説明

光パルス試験器イベント検出方法及び装置並びに光パルス試験装置

【課題】本発明は、デッドゾーン以下にイベントが生じている場合でも、イベントがあることを検出することを目的とする。
【解決手段】上記目的を達成するために、本願発明は、光パルス試験器10の特性である装置波形を用いて、OTDR波形予測部12が被測定対象100でイベントが測定された場合に光パルス試験器10で測定されるべき予測波形を算出し、差分算出部13が予測波形と実際の測定波形とを比較することで、イベントを検出することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、OTDR(Optical Time Domain Reflectometry)測定を行う光パルス試験器のイベント検出機能に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ブロードバンド環境は更なる高速大容量を支えるため、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)から光ファイバに移行してきている。FTTH(Fiber To The Home)では現在、ほとんどが、敷設時のコストメリットのあるPON(Passive Optical Network)構成をとっている。図10に、PONの構成とOTDR波形の一例を示す。PONは、スプリッタ53まで1本の光ファイバで多数の加入者宅52−1〜52−Nを収容できるため、敷設コストを抑えることが可能である反面、従来のSS(Single Star)方式に比べて保守の困難さが問題となっている。
【0003】
局舎51側から光パルス試験を行った場合、スプリッタ53までは通常の保守が行えるが、スプリッタ53よりも加入者宅52−1〜52−N側は分岐されているため、それぞれのポートのOTDR信号が重なってしまう。このため、局舎51側からのPONの監視が困難になっている。また、スプリッタ53では分岐数に応じた損失が生じることから、光パルス試験器によりよい性能が要求されてきている。
【0004】
測定波形の変化点を抽出し、その点が設定閾値を超えたイベントであるか否かを判断し、イベントとして検出している。この場合、測定波形に変化点がないような場合(受信機により帯域制限されるため、その帯域以下のような変化)には、イベントを検出することが困難となっている。具体的には、大きな損失がある場合その直後のロスイベントや、デッドゾーンよりも短い反射点などの検出は困難である。
【0005】
例えば、スプリッタ53の出口では、コネクタ接続や融着接続のトラブルが発生する場合がある。この場合に、スプリッタ53では分岐数に応じて大きな損失が生じるため、距距離D2におけるOTDR波形に示すように、コネクタ接続や融着接続のトラブルのイベントがデッドゾーン以下で分岐数に応じた損失に重なってしまう。このため、コネクタ接続や融着接続のトラブルのイベントを検出することは困難である。
【0006】
また、加入者宅52−2及び加入者宅52−3のように、スプリッタ53からの距離が互いに近い場合がある。この場合に、加入者宅52−2及び加入者宅52−3でのフレネル反射は、距離D3及び距離D4におけるOTDR波形に示すように、デッドゾーン以下で互いに重なってしまう。このため、加入者宅52−3のフレネル反射を検出することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO2005/003714
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、デッドゾーン以下にイベントが生じている場合でも、イベントがあることを検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本願発明は、光パルス試験器の特性である装置波形を用いて、イベントが測定された場合に光パルス試験器で測定されるべき予測波形を算出し、予測波形と実際の測定波形とを比較することで、イベントを検出することを特徴とする。
【0010】
具体的には、本願発明の光パルス試験器イベント検出方法は、OTDR波形を測定する光パルス試験器で測定された被測定対象のOTDR波形(以下、測定波形と記載する。)の変化点を検出し、検出された距離において損失又は反射が発生した場合のOTDR波形(以下、理想波形と記載する。)を生成し、前記測定波形に含まれる損失又は反射を予測するイベント予測手順(S101)と、損失及び反射がないときに前記光パルス試験器で測定されるOTDR波形(以下、装置波形と記載する。)を用いて、前記イベント予測手順で予測した損失又は反射を前記光パルス試験器が測定したときのOTDR波形(以下、予測波形と記載する。)を算出するOTDR波形予測手順(S102)と、前記測定波形と前記OTDR波形予測手順で算出された前記予測波形との各距離における差を求めて差分波形を生成する差分算出手順(S103)と、を順に有する。
【0011】
