えば、AAサイズの二次電池であれば、発熱が比較的少ない500mA以下の値に設定するのが好ましい。
【0025】
上記小電流充電モードによる充電期間中にCPU52Aは、ステップ11fにおいて二次電池60が満充電に達したか否かを監視する。そして、満充電に達したことが検出されると、充電電流の供給を停止した後、ステップ11gに移行する。そして、このステップ11gにおいて新しい充電時間しきい値を算出し、EEPROM54に記憶された値をこの算出された新たな充電時間しきい値に更新する(ステップ11h)。なお、上記充電時間しきい値は、二次電池60が満充電になるまでの充電タイマの計時値から算出してもよいし、充電電流を積算した充電容量から算出することもできる。
【0026】
以上述べたように第1の実施形態では、二次電池60が満充電に達する前に充電タイマ時間がしきい値を超えた場合に、EEPROM54に記憶されている充電時間しきい値が二次電池60の性能に対応していない可能性があると判断し、充電モードを急速充電モードから小電流充電モードに切り替えて引き続き充電を行う。そして、この小電流充電により二次電池60が満充電に達した場合に、この時点での充電タイマの計時値をもとに新たな充電時間しきい値を算出してEEPROM54の値を更新するようにしている。
【0027】
したがって、二次電池60に対し実際に充電を行いながら、EEPROM54の充電時間しきい値を当該二次電池60の性能に対応した最適な値に自動更新することができる。このため、如何なる種類の二次電池に対しても、当該二次電池の性能に応じた充電制御値に基づいて常に適切な充電制御が行われ、これにより二次電池60が持つ容量まで確実に充電して、二次電池60が個々に持つ能力を十分に生かすことが可能となる。また、二次電荷値の種類ごとに高価な充電装置を購入する必要がなくなり、これによりユーザの費用負担は軽減される。
【0028】
(第2の実施形態)
この発明の第2の実施形態は、急速充電モードによる充電中において、二次電池が満充電に達する前に充電タイマ時間がしきい値を超えた場合に、その旨をユーザに報知する。そして、この報知に対しユーザが容量測定を促す操作を行った場合に、充電モードを小電流充電モードに切り替えて引き続き充電を行い、この小電流充電により二次電池が満充電に達すると、以後当該二次電池を強制放電させてその放電量を求め、この放電量から新たな充電時間しきい値を算出してEEPROMの値を更新するようにしたものである。
【0029】
図13はこの発明の第2の実施形態に係わる充電装置の外部構成を示す斜視図、図14は当該充電装置の回路構成を示すブロック図である。なお、図14において前記図11と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
この実施形態に係わる充電装置の充電ユニット1Fは、箱形をなす筐体の上面部に電池収容部10を設けたもので、この電池収容部10の相対向する2つの内側面にはそれぞれ電源接続端子21〜24,31〜34が配設してある。これらの電源接続端子21〜24,31〜34は4対の充電端子を構成し、充電対象の二次電池はこれらの充電端子間に装着される。また、電池収容部10の底面部には通信接続端子5が設けてある。この通信接続端子5は、後述する疑似二次電池4Aから充電制御情報を取り込むための端子として使用される。なお、6は商用電源用のACプラグである。
【0030】
ところで、充電ユニット1Fには容量測定スイッチ61及びLED62が設けてある。LED62は、二次電池60が満充電に達する前に充電タイマ時間がしきい値を超えた場合に点灯する。容量測定スイッチ61は、ユーザが充電ユニット1Fに二次電池60の容量測定動作を行わせる際に操作するスイッチである。
【0031】
また充電ユニット1Fには、放電制御スイッチ58と、定電流放電回路59が新たに設けてある。放電制御スイッチ58は、CPU52Bからの制御信号によりオンされる。定電流放電回路59は、上記放電制御スイッチ58がオンされた状態で二次電池60を放電させる。
【0032】
CPU52Bは、充電制御値の更新制御機能を備えている。この制御機能は図示しないプログラムメモリに格納されたプログラムを実行することにより実現される。充電制御値の更新制御機能は、急速充電モードによる充電中において、二次電池60が満充電に達する前に充電タイマ時間がしきい値を超えた場合に、LED62を点灯させる。この状態で、ユーザが容量測定スイッチ61をオン操作すると、充電モードを急速充電モードから小電流充電モードに切り替えて引き続き充電を行う。そして、この小電流充電により二次電池60が満充電に達すると、放電制御スイッチ58をオンさせて二次電池60を定電流放電回路59により放電させ、その放電量を電流測定回路56の測定値から計算する。そして、その計算値をもとに新たな充電時間しきい値を算出し、EEPROM54の記憶値を更新する。
【0033】
次に、以上のように構成された装置による充電制御値の更新制御を説明する。図15はその制御手順及び制御内容を示すフローチャートであり、前記図12と同一部分には同一符号を付してある。
急速充電期間中にCPU52Bは、ステップ11cにより満充電の監視を行いながら、ステップ11dにおいて充電タイマの計時値を上記読み出されたしきい値と比較する。そして、充電タイマの計時値がしきい値に達する前に満充電になったことが検出されると、CPU52Bはこの時点で充電制御スイッチ55をオフし、急速充電を終了する。
【0034】
