説明

光トランシーバ

【課題】製造コストの増加を抑えつつ、受光素子及び発光素子で発生した熱を効果的に逃がすことができる光トランシーバを提供する。
【解決手段】光トランシーバ1は、光ケーブル挿入部31と、フォトダイオード52と、レーザダイオード53と、光学素子保持部33と、を備える。光ケーブル挿入部31は、ケーブル側コネクタ20を挿入可能である。フォトダイオード52は、光ケーブル12を介して入射された光信号を電気信号に変換して、接続先の車載機器へ出力する。レーザダイオード53は、接続先の車載機器から入力された電気信号を光信号に変換して、光ケーブル12を介して送信する。光学素子保持部33は、光学素子を保持し、当該光学素子の周囲に、放熱のための放熱孔35が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光信号と電気信号とを相互変換する光トランシーバに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車載機器同士を、電線ではなく光ケーブル(光ファイバを被覆して生成されるケーブル)によって接続し、光通信によって信号の送受信を行う構成が注目されている。光通信を行うことにより、従来の電線による通信と比べて伝送速度を速くすることができる。また、光通信は電磁ノイズによる影響を受けにくいため、安定して信号を送受信することができる。
【0003】
光通信を行う車載機器は、光トランシーバを介して光ケーブルと接続される。光トランシーバは、例えば、ケーブル側コネクタと、機器側コネクタと、受光素子と、発光素子と、を主要な部品として構成される。ケーブル側コネクタは、フェルール等を介して光ケーブルを保持可能である。機器側コネクタは、このケーブル側コネクタと係合可能であるとともに、車載機器の基板に取付可能に構成される。受光素子は、フォトダイオード等であり、光ケーブルを介して入射された光信号を電気信号に変換する。発光素子は、発光ダイオード等であり、車載機器から受信した電気信号を光信号に変換する。また、発光ダイオードによって変換された光信号は、光ケーブルを介して他の車載機器等に送信される。
【0004】
この構成により、車載機器間で、光通信を利用した信号の送受信を行うことができる。特許文献1及び2は、この種の光トランシーバにおける熱対策に関する技術を開示する。
【0005】
特許文献1では、耐熱性に優れた素材を用いた構成が開示されている。具体的には、通常のプラスチック製の光ファイバ(耐熱温度が約85度)に代えて、ガラス製の光ファイバ(耐熱温度が約125度)を用いる構成が開示されている。また、発光素子及び受光素子と、光ファイバの先端部と、の間に配置されるレンズスリーブを、耐熱性に優れるシクロオレフィン系の合成樹脂とする構成についても開示されている。
【0006】
特許文献2の光トランシーバは、発光素子を含んで構成されるTOSA(Transmitting Optical Sub−Assembly)と、受光素子を含んで構成されるROSA(Receiving Optical Sub−Assembly)と、を効率良く放熱する構成を開示する。この光トランシーバでは、TOSA及びROSAの表面に伝熱シートが配置されるとともに、当該伝熱シートの上に放熱部材が配置される。
【0007】
この構成により、TOSA及びROSAで発生した熱を、伝熱シート及び放熱部材を介して、外部に逃がすことができる。また、この特許文献2では、伝熱シート及び放熱部材を基板の近傍に配置し、当該基板で発生する熱を逃がす構成についても開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−151373号公報
【特許文献2】特開2007−227707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、自動車は様々な場所で利用されるので、環境によっては、車内が非常に高温となることが考えられる。一方、発光素子及び受光素子は、熱に弱いものが多い。例えば、一般的な発光ダイオードの耐熱温度は約80度である。従って、自動車に搭載される光トランシーバでは、発光素子及び受光素子についての熱対策が重要視されている。
【0010】
この点、特許文献1の構成は、発光素子及び受光素子で発生する熱を逃がす構成を開示していない。
【0011】
一方、特許文献2の構成は、発光素子及び受光素子で発生する熱を逃がすことが可能である。しかし、この構成を採用した場合、通常の光トランシーバの組立工程に、伝熱シート及び放熱部材を取り付ける工程が追加される。従って、組立作業の複雑化及び製造コストの増加に繋がってしまう。