イベント予測手順(S101)及びOTDR波形予測手順(S102)を実行することで、予測したイベントが測定された場合に光パルス試験器で測定されるべき予測波形を算出することができる。差分算出手順(S103)を実行することで、予測したイベント以外にもイベントが発生していることを検出することができる。したがって、本願発明の光パルス試験器イベント検出方法は、デッドゾーン以下にイベントが生じている場合でも、イベントがあることを検出することができる。
【0012】
本願発明の光パルス試験器イベント検出方法では、前記差分算出手順において生成した前記差分波形に損失又は反射が含まれるか否かを判定するイベント追加判定手順(S104)を、前記差分算出手順の後にさらに有し、前記イベント追加判定手順において含まれると判定した場合には、前記イベント予測手順に移行し、前記イベント予測手順において前記差分波形に相当する損失又は反射を前記理想波形に追加した新たな理想波形を生成し、当該新たな理想波形を用いて前記OTDR波形予測手順及び前記差分算出手順をさらに繰り返してもよい。
イベント追加判定手順を有するため、予測したイベント以外のイベントを検出することができる。その後にさらにイベント予測手順、OTDR波形予測手順及び差分算出手順を繰り返すことで、デッドゾーン以下のイベントを検出することができる。
【0013】
本願発明の光パルス試験器イベント検出方法では、前記光パルス試験器に前記被測定対象を接続しない状態で、前記光パルス試験器を用いてOTDR波形を測定し、測定により得られたOTDR波形を前記装置波形として記憶する装置波形記憶手順(S105)を、前記イベント予測手順の前にさらに有してもよい。
装置波形記憶手順(S105)を有するため、個々の光パルス試験器の装置波形を更新することができる。このため、任意の光パルス試験器の予測波形を算出することができる。
【0014】
本願発明の光パルス試験器イベント検出方法では、前記OTDR波形予測手順において、前記イベント予測手順で生成した前記理想波形に対し、前記装置波形の畳み込み演算を行うことで、前記予測波形を算出してもよい。
【0015】
具体的には、本願発明のプログラムは、本願発明の光パルス試験器イベント検出方法における前記イベント予測手順、前記OTDR波形予測手順及び前記差分算出手順、または、前記イベント予測手順、前記OTDR波形予測手順、前記差分算出手順及び前記イベント追加判定手順、または、前記装置波形記憶手順、前記イベント予測手順、前記OTDR波形予測手順及び前記差分算出手順、または、前記装置波形記憶手順、前記イベント予測手順、前記OTDR波形予測手順、前記差分算出手順及び前記イベント追加判定手順をコンピュータに実行させる。
【0016】
具体的には、本願発明の光パルス試験器イベント検出装置は、OTDR波形を測定する光パルス試験器で測定された被測定対象のOTDR波形(以下、測定波形と記載する。)の変化点を検出し、検出された距離において損失又は反射が発生した場合のOTDR波形(以下、理想波形と記載する。)を生成し、前記測定波形に含まれる損失又は反射を予測するファイバ状態推定部(11)と、損失及び反射がないときに前記光パルス試験器で測定されるOTDR波形(以下、装置波形と記載する。)を用いて、前記ファイバ状態推定部の予測した損失又は反射を前記光パルス試験器が測定したときのOTDR波形(以下、予測波形と記載する。)を算出するOTDR波形予測部(12)と、前記測定波形と前記予測波形との各距離における差を求めて差分波形を生成する差分算出部(13)と、を備える。
【0017】
ファイバ状態推定部(11)及びOTDR波形予測部(12)を備えることで、予測したイベントが測定された場合に光パルス試験器で測定されるべき予測波形を算出することができる。差分算出部(13)を備えることで、予測したイベント以外にもイベントが発生していることを検出することができる。したがって、本願発明の光パルス試験器イベント検出装置は、デッドゾーン以下にイベントが生じている場合でも、イベントがあることを検出することができる。
【0018】
本願発明の光パルス試験器イベント検出装置では、前記差分算出部の生成する前記差分波形に損失又は反射が含まれるか否かを判定し、前記差分波形に損失又は反射がさらに含まれる場合には前記差分波形を前記ファイバ状態推定部に出力するイベント追加判定部(14)をさらに備え、前記ファイバ状態推定部は、さらに、前記差分波形に相当する損失又は反射を前記理想波形に追加した新たな理想波形を生成し、当該新たな理想波形を前記OTDR波形予測部に出力してもよい。
イベント追加判定部を備えるため、予測したイベント以外のイベントを検出することができる。その後にさらにファイバ状態推定部で新たな理想波形を生成するため、デッドゾーン以下のイベントを検出することができる。
【0019】
本願発明の光パルス試験器イベント検出装置では、前記OTDR波形予測部は、前記ファイバ状態推定部で生成した前記理想波形に対し、前記装置波形の畳み込み演算を行うことで、前記予測波形を算出してもよい。
【0020】
具体的には、本願発明の光パルス試験装置は、本願発明に係る光パルス試験器イベント検出装置と、OTDR波形を測定する前記光パルス試験器と、を備える。
