説明

光ディスク用光硬化型組成物

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光により記録、再生、消去が可能な光ディスク用基板に関し、更に詳しくはプロペニルエーテル末端基化合物を含む光ディスク用光硬化型組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】光ディスク用基板の製造法としては、ポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂をインジェクション法で成型する方法または基板上に光硬化性樹脂を流し込み樹脂を硬化させ成型する方法(いわゆる2P法)が知られている。インジェクション法で成型する方法は生産性に優れるが、複屈折が大きい、熱、水分による変形が大きい等光ディスク用基板として長期安定性に欠けるという問題点がある。2P法は2段階で光ディスク基板を作成するため作業上からも時間を要し、また基版と硬化物との密着性の信頼性が要求される等の問題がある。従来より2P法に使用されている光硬化型組成物としてウレタンアクリレート、エポキシアクリレートなどが用いられている。しかしながらこれらは硬化速度、基版との密着性、臭気問題等において不十分であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、特定のプロペニルエーテル末端基化合物を光カチオン重合させた硬化物がこれらの問題を解決することを見いだした。すなわち硬化速度が大きく、基版との密着性に優れ、臭気の問題もない光ディスク用光硬化型組成物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち本発明は少なくとも2個のプロペニルエーテル末端基を有する化合物(A)および光重合開始剤(B)からなる光ディスク用光硬化型組成物である。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の(A)としては次のものがあげられる。すなわち、プロペニルエーテル末端基を有する(ポリ)エーテルオリゴマー、プロペニルエーテル末端基を有するポリエステルオリゴマー、プロペニルエーテル末端基を有するウレタンオリゴマーおよびプロペニルエーテル末端基を有するモノマーの群から選ばれる1種以上のものであり、好ましくはプロペニルエーテル末端基を有するウレタンオリゴマーである。
【0006】本発明の(A)におけるプロペニルエーテル末端基を有する(ポリ)エーテルオリゴマーは下記一般式(1)で表される化合物である。
1[−O−(AO)m−R1]n (1)
{式中、nは2〜200の整数であり、n個のmは0〜200の整数でありmの少なくとも1個は1以上である。n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシルまたはアリール基でもよい。Aは炭素数2〜12のアルキレン、アリーレン、アルアルキレンまたはシクロアルキレン基であり、mが2以上の場合のAは同一でも異なっていても良く、(AO)m部分はランダム付加でもブロック付加でも良い。X1は多価アルコール残基である。}
【0007】一般式(1)において、Aはアルキレン、アリーレン、アルアルキレンおよびシクロアルキレン基よりなる群から選ばれる2価の基であり、使用しうるアルキレン基の例には、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、へキシレン、へプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン等があげられる。アリーレン基の例にはフェニレン、ナフチレン、アントリレン、フェナントリレン等があげられる。アルアルキレンの例には、ベンジレン、1−フェニチレン、2−フェニチレン、3−フェニルプロピレン、2−フェニルプロピレン、1−フェニルプロピレンなどがあげられる。シクロアルキレン基の例には、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、シクロヘプチレン、シクロオクチレン等があげられる。これらのうち好ましくは、エチレン基およびプロピレン基である。アルキレン基が長くなると開始剤の溶解性が悪くなる。
【0008】X1は多価アルコール残基であり、多価アルコールとしては以下のものがあげられる。例えば、グリセリン、ポリグリセリン(グリセリンの2〜18量体、例えばジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン等)、グリシドールの開環重合物(重合度が2〜5000である化合物)、トリメチロールアルカン(トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン等)および、これらの2〜3量体、モノペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、1,3,5−ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタンソルビタングリセリン縮合物等があげられるが、これらのうち特にグリセリンやポリグリセリンの残基ならびにトリメチロールアルカンおよびその2〜3量体の残基等が好ましい。
【0009】n個のmは通常0〜200の整数でありmの少なくとも1個は1以上であり、好ましくは1〜80、特に好ましくは1〜5の整数である。mが200を超えると通常は粘度が高くなり開始剤の溶解が困難になる。
【0010】nは2〜200、好ましくは3〜100、特に好ましくは3〜5の整数である。nが200を超えると、通常は粘度が高くなり開始剤の溶解が困難になる。n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシルまたはアリール基でもよい。
【0011】本発明におけるプロペニルエーテル末端基を有するポリエステルオリゴマーは下記一般式(2)、(3)または(4)で表される化合物があげられる。
【0012】