【0012】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、製造コストの増加を抑えつつ、受光素子及び発光素子で発生した熱を効果的に逃がすことができる光トランシーバを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0013】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0014】
本発明の観点によれば、以下の構成の光トランシーバが提供される。即ち、この光トランシーバは、光ケーブル挿入部と、受光素子と、発光素子と、光学素子保持部と、を備える。前記光ケーブル挿入部は、光ケーブル又は当該光ケーブルに取り付けられたコネクタを挿入可能である。前記受光素子は、前記光ケーブルを介して入射された光信号を電気信号に変換して、光通信を行う機器へ出力する。前記発光素子は、前記機器から入力された電気信号を光信号に変換して、前記光ケーブルを介して送信する。前記光学素子保持部は、前記受光素子及び前記発光素子を保持し、前記受光素子及び前記発光素子のうち少なくとも一方の周囲に、放熱のための孔又は切欠きが形成される。
【0015】
これにより、孔又は切欠きを形成するという簡単な構成で、受光素子及び発光素子(以下、まとめて光学素子と称する)の放熱を行うことができる。また、放熱のための特別な部材(伝熱シート及び放熱部材等)を用いなくても良いので、部品点数の増加(即ち、製造工程の複雑化、及び製造コストの増加)を抑えることができる。
【0016】
前記の光トランシーバにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この光トランシーバは、少なくとも前記光学素子保持部を覆うカバーを備える。前記カバーには、前記受光素子及び前記発光素子のうち少なくとも一方と接触し、接触した光学素子の熱を奪う伝熱部が形成される。
【0017】
これにより、光学素子の放熱のための部材と、光トランシーバを基板に固定するため等に用いられる部材(カバー)と、を共通化できるので、部品点数を削減することができる。また、カバーは、一般的に表面積が大きいため、放熱を効率的に行うことができる。
【0018】
前記の光トランシーバにおいては、前記カバー及び前記伝熱部が金属製であることが好ましい。
【0019】
これにより、光学素子の熱がカバーの各部へ伝わり易くなるので、光学素子の効率的な放熱が可能となる。また、このカバーで覆われた部分を電気的及び磁気的に遮蔽できるので、電気信号のノイズを低減することができる。
【0020】
前記の光トランシーバにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この光トランシーバは、接触部材を備える。前記接触部材は、前記受光素子及び前記発光素子のうち少なくとも一方が前記光学素子保持部から外れないように当該受光素子及び当該発光素子の少なくとも一方と接触するとともに、接触した光学素子から熱を奪う。
【0021】
これにより、光学素子の放熱のための部材と、光学素子を外れないようにする部材と、を共通化できるので、部品点数を削減することができる。
【0022】
前記の光トランシーバにおいては、前記接触部材は、前記光学素子保持部が保持する前記受光素子及び前記発光素子の両方と接触して、当該受光素子及び当該発光素子が外れないようにすることが好ましい。
【0023】
これにより、受光素子及び発光素子の両方の放熱を1つの部材(接触部材)によって行うことができる。これにより、部品点数を更に削減することができる。
【0024】
前記の光トランシーバにおいては、車両に搭載されることが好ましい。
【0025】
これにより、簡単な構成で光学素子の放熱を行うという本発明の効果を車両において発揮させることができる。特に、車両は利用環境によっては車内が高温となることもあるので、本発明の効果を有効に活用させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態に係る光トランシーバの構成を示す斜視図。
【図2】光トランシーバの分解斜視図。
【図3】光学素子の近傍を模式的に示す横断面図。
【図4】コネクタカバーと光学素子とが接触する変形例を模式的に示す横断面図。
【図5】機器側コネクタの変形例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る光トランシーバの構成を示す斜視図である。図2は、光トランシーバの分解斜視図である。図3は、光学素子の近傍を模式的に示す横断面図である。
【0028】
図1に示す光トランシーバ1は、光通信を行う車載機器(詳細には車載機器が備える基板11)に光ケーブル12を接続する際に用いられる。光トランシーバ1は、光信号と電気信号の相互変換が可能であるため、接続先の車載機器が生成した電気信号を光信号に変換して、他の車載機器へ送信することができる。これと同様に、光トランシーバ1は、他の車載機器が生成した光信号を電気信号に変換して、光トランシーバ1の接続先の車載機器へ出力することが可能である。
【0029】