本願発明の光パルス試験装置は、本願発明に係る光パルス試験器イベント検出装置を備えるため、デッドゾーン以下にイベントが生じている場合でも、イベントがあることを検出することができる。
【0021】
なお、上記各発明は、可能な限り組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、デッドゾーン以下にイベントが生じている場合でも、イベントがあることを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施形態に係る光パルス試験装置の一例を示す。
【図2】本実施形態に係る光パルス試験器イベント検出方法の一例を示す。
【図3】装置波形の一例を示す。
【図4】作成した被測定対象100の状態の一例である。
【図5】光パルス試験器10での被測定対象100の測定波形の一例を示す。
【図6】理想波形の一例を示す。
【図7】予測波形及び測定波形の一例であり、実線は予測波形を示し、破線は測定波形を示す。
【図8】測定波形と予測波形との差分波形の一例を示す。
【図9】差分波形を用いて生成した新たな理想波形の一例を示す。
【図10】PONの構成とOTDR波形の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施の例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0025】
図1に、本実施形態に係る光パルス試験装置の一例を示す。本実施形態に係る光パルス試験装置は、光パルス試験器10と、光パルス試験器イベント検出装置20と、を備える。光パルス試験器10は、被測定対象100に光パルスを出力してその戻り光を観測することによりOTDR波形を測定する。被測定対象100は、例えば光ファイバ又はPONである。
【0026】
光パルス試験器イベント検出装置20は、光パルス試験器10の測定波形を用いて、被測定対象100における損失又は反射を検出する。例えば、光パルス試験器イベント検出装置20は、ファイバ状態推定部11と、OTDR波形予測部12と、差分算出部13と、イベント追加判定部14と、装置波形記憶部15と、を備える。
【0027】
図2に、本実施形態に係る光パルス試験器イベント検出方法の一例を示す。本実施形態に係る光パルス試験器イベント検出方法は、装置波形記憶手順S105と、イベント予測手順S101と、OTDR波形予測手順S102と、差分算出手順S103と、イベント追加判定手順S104と、を順に有する。
【0028】
まず、装置波形記憶手順S105を行う。装置波形記憶手順S105では、装置波形記憶部15が、装置波形を記憶する。装置波形は、損失及び反射がないときに光パルス試験器10で測定されるOTDR波形である。たとえば、光パルス試験器10に被測定対象100を接続しない状態で、光パルス試験器10がOTDR測定を行う。そして、光パルス試験器10はそのOTDR波形を装置波形記憶部15に出力する。
【0029】
図3に、装置波形の一例を示す。図3に示すように、被測定対象100が接続されていない場合であっても、光パルス試験器10では装置固有の波形が測定される。この装置固有の波形を装置波形と称する。この装置波形は、装置ごとに異なるとともに、パルス幅によっても異なる。このため、装置波形記憶手順S105では、光パルス試験器10で使用可能な各種パルス幅についての装置波形を測定しておくことが好ましい。
【0030】
以下、本実施形態に係る光パルス試験器イベント検出装置20及び光パルス試験器イベント検出方法について、作成した被測定対象100の具体例を用いて説明する。図4は、作成した被測定対象100の状態の一例である。作成した被測定対象100は、距離D1にスプリッタ(図10に示す符号53)が配置され、スプリッタの出口である距離D2に接続損失が発生し、距離D3及び距離D4に加入者宅からのフレネル反射がある。
【0031】
図5に、光パルス試験器10での被測定対象100の測定波形の一例を示す。測定波形では、距離D1及びD2付近に損失が検出され、距離D3及びD4付近にフレネル反射が検出されている。
【0032】
イベント予測手順S101では、ファイバ状態推定部11が、測定波形の変化点を検出し、検出された距離において損失又は反射が発生した場合のOTDR波形(以下、理想波形と記載する。)を生成し、測定波形に含まれる損失又は反射を予測する。
【0033】
理想波形を生成するに際し、まず、図5に示す測定波形の変化点とそのイベントを検出する。例えば、距離D1までの領域A1では光強度は単調に低下し、距離D1で低下幅が増加している。これにより、距離D1における損失を検出する。また、領域A2では光強度は単調に低下しており、距離D3で光強度が高くなり始め、一定強度を超える光強度のピークが現れている。ここで、一定強度は、フレネル反射とノイズを判別可能な光強度である。これにより、距離D3におけるフレネル反射を検出する。そして、検出した距離D1における損失及び距離D3におけるフレネル反射を用いて理想波形を生成する。図6に、理想波形の一例を示す。
【0034】
理想波形の作成は、例えば以下のように行う。
