光コンセント

【課題】加入者がプッシュオン・プルオフ用のスライダ6aを有する加入者側光コネクタ6を正常に接続できたか否かを簡単に確認できる光コンセントを提供する。
【解決手段】
加入者側光コネクタ6のケース1外へ突出する部分に装着される位置確認部材11を設ける。位置確認部材11は、ケースカバー1Bへの取り付け部14と、スライダ6aの後端面を抱え込む抱え込み部15とを有する。ケースカバー1Bは、位置確認部材11の取り付け部14が取り付けられる被取り付け部12を有する。位置確認部材11の取り付け部14と抱え込み部15間の寸法は、加入者側光コネクタ6が適正位置まで挿入されたときは抱え込み部15がスライダ6aの後端面を抱え込めるが、適正位置まで挿入されないときは抱え込み部15がスライダ6aに突き当たってスライダ6aの後端面を抱え込めないように設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、局側光ケーブルと加入者側光ケーブルをコネクタ接続する光コンセント(光ローゼットを含む)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光コンセントは、室内の壁等に設置されて、局側光ケーブルの端部に取り付けられた局側光コネクタと、加入者側光ケーブルの端部に取り付けられた加入者側光コネクタとを接続するのに用いられる(特許文献1、2参照)。
【0003】
従来の光コンセントを図8に示す。光コンセントは、ケース1と、光コネクタ接続用のアダプタ2とを備えている。ケース1は、室内の壁等に取り付けられるケース本体1Aと、その前面に被せられるケースカバー1Bとから構成される。図8(A)はケースカバー1Bを装着した状態、同図(B)はケースカバー1Bを取り外した状態を示す。アダプタ2は、一方のコネクタ挿入口がケース1内に開口し、他方のコネクタ挿入口がケース1外に開口するようにケース本体1Aに取り付けられている。
【0004】
アダプタ2のケース1内に開口するコネクタ挿入口には局側光ケーブル3の端部に取り付けられた局側光コネクタ4が挿入されている。この状態で、アダプタ2のケース1外に開口するコネクタ挿入口に、加入者側光ケーブル5の端部に取り付けられた加入者側光コネクタ6が挿入されて、両光コネクタ4、6の接続が行われる。
【0005】
加入者側光コネクタ6は、アダプタ2内で局側光コネクタ4との端面突き合わせ接続をバネ力を利用して確実に行えるようにするため、プッシュオン・プルオフ用のスライダ6a(特許文献3、4参照)を有している。図8(A)(B)は、これから加入者側光コネクタ6をアダプタ2に挿入するため、スライダ6aを前進位置に移動させた状態を示している。スライダ6aが後退位置にあるときは、図8(A)の二点鎖線の位置にある。
【0006】
スライダ6aを手指で摘んで加入者側光コネクタ6をアダプタ2に挿入していくと、まず図9の状態で挿入力が急に大きくなり、手指には押し込みが止まったような感触がある。図9の状態は光コネクタ4、6が正常に接続されていない、いわゆる「半挿し」の状態である。「半挿し」の状態では、図9(C)のようにスライダ6aの先端面とアダプタ2の下端面との間に隙間Gが残る。この隙間Gは図9(A)(B)に示すようにケースカバー1Bが被せられていても外部から認識できる。その後、さらに強く押し込むと図10のようにスライダ6aの先端面がアダプタ2の下端面に突き当たった状態となり、それ以上押し込めなくなる。これが、両光コネクタ4、6が正常に接続された状態である。
【0007】
なお、アダプタ2に挿入された加入者側光コネクタ6を引き抜くときは、図11(A)に示すようにスライダ6aを手指で摘んで後退位置まで引き戻し、その後、さらに強くスライダ6aを引っ張れば、図11(B)のように引き抜くことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−127369号公報
【特許文献2】特開2009−75213号公報
【特許文献3】特開2006−215459号公報
【特許文献4】特開2008−175943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
加入者側光コネクタを光コンセントへ接続する作業は、工事業者ではなく光回線の加入者が行うのが一般的である。加入者は、プッシュオン・プルオフ用のスライダ6aを有する光コネクタ6を光コンセントに接続するときに、2段階の押し込みが必要であることを知らないことが多い。このため、図9の「半挿し」の状態で接続が完了したものと思い込み、光コネクタを光コンセントに差し込んだのに光回線がつながらないという問い合わせが局側に寄せられることがある。このような問い合わせがあると、局側はスライダ6aの先端部がケース1内に入って見えなくなるまでスライダ6aを強く押し込むよう加入者に説明する必要があり、手間がかかっていた。