{式中、mは1〜200の整数、nは2〜200の整数であり、X2、X3はそれぞれHOX2OH、HOX3OHで表されるアルキレンジオール、アリーレンジオール、ポリエーテルジオール、ポリウレタンジオールまたはポリカーボネートジオールのいずれかのジオールの残基であり、Y1は多価カルボン酸残基であり、Y2は2価カルボン酸残基である。n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシル又はアリール基でもよい。}
【0013】一般式(2)におけるX2は、HOX2OHで表されるアルキレンジオール、アリーレンジオール、ポリエーテルジオール、ポリウレタンジオールまたはポリカーボネートジオールのいずれかのジオールの残基である。
【0014】HOX2OHで表されるアルキレンジオールの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、1.4−シクロヘキサンジオールなどがあげらる。これらのうち好ましくは、エチレングリコール、およびプロピレングリコールである。
【0015】HOX2OHで表されるアリーレンジオールの例としては、カテコール、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビスフェノールAなどがあげられる。これらのうち好ましくは、ビスフェノールAである。
【0016】HOX2OHで表されるポリエーテルジオールの例としては、ポリ(オキシエチレン)ジオール、ポリ(オキシプロピレン)ジオール、ポリ(オキシテトラメチレン)ジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、およびビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などがあげられる。これらのうち好ましくは、ポリ(オキシエチレン)ジオールおよびポリ(オキシプロピレン)ジオールである。
【0017】上記ポリエーテルジオールの重合度は通常1〜200、好ましくは2〜100、特に好ましくは3〜20である。
【0018】HOX2OHで表されるポリウレタンジオールの例としては下記の(i)と(ii)との反応生成物があげられる。
(i) H(OX5)m−OHで表される化合物(mは0〜200の整数、X5は炭素数2〜12のアルキレン、アリーレン、アラルキレン、およびシクロアルキレンの基よりなる群から選ばれる2価の基である)
(ii) OCN−Z3−NCO(式中、Z3はアルキレン、アリーレン、アラルキレンおよびシクロアルキレンの基からなる群から選ばれる2価の基である)
【0019】上記(i)のポリエーテルジオールにおいてmは通常0〜200、好ましくは、3〜20の整数である。
【0020】上記(i)のポリエーテルジオールにおいてX5は炭素数2〜12のアルキレン、アリーレン、アラルキレン、およびシクロアルキレンの基よりなる群から選ばれる2価の基であり、使用しうるアルキレン基の例には、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、へキシレン、へプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン等があげられる。アリーレン基の例にはフェニレン、ナフチレン、アントリレン、フェナントリレン等があげられる。アルアルキレンの例には、ベンジレン、1−フェニチレン、2−フェニチレン、3−フェニルプロピレン、2−フェニルプロピレン、1−フェニルプロピレンなどがあげられる。シクロアルキレン基の例には、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、シクロヘプチレン、シクロオクチレン等があげられる。これらのうち好ましくは、エチレン、プロピレン基である。アルキレン基が長くなると開始剤の溶解性が悪くなる。
【0021】上記(ii)のジイソシアネートの例としては、トルエンジイソシアネート(TDI)、p−および、m−フェニレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(デスモジュールW)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、3,3’−ジメチル−4、4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタリンジイソシアネート、ナフタリン−1,5’−ジイソシアネート、ビス(2−メチル−3−イソシアネートフェニル)メタン、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)などがあげられる。これらのうち好ましくは、トルエンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(デスモジュールW)、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートである。
【0022】HOX2OHで表されるポリカーボネートジオールの例としては下記の一般式であげられる化合物があげられる。


