説明

光パルス生成装置

【課題】光パルス生成装置の消費電力を低減する技術を提供する。
【解決手段】光パルス生成装置は、光を発生する発光部151と、発光部151を制御して、電気パルス信号EPが入力されている間に所定周波数の複数の光パルス信号LPを発光部151に出力させる制御部150とを備えている。複数の光パルス信号LPの周期をTとすると、電気パルス信号EPのパルス幅は(N×T)に設定されている(Nは3以上の整数)。制御部151は、電気パルス信号EPが入力されている間、Nよりも少ない数の複数の光パルス信号LPを発光部151に出力させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光パルス信号を生成する光パルス生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光パルス信号を生成する装置に関して様々な技術が提案されている。例えば特許文献1では、赤外線通信に使用される装置であって、赤外線パルス信号を生成する装置が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2000−267771号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、光パルス生成装置に関して、一般的に、装置の温度上昇の抑制や電源装置の小型化のために、装置の低消費電力化が望まれる。
【0005】
そこで、本発明は上記点に鑑みて成されたものであり、光パルス生成装置の消費電力を低減する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、光を発生する発光部と、前記発光部を制御して、電気パルス信号が入力されている間に所定周波数の複数の光パルス信号を前記発光部に出力させる制御部とを備え、前記複数の光パルス信号の周期をTとすると、前記電気パルス信号のパルス幅は(N×T)であって(Nは3以上の整数)、前記制御部は、前記電気パルス信号が入力されている間、Nよりも少ない数の前記複数の光パルス信号を前記発光部に出力させる、光パルス生成装置である。
【0007】
また、請求項2の発明は、光を発生する発光部と、前記発光部を制御して、電気パルス信号が入力されている間に所定周波数の複数の光パルス信号を前記発光部に出力させる制御部とを備え、前記制御部は、前記電気パルス信号が入力されている間、デューティー比が50%未満の前記複数の光パルス信号を前記発光部に出力させる、光パルス生成装置である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、制御部に電気パルス信号が入力されている間に発光部から出力される光パルス信号のパルス数が少ないため、発光部での発光時間が短くなり、本装置の消費電力を低減することができる。
【0009】
また、請求項2の発明によれば、制御部に電気パルス信号が入力されている間に発光部から出力される光パルス信号のデューティー比が小さいため、発光部での発光時間が短くなり、本装置の消費電力を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
<実施の形態1>
図1は本発明の実施の形態1に係る光パルス生成装置の構成を示す図である。図1に示されるように、本実施の形態1に係る光パルス生成装置は、光を発生する発光部151と、発光部151を制御して、電気パルス信号EPが入力されている間に所定周波数の複数の光パルス信号LPを発光部151に出力させる制御部150とを備えている。発光部151は、例えば、LEDで構成されており、赤外線の光パルス信号LPを出力する。なお、発光部151からは可視光線や紫外線等の他の光パルス信号LPを出力しても良い。
【0011】
図2は電気パルス信号EPと光パルス信号LPとの関係を示す図である。本実施の形態1では、図2に示されるように、制御部150には、パルス幅の小さい電気パルス信号EPと、パルス幅の大きい電気パルス信号EPとが入力される。制御部150に電気パルス信号EPが入力されている間、制御部150による発光部151の制御によって、発光部151からは周期Tの複数の光パルス信号LPが出力される。
【0012】
電気パルス信号EPのパルス幅EPWは(N×T)に設定されている。ここで、Nは3以上の整数である。電気パルス信号EPのパルス幅EPWが大きくなるほど、Nの値も大きくなる。発光部151は、制御部150に電気パルス信号EPが入力されている間、周期Tで、Nよりも少ない数だけ点灯する。これにより、制御部150に電気パルス信号EPが入力されている間に発光部151から出力される光パルス信号LPのパルス数PNはNよりも小さくなる。
【0013】