【0010】
本発明の目的は、上記のような問題点に鑑み、加入者が光コネクタを正常に接続できたか否かを簡単に確認できる光コンセントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、ケース本体とケースカバーとからなるケースと、前記ケース本体に一方のコネクタ挿入口がケース内に開口し、他方のコネクタ挿入口がケース外に開口するように取り付けられたアダプタとを備え、前記アダプタのケース本体内に開口するコネクタ挿入口には局側光ケーブルの端部に取り付けられた局側光コネクタが挿入され、前記アダプタのケース本体外に開口するコネクタ挿入口には加入者側光ケーブルの端部に取り付けられた、プッシュオン・プルオフ用のスライダを有する加入者側光コネクタが挿入される光コンセントにおいて、
前記加入者側光コネクタのケース外へ突出する部分に装着される位置確認部材をさらに備え、この位置確認部材は、前記ケースカバーへの取り付け部と、前記スライダの後端面を抱え込む抱え込み部とを有しており、前記ケースカバーは、前記位置確認部材の取り付け部が取り付けられる被取り付け部を有しており、前記位置確認部材の取り付け部と抱え込み部間の寸法は、加入者側光コネクタが適正位置まで挿入されたときは抱え込み部がスライダの後端面を抱え込めるが、適正位置まで挿入されないときは抱え込み部がスライダに突き当たってスライダの後端面を抱え込めないように設定されている、ことを特徴とするものである。
【0012】
本発明において、前記位置確認部材は、抱え込み部がスライダの後端面を抱え込んだときに、スライダを両側又は片側から抱持する抱持片を有していることが好ましい。
【0013】
本発明において、前記位置確認部材の取り付け部と前記ケースカバーの被取り付け部は凹凸嵌合部で構成することができる。
【0014】
本発明において、前記位置確認部材の取り付け部と前記ケースカバーの被取り付け部はヒンジ部で構成することもできる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、光コンセントの外部に開口するコネクタ挿入口に加入者側光コネクタを挿入して加入者側光コネクタの突出部に位置確認部材を装着するときに、光コネクタが適正位置まで挿入されていれば、位置確認部材を正常に(抱え込み部がスライダの後端面を抱え込むように)装着できるが、光コネクタが適正位置まで挿入されていない「半挿し」状態のときは、位置確認部材を正常に装着できない。したがって加入者は、位置確認部材を正常に装着できなかったときは、光コネクタが最後まで押し込まれていないことを察知できるので、光コネクタをさらに押し込む操作を行い、光コネクタを適正位置まで挿入することができる。したがって、光コネクタを光コンセントに差し込んだのに光回線がつながらないという問い合わせを少なくすることができる。
【0016】
また、位置確認部材にスライダの抱持片を設けておくと、位置確認部材を正常に装着したときに、その状態を確実に保持することができる。
【0017】
また、位置確認部材の取り付け部とケースカバーの被取り付け部を凹凸嵌合部で構成すると、位置確認部材がケースカバーと別部品となるので、加入者側光コネクタのサイズが変更されたりした場合に、位置確認部材だけを作り替えることにより、サイズ変更等に容易に安価に対応できる。
【0018】
また、位置確認部材の取り付け部と前記ケースカバーの被取り付け部をヒンジ部で構成すると、位置確認部材がケースカバーと一体化されるので、位置確認部材を紛失するおそれがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る光コンセントの一実施例を示す、(A)は正面図、(B)は右側面図。
【図2】図1の実施例に用いたケースの、(A)は正面図(B)は右側面図、(C)は左側面図。
【図3】図1の実施例に用いた位置確認部材の斜視図。
【図4】図1の実施例に用いた位置確認部材の、(A)は正面図(B)は右側面図、(C)は背面図、(D)は平面図、(D)は底面図、(F)は(C)のF−F線断面図。
【図5】図1の実施例において、(A)は加入者側光コネクタが適正位置まで挿入されたときのスライダと位置確認部材の位置関係を示す側面図、(B)は加入者側光コネクタが半挿しの状態にあるときのスライダと位置確認部材の位置関係を示す側面図。
【図6】本発明に係る光コンセントの他の実施例を示す、(A)は位置確認部材を装着する前の斜視図、(B)は位置確認部材を正常に装着したときの斜視図。
【図7】本発明に係る光コンセントのさらに他の実施例を示す、(A)は位置確認部材を装着する前の斜視図、(B)は位置確認部材を正常に装着したときの斜視図。