(mは1〜200の整数であり、X6は炭素数2〜12のアルキレン、アリーレン、アラルキレン、およびシクロアルキレンの基よりなる群から選ばれる2価の基である)
【0023】上記一般式においてmは通常1〜200の整数、好ましくは3〜20の整数である。
【0024】上記のポリカーボネートジオールにおいてX6は炭素数2〜12のアルキレン、アリーレン、アラルキレン、およびシクロアルキレンの基よりなる群から選ばれる2価の基であり、使用しうるアルキレン基の例には、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、へキシレン、へプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン等があげられる。アリーレン基の例にはフェニレン、ナフチレン、アントリレン、フェナントリレン等があげられる。アルアルキレンの例には、ベンジレン、1−フェニチレン、2−フェニチレン、3−フェニルプロピレン、2−フェニルプロピレン、1−フェニルプロピレンなどがあげられる。シクロアルキレン基の例には、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、シクロヘプチレン、シクロオクチレン等があげられる。これらのうち好ましくは、エチレン、およびプロピレン基である。アルキレン基が長くなると開始剤の溶解性が悪くなる。
【0025】一般式(2)におけるX3は、上記のX2で示されるものと同一のものがあげられ、X2とX3は同一でも、異なっていてもよい。
【0026】一般式(2)におけるY1は多価カルボン酸残基であり、Y2は2価カルボン酸残基である。2価カルボン酸の例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸等があげられ、3価以上のものとしたはトリメリット酸、ピリメリット酸、その他のポリカルボン酸等があげられる。これらのうちY1、Y2ともにイソフタル酸、テレフタル酸、およびアジピン酸が好ましい。
【0027】一般式(2)において、mは通常1〜200、好ましくは1〜80、特に好ましくは1〜20の整数である。mが200をこえると粘度が高くなり開始剤の溶解が困難になる。
【0028】一般式(2)おいて、nは通常2〜200、好ましくは3〜100、特に好ましくは3〜20の整数である。nが200より大きくなると、粘度が高くなり開始剤の溶解が困難になる。n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシル又はアリール基でもよい。
【0029】一般式(3)は、

{式中、mは1〜200の整数、nは2〜200の整数であり、X2はアルキレンまたはアリーレン基であり、X1は多価アルコール残基である。n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシルまたはアリール基でもよい。}で表される。
【0030】一般式(3)におけるX1は一般式(1)で示されたものと同一のものがあげられ、X2、mおよびnは、それぞれ一般式(2)で示されたものと同一のものがあげられる。
【0031】一般式(4)は、

{式中、mは1〜200、nは2〜200の整数であり、X2、X3はそれぞれ、HOX2OH、HOX3OHで表されるアルキレンジオール、アリーレンジオール、ポリエーテルジオール、ポリウレタンジオールまたはポリカーボネートジオールのいずれかのジオールの残基であり、X1は多価アルコール残基である。n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシル又はアリール基でもよい。}表される。
【0032】一般式(4)におけるX1は一般式(1)で示されたものと同一のものがあげられ、X2、X3、mおよびnは、それぞれ一般式(2)で示されたものと同一のものがあげられ、X2とX3は同一でも、異なっていてもよい。
【0033】本発明の(A)におけるプロペニルエーテル末端基を有するウレタンオリゴマーは下記一般式(5)で表される。