図2に示される例では、パルス幅が小さい方の電気パルス信号EPに関してはN=4であって、当該電気パルス信号EPが制御部150に入力されている間に発光部151から出力される光パルス信号LPのパルス数PNは“3”に設定されている。つまり、制御部150にパルス幅4Tの電気パルス信号EPが入力されている間に、発光部151からは3つの光パルス信号LPが出力される。一方で、パルス幅が大きい方の電気パルス信号EPに関してはN=8であって、当該電気パルス信号EPが制御部150に入力されている間に発光部151から出力される光パルス信号LPのパルス数PNは“7”に設定されている。つまり、制御部150にパルス幅8Tの電気パルス信号EPが入力されている間に、発光部151からは7つの光パルス信号LPが出力される。
【0014】
このように、図2に示される例では、光パルス信号LPのパルス数PNは、電気パルス信号EPのパルス幅EPWを規定するNよりも1つ少ない値に設定されている。
【0015】
なお、本実施の形態1では、複数の光パルス信号LPのデューティー比は例えば50%に設定されている。
【0016】
以上のように、本実施の形態1に係る光パルス生成装置では、パルス幅(N×T)の電気パルス信号EPが制御部150に入力されている間に発光部151から出力される光パルス信号LPのパルス数PNは、Nよりも小さく設定されているため、当該光パルス信号LPのパルス数PNは少なくなる。したがって、発光部151での発光時間が短くなり、本光パルス生成装置の消費電力を低減することができる。
【0017】
<実施の形態2>
上述の実施の形態1では、光パルス信号LPのパルス数PNを少なくすることによって光パルス生成装置の消費電力を低減していたが、本実施の形態2では、光パルス信号LPのデューティー比を小さくすることによって光パルス生成装置の消費電力を低減する。
【0018】
図3は、本実施の形態2に係る光パルス生成装置において、制御部150に入力される電気パルス信号EPと、発光部151から出力される光パルス信号LPとの関係を示す図である。なお、本実施の形態2に係る光パルス生成装置の構成は図1に示される構成と同様である。
【0019】
図3に示されるように、制御部150に電気パルス信号EPが入力されている間、制御部150による発光部151の制御によって、発光部151からは周期Tの光パルス信号LPが出力される。電気パルス信号EPのパルス幅EPWは、実施の形態1と同様に(N×T)に設定されている。そして、本実施の形態2に係る発光部151は、制御部150に電気パルス信号EPが入力されている間、周期TでNと同じ数だけ点灯する。これにより、制御部150に電気パルス信号EPが入力されている間に発光部151から出力される光パルス信号LPのパルス数PNはNと同じ値になる。図3に示される例では、N=4であって、光パルス信号LPのパルス数PNは“4”に設定されている。
【0020】
また本実施の形態2では、制御部150に電気パルス信号EPが入力されている間に発光部151から出力される複数の光パルス信号LPのデューティー比は50%未満に設定されている。言い換えれば、光パルス信号LPのパルス幅LPWをその周期Tで割った値が0.5未満に設定されている。
【0021】
このように、本実施の形態2に係る光パルス生成装置では、制御部150に電気パルス信号EPが入力されている間に発光部151から出力される複数の光パルス信号LPのデューティー比が50%未満に設定されているため、当該デューティー比は小さくなる。したがって、発光部151での発光時間が短くなり、本光パルス生成装置の消費電力を低減することができる。
【0022】
なお、本実施の形態2では、光パルス信号LPのパルス数PNを、電気パルス信号EPを規定するNと同じ値に設定したが、上述の実施の形態1と同様に、Nよりも小さい値に設定しても良い。この場合には、本光パルス生成装置の消費電力をさらに低減することができる。
【0023】
<実施の形態3>
本実施の形態3では、本発明に係る光パルス生成装置を使用したシステム例について説明する。以下では、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等に導入される電子棚札システム(ESLシステム/Electronic Shelf Label System)に、上述の実施の形態1に係る光パルス生成装置を使用した場合について説明する。
【0024】
図4は、本実施の形態3に係る電子棚札システムが備える電子棚札が、店舗の商品棚に配置された様子を示す図である。電子棚札システムにおいては、売価などの商品情報を表示する可搬性の電子棚札が、各商品に対応して配置される。そして、商品マスタに基づく売価を含む通信信号が、情報を配信する配信側装置から各電子棚札に送信され、その売価が各電子棚札に表示される。これにより、電子棚札において精算時の売価と一致する正しい売価が表示され、正しい売価が顧客に伝達されるようになっている。
【0025】