一方、上記満充電が検出される前に充電タイマの計時値がしきい値を超えたとする。この場合CPU52Bは、EEPROM54に記憶されていた充電時間のしきい値が二次電池60の性能に対応していない可能性があると判断し、ステップ14aにおいてLED62を点灯させる。このLED62の点灯によりユーザは、充電装置が二次電池60の性能に対応していない可能性があることを知ることができる。
【0035】
この状態でユーザが容量測定スイッチ61をオンとしたとする。そうすると、CPU52Bはステップ14bからステップ11eに移行して、ここで充電モードを急速充電モードから小電流充電モードに切り替え、この小電流充電モードにより引き続き充電を行う。この小電流充電モードによる充電期間中にCPU52Bは、ステップ11fにおいて二次電池60が満充電に達したか否かを監視する。そして、満充電に達したことが検出されると、充電電流の供給を停止した後ステップ14cに移行し、ここで放電制御スイッチ58をオンにして、二次電池60を定電流放電回路59により放電させる。また、この放電中にCPU52Bは、電流測定回路56により測定された放電電流値を取り込みその積算値を計算する。
【0036】
またCPU52Bは、上記放電中に一定の周期で電池電圧情報を取り込み、この取り込まれた電池電圧が予め設定した放電終始電圧以下になったか否かを判定する。そして、上記二次電池60の電池電圧が放電終止電圧以下に低下すると、CPU52Bは放電制御スイッチ58をオフしたのちステップ14eに移行し、放電中に放電電流値を積算することにより算出した放電容量をCPU52B内のメモリから読み出し、この読み出された放電容量から二次電池60の充電制御しきい値を算出する。なお、上記放電時間長をタイマにより計時し、この放電時間の計時値から上記充電制御しきい値を算出するようにしてもよい。そしてCPU52Bは、ステップ14fにおいて、EEPROM54に記憶された値を上記算出された新たな充電制御値に更新する。
【0037】
以上述べたように第2の実施形態では、充電装置が二次電池60の性能に対応していない可能性がある場合に、ユーザの操作に応じて二次電池60の容量測定が行われ、この測定結果から二次電池60の性能に対応した新たな充電制御しきい値が算出されて、EEPROM54の記憶値がこの新たなしきい値に更新される。
【0038】
したがって、如何なる種類の二次電池に対しても、当該二次電池の性能に応じた充電制御しきい値に基づいて常に適切な充電制御が行われ、これにより二次電池が持つ容量まで確実に充電して、二次電池が個々に持つ能力を十分に生かすことが可能となる。また、二次電荷値の種類ごとに高価な充電装置を購入する必要がなくなり、これによりユーザの費用負担は軽減される。
【0039】
この発明に関連する技術として、以下のような各技術が考えられる。
(第1の関連技術)
この発明の第1の関連技術は、充電ユニットと、疑似二次電池とを備え、疑似二次電池に二次電池の充電制御情報が記憶された不揮発性メモリ及びこの不揮発性メモリに記憶された情報を読み出すための通信端子を設け、一方充電ユニットには上記疑似二次電池の通信端子に接続可能な通信端子を設ける。そして、上記二次電池の充電に先立ち、疑似二次電池を充電ユニットの電池収容部に装着した時に、疑似二次電池内の不揮発性メモリから上記各通信端子を介して充電制御情報を充電ユニット内に取り込み、充電ユニットはこの取り込んだ充電制御情報に基づいて、充電ユニット内のメモリに記憶されている充電制御情報を変更する。そして、以後この変更された充電制御情報に従い上記二次電池に対する充電を行うようにしたものである。
【0040】
図1はこの発明の第1の関連技術に係わる充電装置の外観を示す斜視図、図2は当該充電装置の回路構成を示すブロック図である。
この充電装置は、充電ユニット1Aと、疑似二次電池4Aとから構成される。充電ユニット1Aは、箱形をなす筐体の上面部に電池収容部10を設けたもので、この電池収容部10の相対向する2つの内側面にはそれぞれ電源接続端子21〜24,31〜34が配設してある。これらの電源接続端子21〜24,31〜34は4対の充電端子を構成し、充電対象の二次電池はこれらの充電端子間に装着される。また、電池収容部10の底面部には通信接続端子5が設けてある。この通信接続端子5は、後述する疑似二次電池4Aから充電制御情報を取り込むための端子として使用される。なお、6は商用電源用のACプラグである。
【0041】
一方、疑似二次電池4Aは、充電対象の二次電池と同形状及び同寸法に構成された円筒形をなすもので、その両端には電源接続端子411A,412Aが設けてある。また、側周面には通信接続端子42Aが設けてある。この通信接続端子42Aは、疑似二次電池4Aを電池収容部10に装着したとき、上記充電ユニット1Aの通信接続端子5に電気的に接続される。
【0042】
ところで、上記疑似二次電池4A内には、図2に示すようにROM(Read Only Memory)43と、ROM電源回路44が設けられている。ROM43には、充電対象の二次電池の性能に関連する充電制御情報が予め記憶されている。この充電制御情報は、例えば二次電池が有する容量に応じて設定される充電時間タイマまたは積算充電容量の値からなる。
【0043】
これに対し充電ユニット1Aは、定電流充電回路11と、中央処理部(CPU;Central Processing unit)12Aと、このCPU12Aに対し動作電源を供給するCPU電源回路13と、EEPROM(Electrically Erasable And Programmable Read Only Memory)14と、充電制御スイッチ15とを備えている。なお、充電ユニット1Aには、商用電源出力を変圧し整流するための回路と、充電中の二次電池の電圧、温度及び充電電流値を測定する回路も設けられるが、ここでは図示を省略している。