以下、光トランシーバ1の詳細な構成について説明する。図1及び図2に示すように、光トランシーバ1は、主要な部品として、機器側コネクタ30と、コネクタカバー(カバー)40と、レンズ51と、フォトダイオード(受光素子)52と、レーザダイオード(発光素子)53と、スペーサ(接触部材)54と、を備えている。なお、光ケーブル12の一端部には、機器側コネクタ30と係合可能なケーブル側コネクタ20が取り付けられている。
【0030】
このケーブル側コネクタ20には、2つのケーブル挿入孔21と、係合突起22と、が形成されている。ケーブル挿入孔21は、ケーブル側コネクタ20を長手方向に貫通するように形成された孔である。このケーブル挿入孔21には2本(送信用及び受信用)の光ケーブル12が挿入される。また、光ケーブル12の先端部には、図3に示すフェルール13が接続されている。光ケーブル12によって伝達された光信号は、このフェルール13を介して車載装置側に伝達される。
【0031】
係合突起22は、ケーブル側コネクタ20の一側の面に形成された突起である。係合突起22は、機器側コネクタ30に形成された後述の係合孔32と係合できるように構成されている。
【0032】
機器側コネクタ30は、図2に示すように、光ケーブル挿入部31と、係合孔32と、光学素子保持部33と、カバー取付部36と、を備える。
【0033】
光ケーブル挿入部31は、ケーブル側コネクタ20を挿入できるように構成されている。ケーブル側コネクタ20を光ケーブル挿入部31に挿入すると、ケーブル側コネクタ20に形成された係合突起22が、機器側コネクタ30に形成された係合孔32と係合する(図1を参照)。このようにして、ケーブル側コネクタ20を機器側コネクタ30に接続することができる。なお、ケーブル側コネクタ20を取り外すときは、係合突起22を押圧して上記の係合を外しつつ、ケーブル側コネクタ20を引き抜けば良い。
【0034】
光学素子保持部33は、フォトダイオード52及びレーザダイオード53等を保持可能である。光学素子保持部33は、図2に示すように、2つの保持フレーム34を備えている。これらの保持フレーム34の一側の面(コネクタカバー40が取り付けられる側の面、図2における上面)には、フォトダイオード52及びレーザダイオード53を放熱するための放熱孔35がそれぞれ形成されている。
【0035】
この光学素子保持部33には、光ケーブル12側から順に、2つのレンズ51、フォトダイオード52及びレーザダイオード53、スペーサ54が取り付けられる(図2を参照)。
【0036】
レンズ51は、光ケーブル12を介して入射された光信号を集光するため等に用いられる。この2つのレンズ51は、図3に示すように、フェルール13が取り付けられた2つの孔にそれぞれ取り付けられる。
【0037】
フォトダイオード52は、入射された光に基づいて電流を発生させる機能を有している。この機能により、光ケーブル12を介して入射された光信号を電気信号に変換することができる。また、フォトダイオード52は、前記基板11に接続されるため、この電気信号を接続先の車載装置へ出力することができる。
【0038】
レーザダイオード53は、与えられた電圧に基づいて発光する機能を有している。また、レーザダイオード53は、基板11に接続される。以上により、レーザダイオード53は、接続先の車載装置が出力した電気信号を光信号に変換することができる。レーザダイオード53が出力する光信号は、光ケーブル12を介して他の車載装置へ送信される。
【0039】
このフォトダイオード52及びレーザダイオード53(以下ではまとめて光学素子と称することがある)は、それぞれレンズ51と接触するように保持フレーム34に取り付けられる。なお、光学素子は、発光時及び受光時に発熱するため、温度が上昇し易い。更に、光学素子は熱に弱いことが多いため、十分な放熱が要求される。
【0040】
この点、本実施形態の構成は、図3に示すように、保持フレーム34に放熱孔35が形成されているため、この放熱孔35を介して放熱を行うことができる。
【0041】
スペーサ54は、金属等の熱伝導率の高い素材で形成された部材である。スペーサ54には、4本の足が形成されている。スペーサ54は、上側の2本の足(コネクタカバー40が取り付けられる側の2本の足)でフォトダイオード52及びレーザダイオード53の上面に接触するように、かつ、下側の2本の足(コネクタカバー40が取り付けられる側と反対側の2本の足)でフォトダイオード52及びレーザダイオード53の下面に接触するようにして、保持フレーム34に取り付けられる。また、スペーサ54は、自身が有する平板状の部分に、フォトダイオード52及びレーザダイオード53の両方が接触するようにして取り付けられる。
【0042】
この構成により、スペーサ54と光学素子との接触面積が比較的大きくなるため、光学素子の熱を効率的に奪うことができる。また、1つの部材であるスペーサ54によって、フォトダイオード52及びレーザダイオード53の両方の放熱を行うことができる。