{式中、mは0〜200、nは2〜200の整数であり、Q1は−OX2O−または−N(R2)−X4−N(R2)−で表される基であり、Q2は−OX2O−で表される基である。X2は、HOX2OHで表されるアルキルジオール、アリールジオール、ポリ エーテルジオール、ポリエステルジオールまたはポリカーボネートジオールのいずれかのジオールの残基である。−N(R2)−X4−N(R2)−はHN(R2)−X4−N(R2)Hで表されるジアミン残基であり、X4は炭素数2〜12のアルキレン、アリーレン、アラルキレンまたはシクロアルキレン基であり、R2は炭素数2〜12のアルキル、アリール、アラルキルまたはシクロアルキル基である。Z1は多価イソシアネート残基であり、Z2は2価イソシアネート残基である。n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシルまたはアリール基でもよい。}
【0034】一般式(5)において、Z2における2価イソシアネートとしては前記式(ii)であげられたものと同一のものがあげられる。Z1における多価イソシアネートとしてはリジンエステルトリイソシアネート、ヘキサメチレントリイソシアネートおよびポリフェニルポリイソシアネート等があげられる。
【0035】一般式(5)において、Q1は−OX2O−または−N(R2)−X4−N(R2)−で表される基であり、Q2は−OX2O−で表される基である。X2はHOX2OHで表されるアルキレンジオール、アリ−レンジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオールまたはポリカーボネートジオールのいずれかのジオールの残基であり、X2は一般(2)におけるX2と同一のものがあげられる。
【0036】上記HOX2OHがポリエステルジオールの場合、下記の(iii)と(iv)との反応生成物があげられる。
(iii) H(OX7)m−OH(mは0〜200の整数、X7は炭素数2〜12のアルキレン、アリーレン、アラルキレン、およびシクロアルキレンの基よりなる群から選ばれる2価の基である)
(iv) HOOC−Y3−COOH(式中、Y3はアルキレン、アリーレン、アラルキレンおよびシクロアルキレンの基よりなる群から選ばれる2価の基である)
【0037】上記(iii)のポリエーテルジオールにおいてmは通常0〜200、好ましくは、3〜20の整数である。
【0038】上記(iii)のポリエーテルジオールにおいてX7は炭素数2〜12のアルキレン、アリーレン、アラルキレンおよびシクロアルキレンの基よりなる群から選ばれる2価の基であり、使用しうるアルキレン基の例には、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、へキシレン、へプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン等があげられる。アリーレン基の例にはフェニレン、ナフチレン、アントリレン、フェナントリレン等があげられる。アルアルキレンの例には、ベンジレン、1−フェニチレン、2−フェニチレン、3−フェニルプロピレン、2−フェニルプロピレン、1−フェニルプロピレンなどがあげられる。シクロアルキレン基の例には、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、シクロヘプチレン、シクロオクチレン等があげられる。これらのうち好ましくは、エチレン基およびプロピレン基である。アルキレン基が長くなると開始剤の溶解性が悪くなる。
【0039】上記(iv)のジカルボン酸の例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ポリカルボン酸等があげられる。これらのうち好ましくは、イソフタル酸、テレフタル酸、およびアジピン酸である。X4は、一般式(2)におけるX2と同一のものがあげられ、R2は一般式(1)中のAで示されたものと同一のものがあげられ、mおよびnは一般式(2)で示したものと同一のものがあげられる。
【0040】本発明の(A)におけるプロペニルエーテル末端基を有するモノマーは下記一般式(6)または一般式(7)で表される。
1[−O−R1]n (6)
(式中、nは2〜200の整数であり、X1は多価アルコール残基である。n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシルまたはアリール基でもよい。)
【0041】一般式(6)において、nは通常2〜200、好ましくは2〜6の整数である。nが200を超えると粘度が高くハンドリングが悪くなる。X1は一般式(1)で示したものと同一のものがあげられる。
【0042】