【0044】
CPU12Aは例えばマイクロコンピュータからなり、充電制御情報の更新制御機能と、充電停止制御機能とを備える。これらの機能はいずれも図示しないプログラムメモリに格納されたプログラムを実行することにより実現される。充電制御情報の更新制御機能は、上記疑似二次電池4Aが電池収容部10の所定位置に装着されたときに、当該疑似二次電池4A内のROM43から通信接続端子5を介して充電制御情報を取り込む。このとき疑似二次電池4Aとの間の通信方式としては、例えばシリアル通信方式が使用されるが、通信接続端子を増設することで2線式や3線式の通信方式を使用することもできる。そして、EEPROM14に記憶されている充電制御情報を、上記取り込まれた新たな充電制御情報に書き換える。
【0045】
充電停止制御機能は、電池収容部10に二次電池が装着された場合に、上記EEPROM14に記憶された上記充電制御情報に基づいて充電動作を監視する。そして、この充電制御情報により規定される充電時間タイマ値または積算充電容量値に達しても、二次電池が満充電に至らない場合に、充電制御スイッチ15をオフにして充電動作を停止させる。
【0046】
次に、以上のような充電装置の動作を説明する。
疑似二次電池4Aは、性能の異なる複数種類の二次電池の各々に対応して用意され、それぞれ対応する二次電池の充電制御情報がROM43に記憶されている。一方、充電ユニット1AのEEPROM14には、充電対象として予め定められた通常の二次電池の充電制御情報が予め書き込まれている。
【0047】
上記通常の二次電池を充電する場合には、当該二次電池を充電ユニット1Aの電池収容部10に装着することで、EEPROM14に記憶されたこの二次電池に対応する充電制御情報に応じて充電停止制御が行われる。
【0048】
一方、上記通常の二次電池とは充電容量の異なる別種類の二次電池を充電する場合には、充電に先立ち、当該別種類の二次電池に対応付けて用意された疑似二次電池4Aを充電ユニット1Aの電池収容部10に装着する。そうすると、充電ユニット1Aでは充電制御スイッチ15がオンとなり、これにより定電流充電回路11の定電流が充電制御スイッチ15及び電源接続端子411Aを介して疑似二次電池4AのROM電源回路44に供給され、このROM電源回路44によりROM43用の電源電圧に変換されたのちROM43に供給される。
【0049】
この状態で充電ユニット1AのCPU12Aは、通信接続端子5,42Aを介して疑似二次電池4A内のROM43との間でシリアル通信を行い、これによりROM43に記憶されている充電制御情報を読み込む。そして、EEPROM14に記憶されている充電制御情報を、上記取り込まれた新たな充電制御情報に書き換える。かくして、充電ユニット1Aに設定された充電制御情報が更新される。
【0050】
したがって、上記充電制御情報の変更後に、上記別種類の二次電池を充電ユニット1Aの電池収容部10に装着し充電を開始すると、当該二次電池は上記変更された充電制御情報に基づいて充電停止制御される。このため、上記別種類の二次電池は、満充電に至る前に充電が停止されることなく、当該二次電池が持つ容量まで確実に充電される。したがって、二次電池が持つ能力を十分に生かすことができる。
【0051】
以上のように第1の関連技術では、二次電池の種類に対応する充電制御情報をROM43に記憶した疑似二次電池4Aを用意し、二次電池の充電に先立ちこの疑似二次電池4Aを充電ユニット1Aに装着し、この疑似二次電池4Aから充電制御情報を充電ユニット1Aに読み込んでEEPROM14に記憶されている充電制御情報を更新するようにしている。
【0052】
したがって、如何なる種類の二次電池に対し充電を行う場合にも、当該各二次電池の性能に応じた充電制御情報に基づいて充電停止制御が行われる。このため、過充電等に対する安全性を確保した上で、二次電池が持つ容量まで確実に充電することができ、これにより二次電池が個々に持つ能力を十分に生かすことができる。また、高価な充電ユニットを買い替えることなく、安価な疑似二次電池4Aのみを購入するだけで、新たな性能の二次電池に対応できる。
【0053】
さらにこの関連技術では、充電制御情報をROM43に記憶させるようにしているので、二次電池の充電制御情報をその形式や量に関係なく正確に保持することができる。また、ROM43の充電制御情報を専用の通信接続端子5,42Aを介して常に確実に読み出すことができる。
【0054】
(第2の関連技術)
この発明の第2の関連技術は、疑似二次電池の両端に通信接続端子を設けると共に、充電ユニットの電源接続端子の一部を通信兼用端子とする。また充電ユニットには切替スイッチを設け、電池収容部に疑似二次電池が装着されたとき、この切替スイッチを切り替えることで上記充電ユニットの電源接続端子への充電電流の供給を遮断し、この状態で上記電源接続端子及び疑似二次電池の通信接続端子を介して疑似二次電池のROMから充電制御情報を読み出して充電ユニットのEEPROMに記憶するようにしたものである。
【0055】
図3はこの発明の第2の関連技術に係わる充電装置の外観を示す斜視図、図4は当該充電装置の回路構成を示すブロック図である。なお、これらの図において前記図1及び図2と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