【図8】従来の光コンセントに加入者側光コネクタを挿入する前の状態を示す、(A)は正面図、(B)はケースカバーを外した状態での正面図。
【図9】従来の光コンセントに加入者側光コネクタを挿入して半挿しの状態にあるときの、(A)は正面図、(B)は側面図、(C)はケースカバーを外した状態での正面図。
【図10】従来の光コンセントに加入者側光コネクタを適正位置まで挿入した状態を示す、(A)は正面図、(B)は側面図、(C)はケースカバーを外した状態での正面図。
【図11】(A)、(B)は従来の光コンセントから加入者側光コネクタを引き抜く過程をケースカバーを外した状態で示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0020】
<実施例1> 図1は本発明の一実施例を示す。図1は従来例の図10に対応するもので、図10と同一部分には同一符号を付してある。この光コンセントは、ケース1及びアダプタ2の他に、加入者側光コネクタ6のケース1外へ突出する部分に装着される位置確認部材11を備えている。
【0021】
ケース1は、図2に示すように、従来と同様なケース本体1Aとケースカバー1Bとからなり、ケースカバー1Bのアダプタ2に被さる部分の両側に、位置確認部材11を取り付けるための嵌合凹部12(被取り付け部)を形成したものである。
【0022】
位置確認部材11は、図3及び図4に示すように、ケースカバー1Bの嵌合凹部12を形成した部分から加入者側光コネクタ6までに跨って被せられる正面板部13に、ケースカバー1Bの嵌合凹部12に対応する嵌合凸部14(取り付け部)と、アダプタ2に適正に挿入された加入者側光コネクタ6の後端面(下端面)を抱え込む抱え込み部15と、同スライダ6aを両側から抱持する抱持片16を、一体に形成したものである。
【0023】
抱え込み部15は、スライダ6aの後端面の両側部分を抱え込むように形成されており、この抱え込み部15と前記嵌合凸部14間の寸法Dは、加入者側光コネクタ6が適正位置まで挿入されたときは抱え込み部15がスライダ6aの後端面を抱え込めるが、適正位置まで挿入されないときは抱え込み部15がスライダ6aに突き当たってスライダ6aの後端面を抱え込めないように設定されている。
【0024】
また、抱持片16は、先端に内向き爪部16aを有しており、この内向き爪部16aがスライダ6aの裏側の縁に引っ掛かって、スライダ6aを抱持するようになっている。
【0025】
以上のような構成であるため、図5(A)に示すように、加入者側光コネクタ6が適正位置まで挿入されたときは、嵌合凸部14を嵌合凹部12に一致させて位置確認部材11を装着すると、抱え込み部15がスライダ6aに突き当たることなく図1のように正常に装着することができる。一方、図5(B)に示すように、加入者側光コネクタ6が適正位置まで挿入されない「半挿し」のときは、嵌合凸部14を嵌合凹部12に一致させて位置確認部材11を被せようとすると、抱え込み部15がスライダ6aに突き当たって装着できないので、加入者は光コネクタ6が適正位置まで挿入されていないことを察知できる。したがって加入者は再度光コネクタ6の押し込みを行うことで問題を解消できる。
【0026】
なお、この実施例では、ケースカバー1Bに嵌合凹部12を設け、位置確認部材11に嵌合凸部14を設けたが、これとは逆に、ケースカバーに嵌合凸部を、位置確認部材に嵌合凹部を設けてもよい。
【0027】
<実施例2> 図6は本発明の他の実施例を示す。この実施例は、位置確認部材11を、ケースカバー1Bにヒンジ部17を介して開閉可能に取り付けた場合である。図6(A)は加入者側光コネクタを挿抜するため位置確認部材11を開いた状態、同図(B)は加入者側光コネクタ6が適正位置まで挿入されて、位置確認部材11を加入者側光コネクタ6の突出部に装着した状態(閉じた状態)を示している。
【0028】
ヒンジ部17は、ケースカバー1B及び位置確認部材11と同じ樹脂材料の薄肉部で構成されている。つまり、ケースカバー1Bと、位置確認部材11と、ヒンジ部17は同じ樹脂材料で一体に成形され、ヒンジ部17は位置確認部材11のケースカバーへの取り付け部とケースカバー1Bの被取り付け部を兼ねている。
【0029】
この実施例では、抱え込み部15はスライダ6aの後端面のケースカバー側の部分を抱え込むように形成され、抱持片16はスライダ6aの片側だけを抱え込むように形成されている。
【0030】
この実施例の場合は、抱え込み部15とヒンジ部17間の寸法が、加入者側光コネクタ6が適正位置まで挿入されたときは抱え込み部15がスライダ6aの後端面を抱え込めるが、適正位置まで挿入されないときは抱え込み部15がスライダ6aに突き当たってスライダ6aの後端面を抱え込めないように設定されている。