{式中、nは2−200、X2は、HOX2OHで表されるアルキレンジオール、アリーレンジオール、ポリエーテルジオール、ポリウレタンジオールまたはポリカーボネートジオールのいずれかのジオールの残基であり、Y1は多価カルボン酸残基である。n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシルまたはアリール基でもよい。}
一般式(7)において、nは通常2〜200、好ましくは2〜6の整数である。nが200を超えると粘度が高くハンドリングが悪くなる。Y1およびX2は一般式(2)であげられたものと同一のものがあげられる。
【0043】本発明において使用される光重合開始剤(B)としては、公知の光カチオン重合開始剤が使用できる。例えば、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムホスフェート、P−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、P−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−クロルフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−クロルフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−ジフェニル−スルフォニオ)フェニル]スルフィド−ビス−ヘキサフルオロフォスフェート、ビス[4−ジフェニル−スルフォニオ)フェニル]スルフィド‐ビス‐ヘキサフルオロアンチモネート、(2、4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−Fe−ヘキサフルオロホスフェート等を挙げることができる。これらは市場より容易に入手することができる。例えば、旭電化(株)製、SP−150、SP−170、チバ・ガイギー社製、イルガキュアー261、ユニオンカーバイド社製、UVR−6974、UVR−6990等を挙げることができる。
【0044】本発明において樹脂組成物の粘度を調節する目的で必要に応じて反応性希釈剤(C)を使用できる。
【0045】該(C)は下記一般式(8)であらわされる化合物があげられる。
CH3−CH=CH−O−X2−O−R3 (8)
{式中、X2は、HOX2OHで表されるアルキレンジオール、アリーレンジオール、ポリエーテルジオール、ポリウレタンジオールまたはポリカーボネートジオールのいずれかのジオールの残基であり、R3は炭素数が2〜12のアルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル基または水素原子である。}
【0046】上記一般式においてX2は一般式(2)で示されたものと同一のものがあげられ、R3は炭素数が2〜12のアルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル基または水素原子である。
【0047】本発明において(A)、および(B)の使用割合は通常(A)95〜99.9重量%、(B)0.01〜5重量%、好ましくは(A)96〜98重量%、(B)2〜4重量%である。
【0048】本発明において(A)、(B)の合計重量に対して(C)を通常5〜60重量%、好ましくは10〜30重量%であり、(C)が60重量%をこえると、硬化速度が大幅に低下する。
【0049】本発明の組成物には必要により(A)とともに公知の光ラジカル重合性組成物(D)を併用することができる。含有する(D)の量としては、通常(A)成分100重量部に対し0〜100重量部を使用し、好ましくは10〜40%である。
【0050】本発明の組成物には、更に必要に応じて、レベリング剤、紫外線吸収剤、その他各種添加剤等を含有させることができる。
【0051】本発明の組成物の硬化物は常法に従い光照射により得られる。使用できる光としては高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、低圧水銀ランプ等から放出される紫外線などをあげることができる。
【0052】
【実施例】以下、実施例を以て本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお以下、CH3−CH=CH−基(プロペニル基)はPrと略す。光カチオン触媒UVR−6974はP−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート及びビス[4−(ジフェニルスルフォニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロアンチモネート混合物の50%希釈品である。
【0053】実施例1以下の(A)、(B)及び(C)を混合して光硬化型組成物を得た。
(A) Pr−O−(CH2CH2O)12−Pr 77部(B) UVR−6974 3部(C) Pr−O−CH2CH2−OH 20部この組成物を2P成型機を用いスタンパ上に塗布し、プライマー処理されたガラス基版で組成物をおしひろげ紫外線を照射し硬化させた。スタンパから基版を剥離し光ディスク用基版を得た。硬化速度は良好であった。その後この基版に、スパッタ法により記録膜層を作成した。60℃、90%RHの状態に放置し、1000時間耐湿試験をしたが記録膜に異常はなかった。基版との密着性も良好であった。
【0054】実施例2(A)として以下の化合物77部を用いその他は実施例1と同様に行った。結果も同様であり良好であった。


Y:テレフタル酸残基
【0055】実施例3(A)として以下の化合物77部を用いその他は実施例1と同様に行った。結果も同様であり良好であった。


X:トリエチレングリコール残基Z:4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート残基
【0056】
【発明の効果】以上、説明したように、プロペニルエーテル末端基を有する化合物を含む光ディスク用光硬化型組成物は、硬化速度が大きく、基版との密着性に優れ、臭気の問題もないという特徴を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも2個のプロペニルエーテル末端基を有する化合物(A)および光重合開始剤(B)からなる光ディスク(用)基板用光硬化型組成物。
【請求項2】 (A)がプロペニルエーテル末端基を有する(ポリ)エーテルオリゴマー、プロペニルエーテル末端基を有するポリエステルオリゴマー、プロペニルエーテル末端基を有するウレタンオリゴマーおよびプロペニルエーテル末端基を有するモノマーの群から選ばれる1種以上の化合物である請求項1記載の組成物。
【請求項3】 プロペニルエーテル末端基を有する(ポリ)エーテルオリゴマーが下記一般式(1)で表されるオリゴマーである請求項2記載の組成物。
1[−O−(AO)m−R1]n (1)
{式中、nは2〜200の整数であり、n個のmは0〜200の整数でありmの少なくとも1個は1以上である。n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシルまたはアリール基でもよい。Aは炭素数2〜12のアルキレン、アリーレン、アルアルキレンまたはシクロアルキレン基であり、mが2以上の場合のAは同一でも異なっていても良く、(AO)m部分はランダム付加でもブロック付加でも良い。X1は多価アルコール残基である。}
【請求項4】 プロペニルエーテル末端基を有するポリエステルオリゴマーが下記一般式(2)、一般式(3)、または一般式(4)で表されるオリゴマーである請求項2記載の組成物。


{式中、mは1〜200の整数、nは2〜200の整数であり、X2、X3はそれぞれHOX2OH、HOX3OHで表されるアルキレンジオール、アリーレンジオール、ポリエーテルジオール、ポリウレタンジオールまたはポリカーボネートジオールのいずれかのジオールの残基であり、Y1は多価カルボン酸残基であり、Y2は2価カルボン酸残基である。n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシル又はアリール基でもよい。}