図4に示されるように、商品棚60はフェース61と呼ばれる空間に区分され、各フェース61には同一種の商品6が集約されて載置される。商品棚60のフレーム62には、各フェース61に対応する位置にそれぞれ、電子棚札5が取り付けられている。すなわち、電子棚札5はそれぞれ一の商品6(正確には、一の商品の種類)に対応づけられ、その対応する商品6の近傍(一般的には、商品6の下側)のフレーム62に配置される。各電子棚札5はそれぞれディスプレイを備えており、ディスプレイには対応する商品6の売価が表示される。当該店舗の顧客(消費者)は、このような電子棚札5の表示により商品6の売価を認識する。
【0026】
電子棚札5は可搬性の装置であり、商品6の配置変更に対応できるように、フレーム62から取り外して別の位置に再配置することも可能とされている。本実施の形態3においては、図4に示すような商品棚60が店舗内の販売スペースに複数配置されている。
【0027】
図5は、店舗に適用される、電子棚札システム1を含む店舗情報システム100の構成例を示す図である。図5に示されるように、店舗情報システム100は、電子棚札システム1とともに、ストアコントローラ2及びPOSシステム3を備えている。POSシステム3が備えるPOSサーバ31、及び、電子棚札システム1が備えるESLサーバ10は、LAN21を介してストアコントローラ2に接続されている。これにより、ストアコントローラ2、POSシステム3及び電子棚札システム1の相互間でデータ通信が可能とされている。
【0028】
ストアコントローラ2は一般的なコンピュータで構成され、店舗情報システム100を統括的に管理する装置として機能する。また、ストアコントローラ2はインターネットなどの外部ネットワークに接続されており、外部ネットワークを介して、当該店舗を統括管理する本部センターに配置されたサーバ装置等のコンピュータと通信可能とされている。
【0029】
POSシステム3は、商品の販売に係る情報をその販売時点において収集して分析するシステムであり、POSシステム3を統括的に管理するPOSサーバ31とともに、商品の精算を行う複数のレジスタ32を備えている。POSサーバ31とレジスタ32とは専用の通信ケーブルで接続されている。
【0030】
POSサーバ31は一般的なコンピュータで構成され、そのハードディスクには、売価などの商品に係る各種の情報を示す商品マスタ301が記憶されている。複数のレジスタ32のそれぞれにおいては、商品マスタ301に記載される売価に基づいて商品の精算がなされる。
【0031】
店舗内の全商品に係る情報は、この商品マスタ301により一元的に管理されている。商品マスタ301に記載される情報には、商品の識別情報となる「商品コード」、商品の名称である「商品名」、通常の売価である「通常価格」、特売における売価である「特売価格」、特売を実施する期間である「特売期間」等が含まれている。
【0032】
電子棚札システム1は、上述した複数の電子棚札5と、電子棚札5に表示すべき商品の「売価」を配信する配信側装置40とに大別される。
【0033】
配信側装置40は、電子棚札システム1を統括的に管理するサーバ装置であるESLサーバ10と、複数の通信装置4とを備えて構成される。ESLサーバ10と複数の通信装置4とは、専用の通信ケーブル22を介して相互に接続されており、相互間でデータ通信が可能とされている。各通信装置4は電子棚札5と赤外線通信を行う。通信装置4は、販売スペース内に配置された全ての電子棚札5と通信可能なように、販売スペースの天井などに略一定距離ごとに配置される。
【0034】
ESLサーバ10のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。図6はESLサーバ10の構成を示す図である。ESLサーバ10は、各種演算処理を行うCPU11、基本プログラムを記憶するROM12、演算処理の作業領域となるRAM13、プログラムや各種のデータファイルなどを記憶するハードディスク14、各種表示を行うディスプレイ15、キーボード及びマウスなどで構成される入力部16、LAN21を介したデータ通信機能を有するデータ通信部17、並びに、通信装置4と通信するためのインターフェイス18を備えている。電子棚札5に送信すべき「売価」を示す信号はインターフェイス18を介して通信装置4に伝達される。
【0035】
ESLサーバ10のハードディスク14には、専用のプログラムが予め記憶されており、このプログラムに従ってCPU11が演算処理を行うことにより、ESLサーバ10としての各種機能が実現される。また、ESLサーバ10のハードディスク14には、商品に係る各種の情報(商品データ)を示すデータファイルである商品ファイル101が記憶されている。
【0036】