【0031】
この実施例によれば、位置確認部材11がケースカバー1Bにヒンジ部17を介して取り付けられているので、位置確認部材11を紛失するおそれがない。また位置確認部材11を加入者側光コネクタの突出部に装着する操作も実施例1のものより簡単である。
【0032】
<実施例3> 図7は本発明のさらに他の実施例を示す。この実施例も、位置確認部材11を、ケースカバー1Bにヒンジ部17を介して開閉可能に取り付けた場合であるが、ケースカバー1Bと位置確認部材11が別部品として成形され、位置確認部材11のケースカバーへの取り付け部とケースカバー1Bの被取り付け部がヒンジピンを介して連結されている点で実施例2とは異なる。それ以外の構成は実施例2と同じであるので、図6と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0033】
この実施例では、位置確認部材11がケースカバー1Bと別部品として製作できるため、加入者側光コネクタ6の寸法が変更されたりした場合に、位置確認部材11だけを作り替えればよいので、容易に安価に対応できるという、実施例2にはない効果が得られる。このような効果は実施例1も同様に有している。
【0034】
なお、実施例3では、ヒンジピンが位置確認部材11及びケースカバー1Bと別部品である場合を説明したが、ケースカバー1Bにヒンジピンを形成し、位置確認部材11にピン穴(ピン受け凹部でも可)を形成して(逆にケースカバー1Bにピン穴を形成し、位置確認部材11にヒンジピンを形成して)、ヒンジピンとピン穴を回動可能に嵌合させることでヒンジ部を構成してもよい。
【符号の説明】
【0035】
1:ケース
1A:ケース本体
1B:ケースカバー
2:アダプタ
3:局側光ケーブル
4:局側光コネクタ
5:加入者側光ケーブル
6:加入者側光コネクタ
6a:スライダ
11:位置確認部材
12:嵌合凹部(被取り付け部)
13:正面板部
14:嵌合凸部(取り付け部)
15:抱え込み部
16:抱持片
16a:内向き爪部
17:ヒンジ部(取り付け部・被取り付け部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース本体とケースカバーとからなるケースと、前記ケース本体に一方のコネクタ挿入口がケース内に開口し、他方のコネクタ挿入口がケース外に開口するように取り付けられたアダプタとを備え、
前記アダプタのケース本体内に開口するコネクタ挿入口には局側光ケーブルの端部に取り付けられた局側光コネクタが挿入され、
前記アダプタのケース本体外に開口するコネクタ挿入口には加入者側光ケーブルの端部に取り付けられた、プッシュオン・プルオフ用のスライダを有する加入者側光コネクタが挿入される光コンセントにおいて、
前記加入者側光コネクタのケース外へ突出する部分に装着される位置確認部材をさらに備え、この位置確認部材は、前記ケースカバーへの取り付け部と、前記スライダの後端面を抱え込む抱え込み部とを有しており、
前記ケースカバーは、前記位置確認部材の取り付け部が取り付けられる被取り付け部を有しており、
前記位置確認部材の取り付け部と抱え込み部間の寸法は、加入者側光コネクタが適正位置まで挿入されたときは抱え込み部がスライダの後端面を抱え込めるが、適正位置まで挿入されないときは抱え込み部がスライダに突き当たってスライダの後端面を抱え込めないように設定されている、
ことを特徴とする光コンセント。
【請求項2】
前記位置確認部材は、抱え込み部がスライダの後端面を抱え込んだときに、スライダを両側又は片側から抱持する抱持片を有していることを特徴とする請求項1記載の光コンセント。
【請求項3】
前記位置確認部材の取り付け部と前記ケースカバーの被取り付け部は凹凸嵌合部で構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の光コンセント。
【請求項4】
前記位置確認部材の取り付け部と前記ケースカバーの被取り付け部はヒンジ部で構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の光コンセント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−113923(P2013−113923A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258083(P2011−258083)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(591199590)株式会社正電社 (34)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】