領域A2の直線を距離D1まで延長し、この延長線と距離D1における変化点とを直線で結ぶ。このとき、最小二乗近似直線を用いて領域A2における直線を求める。そして、当該直線の延長線を距離D1における変化点に交わらせても良い。
また、領域A2の直線を距離D3以上の最長距離まで延長し、距離D3の位置に予め定められた線幅かつ光強度の反射を追加する。このとき、測定波形の距離D3及び距離D4におけるピークの光強度I3と装置波形から定まる定数Cとを乗じて、距離D3におけるピークレベルを決定する。こうすることで、フレネル反射部の理想波形を得ることができる。ここで、定数Cは、装置関数のパルス波形の半値全幅分のポイント数である。
【0035】
OTDR波形予測手順S102では、OTDR波形予測部12が、理想波形及び装置波形を用いて、イベント予測手順S101で予測した損失又は反射を光パルス試験器10が測定したときのOTDR波形(以下、予測波形と記載する。)を算出する。例えば、OTDR波形予測部12は、理想波形に対し、装置波形の畳み込み演算を行うことで、予測波形を算出する。これにより、図7に示すような予測波形が算出される。ここで、畳み込み演算は、例えば、距離kにおける理想波形の光強度をx、距離kにおける装置波形をhとすると、予測波形yは次式で表される。
【数1】

【0036】
差分算出手順S103では、差分算出部13が、測定波形と予測波形との差分波形を算出する。差分波形は、測定波形と予測波形との各距離における差を求めることによって得られる。各距離における差は、例えば、距離D2における測定波形の光強度と、距離D2における予測波形の光強度と、の差である。
【0037】
本実施形態では、距離D1及び距離D3だけでなく、距離D2及び距離D4においてもイベントが発生している。このため、図7に示すように、距離D2及び距離D4において、測定波形の光強度と予測波形の光強度との間に差が生じる。この場合、差分波形には、図8に示すように、距離D2及び距離D4におけるイベントが現れる。
【0038】
イベント追加判定手順S104では、イベント追加判定部14が、差分算出手順S103において生成した差分波形に損失又は反射が含まれるか否かを判定する。差分波形に損失又は反射がさらに含まれないと判定した場合には、イベント追加判定部14は、その旨をポートP2から出力する。
【0039】
しかし、本実施形態では、図8に示す差分波形は、距離D2までは光強度は一定であるが、距離D2において光強度が高くなり始め、一定強度を超える光強度のピークが現れている。このため、イベント追加判定部14は、距離D2におけるフレネル反射を検出する。また、図8に示す差分波形は、距離D4において光強度が高くなり始め、一定強度を超える光強度のピークが現れている。このため、イベント追加判定部14は、距離D4におけるフレネル反射を検出する。したがって、イベント追加判定部14は、差分波形に損失又は反射が含まれると判定する。
【0040】
この場合、イベント追加判定部14は、図8に示す波形をポートP1から差分波形をファイバ状態推定部11に出力する。そして、イベント予測手順S101に移行する。
【0041】
イベント予測手順S101では、差分波形に相当する損失又は反射を追加した理想波形を生成し、OTDR波形予測手順S102及び差分算出手順S103をさらに繰り返す。例えば、図8に示す差分波形を用いて距離D2におけるフレネル反射と距離D4におけるフレネル反射の理想波形を生成し、生成した波形を前回生成した図6に示す理想波形に追加する。この結果生成された新たな理想波形を図9に示す。そして、この新たな理想波形をOTDR波形予測部12に出力しする。そして、前述のOTDR波形予測手順S102、差分算出手順S103及びイベント追加判定手順S104を繰り返す。
【0042】
図9に示す理想波形は図4に示す作成した被測定対象100の状態が含まれているため、イベント追加判定手順S104において、測定波形に損失又は反射がさらに含まれないと判定される。これにより、本実施形態に係る光パルス試験器イベント検出方法を終了する。
【0043】
以上説明したように、本実施形態に係る光パルス試験器イベント検出装置20及びこれを備える光パルス試験装置並びに光パルス試験器イベント検出方法は、距離D2及び距離D4におけるイベントを検出することができる。したがって、本実施形態に係る光パルス試験器イベント検出装置20及びこれを備える光パルス試験装置は、デッドゾーン以下にイベントが生じている場合でも、イベントがあることを検出することができる。
【0044】
なお、装置波形記憶手順S105は、イベント予測手順S101とOTDR波形予測手順S102の間に行ってもよい。また、本実施形態に係る光パルス試験器イベント検出装置20は、コンピュータに本実施形態に係る光パルス試験器イベント検出方法を実行させることで実現してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は情報通信産業に適用することができる。
【符号の説明】
【0046】
10:光パルス試験器
11:ファイバ状態推定部
12:OTDR波形予測部