疑似二次電池4Bは、二次電池と同一形状でかつ同一サイズの2個の円筒体を並列に並べて一体化した構造を有する。これらの円筒体のうち、一方の円筒体の両端部には電源接続端子411B,412Bが設けられ、また他方の円筒体の両端部には通信接続端子421B,422Bが設けられている。また疑似二次電池4B内には、図4に示すようにROM43と、ROM電源回路44が設けられている。ROM43には、充電対象の二次電池の性能に関連する充電制御情報が予め記憶されている。
【0056】
一方、充電ユニット1Bに設けられた電源接続端子21〜24,31〜34のうち、一対の端子22,32は通信兼用接続端子22B,32Bとしての機能を持たされている。これらの通信兼用接続端子22B,32Bにはそれぞれ切替スイッチ7が接続されている。この切替スイッチ7は、上記通信兼用接続端子22B,32Bの接続先を定電流回路11とCPU12Bとの間で切り替える。
【0057】
CPU12Bは、上記切替スイッチ7がCPU12B側に切り替わっている状態で、充電制御情報の更新制御プログラムに従い、疑似二次電池4B内のROM43から通信接続端子421B,422B、通信兼用接続端子22B,32Bを介して充電制御情報を取り込む。そして、EEPROM14に記憶されている充電制御情報を、上記取り込まれた新たな充電制御情報に書き換える。
【0058】
このような構成であるから、充電ユニット1Bに予め対応付けられた通常の二次電池を充電する場合には、当該二次電池を充電ユニット1Bの電池収容部10に装着し、切替スイッチ7を定電流充電回路11側に切り替える。このようにすると、定電流充電回路11から出力された充電電流が充電制御スイッチ15及び上記切替スイッチ7を経た後、通信兼用接続端子22B,32Bから上記二次電池に供給され、これにより二次電池は充電される。そして、この充電動作中に過充電が発生しそうになると、EEPROM14に記憶された当該二次電池に対応する充電制御情報に応じて充電が停止される。
【0059】
一方、上記通常の二次電池とは充電容量の異なる別種類の二次電池を充電する場合には、充電に先立ち、切替スイッチ7をCPU12B側に切り替えたのち、当該別種類の二次電池に対応する疑似二次電池4Bを充電ユニット1Bの電池収容部10に装着する。そうすると、充電ユニット1Bでは充電制御スイッチ15がオンとなり、これにより定電流充電回路11の定電流が充電制御スイッチ15及び電源接続端子41Bを介して疑似二次電池4BのROM電源回路44に供給され、このROM電源回路44によりROM43用の電源電圧に変換されたのちROM43に供給される。
【0060】
この状態で、充電ユニット1BのCPU12Bは、通信兼用接続端子22B,32B及び通信接続端子421B,422Bを介して疑似二次電池4B内のROM43との間で通信を行い、これによりROM43に記憶されている充電制御情報を読み込む。そして、EEPROM14に記憶されている充電制御情報を、上記読み込まれた新たな充電制御情報に書き換える。
【0061】
したがって、上記充電制御情報の更新後に、上記別種類の二次電池を充電ユニット1Bの電池収容部10に装着し充電を開始すれば、当該二次電池は上記更新された充電制御情報に基づいて充電停止制御される。このため、上記別種類の二次電池は、満充電に至る前に充電が停止されることなく、当該二次電池が持つ容量まで確実に充電される。したがって、二次電池が持つ能力を十分に生かすことができる。
【0062】
以上のように第2の関連技術では、切替スイッチ7を切り替えることで、充電ユニット1Bの複数の電源接続端子のうちの一組を通信兼用接続端子22B,32Bとして使用できるようにしている。そして、この通信兼用接続端子22B,32Bを介して疑似二次電池4BのROM43から充電制御情報を充電ユニット1Bに読み込み、この読み込まれた充電制御情報をもとにEEPROM14の記憶情報を更新するようにしている。
【0063】
したがって、前記第1の関連技術と同様に、如何なる種類の二次電池に対し充電を行う場合にも、当該各二次電池の性能に応じた充電制御情報に基づいて充電停止制御が行われる。このため、過充電等に対する安全性を確保した上で、二次電池が持つ容量まで確実に充電することができ、これにより二次電池が個々に持つ能力を十分に生かすことができる。また、高価な充電ユニットを買い替えることなく、安価な疑似二次電池4Bのみを購入するだけで、新たな性能の二次電池に対応できる。
【0064】
さらに、充電ユニット1Bに既に設けられている電源接続端子を、ROM43から情報を読み出すための通信端子として兼用することができ、これにより端子数を減らして充電ユニット1Bの構成を簡単化することができる。
【0065】
(第3の関連技術)
この発明の第3の関連技術は、疑似二次電池の周面外装部に、対応する二次電池の充電制御情報を表すマークを表示しておき、当該疑似二次電池を充電ユニットの電池収容部に装着したとき、この電池収容部に設けた光学撮影素子により上記マーク部を読み取る。そして、読み取られたマーク部に対応する充電制御情報を充電制御情報テーブルから読み出し、EEPROMの制御情報を上記読み出された充電制御情報に更新するようにしたものである。
【0066】
図5はこの発明の第3の関連技術に係わる充電装置の外観を示す斜視図である。なお、同図において前記図1と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