図7は、商品ファイル101の例を示す図である。図7に示されるように、商品ファイル101はテーブル形式となっており、レコード102のそれぞれが一の商品に係る情報を示している。具体的には、各レコード102ごとに「商品コード」、「商品名」、「通常価格」、「特売価格」及び「特売期間」等が登録されている。これらの情報は、上述したPOSシステム3に記憶された商品マスタ301と同様の情報であり、ESLサーバ10とPOSシステム3との通信により商品マスタ301の情報に基づいて登録される。このため、商品ファイル101の情報と商品マスタ301の情報とは内容が一致される。
【0037】
商品ファイル101の各レコード102には、さらに、電子棚札システム1が備える複数の電子棚札5のそれぞれに固有のハードウェアIDである一の「装置コード」が登録される。これにより、商品と電子棚札5とが一対一の関係でデータ的に対応づけられる(リンクづけされる)。この「装置コード」が利用されることにより、ある商品の「売価」が、その商品に対応する電子棚札5に対して送信されるようになっている。
【0038】
次に通信装置4について詳細に説明する。図8は通信装置4の構成を示す図である。図8に示されるように、各通信装置4は、実施の形態1に係る制御部150と同様の機能を有する制御部41と、実施の形態1に係る発光部151と同様の機能を有する発光部42と、例えばフォトダイオード及びアンプなどで構成されている受光部43とを備えている。発光部42は、制御部41による制御によって、ESLサーバ10から出力されるデータで変調された赤外線信号を出力する。
【0039】
制御部41は、ESLサーバ10から与えられる「売価」を示すデータに基づいて発光部42を制御する。ここで、ESLサーバ10からは2値データが電気信号で出力される。本実施の形態3では、ESLサーバ10から出力される、2値符号の“1”を示す電気信号を、電気パルス信号EPとして取り扱う。制御部41は、発光部42を制御して、2値符号の“1”を示す電気信号が入力されている間、赤外線の複数の光パルス信号LP1を周期Tで発光部42に出力させる。これにより、発光部42からは、ESLサーバ10からの2値データで変調された赤外線信号が光パルス信号LP1として出力される。実施の形態1と同様に、ESLサーバ10から出力される“1”を示す電気信号(電気パルス信号)のパルス幅は(N×T)に設定されており、当該電気信号が制御部41に入力されている間に発光部42が出力する光パルス信号LP1のパルス数はNよりも小さい値に設定されている。
【0040】
受光部43は、電子棚札5から出力される光パルス信号LP2を受信する。この光パルス信号LP2は、光パルス信号LP1と同様に2値データで変調された赤外線信号であって、光パルス信号LP1と同様にして生成される。受光部43及び制御部41は、受信した光パルス信号LP2を復調し、電子棚札5で生成された、ESLサーバ10に通知する2値データを取得する。受光部43は、光パルス信号LP2を電気信号に変換し、それを増幅して制御部41に出力する。制御部41は、入力された電気信号から、当該電気信号に重畳されている2値データを取得し、当該2値データをESLサーバ10に出力する。
【0041】
次に、電子棚札5について詳細に説明する。図9は電子棚札5の構成を示す図である。図9に示されるように、電子棚札5の前面には、商品の「売価」を表示するためのディスプレイ51と、配信側装置40との通信を担う通信部54とが配置されている。ディスプレイ51は、例えばドットマトリクス方式の液晶ディスプレイで構成されている。
【0042】
通信部54は、赤外線の光パルス信号LP2を出力する発光部52と、通信装置4からの光パルス信号LP1を受信し、当該光パルス信号LP1を電気信号に変換して出力する受光部53とを備えている。発光部52は通信装置4の発光部42と同様の機能を有しており、受光部53は通信装置4の受光部43と同様の機能を有している。
【0043】
ディスプレイ51の下方には、電子棚札5が対応づけられた商品に係る「商品名」及び「商品コード」を示すバーコードが印刷されたオーバレイラベル55が貼付される。ラベル類が貼付されていない電子棚札5のままでは、電子棚札5がいずれの商品に対応づけられているかの把握は困難であるが、このオーバレイラベル55により電子棚札5と商品とが視覚的に対応づけられる。
【0044】
電子棚札5はその内部に、駆動電力を供給する小型の電池56と、装置の動作を制御する集積回路で構成された制御部57とをさらに備えている。制御部57は、通信装置4の制御部41と同様の機能を有している。制御部57は、受光部53から出力される電気信号から、当該電気信号に重畳されている2値データを取得する。これにより、電子棚札5は、ESLサーバ10から「売価」を示すデータを受け取ることができる。
【0045】