13:差分算出部
14:イベント追加判定部
15:装置波形記憶部
20:光パルス試験器イベント検出装置
51:局舎
52−1、52−2、52−3、52−4、52−5、52−N:加入者宅
53:スプリッタ
100:被測定対象

【特許請求の範囲】
【請求項1】
OTDR波形を測定する光パルス試験器で測定された被測定対象のOTDR波形(以下、測定波形と記載する。)の変化点を検出し、検出された距離において損失又は反射が発生した場合のOTDR波形(以下、理想波形と記載する。)を生成し、前記測定波形に含まれる損失又は反射を予測するイベント予測手順(S101)と、
損失及び反射がないときに前記光パルス試験器で測定されるOTDR波形(以下、装置波形と記載する。)を用いて、前記イベント予測手順で予測した損失又は反射を前記光パルス試験器が測定したときのOTDR波形(以下、予測波形と記載する。)を算出するOTDR波形予測手順(S102)と、
前記測定波形と前記OTDR波形予測手順で算出された前記予測波形との各距離における差を求めて差分波形を生成する差分算出手順(S103)と、
を順に有する光パルス試験器イベント検出方法。
【請求項2】
前記差分算出手順において生成した前記差分波形に損失又は反射が含まれるか否かを判定するイベント追加判定手順(S104)を、前記差分算出手順の後にさらに有し、
前記イベント追加判定手順において含まれると判定した場合には、前記イベント予測手順に移行し、前記イベント予測手順において前記差分波形に相当する損失又は反射を前記理想波形に追加した新たな理想波形を生成し、当該新たな理想波形を用いて前記OTDR波形予測手順及び前記差分算出手順をさらに繰り返すことを特徴とする請求項1に記載の光パルス試験器イベント検出方法。
【請求項3】
前記光パルス試験器に前記被測定対象を接続しない状態で、前記光パルス試験器を用いてOTDR波形を測定し、測定により得られたOTDR波形を前記装置波形として記憶する装置波形記憶手順(S105)を、前記イベント予測手順の前にさらに有することを特徴とする請求項1または2に記載の光パルス試験器イベント検出方法。
【請求項4】
前記OTDR波形予測手順において、前記イベント予測手順で生成した前記理想波形に対し、前記装置波形の畳み込み演算を行うことで、前記予測波形を算出することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光パルス試験器イベント検出方法。
【請求項5】
請求項1からの4のいずれかに記載の光パルス試験器イベント検出方法の前記イベント予測手順、前記OTDR波形予測手順、前記差分算出手順、前記イベント追加判定手順、前記装置波形記憶手順をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項6】
OTDR波形を測定する光パルス試験器で測定された被測定対象のOTDR波形(以下、測定波形と記載する。)の変化点を検出し、検出された距離において損失又は反射が発生した場合のOTDR波形(以下、理想波形と記載する。)を生成し、前記測定波形に含まれる損失又は反射を予測するファイバ状態推定部(11)と、
損失及び反射がないときに前記光パルス試験器で測定されるOTDR波形(以下、装置波形と記載する。)を用いて、前記ファイバ状態推定部の予測した損失又は反射を前記光パルス試験器が測定したときのOTDR波形(以下、予測波形と記載する。)を算出するOTDR波形予測部(12)と、
前記測定波形と前記予測波形との各距離における差を求めて差分波形を生成する差分算出部(13)と、
を備える光パルス試験器イベント検出装置。
【請求項7】
前記差分算出部の生成する前記差分波形に損失又は反射が含まれるか否かを判定し、前記差分波形に損失又は反射がさらに含まれる場合には前記差分波形を前記ファイバ状態推定部に出力するイベント追加判定部(14)をさらに備え、
前記ファイバ状態推定部は、さらに、前記差分波形に相当する損失又は反射を前記理想波形に追加した新たな理想波形を生成し、当該新たな理想波形を前記OTDR波形予測部に出力することを特徴とする請求項6に記載の光パルス試験器イベント検出装置。
【請求項8】
前記OTDR波形予測部は、前記ファイバ状態推定部で生成した前記理想波形に対し、前記装置波形の畳み込み演算を行うことで、前記予測波形を算出することを特徴とする請求項6又は7に記載の光パルス試験器イベント検出装置。
【請求項9】
請求項6から8のいずれかに記載の光パルス試験器イベント検出装置と、
OTDR波形を測定する前記光パルス試験器と、
備える光パルス試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−167935(P2012−167935A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26655(P2011−26655)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000000572)アンリツ株式会社 (838)
【Fターム(参考)】