疑似二次電池4Cの周面外装部にはマーク部45が印刷されている。このマーク部45は、対応する二次電池の充電制御情報を識別するためのもので、充電制御情報ごとに予め定められた色に着色されている。図6は上記疑似二次電池に表示されるマーク部45の色と充電制御情報との対応関係を示す図である。なお、上記マーク部45は、充電制御情報を色により識別するもの以外に、線の幅や本数、マークの形状等により充電制御情報を識別するものであってもよい。
【0067】
一方、充電ユニット1Cの電池収容部10の底面には光学撮像素子8が配設してある。この光学撮像素子8は、電池収容部10に装着された上記疑似二次電池4Cのマーク部45を撮像する。撮像された上記マーク部45の画像信号は、図示しないA/D変換器によりディジタルデータに変換された後CPUに取り込まれる。CPUは、充電制御情報の更新制御プログラムに従い、上記取り込まれたマーク部45の画像データをもとに、CPU内のメモリに記憶されている充電制御情報テーブルをアクセスし、当該画像データにより表される色に対応する充電制御情報を読み出す。そして、EEPROM14に記憶されている充電制御情報を、上記読み出された新たな充電制御情報に書き換える。
【0068】
このような構成であるから、充電ユニット1Cの電池収容部10に通常の二次電池が装着された場合には、当該通常の二次電池にはマーク部は表示されていないため、光学撮像素子82より撮像される画像データの色は充電制御情報テーブルに登録されたいずれの色にも該当しない。このためCPUは、上記装着された二次電池を通常の二次電池と判断して充電制御動作を開始し、この充電制御において過充電が発生しそうになるとEEPROMに記憶された通常電池の充電制御情報に従い充電が停止される。
【0069】
これに対し、上記通常の二次電池とは充電容量の異なる別種類の二次電池を充電する場合には、充電に先立ち当該別種類の二次電池に対応する疑似二次電池4Cを充電ユニット1Cの電池収容部10に装着する。そうすると、疑似二次電池4Cの周面外装部に印刷されたマーク部45が光学撮像素子8により読み取られ、この読み取られたマーク部45の画像データが充電ユニット1CのCPUに取り込まれる。CPUは、上記取り込まれたマーク部45の画像データをもとに、CPU内のメモリに記憶されている充電制御情報テーブルから、当該画像データにより表される色に対応する充電制御情報を読み出す。そして、EEPROM14に記憶されている充電制御情報を、上記読み出された新たな充電制御情報に書き換える。
【0070】
したがって、上記充電制御情報の更新後に、上記別種類の二次電池を充電ユニット1Cの電池収容部10に装着し充電を開始すれば、当該二次電池は上記更新された充電制御情報に基づいて充電停止制御される。このため、上記別種類の二次電池は、満充電に至る前に充電が停止されることなく、当該二次電池が持つ容量まで確実に充電される。したがって、二次電池が持つ能力を十分に生かすことができる。
【0071】
以上のように第3の関連技術では、疑似二次電池4Cの収面外装部に印刷されたマーク部45の色を光学撮像素子8により読み取り、EEPROMの記憶情報をこの読み取った色に対応する充電制御情報に更新するようにしている。したがって、前記第1及び第2の関連技術と同様に、如何なる種類の二次電池に対し充電を行う場合にも、当該各二次電池の性能に応じた充電制御情報に基づいて充電停止制御が行われる。このため、過充電等に対する安全性を確保した上で、二次電池が持つ容量まで確実に充電することができ、これにより二次電池が個々に持つ能力を十分に生かすことができる。また、高価な充電ユニットを買い替えることなく、安価な疑似二次電池4Cのみを購入するだけで、新たな性能の二次電池に対応できる。
【0072】
さらにこの関連技術では、疑似二次電池4Cに、充電制御情報を記憶するROMとその電源回路及び通信接続端子を設ける必要がなく、周面外装部にマーク部45を印刷するだけで済むので、疑似二次電池を著しく安価に提供できる利点がある。
【0073】
(第4の関連技術)
この発明の第4の関連技術は、疑似二次電池に、二次電池の充電制御しきい値に対応付けて予め抵抗値が設定された抵抗分圧回路と、この抵抗分圧回路の抵抗値を測定するための抵抗測定端子を設ける。そして、上記疑似二次電池が装着されたとき、充電ユニットにおいて、上記抵抗測定端子を介しての抵抗分圧回路の抵抗値を測定し、測定された抵抗値をもとに充電制御しきい値を算出して、EEPROMの制御情報を上記算出された充電制御しきい値に更新するようにしたものである。
【0074】
図7はこの発明の第4の関連技術に係わる充電装置の外観を示す斜視図、図8は当該充電装置の回路構成を示すブロック図である。なお、これらの図において前記図1及び図2と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0075】
疑似二次電池4Dは、充電対象の二次電池と同形状及び同寸法に構成された円筒形をなすもので、その両端には電源接続端子411D,412Dが設けてある。また、側周面には抵抗測定端子46が設けてある。さらに疑似二次電池4D内には、図8に示すように抵抗分圧回路47が設けられている。この抵抗分圧回路47は二次電池の充電制御しきい値に対応して予めユニークに設定された抵抗値を有し、その中点から上記設定された抵抗値に対応する電圧を抵抗測定端子46へ出力する。
【0076】