【0043】
また、カバー取付部36は、機器側コネクタ30の側面に形成された突起である。このカバー取付部36は、コネクタカバー40の取付け時に位置決めのために用いられる。
【0044】
コネクタカバー40は、一面(機器側コネクタ30が取り付けられる側)が開放された金属製の箱状の部材である。コネクタカバー40には、機器側コネクタ30との取付時に用いられるコネクタ取付部41と、押圧部42と、が形成されている。
【0045】
コネクタ取付部41は、切欠き状に形成されている。コネクタカバー40を機器側コネクタ30に取り付ける際には、コネクタ取付部41とカバー取付部36とを合わせるようにして、コネクタカバー40を機器側コネクタ30に近づけていく。これにより、光ケーブル12の長手方向における位置決めを行うことができる。なお、コネクタカバー40は、金属製であるため、コネクタカバー40内(特に基板11)を電気的及び磁気的に遮蔽することができる。
【0046】
押圧部42は、コネクタカバー40に切込みを形成することで、当該コネクタカバー40自身が有する弾性を利用した板バネとして構成されている。また、押圧部42は、コネクタカバー40の取付後において、図3に示すように、スペーサ54に対向するように位置する。押圧部42の板バネの作用によりスペーサ54が押されることにより、光学素子をレンズ51側に押し付けて、当該光学素子が外れないようにしている。
【0047】
以上のようにして、機器側コネクタ30に、レンズ51、光学素子、スペーサ54、及びコネクタカバー40が取り付けられる。そして、機器側コネクタ30及びコネクタカバー40が基板側(図1の下側)に備える接続片が基板11に固定されるとともに、光学素子が備える接続端子も基板11に固定される。本実施形態の光トランシーバ1は以上のように構成される。
【0048】
次に、光トランシーバ1の変形例を説明する。初めに、図4を参照して、コネクタカバー40に形成された伝熱部43を用いて光学素子の放熱が行われる変形例を説明する。図4は、コネクタカバー40と光学素子とが接触する変形例を模式的に示す横断面図である。
【0049】
図4(a)に示す例においては、コネクタカバー40には、上面から保持フレーム34側に延出された棒状の伝熱部43が形成されている。なお、この伝熱部43もコネクタカバー40と同様に金属製である。そして、カバー取付部36及びコネクタ取付部41による位置決めが行われることで、この伝熱部43が光学素子の上面部と接触するように構成されている。
【0050】
この構成により、光学素子から伝熱部43へ熱が伝わる。また、コネクタカバー40及び伝熱部43は金属製であるため、光学素子から伝わった熱は、効率的にコネクタカバー40の各部に伝わる。そして、コネクタカバー40は表面積が大きいため、コネクタカバー40に伝わった熱を効率的に逃がすことができる。
【0051】
また、図4(a)の構成に代えて、例えば図4(b)のように構成することもできる。図4(b)では、コネクタカバー40の上面の形状が段状となっており、図4(b)に示す平面状の伝熱部43aが光学素子の上面と接触している。これにより、伝熱部と光学素子との接触面積をより大きくすることができるので、一層効率的に放熱を行うことができる。
【0052】
なお、コネクタカバー40と光学素子とを接触させる構成は上記に限られない。例えば、光学素子の上面ではなく側面とコネクタカバー40の伝熱部とが接触する構成であっても良い。
【0053】
次に、機器側コネクタ30の変形例について、図5を参照して説明する。図5は、機器側コネクタ30の変形例を示す斜視図である。
【0054】
上記実施形態では、光学素子で発生した熱を逃がすために放熱孔35を形成する構成だが、この放熱孔35に代えて、図5(a)に示すように放熱用の切欠き部35aを形成しても良い。また、図5(b)に示すように、保持フレーム34の上面ではなく側面に切欠き部35bが形成される構成であってもよい。
【0055】
このように、機器側コネクタ30に形成する放熱用の孔及び切り欠きの数、位置、及び大きさは任意であり、光学素子等を適切に保持することができる限り、適宜の構成に変更することができる。
【0056】
以上に説明したように、本実施形態の光トランシーバ1は、光ケーブル挿入部31と、フォトダイオード52と、レーザダイオード53と、光学素子保持部33と、を備える。光ケーブル挿入部31は、ケーブル側コネクタ20を挿入可能である。フォトダイオード52は、光ケーブル12を介して入射された光信号を電気信号に変換して、接続先の車載機器へ出力する。レーザダイオード53は、接続先の車載機器から入力された電気信号を光信号に変換して、光ケーブル12を介して送信する。光学素子保持部33は、光学素子を保持し、当該光学素子の周囲に、放熱のための放熱孔35、切欠き部35a、又は切欠き部35bが形成される。
【0057】