また制御部57は、図示しないデータ生成部及び発光制御部を備えている。制御部57は、「売価」を示すデータを受け取ると、その旨を示す2値データをデータ生成部で生成し、発光制御部に出力する。発光制御部は、発光部52を制御して、2値符号の“1”を示す電気信号(電気パルス信号)が入力されている間、複数の光パルス信号LP2を周期Tで発光部52に出力させる。これにより、発光部52からは、データ生成部で生成された、ESLサーバ10に通知する2値データで変調された赤外線信号が光パルス信号LP2として出力される。データ生成部で生成される“1”を示す電気信号のパルス幅は、ESLサーバ10から出力されるデータと同様に(N×T)に設定されており、当該電気信号が発光制御部に入力されている間に発光部52が出力する光パルス信号LP2のパルス数はNよりも小さい値に設定されている。
【0046】
また制御部57は、各種の情報を記憶するメモリ58を備えている。このメモリ58には、光パルス信号LP1から得られた「売価」を示すデータや、自装置の装置コードなどを示すデータが記憶される。制御部57は、メモリ58から「売価」を示すデータを読み出し、そのデータに基づいてディスプレイ51を制御する。その結果、ディスプレイ51には「売価」が表示される。
【0047】
図10は、電子棚札5の通信部54において、受信した光パルス信号LP1に重畳されている2値データを取得する方法の一例を示す図である。図10に示されるように、受光部53からは、通信装置4からの光パルス信号LP1と同じ波形の電気信号が出力される。制御部57は、受光部53から出力される電気信号を観測することによって、光パルス信号LP1のパルス数を取得する。制御部57は、取得した光パルス信号LP1のパルス数に基づいて、生成する電気パルス信号EP1のパルス幅EPW1を決定する。例えば、上述の図2に示される例のように、光パルス信号LP1のパルス数がNよりも1つ少ない値に設定されている場合には、制御部57は、取得した光パルス信号LP1のパルス数に“1”を足し合わせた値に、光パルス信号LP1の周期Tを掛け合わせた値をパルス幅EPW1とする。そして、制御部57は、決定したパルス幅EPW1を有する電気パルス信号EP1を生成する。これにより、受信した光パルス信号LP1に重畳されている2値データを取得することができる。なお、配信側装置40の通信装置4においても、同様にして、受信した光パルス信号LP2に重畳されている2値データを取得することができる。
【0048】
次に、電子棚札5に売価が表示されるまでの電子棚札システム1の一連の動作について説明する。本実施の形態3の電子棚札システム1において、配信側装置40から電子棚札5への「売価」の配信は、システム起動時、及び、電子棚札5に表示させる「売価」を更新する際などに行われる。ここで「売価」を更新する際とは、商品マスタ301の通常価格が変更されたときや、特売の実施にあたって売価を通常価格から特売価格に変更するときなどが該当する。システム起動時には、店舗内の全ての商品に関して「売価」の配信がなされる。一方、「売価」を更新する際には、対象となる商品のみに関して「売価」の配信がなされる。これにより、電子棚札5に表示される「売価」と、レジスタ32による精算時の「売価」とが常時に一致されることになる。以下では、一の商品に関しての「売価」の配信に係る動作について説明する。以下の説明において、対象となる商品を「対象商品」という。
【0049】
まず、配信側装置40のESLサーバ10において、商品ファイル101のうちの対象商品に係るレコード102が参照され、「通常価格」及び「特売価格」のうちの配信すべき「売価」、及び、「装置コード」が取得される。ここで取得された「装置コード」は、対象商品に対応する電子棚札5の「装置コード」であり、また、取得された「売価」はその電子棚札5が表示すべき「売価」となる。これらの「売価」及び「装置コード」は、電気信号として通信ケーブル22を介して通信装置4に送信される。
【0050】
通信装置4では、制御部41が、入力された「売価」及び「装置コード」を示すデータに基づいて発光部42を制御する。これにより、通信装置4からは「売価」及び「装置コード」の情報を含む光パルス信号LP1が出力される。
【0051】
通信装置4から出力された光パルス信号LP1は、電子棚札5の通信部54において受信されて電気信号に変換される。制御部57は、通信部54で得られた電気信号から「売価」及び「装置コード」を示すデータを取得する。
【0052】
次に、制御部57は、得られた「装置コード」が、メモリ58内に予め記憶された自装置の装置コードと一致するか否かを判定する。このとき、その「装置コード」が自装置のものと一致しない場合は、受信した光パルス信号LP1は他の電子棚札5のための信号と判断され、そのまま処理が終了する。
【0053】
一方、「装置コード」が自装置のものと一致した場合は、受信した光パルス信号LP1は自装置のための信号と判断され、得られた「売価」に従ってディスプレイ51の表示が制御部57によって更新される。
【0054】
以上のような動作によって、配信側装置40から電子棚札5へ「売価」の配信がなされることになる。
【0055】