一方、充電ユニット1Dの電池収容部10の底面には抵抗測定端子9が配設してある。この抵抗測定端子9は、電池収容部10に装着された上記疑似二次電池4Dの抵抗測定端子46に電気的に接続され、上記抵抗分圧回路47の中点から出力される分圧電圧値をCPU12Dに供給する。CPU12Dは、充電制御情報の更新制御プログラムに従い、上記供給された分圧電圧値のディジタルデータを抵抗値の測定データとして取り込む。そして、上記分圧電圧値をもとに充電制御しきい値を算出し、EEPROM14に記憶されている充電制御しきい値を上記算出された新たな充電制御しきい値に更新する。なお、上記充電制御しきい値の計算は、例えば次式により行われる。
充電制御しきい値=α*分圧電圧値+β(α,βは定数)。
【0077】
このような構成であるから、充電ユニット1Dの電池収容部10に通常の二次電池が装着された場合には、当該通常の二次電池には抵抗測定端子が設けられていないため、抵抗測定端子9からは電圧値は出力されない。このためCPU12Dは、上記装着された二次電池を通常の二次電池と判断して充電制御動作を開始し、この充電制御において過充電が発生しそうになるとEEPROM14に記憶された通常電池の充電制御しきい値に基づいて充電が停止される。
【0078】
これに対し、上記通常の二次電池とは充電容量の異なる別種類の二次電池を充電する場合には、充電に先立ち当該別種類の二次電池に対応する疑似二次電池4Dを充電ユニット1Dの電池収容部10に装着する。そうすると、抵抗測定端子46,9間が接続される。また、充電ユニット1Dでは充電制御スイッチ15がオンとなり、これにより定電流充電回路11の定電流が充電制御スイッチ15を介して電源接続端子21,31から疑似二次電池4Dの電源接続端子411D,412Dを介して抵抗分圧回路47に供給される。このため、抵抗分圧回路47により抵抗分圧された電圧値が、抵抗測定端子46,9を介して充電ユニット1DのCPU12Dに取り込まれる。
【0079】
CPU12Dは、上記取り込まれた分圧電圧値をもとに充電制御しきい値を算出する。そして、EEPROM14に記憶されている充電制御しきい値を、上記算出された新たな充電制御しきい値に更新する。なお、充電制御しきい値としては、充電タイマ値であっても、また充電容量値であってもよい。
【0080】
したがって、上記充電制御しきい値の更新後に、上記別種類の二次電池を充電ユニット1Dの電池収容部10に装着し充電を開始すれば、当該二次電池は上記更新された充電制御しきい値に基づいて充電停止制御される。このため、上記別種類の二次電池は、満充電に至る前に充電が停止されることなく、当該二次電池が持つ容量まで確実に充電される。したがって、二次電池が持つ能力を十分に生かすことができる。
【0081】
以上のように第4の関連技術では、疑似二次電池4Dに、二次電池に対応付けて抵抗値がユニークに設定された抵抗分圧回路47を設け、この抵抗分圧回路47による分圧電圧値を充電ユニット1DのCPU12Dに取り込む。そして、取り込まれた分圧電圧値をもとに充電制御しきい値を算出し、EEPROM14の記憶情報を上記算出された充電制御しきい値に更新するようにしている。
【0082】
したがって、前記第1乃至第3の関連技術と同様に、如何なる種類の二次電池に対し充電を行う場合にも、当該各二次電池の性能に応じた充電制御情報に基づいて充電停止制御が行われる。このため、過充電等に対する安全性を確保した上で、二次電池が持つ容量まで確実に充電することができ、これにより二次電池が個々に持つ能力を十分に生かすことができる。また、高価な充電ユニットを買い替えることなく、安価な疑似二次電池4Dのみを購入するだけで、新たな性能の二次電池に対応できる。
【0083】
さらにこの関連技術では、疑似二次電池4Dに抵抗分圧回路47及び抵抗測定端子46を設けるだけでよく、ROMや通信接続端子を設ける必要がない。また充電ユニット1Dには光学撮像素子8や充電制御情報テーブルを設ける必要がない。このため、前記第1乃至第3の関連技術に比べ、装置を安価に提供できる利点がある。
【0084】
なお、以上の説明では充電制御しきい値を計算式により算出するようにした。しかし、分圧抵抗値と充電制御値との対応関係を表す充電制御情報テーブルを設けておき、この充電制御情報テーブルから上記分圧抵抗値に対応する充電制御しきい値を読み出すように構成してもよい。
【0085】
(第5の関連技術)
この発明の第5の関連技術は、疑似二次電池に、二次電池に対応して予め抵抗値が定められた識別抵抗器を設け、一方充電ユニットには、上記識別抵抗器の両端間の電圧値を電源接続端子を介して検出する回路と、上記識別抵抗器に流れる電流値を検出する電流測定回路とを設ける。そして、検出された電圧値または測定された電流値をもとに充電制御値を算出し、EEPROMに記憶されている充電制御情報を上記算出された新たな充電制御値に更新するようにしたものである。
【0086】
図9はこの発明の第5の関連技術に係わる充電装置の外観を示す斜視図、図10は当該充電装置の回路構成を示すブロック図である。なお、これらの図において前記図1及び図2と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
疑似二次電池4Eは、充電対象の二次電池と同形状でかつ同サイズに構成された円筒形をなすもので、その両端には抵抗測定端子481,482が設けてある。また、疑似二次電池4E内には、図10に示すように識別抵抗器49が設けられている。この識別抵抗器49の抵抗値は、対応する二次電池の充電制御値に対応付けて予めユニークな値に設定されている。