{式中、mは1〜200の整数、nは2〜200の整数であり、X2はアルキレンまたはアリーレン基であり、X1は多価アルコール残基である。n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシルまたはアリール基でもよい。}


{式中、mは1〜200、nは2〜200の整数であり、X2、X3はそれぞれ、HOX2OH、HOX3OHで表されるアルキレンジオール、アリーレンジオール、ポリエーテルジオール、ポリウレタンジオールまたはポリカーボネートジオールのいずれかのジオールの残基であり、X1は多価アルコール残基である。n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシル又はアリール基でもよい。}
【請求項5】 プロペニルエーテル末端基を有するウレタンオリゴマーが下記一般式(5)で表されるオリゴマーである請求項2記載の組成物。


{式中、mは0〜200、nは2〜200の整数であり、Q1は−OX2O−または−N(R2)−X4−N(R2)−で表される基であり、Q2は−OX2O−で表される基である。X2は、HOX2OHで表されるアルキルジオール、アリールジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオールまたはポリカーボネートジオールのいずれかのジオールの残基である。−N(R2)−X4−N(R2)−はHN(R2)−X4−N(R2)Hで表されるジアミン残基であり、X4は炭素数2〜12のアルキレン、アリーレン、アラルキレンまたはシクロアルキレン基であり、R2は炭素数2〜12のアルキル、アリール、アラルキルまたはシクロアルキル基である。Z1は多価イソシアネート残基であり、Z2は2価イソシアネート残基である。n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシルまたはアリール基でもよい。}
【請求項6】 プロペニルエーテル末端基を有するモノマーが下記一般式(6)または一般式(7)で表される請求項2記載の組成物。
1[−O−R1]n (6)
(式中、nは2〜200の整数であり、X1は多価アルコール残基である。n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシルまたはアリール基でもよい。)


{式中、nは2−200、X2は、HOX2OHで表されるアルキレンジオール、アリーレンジオール、ポリエーテルジオール、ポリウレタンジオールまたはポリカーボネートジオールのいずれかのジオールの残基であり、Y1は多価カルボン酸残基である。n個のR1の少なくとも2個はプロペニル基であり、残りは水素原子、アルキル、アシルまたはアリール基でもよい。}
【請求項7】 (A)の含量が95〜99.9重量%、(B)の含量が0.01〜5重量%である請求項1〜6のいずれか記載の組成物。
【請求項8】 さらに反応性希釈剤(C)が配合されてなり、(A)および(B)の合計重量に対して、(C)の含量が5〜60重量% である請求項1〜7のいずれか記載の組成物。
【請求項9】 (C)が下記一般式(8)で表される反応性希釈剤である請求項8記載の組成物。
CH3−CH=CH−O−X2−O−R3 (8)
{式中、X2は、HOX2OHで表されるアルキレンジオール、アリーレンジオール、ポリエーテルジオール、ポリウレタンジオールまたはポリカーボネートジオールのいずれかのジオールの残基であり、R3は炭素数が2〜12のアルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル基または水素原子である。}
【請求項10】 請求項1〜9のいずれか記載の組成物の硬化物からなる光ディスク用基板。

【特許番号】特許第3172074号(P3172074)
【登録日】平成13年3月23日(2001.3.23)
【発行日】平成13年6月4日(2001.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−328276
【出願日】平成7年11月21日(1995.11.21)
【公開番号】特開平9−143235
【公開日】平成9年6月3日(1997.6.3)
【審査請求日】平成11年2月3日(1999.2.3)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【参考文献】
【文献】特開 平9−143391(JP,A)
【文献】特開 平9−143234(JP,A)
【文献】特開 平9−143392(JP,A)
【文献】特開 平7−128850(JP,A)
【文献】特開 平7−224132(JP,A)
【文献】特開 平9−59320(JP,A)
【文献】特開 昭63−275571(JP,A)
【文献】特開 平8−59716(JP,A)
【文献】特開 平5−140254(JP,A)
【文献】特開 平4−277557(JP,A)
【文献】特開 平6−41258(JP,A)
【文献】特開 平8−157479(JP,A)
【文献】特開 平8−211612(JP,A)
【文献】特開 平8−29985(JP,A)
【文献】特開 平6−250392(JP,A)
【文献】特開 平6−186741(JP,A)
【文献】特開 平6−27664(JP,A)