これにより、簡単な構成で、光学素子の放熱を行うことができる。また、放熱のための特別な部材を用いなくても良いので、部品点数の増加を抑えることができる。
【0058】
また、本実施形態の光トランシーバ1は、機器側コネクタ30を覆うコネクタカバー40を備える。コネクタカバー40には、光学素子と接触し、接触した光学素子の熱を奪う伝熱部43及び伝熱部43a等が形成される。
【0059】
これにより、光学素子の放熱のための部材と、光トランシーバ1を基板に固定するため等に用いられる部材(コネクタカバー40)と、を共通化できるので、部品点数を削減することができる。また、表面積の大きいコネクタカバーを用いて放熱を行うことができるので、光学素子が高温になることを確実に防止できる。なお、コネクタカバー40は金属製であるため、光学素子の熱がコネクタカバー40側へ伝わり易くなる。そのため、光学素子の放熱を効率的に行うことができる。
【0060】
また、本実施形態の光トランシーバ1は、スペーサ54を備える。スペーサ54は、フォトダイオード52及びレーザダイオード53の両方と接触して、これらの光学素子が光学素子保持部33から外れないようにするとともに放熱を行う。
【0061】
これにより、放熱のための特別の部材を備えることなく、フォトダイオード52及びレーザダイオード53の両方の放熱を行うことができる。これにより、部品点数を更に削減することができる。
【0062】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0063】
スペーサ54は、光学素子が外れないようにする構成である限り、任意の形状とすることができる。また、スペーサ54を金属製としたり、伝熱シートを貼り付けたりすることにより、効率的に放熱を行うことができる。
【0064】
光学素子は、レーザダイオード及びフォトダイオードに限られず、電気信号と光信号とを変換可能な適宜の部品を用いることができる。
【0065】
上記では、本発明の光トランシーバを車両に適用する例を示したが、車両以外に配置される構成であっても良い。
【符号の説明】
【0066】
1 光トランシーバ
11 基板
12 光ケーブル
20 ケーブル側コネクタ
30 機器側コネクタ
31 光ケーブル挿入部
33 光学素子保持部
34 保持フレーム
35 放熱孔
40 コネクタカバー(カバー)
52 フォトダイオード(受光素子)
53 レーザダイオード(発光素子)
54 スペーサ(接触部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ケーブル又は当該光ケーブルに取り付けられたコネクタを挿入可能な光ケーブル挿入部と、
前記光ケーブルを介して入射された光信号を電気信号に変換して、光通信を行う機器へ出力する受光素子と、
前記機器から入力された電気信号を光信号に変換して、前記光ケーブルを介して送信する発光素子と、
前記受光素子及び前記発光素子を保持し、前記受光素子及び前記発光素子のうち少なくとも一方の周囲に、放熱のための孔又は切欠きが形成された光学素子保持部と、
を備えることを特徴とする光トランシーバ。
【請求項2】
請求項1に記載の光トランシーバであって、
少なくとも前記光学素子保持部を覆うカバーを備え、
前記カバーには、前記受光素子及び前記発光素子のうち少なくとも一方と接触し、接触した光学素子の熱を奪う伝熱部が形成されることを特徴とする光トランシーバ。
【請求項3】
請求項2に記載の光トランシーバであって、
前記カバー及び前記伝熱部が金属製であることを特徴とする光トランシーバ。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載の光トランシーバであって、
接触部材を備え、
前記接触部材は、前記受光素子及び前記発光素子のうち少なくとも一方が前記光学素子保持部から外れないように当該受光素子及び当該発光素子の少なくとも一方と接触するとともに、接触した光学素子から熱を奪うことを特徴とする光トランシーバ。
【請求項5】
請求項4に記載の光トランシーバであって、
前記接触部材は、前記光学素子保持部が保持する前記受光素子及び前記発光素子の両方と接触して、当該受光素子及び当該発光素子が外れないようにすることを特徴とする光トランシーバ。
【請求項6】
請求項1から5までの何れか一項に記載の光トランシーバであって、
車両に搭載されることを特徴とする光トランシーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−247616(P2012−247616A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119156(P2011−119156)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(391045897)古河AS株式会社 (571)
【Fターム(参考)】