【0087】
一方充電ユニット1Eには、電池電圧の測定回路及び電流測定回路16が設けてある。これらの測定回路はいずれも二次電池の充電動作を監視するために使用する既存回路である。電池電圧の測定回路は、上記疑似二次電池4Eが電池収容部10に装着された状態においては、当該疑似二次電池4Eの端子間電圧、つまり上記識別抵抗器49の電圧を検出するために使用される。また同様に電流測定回路16は、上記疑似二次電池4Eが電池収容部10に装着された状態においては、当該疑似二次電池4Eの識別抵抗値49に流れる電流値を検出ために使用される。
【0088】
充電ユニット1EのCPU12Eは、上記疑似二次電池4Eが電池収容部10に装着された状態において、充電制御情報の更新制御プログラムに従い、上記識別抵抗器49の電圧値または識別抵抗値49に流れる電流値を取り込み、この取り込まれた電圧値または電流値をもとに充電制御値を算出する。そして、EEPROM14に記憶されている充電制御値を、上記算出された新たな充電制御値に書き換える。なお、上記充電制御値の計算は、例えば次式により行われる。
充電制御値=α*電流測定値+β(α,βは定数)。
【0089】
このような構成であるから、充電ユニット1Eの電池収容部10に通常の二次電池が装着された場合には、この二次電池に充電電流を供給すると当該二次電池の内部抵抗値に応じた電圧値または充電電流値が検出される。この内部抵抗値に応じた電圧値または充電電流値は、識別抵抗器49により検出される電圧値又は電流値とは値が大きく異なる。このためCPU12Eは、上記装着された二次電池を通常の二次電池と判断して充電制御動作を開始し、この充電制御において過充電が発生しそうになるとEEPROM14に記憶された通常電池の充電制御情報に従い充電が停止される。
【0090】
これに対し、上記通常の二次電池とは充電容量の異なる別種類の二次電池を充電する場合には、充電に先立ち当該別種類の二次電池に対応する疑似二次電池4Eを充電ユニット1Eの電池収容部10に装着する。そうすると、充電ユニット1Eの充電制御スイッチ15がオンとなり、これにより定電流充電回路11の定電流が充電制御スイッチ15及び抵抗測定端子481,482を介して疑似二次電池4Eの識別抵抗器49に供給される。
【0091】
CPU12Eは、この状態で上記疑似二次電池4Eの両端間の電圧を取り込むか、又は疑似二次電池4Eに流れる電流値を電流測定回路16から取り込む。そして、取り込まれた電圧値又は電流値をもとに、装着された電池が二次電池であるか疑似二次電池4Eであるかを判定し、疑似二次電池4Eであれば上記取り込まれた電圧値又は電流値をもとに充電制御値を算出する。そして、EEPROM14に記憶されている充電制御値を、上記算出された新たな充電制御値に更新する。
【0092】
したがって、上記充電制御値の更新後に、上記別種類の二次電池を充電ユニット1Eの電池収容部10に装着し充電を開始すれば、当該二次電池は上記更新された充電制御情報に基づいて充電停止制御される。このため、上記別種類の二次電池は、満充電に至る前に充電が停止されることなく、当該二次電池が持つ容量まで確実に充電される。したがって、二次電池が持つ能力を十分に生かすことができる。
【0093】
以上のように第5の関連技術では、疑似二次電池4Eに、二次電池の充電制御値に対応付けて抵抗値がユニークに設定された識別抵抗器49を設ける。そして、この識別抵抗器49に充電電流を供給したときの電圧値又は電流値を充電ユニット1Eで測定し、この測定された電圧値又は電流値をもとに充電制御値を算出して、EEPROM14の記憶情報を上記算出された充電制御値に更新するようにしている。
【0094】
したがって、この関連技術においても、前記各関連技術と同様に如何なる種類の二次電池に対しても、当該二次電池の性能に応じた充電制御情報に基づいて常に適切な充電停止制御が行われる。このため、過充電等に対する安全性を確保した上で、二次電池が持つ容量まで確実に充電することができ、これにより二次電池が個々に持つ能力を十分に生かすことができる。また、高価な充電ユニットを買い替えることなく、安価な疑似二次電池4Eのみを購入するだけで、新たな性能の二次電池に対応できる。
【0095】
さらにこの関連技術では、疑似二次電池4Eには識別抵抗器49を設けるだけでよく、かつ充電ユニット1Eでは既存の電圧測定回路及び電流測定回路16を利用して識別抵抗器49の電圧値又は電流値を測定し充電制御値を更新するようにしているので、装置をきわめて安価に構成できる。
【0096】
(その他の関連技術)
疑似電池ユニットに、対応する二次電池の性能に関連する充電制御情報を記憶した無線ICタグを取着する。そして、充電ユニットにおいて無線ICタグリーダにより上記無線ICタグから充電制御情報を読み取り、この読み取った情報をもとにメモリの記憶情報を更新するようにしてもよい。このようにすると、疑似電池ユニットの情報を非接触で読み取ることができる。また、無線ICタグを疑似電池ユニットに設けることで、すべての二次電池に無線ICタグを取着する場合に比べ、二次電池の価格上昇を抑えることができる。
【0097】
その他、疑似電池ユニット及び充電ユニットの構成、充電制御情報の取得手段、充電制御情報の更新制御手順とその内容、二次電池の種類等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