ディスプレイ51の表示を更新した後においては、「売価」を示すデータを正常に受け取った旨を示す情報を含む光パルス信号LP2が電子棚札5の発光部52から出力される。この光パルス信号LP2は通信装置4で受信されて、当該光パルス信号LP2に含まれる情報がESLサーバ10に伝達される。これにより、配信側装置40のESLサーバ10は、「売価」を示すデータが電子棚札5で正常に受信されたか否かを確認できる。したがって、例えば、電子棚札5から光パルス信号LP2が出力されない場合は、「売価」を示すデータが電子棚札5で正常に受信されなかったと判断して、ESLサーバ10は、光パルス信号LP2が返答されるまで「売価」を示すデータを繰り返し出力するなどの処理が可能となる。これにより、電子棚札5の表示を確実に更新でき、システムの信頼性を大幅に向上できる。
【0056】
以上のように、配信側装置40と電子棚札5との間での光情報通信において、本発明に係る光パルス生成装置を使用することによって、配信側装置40と電子棚札5との間でのデータの伝送レートを向上することができる。一般的に、装置間でのデータの伝送レートを増加させると、それらの装置の消費電力が増加することから、消費電力を抑制するという観点からは伝送レートをあまり増加させることができない。本発明に係る光パルス生成装置では、上述のように消費電力を低減することができるため、配信側装置40と電子棚札5との間でのデータの伝送レートを大幅に向上することができる。特に電子棚札5のディスプレイ51にドットマトリクス方式のディスプレイを採用した場合には、セグメント方式のディスプレイを採用した場合と比較して、表示データが大幅に増加するため、配信側装置40と電子棚札5との間での光情報通信に本発明に係る光パルス生成装置を使用するのは非常に有効である。
【0057】
なお、本実施の形態3では、通信装置4及び通信部54のそれぞれに、実施の形態1に係る光パルス生成装置の機能を組み込んだ場合について説明したが、実施の形態2に係る光パルス生成装置の機能を組み込んでも良い。
【0058】
また、本実施の形態3では、本発明に係る光パルス生成装置を電子棚札システムに適用する場合について説明したが、他のシステムにも適用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施の形態1に係る光パルス生成装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る光パルス生成装置における電気パルス信号と光パルス信号との関係を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態2に係る光パルス生成装置における電気パルス信号と光パルス信号との関係を示す図である。
【図4】本発明に係る光パルス生成装置が使用される電子棚札システムが備える電子棚札が配置された様子を示す図である。
【図5】本発明に係る光パルス生成装置が使用される電子棚札システムを含む店舗情報システムの構成例を示す図である。
【図6】ESLサーバの構成を示す図である。
【図7】商品ファイルの例を示す図である。
【図8】通信装置の構成を示す図である。
【図9】電子棚札の構成を示す図である。
【図10】光パルス信号に重畳されている2値データを取得する方法を示す図である。
【符号の説明】
【0060】
41,57,150 制御部
42,52,151 発光部
EP,EP1 電気パルス信号
LP,LP1,LP2 光パルス信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を発生する発光部と、
前記発光部を制御して、電気パルス信号が入力されている間に所定周波数の複数の光パルス信号を前記発光部に出力させる制御部と
を備え、
前記複数の光パルス信号の周期をTとすると、前記電気パルス信号のパルス幅は(N×T)であって(Nは3以上の整数)、
前記制御部は、前記電気パルス信号が入力されている間、Nよりも少ない数の前記複数の光パルス信号を前記発光部に出力させる、光パルス生成装置。
【請求項2】
光を発生する発光部と、
前記発光部を制御して、電気パルス信号が入力されている間に所定周波数の複数の光パルス信号を前記発光部に出力させる制御部と
を備え、
前記制御部は、前記電気パルス信号が入力されている間、デューティー比が50%未満の前記複数の光パルス信号を前記発光部に出力させる、光パルス生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−103915(P2008−103915A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−283894(P2006−283894)
【出願日】平成18年10月18日(2006.10.18)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】