要するにこの発明は、上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、各実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】この発明の第1の関連技術に係わる充電装置の外観を示す斜視図。
【図2】図1に示した充電装置の回路構成を示すブブロック図。
【図3】この発明の第2の関連技術に係わる充電装置の外観を示す斜視図。
【図4】図3に示した充電装置の回路構成を示すブロック図。
【図5】この発明の第3の関連技術に係わる充電装置の外観を示す斜視図。
【図6】図5に示した充電装置の疑似二次電池に表示されるマーク部の色と充電制御情報との関係を示す図。
【図7】この発明の第4の関連技術に係わる充電装置の外観を示す斜視図。
【図8】図7に示した充電装置の回路構成を示すブロック図。
【図9】この発明の第5の関連技術に係わる充電装置の外観を示す斜視図。
【図10】図9に示した充電装置の回路構成を示すブロック図。
【図11】この発明の第1の実施形態に係わる充電装置の回路構成を示すブロック図。
【図12】図10に示した充電装置による充電制御情報の更新制御手順と制御内容を示すフローチャート。
【図13】この発明の第2の実施形態に係わる充電装置の外観を示す斜視図。
【図14】図13に示した充電装置の回路構成を示すブロック図。
【図15】図14に示した充電装置による充電制御情報の更新制御手順と制御内容を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0099】
1A〜1F…充電ユニット、21〜24,31〜34…電源接続端子、4A〜4E…疑似二次電池、5,22B,32B,421A,422A,421B,422B…通信接続端子、6…ACプラグ、7…切替スイッチ、10…電池収容部、11,51…定電流充電回路、12A〜12E,52A,52B…充電ユニットのCPU、13,53…CPU電源回路、14,54…EEPROM、15,55…充電制御スイッチ、411A,412A〜411D,412D…電源接続端子、43…ROM、44…ROM電源回路、45…マーク部、46…抵抗測定端子、47…抵抗器、481,482…抵抗測定端子、56…電流測定回路、57…温度測定回路、58…放電制御スイッチ、59…定電流放電回路、60…二次電池、61…容量測定スイッチ、62…LED。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
満充電に対応して設定された充電時間又は積算充電容量のしきい値を記憶する記憶手段と、
二次電池に対し第1の充電モードにより充電を行う第1の充電制御手段と、
前記二次電池の充電動作中に、その充電時間又は積算充電容量が前記記憶されたしきい値を超えたか否かと、当該二次電池が満充電に達したか否かをそれぞれ判定する第1の判定手段と、
前記第1の判定手段により、前記充電時間又は積算充電容量が前記しきい値を超えた時点で前記二次電池が満充電に達していないと判定された場合に、当該二次電池に対し第2の充電モードにより充電を行う第2の充電制御手段と、
前記第2の充電モードによる充電中に、当該二次電池が満充電に達したか否かを判定する第2の判定手段と、
前記第2の判定手段により前記二次電池が満充電に達したと判定された場合に、その時点における通算充電時間又は積算充電容量をもとに前記記憶手段に記憶されたしきい値を変更する変更手段と
を具備することを特徴とする充電装置。
【請求項2】
満充電に対応して設定された充電時間又は積算充電容量のしきい値を記憶する記憶手段と、
二次電池に対し第1の充電モードにより充電を行う第1の充電制御手段と、
前記二次電池の充電動作中に、その充電時間又は積算充電容量が前記記憶されたしきい値を超えたか否かと、当該二次電池が満充電に達したか否かをそれぞれ判定する第1の判定手段と、
前記第1の判定手段により、前記充電時間又は積算充電容量が前記しきい値を超えた時点で前記二次電池が満充電に達していないと判定された場合に、当該二次電池に対し第2の充電モードにより充電を行う第2の充電制御手段と、
前記第2の充電モードによる充電中に、当該二次電池が満充電に達したか否かを判定する第2の判定手段と、
前記第2の判定手段により前記二次電池が満充電に達したと判定された場合に、当該二次電池を放電させてその放電所要時間又は積算放電容量を求める放電制御手段と、
前記求められた放電所要時間又は積算放電容量をもとに、前記記憶手段に記憶されたしきい値を変更する変更手段と
を具備することを特徴とする充電装置。
【請求項3】
前記第1の充電制御手段は、第1の充電電流値により充電を行い、
前記第2の充電制御手段は、前記第1の充電電流値より小さい第2の充電電流値により充電を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の充電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−263781(P2008−263781A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−183145(P2008−183145)
【出願日】平成20年7月14日(2008.7.14)
【分割の表示】特願2004−210550(P2004−210550)の分割
【原出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【出願人】(000003539)東芝電池株式会社 (109)
【Fターム(参考)】